説明

搾乳ポンプのためのフレキシブル駆動機構

本発明の駆動機構は、搾乳ポンプ(10/110)の真空チャンバ(32/132)内に負圧を生成するためのものであり、前記駆動機構は、ハウジング(12/112);前記ハウジング内に回転可能な駆動要素に接続されるモーター(14/114);前記ハウジングに接続される弾性膜(28/128)を含み;前記駆動機構がさらに前記駆動要素と前記弾性膜との間に接続されるフレキシブルストラップ(50/150)を含む。前記駆動要素の回転が前記フレキシブルストラップを引っ張り上げ、前記弾性膜を弾性的に変形させることで、搾乳ポンプの真空チャンバに負圧を生成する。本発明の搾乳ポンプは、かかる駆動機構を、前記ハウジング(又は12/112)に接続される真空チャンバ(21/132)と共に含む。前記真空チャンバは、受具及び前記受具と液流通する乳房搾乳漏斗(40/140)を含み、女性の乳房が前記乳房搾乳漏斗に置かれる場合に、前記真空チャンバは密閉され、前記弾性膜(28/128)の変形が前記真空チャンバ内に負圧を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搾乳ポンプに関し、より具体的には、搾乳ポンプでの真空生成の駆動機構、及びかかる駆動機構を含む搾乳ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳ポンプは、母乳を哺乳容器へ発現させるために母親により使用される装置である。かかる装置は手動操作か、又は前記装置を駆動する例えば電気モータなどを組み込んだ自動操作のいずれでかであり得る。かかる装置はしばしば、フレキシブル膜を有し、これが上下に動いて前記搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成させる。またラックピニオン機構を含み、前記ピニオンが前記ラックを前後に回転させ、前記ラックは前記膜に接続され直線的に前後に動き、負圧を生成させるものである。又はクランクシャフトやカム/偏心要素が適用され、前記膜を前後に動かし負圧を生成させる。
【0003】
ホルモン「プロラクチン」は乳発現反射を促進するが、これは母親がリラックス状態にある場合にだけ効果的に生成されるものであることが、知られている。しかし、母親にとって搾乳ポンプを使用することが不自然に感じる場合には、不快及び/又心地よくないものとなり得る。というのは前記装置は「機械的」と感じられ聞こえるからである。従って、この搾乳ポンプの使用による不快感不自然感により、母親は安心感を持てず不安を感じ、それにより母親の子供への乳の発現の可能性に影響を与える。
さらに、上で説明した既知の搾乳ポンプで負圧生成のための既知の機構には、滑り表面及び/又は摩擦表面が含まれ、かかる摩擦表面は疲労を生じ及び/又は疲労を最小化するために潤滑することが要求される。これらの機構は自体で機械ノイズを発生させ、前記モーター及びギアボックスの振動を効果的に前記搾乳ポンプの外側構造、例えばハウジング及び/又は乳収集容器へ伝達され得る。
【0004】
WO2005/016409には、前記搾乳ポンプピストン及びシリンダの操作のための直線運動を生成するためのラックピニオンタイプの機構を使用する搾乳ポンプが開示されている。US2001/0038799には、フォロワに接続される、偏心角を有する駆動シャフトフィッティングを含む耐久性駆動チェーンを持つ搾乳ポンプが開示されている。
前記フォロワは、旋回可能にプラーに接続され、プラーはフレキシブルダイヤフラムに接続され前記搾乳ポンプ内で負圧を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を実質的に回避するか解決する、搾乳ポンプの駆動機構及び駆動機構を組み込んだ搾乳ポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題を解決するための、本発明の第1の側面で、搾乳ポンプのための駆動機構を提供することであり、前記駆動機構は、ハウジング、前記ハウジング内の回転可能な駆動要素と接続されるモーター、前記ハウジングに接続される弾性膜、及び前記駆動要素及び前記膜との間を接続するフレキシブルストラップを含み、前記駆動要素の回転により、前記フレキシブルストラップが引っ張られ、かつ前記弾性膜を弾性変形させて搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成させる。
【0007】
前記駆動要素は、駆動軸を含み、前記フレキシブルストラップは前記駆動軸に接続されて前記駆動軸の回転により前記フレキシブルストラップを前記駆動軸回りに巻き付ける。
【0008】
前記駆動軸は、複数の歯を含みことができ、前記フレキシブルストラップは、その一方側に形成される対応する形状の複数の歯を含み、前記駆動軸の前記歯と係合させ得る。前記弾性膜は、ベロー部分を含み、これは、前記フレキシブルストラップが、前記駆動要素の回転の際に前記弾性膜の上に引っ張られる際に変形される。
【0009】
前記弾性膜が第1の弾性膜であり、第2の弾性膜が、前記駆動要素から離れて、前記第1の弾性膜の一方側の前記ハウジングの前記外側に設けられ、前記第1及び第2の弾性膜の間に閉鎖中間圧キャビティを定めることができ、前記第1の弾性膜が前記駆動機構により変形される場合に負圧が前記中間圧キャビティ内に生成され、前記第2の弾性膜が前記中間圧キャビティの方向へ変形され、搾乳ポンプの真空チャンバ内にグ圧を生成する。
【0010】
前記ハウジングは開口部を含み、前記弾性膜は前記開口部上に設けられ得る。
【0011】
前記弾性膜は、前記ハウジングの外側に設けることができ、及び前記フレキシブルストラップは前記駆動要素から、前記弾性膜へ前記開口部通じて伸びることができる。
【0012】
前記フレキシブルストラップは、第1の端部を持つ不連続な部材であってよく、前記端部が前記駆動要素に接続され、第2の対抗する端部は、前記弾性膜に接続され得る。
【0013】
前記モーターは、ギアボックスに接続され、前記駆動要素は、前記ギアボックスの外側軸と接続され得る。
【0014】
前記駆動機構は、前記駆動要素が回転して前後の往復運動し、前記弾性膜を引き上げ及び開放するように構成され得る。
【0015】
本発明の第2の側面は、前記の駆動機構と、前記ハウジングに接続される真空チャンバを持つ搾乳ポンプを提供するものであり、前記真空チャンバが受具と、前記受具と流通する搾乳漏斗部を含み、女性の乳房が前記乳房−搾乳漏斗部に置かれる場合に、前記真空チャンバは密閉され、前記弾性膜変性が前記真空チャンバ内の負圧を生成する。
【0016】
前記真空チャンバは、一方向バルブを持つ排出開口部を含み、発現された乳を前記真空チャンバへ排出することを可能とし、かつ前記排出開口部を通じて前記真空チャンバ内へ空気が入ることを防止することができる。
【0017】
前記搾乳ポンプは、共操作フィッティングを持つ乳収集容器を前記排出開口部上の前記真空チャンバに接続させることができるフィッティング、を含むことができる。
【0018】
前記弾性膜は前記真空チャンバ内へ伸びることができる。
【0019】
本発明の第3の側面は、駆動機構を用いて、搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成する方法を提供するものであり、前記駆動機構が、ハウジング、前記ハウジング内の回転可能な駆動要素と接続されるモーター、前記ハウジングに接続される弾性膜、及び前記駆動要素と前記弾性膜との間を接続するフレキシブルストラップを含み、前記方法は、前記駆動要素を回転させて前記フレキシブルストラップを引き上げ、前記弾性膜を弾性的に変形させて、搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1の側面を含む搾乳ポンプの模式的断面図を示す。
【図2】図2は、図1の搾乳ポンプの駆動軸及びフレキシブルストラップの模式的端部を示す。
【図3】図3は、本発明の第2の側面を含む搾乳ポンプの模式的断面図を示す。
【図4】図4は、図3の搾乳ポンプの駆動軸及びフレキシブルストラップの模式的端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び2を参照して、本発明の第1の実施態様の駆動機構を組み込む搾乳ポンプ10が示され、減速ギアボックス16に接続される駆動モーターを含むハウジング12を含む。駆動軸18は前記ギアボックス16から伸び、支持ベアリング20でその端部が支持される。駆動ホイール22は、前記ギアボックス16及び前記支持ベアリング20の間の前記駆動軸18上に設けられる。
【0022】
前記ハウジング12は基底部24を含み、その上に前記モーター14及び支持ベアリング20が設けられ、前記基底部24はそこを通って伸びる開口部を持つ。前記開口部26は、前記ハウジング12の外側で、ディスク部30a及びベロー部30bを含む弾性膜28により密閉され、前記ベロー部30bは、前記ディスク部30aの周辺エッジと、前記開口部26周りの前記ハウジング12の前記基底部24の間に伸びる。
【0023】
真空チャンバ32は前記ハウジング12の前記基底部24と前記開口部26及び弾性膜28の上で結合され、前記弾性膜28が前記真空チャンバ32内へ伸びている。前記真空チャンバ32は、一般的に円筒形状であり、前記円筒チャンバの1つの端部が前記ハウジング12に接続され、上で説明したように前記開口部26の周りがシールされ、前記円筒チャンバの他の端部が底部壁34を含む。乳房−搾乳漏斗部は前記真空チャンバ32の一方の前記円筒側壁から伸び、前記真空チャンバ32と流通されている。前記底部壁34は、排出部36及び一方バルブ38を含み、前記一方向バルブは排出部36をカバーし、流体が前記真空チャンバ32内からのみその外側に排出され、前記バルブ38が前記流体が前記排出部36を通じて前記真空チャンバ32内へ流入することを防止する。従って、前記バルブ38が閉じ、前記漏斗40が乳が発現されるべき乳房により閉じられる場合に、前記真空チャンバ32は閉鎖キャビティとなる。
【0024】
前記基底部壁32回りの前記真空チャンバ32の外側は、ネジ山42が設けられ、乳収集容器44が、発現された乳を前記一方バルブ38を介して前記排出部36を通じて受け取るように構成される。
【0025】
前記弾性膜28の前記ベロー部30bは、前記ディスク部30aを図1の矢印Xで示される方向に前記ハウジング12から離れるように偏向されている。不連続ストラップ50が前記駆動ホイール22と1つの端部で接続され、他の端部で前記弾性膜28の前記ディスク部30aの中心へ接続される。図2の模式図から分かるように、前記ストラップ50は前記駆動ホイール22の前記曲線エッジに接続され、ネジ52を用いて位置確保されている。従って図2で矢印Aの方向へ前記駆動ホイール22を回転させることにより、前記ストラップ50が前記駆動ホイール22回りに巻き上げられ、それによりストラップ50が図1及び2の示される矢印Bの方向に前記弾性膜28の上方に引っ張り上げられることとなる。逆に、図2での矢印Cの方向に前記駆動ホイール22を回転させることで、前記ストラップ50が前記駆動ホイール22回りから巻き戻り、それにより前記ストラップ50が前記弾性膜28により起こされる下方への引っ張り力を開放することとなり、それにより前記ストラップ50が前記ベロー部30bの前記偏向力の下、図1及び2で示される矢印Dの方向へ動く結果となる。留意すべきは、前記ディスク部30aの弾性はまた、前記弾性ストラップ50に作用する前記駆動ホイール22から離れることに抵抗する力に寄与する、ということである。
【0026】
本発明の第1の実施態様の装置の操作につき以下説明する。まず乳収集容器44が図1に示されるようにねじ山42により前記ハウジングに接続される。女性はその後、乳房を乳房−搾乳漏斗部40に置き、それにより前記真空チャンバ32を閉鎖する。前記搾乳ポンプはその後スイッチが入り、前記モーター14が、前記ギアボックス16を介して前記駆動シャフト18を回転させ、それにより駆動ホイール22を回転させる。前記駆動ホイールの回転運動は、前後に、時計回り逆時計回りに交互に往復運動する。
【0027】
まず駆動ホイール22が図2の矢印Aで示される時計方向に回転し、前記ストラップ50が前記駆動ホイール22回りに巻き上げられ、それにより図1及び2の矢印Bで示されるように前記弾性膜28上に引き上げられる。これにより前記弾性膜28は矢印Bで示される方向へ偏向される。前記一方バルブ38が前記排出部36を閉じ、前記乳房−搾乳漏斗部40の開放端部が女性の乳房で閉じられ、前記真空チャンバ32が閉鎖キャビティとなる。従って、前記弾性膜28の偏向は前記閉じた真空チャンバ32の容量を増加させ、それにより前記真空チャンバ32内に負圧を生成する。これにより女性の乳房が前記漏斗40に乳を発現するように促し、それにより乳が前記真空チャンバの前記底部壁34で下部分へ流入することとなる。
【0028】
前記モーター14は、前記ギアボックスを介して、その後前記駆動シャフト18を図2の矢印Cで示される逆方向に回転させる。それにより前記駆動ホイール22を逆方向に回転させる。
【0029】
図2で示されるように、前記駆動ホイールが矢印Cで示す方向に反時計回りに回転する場合、図1及び2の矢印Dで示されるように前記ストラップ50は、前記弾性膜28の前記偏向力により下向きに引っ張られることにより前記駆動ホイール22から巻き戻される。これにより前記弾性膜28が矢印Dで示される方向に戻り、その初めの偏向されていない状態となり、前記閉鎖された真空チャンバ32の容量を低減し、前記真空チャンバ32内の負圧を解消する。
【0030】
前記真空チャンバ32での負圧が除去されると、前記真空チャンバ内の前記収集された乳が一方バルブ38及び前記排出部36を通じて前記乳収集容器44へと流れ出る。 前記プロセスは、前記モーター14が前記駆動ホイール22を再び時計回りに回転させ、前記真空チャンバ32に負圧を生成させ、その後に前記駆動ホイール22を逆方向に駆動して前記負圧を除去することで繰り返し、女性が望む量の乳を発現するまで続けられる。
【0031】
本発明の駆動機構及び搾乳ポンプの第2の実施態様が以下図3及び4を参照しつつ説明する。前記本発明の第1の実施態様と同様に、前記搾乳ポンプ110はハウジング112を含み、減速ギアボックス116と接続される駆動モーター114を含む。駆動シャフト118が、前記ギアボックス116から伸び、支持ベアリング120のその遠位端部で支持されている。駆動ホイール122が前記ギアボックス116及び前記支持ベアリング120間で前記駆動シャフト118に設けられている。
【0032】
前記第1の実施態様と同様に、前記ハウジング112は基底部124を含み、そこに前記モーター114及び支持ベアリング120が設けられ、前記基底部124がそこを通じて伸びる開口部126を含む。しかし、本発明の第2実施態様の駆動機構は、前記第1の駆動機構とは次の点で異なる。即ち、前記開口部126は、ディスク部130a及び前記ディスク部130aと前記開口部126回りの前記ハウジング112の前記基底部124の内側間を伸びるベロー部130bを含む第1の弾性膜128により、前記ハウジング112の内側に密閉される。
【0033】
本発明の第2の実施態様はさらに、第2の弾性膜129を含み、前記開口部126回りのハウジング112の基底部124の外側に設けられている。前記第2の弾性膜129は前記開口部126回りにシールされ、密閉中間キャビティ133が前記第1及び第2の弾性膜128、129間に定められる。
【0034】
真空チャンバ132は前記開口部126上で前記ハウジング112の前記基底部124及び第2の弾性膜129に接続され、前記第2の弾性膜129が前記真空チャンバ132へ伸びている。前記真空チャンバ132は一般的に円筒形状であり、前記円筒チャンバの1つの端部がハウジング112に接続され、上で説明されたように、前記開口部126回りがシールされ、かつ前記円筒チャンバの他の端部が底部壁134を持つ。乳房−搾乳漏斗部140が前記真空チャンバの前記円筒の1つの側壁から伸び、前記真空チャンバ132と液体流通されている。前記底部壁134は、排出部136および前記排出部136をカバーする一方向バルブ138を含み、これにより液が前記真空チャンバ132内からその外側へのみ通ることを可能とするが、前記バルブ138は流体が前記真空チャンバ132へ前記排出部136を通じて流入することを防止する。従って、前記バルブ138を閉じ、その後前記漏斗140が乳が発現される乳房により密閉される場合、前記真空チャンバ132は閉鎖キャビティとなる。
【0035】
前記基底部壁134回りの前記真空チャンバ132の外側にねじ山が設けられ、乳収集容器144と接続され、発現された乳を前記一方バルブ138を介して前記排出部136を通じて受け入れる。
【0036】
前記第1の弾性膜128の前記ベロー部130bは、前記ディスク部130aを前記ハウジング112の方向へ、かつ図3の矢印Yで示される方向に前記駆動ホイール122から離れるように偏向されている。不連続ストラップ150は、前記駆動ホイール122の1つの端部に接続され、他の端部で前記第1の弾性膜128の前記ディスク部130aの中心で接続される。図4の模式図から分かるように、前記ストラップ150及び駆動ホイール122は、前記本発明の前記第1の実施態様の前記ストラップ50及び駆動ホイール22とは次の点で異なる。即ち、前記駆動ホイール122はその外側表面に複数の歯123を含み、前記ストラップ150は複数の対応する形状の歯151をその一方側に含み、前記駆動ホイール122の前記歯123と係合し合うように構成される。前記フレキシブルストラップ150は前記駆動ホイール122の曲線エッジと接続されて、ネジ152を用いてその位置を確保され、前記ストラップ150の歯151が前記駆動ホイール122の歯123との間のギャップを持って配列され、前記駆動ホイールが回転される際にそれぞれの歯123、151とが噛みあうことが可能となる。
【0037】
図4の矢印Eの方向へ前記駆動ホイール122を回転させることで、前記ストラップ150が、前記駆動ホイール122及びストラップ150噛合のそれぞれの歯123、151を持つ前記駆動ホイール122回りに巻き取られ、それにより前記ストラップ150が図3及び4で示される矢印Fの方向に引っ張り上げられることとなる。
【0038】
逆に、図4の矢印Gの方向に前記駆動ホイール122を回転させると、前記ストラップ150が前記駆動ホイール122回りに巻き戻され、それにより前記ストラップ150が前記第1の弾性膜128により起こされる全ての下方向きの力を開放する結果となり、それにより前記ストラップは、図3及び4で示される矢印Hの方向へ前記ベロー部130bの偏向力の下で動く。留意すべきは、前記ディスク部130aの弾性はまた、上で記載された前記ベロー部130bの抵抗と同様に、前記駆動ホイール122から離れるように前記フレキシブルストラップ150に作用する抵抗力に寄与する、ということである。
【0039】
本発明の第2の実施態様の装置の操作につき以下説明される。まず乳収集容器144が図3で示されるネジ山142により前記ハウジングに接続される。女性は乳房を乳房−搾乳漏斗部140に置き、それにより前記真空チャンバ132を密閉する。前記搾乳ポンプはその後スイッチが入れられ、前記モーター114が前記ギアボックス116を介して前記駆動シャフト118を回転させ、それにより前記駆動ホイール122を回転させる。前記駆動ホイール122の回転運動は前後の往復運動、時計方向、反時計方向に交互に行うものである。
【0040】
まず、前記駆動ホイール122は、図4で示される矢印Eの時計方向に回転させ、前記ストラップ150が前記駆動ホイール122周りに巻き上げられ、それにより図1及び2の矢印Fで示されるように前記第1の弾性膜上に引き上げられる。これにより、前記第1の弾性膜128が矢印Fの方向に上方に偏向されることとなる。中間キャビティ133が閉じた空間であることから、前記第1の弾性膜の偏向は前記中間キャビティ133の容量が増加し、それによりそこに負圧を生成する。従って、前記中間キャビティ133の負圧が前記第2の弾性膜129を前記中間キャビティ133の内側方向に偏向される。前記一方向バルブ138が前記真空チャンバ132の前記排出部136を閉じ、及び前記乳房−搾乳漏斗部140の前記開口端部が女性の乳房で閉じされることから、前記真空チャンバ132はまた閉じたキャビティとなる。従って、前記第2の弾性膜の上方偏向は前記真空チャンバ132の容積を増加させ、それによりその中の負圧を生成し、これが女性の乳房が乳を前記漏斗140内に発現することを促進し、それにより前記真空チャンバ134の底部壁に前記真空チャンバ132の下部部分に流入させる。
【0041】
前記モーター114は、前記ギアボックス16を介して、その後図4の矢印Gで示される反対方向に回転させ、それにより前記駆動ホイール122を逆方向に回転させる。
【0042】
図4に示されるように、前記駆動ホイール122は矢印Gで示されるように反時計回り方向に回転し、図3及び4の矢印Hにより示されるように前記第1の弾性膜の前記偏向力により下向きに引っ張られることにより前記フレキシブルストラップ150が前記駆動ホイール122から巻き戻される。これにより、前記第1の弾性膜128を矢印Hの方向へ初期の偏向されない位置に戻され、前記中間キャビティ133の容量を減少させ、それにより前記負圧を解消する。このことは、次の効果を奏する。即ち前記第2の弾性膜129が矢印Hの方向でその初期の偏向されていない状態に戻り、前記閉じた真空チャンバ132の容量が減少し、それにより前記真空チャンバ132内の負圧を解消する。 前記真空チャンバ132内の負圧が除かれると、前記真空チャンバ132に収集された乳は、前記一方向バルブ138及び前記排出部136を通り、乳収集容器144へ流入する。
【0043】
前記プロセスは、前記モーター114が前記駆動ホイール122を再び時計回りに回転させ、前記中間チャンバ133に負圧を生成させ、それにより前記真空チャンバ132に負圧を生成させ、その後に前記駆動ホイール122を逆方向に駆動して前記中間キャビティ133及びそれにより前記真空チャンバ132の前記負圧を除去することで繰り返し、女性が望む量の乳を発現するまで続けられる。
【0044】
前記の駆動機構は、ある範囲の速度で操作されるように構成され得るものであるが、前記真空チャンバ内で交互に負圧を生成、開放する速度の最適値は、0.5〜2Hzであることが見出される。
【0045】
前記実施態様では、前記モーターは、前記駆動ホイールを時計回り及びその後反時計回りで交互に駆動することが説明されている。しかし、本発明の範囲では、前記モーターは、前記駆動ホイールを前記フレキシブルストラップが前記駆動ホイールに巻き上げられる方向にのみ積極的に駆動することが意図されている。その後、前記モーターが反対方向に駆動ホイールを積極的に駆動する代わりに、単にホイール駆動を停め前記フレキシブルストラップを引き上げている前記弾性膜の弾性力により前記フレキシブルストラップを駆動軸周りから巻き戻し、前記弾性膜がその偏向前の初期の位置に戻り、それにより前駆駆動ホイールを前記巻き戻し方向に「自由ホイール」状態にする。
【0046】
前記両方の駆動機構の実施態様は、前記回転可能な駆動シャフトに設けられた駆動ホイールを、前記駆動ホイールに接続されたフレキシブルストラップと共に含む。しかし本発明の範囲では、他の駆動要素もまた含むことが意図される。例えば、前記駆動ホイールは完全に除かれてよく、前記フレキシブルストラップが直接前記駆動シャフトに接続されて前記駆動シャフト周りにまき上げられそれにより前記弾性膜を引っ張り上げる。又は、その代わりに腕部などの突出要素が前記駆動シャフトから垂直に伸び、前記フレキシブルストラップの端部が前記突出部の前記端部へ前記駆動シャフトから離れて接続され、前記駆動シャフトの回転が前記突出部を回転させ、それにより前記フレキシブルストラップを前記駆動シャフトの軸周りに前記突出部のてこ作用により引き上げる。
【0047】
本発明の第1の実施態様の前記駆動ホイール22およびフレキシブルストラップ50は平表面として説明され、また前記第2の実施態様の前記駆動ホイール122及びフレキシブルストラップ150は内部噛合歯129、151として説明されたが、本発明の範囲内で、本発明の第1の駆動ホイール及びフレキシブルストラップはかかる内部噛合歯を含み得るものであり、逆にまた本発明の前記第2の実施態様の駆動ホイール及びフレキシブルストラップは平表面を有してもよい。
【0048】
前記記載の本発明の実施態様の前記弾性膜28、128は、波付きベロー部30b、130bを含むものとして定められる。しかし、本発明の範囲では、前記弾性膜はかかるベロー部を含まないことも可能であり、前記フレキシブルストラップの引っ張り上げに対する偏向及び偏向力は前記膜材料の弾性によってのみ与えられ得る。
【0049】
前記実施態様は駆動シャフトに設けられる1つの駆動ホイール、前記ホイールと前記弾性膜の間に伸びる1つのフレキシブルストラップを含むものである。しかし本発明の範囲は、他の実施態様であって、複数の駆動ホイール又は駆動要素及び/又は前記駆動ホイール/要素と前記弾性膜の間を伸びる複数のストラップをも含むものである。
【0050】
本発明の駆動機構及びかかる機構を持つ搾乳ポンプは、これまで知られた搾乳ポンプ及び搾乳ポンプ機構に比較して多くの利点を有する。例えば、前記駆動要素及びフレキシブルストラップ手段の純粋な回転運動は、例えばラックピニオン機構とは異なり摩擦がないことを意味する。これは、前記機構がよりエネルギー効率的であり、潤滑剤が不要である、ということを意味する。また、前記機構が実質的に無音である。というのは前記要素間に遊びがなくかつ「スティック−スリップ」部品がないことを意味する。
【0051】
さらに、本発明の駆動機構は製造上の高い許容性を可能とし、従って前記機構の部品間の遊びをなくするものである。また、前記機構は、前記フレキシブルストラップに予め張力を付けておくように構成され得る。すなわち、前記駆動要素が前記フレキシブルストラップを引き上げて前記弾性膜を変形する前にその最大張力を与えておき、前記膜が初期変形量を持ち、前記フレキシブルストラップの緊張を維持させ、かつ遊びを無くして静かな動きを確実にする。
【0052】
本発明の駆動機構のさらなる利点は、前記構造の本質的な丈夫さ、コンパクトな設計のための適格性、及びモーター及びギアボックス振動を分離することによる低ポンプノイズなどである。さらに、前記駆動シャフト回転と前記弾性膜の動きの直線性は前記搾乳ポンプのプログラム可能性を改良する。
【0053】
本発明は図面および記載に基づき詳細に説明されたが、かかる図面及び記載は説明のための例示でありなんらを限定するものではない。本発明のは開示された実施例に限定されるものではない。
【0054】
ここで開示された実施態様の他の変形例・変法は、図面、開示内容及び特許請求の範囲を参照することで、当業者であれば理解でき、実施可能である。特許請求の範囲において、用語「含む」、「持つ」は他の要素又はステップを除外するものではなく、さらに用語「ひとつの」は複数を除外するものではない。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実はそれらの手段の組み合わせが有効でないということを意味するものではない。特許請求の範囲の符号は本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成するための駆動機構であり、前記駆動機構は:
ハウジング;
前記ハウジング内に回転可能な駆動要素に接続されるモーター;
前記ハウジングに接続される弾性膜を含み;
前記駆動機構がさらに前記駆動要素と前記弾性膜との間に接続されるフレキシブルストラップを含み、
前記駆動要素の回転が前記フレキシブルストラップを引っ張り上げ、前記弾性膜を弾性的に変形させることで、搾乳ポンプの真空チャンバに負圧を生成する、駆動機構。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記駆動要素が駆動ホイールを含み、前記フレキシブルストラップが前記駆動ホイールに接続され、前記駆動ホイールの回転により前記フレキシブルストラップが前記駆動ホイール周りに巻き上げられる、駆動機構。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動機構であり、前記駆動ホイールが複数の歯を含み、前記フレキシブルストラップが、前記駆動ホイール上の前記歯と噛み合うために対応する形状の複数の歯をその1つの側に形成される、駆動機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動機構であり、前記弾性膜がベロー部を含み、前記フレキシブルストラップが前記駆動要素の回転により前記弾性膜上に引っ張り上げる場合に変形される、駆動機構。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記弾性膜が第1の弾性膜であり、第2の弾性膜が前記駆動要素から離れて前記第1の弾性膜の1つの側で前記ハウジングの外側に設けられ、前記第1及び第2の弾性膜との間に閉鎖中間圧力キャビティを定め、前記第1の弾性膜が前記駆動機構により変形される場合に、前記中間圧力キャビティ内に負圧を生成し、これにより前記第2の弾性膜を前記中間圧力キャビティの方向の内側に変形させ、それにより搾乳ポンプの真空チャンバ内に負圧を生成する、駆動機構。
【請求項6】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記ハウジングが開口部を含み、前記弾性膜が前記開口部の上に設けられる、駆動機構。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動機構であり、前記弾性膜が前記ハウジングの外側に設けられ、前記フレキシブルストラップが前記駆動要素から前記開口部を通じて前記弾性膜に伸びる、駆動機構。
【請求項8】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記フレキシブルストラップが不連続部材であり第1の端部を持ち、これが前記駆動要素に接続され、かつ第2の対抗する端部が前記弾性膜に接続される、駆動機構。
【請求項9】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記モーターがギアボックスに接続され、前記駆動要素が前記ギアボックスの外側シャフトと接続される、駆動機構。
【請求項10】
請求項1に記載の駆動機構であり、前記駆動要素が前後に往復運動して前記弾性膜を交互に引っ張り及び開放する、駆動機構。
【請求項11】
請求項1に記載の駆動機構を含む搾乳ポンプであり、前記搾乳ポンプは:
前記ハウジングに接続される真空チャンバを含み、前記真空チャンバは受具及び前記受具と液流通する乳房搾乳漏斗を含み、女性の乳房が前記乳房搾乳漏斗に置かれる場合に、前記真空チャンバは密閉され、前記弾性膜の変形が前記真空チャンバ内に負圧を生成する、搾乳ポンプ。
【請求項12】
請求項11に記載の搾乳ポンプであり、前記真空チャンバが、排出開口部を含み、前記排出開口部は一方向バルブを持ち、発現された乳を前記真空チャンバへ出すことを可能とするが、前記排出開口部を通じて前記真空チャンバ内に空気が入ることを防止する、搾乳ポンプ。
【請求項13】
請求項12に記載の搾乳ポンプであり、フィッティングを含み、共作用フィッティングを持つ乳収集容器を前記排出開口部の上で前記真空チャンバと結合させる、搾乳ポンプ。
【請求項14】
請求項11に記載の搾乳ポンプであり、前記弾性膜が前記真空チャンバ内に伸びる、搾乳ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500114(P2013−500114A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522295(P2012−522295)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053319
【国際公開番号】WO2011/013037
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】