説明

摩耗検知機能を有する輸送用ホース

【課題】簡単な構造でありながら、固形物や流動物の接触に伴うホース壁内面側の摩耗度合までを、外部からの目視だけで容易に検知することができる摩耗検知機能を有する輸送用ホースを提供する。
【解決手段】この輸送用ホースは、着色が施された透光性を有する外側層3と、この外側層3とは色の異なる着色が施された透光性を有する内側層4とを積層してなる合成樹脂製のホース壁1を備え、固形物や流動物の接触に伴う内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色が変化するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の固形物や流動物を輸送するための輸送用ホースであって、特に固形物や流動物の接触に伴うホース壁内面側の摩耗度合を検知可能とした摩耗検知機能を有する輸送用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の固形物や流動物を輸送する合成樹脂製の輸送用ホースにおいては、固形物や流動物の接触に伴ってホース壁内面側が経時的に摩耗して、このようなホース壁内面側の摩耗が進行すると、最終的に亀裂や破断が生じて漏出事故を引き起こすといった問題を抱えている。
【0003】
このような問題を未然に防ぐために、定期的に新しいホースに交換することが一般的に行われているが、この場合、ホースの交換時期を適切に予測することが困難であって、摩耗の進行が予想以上に速くて交換前にホースに亀裂や破断が生じたり、十分に使用可能なホースを交換してしまうといった不具合が生じていた。
【0004】
このため、近年では、輸送用ホースにおけるホース壁内面側の摩耗状況を検知するための各種方法が提案されている。例えば、ホース壁内部に、呈色材料を埋設しておいて、ホース壁内面側の摩耗によって呈色材料が露出すると、この呈色材料によってホース壁内を流れる固形物や流動物が着色されることで、ホース壁内面側が摩耗していることを検知するといった方法が知られている。また、ホース壁内部に、導電性材料を埋設しておいて、ホース壁内面側の摩耗によって導電性材料が破断して通電が阻止されることで、ホース壁内面側が摩耗していることを検知するといった方法も知られている。さらに、複層構造のホース壁の外側層と内側層の色を異ならせて、ホース壁の内側層の摩耗によってホース壁内面側に外側層が露出することで、ホース壁内面側が摩耗していることを検知するといった方法も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−247668号公報
【特許文献2】特開平9−273668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ホース壁内部に呈色材料や導電性材料を埋設する場合には、ホースの構造が複雑となるとともに、呈色材料や導電性材料の埋設に際して特別な設備が必要となって、製造効率の悪化や製造コストの高騰を招き易いといった不具合があった。
【0007】
また、呈色材料によって固形物や流動物を着色することで、ホース壁内面側の摩耗を検知する場合には、固形物や流動物の種類によっては、着色により商品価値を著しく低下させてしまい、着色されたものについては破棄せざるを得ないといった不具合が生じることがあった。さらに、導電性材料の通電状態によって、ホース壁内面側の摩耗を検知する場合には、電流計等の電気機器を現場に持ち込んで導電性材料と電気的に接続する必要があり、確認作業が大掛かりになるといった不具合があった。
【0008】
一方、ホース壁の外側層と内側層を単に色分けする場合には、特別な設備を必要とすることなく、顔料を混入した樹脂材料を使用するだけで、通常の複層構造のホースと何ら変わりなく容易に製造することができるが、ホース壁内面側の摩耗の確認に際して、ホースを一旦取り外して、ホース壁内面側を目視により観察したり、場合によってはホース壁内に小型カメラやファイバースコープ等を挿入して観察する必要があり、確認作業が煩雑になるといった不具合があった。
【0009】
さらにまた、上記のいずれの方法においても、ホース壁内面側に呈色材料が露出したり、導電性材料が破断したり、ホース壁内面側に外側層が露出することによって初めて、ホース壁内面側の摩耗を検知することができるのであって、ホース壁内面側が徐々に摩耗していく過程(摩耗度合)までは検知することができなかった。
【0010】
このため、例えばホースの点検時において摩耗が検知されなかったが、その時点において摩耗がかなり進行していて、次回の点検時には既に漏出事故を引き起しているといった事態を招きかねない。また、摩耗が生じ易くなっているホースを早期に発見して、他のホースとの配置換えを適宜行うことで、配管寿命を延ばすといった対策も採り難かった。
【0011】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、簡単な構造でありながら、固形物や流動物の接触に伴うホース壁内面側の摩耗度合までを、外部からの目視だけで容易に検知することができる摩耗検知機能を有する輸送用ホースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明の輸送用ホースは、固形物や流動物を輸送するためのものであって、透光性を有する外側層3と、この外側層3とは色の異なる着色を施した透光性を有する内側層4とを積層してなる合成樹脂製のホース壁1を備え、前記固形物や流動物の接触に伴う前記内側層4の摩耗度合に応じて、前記ホース壁1の色が変化することを特徴とする。なお、「透光性を有する」とは、具体的には透明若しくは半透明の状態を意味している。
【0013】
具体的には、前記外側層3に着色を施してあり、前記外側層3の色を黄系統とし、前記内側層4の色を青系統又は赤系統としている。また、前記内側層4は、色の異なる透光性を有する複数の有色層4A、4Bを積層してなる。
【0014】
さらに、前記外側層3又は内側層4の少なくとも一方において、厚肉部3aと薄肉部3bをホース軸方向に交互に連続させるようにしている。また、前記ホース壁1に、補強芯2をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回している。具体的には、前記外側層3に、前記内側層4の外周面から離間させるようにして前記補強芯2を設けている。さらに、前記補強芯2は、透光性を有している。さらにまた、前記補強芯2の内側半部を、ホース中心に向けて先細り状としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の輸送用ホースにおいては、固定物や流動物の接触に伴ってホース壁の内側層の摩耗が進行していくにつれて、その摩耗箇所において内側層の色が徐々に薄れて、ホース壁の色が徐々に変化していくことから、外部からの目視によってホース壁の色を確認するだけで、ホース壁内面側の摩耗度合までも容易に検知することができる。
【0016】
しかも、透光性を有する無色又は有色の外側層と、透光性を有する有色の内側層とを積層しただけの簡単な構造によって、上記の摩耗検知機能を付与しているので、特別な設備を必要とすることなく、顔料を混入した樹脂材料を使用するだけで、通常の複層構造のホースと何ら変わりなく容易に製造することができる。
【0017】
また、外側層に着色を施して、外側層及び内側層をともに透光性を有する有色とし、且つ、外側層の色と内側層の色とを異ならせることで、摩耗前のホース壁においては、外側層の色と内側層の色とが混じり合った色を呈しているが、摩耗により内側層が消失してホース壁内面側に外側層が露出するようになると、その摩耗箇所において外側層の色のみを呈するようになり、このようなホース壁の色の変化によって、摩耗箇所において内側層が消失したことを外部からの目視だけで明確に検知することができる。従って、摩耗箇所において内側層が消失したときを、ホースの交換時期として設定しておけば、ホースの交換時期を確実に知ることができる。
【0018】
さらに、外側層の色を明度の高い黄系統とし、摩耗により肉厚が徐々に薄くなる内側層の色を黄系統よりも明度の低い青系統又は赤系統とすることで、摩耗時におけるホース壁の色の変化が判り易くなって、ホース壁内面側の摩耗度合をより確実に検知することができる。さらに、内側層を、色の異なる透光性を有する複数の有色層を積層して構成することで、摩耗時におけるホース壁の色の変化にめりはりを持たせて、ホース壁内面側の摩耗度合をより確実に検知することができる。
【0019】
また、外側層及び/又は内側層に、ホース軸方向に交互に連続する厚肉部と薄肉部を設けることで、ホース壁において、厚肉部と薄肉部との濃淡の違いによる模様を浮かび上がらせて、全体的にグラデーションを付与することができ、ホースの意匠性を向上することができる。
【0020】
さらに、ホース壁を補強するにあたって、ホース壁の内部に補強芯を埋設することで、ホース壁において補強芯による螺旋状の模様を浮かび上がらせて、全体的にグラデーションを付与することができ、ホースの意匠性を向上することができる。また、外側層に設けた補強芯を内側層の外周面から離間させるようにしたり、透光性を有する補強芯を使用したり、補強芯の内側半部を先細り状とすることで、ホース壁における補強芯の裏側付近を見易くすることができ、補強芯を設けたことによる視認性の悪さを軽減して、ホース壁内面側の摩耗度合の検知に支障をきたさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1実施形態に係る輸送用ホースの一部破断正面図である。
【図2】同じくその変形例を示す一部破断正面図である。
【図3】第2実施形態に係る輸送用ホースの一部破断正面図である。
【図4】第3実施形態に係る輸送用ホースの一部破断正面図である。
【図5】同じくその変形例を示す一部破断正面図である。
【図6】同じくその他の変形例を示す一部破断正面図である。
【図7】同じくその別の変形例を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係る輸送用ホースは、例えばプラスチックペレット等の固形物を輸送するためのものであって、図1に示すように、合成樹脂製のホース壁1に対して、合成樹脂製の補強芯2をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回することによって構成されている。
【0023】
ホース壁1は、着色が施された透光性を有する外側層3と、この外側層3とは色の異なる着色が施された透光性を有する内側層4とをホース径方向に積層してなり、そのホース軸方向の略全長に亘って透光性を有し、且つ、着色が施された状態となっている。
【0024】
具体的に、外側層3は、例えば可撓性に優れた軟質の塩化ビニル樹脂を主素材として、これに例えば縮合アゾ等の黄色顔料を混入した材料を使用して、内外周面が略平滑な円筒状に形成されており、そのホース軸方向の略全長に亘ってクリアな黄色を呈している。なお、外側層3の主素材としては、塩化ビニル樹脂に限らず、オレフィン系樹脂やウレタン樹脂等のような透光性を有するその他合成樹脂を用いても良い。また、主素材に混入する顔料としては、縮合アゾに限らず、その他の黄色顔料を用いても良い。
【0025】
内側層4は、例えば耐摩耗性に優れたウレタン樹脂を主素材として、これに例えばシアニンブルー(α)等の青色顔料を混入した材料を使用して、内外周面が略平滑な円筒状に形成されており、そのホース軸方向の略全長に亘ってクリアな青色を呈している。なお、内側層4の主素材としては、ウレタン樹脂に限らず、オレフィン系樹脂や塩化ビニル樹脂等のような透光性を有するその他合成樹脂を用いても良い。また、主素材に混入する顔料としては、シアニンブルー(α)に限らず、その他の青色顔料を用いても良い。
【0026】
これにより、ホース壁1としては、外側層3により可撓性を良好に維持しながらも、その内面側において内側層4により耐摩耗性が確保されている。また、ホース壁1におけるホース径方向の肉厚に対して、内側層4におけるホース径方向の肉厚が20〜80%に設定されて、外側層3の黄色と内側層4の青色がホース径方向に重なることで、ホース壁1は、そのホース軸方向の略全長に亘ってクリアな緑色を呈している。なお、内側層4の肉厚が薄過ぎたり、厚過ぎたりすると、外側層3又は内側層4のいずれかの色が強調され過ぎて、ホース壁1をクリアな緑色とすることが困難となるため、内側層4の肉厚は上記のように設定するのが望ましい。
【0027】
補強芯2は、硬質の塩化ビニル樹脂を主素材として形成されており、その全長に亘って無色透明となっている。この補強芯2は、そのホース径方向の断面形状がホース径方向に長い略楕円形となっていて、その内側半部におけるホース軸方向の横幅がホース中心に近づくにつれて漸減した状態となっている。すなわち、補強芯2のホース径方向の内側半部が、ホース中心に向けて先細り状となっている。なお、補強芯2のホース径方向の断面形状は、略楕円形に限らず、略円形や略多角形といったようにどのような形状であっても良い。
【0028】
上記構成の輸送用ホースは、以下のようにして製造される。まず、ウレタン樹脂製のペレットにシアニンブルー(α)等の青色顔料を混入した材料を、押出機により押し出すことによって内側層構成用の帯状体を成形し、この帯状体をマンドレル上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の互いに隣接する端縁部同士を熱融着することによって内側層4を形成する。
【0029】
続いて、軟質の塩化ビニル樹脂製のペレットに縮合アゾ等の黄色顔料を混入した材料を、押出機により押し出すことによって外側層構成用の帯状体を成形し、この帯状体を内側層4の外周面上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の互いに隣接する端縁部同士を熱融着することによって外側層3を形成する。これにより、外側層3と内側層4とを積層してなるホース壁1が製造される。
【0030】
最後に、硬質の塩化ビニル樹脂製のペレットを、押出機により押し出すことによって補強芯2を成形し、この補強芯2をホース壁1の外側層3の外周面上にホース軸方向に間隔をあけながら螺旋状に巻回する。そして、押出機から押し出された内側層構成用の帯状体、外側層構成用の帯状体、補強芯2の熱を利用して、外側層3、内側層4、補強芯2を相互に熱融着させて一体化することで、ホースが製造される。なお、ホースの製造にあたっては、内側層構成用の帯状体、外側層構成用の帯状体、補強芯2を別々に押し出して螺旋状に巻回するだけでなく、これらを共押出機により一体に押し出して螺旋状に巻回しても良い。
【0031】
このような輸送用ホースを使用して、プラスチックペレット等の固形物を輸送した場合、ホース壁1の内面側すなわち内側層4が耐摩耗性を有しているものの、プラスチックペレット等の固形物の衝突に伴って、内側層4が経時的に摩耗してくる。なお、この摩耗は、特にホースを曲げながら配管したときの湾曲部付近において生じ易く、またホース壁1における補強芯2の取付部位は、剛性が高く弾力性に乏しいことから、この取付部位においても摩耗が生じ易くなっている。
【0032】
ホース壁1の内側層4が摩耗し始めると、その摩耗箇所において内側層4の肉厚が薄くなって、内側層4の青色が薄れてくる。従って、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、外側層3の黄色が強調されて黄色がかった緑色に見えるようになる。なお、摩耗箇所では、傷付きが原因で白化する傾向にあり、黄色がかった緑色をさらに浮き出させる。
【0033】
そして、内側層4の摩耗が進行すると、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、外側層3の黄色がより一層強調されて黄色に近い緑色に見えるようになる。内側層4の摩耗がさらに進行して、内側層4が消失してホース壁1の内面側に外側層3の内周面が露出するようになると、外側層3の黄色のみが見えるようになり、この場合、摩耗が生じていない箇所の緑色と見比べて色の違いをはっきりと視認することができる。特に、内側層4が消失したときを、ホースの交換時期として設定しておけば、上記のようなホース壁1の緑色から黄色へのはっきりした変化により、ホースの交換時期を確実に知ることができる。
【0034】
なお、ホース壁1に対して補強芯2を螺旋巻回しているので、補強芯2によって覆われた補強芯裏側付近の視認性の悪化が懸念されるが、補強芯2は無色透明であることから、補強芯2を通して補強芯裏側付近の色の変化を良好に視認することができる。さらに、補強芯2は、内側層4の外周面から離間させるようにして外側層3に設けられており、しかも補強芯2の内側半部は先細り状となっているので、補強芯2を通さなくても斜め方向から見ることで、補強芯裏側付近の色の変化を視認することができる。
【0035】
このように、上記の輸送用ホースにおいては、固定物の接触に伴ってホース壁1の内側層4の摩耗が徐々に進行していくにつれて、すなわち、ホース壁1の内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色が緑色から黄色に徐々に変化していくことから、外部からの目視によってホース壁1の色を確認するだけで、ホース壁1の内面側における一定量の摩耗を単に検知するだけでなく、その摩耗度合までも容易に検知することができる。特に、外側層3を明度の高い黄色とし、摩耗により肉厚が徐々に薄くなる内側層4を黄色よりも明度の低い青色とすることで、摩耗時におけるホース壁1の色の変化が判り易く、ホース壁1の内面側における摩耗度合を確実に検知することができる。
【0036】
このため、ホースの点検時において、ホースの交換時期を知り得ることは勿論のこと、ホース壁1の内面側の摩耗を初期段階から発見することができ、例えば次回の点検までの期間を短くして漏出事故の発生を確実に防止したり、摩耗が生じ易くなっているホースを早期に発見して、他のホースとの配置換えを適宜行うことで、配管寿命を延ばすといった対策も採り易くなっている。
【0037】
上記第1実施形態に係る輸送用ホースにおいては、各種の変更や改良を行うようにしても良い。例えば、ホース壁1の内部に、網状の補強糸を埋設して耐圧強度を高めるようにしても良い。また、ホース壁1の外側層3及び/又は内側層4に、その透光性を阻害しないように、帯電防止剤を塗布又は混入して帯電防止機能を付与しても良く、その他の機能材料を塗布又は混入しても良い。
【0038】
さらに、外側層3と内側層4の色の組み合わせは、ともに透光性を有している限り、任意に設定可能である。例えば、内側層4の色を青色に代えて赤色としても良く、この場合、ホース壁1は、そのホース軸方向の略全長に亘ってクリアな橙色を呈することになり、ホース壁1の内側層4の摩耗度合に応じて、橙色から黄色に徐々に変化していくことになる。また、外側層3を無色透明として、内側層4を各種の色としても良く、この場合、ホース壁1は、そのホース軸方向の略全長に亘って内側層4の色を呈することになり、ホース壁1の内側層4の摩耗度合に応じて、内側層4の色が徐々に薄れて無色透明に近づいていくことになる。なお、外側層3及び内側層4の色としては、黒系統の色は避けるのが望ましく、類似色同士の組み合わせも避けるのが望ましい。
【0039】
また、補強芯2を、無色透明に代えて透光性を有する有色としても良く、さらにまたホース壁1の色の変化を若干視認し難くなるが、透光性を有しないものを用いても良い。
【0040】
さらに、図2に示すように、内側層4を、色の異なる透光性を有する複数の有色層4A、4Bを積層することによって構成しても良い。この場合、ホース壁1の内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色がめりはり良く変化することになる。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る輸送用ホースは、図3に示すように、外側層3において、厚肉部3aと薄肉部3bをホース軸方向に交互に連続させるとともに、内側層4において、肉厚をホース軸方向の略全長に亘って略一定としている。なお、補強芯2は、そのホース径方向の断面形状が略四角形とされている。
【0042】
外側層3の厚肉部3a及び薄肉部3bは、いずれも内側層4の外周面に沿って螺旋状に連続して形成されており、厚肉部3aは補強芯2に沿って配され、薄肉部3bは補強芯2によって押さえ付けられた状態となっている。従って、ホース壁1としては、全体的にはクリアな緑色を呈しているものの、外側層3の厚肉部3aと薄肉部3bとの黄色の濃淡の違いによる螺旋状の模様が浮かび上がって、全体的にグラデーションが付与された状態となっている。
【0043】
これにより、固形物の接触に伴うホース壁1の内側層4の摩耗度合を、外部からの目視だけで容易に検知することができるだけでなく、ホース壁1のグラデーションによって、ホースの意匠性を高めることができる。
【0044】
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、図3において、第1実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。また、第1実施形態における各種の変更や改良を、上記の輸送用ホースに対して適宜採用しても良い。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る輸送用ホースは、図4に示すように、ホース壁1の外側層3の内部に、補強芯2がホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回されている。なお、補強芯2は、そのホース径方向の断面形状がホース軸方向に長い略楕円形とされている。この場合、ホース壁1において、埋設した補強芯2による螺旋状の模様が浮かび上がって、全体的にグラデーションが付与された状態となっている。
【0046】
これにより、固形物の接触に伴うホース壁1の内側層4の摩耗度合を、外部からの目視だけで容易に検知することができるだけでなく、ホース壁1のグラデーションによって、ホースの意匠性を高めることができる。
【0047】
変形例として、図5に示すように、ホース壁1の内側層4の内部に、補強芯2をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回しても良い。なお、補強芯2は、そのホース径方向の断面形状が略円形とされている。この場合も、ホース壁1において、埋設した補強芯2による螺旋状の模様が浮かび上がって、全体的にグラデーションが付与された状態となる。
【0048】
また、図6に示すように、ホース壁1における外側層3と内側層4との間に、補強芯2をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回して、ホース壁1の外周面に、ホース軸方向に交互に連続する凹凸を形成しても良い。なお、補強芯2は、そのホース径方向の断面形状が略円形とされている。この場合も、ホース壁1において、埋設した補強芯2による螺旋状の模様が浮かび上がって、全体的にグラデーションが付与された状態となる。
【0049】
さらに、図7に示すように、ホース壁1の外側層3の内部に、補強芯2をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回して、ホース壁1の内外周面に、ホース軸方向に交互に連続する凹凸を形成しても良い。なお、補強芯2は、その外側半部のホース径方向の断面形状が略半円形とされ、内側半部のホース径方向の断面形状が略三角形とされ、全体としてホース径方向の断面形状が略扇形とされている。この場合も、ホース壁1において、埋設した補強芯2による螺旋状の模様が浮かび上がって、全体的にグラデーションが付与された状態となる。しかも、ホース壁1の内周面に凹凸が形成されているので、ストリーマーを起こし難くして、ホース壁1内を流れるプラスチックペレットのホース壁1の内周面へのこびり付きを抑えることができる。
【0050】
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、図4、図5、図6、図7において、第1実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。また、第1実施形態における変更や改良を、上記の輸送用ホースに対して適宜採用しても良い。
【0051】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、この発明の輸送用ホースは、プラスチックペレットを輸送するためのものだけに限らず、食品、工業用部品、各種の粒体や粉体等のような他の固形物、さらには土砂等を含む水、生コンクリート等のような各種の流動物を輸送するためのものであっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1・・ホース壁、2・・補強芯、3・・外側層、3a・・厚肉部、3b・・薄肉部、4・・内側層、4A、4B・・有色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物や流動物を輸送するための輸送用ホースであって、透光性を有する外側層(3)と、この外側層(3)とは色の異なる着色を施した透光性を有する内側層(4)とを積層してなる合成樹脂製のホース壁(1)を備え、前記固形物や流動物の接触に伴う前記内側層(4)の摩耗度合に応じて、前記ホース壁(1)の色が変化することを特徴とする摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項2】
前記外側層(3)に、着色を施した請求項1記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項3】
前記外側層(3)の色を黄系統とし、前記内側層(4)の色を青系統又は赤系統とした請求項2記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項4】
前記内側層(4)は、色の異なる透光性を有する複数の有色層(4A)(4B)を積層してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項5】
前記外側層(3)又は内側層(4)の少なくとも一方において、厚肉部(3a)と薄肉部(3b)をホース軸方向に交互に連続させるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項6】
前記ホース壁(1)に、補強芯(2)をホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回した請求項1乃至5のいずれかに記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項7】
前記外側層(3)に、前記内側層(4)の外周面から離間させるようにして前記補強芯(2)を設けた請求項6記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項8】
前記補強芯(2)は、透光性を有している請求項6又は7記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項9】
前記補強芯(2)の内側半部を、ホース中心に向けて先細り状とした請求項6乃至8のいずれかに記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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