説明

摺洗具

【課題】接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供する。
【解決手段】この発明の摺洗具1は、繊維束植設基片2と、該繊維束植設基片2の表面に植設された複数の繊維束6からなるブラシ部材5と、ブラシ部材5及び繊維束植設基片2の外周側面を被覆するように配置された軟質部材4と、可撓性結束帯3とを備え、軟質部材4の外周面におけるブラシ部材5を被覆した領域または繊維束植設基片2を被覆した領域に可撓性結束帯3が巻き付けられて該可撓性結束帯3の両端部同士が連結されることによって軟質部材4が可撓性結束帯3によりブラシ部材5または繊維束植設基片2に結束固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の各種容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられる摺洗具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の摺洗具としては、基板の片面に複数の繊維束からなるブラシ部材と共にスポンジを設けた構成のものが公知である(特許文献1参照)。このような構成を採用すると、スポンジにより摺洗時の泡立ちを良くすることができると共に泡持ちも良くなるので、摺洗能力に優れたものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3030815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の摺洗具では、接着剤を用いた接合を行うものであるから、時間を要する乾燥工程が必要となり、生産性が悪いという問題もあった。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記ブラシ部材の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記ブラシ部材を被覆した軟質部材の外周面に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記ブラシ部材に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【0008】
[2]繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記繊維束植設基片の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記繊維束植設基片を被覆した軟質部材の外周面に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記繊維束植設基片に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【0009】
[3]繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記ブラシ部材の側面の少なくとも一部及び前記繊維束植設基片の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記軟質部材の外周面における前記ブラシ部材を被覆した領域または前記繊維束植設基片を被覆した領域に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記ブラシ部材または前記繊維束植設基片に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【0010】
[4]前記繊維束植設基片の側面に結束帯受容溝が形成され、該結束帯受容溝と前記可撓性結束帯との間に前記軟質部材の一部が挟み付けられると共に前記結束帯受容溝内に前記可撓性結束帯の少なくとも一部が嵌まり込んだ状態になっている前項2または3に記載の摺洗具。
【0011】
[5]前記軟質部材は、スポンジからなる軟質シートの片面に不織布シートが積層されたものからなり、前記被覆状態において、前記軟質シートが内側に配置され、前記不織布シートが外側に配置されている前項1〜4のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0012】
[6]前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている前項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0013】
[7]前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる前項6に記載の摺洗具。
【0014】
[8]前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている前項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0015】
[9]前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる前項8に記載の摺洗具。
【発明の効果】
【0016】
[1]の発明では、ブラシ部材を被覆した軟質部材の外周面に可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって軟質部材が可撓性結束帯によりブラシ部材に結束固定されているから、ブラシ部材に対して軟質部材が強固に固定される。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、可撓性結束帯を用いて結束するだけで軟質部材をブラシ部材に固定できるので、固定操作が非常に容易である。また、ブラシ部材の外周側面が軟質部材で被覆されているから、摺洗時にブラシ部材によって水が周囲に飛び散る水跳ね現象を十分に防止できる。また、軟質部材を備えているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが良い。また、ブラシ部材を備えているから、軟質部材では摺洗し難い汚れも摺洗除去することができる。
【0017】
なお、[1]の発明において、軟質部材は、ブラシ部材の側面の全部を被覆するように配置されるのが好ましい。
【0018】
[2]の発明では、繊維束植設基片を被覆した軟質部材の外周面に可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって軟質部材が可撓性結束帯により繊維束植設基片に結束固定されているから、繊維束植設基片に対して軟質部材が強固に固定される。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、可撓性結束帯を用いて結束するだけで軟質部材を繊維束植設基片に固定できるので、固定操作が非常に容易である。また、繊維束植設基片の外周側面が軟質部材で被覆されているから、摺洗時に繊維束植設基片が被洗浄物(容器等)などに接触しても該被洗浄物を傷つけることもない。また、軟質部材を備えているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが良い。また、ブラシ部材を備えているから、軟質部材では摺洗し難い汚れも摺洗除去することができる。
【0019】
なお、[2]の発明において、軟質部材は、繊維束植設基片の側面の全部を被覆するように配置されるのが好ましい。
【0020】
[3]の発明では、軟質部材の外周面におけるブラシ部材を被覆した領域またはブラシ部材を被覆した領域に可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって軟質部材が可撓性結束帯によりブラシ部材または繊維束植設基片に結束固定されているから、ブラシ部材または繊維束植設基片に対して軟質部材が強固に固定される。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、可撓性結束帯を用いて結束するだけで軟質部材をブラシ部材又は繊維束植設基片に固定できるので、固定操作が非常に容易である。また、ブラシ部材の外周側面が軟質部材で被覆されているから、摺洗時にブラシ部材によって水が周囲に飛び散る水跳ね現象を十分に防止できる。また、繊維束植設基片の外周側面も軟質部材で被覆されているから、摺洗時に繊維束植設基片が被洗浄物(容器等)などに接触しても該被洗浄物を傷つけることもない。また、軟質部材を備えているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが良い。また、ブラシ部材を備えているから、軟質部材では摺洗し難い汚れも摺洗除去することができる。
【0021】
なお、[3]の発明において、軟質部材は、ブラシ部材の側面の全部及び繊維束植設基片の側面の全部を被覆するように配置されるのが好ましい。
【0022】
[4]の発明では、繊維束植設基片の結束帯受容溝と可撓性結束帯との間に軟質部材の一部が挟み付けられると共に結束帯受容溝内に可撓性結束帯の少なくとも一部が嵌まり込んだ構成が採用されているから、軟質部材を結束している可撓性結束帯がずれ移動等することがなくて結束固定状態が安定し、従って繊維束植設基片に対して軟質部材がより強固に固定されたものとなる。
【0023】
[5]の発明では、軟質部材は、スポンジからなる軟質シートの片面に不織布シートが積層されたものからなり、前記被覆状態において、軟質シートが内側に配置され、不織布シートが外側に配置されているから、摺洗効果をさらに向上させることができる。
【0024】
[6]の発明では、軟質部材として保水性の軟質部材が用いられているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが非常に良くて摺洗能力をより高めることができる。
【0025】
[7]の発明では、保水性軟質部材が、スポンジ又は布材からなる構成が採用されているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちがより一層良くなる。
【0026】
[8]の発明では、軟質部材として非保水性の弾性部材が用いられているから、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0027】
[9]の発明では、非保水性の弾性部材が、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる構成が採用されているから、強固に付着した汚れでも十分に掻き落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る摺洗具の第1実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図である。
【図2】図1(イ)におけるA−A線の断面図である。
【図3】図1(ロ)におけるB−B線の断面図である。
【図4】図1で用いた繊維束植設基片を示す斜視図である。
【図5】図1で用いた軟質部材を示す斜視図である。
【図6】図1で用いた可撓性結束帯を示す図であって、(イ)は上面図、(ロ)は(イ)におけるV−V線の断面図である。
【図7】この発明に係る摺洗具の第2実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
【図8】図7(ロ)におけるX−X線の断面図である。
【図9】図7で用いた繊維束植設基片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明に係る摺洗具1の一実施形態(第1実施形態)を図1に示す。この摺洗具1は、繊維束植設基片2と、可撓性結束帯3と、軟質部材4と、ブラシ部材5とを備えてなる。
【0030】
前記繊維束植設基片2は、図4に示すように、平面視略楕円形状の合成樹脂製板状体からなる。前記繊維束植設基片2の片面(正面)に繊維束を植設するための植設孔16が多数形成されている。前記繊維束植設基片2の周側面にその全周にわたって結束帯受容溝17が形成されている。また、前記繊維束植設基片2の背面の中央部に合成樹脂製長尺部材からなる柄18の一端部が接合されている(図1〜4参照)。
【0031】
前記繊維束植設基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記ブラシ部材5が構成されている(図1、2参照)。
【0032】
前記可撓性結束帯3は、図6に示すように、長尺の合成樹脂製略帯状体からなる。前記可撓性結束帯3は、その一端部(先端部)3aが先端側に向けて尖った先鋭形状に形成される一方、その他端部(基端部)3bに外形形状が略直方体形状の連結部21が設けられている。前記連結部21は、その内部が、下面及び上面が外部と連通された空洞になっており、該連結部21の一端側の内壁面から内方に向けて係止部22が突設されて、該係止部22と他端側の内壁面との間に挿入用空間23が設けられている。前記係止部22における前記挿入用空間23と向き合う側面には複数の係止突起24が突設されている。また、前記可撓性結束帯3の下面の中間領域には前記係止突起24と係合し得る係止凹部25が多数個形成されている(図6参照)。
【0033】
前記軟質部材4は、図5に示すように、スポンジからなる軟質シート4bの片面に不織布シート4aが貼合されたものからなる。この軟質部材4は、図1、2に示すように、前記繊維束植設基片2の周側面の全周及びブラシ部材5の周側面の全周を被覆するように配置されている。また、前記軟質部材4は、前記繊維束植設基片2の周側面の全面及びブラシ部材5の周側面の全面を被覆するように配置されている(図1、2参照)。前記被覆状態において、前記軟質シート4bが内側に配置され、前記不織布シート4aが外側に配置されている。前記軟質部材4の先端(正面側の先端)は、前記ブラシ部材5の先端と同一の高さである(図2参照)。
【0034】
前記軟質部材4の外周面における前記繊維束植設基片2を被覆した領域に前記可撓性結束帯3が巻き付けられて該可撓性結束帯3の両端部同士が連結されることによって軟質部材4が可撓性結束帯3により繊維束植設基片2に結束固定されている(図1(ロ)、図2、図3参照)。前記可撓性結束帯3による軟質部材4の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図3に示すように、前記可撓性結束帯3と前記繊維束植設基片2の周側面の結束帯受容溝17の底面との間に前記軟質部材4が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3の一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に内側から外側に向けて挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3の係止凹部25を係合せしめて連結することによって、前記繊維束植設基片2の結束帯受容溝17内に前記可撓性結束帯3の少なくとも一部が嵌まり込んだ状態になって(図2参照)前記軟質部材4が可撓性結束帯3により繊維束植設基片2に結束固定されている。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3の連結部21から外方に飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている(図3参照)。
【0035】
前記可撓性結束帯3による軟質部材4の結束固定状態において、可撓性結束帯3は、軟質部材4の外周面から外方に突出しないものとなっているから、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図1〜3参照)。
【0036】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第2実施形態)を図7に示す。この摺洗具1は、繊維束植設基片2と、可撓性結束帯3C、3Dと、軟質部材4、60と、ブラシ部材5とを備えてなる。
【0037】
前記可撓性結束帯3C、3Dの構成は、前述した第1実施形態の可撓性結束帯と同一であるので(図6参照)、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0038】
前記繊維束植設基片2は、図9に示すように、平面視略円形状の合成樹脂製板状体からなる。前記繊維束植設基片2の一方の面(上面)に繊維束を植設するための植設孔36が多数形成されている。前記繊維束植設基片2の周側面にその全周にわたって結束帯受容溝37が形成されている。また、前記繊維束植設基片2の周側面の一部に略L字状の合成樹脂製部材からなる柄38の一端部が接合されている(図7〜9参照)。
【0039】
前記繊維束植設基片2の各植設孔36にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記ブラシ部材5が構成されている(図7、8参照)。
【0040】
前記軟質部材4は、前述した第1実施形態の軟質部材と同様の構成であり、スポンジからなる軟質シート4bの片面に不織布シート4aが貼合されたものからなる(図5参照)。この軟質部材4は、図7、8に示すように、前記繊維束植設基片2の周側面及びブラシ部材5の周側面を被覆するように配置されている。前記被覆状態において、前記軟質シート4bが内側に配置され、前記不織布シート4aが外側に配置されている。前記軟質部材4の先端は、前記ブラシ部材5の先端と同一の高さである(図8参照)。
【0041】
前記軟質部材4の外周面における前記繊維束植設基片2を被覆した領域に前記可撓性結束帯3Cが巻き付けられて該可撓性結束帯3Cの両端部同士が連結されることによって軟質部材4が可撓性結束帯3Cにより繊維束植設基片2に結束固定されている(図7(ロ)、図8参照)。前記可撓性結束帯3Cによる軟質部材4の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図8に示すように、前記可撓性結束帯3Cと前記繊維束植設基片2の周側面の結束帯受容溝37の底面との間に前記軟質部材4の一部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3Cの一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に内側から外側に向けて挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3Cの係止凹部25を係合せしめて連結する(図3と同様の連結構造である)ことによって、前記繊維束植設基片2の結束帯受容溝17内に前記可撓性結束帯3Cの少なくとも一部が嵌まり込んだ状態になって(図8参照)前記軟質部材4が可撓性結束帯3Cにより繊維束植設基片2に結束固定されている。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3Cの連結部21から外方に飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている。
【0042】
前記可撓性結束帯3Cによる軟質部材4の結束固定状態において、可撓性結束帯3Cは、軟質部材4の外周面から外方に突出しないものとなっているから、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図7(イ)、図8参照)。
【0043】
この第2実施形態の摺洗具1では、更に次のような構成も備えている。即ち、前記繊維束植設基片2における前記植設孔36が形成された植設面(前面)に溝50が形成されている。前記溝50は、前記繊維束植設基片2の周側面に到達しない態様で形成されている。前記繊維束植設基片2の背面(非植設面)に、前記溝50の内部空間における長さ方向の両端側の位置と連通する貫通孔51、52が形成されている(図8、9参照)。
【0044】
前記繊維束植設基片2の背面に、前記一対の貫通孔51、52を繋ぐ背面溝53が形成されている(図8参照)。即ち、前記繊維束植設基片2の背面における、前記溝50の形成位置と略対応する位置に背面溝53が形成されている。前記背面溝53の一端と前記一方の貫通孔51は連通しており、前記背面溝53の他端と前記他方の貫通孔52は連通している(図8参照)。
【0045】
前記軟質部材60は、板状の軟質部材からなり、図7、8に示すように、その長さ方向の中間部67で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記軟質部材60は、その長さ方向の中間部67が前記可撓性結束帯3Dにより前記繊維束植設基片2の溝50内に引き込まれた状態で結束固定されることによって前記中間部67で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記軟質部材60の2つ折りの両半体61、62が前記繊維束植設基片2の前面(植設面)から略垂直状に立ち上がった状態になっている。前記可撓性結束帯3Dによる軟質部材60の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図8に示すように、前記繊維束植設基片2の一方の貫通孔51に背面側から挿通され、更に他方の貫通孔52に前面側から挿通されて前面側(植設面側)に配置された可撓性結束帯3Dと、前記溝の底面50aとの間に前記軟質部材60の長さ方向の中間部67が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3Dの一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3の係止凹部25を係合せしめて連結することによって、前記軟質部材60の中間部67が可撓性結束帯3Dにより繊維束植設基片2の溝50内に引き込まれた状態で結束固定されている(図8参照)。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3Dの連結部21から飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている(図8参照)。
【0046】
前記可撓性結束帯3Dによる軟質部材60の結束固定状態において、可撓性結束帯3Dは繊維束植設基片2の背面の背面溝53に嵌まり込んでおり該背面から可撓性結束帯3Dが外方に突出しないものとなっている(図8参照)。
【0047】
また、前記可撓性結束帯3Dによる軟質部材60の結束固定状態において、可撓性結束帯3Dの連結部21は、軟質部材60の2つ折りの両半体61、62間に配置されているので、即ちこれら一対の半体61、62の間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図7(ロ)、図8参照)。
【0048】
この発明において、前記軟質部材4、60としては、特に限定されるものではないが、保水性の軟質部材が好適である。保水性の軟質部材を用いる場合には、摺洗時の泡立ち及び泡持ちをより良くさせることができる。前記保水性の軟質部材としては、特に限定されるものではないが、スポンジ又は布材(不織布等)を用いるのが好ましい。前記スポンジの構成素材としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂、ゴム、天然素材(ヘチマ等)などが挙げられる。
【0049】
また、前記軟質部材4、60としては、ゴム、熱可塑性エラストマー等で形成された非保水性の弾性部材を用いても良い。前記非保水性の弾性部材を用いる場合には、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0050】
また、前記軟質部材4、60としては、ウレタン製スポンジからなる軟質シートの片面にナイロン製不織布シートが積層されてなる軟質部材を用いるのが好ましく、この場合には効率良く摺洗することができる。
【0051】
上記実施形態では、前記軟質部材4、60として板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【0052】
また、上記実施形態では、前記繊維束植設基片2として略板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、前記可撓性結束帯3、3C、3Dとして、一方の端部に設けられた連結部21の内部空間に係止突起24が形成された可撓性結束帯であって該結束帯の下面に前記係止突起24と係合し得る係止凹部25が形成されてなるもの(図6参照)を用いているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、前記軟質部材4、60を結束固定できるものであればどのような構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明に係る摺洗具は、例えば、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1…摺洗具
2…繊維束植設基片
3…可撓性結束帯
4…軟質部材
5…ブラシ部材
6…繊維束
17、37…結束帯受容溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記ブラシ部材の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記ブラシ部材を被覆した軟質部材の外周面に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記ブラシ部材に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【請求項2】
繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記繊維束植設基片の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記繊維束植設基片を被覆した軟質部材の外周面に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記繊維束植設基片に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【請求項3】
繊維束植設基片と、
前記繊維束植設基片の表面の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなるブラシ部材と、
前記ブラシ部材の側面の少なくとも一部及び前記繊維束植設基片の側面の少なくとも一部を被覆するように配置された軟質部材と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記軟質部材の外周面における前記ブラシ部材を被覆した領域または前記繊維束植設基片を被覆した領域に前記可撓性結束帯が巻き付けられて該可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記軟質部材が前記可撓性結束帯により前記ブラシ部材または前記繊維束植設基片に結束固定されていることを特徴とする摺洗具。
【請求項4】
前記繊維束植設基片の側面に結束帯受容溝が形成され、該結束帯受容溝と前記可撓性結束帯との間に前記軟質部材の一部が挟み付けられると共に前記結束帯受容溝内に前記可撓性結束帯の少なくとも一部が嵌まり込んだ状態になっている請求項2または3に記載の摺洗具。
【請求項5】
前記軟質部材は、スポンジからなる軟質シートの片面に不織布シートが積層されたものからなり、前記被覆状態において、前記軟質シートが内側に配置され、前記不織布シートが外側に配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項6】
前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項7】
前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる請求項6に記載の摺洗具。
【請求項8】
前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項9】
前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる請求項8に記載の摺洗具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−55874(P2011−55874A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205668(P2009−205668)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(391042405)株式会社まめいた (13)
【Fターム(参考)】