撮像システムのための局部コイル並びに局部コイルを備えている撮像システムにおける磁場をシミング及び/又は均一化するための方法
【課題】撮像システムの撮像を効果的に最適化する。
【解決手段】局部コイル106が複数のシムコイルを有しており、複数のシムコイルの内の一方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルの内の他方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルにおいてそれぞれシム磁場を形成するための電流を相互に独立してオン及びオフ可能である。
【解決手段】局部コイル106が複数のシムコイルを有しており、複数のシムコイルの内の一方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルの内の他方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルにおいてそれぞれシム磁場を形成するための電流を相互に独立してオン及びオフ可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムのための局部コイル並びに局部コイルを備えている撮像システムにおける磁場をシミング及び/又は均一化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気共鳴断層撮影法(MRT)によって患者を診断するための磁気共鳴断層撮影装置は、例えば特許文献1から公知である。
【0003】
シムは以下の非特許文献1から4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE10314215B4
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Christoph Juchem et al: Magnetic field homogenization of the human prefrontal cortex with a set of localized electri-cal coils, Journal of Magnetic Resonance Imaging, MRM, 63: 171-180, 2010
【非特許文献2】GH Glover et al: Mitigation of susceptibility induced signai los in neuroimaging using localized shim coils, MRM 2005, 243-248
【非特許文献3】R. Cusack et al: AN evaluation of the use of passive shimming to improve .... Neuroimage 2005; 24, 82-91
【非特許文献4】JL Wilson et al: Utilization of an intra-oral diamagnetic passive shim in functional MRI of the inferior frontal cortex; MRM 2003, 50, 1089-1094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、撮像システムの撮像を効果的に最適化することである。
【0007】
この課題は、局部コイルが複数のシムコイルを有しており、複数のシムコイルの内の一方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルの内の他方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルにおいてそれぞれシム磁場を形成するための電流を相互に独立してオン及びオフ可能であることによって解決される。
【0008】
またこの課題は、局部コイルにおいて、シム電圧及び/又はシム電流を、磁気共鳴断層撮影装置の飽和パルスの間にのみ局部コイル内のシムコイルに印加することによって解決される。
【0009】
有利な実施の形態は、従属請求項及び下記の説明より明らかになる。
【0010】
本発明の一つの態様は、例えば、有利には既存のコイルインタフェースを用いても機能することができる複数の局部コイル内の適応型のシムコイルである。
【0011】
更には、シムコイルを実施するための特別な幾何学配置の他に、シムがTXパルスの間にのみ使用されることによって、非常に経済的に損失電力を回避する、動的シム方法が提案される。
【0012】
本発明の考えられる実施の形態の別の特徴及び利点は、図面に基づいた複数の実施例の以下の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】患者及び本発明による頭部コイルの縦断側面図を示す。
【図2】z方向において相前後して設けられており、且つ相互に接続されている、局部コイルのシムコイルのほぼ矩形の導体の平面図を示す。
【図3】z方向において相前後して設けられており、且つ相互に接続されており、また頸部の箇所において湾曲している、局部コイルのシムコイルのほぼ矩形の導体の平面図を示す。
【図4】電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してスイッチオン可能である、局部コイルの二つのシムコイルの導体の平面図を示す。
【図5】一方のシムコイルが他方のシムコイルの内側に設けられている、電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してスイッチオン可能である、局部コイルの二つのシムコイルの導体の側面図を左側に示し、平面図を右側に示す。
【図6】シムコイルの導体相互の間隔の例を示す。
【図7】電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してオンされる、局部コイルの二つのシムコイルのダイオード及び抵抗を介する電圧源及び/又は電流源への接続形態を示す。
【図8】分離コイル備えた局部コイルのシムコイルの勾配システムからの分離形態を示す。
【図9】シムコイルを備えた局部コイルの斜視図を示す。
【図10】シミングされた局部コイルの領域におけるシム磁場カーブを示す。
【図11】MRTシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図11は、ここでは管状の空間103が設けられている全身コイル102を備えている(特に背景技術としてのものであり、また遮蔽された空間又はファラデーケージF内に設けられている)磁気共鳴断層撮影装置(以下ではMRT装置と記す)101を示す。例えば被検体(例えば患者)105の身体が横たわっている(局部コイル装置106を備えている、又は局部コイル装置106を備えていない)治療台104を矢印zの方向において管状の空間103内へと移動させ、撮像方法によって患者105の画像を生成することができる。ここでは患者の上に局部コイル装置106が配置されており、この局部コイル装置106を用いてMRT装置101の局部領域(field of view又は略してFoVとも称する)において、この局部領域内の患者105の身体の部分領域の画像を生成することができる。例えば同軸ケーブル又は無線167等を介して局部コイル装置106に接続することができる、MRT装置101の評価装置(168,115,117,119,120,121等)によって局部コイル装置106の信号を評価することができる(例えば画像への変換、記憶又は表示を行うことができる)。
【0015】
MRT装置101を用いて、磁気共鳴断層撮影により(被検体又は患者105の)身体を検査するために、時間的及び空間的な特性について最も正確に相互に調整された種々の磁界が患者105の身体に照射される。ここではトンネル状の開口部を備えている測定キャビン内、即ち管状空間103内の強い磁石(クライオマグネット107であることが多い)は、例えば0.2テスラから3テスラ又はそれより高い値を有する、静的な強い主磁界B0を形成する。検査される患者105の身体は治療台104に横たわり、考察すべき部分領域において主磁界B0がほぼ均一である領域内を移動する。身体の原子核の核スピンの励起は磁気高周波励起パルスB1(x,y,z,t)を介して行われ、この磁気高周波励起パルスB1はここでは(例えば複数のパーツ108a,108b,108cから成る)ボディコイルとして非常に簡略的に示されている高周波アンテナ108(及び/又は必要に応じて局部コイル装置)を介して照射される。高周波励起パルスは例えばパルス形成ユニット109によって形成され、このパルス形成ユニット109はパルス列制御ユニット110によって制御される。高周波増幅器111による増幅後に、高周波励起パルスは高周波アンテナ108へと供給される。ここに図示されている高周波システムは単に概略的に示されたものに過ぎない。二つ以上のパルス形成ユニット109、二つ以上の高周波増幅器111及び複数の高周波アンテナ108a,108b,108cがMRT装置101において使用されることも多い。
【0016】
更に、MRT装置101は勾配コイル112x,112y,112zを備えており、それらの勾配コイル112x,112y,112zを用いることにより、測定時には選択的なスライス励起及び測定信号の位置コーディングのために勾配磁場が放射される。勾配コイル112x,112y,112zは勾配コイル制御ユニット114によって制御される。この勾配コイル制御ユニット114はパルス形成ユニット109と同様にパルス列制御ユニット110に接続されている。
【0017】
(被検体の原子核の)励起された核スピンに由来する信号は、ボディコイル108及び/又は少なくとも一つの局部コイル装置106によって受信され、対応付けられている高周波増幅器116によって増幅され、受信ユニット117によって更に処理され、またディジタル化される。記録された測定データはディジタル化され、複素数としてk空間(k-space)マトリクスに格納される。値で満たされたk空間マトリクスから、多次元フーリエ変換により所属の磁気共鳴画像を再構成することができる。
【0018】
例えばボディコイル108又は局部コイル106のような、送信モードでも受信モードでも動作することができるコイルに関して、正確な信号転送は前段に接続されている送信・受信スイッチ118によって制御される。
【0019】
画像処理ユニット119は測定データから画像を形成し、この画像は操作コンソール120を介してユーザに表示される、及び/又は、記憶ユニット121に記憶される。中央計算ユニット122は個々のシステムコンポーネントを制御する。
【0020】
磁気共鳴断層撮影法においては、高い信号対雑音比(SNR)を有する画像が、今日では通常の場合、いわゆる局部コイル装置(Coil,Local Coil)によって記録される。それらの局部コイル装置は、身体の上方(anterior)又は下方(posterior)又は表面又は内側の非常に近傍に取り付けられるアンテナシステムである。磁気共鳴断層撮影法による測定においては、励起された核が局部コイルの個々のアンテナに電圧を励起し、この電圧が続けてローノイズプリアンプ(例えばLNA,プリアンプ)によって増幅され、最後に受信電子装置へと転送される。高解像度の画像においても信号対雑音比を改善するために、いわゆる高磁界システム(1.5T−1.2T又はそれ以上)が使用される。磁気共鳴受信システムに受信器として設けられている複数の個別アンテナを接続できる場合には、受信アンテナと受信器との間に例えばスイッチングマトリクス(RCCSとも称される)が組み込まれる。このスイッチングマトリクスはその時点においてアクティブな受信チャネル(大抵の場合は磁石の視野FoV内に目下存在している受信チャネル)を既存の受信器にルーティングする。全身をカバーする場合には、視野FoV内又は磁石の均一ボリューム内に存在しているコイルのみが読み出されれば良いので、これによって、受信器として設けられている複数のコイル素子を接続することができる。
【0021】
一般的に、例えば一つのアンテナ素子(特にコイル素子)から構成することができるか、又は、複数のアンテナ素子(特にコイル素子)から成るアレイコイルとして構成することができるアンテナシステムが局部コイル装置106と称される。それらの個々のアンテナ素子は例えばループアンテナ(Loops)、バタフライアンテナ、フレックスコイル(Flex coil)又はサドルコイルとして実施されている。局部コイル装置は例えば複数のコイル素子、プリアンプ、別の電子装置(シース電流シールド等)、ケーシング、台、並びに、大抵の場合、MRT装置が接続されるコネクタを備えているケーブルを含んでいる。システム側に取り付けられている受信器168は、局部コイル106から例えば無線等によって受信された信号をフィルタリング及びディジタル化し、データをディジタル信号処理装置に転送する。このディジタル信号処理装置は、測定により得られたデータから大抵の場合は画像を導出するか、又はスペクトルを導出し、ユーザによる後の診断及び/又は記憶のためにユーザに提供する。
【0022】
図1から図10は、一つ又は複数の局部シムコイルを備えている、本発明による局部コイル106の複数の実施例を示す。
【0023】
磁気共鳴断層撮影法においては、高い信号対雑音比(SNR)を有する画像が、今日では通常の場合、いわゆる局部コイル装置(Coil,Local Coil)によって記録される。それらの局部コイル装置は、患者の上方(anterior)又は下方(posterior)の近傍に取り付けられるアンテナシステムである。磁気共鳴断層撮影法による測定においては、励起された核が局部コイルの個々のアンテナに電圧を励起し、この電圧が続けてローノイズプリアンプ(LNA,プリアンプ)によって増幅され、最後に有線式に受信電子装置へと転送される。高解像度の画像においても信号対雑音比を改善するために、いわゆる高磁界システム(1.5T−1.2T又はそれ以上)が使用される。
【0024】
多くの臨床MRT用途においては、B0基本磁場の均一性が重要である。均一ではない場合には、アーチファクト又は歪みが生じるか、又はFatSATのような所定の用途がもはや機能しない可能性がある。FatSATは、脂肪周波数での強い送信パルス(飽和パルス)によって脂肪組織の信号をフィルタリングするために、脂肪と結合した陽子の周波数シフトが利用される技術である。水分内の陽子周波数と脂肪内の陽子周波数との差は小さく(基本磁場の数ppm)、またこの技術は基本磁場の空間的な均一性に依存している。これは今日では、既に0.5ppmまでの差でもって約30cm×30cm×30cmの容積に対して達成することができる。
【0025】
例えば、頸部の領域においては、身体組織の磁化率(mu_r)の空間的な不均一な分布に起因して、B0基本磁場のひずみが生じる可能性がある。これを部分的に、MRTシステム内に組み込まれているいわゆるシムコイルによって補正することができる。
【0026】
このシムコイルの使用における問題は、例えば最適状態には及ばない脂肪飽和である。このことは、脂肪飽和が脂肪組織を遮蔽すべきにもかかわらず、例えば頸部の領域における脂肪組織が従前通り画像内では明るく照らされているように見えることを意味している。このことは、局所的なB0変動によってその種の脂肪組織が期待される共振周波数を有していないことによって惹起される可能性がある。脂肪組織のスピンを完全に除去すべき飽和パルスではこのスピンに届かない。何故ならば、その共振周波数とは異なっているからである。
【0027】
本発明は、既存のMR(磁気共鳴)装置における技術的な実施を効果的に実現する(この既存のMR装置においては、例えば通常の場合、局部コイル内のシムコイルのための付加的な給電部は存在しない)。
【0028】
本発明は、例えば空間的な構造及び強度に関するシム磁場の特別な定義を可能にする。
【0029】
勾配システム部によって誘導される電流を可能な限り小さく維持するために、勾配システムを分離すること以外に、抵抗を挿入することによる電流制限が有利になる。
【0030】
大きいメーカの今日のMRスキャナにおける局部コイルインタフェースは、(従来のシムコイルの電源のように)シムコイルを流れる電流、即ち、コイルによって形成される磁場の強度を変化させるインタフェースを有していないので、ここでもまた複数のコイルを使用し、それらのコイルの磁場を相互に強めある又は弱めあうように重畳させることが提案される。シム磁場はこの場合、種々のコイルの磁場の和から形成されるので、各導体の適切な空間的な間隔を有する複数のコイルを使用することによって、更には、シム磁場の強度だけでなく、シム磁場の形も変化させることができる。このことは、特に色々な患者への磁場の適合にとって有用である。ここでは頸部の領域に関してシムコイルの考えられる複数の実施の形態が図示されているが、それらの実施の形態の幾何学的な形状も決定的な役割を果たす。
【0031】
コイルインタフェースには、今日では主として、コイル電子装置のための電圧(典型的には3Vから10V)及びPINダイオードのための切換え信号が供給される。切換え信号は大抵の場合、二つの状態、即ち負の電圧と正の電圧の切換えを行なう。ジーメンスにおいては−30Vの電圧から+100mAの電流への切換えが行なわれる。更には、+10mAの電流を有する中間状態も実現することができる。PINダイオードのための電流源の使用は、シムコイル電流源としての使用にとって好適である。何故ならば、電流はMRシステム自体によって制御されるからである。シムコイルのための給電部として電圧源(−30V)が使用される場合、公差(10%未満)はシムコイル電流源としての使用に関しては許容できる。
【0032】
所要電力及び放熱を低減するために、LCシムをMRシステムの送信フェーズの間にのみ駆動させることが提案される。化学的なシフトを基礎とするFatSATに関してはこれで十分である。これによって本明細書からは、回路技術的及び構造的な請求項の他に、飽和パルスの間にのみ局所的なシム電流を適用する方法の請求項も生じる。
【0033】
固有の分離コイル(特に、相互に直交する各空間方向に関して3つまでのコイル)によって勾配システムを分離する他に、抵抗の直列回路によって勾配誘導電流を低減することが可能である(5オームから500オーム)。この抵抗における電力消費量を、上述したように送信フェーズの間にのみシム電流を印加することによって、デューティ比TX/TRに応じて大幅に低減することができる(係数10−100)。
【0034】
図1には、本発明による(頸部−頭部)局部コイル106の実施例が示されており、この局部コイル106を患者105の頭部K及び頸部Nの上に例えばヘルメットのように被せることができる。
【0035】
局部コイル106は、それぞれが複数の導体L1a,L1b,L1c,L1d乃至L2a,L2b,L2c,L2dを備えている複数の(ここでは二つの)シムコイルLS1,LS2を有しており、(電流源及び/又は電圧源又はエネルギ源SV1,SV2によって電流I1乃至I2が流される、及び/又は、電圧が印加されると)それらのシムコイルによってそれぞれシム磁場BS1乃至BS2を形成し、患者105の頸部Nの領域において磁場(特にB0磁場)を均一化し、それによって画像品質を改善することができる。
【0036】
シムコイルLS1のための電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1を、シムコイルLS2のための電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV2に依存せずに、(それぞれのシムコイルに電流/電圧を印加するために)オン・オフできる。
【0037】
ここでは、電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1,SV2が、別の目的のための局部コイル内に設けられている電流源及び/又は電圧源である。
【0038】
図2では、本発明による局部コイル106の実施例において、シムコイルLS1の複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dが相互に直列に接続されており、またz方向において相前後して配置されているので、それにより各磁場がほぼ加算され、またほぼ矩形の断面を有している。
【0039】
図3では、本発明による局部コイル106の別の実施例において、シムコイルLS1の複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dが相互に直列に接続されており、z方向において相前後して配置されており、また患者の頸部の領域における人間工学的な湾曲部rを除いてほぼ矩形の断面を有している。
【0040】
図4には、患者の記録すべき頸部領域ROIの下にある、本発明による局部コイル106の別の実施例が示されており、ここではそれぞれが導体L1a乃至L2aを一つだけ備えている二つのシムコイルLS1,LS2がそれぞれ電流源及び/又は電圧源、即ちシムコイルLS1のための電流源及び/又は電圧源SV1及びシムコイルLS2のための電流源及び/又は電圧源SV2に接続されている。
【0041】
図5においては(左側には縦断面図及び右側には横断面図)、患者の記録すべき頸部領域ROIの下にある本発明による局部コイル106の別の実施例が示されており、ここではシムコイルLS1が別のシムコイルLS2の内側に設けられている。
【0042】
図6には、患者の頸部領域の下にある本発明による局部コイル106の実施例が示されており、ここでは、(シムコイルLS1の)複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dの考えられる相互の間隔d1,d2,d3を示すために、複数あるシムコイルの内の一つのシムコイルLS1だけを示して見易くしている。(シムコイルLS1の)複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dの間隔d1,d2,d3は等しくても異なっていても良い。
【0043】
図7においては、相互に独立して電圧源及び/又は電流源によってスイッチオン可能な二つのシムコイルLS1,LS2がダイオードD1,D2及び抵抗R1,R2,R3を介して電圧源及び/又は電流源SV1,SV2に接続されている。
【0044】
図7の上部においては、MRT装置の制御部110,114からの制御信号St1,St2,St3が局部コイル106の制御部STを制御し、それにより制御部STが局部コイル内に設けられている電圧源及び/又は電流源SV1の相応の電圧及び/又は電流を一つ又は複数のシムコイルLS1及び/又はLS2等に印加する。
【0045】
図7の下部においては、例示的に電圧源及び/又は電流源として、局部コイル内のいわゆるPINダイオードチャネル1及びPINダイオードチャネル2が示されており、その電流及び/又は電圧(通常の場合は10mA又は100mA又は30Vから選択される、即ち各シムコイルに対して三つの考えられる状態が実現される)を選択的にシムコイルに印加することができる。
【0046】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ10mAの電流を出力すると、ダイオードD1は導通し、また(第1の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0047】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ100mAの電流を出力すると、ダイオードD1は導通し、また(第2の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0048】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ30Vの電圧を出力すると、ダイオードD2は導通し、また(第3の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0049】
PINダイオードチャネル1=SV1(同様にPINダイオードチャネル2=SV2)は通常の場合10mA又は100mA又は30Vを選択的に出力することができる。即ち、従って各シムコイルLS1,LS2に対して考えられる三つのI1,I2、複数の状態が実現される。
【0050】
PINダイオードチャネル1=SV1に選択的に10mA又は100mA又は30Vを出力できるならば、
但し、30Vの場合はシムコイルLS1に電流I1をある方向に形成し、また、
10mA及び/又は100mAの場合はシムコイルLS1に電流I1,I2をその反対方向に形成し、
電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1からの30V又は10mA/100mAの出力を選択することによって、シムコイルLS1のシム磁場BS1の磁場方向を選択することができる。同様のことが電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV2及びシムコイルLS2にも当てはまる。
【0051】
シムコイルLS1が形成するシム磁場BS1の磁場方向及びシムコイルLS2が形成するシム磁場BS2の磁場方向を等しい方向に選択することも反対方向に選択することもでき、従って両シム磁場を相互に増幅することもできるし、また相互に減衰させることもできる。
【0052】
PINダイオードチャネル1=SV1(同様にPINダイオードチャネル2=SV2)の出力は、通常の場合10mA又は100mA又は30Vから選択することができる。即ち、各シムコイルLS1,LS2に対して考えられる三つの電流I1,I2、従って複数の状態が実現される。
【0053】
抵抗R1はシムコイルに流れる電流I1,I2をそれぞれ所望の大きさに制限する。
【0054】
MRT装置の勾配磁場からシムコイルを分離するために、x軸に平行なシムコイルのコイル軸の配向が有利である。
【0055】
図8においては、シムコイルLS1に逆並列で(即ち反対の巻線方向を有している)直列に接続されている分離コイルLEを備えている、局部コイル106のシムコイルLS1の勾配磁場分離が示されている。
【0056】
シムコイルLS1において電圧USを誘導することができる勾配磁場は、この場合、分離コイルLEにおいて反対方向の電圧−USを形成し、これによって勾配磁場誘導による電流をほぼ0に補償することができ、特に、シムコイルLS1及び分離コイルLEが十分に均一な勾配磁場内に存在する場合に補償することができる。
【0057】
局部コイル106内の分離コイルLEは有利には、撮像体ROIから十分に距離を取っており、例えばシムコイルLS1からも更に離れており、分離コイルELの磁場は撮像においてアーチファクトを形成して患者に作用することはない。
【0058】
図9は、七つの導体/巻線を備えている頸部コイル106の下にあるシムコイルを備えており、12×4.5cmの大きさである局部コイルを斜視図で示している。
【0059】
図10は、シミングされた局部コイルの領域におけるシム磁場カーブを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムのための局部コイル並びに局部コイルを備えている撮像システムにおける磁場をシミング及び/又は均一化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気共鳴断層撮影法(MRT)によって患者を診断するための磁気共鳴断層撮影装置は、例えば特許文献1から公知である。
【0003】
シムは以下の非特許文献1から4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE10314215B4
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Christoph Juchem et al: Magnetic field homogenization of the human prefrontal cortex with a set of localized electri-cal coils, Journal of Magnetic Resonance Imaging, MRM, 63: 171-180, 2010
【非特許文献2】GH Glover et al: Mitigation of susceptibility induced signai los in neuroimaging using localized shim coils, MRM 2005, 243-248
【非特許文献3】R. Cusack et al: AN evaluation of the use of passive shimming to improve .... Neuroimage 2005; 24, 82-91
【非特許文献4】JL Wilson et al: Utilization of an intra-oral diamagnetic passive shim in functional MRI of the inferior frontal cortex; MRM 2003, 50, 1089-1094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、撮像システムの撮像を効果的に最適化することである。
【0007】
この課題は、局部コイルが複数のシムコイルを有しており、複数のシムコイルの内の一方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルの内の他方のシムコイルにおけるシム磁場を形成するための電流をオン及びオフ可能であり、複数のシムコイルにおいてそれぞれシム磁場を形成するための電流を相互に独立してオン及びオフ可能であることによって解決される。
【0008】
またこの課題は、局部コイルにおいて、シム電圧及び/又はシム電流を、磁気共鳴断層撮影装置の飽和パルスの間にのみ局部コイル内のシムコイルに印加することによって解決される。
【0009】
有利な実施の形態は、従属請求項及び下記の説明より明らかになる。
【0010】
本発明の一つの態様は、例えば、有利には既存のコイルインタフェースを用いても機能することができる複数の局部コイル内の適応型のシムコイルである。
【0011】
更には、シムコイルを実施するための特別な幾何学配置の他に、シムがTXパルスの間にのみ使用されることによって、非常に経済的に損失電力を回避する、動的シム方法が提案される。
【0012】
本発明の考えられる実施の形態の別の特徴及び利点は、図面に基づいた複数の実施例の以下の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】患者及び本発明による頭部コイルの縦断側面図を示す。
【図2】z方向において相前後して設けられており、且つ相互に接続されている、局部コイルのシムコイルのほぼ矩形の導体の平面図を示す。
【図3】z方向において相前後して設けられており、且つ相互に接続されており、また頸部の箇所において湾曲している、局部コイルのシムコイルのほぼ矩形の導体の平面図を示す。
【図4】電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してスイッチオン可能である、局部コイルの二つのシムコイルの導体の平面図を示す。
【図5】一方のシムコイルが他方のシムコイルの内側に設けられている、電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してスイッチオン可能である、局部コイルの二つのシムコイルの導体の側面図を左側に示し、平面図を右側に示す。
【図6】シムコイルの導体相互の間隔の例を示す。
【図7】電圧源及び/又は電流源によって相互に独立してオンされる、局部コイルの二つのシムコイルのダイオード及び抵抗を介する電圧源及び/又は電流源への接続形態を示す。
【図8】分離コイル備えた局部コイルのシムコイルの勾配システムからの分離形態を示す。
【図9】シムコイルを備えた局部コイルの斜視図を示す。
【図10】シミングされた局部コイルの領域におけるシム磁場カーブを示す。
【図11】MRTシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図11は、ここでは管状の空間103が設けられている全身コイル102を備えている(特に背景技術としてのものであり、また遮蔽された空間又はファラデーケージF内に設けられている)磁気共鳴断層撮影装置(以下ではMRT装置と記す)101を示す。例えば被検体(例えば患者)105の身体が横たわっている(局部コイル装置106を備えている、又は局部コイル装置106を備えていない)治療台104を矢印zの方向において管状の空間103内へと移動させ、撮像方法によって患者105の画像を生成することができる。ここでは患者の上に局部コイル装置106が配置されており、この局部コイル装置106を用いてMRT装置101の局部領域(field of view又は略してFoVとも称する)において、この局部領域内の患者105の身体の部分領域の画像を生成することができる。例えば同軸ケーブル又は無線167等を介して局部コイル装置106に接続することができる、MRT装置101の評価装置(168,115,117,119,120,121等)によって局部コイル装置106の信号を評価することができる(例えば画像への変換、記憶又は表示を行うことができる)。
【0015】
MRT装置101を用いて、磁気共鳴断層撮影により(被検体又は患者105の)身体を検査するために、時間的及び空間的な特性について最も正確に相互に調整された種々の磁界が患者105の身体に照射される。ここではトンネル状の開口部を備えている測定キャビン内、即ち管状空間103内の強い磁石(クライオマグネット107であることが多い)は、例えば0.2テスラから3テスラ又はそれより高い値を有する、静的な強い主磁界B0を形成する。検査される患者105の身体は治療台104に横たわり、考察すべき部分領域において主磁界B0がほぼ均一である領域内を移動する。身体の原子核の核スピンの励起は磁気高周波励起パルスB1(x,y,z,t)を介して行われ、この磁気高周波励起パルスB1はここでは(例えば複数のパーツ108a,108b,108cから成る)ボディコイルとして非常に簡略的に示されている高周波アンテナ108(及び/又は必要に応じて局部コイル装置)を介して照射される。高周波励起パルスは例えばパルス形成ユニット109によって形成され、このパルス形成ユニット109はパルス列制御ユニット110によって制御される。高周波増幅器111による増幅後に、高周波励起パルスは高周波アンテナ108へと供給される。ここに図示されている高周波システムは単に概略的に示されたものに過ぎない。二つ以上のパルス形成ユニット109、二つ以上の高周波増幅器111及び複数の高周波アンテナ108a,108b,108cがMRT装置101において使用されることも多い。
【0016】
更に、MRT装置101は勾配コイル112x,112y,112zを備えており、それらの勾配コイル112x,112y,112zを用いることにより、測定時には選択的なスライス励起及び測定信号の位置コーディングのために勾配磁場が放射される。勾配コイル112x,112y,112zは勾配コイル制御ユニット114によって制御される。この勾配コイル制御ユニット114はパルス形成ユニット109と同様にパルス列制御ユニット110に接続されている。
【0017】
(被検体の原子核の)励起された核スピンに由来する信号は、ボディコイル108及び/又は少なくとも一つの局部コイル装置106によって受信され、対応付けられている高周波増幅器116によって増幅され、受信ユニット117によって更に処理され、またディジタル化される。記録された測定データはディジタル化され、複素数としてk空間(k-space)マトリクスに格納される。値で満たされたk空間マトリクスから、多次元フーリエ変換により所属の磁気共鳴画像を再構成することができる。
【0018】
例えばボディコイル108又は局部コイル106のような、送信モードでも受信モードでも動作することができるコイルに関して、正確な信号転送は前段に接続されている送信・受信スイッチ118によって制御される。
【0019】
画像処理ユニット119は測定データから画像を形成し、この画像は操作コンソール120を介してユーザに表示される、及び/又は、記憶ユニット121に記憶される。中央計算ユニット122は個々のシステムコンポーネントを制御する。
【0020】
磁気共鳴断層撮影法においては、高い信号対雑音比(SNR)を有する画像が、今日では通常の場合、いわゆる局部コイル装置(Coil,Local Coil)によって記録される。それらの局部コイル装置は、身体の上方(anterior)又は下方(posterior)又は表面又は内側の非常に近傍に取り付けられるアンテナシステムである。磁気共鳴断層撮影法による測定においては、励起された核が局部コイルの個々のアンテナに電圧を励起し、この電圧が続けてローノイズプリアンプ(例えばLNA,プリアンプ)によって増幅され、最後に受信電子装置へと転送される。高解像度の画像においても信号対雑音比を改善するために、いわゆる高磁界システム(1.5T−1.2T又はそれ以上)が使用される。磁気共鳴受信システムに受信器として設けられている複数の個別アンテナを接続できる場合には、受信アンテナと受信器との間に例えばスイッチングマトリクス(RCCSとも称される)が組み込まれる。このスイッチングマトリクスはその時点においてアクティブな受信チャネル(大抵の場合は磁石の視野FoV内に目下存在している受信チャネル)を既存の受信器にルーティングする。全身をカバーする場合には、視野FoV内又は磁石の均一ボリューム内に存在しているコイルのみが読み出されれば良いので、これによって、受信器として設けられている複数のコイル素子を接続することができる。
【0021】
一般的に、例えば一つのアンテナ素子(特にコイル素子)から構成することができるか、又は、複数のアンテナ素子(特にコイル素子)から成るアレイコイルとして構成することができるアンテナシステムが局部コイル装置106と称される。それらの個々のアンテナ素子は例えばループアンテナ(Loops)、バタフライアンテナ、フレックスコイル(Flex coil)又はサドルコイルとして実施されている。局部コイル装置は例えば複数のコイル素子、プリアンプ、別の電子装置(シース電流シールド等)、ケーシング、台、並びに、大抵の場合、MRT装置が接続されるコネクタを備えているケーブルを含んでいる。システム側に取り付けられている受信器168は、局部コイル106から例えば無線等によって受信された信号をフィルタリング及びディジタル化し、データをディジタル信号処理装置に転送する。このディジタル信号処理装置は、測定により得られたデータから大抵の場合は画像を導出するか、又はスペクトルを導出し、ユーザによる後の診断及び/又は記憶のためにユーザに提供する。
【0022】
図1から図10は、一つ又は複数の局部シムコイルを備えている、本発明による局部コイル106の複数の実施例を示す。
【0023】
磁気共鳴断層撮影法においては、高い信号対雑音比(SNR)を有する画像が、今日では通常の場合、いわゆる局部コイル装置(Coil,Local Coil)によって記録される。それらの局部コイル装置は、患者の上方(anterior)又は下方(posterior)の近傍に取り付けられるアンテナシステムである。磁気共鳴断層撮影法による測定においては、励起された核が局部コイルの個々のアンテナに電圧を励起し、この電圧が続けてローノイズプリアンプ(LNA,プリアンプ)によって増幅され、最後に有線式に受信電子装置へと転送される。高解像度の画像においても信号対雑音比を改善するために、いわゆる高磁界システム(1.5T−1.2T又はそれ以上)が使用される。
【0024】
多くの臨床MRT用途においては、B0基本磁場の均一性が重要である。均一ではない場合には、アーチファクト又は歪みが生じるか、又はFatSATのような所定の用途がもはや機能しない可能性がある。FatSATは、脂肪周波数での強い送信パルス(飽和パルス)によって脂肪組織の信号をフィルタリングするために、脂肪と結合した陽子の周波数シフトが利用される技術である。水分内の陽子周波数と脂肪内の陽子周波数との差は小さく(基本磁場の数ppm)、またこの技術は基本磁場の空間的な均一性に依存している。これは今日では、既に0.5ppmまでの差でもって約30cm×30cm×30cmの容積に対して達成することができる。
【0025】
例えば、頸部の領域においては、身体組織の磁化率(mu_r)の空間的な不均一な分布に起因して、B0基本磁場のひずみが生じる可能性がある。これを部分的に、MRTシステム内に組み込まれているいわゆるシムコイルによって補正することができる。
【0026】
このシムコイルの使用における問題は、例えば最適状態には及ばない脂肪飽和である。このことは、脂肪飽和が脂肪組織を遮蔽すべきにもかかわらず、例えば頸部の領域における脂肪組織が従前通り画像内では明るく照らされているように見えることを意味している。このことは、局所的なB0変動によってその種の脂肪組織が期待される共振周波数を有していないことによって惹起される可能性がある。脂肪組織のスピンを完全に除去すべき飽和パルスではこのスピンに届かない。何故ならば、その共振周波数とは異なっているからである。
【0027】
本発明は、既存のMR(磁気共鳴)装置における技術的な実施を効果的に実現する(この既存のMR装置においては、例えば通常の場合、局部コイル内のシムコイルのための付加的な給電部は存在しない)。
【0028】
本発明は、例えば空間的な構造及び強度に関するシム磁場の特別な定義を可能にする。
【0029】
勾配システム部によって誘導される電流を可能な限り小さく維持するために、勾配システムを分離すること以外に、抵抗を挿入することによる電流制限が有利になる。
【0030】
大きいメーカの今日のMRスキャナにおける局部コイルインタフェースは、(従来のシムコイルの電源のように)シムコイルを流れる電流、即ち、コイルによって形成される磁場の強度を変化させるインタフェースを有していないので、ここでもまた複数のコイルを使用し、それらのコイルの磁場を相互に強めある又は弱めあうように重畳させることが提案される。シム磁場はこの場合、種々のコイルの磁場の和から形成されるので、各導体の適切な空間的な間隔を有する複数のコイルを使用することによって、更には、シム磁場の強度だけでなく、シム磁場の形も変化させることができる。このことは、特に色々な患者への磁場の適合にとって有用である。ここでは頸部の領域に関してシムコイルの考えられる複数の実施の形態が図示されているが、それらの実施の形態の幾何学的な形状も決定的な役割を果たす。
【0031】
コイルインタフェースには、今日では主として、コイル電子装置のための電圧(典型的には3Vから10V)及びPINダイオードのための切換え信号が供給される。切換え信号は大抵の場合、二つの状態、即ち負の電圧と正の電圧の切換えを行なう。ジーメンスにおいては−30Vの電圧から+100mAの電流への切換えが行なわれる。更には、+10mAの電流を有する中間状態も実現することができる。PINダイオードのための電流源の使用は、シムコイル電流源としての使用にとって好適である。何故ならば、電流はMRシステム自体によって制御されるからである。シムコイルのための給電部として電圧源(−30V)が使用される場合、公差(10%未満)はシムコイル電流源としての使用に関しては許容できる。
【0032】
所要電力及び放熱を低減するために、LCシムをMRシステムの送信フェーズの間にのみ駆動させることが提案される。化学的なシフトを基礎とするFatSATに関してはこれで十分である。これによって本明細書からは、回路技術的及び構造的な請求項の他に、飽和パルスの間にのみ局所的なシム電流を適用する方法の請求項も生じる。
【0033】
固有の分離コイル(特に、相互に直交する各空間方向に関して3つまでのコイル)によって勾配システムを分離する他に、抵抗の直列回路によって勾配誘導電流を低減することが可能である(5オームから500オーム)。この抵抗における電力消費量を、上述したように送信フェーズの間にのみシム電流を印加することによって、デューティ比TX/TRに応じて大幅に低減することができる(係数10−100)。
【0034】
図1には、本発明による(頸部−頭部)局部コイル106の実施例が示されており、この局部コイル106を患者105の頭部K及び頸部Nの上に例えばヘルメットのように被せることができる。
【0035】
局部コイル106は、それぞれが複数の導体L1a,L1b,L1c,L1d乃至L2a,L2b,L2c,L2dを備えている複数の(ここでは二つの)シムコイルLS1,LS2を有しており、(電流源及び/又は電圧源又はエネルギ源SV1,SV2によって電流I1乃至I2が流される、及び/又は、電圧が印加されると)それらのシムコイルによってそれぞれシム磁場BS1乃至BS2を形成し、患者105の頸部Nの領域において磁場(特にB0磁場)を均一化し、それによって画像品質を改善することができる。
【0036】
シムコイルLS1のための電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1を、シムコイルLS2のための電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV2に依存せずに、(それぞれのシムコイルに電流/電圧を印加するために)オン・オフできる。
【0037】
ここでは、電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1,SV2が、別の目的のための局部コイル内に設けられている電流源及び/又は電圧源である。
【0038】
図2では、本発明による局部コイル106の実施例において、シムコイルLS1の複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dが相互に直列に接続されており、またz方向において相前後して配置されているので、それにより各磁場がほぼ加算され、またほぼ矩形の断面を有している。
【0039】
図3では、本発明による局部コイル106の別の実施例において、シムコイルLS1の複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dが相互に直列に接続されており、z方向において相前後して配置されており、また患者の頸部の領域における人間工学的な湾曲部rを除いてほぼ矩形の断面を有している。
【0040】
図4には、患者の記録すべき頸部領域ROIの下にある、本発明による局部コイル106の別の実施例が示されており、ここではそれぞれが導体L1a乃至L2aを一つだけ備えている二つのシムコイルLS1,LS2がそれぞれ電流源及び/又は電圧源、即ちシムコイルLS1のための電流源及び/又は電圧源SV1及びシムコイルLS2のための電流源及び/又は電圧源SV2に接続されている。
【0041】
図5においては(左側には縦断面図及び右側には横断面図)、患者の記録すべき頸部領域ROIの下にある本発明による局部コイル106の別の実施例が示されており、ここではシムコイルLS1が別のシムコイルLS2の内側に設けられている。
【0042】
図6には、患者の頸部領域の下にある本発明による局部コイル106の実施例が示されており、ここでは、(シムコイルLS1の)複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dの考えられる相互の間隔d1,d2,d3を示すために、複数あるシムコイルの内の一つのシムコイルLS1だけを示して見易くしている。(シムコイルLS1の)複数の導体L1a,L1b,L1c,L1dの間隔d1,d2,d3は等しくても異なっていても良い。
【0043】
図7においては、相互に独立して電圧源及び/又は電流源によってスイッチオン可能な二つのシムコイルLS1,LS2がダイオードD1,D2及び抵抗R1,R2,R3を介して電圧源及び/又は電流源SV1,SV2に接続されている。
【0044】
図7の上部においては、MRT装置の制御部110,114からの制御信号St1,St2,St3が局部コイル106の制御部STを制御し、それにより制御部STが局部コイル内に設けられている電圧源及び/又は電流源SV1の相応の電圧及び/又は電流を一つ又は複数のシムコイルLS1及び/又はLS2等に印加する。
【0045】
図7の下部においては、例示的に電圧源及び/又は電流源として、局部コイル内のいわゆるPINダイオードチャネル1及びPINダイオードチャネル2が示されており、その電流及び/又は電圧(通常の場合は10mA又は100mA又は30Vから選択される、即ち各シムコイルに対して三つの考えられる状態が実現される)を選択的にシムコイルに印加することができる。
【0046】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ10mAの電流を出力すると、ダイオードD1は導通し、また(第1の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0047】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ100mAの電流を出力すると、ダイオードD1は導通し、また(第2の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0048】
例えば図7においてPINダイオードチャネル1(SV1)及び/又はPINダイオードチャネル2(SV2)がそれぞれ30Vの電圧を出力すると、ダイオードD2は導通し、また(第3の大きさの)相応の電流I1,I2がシムコイルLS1及びLS2に流れる。
【0049】
PINダイオードチャネル1=SV1(同様にPINダイオードチャネル2=SV2)は通常の場合10mA又は100mA又は30Vを選択的に出力することができる。即ち、従って各シムコイルLS1,LS2に対して考えられる三つのI1,I2、複数の状態が実現される。
【0050】
PINダイオードチャネル1=SV1に選択的に10mA又は100mA又は30Vを出力できるならば、
但し、30Vの場合はシムコイルLS1に電流I1をある方向に形成し、また、
10mA及び/又は100mAの場合はシムコイルLS1に電流I1,I2をその反対方向に形成し、
電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV1からの30V又は10mA/100mAの出力を選択することによって、シムコイルLS1のシム磁場BS1の磁場方向を選択することができる。同様のことが電流源及び/又は電圧源(又はエネルギ源)SV2及びシムコイルLS2にも当てはまる。
【0051】
シムコイルLS1が形成するシム磁場BS1の磁場方向及びシムコイルLS2が形成するシム磁場BS2の磁場方向を等しい方向に選択することも反対方向に選択することもでき、従って両シム磁場を相互に増幅することもできるし、また相互に減衰させることもできる。
【0052】
PINダイオードチャネル1=SV1(同様にPINダイオードチャネル2=SV2)の出力は、通常の場合10mA又は100mA又は30Vから選択することができる。即ち、各シムコイルLS1,LS2に対して考えられる三つの電流I1,I2、従って複数の状態が実現される。
【0053】
抵抗R1はシムコイルに流れる電流I1,I2をそれぞれ所望の大きさに制限する。
【0054】
MRT装置の勾配磁場からシムコイルを分離するために、x軸に平行なシムコイルのコイル軸の配向が有利である。
【0055】
図8においては、シムコイルLS1に逆並列で(即ち反対の巻線方向を有している)直列に接続されている分離コイルLEを備えている、局部コイル106のシムコイルLS1の勾配磁場分離が示されている。
【0056】
シムコイルLS1において電圧USを誘導することができる勾配磁場は、この場合、分離コイルLEにおいて反対方向の電圧−USを形成し、これによって勾配磁場誘導による電流をほぼ0に補償することができ、特に、シムコイルLS1及び分離コイルLEが十分に均一な勾配磁場内に存在する場合に補償することができる。
【0057】
局部コイル106内の分離コイルLEは有利には、撮像体ROIから十分に距離を取っており、例えばシムコイルLS1からも更に離れており、分離コイルELの磁場は撮像においてアーチファクトを形成して患者に作用することはない。
【0058】
図9は、七つの導体/巻線を備えている頸部コイル106の下にあるシムコイルを備えており、12×4.5cmの大きさである局部コイルを斜視図で示している。
【0059】
図10は、シミングされた局部コイルの領域におけるシム磁場カーブを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システム(101)、特に磁気共鳴断層撮影装置(101)のための局部コイル(106)において、
前記局部コイル(106)は複数のシムコイル(LS1,LS2)を有しており、
前記複数のシムコイルの内の一方のシムコイル(LS1)におけるシム磁場(BS1)を形成するための電流(I1)をオン(ST)及びオフ(ST)可能であり、
前記複数のシムコイルの内の他方のシムコイル(LS2)におけるシム磁場(BS2)を形成するための電流(I2)をオン(ST)及びオフ(ST)可能であり、
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)においてそれぞれシム磁場(BS1,BS2)を形成するための電流(I1,I2)を相互に独立してオン(ST)及びオフ(ST)可能であることを特徴とする、局部コイル(106)。
【請求項2】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一つ又は複数のシムコイルの導体の形状は断面でみて矩形状である、請求項1に記載の局部コイル。
【請求項3】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の矩形状の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は相互に直列に接続されている(図2)、請求項1又は2に記載の局部コイル。
【請求項4】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一つ又は複数のシムコイルの導体(L1a,L1b,L1c)は、患者を載置するために設けられている、アーチ状である及び/又はシムコイルの内側に湾曲している側(r)を除いて、断面でみて少なくともほぼ矩形である(図3)、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項5】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は相互に独立して個別に制御可能である、及び/又は、前記シムコイル(LS1,LS2)において電流(I1,I2)を形成するために電流及び/又は電圧を印加可能である(図1)、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項6】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一方のシムコイルは前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の他方のシムコイルの内側に設けられている(図5右)、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項7】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一方のシムコイルは前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の他方のシムコイルに対して、y方向において、及び/又は、前記撮像システムに使用される場合は垂直方向において、間隔(dz)を空けて設けられている(図4)、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項8】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て相前後して配置されている(図2)、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項9】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体は撮像時に、少なくとも一つの領域(ROI)においてほぼ水平方向(+−「x」)に延びている(図2)、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項10】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の少なくとも三つの導体(L1a,L1b,L1c,L1d)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、それぞれ相互に等しい間隔(d1=d2=d3)を有している(図1)、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項11】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の少なくとも三つの導体(L1a,L1b,L1c,L1d)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、相互に異なる間隔(d1=d3;d3<>d2)を有している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項12】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、一つのシムコイルの相前後して接続されている巻線を形成する(図1)、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項13】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の前記各シム磁場(BS1,BS2)はオン状態において重畳しており、特に強めあう及び/又は弱めあうように重畳している、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項14】
前記局部コイル(106)は、頭部コイル又は頭部・咽部コイル又は頸部コイル又は背中コイル又は腹部コイル又は肩部コイル又は背中コイル又は関節部コイル又は血管コイルである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項15】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の少なくとも二つのシムコイルはシムコイル導体相互の空間間隔を有しており、前記シム磁場の強度だけでなく前記シム磁場の形も変更することができる、及び/又は、少なくとも0.5cm又は1cm又は2cm又は3cm又は4cm又は5cmの間隔(d1,d2,d3)を有している、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項16】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は、前記局部コイルにおいて別の目的のためにも設けられている一つ又は複数のコイルインタフェースに接続されている(図7)、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項17】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は、コイル電子装置のための給電電圧源(SV1,SV2)(典型的には3−10V)に接続されている、及び/又は、前記局部コイル(106)におけるPINダイオードに対する切換え信号用の給電電圧源(SV1,SV2)に接続されている(図7)、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項18】
前記局部コイル(106)は、二つ又は三つまたは三つより多い状態、特に、負の電圧(−30V)を有する状態及び/又は正の電圧を有する状態及び/又は所定の電流(100mA)を有する状態及び/又は所定の電流(10mA)を有する別の状態を備えている少なくとも一つの端子(SV1,SV2)を有している(図7)、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項19】
前記局部コイル(106)は、二つ又は三つまたは三つより多い状態を有する少なくとも一つの端子(SV1,SV2)を有しており、該端子(SV1,SV2)は、前記シムコイル(LS1,LS2)に相応の電圧(−30V)及び/又は電流(+10mA,+100mA)を出力することによって前記シムコイル(LS1,LS2)の異なるシム状態を設定するための制御信号を用いて制御可能である(図2)、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項20】
全て又は幾つかのシムコイル(LS1,LS2)には、所定の期間、特に頭部コイルのTX送信フェーズの間にのみ、シム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)が印加されている、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項21】
飽和パルスの間にのみシムコイル(LS1,LS2)にシム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)が印加されるように前記局部コイル(106)は構成されている、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項22】
前記局部コイル(106)においては、回路によって、前記局部コイル(106)内に存在する一つ又は複数のシム電圧(−30V)及び/又は一つ又は複数のシム電流(+10mA,+100mA)を独立して少なくとも二つのシムコイル(LS1,LS2)に供給可能であり、有利には、前記局部コイル(106)において切換え可能なシム状態の数は、考えられるシム電圧(−30V)とシム電流(+10mA,+100mA)の和と、相互に独立して切換え可能なシムコイル(LS1,LS2)の数との積である(図7)、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項23】
一つ又は複数のシムコイルのコイル軸はz軸にほぼ平行である(図2,4)、請求項1乃至22のいずれか1項記載の局部コイル。
【請求項24】
前記シムコイル(LS1,LS2)を前記撮像システム(101)の勾配システム又は前記局部コイル(106)から分離するために分離コイル(LE)が前記局部コイル内に設けられており、該分離コイル(LE)のコイルの数は、特に相互に直交している空間方向(x,y,z)の各々に対して特に一つから三つの間で備えており、前記シムコイル(LS1,LS2)の巻線方向とは反対で逆並列である巻線方向を備えている(図8)、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項25】
有利には5オームから500オームを有する抵抗(R1)の直列回路によって勾配誘導電流が低減されている、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項26】
MRT局部コイル(106)を患者(104)の頭部(K)及び/又は頸部(H)に載置可能である、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項27】
前記局部コイル(106)の一つ又は複数のシムコイル(LS1,LS2)は、前記局部コイル内の頭部(K)及び/又は頚部(H)に関する位置の前方及び/又は後方の位置において前記局部コイル(106)内に設けられている、及び/又は、患者の頭部及び/又は頚部に関する位置を包囲する、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項28】
少なくとも一つのシムコイル(LS1,LS2)は前記局部コイル(106)のケーシング(G)内に配置されている、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項29】
少なくとも一つの切換え可能な電流供給部及び/又は電圧供給部(SV1,SV2)及び/又はシム装置の制御部(LS,L1,L2)が前記局部コイル(106)のケーシング(G)内に配置されている、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項30】
前記局部コイル内及び/又はMRTシステム(SV,101,117,168)内に、前記局部コイル(106)の前記シムコイル(LS1,LS2)に対するシム電流(I1,I2)又はシム電圧(Us)の制御部が設けられている、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項31】
前記局部コイル内の複数の局部的なシムコイル(LS1,LS2)は、該シムコイル(LS1,LS2)への電流(I)及び/又は電圧のオン・オフによって、同時に及び/又は交互にスイッチオン可能である(I1,I2,U)、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項32】
前記局部コイルの前記シムコイルの電流供給部(SV)の電圧源及び/又は電流源(Q)を制御可能である、請求項1乃至31のいずれか1項記載の局部コイル。
【請求項33】
シムコイル(LS1,LS2)は前記局部コイル(106)のケーシング(G)に機械的に固定されている、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項34】
シムコイル(LS1,LS2)の導体(L1)は前記局部コイルの領域において患者(104)の頚部の形状に適合させるために配置されている、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項35】
シム磁場(BS1,BS2)を形成するためのソース(SV1,SV2)の電流(+10mA,+100mA,I)及び/又は電圧(−30V)を印加することによって、シムコイル(LS1,LS2)を相互に独立してオン状態に切換え可能であり(ST)、且つ、
シム磁場(BS1,BS2)を形成するためのソース(SV1,SV2)の電流(+10mA,+100mA,I)及び/又は電圧(−30V)を印加せずに、各シムコイル(LS1,LS2)を相互に独立してオフ状態に切換え可能である、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項36】
特に請求項1乃至35のいずれか一項に記載の局部コイル(106)を備えている、撮像システム(101)における磁場(BS1,BS2)をシミング及び/又は均一化するための方法において、
前記局部コイル(106)において、シム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)を、磁気共鳴断層撮影装置(101)の飽和パルスの間にのみ前記局部コイル(106)内のシムコイル(LS1,LS2)に印加することを特徴とする、方法。
【請求項1】
撮像システム(101)、特に磁気共鳴断層撮影装置(101)のための局部コイル(106)において、
前記局部コイル(106)は複数のシムコイル(LS1,LS2)を有しており、
前記複数のシムコイルの内の一方のシムコイル(LS1)におけるシム磁場(BS1)を形成するための電流(I1)をオン(ST)及びオフ(ST)可能であり、
前記複数のシムコイルの内の他方のシムコイル(LS2)におけるシム磁場(BS2)を形成するための電流(I2)をオン(ST)及びオフ(ST)可能であり、
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)においてそれぞれシム磁場(BS1,BS2)を形成するための電流(I1,I2)を相互に独立してオン(ST)及びオフ(ST)可能であることを特徴とする、局部コイル(106)。
【請求項2】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一つ又は複数のシムコイルの導体の形状は断面でみて矩形状である、請求項1に記載の局部コイル。
【請求項3】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の矩形状の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は相互に直列に接続されている(図2)、請求項1又は2に記載の局部コイル。
【請求項4】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一つ又は複数のシムコイルの導体(L1a,L1b,L1c)は、患者を載置するために設けられている、アーチ状である及び/又はシムコイルの内側に湾曲している側(r)を除いて、断面でみて少なくともほぼ矩形である(図3)、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項5】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は相互に独立して個別に制御可能である、及び/又は、前記シムコイル(LS1,LS2)において電流(I1,I2)を形成するために電流及び/又は電圧を印加可能である(図1)、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項6】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一方のシムコイルは前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の他方のシムコイルの内側に設けられている(図5右)、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項7】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の一方のシムコイルは前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の他方のシムコイルに対して、y方向において、及び/又は、前記撮像システムに使用される場合は垂直方向において、間隔(dz)を空けて設けられている(図4)、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項8】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て相前後して配置されている(図2)、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項9】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体は撮像時に、少なくとも一つの領域(ROI)においてほぼ水平方向(+−「x」)に延びている(図2)、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項10】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の少なくとも三つの導体(L1a,L1b,L1c,L1d)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、それぞれ相互に等しい間隔(d1=d2=d3)を有している(図1)、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項11】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の少なくとも三つの導体(L1a,L1b,L1c,L1d)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、相互に異なる間隔(d1=d3;d3<>d2)を有している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項12】
一つのシムコイル(LS1,LS2)の複数の導体(L1a,L1b,L1c)は、前記撮像システム(101)内への患者の搬送方向(+−「z」)に見て、及び/又は、患者の長手方向(+−「z」)に見て、一つのシムコイルの相前後して接続されている巻線を形成する(図1)、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項13】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の前記各シム磁場(BS1,BS2)はオン状態において重畳しており、特に強めあう及び/又は弱めあうように重畳している、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項14】
前記局部コイル(106)は、頭部コイル又は頭部・咽部コイル又は頸部コイル又は背中コイル又は腹部コイル又は肩部コイル又は背中コイル又は関節部コイル又は血管コイルである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項15】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)の内の少なくとも二つのシムコイルはシムコイル導体相互の空間間隔を有しており、前記シム磁場の強度だけでなく前記シム磁場の形も変更することができる、及び/又は、少なくとも0.5cm又は1cm又は2cm又は3cm又は4cm又は5cmの間隔(d1,d2,d3)を有している、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項16】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は、前記局部コイルにおいて別の目的のためにも設けられている一つ又は複数のコイルインタフェースに接続されている(図7)、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項17】
前記複数のシムコイル(LS1,LS2)は、コイル電子装置のための給電電圧源(SV1,SV2)(典型的には3−10V)に接続されている、及び/又は、前記局部コイル(106)におけるPINダイオードに対する切換え信号用の給電電圧源(SV1,SV2)に接続されている(図7)、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項18】
前記局部コイル(106)は、二つ又は三つまたは三つより多い状態、特に、負の電圧(−30V)を有する状態及び/又は正の電圧を有する状態及び/又は所定の電流(100mA)を有する状態及び/又は所定の電流(10mA)を有する別の状態を備えている少なくとも一つの端子(SV1,SV2)を有している(図7)、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項19】
前記局部コイル(106)は、二つ又は三つまたは三つより多い状態を有する少なくとも一つの端子(SV1,SV2)を有しており、該端子(SV1,SV2)は、前記シムコイル(LS1,LS2)に相応の電圧(−30V)及び/又は電流(+10mA,+100mA)を出力することによって前記シムコイル(LS1,LS2)の異なるシム状態を設定するための制御信号を用いて制御可能である(図2)、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項20】
全て又は幾つかのシムコイル(LS1,LS2)には、所定の期間、特に頭部コイルのTX送信フェーズの間にのみ、シム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)が印加されている、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項21】
飽和パルスの間にのみシムコイル(LS1,LS2)にシム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)が印加されるように前記局部コイル(106)は構成されている、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項22】
前記局部コイル(106)においては、回路によって、前記局部コイル(106)内に存在する一つ又は複数のシム電圧(−30V)及び/又は一つ又は複数のシム電流(+10mA,+100mA)を独立して少なくとも二つのシムコイル(LS1,LS2)に供給可能であり、有利には、前記局部コイル(106)において切換え可能なシム状態の数は、考えられるシム電圧(−30V)とシム電流(+10mA,+100mA)の和と、相互に独立して切換え可能なシムコイル(LS1,LS2)の数との積である(図7)、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項23】
一つ又は複数のシムコイルのコイル軸はz軸にほぼ平行である(図2,4)、請求項1乃至22のいずれか1項記載の局部コイル。
【請求項24】
前記シムコイル(LS1,LS2)を前記撮像システム(101)の勾配システム又は前記局部コイル(106)から分離するために分離コイル(LE)が前記局部コイル内に設けられており、該分離コイル(LE)のコイルの数は、特に相互に直交している空間方向(x,y,z)の各々に対して特に一つから三つの間で備えており、前記シムコイル(LS1,LS2)の巻線方向とは反対で逆並列である巻線方向を備えている(図8)、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項25】
有利には5オームから500オームを有する抵抗(R1)の直列回路によって勾配誘導電流が低減されている、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項26】
MRT局部コイル(106)を患者(104)の頭部(K)及び/又は頸部(H)に載置可能である、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項27】
前記局部コイル(106)の一つ又は複数のシムコイル(LS1,LS2)は、前記局部コイル内の頭部(K)及び/又は頚部(H)に関する位置の前方及び/又は後方の位置において前記局部コイル(106)内に設けられている、及び/又は、患者の頭部及び/又は頚部に関する位置を包囲する、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項28】
少なくとも一つのシムコイル(LS1,LS2)は前記局部コイル(106)のケーシング(G)内に配置されている、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項29】
少なくとも一つの切換え可能な電流供給部及び/又は電圧供給部(SV1,SV2)及び/又はシム装置の制御部(LS,L1,L2)が前記局部コイル(106)のケーシング(G)内に配置されている、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項30】
前記局部コイル内及び/又はMRTシステム(SV,101,117,168)内に、前記局部コイル(106)の前記シムコイル(LS1,LS2)に対するシム電流(I1,I2)又はシム電圧(Us)の制御部が設けられている、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項31】
前記局部コイル内の複数の局部的なシムコイル(LS1,LS2)は、該シムコイル(LS1,LS2)への電流(I)及び/又は電圧のオン・オフによって、同時に及び/又は交互にスイッチオン可能である(I1,I2,U)、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項32】
前記局部コイルの前記シムコイルの電流供給部(SV)の電圧源及び/又は電流源(Q)を制御可能である、請求項1乃至31のいずれか1項記載の局部コイル。
【請求項33】
シムコイル(LS1,LS2)は前記局部コイル(106)のケーシング(G)に機械的に固定されている、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項34】
シムコイル(LS1,LS2)の導体(L1)は前記局部コイルの領域において患者(104)の頚部の形状に適合させるために配置されている、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項35】
シム磁場(BS1,BS2)を形成するためのソース(SV1,SV2)の電流(+10mA,+100mA,I)及び/又は電圧(−30V)を印加することによって、シムコイル(LS1,LS2)を相互に独立してオン状態に切換え可能であり(ST)、且つ、
シム磁場(BS1,BS2)を形成するためのソース(SV1,SV2)の電流(+10mA,+100mA,I)及び/又は電圧(−30V)を印加せずに、各シムコイル(LS1,LS2)を相互に独立してオフ状態に切換え可能である、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の局部コイル。
【請求項36】
特に請求項1乃至35のいずれか一項に記載の局部コイル(106)を備えている、撮像システム(101)における磁場(BS1,BS2)をシミング及び/又は均一化するための方法において、
前記局部コイル(106)において、シム電圧(−30V)及び/又はシム電流(+10mA,+100mA)を、磁気共鳴断層撮影装置(101)の飽和パルスの間にのみ前記局部コイル(106)内のシムコイル(LS1,LS2)に印加することを特徴とする、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−31664(P2013−31664A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171906(P2012−171906)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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