説明

撮像ユニットおよびこれを備えた電子カメラ

【課題】XYステージと固定ステージとの間に介在する放熱構造を複雑にすることなく、撮像素子の放熱を効率的に行う。
【解決手段】撮像ユニット15は、XYステージ33と共に変位し、XYステージ33に配置されたCCD23と熱的に結合する押え板29と、放熱性の固定ステージ31との間に、撮影レンズの光軸方向に変位可能な可動部材51を有する。可動部材51の押え板29側には熱吸収体52が結合され、固定ステージ31と可動部材51との間には、熱伝導性ゴムシート54が、固定ステージ31および可動部材51の双方と常時接触するように配置される。撮像ユニット15は、CCD23周辺の温度を検出する温度センサにより検出される温度が第1の温度より高くなったときは、駆動手段により可動部材51を変位させて、熱吸収体52を押え板29に圧着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱機構を有する撮像ユニットおよび該撮像ユニットを内蔵する電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子カメラでは、撮影レンズの透過光束をCCD等の撮像素子で受光し、その光電変換出力に基づいて画像データを得る。その際、撮像素子の発熱により発生する暗電流が、ノイズの原因となって画質が低下することから、撮像素子の放熱対策が必要とされている。そこで、従来、各種の放熱対策が講じられている。
【0003】
一方、最近の電子カメラでは、撮像素子が搭載され光軸に直交する2次元方向(XY方向)に変位可能なXYステージと、XYステージをXY方向に移動させる像ぶれ補正用駆動機構と電子カメラに対して固定された固定ステージとを備え、像ぶれが検出された場合に像ぶれを補正するように、像ぶれ補正用駆動機構によって撮像素子を変位させるようにしたものもある。この場合、撮像素子の放熱のための放熱部材を直接XYステージに取付けることはできず、放熱対策上工夫が必要となる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1においては、XYステージ側の放熱部材と固定ステージ側の固定放熱部材との面を極力接近させて対向配置させることにより放熱部材から固定ステージ側の放熱部材に熱伝達させるようにしている。また、特許文献2においては、XYステージ側と固定ステージ側との対向する放熱プレート間に磁性流体を介在させることで、XYステージ側から固定ステージ側へ熱伝達させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−174226号公報
【特許文献2】特開2006−31027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1による方式は、XYステージ側で発生した熱を対流によりカメラ筐体内部の空気中に放熱させ、さらに、筐体内部の放熱部材を介して部品へ伝熱させて、カメラ筐体外へ放熱させるものである。この方式では、冷却すべき部分と放熱部材との間の熱伝達経路に熱抵抗の大きな空気層が介在するため、熱伝達効率が低く、放熱効率が悪くなる。
【0007】
また、特許文献2による方式は、熱伝達部材として機能する磁性流体に関して、流れ出しを防止することが必要となり、構造が複雑化してしまう。さらに、磁性流体を用いると高価な撮像ユニットにもなる。
【0008】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、XYステージと固定ステージとの間に介在する放熱構造を複雑にすることなく、撮像素子の放熱を効率的に行うことができる撮像ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する請求項1に係る撮像ユニットの発明は、
撮影レンズの光軸と直交するXY方向に変位可能なXYステージと、
該XYステージに配置され、前記撮影レンズによる被写体像が結像される撮像素子と、
該撮像素子の背面と熱的に結合し、且つ、前記XYステージの変位に伴い前記撮像素子とともに変位する板状伝熱部材と、
前記板状伝熱部材の前記撮像素子の背面側に対向する放熱性の固定部材と、
前記板状伝熱部材と前記固定部材との間に、前記撮影レンズの光軸方向に変位可能に設けられた可動部材と、
前記可動部材の前記板状伝熱部材側に結合した熱吸収体と、
前記固定部材と前記可動部材との間に前記固定部材と前記可動部材の双方と常時接触するように配置された熱伝導手段と、
前記撮像素子周辺の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出される前記撮像素子周辺の温度に応じて、前記固定部材に対して前記可動部材を変位させる駆動力を発生させる駆動手段とを備え、
前記温度センサにより検出される温度が第1の温度以上となったときは、前記駆動手段により、前記可動部材が前記板状伝熱部材側に駆動され前記熱吸収体を前記板状伝熱部材に圧接し、その後、前記温度センサにより検出される温度が前記第1の温度より低い第2の温度以下となったときは、前記駆動手段により、前記可動部材が前記固定部材側に駆動され前記熱吸収体を前記板状伝熱部材から離間させるように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像ユニットにおいて、前記XYステージには、前記撮像素子の被写体像が結像される面の前面に、ローパスフィルタが配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の撮像ユニットにおいて、前記駆動手段は、前記固定部材および前記可動部材の一方にコイルを備え、他方に永久磁石を備える電磁駆動機構を有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の撮像ユニットにおいて、前記駆動手段は、通電されることにより駆動力としてばね力を発生する形状記憶合金ばねを有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の撮像ユニットにおいて、前記形状記憶合金ばねは、前記可動部材と前記固定部材との間に(ここでは、図10に示す固定放熱板に立設した複数本のガイド軸73の外周に巻回させた状態に)配置されることを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成する請求項6に係る電子カメラの発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像ユニットを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温度センサにより検出される撮像素子の温度に応じて、固定部材に対して可動部材を変位させる駆動力を発生させる駆動手段を備え、温度センサにより検出される温度が第1の温度以上となったときは、駆動手段により、可動部材を板状伝熱部材側に駆動して熱吸収体を前記板状伝熱部材に圧接し、温度センサにより検出される温度が第2の温度以下となったときは、駆動手段により、可動部材を固定部材側に駆動して熱吸収体を板状伝熱部材から離間させるようにしたので、XYステージと固定部材との間に介在する放熱構造を複雑にすることなく、撮像素子の放熱を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る撮像ユニットを備えた電子カメラの撮影レンズ光軸に沿う横断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のカメラに組み込まれる撮像ユニットの分解斜視図である。
【図4】図3の撮像ユニットの光軸Oを通りX方向に沿う部分断面図であって、センタクランプ機構のクランプピンが退避した状態(開放状態)を示す図である。
【図5】図3の撮像ユニットのガイド軸34bに近接する部分の断面図である。
【図6】ライブビュー動作時のCCDの温度によるカメラ制御を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る撮像ユニットの部分断面図である。
【図8】図7のホール素子および扁平コイル周りの拡大図である。
【図9】図7の撮像ユニットを撮像素子側からみた平面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る撮像ユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0018】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る撮像ユニットを備えた撮像装置である一眼レフ式デジタルカメラ(以下、カメラと記載する)の撮影レンズ光軸に沿う横断面図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。
【0019】
本実施の形態のカメラ10は、カメラボディ1と、このカメラボディ1の前面側に交換可能に装填され、撮影レンズ21を備えたレンズユニット2とにより構成される。
【0020】
カメラボディ1は、カメラ構成部材を収納する樹脂製の外装カバー3を有し、また、撮影レンズ21の光軸O上となる前面側位置に撮影レンズ21を含むレンズユニット2を交換自在に装填するためのリング状のマウント部4を備えている。また、外装カバー3には前面側から見て左側に撮影時等において操作者の右手により保持されるグリップ部3aが設けられる。このグリップ部3aの頂部には、レリーズボタン等の各種スイッチ、ボタン類が配されている。
【0021】
カメラボディ1は、さらに図1,2に示すように、外装カバー3の背面側において光軸O上の位置にアクリル製のパネル表示窓5を有する液晶パネル6を備えている。この液晶パネル6は、撮影された画像の他、各種設定・調整事項等の各種情報を表示するTFT(Thin Film Transistor)タイプの矩形状表示パネルである。また、外装カバー3には、撮影時に操作者が覗くファインダ窓7が設けられ、頂部には、外付けのフラッシュを取り付けるホットシュー8が配されている。
【0022】
また、カメラボディ1は、図1に示すように、外装カバー3内の前面側に光軸O上に配置したクイックリターンミラー9等のミラー部材を内蔵し、その下方にデフォーカス量を検出するAFセンサユニット11等を収納したミラーボックス12を備えている。また、ミラーボックス12のクイックリターンミラー9の背面側にフォーカルプレーンシャッタ13と、撮像素子等を備えた撮像ユニット15とが光軸Oに直交させて順次に配置されている。また、クイックリターンミラー9の背後にはサブミラー9aが配設され、サブミラー9aからの反射光をAFセンサユニット11に導くように光路設定されている。一方、クイックリターンミラー9の反射側光軸上には、ダハミラー16、接眼レンズ17等が配置されている。
【0023】
さらに、カメラボディ1は、外装カバー3のグリップ部3aの内部に電池18を収納する電池収納室19を備えている。また、グリップ部3aの内部において、電池収納室19の背面側には、カメラ全体の制御や画像処理、圧縮処理、データ記憶処理等を行うための回路やSDRAM等のメモリ、電源回路等が搭載された回路基板(図示せず)が配設されている。
【0024】
次に、撮像ユニット15について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3は、撮像ユニット15の分解斜視図である。また、図4は、撮影レンズ21の光軸Oを通り、図3のX方向に沿う片側半分の断面を示す部分断面図であって、センタクランプ機構のクランプピンが退避した状態(解放状態)を示す。図5は、図3の撮像ユニットの光軸Oを通りX方向に沿う他の片側半分のうち、ガイド軸34に近接する部分の断面図である。
【0025】
なお、以下の説明において、撮影レンズの光軸Oと平行な方向をZ方向とし、Z方向の被写体側を前方とし、像側を後方(背面側)とする。また、Z方向を法線とする平面上で互いに直交する図2の左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。
【0026】
まず、撮像ユニット15の像ぶれ補正機構について説明する。像ぶれ補正機構は、撮像時の手ぶれ等を検知して、撮像素子であるCCD23(パッケージまたはベアチップ)を変位させて像ぶれを補正するものである。このため、カメラ10は、図示しないぶれ検出手段を有する。また、撮像ユニット15は、CCD23を支持するXYステージ33のY方向の位置およびX方向の位置を、例えばホール素子39a、39bにより構成されるX位置センサおよびY位置センサによりそれぞれ検出する。これらの、検出されたぶれおよびX位置およびY位置の情報に基づき、カメラ10の図示しない制御機構が、カメラ10のぶれによるCCD23撮像面上の像ぶれを打ち消すようにCCD23を移動制御する。
【0027】
図3に示すように撮像ユニット15は、カメラボディ1内部に固定支持される固定ステージ31と、固定ステージ31に対してY方向に相対移動可能なYステージ32と、光学LPF(low-pass filter)22とCCD23が搭載され、Yステージ32に対してX方向に相対移動可能、言い換えると、固定ステージ31に対してX−Y平面上を相対的に移動可能なXYステージ33とを備えている。
【0028】
固定ステージ31は、中央領域に光軸O方向に開口部を有する枠体31aと、枠体31aの後方に設けられた平板状のベース部材31bとを備える。ベース部材31bは、カメラボディ1内に固定するためのねじ孔を有している。また、ベース部材31bは、中央部に後方へZ方向に見て矩形の突出部を有する。この矩形の突出部の底面を形成する底部31cは、光軸Oに直交する平面となっている。
【0029】
枠体31aには、Y方向に延びる一対のガイド軸34a,34bが光軸Oを挟んで間隔を開けて平行に配置されている。また、枠体31aの内側部には、駆動磁石として、直方体形状の4個の永久磁石35a,35b,35c,35dが配置されている。この4個の永久磁石35a〜35dは、二個を一組として対を形成する。一対の永久磁石35a、35bは、一対のガイド軸34a、34bの外側にこれらガイド軸34a、34bと平行に配置されている。また、他の一対の永久磁石35c、35dは、X−Y平面内で撮影レンズ21の光軸を挟んでY方向に間隔を開けて対向配置されている。
【0030】
また、ベース部材31bは、軟磁性の金属からなり、枠体31aと固定され、永久磁石35a〜35dのZ方向後方の端面と固着されている。さらに、ベース部材31bの底部31cには、後述するセンタクランプ機構41と、これと一体となった放熱機構50とが配置されている。
【0031】
Yステージ32は、中央領域に光軸O方向が貫通する開口部を有する矩形の枠体であり、X方向に延びる一対のガイド軸36a、36bが、光軸Oを挟んで、Y方向に間隔を開けて設けられている。さらに、Yステージ32にはY方向に間隔を開けて対向する2組の軸受け形状のガイド軸穴32a,32a’および32b,32b’を有する突出片がYステージのX方向両側部に形成されている。ガイド軸穴32a,32a’には、固定ステージ31のガイド軸34aが摺動可能に嵌入し、ガイド軸穴32b,32b’には、固定ステージ31のガイド軸34bが摺動可能に嵌入している。これにより、Yステージ32がY方向に移動可能となる。
【0032】
XYステージ33は、Y方向に張り出す一対のコイル取付板部33a、33bと、X方向に張り出す一対のコイル取付板部33c、33dとを有する矩形の枠体である。また、XYステージ33の中央部には、光学LPF22とCCD23とが、Z方向前方から順に光軸Oと直交するように固定されている。
【0033】
光学LPF22は、XYステージ33の中央開口部前面部にゴム部材27を介して支持されている(図4参照)。
【0034】
CCD23は、CCDプリント基板25に実装された状態でXYステージ33の上記中央開口部後方に支持されており、全面に保護ガラス24が装着されている。また、プリント基板25には、接続用フレキシブルプリント基板26が接続されている。
【0035】
さらに、XYステージ33のコイル取付板33aおよび33bの背面側には、それぞれ、X方向に間隔を開けて対向する一対の軸受け形状のガイド軸穴が形成され、このガイド軸穴に、Yステージ32の一対のガイド軸36a、36bが嵌入し、X方向に摺動可能に支持されている。XYステージ33は、固定ステージ31およびYステージ32によってX−Y平面に沿って移動可能に保持され、光軸Oと直交する平面上を移動する案内ステージとして機能する。
【0036】
一対のコイル取付板部33a、33bにはそれぞれ扁平かつ渦巻き状の電磁駆動手段であるコイル体37、37’が直列接続されて貼り付けられている。また、一対のコイル取付板部33c、33dにはそれぞれ扁平かつ渦巻き状の電磁駆動手段であるコイル体38、38’が貼り付けられている。コイル体38、38’も、直列接続されている。
【0037】
各コイル体37、37’は、それぞれ永久磁石35c、35dの前方に隣接して配置される。また、各コイル体38、38’は、それぞれ永久磁石35a、35bのZ方向前方に隣接して配置される。一対のコイル体37、37’は、Y方向にXYステージ33を駆動させるのに用いられ、一対のコイル体38、38’は、X方向にXYステージ33を駆動させるのに用いられる。
【0038】
また、XYステージ33の位置検出素子にはホール素子が用いられる。詳しくは、一対のコイル取付板部33a、33bの一方のコイル取付板部33bに位置検出素子としてのホール素子39aが配され、同様に一対のコイル取付板部33c、33dの一方のコイル取付板部33dにはホール素子39bが配されている。
【0039】
図4は、固定ステージ31、Yステージ32、XYステージ33が下から順に適正に配置された状態が示されている。永久磁石35aは、固定ステージ31の枠体31aおよびベース部材31bに固着され、ベース部材31bと反対側(すなわちZ方向前方)の端面は、コイル体38に対向している。なお、固定ステージ31の底部31cには、XYステージ33をセンタ位置に保持した状態で、永久磁石33gおよび磁性材33jと底部31cが干渉することを防止するための貫通孔31dが設けられている。
【0040】
撮像ユニット15に備えられるセンタクランプ機構41は、像ぶれ補正用コイルであるコイル体37,37’,38,38’の非通電時にXYステージ33をセンタ位置に保持するためのセンタクランプ機構である。このセンタクランプ機構は、図4に示すように、固定ステージ31の底部31cとXYステージ33との間に配されており、固定ステージ側に設けられたクランプピン42、クランプ用コイル46および付勢バネ45と、XYステージ側に設けられた係合穴33h、永久磁石33gおよび磁性材33jとを含んで構成されている。
【0041】
クランプピン42は、磁性体からなる押圧部材であり、固定ステージ31の底部31cに摺動可能に貫通して支持されている。クランプピン42の先端部はテーパ状となっておりこの先端部の直後に止め輪が形成されている。クランプ用コイル46は、このクランプピンの先端部の止め輪と固定ステージ31の底部31cとに当接するように、クランプピン42に巻回されている。また、付勢バネ45は、クランプピン42が底部31cのピン穴を後方に突出した部分に挿入され、さらに、クランプピン42の後端に設けられたE型止め輪43に後端部が当接している。
【0042】
係合穴33hは、XYステージ33がセンタ位置、すなわち、CCD23の中心が光軸Oと一致する位置にあるとき、クランプピン42と係合する位置に設けられたテーパ状の穴として形成されている。永久磁石33gおよび磁性材33jは、一端部が前方のXYステージ33に固着されており、他端部が底部31cの貫通穴31dに向かって延びている。また、永久磁石33gは、厚さ方向(X方向)に着磁されている。また、磁性材33jは、永久磁石33gの背面側への磁束漏れを防ぐためのであり、クランプ用コイル46から見て永久磁石33gの背面側に接して配置されている。
【0043】
センタクランプ機構41において、クランプ用コイル46に電流が流れていない状態では、クランプピン42は、図4に示すように付勢バネ45の付勢力によって後方側に移動しており、テーパ状の先端部は、XYステージ33の係合穴33hから脱出した状態、すなわち、XYステージ33がX−Y平面上を移動可能な状態(リリース状態)になっている。
【0044】
XYステージ33がセンタ位置にあるとき、クランプ用コイル46に電流を流すと、永久磁石33gの磁場との間で生じる電磁力により、クランプピン42が、当該クランプピン42に固着された後述する可動部材51と共に前方に移動し、テーパ状の先端部42aがXYステージ33の係合穴33hに嵌入し、係合状態となる。この係合状態では、XYステージ33は、上記センタ位置にクランプされる。次に、XYステージ33がセンタ位置にクランプされた状態で、クランプ用コイル46を流れる電流を停止すると、クランプ用コイル46に働いていた電磁力が消滅し、付勢バネ45によりクランプピン42が可動部材51とともに後方へ変位する。したがって、本実施の形態では駆動手段は、永久磁石33g、クランプピン42、クランプ用コイル46および付勢バネ45を含む電磁駆動機構として構成される。
【0045】
一方、図5に示すように、XYステージ33のコイル取付板部33d側の枠体底部には、永久磁石33fが設けられている。永久磁石33fは、XYステージ33のガイド軸穴とガイド軸36a、36bとの間のガタ取り、さらに、ガイド軸穴32a、32a’と32b、32b’とに対するガイド軸34a、34bのガタ取りを行うために設けられている。
【0046】
次に、図4を用いてCCD23により生じる発熱の放熱機構50について説明する。まず、XYステージ33は、CCD23の背面側に、絶縁シート28とプリント基板25とこのプリント基板25と接続されたFPC基板26とが順次配置され、さらに背面側に配置された板状伝熱部材である熱伝導性の高いアルミニウム製の薄板等で構成される押え板29によって支持される。これによって、CCD23で発生した熱は、効率よく押え板29に伝熱される。なお、押え板29と固定部材である固定ステージ31の底部31cとは、略平行となっている。
【0047】
また、可動部材51は、クランプピン42および他の2つの図示しないクランプピンと嵌合し、これらにより支持されて、固定ステージ31の底部31cと押え板29との間に配設される。この可動部材51は、クランプピン41の変位に伴い、底部31cおよび押え板29の間を、撮影レンズ21の光軸方向に変位することができる。可動部材51の材質は、例えば、球状黒鉛やカーボンが充填された黒色のPPS樹脂である。
【0048】
可動部材51は、撮影レンズ22の光軸が通る周辺に凹部を有し、この凹部に熱吸収体52が、両面に接着剤を施した金属ベース53を介在して固着される。熱吸収体52は、例えば、空孔にアルミ粉やシリコンゲルあるいはカーボン繊維が充填された黒色合成樹脂(PPS樹脂やPC樹脂)を基本する多孔質材料により構成される熱伝導性の高いシートである。このシートは、多孔質金属のメッキ(蒸着)をPPS樹脂などの表面に施すことにより生成する。または、熱吸収体52の押え板29と接触する表面に、グラファイトを配置し、そのグラファイトと金属ベース53との間に多孔質材料を積層させる。このようにすることによって、押え板29と熱吸収体52との接触による音の発生を防止することができるとともに、平面度の悪い押え板との接触面積を増加させて熱伝導効率を高めることができる。
【0049】
なお、熱吸収体52は、多孔質構造に代えて、シリコン柱状やシリコンゲル材の液体を用いてよい。
【0050】
また、固定ステージ31の底部31cと可動部材51との間には、熱伝導手段である弾性力を持つシリコンやグラファイト製の熱伝導性ゴムシート54を介在させる。このシート54としては、底部31cと可動部材51との間で常時熱伝導性ゴムシート54に圧縮力がかかる程度のシート厚を選択する。すなわち、クランプピン42の先端部と係合穴33hとが係合して、可動部材51が最も前方へ変位した状態においても、熱伝導性ゴムシート54と、固定ステージ31の底部31cおよび可動部材51との接触が維持されるようにする。
【0051】
さらに、例えば、熱伝導性ゴムシート54と固定ステージ31の底部31cとの間、または、熱吸収体52と可動部材51内の金属ベース53との間には、図視しない温度センサが埋め込まれており、CCD23の周辺の温度を検出する。温度センサによる検出温度は、カメラ10の図示しないシステムコントローラ内のCPUに伝達される。
【0052】
また、熱伝導性ゴムシート54の外側の可動部材51と固定ステージ31の底部31cとが対向する部分には、可動部材51および底部31cに、それぞれ反射率の高い反射シート56および発光素子と受光素子とが一体化したフォトリフレクタ55が、対向して設けられる。これら反射シート56およびフォトリフレクタ55は、可動部材51の固定ステージ31に対するZ方向の変位を測定するために設けられている。
【0053】
次に、本実施の形態のカメラ10のCCD23で発生した熱を、カメラ10の外部へ放熱する放熱経路について説明する。
【0054】
固定ステージ31の背面側には、図示しないシールド板、液晶パネル6、アクリル製のパネル表示窓5が配置されており、固定ステージ31はこれらと伝熱関係にある。
【0055】
発熱源のCCD23の背面側の熱の一部は、空気層、光学LPF22、さらに空気層を介して放熱されるが、他の多くの部分は、アルミニウム製の押え板29に熱伝達される。このとき、熱吸収体52が押え板29と接触している場合は、押え板29の熱は、この熱吸収体52を介して効率よく可動部材51に伝達され、さらに、可動部材51から熱伝導性ゴムシート54を介して固定ステージ31の底部31cに伝達される。固定ステージ31に伝達された熱は、図示しない熱伝導性シート等を介して効率良くシールド板に伝達され、そのまま、外部に放熱されたり、液晶パネル6側に伝達され、さらに、空気層やアクリル製のパネル表示窓5を介して外部へ放熱されたりする。したがって、熱吸収体52が押え板29と接触している状態では、撮像ユニット15は、従来例よりも効率良く放熱することができる。一方、熱吸収体52が押え板29と接触していない場合は、押え板29の熱は熱吸収体52に効率よく伝達されず、放熱効率が低下する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る撮像ユニット15の動作について説明する。この撮像ユニット15は、温度センサによる検出温度に基づき、カメラ10の図示されていないシステムコントローラ内のCPUにより制御される。
【0057】
図6は、ライブビュー動作時の温度センサの検出温度によるカメラ10の制御を説明する図である。図6において、T1〜T4は、CPUが撮像ユニットに対する制御を行ううえで判定基準となるCCD23背面側の温度の判定値であり、T3は第1の温度であり、T1は第2の温度である。これらの判定値はT1<T2<T3<T4の大小関係を有する。これらの判定値T1〜T4は、制御パラメータとして図示しないフラッシュROMに記録される。なお、CCD23の背面側の温度と温度センサの検出温度との温度差を考慮して、検出温度からCCD23背面側の温度を導出するものとする。
【0058】
以下では、検出温度が十分に低い状態からカメラ10のスイッチがオンされてカメラ動作が開始し、ユーザが例えばライブビュー動作を選択したとする。この状態では、クランプ機構41のクランプ用コイル46には電流が流されず、クランプピン42のE型止め輪43は、付勢バネ45によって後方に押される。その結果、クランプピン42と嵌合する可動部材51は、後方に位置し熱吸収体52は押え板29と離間した状態となる。
【0059】
ライブビュー動作開始後、CCD23の背面側の温度Tが判定値T2より低い状態では、液晶モニタの表示レート(すなわち、CCD23からの画像読み出しレート)は30fpsに設定される。CCD23が連続的に動作するためにCCD23の背面側の温度Tが上昇し、時刻t1においてTが判定値T2を上回ると、CPUの制御により、液晶モニタの表示レートを30fpsから15fpsへ変更する。表示レートを下げることでCCD23の温度上昇は抑制される。
【0060】
しかし、カメラの外気温が高い場合など、撮像素子の温度上昇を十分に抑制できない場合もある。この場合、例えば、時刻t2に温度Tが判定値T3を超えたとすると、液晶モニタの表示レートを低下させたまま、さらに、撮像素子の熱を効率よく逃がすために、図示しないクランプ用アクチュエータ駆動回路によりクランプ用コイル46に通電して、可動部材51を上昇させ、押え板29に多孔性部材により構成される熱吸収体52を、多孔性材料が縮んだ状態となるように圧着させる。この圧着動作によって、CCD23の背面で発生した熱が伸縮可能な多孔性材料の熱吸収体52を介して金属ベース53を有する可動部材51に伝熱され、さらに可動部材51の熱は熱伝導の高いシリコンゴムシートやグラファイトシートから構成される熱伝導性ゴムシート54を介して固定ステージ31の底部31cに伝熱され、シールド板、液晶パネル6およびアクリル製のパネル表示窓5から放熱される。
【0061】
通常は、このような2つの温度上昇防止動作、すなわち、表示レートの変更動作と、熱吸収体52を介しての放熱動作とによってCCD23の温度上昇は止まり、温度は次第に低下する。そこで、図6に示すように、時刻t3は、温度Tが判定値T1以下に低下すると、CPUの制御により、液晶モニタの表示レートが15fpsから30fpsへ変更されるとともに、クランプ用コイル46は非通電となり圧着動作が解除され、2つの温度上昇防止動作が停止する。なお、判定値T2より低い温度の判定値T1になるまで温度上昇防止動作を停止しないのは、判定値T2を基準に温度上昇防止動作の開始と停止とを制御すると、温度Tが判定値T2近傍にあるときに動作が不安定になるためであり、不感帯領域を確保するためである。
【0062】
一方、上記の2つの温度上昇防止動作を行ったにも関わらず、温度上昇が止まらず、時刻t4において判定値T4を超えた場合には、カメラ10のシステムを強制的に停止させる。
【0063】
以上の説明は、ライブビュー動作に伴いCCD23の温度が上昇する場合を仮定したが、ユーザがライブビュー動作を選択しない場合であっても、例えば、連続撮影モードにおいてユーザがレリーズスイッチを押した状態を維持する場合のように、連続的に撮影動作を実行した際にも、撮像素子の温度は同様に上昇し得る。このような場合にも、上記の2つの温度上昇防止動作が実行される。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、温度センサにより検出されるCCD23の温度に応じて、可動部材51を変位させる駆動手段を備えたので、XYステージ33と固定ステージ31との間に介在する放熱構造を複雑化させることなく、検出される温度がT3を超えた場合は、熱吸収体52を押え板29に圧着して、CCD23の発する熱を可動部材51、熱伝導性ゴムシート54、固定ステージ31を介して、カメラ外部へ効率良く放熱させることができる。また、検出される温度がT1よりも低くなった場合は、熱吸収体52を押え板29から離間させ、放熱動作を解除させることができる。
【0065】
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態に係る撮像ユニット15の光軸を通りX方向に沿う横断面図を含む部分断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係る撮像ユニット15の可動部材51の駆動手段に代えて、異なる構成の駆動手段を用いるものである。すなわち、本実施の形態では、第1実施の形態で用いた永久磁石33g、クランプピン42、クランプ用コイル46および付勢バネ45を含む駆動手段に代えて、固定ステージ31の底部31cに固定され、Z軸に沿ってZ方向前方に延びるコイル指示板63、コイル支持板に固定された扁平コイル65および可動部材51に固定した第2磁石66を駆動手段として用いている。
【0066】
コイル支持板63は、Y方向に見た断面がL字型の部材であり、L字の一端がネジで固定ステージ31の底部31cに固定され、直角に屈曲して底部31cに設けられた開口部31eを通り、Z方向前方へ可動部材51の開口部51aまで延びている。コイル支持板63のZ方向へ延びる平板部分には、図8に示すように、ホール素子64とこのホール素子64の周りに小判型(矩形形状)の扁平コイル65が接合され、第2磁石66と対向している。
【0067】
図8(a)は、コイル支持板63をX方向(図7において左から右方向)に見た図である。また、図8(b)は、コイル支持板63をY方向(図7において正面)に見た図である。第2磁石66は、2つの扁平な矩形形状の永久磁石を前後(図8において上下)に結合したものであり、前側の磁石はN極、後側の磁石はS極が扁平コイルに対向している。ホール素子は、第2磁石66の磁極の境界の上下位置を検出することにより、可動部材51の位置を検出する。
【0068】
図9は、前方(物体側)のCCD23側から撮像ユニット15を見た平面図である。可動部材51は、嵌合している3つの位置決めピン68a、68b、68cにより位置決めされている。また、XYステージ33には、位置決めピン68aの契合する位置に1つの円形の位置決め孔と、位置決めピン68bおよび68cの係合する位置に、それぞれ長軸方向がX方向およびY方向の2つの楕円形状の位置決め孔とが設けられている。この位置決めピン68a〜68cは、図7に示すように止めネジ62a〜62cで固定される板ばね61a〜61cで後方に付勢されている点で、第1実施の形態のクランプピン42と異なっている。また、熱伝導性ゴムシート54a、54bは、コイル支持板63を挟んで2つのY方向に長辺を有する長方形状のシートとなっている。
【0069】
その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の電子カメラにおいても、図6を用いて説明したのと同様に、CCD23の温度によるカメラ制御を行うものとする。
【0070】
以上のような構成によって、本実施の形態によれば、第1実施の形態において説明した温度Tが判定値T3を超えた場合の押え板29に熱吸収体52を圧着するための可動部材51の上昇駆動を、図示しないクランプ用アクチュエータ駆動回路により扁平コイル65に通電することによって行うことができる。また、押え板29に対する熱吸収体52の圧着状態の解除は、扁平コイル65の通電を停止することにより行うことができる。その他の作用は、第1実施の形態と同様である。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の効果を有し、さらに、撮像ユニット15内の光軸の周辺に駆動手段を設けたので、一組のコイルと磁石の組み合わせにより可動部材51を駆動することができ、第1実施の形態に係る撮像ユニットよりもより単純で安価な装置構成とすることができる。
【0072】
(第3実施の形態)
図10は、本発明の第3実施の形態に係る撮像ユニット15の光軸を通りX方向に沿う部分断面図である。本実施の形態は、固定ステージの構成が、第1実施の形態と異なっている。
【0073】
図10では、Yステージ、および、XYステージ並びにYステージのガイド機構と駆動機構とは省略している。XYステージ33は、CCD23の前面には保護ガラス24が設けられ、背面側にはフレキシブルプリント基板26およびアルミニウム製の薄板等の押え板29が設けられている。第1実施の形態に含まれる光学LPF22は、図10では省略している。一方、固定ステージとしては、カメラ本体と固定される固定部材である固定放熱板77が設けられ、この固定放熱板77上には可動部材である可動放熱板71と、熱吸収体72と、熱伝導手段である熱伝導性シート76と、ワイヤ部材78、81と、マイクロベローズ79と、固定放熱板77に対して可動放熱板71を駆動する駆動手段とが配置されている。
【0074】
ここで、駆動手段はガイド軸73、圧縮コイルばね74および形状記憶合金ばね75を含んで構成されている。ガイド軸73は、固定放熱板77の3箇所からZ方向前方に延びる円柱状のガイド軸73であり、それぞれのガイド軸73は、可動部材である可動放熱板71を摺動可能に貫通し、この可動放熱板71を3箇所で保持している。また、形状記憶合金ばね75は、固定放熱板77と可動放熱板71との間に、また、圧縮コイルばね74は、ガイド軸73の上端に設けられた止め輪と可動放熱板71との間に、それぞれ、ガイド軸73に巻線して設けられている。
【0075】
ここで、形状記憶合金ばね75に使用する形状記憶合金は、マルテンサイト変態終了温度以下に冷却するとマルテンサイト変態を生じて、オーステナイト相からマルテンサイト相に変化する一方、通電により逆変態終了温度以上に加熱すると、マルテンサイト相からオーステナイト相に変化する相変態を生ずるものである。このような形状記憶合金ばね75は、非通電状態では、マルテンサイト相の状態であって、圧縮コイルばね74の弾性力と釣り合うばね力を呈し、通電することにより発熱してオーステナイト相に変態することで伸長する方向に変化しようとし、圧縮コイルばね73に抗するばね力を駆動力として発生する。
【0076】
可動放熱板71は、上述のように、3つのガイド軸73と摺動することにより、Z方向への変位可能な部材であり、その前方には撮影レンズ21の光軸が通る周辺に凹部を有し、この凹部に熱吸収体72が後方(図10において下側)部分を嵌め込むように固着される。また、凹部の外側には、放熱フィン71aが、押え板29に向けて突出するように埋め込んで設けられている。
【0077】
熱伝導性シート76は、固定放熱板77と可動放熱板71との間に設けられた、グラファイトシート、シリコンゴムシート等の熱伝導性の高いシート状の部材である。この熱伝導性シート76には、可動放熱板71と固定放熱板77との間で常時圧縮力がかけられており、可動放熱板71が最も前方へ変位した状態においても、熱伝導性シート76と、可動放熱板71および固定放熱板77双方との接触が維持されるようになっている。
【0078】
さらに、熱吸収体72の固定放熱板77側は、可動放熱板71を貫通する拠り線などのワイヤ部材78によって、熱伝導性シート76内の空洞部に設けられたマイクロベローズ79の一端に接続される。さらに、マイクロベローズ79の他端は、熱伝導性シート76と固定放熱板77との間に配設されたワイヤ部材81の一端に接続される。ワイヤ部材81の他端は、固定放熱板77に止めねじ82で熱的に接続される。マイクロベローズ79は、固定放熱板71側の端部が接着材で固定されており、可動放熱板71の変位に応じて伸縮して、ワイヤ部材78を介する熱吸収体72と固定放熱板77との間の熱的な接触を維持する。マイクロベローズ79の材質としては、燐青銅などの金属、または、熱伝導率の高いPC(ポリカーボネイト)などの合成樹脂材料を用いることができる。
【0079】
なお、ワイヤ部材78とワイヤ部材81とを接続するために、マイクロベローズ79に代えて、圧縮性コイルばねや板ばねを設けても良い。
【0080】
また、固定放熱部材77には、カメラ10内の他の発熱源からの熱を固定放熱板77に放熱するための予備放熱部83が設けられている。例えば、特開2008−48220公報に開示された像ブレ補正装置は、YステージやXYステージをそれぞれY軸やX軸方向に駆動するモータや駆動ユニットを有する。このような、モータで発生した熱を固定放熱板77に放熱させることもできる。
【0081】
その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の電子カメラにおいても、図6を用いて説明したのと同様に、CCDの温度によるカメラ制御を行うものとする。
【0082】
以上のような構成により、本実施の形態によれば、CCD23の温度が第1の温度である判定値T3より低く形状記憶合金ばね75に通電されていない状態では、圧縮コイルばね74の弾性力と形状記憶合金ばね75のばね力とは釣り合っており、この状態では、熱吸収体72は、CCD23の背面側のFPC基板を保持する押え板29とは非接触状態にある。
【0083】
一方、CCD23の温度が判定値T3以上となると、形状記憶合金ばね75に通電して発熱させオーステナイト相に変態させることで形状記憶合金ばね75が伸長する方向に変化し、圧縮コイルばね74に抗するばね力を駆動力として発生する。この際、形状記憶合金ばね75は、ガイド軸73を介する経路Aの伝熱によって予熱されているので、形状記憶合金ばね75に対する通電電流は小さくても良く、消費電力の低減を図ることができる。
【0084】
形状記憶合金ばね75の発生する駆動力により、可動放熱板71はガイド軸73にガイドされつつFPC基板26を保持する押さえ板29側に移動し、押え板29に対して熱吸収体72が圧着され縮んだ状態となる。よって、CCD23に発生した熱は、押さえ板29、熱吸収体72を介して可動放熱板71に伝熱される。また、この熱の一部は放熱用フィン71aで空気中に放熱される。そして、可動放熱板71の熱は、ガイド軸73を介する経路A、熱伝導性シート76を介する経路Bによって固定放熱板77側に良好に伝熱される。また、熱吸収体72の熱は、ワイヤ部材78を介する経路Cによっても固定放熱板77側に良好に伝熱される。このようにして、CCD23に発生した熱に対する放熱経路が形成され、CCD23の温度上昇が抑制される。
【0085】
その後、CCD23付近の温度が第2の温度である判定値T1以下に低下すると、図示しないCPUの制御により、形状記憶合金ばね75に対する通電が停止される。その結果、形状記憶合金ばね75の温度が低下すると、形状記憶合金ばね75はマルテンサイト相に変態し、圧縮コイルばね74の弾性力と釣り合う元の位置に可動放熱板71が復帰し、熱吸収体72が押え板29から離間した状態となる。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、駆動手段に形状記憶合金ばね75を使用したので、この形状記憶ばね75に通電することによって、可動放熱板71を変位させることができ、第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では放熱フィン71aおよびワイヤ部材78を用いた放熱経路を設けることによって、熱吸収体72の熱をより効率良く放熱させることができる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、撮像装置としてはレンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラに限らず、例えばコンパクト型のデジタルカメラや、撮影機能を有する携帯電話、携帯情報端末、ノート型パーソナルコンピュタ、電子医療機器などであっても同様に適用することができる。
【0088】
また、撮像素子としてはCCDを使用したが、CMOS等の他の撮像素子を使用しても良い。さらに、表示素子は、LCDとしたが、有機EL等他の表示素子を使用しても良い。
【0089】
また、熱伝導手段は、シリコンやグラファイトシートおよび拠り線等の金属線に限られず、内壁にウイックを形成したフレキシブルなヒートパイプや複数の圧縮コイルばねを用いたものに置き換えても良い。
【0090】
さらに、上述の第1および第2実施の形態における駆動手段では、固定部材側にクランプ用コイル、または、扁平コイルを配置し、可動部材側に永久磁石を配置したが、これとは逆に、固定部材側に永久磁石を配置し、可動部材側にコイルを設けることにより駆動手段を構成しても良い。
【0091】
また、この種のカメラにあっては、CCDデバイスの備える画素数より高い画素数で撮影する画素ずらし法という手法がある。この技術は、例えば、普通に撮影した画像と、撮像素子を載せた可動部を1/2画素ずつ斜めに変位させて撮影した2枚の画像とを連続撮影し、シャッタースピードを半分とする技術である。本発明は、撮像素子24を手ぶれ防止のために光軸に直交する2次元方向に変位移動させる場合に限らず、このように、画素ずらしのために撮像素子を光軸に直交する2次元方向に変位移動させる場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 カメラボディ
2 レンズユニット
3 外装カバー
3a グリップ部
4 マウント部
5 パネル表示窓
6 液晶パネル
7 ファインダ窓
8 ホットシュー
9 クイックリターンミラー
9a サブミラー
10 カメラ
11 AFセンサユニット
12 ミラーボックス
13 フォーカルプレーンシャッタ
15 撮像ユニット
16 ダハミラー
17 接眼レンズ
18 電池
19 電池収納室
21 撮影レンズ
22 光学ローパスフィルタ(光学LPF)
23 CCD
24 保護ガラス
25 プリント基板
26 フレキシブルプリント基板
27 ゴム部材
28 絶縁シート
29 押さえ板(板状伝熱部材)
31 固定ステージ(固定部材)
31a 枠体
31b ベース部材
31c 底部
31d 貫通孔
31e 開口部
32 Yステージ
32a,32a’ ガイド軸穴
33 XYステージ
33a〜33d コイル取付板部
33e,33f 永久磁石
33g,33i 永久磁石
33h 係合孔
33j 磁性材
34a,34b ガイド軸
35a〜35d 永久磁石
36a,36b ガイド軸
37,37’ コイル体
38,38’ コイル体
39a,39b ホール素子
41 センタクランプ機構
42 クランプピン(押圧部材)
43 E型止め輪
44 E型止め輪
45 付勢バネ(弾性部材)
46 クランプ用コイル
50 放熱機構
51 可動部材
51a 開孔部
52 熱吸収体
53 金属ベース
54,54a,54b 熱伝導性シート(熱伝導手段)
55 フォトリフレクタ
56 反射シート
57 磁性材
61a,61b 板ばね
62 止めネジ
63 コイル支持板
64 ホール素子
65 扁平コイル
66 第2磁石
67 接着材
68a〜68c 位置決めピン
71 可動放熱板(可動部材)
71a 放熱フィン
72 熱吸収体
73 ガイド軸
74 圧縮コイルばね
75 形状記憶合金ばね
76 熱伝導性シート(熱伝導手段)
77 固定放熱板(固定部材)
78 ワイヤ部材
79 マイクロベローズ
81 ワイヤ部材
82 止めねじ
83 予備熱伝導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズの光軸と直交するXY方向に変位可能なXYステージと、
該XYステージに配置され、前記撮影レンズによる被写体像が結像される撮像素子と、
該撮像素子の背面と熱的に結合し、且つ、前記XYステージの変位に伴い前記撮像素子とともに変位する板状伝熱部材と、
前記板状伝熱部材の前記撮像素子の背面側に対向する放熱性の固定部材と、
前記板状伝熱部材と前記固定部材との間に、前記撮影レンズの光軸方向に変位可能に設けられた可動部材と、
前記可動部材の前記板状伝熱部材側に結合した熱吸収体と、
前記固定部材と前記可動部材との間に前記固定部材と前記可動部材の双方と常時接触するように配置された熱伝導手段と、
前記撮像素子周辺の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出される前記撮像素子周辺の温度に応じて、前記固定部材に対して前記可動部材を変位させる駆動力を発生させる駆動手段とを備え、
前記温度センサにより検出される温度が第1の温度以上となったときは、前記駆動手段により、前記可動部材が前記板状伝熱部材側に駆動され前記熱吸収体を前記板状伝熱部材に圧接し、その後、前記温度センサにより検出される温度が前記第1の温度より低い第2の温度以下となったときは、前記駆動手段により、前記可動部材が前記固定部材側に駆動され前記熱吸収体を前記板状伝熱部材から離間させるように構成したことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記XYステージには、前記撮像素子の被写体像が結像される面の前面に、ローパスフィルタが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記固定部材および前記可動部材の一方にコイルを備え、他方に永久磁石を備える電磁駆動機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記駆動手段は、通電されることにより駆動力としてばね力を発生する形状記憶合金ばねを有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記形状記憶合金ばねは、前記可動部材と前記固定部材との間に配置されることを特徴とする請求項4に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像ユニットを備えた電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−268133(P2010−268133A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116723(P2009−116723)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】