説明

撮像装置、撮像プログラム、及び撮像方法

【課題】現在のカメラの回動方向と新たに指示された回動方向とに基づいて、カメラの回動角度を設定することで、簡単な操作でカメラの向きを撮像の対象物に向けることが可能な撮像装置、撮像プログラム、及び撮像方法を提供する。
【解決手段】ユーザによるカメラの撮像部の回動の方向の指示に対応した方向信号が取得されると、撮像部の回動方向、回動角度、及び回動速度が設定され(S23)、回動が開始される(S24)。撮像部の回動中に、新たに方向信号が取得され(S25:YES)、方向信号に基づく方向が現在設定されている回動方向の逆方向である場合(S28:YES)、現在設定されている回動角度より小さい角度が新たな回動角度として設定され、現在設定されている回動速度より遅い速度が新たな回動速度として設定される(S23)。そして、逆方向への回動が開始される(S24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮像する撮像装置、撮像プログラム、及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を撮像するカメラを回動させ、撮像する向きを変更する撮像装置が知られている。このような撮像装置としては、カメラの向き等を指示するためのカメラ操作パネルと、カメラからの映像を表示するカメラ映像ウィンドウとをディスプレイに表示し、ユーザがカメラ操作パネルの操作キー等を操作して、カメラの向きを変更することができる撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−237533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の撮像装置では、カメラの回動角度は、例えば、操作キーを押し続ける時間によって定められている。このため、移動量を大きくしたい場合には、操作キーを長時間押下し、移動量を小さくしたい場合には操作キーを短くする必要がある。操作キーの押下時間の調整で、カメラの移動量を調整しているため、カメラの向きを撮像の対象物に向けるための操作が煩雑だった。
【0005】
本発明の目的は、現在のカメラの回動方向と新たに指示された回動方向とに基づいて、カメラの回動角度を設定することで、簡単な操作でカメラの向きを撮像の対象物に向けることが可能な撮像装置、撮像プログラム、及び撮像方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る撮像装置は、画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得手段と、前記方向取得手段によって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定手段と、前記方向取得手段によって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定手段と、前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御手段とを備え、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、前記角度設定手段は、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。
【0007】
この場合、新たな指示方向と、現在設定されている回動方向との関係に応じて、撮像手段の回動角度を設定することができる。このため、ユーザが撮像装置に対して方向を指示するだけで、回動角度が自動で設定され、回動が開始される。よって、簡単な操作で撮像手段を撮像の対象物に向けることができる。
【0008】
前記撮像装置は、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、新たな前記指示方向が、現在設定されている前記回動方向と同じ方向か、逆方向かを判断する方向判断手段を備え、前記方向判断手段によって新たな前記指示方向が現在設定されている前記回動方向とは逆方向であると判断された場合に、前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。
【0009】
この場合、撮像の対象物に撮像手段を向ける場合において、撮像手段が対象物を通過した場合に、ユーザが逆方向を指示すれば、現在設定されている回動角度より小さい回動角度で逆方向に回動する。小さい回動角度で回動するので、回動終了後、撮像手段の向きが対象物に合う確率が高くなる。仮に、逆方向に回動した場合に撮像手段の向きが対象物を通過した場合でも、現在設定されている回動方向の逆方向をさらに指示すれば、さらに小さい回動角度で回動するので、撮像手段の向きが対象物に合う確率が高くなる。このように、容易に撮像手段を撮像の対象物に向けることができる。
【0010】
前記撮像装置において、前記方向判断手段によって新たな前記指示方向が現在設定されている前記回動方向と同じ方向であると判断された場合に、前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より大きい角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。この場合、撮像の対象物に撮像手段を向ける場合において、対象物の大まかな位置を捜索したい場合、撮像手段のユーザが現在設定されている回動方向と同じ方向を指示すれば、回動角度が大きくなる。このため、対象物の大まかな位置を早く捜索することができる。
【0011】
前記撮像装置は、前記回動制御手段による前記撮像手段の回動の制御が終了された後において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、計時手段により計時された、前記回動制御手段による前記撮像手段の回動の制御が終了されてからの経過時間が、予め設定された所定時間以下であるか否かを判断する経過時間判断手段を備え、前記経過時間判断手段によって前記経過時間が前記所定時間以下であると判断された場合に、前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。この場合、回動制御手段による撮像手段の回動が終了された後に、ユーザによって所定時間内に回動の方向が指示されると、自動的に回動角度を設定して、撮像手段を回動させることができる。
【0012】
前記撮像装置は、前記回動制御手段の制御によって前記撮像手段が回動している途中で、前記撮像手段の回動を停止させるユーザによる指示に応じた信号である停止信号を取得する停止信号取得手段と、前記停止信号取得手段によって前記停止信号が取得された場合に、前記回動制御手段の制御による前記撮像手段の回動を停止させる停止手段とを備え、前記停止手段によって前記撮像手段の回動が停止された後において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。この場合、ユーザが停止を指示すると、次に回動方向を指示した場合の回動角度が小さくなる。このため、撮像手段を対象物に向け易い。
【0013】
前記撮像装置は、前記撮像手段をズームインさせるズーム制御手段を備え、前記ズーム制御手段が前記撮像手段をズームインさせた場合において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。撮像手段がズームインされると、同じ回動角度でも、撮像された画像中の対象物は画像中を大きく移動する。この場合でも、撮像手段がズームインされると回動角度を小さくするので、画像中の対象物の移動量が少なくなり、撮像手段の向きの微調整がし易くなる。
【0014】
前記撮像装置において、前記駆動手段は前記撮像手段を複数の軸線回りに回動させることが可能であり、前記回動制御手段は、前記方向設定手段によって設定された回動方向に対応した前記軸線回りに前記撮像手段を回動させる。この場合、複数の軸線回りに撮像手段を回動させることができる。よって、回動角度の増減の制御を複数の軸線回りの回動で行うことができる。
【0015】
前記撮像装置は、前記方向取得手段によって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる速度である回動速度を設定する速度設定手段を備え、前記速度設定手段は、前記角度設定手段が現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定する場合に、現在設定されている前記回動速度より遅い速度を新たな前記回動速度として設定し、前記角度設定手段が現在設定されている前記回動角度より大きい新たな角度を前記回動角度として設定する場合に、現在設定されている前記回動速度より早い新たな速度を前記回動速度として設定し、前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記速度設定手段によって設定された新たな前記回動速度で、前記撮像手段を回動させる。この場合、回動角度の大きさに合わせて、回動速度も調整されるので、撮像手段を対象物に合わせ易くなる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る撮像プログラムは、撮像装置のコントローラに、画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得ステップと、前記方向取得ステップによって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定ステップと、前記方向取得ステップによって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定ステップと、前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御ステップとを実行させ、前記方向取得ステップによって前記方向信号が新たに取得された場合に、前記角度設定ステップは、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御ステップは、前記駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。この場合、簡単な操作で撮像手段を撮像の対象物に向けることができる。
【0017】
本発明の第3の態様にかかる撮像方法は、画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得ステップと、前記方向取得ステップによって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定ステップと、前記方向取得ステップによって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定ステップと、前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御ステップとを備え、前記方向取得ステップによって前記方向信号が新たに取得された場合に、前記角度設定ステップは、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、前記回動制御ステップは、前記駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる。この場合、簡単な操作で撮像手段を撮像の対象物に向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】テレビ会議システム1の構成を示す図である。
【図2】カメラ2の構成を示す図である。
【図3】テレビ会議システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ディスプレイ313に表示された撮像の対象物70を示す図である。
【図5】リモコン311の操作キー321の構成を示す図である。
【図6】左方向データテーブル51を示す模式図である。
【図7】右方向データテーブル52を示す模式図である。
【図8】上方向データテーブル53を示す模式図である。
【図9】下方向データテーブル54を示す模式図である。
【図10】メイン処理を示すフローチャートである。
【図11】メイン処理を示すフローチャートである。
【図12】カメラ2の左右方向の回動の一例を示す平面図である。
【図13】カメラ2の上下方向の回動の一例を示す側面図である。
【図14】カメラ2の左右方向の回動の一例を示す平面図である。
【図15】第二実施形態に係るテレビ会議システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を具体化した第一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、テレビ会議システム1の構成について説明する。テレビ会議システム1では、複数の通信装置がネットワーク6を介して接続されている。テレビ会議システム1では、複数の通信装置によってネットワーク6を介して画像および音声が互いに送受信されることで、各通信装置が設置されている拠点間で公知のテレビ会議が実施される。
【0020】
図1に示す例では、通信装置3,4がネットワーク6に接続されているが、ネットワーク6に接続される通信装置の数量は限定されない。また、通信装置3が設置されている拠点を第一拠点11といい、他の通信装置4が設置されている拠点を第二拠点12という。通信装置3,4は、カメラ2とディスプレイ313とに接続されている。通信装置3,4とカメラ2とは、それぞれの拠点11,12に設けられた机7の上に載置されている。
【0021】
図2を参照して、カメラ2の構成について説明する。以下の説明では、図2の上側及び下側を、それぞれカメラ2の上側及び下側と定義して説明する。カメラ2は、左方向(図12の矢印61の方向。いわゆる左回り)、右方向(図12の矢印62の方向。いわゆる右回り)、上方向(図13の矢印65の方向)、及び下方向(図13の矢印66の方向)に回動可能である。
【0022】
カメラ2は、円柱状の土台部21と、土台部21の上面を形成する土台上面22とを備えている。土台上面22の上側には、2本の支柱部23が紙面左右方向に離間して立設されている。2本の支柱部23の間には、紙面左右方向を平面とする円柱状の本体部24が設けられている(図2及び図13参照)。本体部24の円形の面には、撮像部25が設けられている。本体部24の平面は、支柱部23によって回動可能に軸支されている。このため、本体部24は、上下方向(図13の矢印65,66の方向)に回動可能であり、これによって、撮像部25が、軸線29(図13参照)回りに上下方向に回動する。また、土台上面22は、左右方向(図12の矢印61,62の方向)に回動可能である。これによって、撮像部25が、軸線28(図12参照)回りに左右方向に回動する。撮像部25が回動することによって、左右方向及び上下方向の撮像角度を調整することができる。
【0023】
図3を参照して、第一拠点11の各機器の電気的構成について説明する。なお、通信装置4の電気的構成は、通信装置3の電気的構成と同様であるので説明は省略する。図3に示すように、通信装置3は、通信装置3の制御を行うコントローラとしてのCPU31を備えている。CPU31には、ROM301、RAM302、入力部304、赤外線受信部305、通信インターフェイス306(以下、通信I/F306という。)、音声処理部307、映像出力部309、及び撮像制御部310が、各々接続されている。
【0024】
ROM301には、CPU31にテレビ会議を実行させるプログラムや、テレビ会議に必要な制御データが記憶されている。また、本実施形態では、後述のメイン処理(図10及び図11参照)を実行するためのプログラム、左方向データテーブル51(図6参照)、右方向データテーブル52(図7参照)、上方向データテーブル53(図8参照)、及び下方向データテーブル54(図9参照)も、予めROM301に記憶されている。
【0025】
通信I/F306は、ネットワーク6を介したデータ通信を行うためのインターフェイスである。通信装置3のCPU31は、通信装置I/F306及びネットワーク6を介して通信装置4のCPU31と通信を行うことができる。入力部304は、ユーザが各種の入力指示を行う操作部であり、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどである。
【0026】
映像出力部309は、ネットワーク6を介して通信装置4から受信された画像データを復号化して、ディスプレイ313に表示する。これによって、第一拠点11のユーザは、第二拠点12のカメラ2で撮像された画像(映像)を見ることができる。撮像制御部310は、カメラ2に設けられたイメージセンサ251に接続されている。撮像制御部310は、イメージセンサ251を制御して画像(映像)を撮像する。また、撮像した画像を符号化する。CPU31は、イメージセンサ251で撮像された画像を取得することができる。また、取得した画像(画像データ)を、ネットワーク6を介して通信装置4に送信する。
【0027】
音声処理部307は、スピーカ308と外部に設けられたマイク312とに接続されている。音声処理部307は、マイク312で集音された音声を符号化する。CPU31は、符号化された音声(音声データ)を通信装置4に送信する。音声処理部307は、通信装置4から送信された音声データを復号化し、スピーカ308から出力する。これによって、通信装置3,4のユーザは、互いの音声を聞きながらテレビ会議を行うことができる。
【0028】
赤外線受信部305は、ユーザが操作するリモコン311から発信される赤外線による信号を受信する。リモコン311は、他拠点に設けられているカメラ2(撮像部25)を操作するための装置である。CPU31は、ユーザがリモコン311を操作して入力した指示に応じた信号(以下、指示信号という。)を取得することができる。そして、CPU31は、取得した指示信号を、ネットワーク6を介して、通信装置4に送信する。
【0029】
カメラ2は、モータ制御部201、チルトモータ202、パンモータ203、オートフォーカスモータ204(以下、AFモータ204という。)、ズームモータ205、及び撮像部25を備えている。撮像部25は、イメージセンサ251とレンズ252とを備えている。モータ制御部201は、通信装置3のCPU31、チルトモータ202、パンモータ203、AFモータ204、及びズームモータ205に接続されている。モータ制御部201は、各種モータ202,203,204,205の駆動を制御する。AFモータ204とズームモータ205は、レンズ252に接続されている。チルトモータ202は、カメラ2の撮像部25を上下方向に回動させて、撮像部25の向き(撮像角度)を変更するためのモータである。パンモータ203は、カメラ2の撮像部25を左右方向に回動させて、撮像部25の向き(撮像角度)を変更するためのモータである。AFモータ204は、レンズ252の中のフォーカスレンズ(図示外)を動かしての焦点距離を調整するためのモータであり、ズームモータ205は、レンズ252の中のズームレンズ(図示外)を動かして、イメージセンサ251によって撮像される画像の拡大(ズームイン)・縮小(ズームアウト)を行うためのモータである。CPU31は、第二拠点12のユーザがリモコン311を操作することで、通信装置4から送信された指示信号を受信し、指示信号に基づいて、モータ制御部201を介して、モータ202,203,204,205を制御する。これによって、CPU31は、撮像部25の向きを変更したり、撮像部25によって撮像される画像の拡大・縮小を行ったりする。
【0030】
次いで、図4及び図5を参照して、ユーザが操作するリモコン311の操作キー321の構成と、操作キー321が操作された場合の撮像の対象物70の移動態様について説明する。一例として、通信装置4のユーザが、図4に示すディスプレイ313に表示された画像(第一拠点11のカメラ2によって撮像された画像)を見ながら、第一拠点11のカメラ2を操作する場合について説明する。以下の説明では、図4に示すように、第二拠点12のディスプレイ313の中央に、第一拠点11に存在する撮像の対象物70が表示されている場合を例にして説明する。対象物70は、球体であるとする。
【0031】
図5に示すように、リモコン311は、操作キー321を備えている。操作キー321は、上方向キー322、下方向キー323、左方向キー324、右方向キー325、停止キー326、クリアキー327、拡大キー328、及び縮小キー329を含む。上方向キー322が第二拠点12のユーザによって押下されると、第一拠点11のカメラ2の撮像部25が上方向(図13の矢印65の方向)に回動する。これによって、ディスプレイ313に表示されている対象物70は、下方向(図4の矢印71の方向)に移動する。同様に、下方向キー323、左方向キー324、及び右方向キー325が押下されると、撮像部25が、それぞれ、下方向(図13の矢印66の方向)、左方向(図12の矢印61の方向)、右方向(図12の矢印62の方向)に回動する。これによって、画像中の対象物70は、それぞれ、上方向(矢印72の方向)、右方向(矢印73の方向)、及び左方向(矢印74の方向)に移動する。このように構成されているので、例えば、対象物70がディスプレイ313の左部(紙面左側)に表示されている場合に、ユーザが左方向キー324を押下することで、対象物70が画面中央に向かって移動してくる。
【0032】
また、停止キー326が押下されると、撮像部25の回動が停止される。クリアキー327が押下されると、撮像部25の向きが初期角度(後述)に移動される。拡大キー328及び縮小キー329が押下されると、ズームモータ205によってレンズ252が制御され、撮像の対象物70が拡大(ズームイン)・縮小(ズームアウト)される。
【0033】
次いで、各種データテーブル51,52,53,54について説明する。なお、本実施形態では、カメラ2(撮像部25)は、左右方向において、「0°」〜「360°」の間で回動可能であり、上下方向において「0°」〜「90°」の間で回動可能であるとする。また、左方向の回動角度(後述)と上方向の回動角度をプラス(+)で表し、右方向の回動角度と下方向の回動角度をマイナス(−)で表わす。
【0034】
図6を参照して、左方向データテーブル51について説明する。図6に示すように、左方向データテーブル51には、変数N、回動速度、及び回動角度が対応付けられている。より詳細には、変数N、回動速度、及び回動角度の順に、「4」、「120°/秒」、及び「+360°」が対応付けられ、「3」、「30°/秒」、及び「+120°」が対応付けられている。また、「2」、「10°/秒」、及び「+60°」が対応付けられ、「1」、「1°/秒」、及び「+10°」が対応付けられている。
【0035】
回動速度は、CPU31が、カメラ2を制御して、撮像部25を回動させる速度である。回動速度「120°/秒」は、1秒間に120°分回動する速度であることを示している。回動角度は、CPU31が、カメラ2を制御して、撮像部25を回動させる角度である。回動角度「+360°」は、左方向に「360°」分、撮像部25を回動させることを示している。なお、本実施形態では、カメラ2(撮像部25)は、左右方向に「0°」〜「360°」の間で回動可能であるため、左方向に「360°」分の回動途中に、回動可能な最大値である「360°」になった場合、回動は停止される(その他の回動角度や、後述する右方向、上下方向への回動の場合も同様)。また、変数Nの値の大きさは、回動速度の早さと回動角度の大きさに対応しており、変数Nの値が大きいほど、回動速度が速くなり、回動角度が大きくなる(後述するデータテーブル52,53,54の場合も同様)。なお、本実施形態では、各種データテーブル51,52,53,54では、変数Nが「1」〜「4」の値と対応付けられている。このため、変数Nは、最小値である「1」から、最大値である「4」の間で変動する。
【0036】
図7を参照して、右方向データテーブル52について説明する。図7に示すように、右方向データテーブル52には、変数N、回動速度、及び回動角度の順に、「4」、「120°/秒」、及び「−360°」が対応付けられ、「3」、「30°/秒」、及び「−120°」が対応付けられている。また、「2」、「10°/秒」、及び「−60°」が対応付けられ、「1」、「1°/秒」、及び「−10°」が対応付けられている。
【0037】
図8を参照して、上方向データテーブル53について説明する。図8に示すように、上方向データテーブル53には、変数N、回動速度、及び回動角度の順に、「4」、「30°/秒」、及び「+90°」が対応付けられ、「3」、「10°/秒」、及び「+30°」が対応付けられている。また、「2」、「5°/秒」、及び「+15°」が対応付けられ、「1」、「1°/秒」、及び「+3°」が対応付けられている。
【0038】
図9を参照して、下方向データテーブル54について説明する。図9に示すように、下方向データテーブル54には、変数N、回動速度、及び回動角度の順に、「4」、「30°/秒」、及び「−90°」が対応付けられ、「3」、「10°/秒」、及び「−30°」が対応付けられている。また、「2」、「5°/秒」、及び「−15°」が対応付けられ、「1」、「1°/秒」、及び「−3°」が対応付けられている。
【0039】
図10及び図11を参照して、CPU31によって実行されるメイン処理について説明する。通信装置3及び通信装置4のCPU31が行うメイン処理は同様なので、以下の説明では、第一拠点11の通信装置3のCPU31が実行するメイン処理について説明する。メイン処理が実行されることによって、第二拠点12のユーザは、リモコン311を操作して、第一拠点11のカメラ2(撮像部25)の向き(撮像角度)を調整して、カメラ2を対象物70に向けることができる。メイン処理は、通信装置3と通信装置4との間の通信が開始されることを契機に開始され、通信が終了されると終了される。また、メイン処理には示していないが、メイン処理が行われている間、通信装置3のCPU31は撮像部25を使用して画像を撮像し、通信装置4のCPU31に送信している。通信装置4のCPU31は、受信した画像をディスプレイ313に表示する。
【0040】
なお、以下の説明において、通信装置4のユーザがリモコン311の各種キー322〜329(図5参照)を操作して入力した指示信号を、それぞれ、上方向信号、下方向信号、左方向信号、右方向信号、停止信号、ズームイン信号、ズームアウト信号、及びクリア信号という。また、ズームイン信号とズームアウト信号とを総称して、ズーム信号という。また、左方向信号と右方向信号とを総称して、パン信号という。上方向信号と下方向信号とを総称してチルト信号という。さらに、パン信号とチルト信号を総称して、方向信号という。カメラ2が回動する方向を回動方向という。また、初期角度は、左右方向が「0°」(図12参照)、上下方向が「0°」(図13参照)の角度であるとする。また、撮像の対象物70は、左右方向において角度「180°」(図12参照)、上下方向において角度「30°」(図13参照)の位置に存在しているとする。また、メイン処理における各ステップを「S」と略記する。
【0041】
メイン処理では、まず、撮像部25の向き(左右方向の角度、上下方向の角度)が初期角度に設定される(S11)。次いで、変数Nが初期値である「4」に設定される(S12)。次いで、通信装置4から送信されたクリア信号が取得されたか否かが判断される(S13)。クリア信号が取得されていない場合(S13:NO)、通信装置4から送信されるズーム信号が取得された否かが判断される(S14)。ズーム信号が取得されていない場合(S14:NO)、パン信号(左方向信号又は右方向信号)が取得されたか否かが判断される(S15)。パン信号が取得されていない場合(S15:NO)、チルト信号(上方向信号又は下方向信号)が取得されたか否かが判断される(S16)。チルト信号が取得されていない場合(S16:NO)、処理はS13に戻る。つまり、何らかの指示信号が取得されるまで、S13〜S16が繰り返される。クリア信号が取得された場合(S13:YES)、処理はS11に戻り、撮像部25の向きが初期角度に設定され(S11)、変数Nが「4」に設定され(S12)、S13〜S16が繰り返される。
【0042】
パン信号が取得された場合(S15:YES)、又は、チルト信号が取得された場合(S16:YES)、同じ軸線回りの回動が指示されたか否かが判断される(S21)。例えば、後述するS23(図11参照)で設定された回動方向が、チルト信号に基づく回動方向(つまり、上下方向)であった場合において、S15で新たにパン信号(左方向信号又は右方向信号)が取得された場合、軸線29(図13参照)回りの回動から、軸線28(図12参照)回りの回動に変更されている。このため、同じ軸線回りの回動が指示されていないと判断される(左右方向から上下方向に変更された場合も同様)。また、後述するS23で設定された回動方向が、チルト信号に基づく回動方向であった場合において、S15で新たにチルト信号が取得された場合、回動の方向は上下方向のままである。このため、同じ軸線回りの回動が指示されたと判断される(左右方向の場合も同様)。なお、メイン処理が始まって最初にパン信号又はチルト信号が取得された場合、同じ軸線回りの回動が指示されたと判断される。
【0043】
同じ軸線回りの回動が指示されていない場合(S21:NO)、変数Nが初期値である「4」に設定される(S22)。次いで、S23が実行される。また、同じ軸線回りの回動が指示された場合(S21:YES)、S23が実行される。S23では、S15、S16、S25(後述)、又はS36(後述)で取得された方向信号に対応して、データテーブル51,52,53,54が参照され、回動方向、回動速度、及び回動角度が設定される(S23)。より詳細には、S15、S16、S25、又はS36で取得された方向信号に応じた方向である指示方向が、回動方向としてRAM302に記憶される(S23)。また、データテーブル51,52,53,54が参照されて、回動角度と回動速度と決定され、RAM302に記憶される(S23)。次いで、チルトモータ202又はパンモータ203が制御され、S23で設定された回動方向に、設定された回動速度で、設定された回動角度分の回動が開始される(S24)。
【0044】
例えば、メイン処理の実行が開始されて、S13〜S16が実行されている間に、通信装置4のユーザによって、左方向キー324(図5参照)が押下されたとする。この場合、通信装置3のCPU31は、左方向信号を取得するため、パン信号が取得されたと判断され(S15:YES)、メイン処理が始まって最初に方向信号が取得されているため、同じ軸線回りの回動が指示されたと判断される(S21:YES)。左方向信号が取得されているため、S23では、左方向データテーブル51が参照される。そして、変数Nが「4」であるので、左方向データテーブル51(図6参照)において、変数N「4」に対応付けられた、回動速度「120°/秒」、回動角度「+360°」が設定される(S23)。また、回動方向が左方向に設定される(S23)。そして、左方向(図12の矢印61の方向)に、回動速度「120°/秒」で、回動角度「360°」分(つまり、回動の最大角度)の回動が開始される(S24)。つまり、最も高速に、大きな回動角度で回動する。このため、通信装置4のユーザは、対象物70の大まかな位置を早く捜索することができる。
【0045】
次いで、新たに方向信号(パン信号又はチルト信号)が取得されたか否かが判断される(S25)。新たに方向信号が取得されていない場合(S25:NO)、停止信号が取得されたか否かが判断される(S26)。停止信号が取得されていない場合(S26:NO)、S24で開始された回動が終了されたか否かが判断される(S27)。つまり、S23で設定された回動角度分、回動したか否かが判断される。回動が終了されていない場合(S27:NO)、処理はS25に戻る。つまり、回動が継続している間、S25〜S27が繰り返される。
【0046】
回動が終了された場合(S27:YES)、時間Tが「0」に設定される(S33)。時間Tは、撮像部25の回動が停止してからの経過時間を測定するための変数である。CPU31は、振動子(図示外)によって発生されるクロック信号に基づいて、時間を計測することができる。なお、通信装置31の電気的構成に、タイマを設けて、CPU31がタイマを使用して時間を計測できるようにしてもよい。
【0047】
次いで、時間Tの測定が開始される(S34)。次いで、時間Tが5秒以内か否かが判断される(S35)。時間Tが5秒以内である場合(S35:YES)、指示信号が取得されたか否かが判断される(S36)。指示信号が取得されていない場合(S37:NO),処理はS35に戻る。5秒の間に指示信号が取得されなかった場合、時間Tが5秒以内でないと判断され(S35:NO)、処理はS12に戻る。つまり、時間Tが5秒経過すれば、ユーザによる撮像部25の向きの調整が終了されたとみなされて、回動角度と回動速度とに対応した変数Nが初期値である「4」に設定され(S12)、次の指示信号が取得されるまでS13〜S16が繰り返される。
【0048】
S24で撮像部25の回動が開始された後、撮像部25の回動途中で方向信号が取得された場合(S25:YES)、現在設定されている回動方向の逆方向が指示されたか否かが判断される(S28)。S28では、例えば、現在設定されている回動方向が左方向の場合に、S25で右方向信号が取得されれば、逆方向が指示されたと判断され、左方向信号が取得されれば、逆方向が指示されていないと判断される。また、例えば、現在設定されている回動方向が上方向の場合に、S25で下方向信号が取得されれば、逆方向が指示されたと判断され、上方向信号が取得されれば、逆方向が指示されていないと判断される。
【0049】
逆方向が指示された場合(S28:YES)、変数Nがデクリメントされ、1減少する(S29)。なお、変数Nの最小値は「1」である。よって、変数Nがデクリメントされた結果、1より小さくなる場合には、変数Nは、最小値である「1」に設定される(S29)(後述するS20、S30、S32、及びS39も同様)。次いで、処理はS23に戻る。そして、変数Nが1減少しているため、現在設定されている回動速度より遅い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より小さい角度が新たな回動角度として設定される(S23)。また、S25で取得された方向信号に基づく指示方向が、回動方向として設定される(S23)。そして、S23で設定された新たな回動方向に、新たな回動速度で、新たな回動角度分、回動が開始される(S24)。
【0050】
例えば、図12の矢印61の方向に撮像部25が回動し、通信装置4のユーザが、撮像部25が対象物70を通過したことをディスプレイ313で確認した後、ユーザが右方向キー325(図5参照)を押下したとする。そして、角度「225°」の時点(つまり、図12の矢印61の範囲の回動をした時点)で、右方向信号が取得されたとする(S25:YES)。この場合、逆方向が指示されたと判断され(S28:YES)、変数Nが1減少され、「3」に設定される(S29)。そして、右方向データテーブル52(図7参照)が参照され、変数N「3」に対応付けられた回動速度「30°/秒」、回動角度「−120°」(すなわち、現在の角度「225°」から「120°」分右方向)が設定される(S23)。そして、設定に基づいて、右方向への回動が開始される(S24)。
【0051】
そして、撮像部25の角度が「160°」の時点(つまり、図12の矢印62の範囲の回動をした時点)で、左方向信号が取得されたとする(S25:YES)。この場合、変数Nが「2」に設定される(S29)。そして、左方向データテーブル51(図6参照)が参照され、変数N「2」に対応付けられた、回動速度「10°/秒」、回動角度「+60°」(すなわち、現在の角度「160°」から「60°」分左方向)が設定される(S23)。そして、左方向への回動が開始される(S24)。さらに、撮像部25の角度が「190°」の時点(つまり、図12の矢印63の範囲の回動をした時点)で、右方向信号が取得されたとする(S25:YES)。この場合、変数Nが「1」に設定される(S29)。そして、右方向データテーブル52が参照され、変数N「1」に対応付けられた、回動速度「1°/秒」、回動角度「−10°」が設定される(S23)。そして、撮像部25の右方向への回動が開始される(S24)。これによって、撮像部25は、現在の角度「190°」から「10°」分右方向に回動し、「180°」になったところで撮像部25の回動が終了される(図12の矢印64参照)。つまり、図12に示すように、撮像部25の左右方向の向きが、対象物70が存在する角度と同一になる。
【0052】
さらに、回動が終了されてから(S27:YES)、5秒以内に上方向信号が取得された場合、指示信号が取得されたと判断され(S36:YES)、後述するS37によって、同じ軸線回りの回動が指示されていないと判断される(S37:NO)。そして、チルト信号が取得されたと判断され(S16:YES)、同じ軸線回りの回動の指示ではないと判断され(S21:YES)、変数Nが初期値である「4」に設定される(S22)。
【0053】
そして、上方向データテーブル53(図8参照)が参照され、変数N「4」に対応付けられた、回動速度「30°/秒」、回動角度「+90°」が設定される(S23)。そして、撮像部25の上方向(図13の矢印65の方向)への回動が開始される(S24)。そして、撮像部25の角度が「60°」の時点(つまり、図13の矢印65の範囲の回動をした時点)で下方向信号が取得されたとする(S25:YES)。この場合、変数Nが「3」に設定される(S29)。そして、下方向データテーブル54(図9参照)が参照され、変数N「3」に対応付けられた、回動速度「10°/秒」、回動角度「−30°」が設定される(S23)。そして、撮像部25の下方向への回動が開始され(S23)、「30°」分下方向に回動した時点(つまり、図13の矢印66の範囲の回動をした時点)で停止する。これによって、撮像部25が対象物70の方向を向く。この場合、図4に示すように、第二拠点12のディスプレイ313の中央に、対象物70が表示される。
【0054】
このように、カメラ2を遠隔操作している通信装置4のユーザが、カメラ2によって撮像された画像で撮像部25が対象物を通過したことを確認した後に、逆方向を指示すれば、現在設定されている回動角度より小さい回動角度で逆方向に回動する。小さい角度で回動するので、回動終了後、撮像部25の向きが対象物70に合う確率が高くなる。また、逆方向に回動した場合に、さらに撮像部25が対象物70を通過した場合でも、現在回動している方向の逆方向をさらに指示すれば、さらに小さい回動角度で回動するので、撮像手段の向きが対象物に合う確率が高くなる。このように、簡単な操作で、容易に撮像手段を撮像の対象物70に向けることができる。また、回動角度が小さくなるのに合わせて、回動速度も遅くなるので、撮像部25の向きが対象物70に合ったところで、停止キー326によって停止させ易い。このように回動角度と回動速度とを変化させることができるので、撮像部25の向きを微調整できるようになり、撮像部25の向きを対象物70に合わせ易くなる。
【0055】
S28で、逆方向が指示されていないと判断された場合(28:NO)、変数Nがインクリメントされ、1増加する(S30)。なお、変数Nの最大値は「4」である。よって、変数Nがインクリメントされた結果、4より大きくなる場合には、変数Nは、最大値である「4」に設定される(S30)(後述するS41も同様)。次いで、処理はS23に戻る。そして、変数Nが1増加しているため、現在設定されている回動速度より早い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より大きい角度が新たな回動角度として設定され、回動方向が設定される(S23)。そして、撮像部25の回動が開始される(S24)。
【0056】
例えば、変数Nが「2」の場合の回動角度、回動速度で(図7参照)、図14の矢印68に示すように、撮像部25が「315°」から右方向に回動しており、撮像部25の向きが「270°」の時点で、右方向信号が取得された場合(S25:YES)、逆方向が指示されていないと判断される(S28:NO)。そして、変数Nが1増加し、「3」に設定される(S30)。このため、右方向データテーブル52(図7参照)が参照され、現在設定されている回動速度より早い回度速度「30°/秒」が設定され、現在設定されている回動角度より大きい回動角度「−120°」が設定される(S23)。そして、矢印69(図14参照)の範囲での回動が開始される。このように、回動角度が大きくなるので、対象物70の大まかな位置を早く捜索することができる。また、回動速度も速くなるので、対象物70の大まかな位置をさらに早く捜索することができる。
【0057】
撮像部25が回動している間に、S26で停止信号が取得された場合(S26:YES)、撮像部25の回動が停止される(S31)。次いで、変数Nが、デクリメントされ、1減少する(S32)。次いで、処理はS15に戻る。そして、パン信号又はチルト信号が取得された場合において(S15:YES、又は、S16:YES)、同じ軸線回りの回動が指示された場合(S21:YES)、処理はS23に進む。そして、変数Nが1減少しているため、現在設定されている回動速度より遅い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より小さい角度が新たな回動角度として設定され、回動方向が設定される(S23)。そして、撮像部25の回動が開始される(S24)。このように、ユーザが例えば対象物70を確認し、停止を指示すると、次に回動方向を指示した場合の回動角度が小さくなる。このため、S29で変数Nが1減少された場合と同様に、撮像部25の向きを微調整できるようになるので対象物70に向け易い。また、回動角度が小さくなるのに合わせて、回動速度も遅くなるので、撮像部25の向きを対象物70に合わせ易くなる。
【0058】
S35において、時間Tが5秒以内でないと判断される前に、S36で指示信号が取得された場合(S36:YES)、S21と同様に、同じ軸線回りの回動が指示されたか否かが判断される(S37)。同じ軸線回りの回動が指示された場合(S37:YES)、S36で取得された指示信号に基づく指示方向が、現在設定されている回動方向と逆方向か否かが判断される(S38)。逆方向である場合(S38:YES)、変数Nがデクリメントされ、1減少する(S39)。次いで、処理はS23に戻る。つまり、回動が終了されてから5秒以内に、通信装置4のユーザによる逆方向の方向信号が取得された場合に、変数Nが1減少される(S39)。そして、変数Nが1減少しているため、現在設定されている回動速度より遅い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より小さい角度が新たな回動角度として設定され、回動方向が設定される(S23)。そして、撮像部25の回動が開始される(S24)。
【0059】
このように、撮像部25の回動が終了された後に、ユーザが5秒以内に逆方向を指示することで、自動的に回動角度が小さくなる。撮像部25を逆方向に回動させる度に回動角度が小さくなるので、撮像部25の向きを対象物に向け易い。また、回動角度が小さくなるのに合わせて、回動速度も遅くなるので、撮像部25の向きを対象物に合わせ易くなる。また、撮像部25の回動が終了された後の所定時間(5秒)内に方向信号が新たに取得された場合、回動が終了されてから短時間の間に新たな方向信号が取得されている。この場合、前回方向信号が取得された時と同じ対象物に撮像部25を向けるための操作であることが想定される。同じ対象物に撮像部25を向けるための操作であることが想定される場合に、S39、S23、及びS24の処理を行うので、ユーザは、より撮像部25の向きを対象物に向け易い。
【0060】
S38で逆方向でないと判断された場合(S38:NO)、時間Tが1秒以内か否かが判断される(S40)。時間Tが1秒以内でない場合、すなわち、回動が終了されていからの経過時間が1秒より大きく5秒以内(S35参照)である場合(S40:NO)、処理はS23に戻る。そして、変数Nが変更されていないので、現在設定されている回動方向、回動角度、及び回動速度と同一の設定がされ(S23)、回動が開始される(S24)。
【0061】
S40で、1秒以内である場合(S40:YES)、変数Nがインクリメントされ、「1」増加する(S41)。次いで、処理はS23に戻る。そして、変数Nが1増加しているため、現在設定されている回動速度より早い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より大きい角度が新たな回動角度として設定され、回動方向が設定される(S23)。そして、撮像部25の回動が開始される(S24)。
【0062】
例えば、第二拠点12のユーザが、撮像部25の回動途中にリモコン311を操作して、現在の回動方向と同一の回動方向を入力した場合でも、通信の遅延等によって、撮像部25の回動が終了された後(例えば、撮像部25の回動終了後1秒以内)になって、通信装置3のCPU31によって方向信号が取得される場合がある。この場合でも、CPU31は、撮像部25の回動角度を大きくすることができる。よって、ユーザは、通信の遅延等の影響があっても、対象物の大まかな位置を捜索し易い。また、回動速度も速くなるので、対象物70の大まかな位置をさらに早く捜索することができる。また、撮像部25の回動が終了された後の所定時間(1秒)内に方向信号が新たに取得された場合、回動が終了されてから短時間の間に新たな方向信号が取得されている。この場合、前回方向信号が取得された時と同じ対象物に撮像部25を向けるための操作であることが想定される。同じ対象物に撮像部25を向けるための操作であることが想定される場合に、S41、S23、及びS24の処理を行うので、ユーザは、より撮像部25の向きを対象物に向け易い。
【0063】
S37で同じ軸線回りの回動が指示されていないと判断された場合(S37:NO)、処理はS15に戻る。そして、S13〜S16では、S36で取得された指示信号に応じて、各処理で指示信号が取得されたと判断される。
【0064】
S14で、ズーム信号が取得されたと判断された場合(S14:YES)、ズームイン信号か否かが判断される(S17)。ズームアウト信号である場合、ズームイン信号でないと判断され(S17:NO)、ズームモータ205が制御され、ズームアウトされる。これによって、第二拠点12のディスプレイ313に表示される対象物70は縮小される。次いで処理は、S15に進む。
【0065】
S17でズームイン信号が取得されたと判断された場合(S17:YES)、ズームモータ205が制御され、ズームインされる(S18)。これによって、第二拠点12のディスプレイ313に表示される対象物70は拡大される。次いで、変数Nがデクリメントされ、1減少する。次いで、処理はS15に進む。そして、パン信号又はチルト信号が取得された場合(S15:YES、又はS16:YES)、且つ、同じ軸線回りの回動が指示された場合(S21:YES)、処理はS23に進む。そして、変数Nが1減少しているため、現在設定されている回動速度より遅い速度が新たな回動速度として設定され、現在設定されている回動角度より小さい角度が新たな回動角度として設定され、回動方向が設定される(S23)。そして、撮像部25の回動が開始される(S24)。
【0066】
ズームイン(拡大)されると、同じ回動角度でも、撮像された画像(映像)中の対象物70は、ディスプレイ313の画面中を大きく移動する。本実施形態では、ズームインされると、回動角度が小さくなるので、画像中の対象物70の移動量が少なくなる。よって、撮像部25の向きの微調整がし易くなる。
【0067】
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態では、現在設定されている回動方向と、新たな指示方向との関係応じて、撮像手段の回動角度を設定することができる(S23、S29、S30、S39、及びS41等参照)。このため、ユーザは、操作キー321(図5参照)の押下時間を調整して、回動角度を決定する必要がない。また、ユーザが操作キー321を操作して通信装置3に対して方向を指示するだけで、回動角度が自動で設定され、回動が開始される。よって、簡単な操作で撮像部25を対象物70に向けることができる。
【0068】
また、回動角度の大きさの増減に合わせて、回動速度も調整されるので、撮像部25の向きを対象物に合わせ易くなる。
【0069】
また、本実施形態では、撮像部25は、左右方向及び上下方向に回動可能である。言い換えると、複数(2つ)の軸線28,29の回りに回動可能である。よって、回動角度と回動速度との増減の制御を複数の軸線28,29回りの回動で行うことができる。よって、ユーザは、容易に対象物70を捜索して、撮像部25を対象物70に向けることができる。
【0070】
また、S20、S29、S30、S32、S39、及びS41において、変数Nが増減され、回動速度及び回動角度が増減されて(S23)、撮像部25が回動される(S24)。回動角度及び回動速度の増減を組み合わせることによって、早く対象物70の大まかな位置を把握し、さらに、簡単な操作で容易に撮像部25を対象物70に向けることができる。
【0071】
また、メイン処理が開始されて、S12で変数Nが「4」に設定されるので、通信装置3,4間のテレビ会議が開始されてから、最初に撮像の対象物70を捜索する場合に、撮像部25が最も大きい回動角度で、最も早い回動速度で回動される(S23及びS24)。よって、テレビ会議が開始されてから、効率的に対象物70を捜索することができる。
【0072】
また、クリア信号が取得されると(S13:NO)、撮像部25が初期角度に設定され(S11)、変数Nが「4」に設定される。このため、例えば、別の撮像の対象物を捜索したいときに、簡単に初期の設定に戻すことができる。よって、効率的に別の対象物を捜索することができる。
【0073】
また、遠隔操作でカメラ2(撮像部25)の角度の調整を行う場合、通信の遅延が発生するため、カメラ2で画像が撮像されてからディスプレイ313に表示されるまでの時間や、ユーザが操作キー321を操作してからカメラ2の回動を開始するまでの時間に遅延が生じる。このため、従来のように、操作キー321の押下時間でカメラ2の移動量(回動する角度)を調整する場合、ユーザがディスプレイ313に表示された画像を確認して、カメラ2の回動を停止させるために操作キー321の操作を中止しても、カメラ2は撮像の対象物70を通過している場合が多い。このため、カメラ2の向きを撮像の対象物70に向ける調整が難しい。しかし、本実施形態では、ユーザが、カメラ2(撮像部25)が対象物70を通過したことをディスプレイ313で確認した後に、逆方向を指示すると、回動角度が小さくなり、さらに回動速度も遅くなる(S23、S24、S29、及びS39)。このため、従来の場合と比較して、カメラ2を撮像の対象物70に向け易い。
【0074】
上記実施形態において、通信装置3,4が本発明の「撮像装置」に相当する。撮像部25が本発明の「撮像手段」に相当し、S15、S16、S25、及びS36の処理を行うCPU31が本発明の「方向取得手段」に相当する。S23で回動方向を設定する処理を行うCPU31が本発明の「方向設定手段」に相当し、S23で回動角度を設定する処理を行うCPU31が本発明の「角度設定手段」に相当する。S23で回動速度を設定する処理を行うCPU31が本発明の「速度設定手段」に相当し、チルトモータ202及びパンモータ203が本発明の「駆動手段」に相当する。S24で撮像部25の回動を開始させ、S23で設定された回動角度分、撮像部25を回動させる処理を行うCPU31が、本発明の「回動制御手段」に相当し、S28及びS38の処理を行うCPU31が本発明の「方向判断手段」に相当する。S35及びS40の処理を行うCPU31が本発明の「経過時間判断手段」に相当する。S26の処理を行うCPU31が本発明の「停止信号取得手段」に相当し、S31の処理を行うCPU31が本発明の「停止手段」に相当する。S19の処理を行うCPU31が本発明の「ズーム制御手段」に相当し、時間Tを計測するCPU31が本発明の「計時手段」に相当する。
【0075】
S15、S16、S25、及びS36の処理が本発明の「方向取得ステップ」に相当し、S23で回動方向を設定する処理が本発明の「方向設定ステップ」に相当する。S23で回動角度を設定する処理が本発明の「角度設定ステップ」に相当し、S24で撮像部25の回動を開始させ、S23で設定された回動角度分、撮像部25を回動させる処理が、本発明の「回動制御ステップ」に相当する。
【0076】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、撮像部25の回動方向は、左右方向及び上下方向の2つであったが、これに限定されない。例えば、撮像部25は3つ以上の方向に回動可能であってもよい。また、撮像部25は左右方向にのみ回動可能であってもよい。また、撮像部25は上下方向にのみ回動可能であってもよい。また、撮像部25が、複数の方向に回動可能である場合、回動可能な複数の方向のうち、少なくとも1つの方向への回動において、メイン処理(図10及び図11参照)と同様の制御が行われ、他の方向への回動は、メイン処理と同様の制御が行われなくてもよい。
【0077】
また、カメラ2が通信装置3,4と別体として設けられていたが、これに限定されない。例えば、カメラ2が、通信装置3,4に内蔵されていてもよい。
【0078】
また、S12及びS22において変数Nが「4」に設定されていた。つまり、変数Nの初期値が「4」であったが、これに限定されない。例えば、S12及びS22において、変数Nの初期値を「3」に設定してもよい。この場合、S12及びS22において変数が設定された後に最初に回動する撮像部25の回動速度及び回動角度が、最大速度及び最大角度(つまり、変数Nが「4」の場合)より小さくなる。このため、比較的速い回動速度で、また、比較的大きな回動角度で、撮像部25が回動される(S24)。このため、ユーザは、撮像部25の操作を行いやすい。また、この場合、例えば、ユーザがもっと早く対象物70の大まかな位置を捜索することを望む場合には、現在設定されている回動方向と同じ方向を指示することで、変数Nが「4」に設定され、回動速度が速くなり、回動角度が大きくなる(S24、S30、及びS41)。一方、例えば、ユーザが対象物70を見つけて、撮像部25の向きを対象物70に合わせこむことを望む場合には、回動速度を遅くし、回動角度を小さくすることができる(S20、S24、S29、S32、及びS39)。このように、S12及びS22において変数Nが「3」に設定されて撮像部25が回動された後に、回動速度と回動角度との増減を調整することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0079】
また、S31で撮像部25の回動が停止された後、変数Nが1減少され(S32)、撮像部25が次に回動する場合の回動速度が遅くなり、回動角度が小さくなっていたが、これに限定されない。例えば、撮像部25の回動が停止された後(S31)、S32を実行せず、処理がS15に戻ってもよい。この場合、変数Nの値は変化しないので、撮像部25が次に回動する場合の回動速度及び回動角度は、前回と同一になる。
【0080】
また、撮像部25が回動している途中で、現在設定されている回動方向の逆方向が指示された場合(S28:YES)、変数Nが1減少され(S29)、逆方向への回動が開始されていたが(S24)、これに限定されない。例えば、撮像部25が回動している途中で、現在設定されている回動方向の逆方向が指示された場合(S28:YES)、撮像部25の回動を停止させてもよい。そして、もう一度、前回回動していた方向(つまり、現在設定されている方向)の逆方向の指示がされたら、変数Nを1減少させ、遅い回動速度で、小さい回動角度分、回動させてもよい。また、前回回動していた方向と同じ方向が指示されたら、変数Nを1増加させ、速い回動速度で、大きな回動角度分、回動させてもよい。
【0081】
また、回動角度と回動速度とは、変数Nの値「1」〜「4」に対応する4段階の設定が可能であったが(図6〜図9参照)、これに限定されない。例えば、10段階の設定が可能であってもよい。
【0082】
また、撮像部25が左右方向に回動する場合の変数Nの値(図6及び図7参照)と、撮像部25が上下方向に回動する場合の変数Nの値(図8及び図9参照)とが、共に、「1」〜「4」で同一であった。すなわち、回動角度の段階と回動速度の段階の数が、左右方向への回動の場合と、上下方向への回動の場合とで同一であったが、これに限定されない。例えば、左右方向への回動の場合を、8段階にして、上下方向への回動の場合を3段階にするなど、回動方向によって、回動角度と回動速度との段階が異なるようにしてもよい。
【0083】
また、変数Nの値が変化すると、回動速度と回動角度との両方が変化するように設定されていたが(図6〜図9参照)、これに限定されない。例えば、回動速度のみが変化する段階があってもよいし、回動角度のみが変化する段階があってもよい。左方向データテーブル51(図6)を例にして説明すると、変数Nが「3」の場合の回動角度を、変数Nが「4」の場合の回動角度「+360°」と同一の回動角度にしてもよい。また、変数Nが「3」の場合の回動速度を、変数Nが「2」の場合の回動速度「10°/秒」と同一の回動速度にしてもよい。
【0084】
また、回動角度の増減に伴って、回動速度も増減していたが、これに限定されない。例えば、回動速度は、常に一定の速度でもよい。
【0085】
また、テレビ会議を行う場合を例にして説明したが、これに限定されない。例えば、カメラ2が防犯カメラであり、通信装置3は、メイン処理を行って、遠隔操作によって撮像部25の向きの制御等を行う制御装置であってもよい。また、撮像の対象物70は球体であったが、これに限定されない。例えば、撮像の対象物は、人の顔でもよい。
【0086】
また、S35及びS40で判断される経過時間(所定時間)は、それぞれ「5秒」と「1秒」であったが、これに限定されない。時間は任意に定めてもよい。また、S35及びS40の両方の処理を行わなくてもよく、一方の処理のみを行ってもよい。
【0087】
また、メイン処理は通信装置3,4のCPU31が行う処理であったが、これに限定されない。例えば、カメラ2にCPUを追加して、カメラ2のCPUが行う処理としてもよい。以下、カメラ2にCPUが追加された実施形態である第二実施形態について説明する。
【0088】
図15に示すように、第二実施形態に係るカメラ2では、第一実施形態の場合(図3参照)のカメラ2の構成に加えて、CPU206、ROM207、及びRAM208が追加されている。また、第一実施形態で通信装置3に設けられていた撮像制御部310が、通信装置3から削除され、カメラ2に設けられている。
【0089】
CPU206は、ROM207、RAM208、モータ制御部201、撮像制御部310、及び通信装置3のCPU31に接続されている。撮像制御部310は、イメージセンサ251に接続されている。ROM207には、CPU206が実行するメイン処理(図10及び図11参照)等のプログラムや、各種データテーブル51,52,53,54(図6〜図9参照)が記憶されている。
【0090】
CPU206は、第一実施形態のCPU31と同様に、メイン処理(図10及び図11参照)を実行する。このとき、CPU206は、指示信号に応じて、モータ制御部201を介して、モータ202,203を制御して、撮像部25を回動させる(図11のS24)。また、CPU206は、指示信号に応じて、ズームモータ205を制御して、ズームアウト・ズームインを行う(図10のS18及びS19)また、第二拠点12のユーザがリモコン311を操作して入力した指示信号は、ネットワーク6を介して送信され、通信装置3のCPU31によって取得(受信)される。そして、通信装置3のCPU31は、カメラ2のCPU206に指示信号を送信し、カメラ2のCPU206によって取得(受信)される(図10のS13〜S16、図11のS25、S26、S36)。また、CPU206は、イメージセンサ251で撮像された画像を撮像制御部310で符号化し、画像データを通信装置3のCPU31に送信する。通信装置3のCPU31は、画像データを通信装置4に送信する。
【0091】
以上のような構成によって、カメラ2に設けられたCPU206が、メイン処理を行うことができる。第二実施形態では、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
第二実施形態において、カメラ2が本発明の「撮像装置」に相当する。また、第一実施形態では、CPU31が本発明に係る各種手段に相当していたが、第二実施形態では、CPU206が本発明に係る各種手段に相当する。
【符号の説明】
【0093】
1 テレビ会議システム
2 カメラ
3,4 通信装置
25 撮像部
31,206 CPU
51 左方向データテーブル
52 右方向データテーブル
53 上方向データテーブル
54 下方向データテーブル
202 チルトモータ
203 パンモータ
204 AFモータ
205 ズームモータ
251 イメージセンサ
252 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得手段と、
前記方向取得手段によって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定手段と、
前記方向取得手段によって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定手段と、
前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御手段と
を備え、
前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、
前記角度設定手段は、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、新たな前記指示方向が、現在設定されている前記回動方向と同じ方向か逆方向かを判断する方向判断手段
を備え、
前記方向判断手段によって新たな前記指示方向が現在設定されている前記回動方向とは逆方向であると判断された場合に、
前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記方向判断手段によって新たな前記指示方向が現在設定されている前記回動方向と同じ方向であると判断された場合に、
前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より大きい角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記回動制御手段による前記撮像手段の回動の制御が終了された後において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、計時手段により計時された、前記回動制御手段による前記撮像手段の回動の制御が終了されてからの経過時間が、予め設定された所定時間以下であるか否かを判断する経過時間判断手段を備え、
前記経過時間判断手段によって前記経過時間が前記所定時間以下であると判断された場合に、
前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記回動制御手段の制御によって前記撮像手段が回動している途中で、前記撮像手段の回動を停止させるユーザによる指示に応じた信号である停止信号を取得する停止信号取得手段と、
前記停止信号取得手段によって前記停止信号が取得された場合に、前記回動制御手段の制御による前記撮像手段の回動を停止させる停止手段と
を備え、
前記停止手段によって前記撮像手段の回動が停止された後において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、
前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像手段をズームインさせるズーム制御手段を備え、
前記ズーム制御手段が前記撮像手段をズームインさせた場合において、前記方向取得手段によって前記方向信号が新たに取得された場合に、
前記角度設定手段は、現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記駆動手段は前記撮像手段を複数の軸線回りに回動させることが可能であり、
前記回動制御手段は、前記方向設定手段によって設定された回動方向に対応した前記軸線回りに前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記方向取得手段によって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる速度である回動速度を設定する速度設定手段を備え、
前記速度設定手段は、
前記角度設定手段が現在設定されている前記回動角度より小さい角度を新たな前記回動角度として設定する場合に、現在設定されている前記回動速度より遅い速度を新たな前記回動速度として設定し、
前記角度設定手段が現在設定されている前記回動角度より大きい新たな角度を前記回動角度として設定する場合に、現在設定されている前記回動速度より早い新たな速度を前記回動速度として設定し、
前記回動制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記方向設定手段によって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定手段によって設定された新たな前記回動角度分、前記速度設定手段によって設定された新たな前記回動速度で、前記撮像手段を回動させることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置のコントローラに、
画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得ステップと、
前記方向取得ステップによって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定ステップと、
前記方向取得ステップによって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定ステップと、
前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御ステップと
を実行させ、
前記方向取得ステップによって前記方向信号が新たに取得された場合に、
前記角度設定ステップは、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御ステップは、前記駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする撮像プログラム。
【請求項10】
画像を撮像する撮像手段を回動させる方向についてのユーザによる指示に応じた信号である方向信号を取得する方向取得ステップと、
前記方向取得ステップによって取得された前記方向信号に応じた方向である指示方向を、前記撮像手段を回動させる方向である回動方向として設定する方向設定ステップと、
前記方向取得ステップによって前記方向信号が取得された場合に、前記撮像手段を回動させる角度である回動角度を設定する角度設定ステップと、
前記撮像手段を回動させて前記撮像手段の撮像する向きを変更する駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された前記回動角度分、前記撮像手段を回動させる回動制御ステップと
を備え、
前記方向取得ステップによって前記方向信号が新たに取得された場合に、
前記角度設定ステップは、新たな前記指示方向と、現在設定されている前記回動方向との関係に応じて、現在設定されている前記回動角度とは異なる角度を新たな前記回動角度として設定し、
前記回動制御ステップは、前記駆動手段を制御して、前記方向設定ステップによって設定された新たな前記回動方向に、前記角度設定ステップによって設定された新たな前記回動角度分、前記撮像手段を回動させることを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−205183(P2012−205183A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69453(P2011−69453)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】