説明

撮像装置、撮像プログラムおよび撮像方法

【課題】適切なタイミングで動画像の記録を開始できるようにすること。
【解決手段】撮像装置1は、検出手段1a,1bおよび記録手段1cを有する。検出手段1aは、被写体2の動き3を検出して第1の動き情報を生成する。検出手段1bは、撮像装置1の動き4を検出して第2の動き情報を生成する。記録手段1cは、検出手段1aが生成した第1の動き情報および検出手段1bが生成した第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置、撮像プログラムおよび撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体の静止画像や動画像を記録する撮像装置が用いられている。撮像装置で被写体の動画像などを記録する場合、撮影者は被写体の動作を追いながら、撮像装置の撮像可能範囲に被写体が納まるよう撮像装置の位置や姿勢を調整しつつ、撮像装置に対して記録開始の操作入力を行う。
【0003】
このとき、撮影者は撮像装置の位置などの調整に気を使う余り、記録開始の操作入力を忘れてしまい、所望のタイミングを撮り逃すことがある。
そこで、撮像装置が記録開始するか否かを判断して、動画像などの撮り逃しを低減する方法が提案されている。例えば、被写体が予め定めた特定位置に侵入した場合に、被写体の自動追尾および露光開始を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、被写体の特定の動作を予め記憶しておき、被写体の当該動作を検知すると、動画像を記録開始する技術がある(例えば、特許文献2参照)。更に、静止画撮影モード中に撮像装置の水平方向の加速度が所定値以上となった場合に、動作モードを静止画撮影モードから動画撮影モードに切り換える技術がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−60972号公報
【特許文献2】特開2006−33567号公報
【特許文献3】特開2010−237421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献3に記載の方法のように、撮像装置の動きのみによって動画撮影を開始可能すると、人ごみなどで人を避けたり、人に接触したりして撮像装置の位置が突発的に変化した場合にも動画像の撮影が開始されてしまう可能性がある。すなわち、撮影者が望まないタイミングで撮影が開始される場合があるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで動画像の記録を開始できる撮像装置、撮像プログラムおよび撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の検出手段と第2の検出手段と記録手段とを有する撮像装置が提供される。第1の検出手段は、被写体の動きを検出して第1の動き情報を生成する。第2の検出手段は、自装置の動きを検出して第2の動き情報を生成する。記録手段は、第1の動き情報および第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する。
【0008】
また、撮像プログラムが提供される。この撮像プログラムは、被写体の動きを検出して第1の動き情報を生成し、自装置の動きを検出して第2の動き情報を生成し、第1の動き情報および第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する、処理をコンピュータに実行させる。
【0009】
また、撮像プログラムと同様の処理を行う撮像方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記撮像装置、撮像プログラムおよび撮像方法によれば、適切なタイミングで動画像の記録を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態の撮像装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の携帯電話機のハードウェア例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】画像情報の座標系を示す図である。
【図5】被写体座標テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】被写体移動方向テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】本体姿勢変化テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】被写体座標取得処理を示すフローチャートである。
【図9】被写体移動方向の記録処理を示すフローチャートである。
【図10】本体姿勢変化の記録処理を示すフローチャートである。
【図11】録画開始制御を示すフローチャートである。
【図12】録画開始制御の第1の具体例を示す図である。
【図13】録画開始制御の第2の具体例を示す図である。
【図14】録画開始制御の第3の具体例を示す図である。
【図15】録画開始制御の第1の変形例を示す図である。
【図16】録画開始制御の第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の撮像装置を示す図である。撮像装置1は、検出手段1a,1bおよび記録手段1cを有する。
【0013】
検出手段1aは、被写体2の動き3を検出して第1の動き情報を生成する。動き3は、例えば3軸方向(水平方向・鉛直方向など)の位置の変化である。
検出手段1bは、自装置(撮像装置1)の動き4を検出して第2の動き情報を生成する。動き4は、例えば3軸方向(水平方向・鉛直方向など)の位置の変化や所定軸周りの回転方向などである。
【0014】
記録手段1cは、第1の動き情報および第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する。具体的には、動き3および動き4の一致の度合いによって、動画像の記録を開始することが考えられる。また、動き3および動き4の不一致の状況によって、動画像の記録を開始することが考えられる。
【0015】
撮像装置1によれば、検出手段1aにより被写体2の動き3が検出されて、第1の動き情報が生成される。検出手段1bにより、自装置の動きが検出されて第2の動き情報が生成される。そして、記録手段1cにより、第1の動き情報および第2の動き情報に基づいて、動画像の記録が開始される。
【0016】
これにより、適切なタイミングで動画像の記録を開始できる。具体的には、被写体2の動き3および自装置の動き4によって、動画像の記録を開始するので、自装置の動き4のみで記録開始を判断する場合に比べて、より適切なタイミングを判断できる。例えば、両方の情報を解析することで、撮影者が撮影したいと望んでいるタイミングをより適切に検知できる。
【0017】
解析方法には種々の方法を採れる。例えば、上述したように動き3および動き4の一致の度合いにより、撮影開始のタイミングを検知してもよい。他方、動き3および動き4の不一致の状況により、撮影開始のタイミングを検知してもよい。複数の解析方法で撮影開始のタイミングを検知すれば、撮影者の所望のタイミングを一層適切に検知できる。
【0018】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の携帯電話機のハードウェア例を示す図である。携帯電話機100は、CPU(Central Processing Unit)101、撮像部102、無線部103、RAM(Random Access Memory)104、フラッシュメモリ105、加速度センサ106、グラフィックインタフェース107、ディスプレイ107a、入力インタフェース108、タッチパネル108a、キーパッド108b、音声インタフェース109、マイク109aおよびスピーカ109bを有する。
【0019】
CPU101は、携帯電話機100全体の動作を制御する。具体的には、CPU101は、携帯電話機100の起動時およびその後必要に応じて、フラッシュメモリ105からOSプログラムやデータを読み出し、RAM104を利用して当該プログラムを実行する。CPU101は、例えば、無線部103から取得する受信データ、入力インタフェース108から取得する入力信号、音声インタフェース109から取得する音声データなどに基づいて、各種処理を行う。そして、CPU101は無線部103へ出力する送信データ、グラフィックインタフェース107に出力する画像データおよび音声インタフェース109へ出力する音声データなどを生成する。
【0020】
撮像部102は、静止画像や動画像を撮像する。撮像部102は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサおよびセンサに集光するレンズ系などにより実現できる。
【0021】
無線部103は、無線信号処理を行い、基地局など他の通信装置との無線通信を実現する。具体的には、無線部103は、携帯電話機100に搭載されたアンテナを介して受信した信号を復調・復号し、得られた受信データをCPU101に出力する。また、無線部103は、CPU101から取得した送信データを符号化・変調し、得られた送信信号をアンテナを介して出力する。
【0022】
RAM104は、CPU101が実行するプログラムや処理に用いるデータを一時的に格納するメモリである。RAM104には、CPU101によって各種プログラムやデータの少なくとも一部が一時的に格納される。また、CPU101によってRAM104に格納されたデータが適宜更新される。
【0023】
フラッシュメモリ105は、CPU101が実行するOSプログラムやアプリケーションプログラムおよびこれらプログラムの処理に用いるデータを格納するメモリである。フラッシュメモリ105は、例えば携帯電話機100が備える所定の記録媒体記録装置によってデータの書き込み・読み出しが可能な可搬型の半導体メモリでもよい。
【0024】
加速度センサ106は、3軸方向(水平方向および鉛直方向)を検出し、CPU101に出力する。また、加速度センサ106はジャイロセンサを含む。加速度センサ106はジャイロセンサによって携帯電話機100の角度や所定軸周りの角速度を検出し、CPU101に出力する。
【0025】
グラフィックインタフェース107は、画像表示処理を行う。具体的には、グラフィックインタフェース107は、CPU101から画像データを取得し、ディスプレイ107aに表示させる。なお、ディスプレイ107aに表示する画像には、例えばメニュー・文書・静止画像・動画像などが含まれる。
【0026】
入力インタフェース108は、ユーザによる入力操作の処理を行う。具体的には、入力インタフェース108は、タッチパネル108aへのタッチ操作やキーパッド108bへのキー押下を受け付けると、受け付けた内容を示す入力信号をCPU101に出力する。
【0027】
音声インタフェース109は、音声信号処理を行う。具体的には、音声インタフェース109は、マイク109aから音声アナログ信号を取得し、必要な信号変換処理を行ってCPU101に音声データを出力する。また、音声インタフェース109は、CPU101から音声データを取得し、必要な信号変換処理を行ってスピーカ109bに音声再生させる。
【0028】
図3は、第2の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。携帯電話機100は、動き情報記憶部110、動画情報記憶部120、画像生成制御部130、画像認識処理部140、被写体動き記録部150、センサ制御部160、本体動き記録部170、判定処理部180、画面描画処理部185および録画処理部190を有する。これらのユニットの機能は、CPU101が所定のプログラムを実行することにより携帯電話機100上に実現される。ただし、これらのユニットの全部または一部を専用のハードウェアで実現してもよい。
【0029】
動き情報記憶部110は、動き情報を記憶する。動き情報には、被写体座標テーブル、被写体移動方向テーブルおよび本体姿勢変化テーブルが含まれる。被写体座標テーブルは、画像情報内の被写体の座標を記録したデータである。被写体移動方向テーブルは、被写体の移動方向を記録したデータである。本体姿勢変化テーブルは、携帯電話機100の姿勢変化を記録したデータである。各テーブルの詳細は後述する。
【0030】
動画情報記憶部120は、動画情報を記憶する。
画像生成制御部130は、撮像部102による撮像結果を取得して画像情報を生成し、画像認識処理部140に出力する。また、画像生成制御部130は、動画像の録画が開始されると、生成した画像情報を録画処理部190に出力する。
【0031】
画像認識処理部140は、画像生成制御部130から取得した画像情報に基づいて、被写体を識別する。画像認識処理部140は、当該被写体の画像情報内の位置を取得し、被写体動き記録部150に出力する。
【0032】
被写体動き記録部150は、被写体の動きを検出し、記録する。具体的には、画像認識処理部140から取得した被写体の位置を動き情報記憶部110に格納された被写体座標テーブルに記録する。そして、被写体座標テーブルを参照して、被写体の位置の時間変化を算出することで被写体の移動方向を特定する。更に、動き情報記憶部110に格納された被写体移動方向テーブルに被写体の移動方向を記録する。
【0033】
また、被写体動き記録部150は、被写体の移動方向の記録を開始すると、本体動き記録部170に携帯電話機100の姿勢変化の記録を開始させる。
更に、被写体動き記録部150は、被写体の移動方向の記録が完了すると、判定処理部180に動画像の録画開始を行うか否かの判定を行うよう指示する。
【0034】
センサ制御部160は、加速度センサ106から3軸方向の加速度および所定軸周りの角速度を取得し、本体動き記録部170に出力する。
本体動き記録部170は、被写体動き記録部150の指示に応じて、携帯電話機100の姿勢変化の記録を開始する。具体的には、本体動き記録部170は、センサ制御部160から取得した加速度および所定軸周りの角速度に基づいて、所定の座標軸方向の移動成分や所定軸周りの回転方向を検出し、動き情報記憶部110に格納された本体姿勢変化テーブルに記録する。
【0035】
判定処理部180は、動き情報記憶部110に記憶された被写体移動方向テーブルおよび本体姿勢変化テーブルに基づいて、動画像の録画を開始するか否かを判定する。動画像の録画を開始すると判定した場合、画面描画処理部185にその旨を通知し、録画処理部190に録画を開始させる。動画像の録画を開始しない場合には、何もしない。
【0036】
画面描画処理部185は、判定処理部180から動画像の録画開始の通知を受けると、ディスプレイ107aにその旨を表示させる。撮影者に動画像の録画が開始されたことを通知するためである。
【0037】
録画処理部190は、判定処理部180から動画像の録画開始の指示を受けると、画像生成制御部130から画像情報を取得し、当該画像情報に基づいて動画情報を生成する。録画処理部190は、生成した動画情報を動画情報記憶部120に格納する。
【0038】
図4は、画像情報の座標系を示す図である。画像情報200は、画像生成制御部130が生成したものであり、その表示イメージを示している。画像情報200は、被写体201を含む。
【0039】
被写体201は、撮像部102によってフォーカス対象とされた領域(ピントを合わせた領域)を示す。被写体201の占める領域は、撮像部102によるフォーカスポイントの情報や画像情報200に現れる所定の特徴パターン(人物の顔など)に基づいて取得できる。また、被写体201は画像情報200上で所定の領域を占めている。このため、以下の説明において被写体201の座標という場合、当該領域の重心の座標を示すものとする。
【0040】
また、画像情報200を基準に携帯電話機100および被写体201の座標系を定義する。具体的には、画像情報200の左上を原点Oとする。画像情報200の横方向をX軸とし、紙面右側をX軸の正の方向とする。画像情報200の縦方向をY軸とし、紙面下側をY軸の正の方向とする。
【0041】
ここで、被写体201のX軸の正の方向への移動を被写体201の右方向への移動、被写体201のX軸の負の方向への移動を被写体201の左方向への移動とする。被写体201のY軸の正の方向への移動を被写体201の下方向への移動、被写体201のY軸の負の方向への移動を被写体201の上方向への移動とする。
【0042】
更に、携帯電話機100によって画像情報200が取得されるときの、携帯電話機100のX軸の正の方向への移動を携帯電話機100の右方向への移動とし、携帯電話機100のX軸の負の方向への移動を携帯電話機100の左方向への移動とする。携帯電話機100によって画像情報200が取得されるときの、携帯電話機100のY軸の正の方向への移動を携帯電話機100の下方向への移動とし、携帯電話機100のY軸の負の方向への移動を携帯電話機100の上方向への移動とする。
【0043】
図5は、被写体座標テーブルのデータ構造例を示す図である。被写体座標テーブル111は、動き情報記憶部110に格納される。被写体座標テーブル111には、時刻、X座標およびY座標の項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの被写体座標の情報を示す。
【0044】
時刻の項目には、座標の記録時刻(記録タイミング)が設定される。X座標の項目には、被写体のX座標が設定される。Y座標の項目には、被写体のY座標が設定される。
例えば、被写体座標テーブル111には、時刻が“9:00:00.00”、X座標が“100”、Y座標が“500”という情報が設定される。これは、9時00分00.00秒での、被写体201の画像情報200における座標が(X,Y)=(100,500)であったことを示す。
【0045】
図6は、被写体移動方向テーブルのデータ構造例を示す図である。被写体移動方向テーブル112は、動き情報記憶部110に格納される。被写体移動方向テーブル112には、時刻、X軸方向およびY軸方向の項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの移動方向の情報を示す。
【0046】
時刻の項目には、移動方向の記録時刻(記録タイミング)が設定される。X軸方向の項目には、被写体の移動方向のX軸成分が設定される。Y軸方向の項目には、被写体の移動方向のY軸成分が設定される。
【0047】
例えば、被写体移動方向テーブル112には、時刻が“9:00:00.20”、X軸方向が“右”、Y軸方向が“−”(ハイフン)という情報が設定される。これは、9時00分00.20秒に記録された被写体201の移動方向のX軸成分の向きが右向きで、Y軸方向の成分は無しであることを示す。
【0048】
図7は、本体姿勢変化テーブルのデータ構造例を示す図である。本体姿勢変化テーブル113は、動き情報記憶部110に格納されている。本体姿勢変化テーブル113には、時刻、X軸方向、Y軸方向および回転方向の項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの本体姿勢変化の情報を示す。
【0049】
時刻の項目には、姿勢変化の記録時刻(記録タイミング)が設定される。X軸方向の項目には、本体の移動方向のX軸成分が設定される。Y軸方向の項目には、本体の移動方向のY軸成分が設定される。回転方向の項目には、Y軸周りの本体の回転方向が設定される。
【0050】
例えば、本体姿勢変化テーブル113には、時刻が“9:00:00.20”、X軸方向が“右”、Y軸方向が“−”(ハイフン)、回転方向が“右”という情報が設定される。これは、9時00分00.20秒に記録された携帯電話機100の姿勢変化につき、移動方向のX軸成分の向きが右向きで、Y軸方向の成分は無しであり、Y軸に対して右回りに回転していたことを示す。
【0051】
ここで、Y軸に対して右回りとは、画像情報200の取得時に携帯電話機100を上から(Y軸の負側から正側へ向かう方向に)眺めた場合の、Y軸に対応する携帯電話機100の中心軸を回転軸とした時計回りの回転方向を示す。Y軸に対して左回りとは、画像情報200の取得時に携帯電話機100を上から(Y軸の負側から正側へ向かう方向に)眺めた場合の、Y軸に対応する携帯電話機100の中心軸を回転軸とした反時計回りの回転方向を示す。
【0052】
次に、以上の構成の携帯電話機100の処理手順を説明する。
図8は、被写体座標取得処理を示すフローチャートである。以下、図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0053】
(ステップS11)画像生成制御部130は、携帯電話機100のカメラ機能がオンになると(あるいは、ステップS16の判定でカメラ機能がオンであると判定すると)、撮像部102に撮像を開始させる。画像生成制御部130は、撮像部102の撮像結果を取得して、画像情報200を生成し、画像認識処理部140に出力する。
【0054】
(ステップS12)画像認識処理部140は、画像情報200に含まれる被写体201を検知する。例えば、被写体201が人であれば、画像情報200から顔に相当する特徴パターンを検知することで、被写体201を検知する。被写体201が物であれば、画像情報200のうち、撮像部102がフォーカスをあてた位置を取得して被写体201を検知する。
【0055】
(ステップS13)画像認識処理部140は、被写体201を検知したか否かを判定する。被写体201を検知した場合、処理をステップS14に進める。被写体201を検知しない場合、処理をステップS16に進める。
【0056】
(ステップS14)画像認識処理部140は、画像情報200における被写体201の座標を取得する。具体的には、被写体201の占める領域の重心を被写体201の座標として求める。そして、当該重心の位置に対応するX座標、Y座標を取得する。
【0057】
(ステップS15)画像認識処理部140は、被写体201の座標を被写体動き記録部150に出力する。
(ステップS16)画像認識処理部140は、カメラ機能がオフになったか否か判定する。オフになった場合、処理を終了する。オフになっていない場合(すなわち、カメラ機能がオンである場合)、処理をステップS11に進める。
【0058】
このようにして、画像認識処理部140は画像情報200内に被写体201を検知すると、画像情報200内の被写体201の座標を取得して、被写体201の移動方向の記録を開始する。なお、上述の被写体座標取得処理は、所定の周期(例えば、200ミリ秒間隔)で実行される。すなわち、画像認識処理部140は被写体201を検知している間、当該周期で、被写体201の座標を被写体動き記録部150に出力する。被写体動き記録部150は、画像認識処理部140から取得した被写体201の座標(被写体座標)に基づいて、被写体の移動方向を取得する。
【0059】
図9は、被写体移動方向の記録処理を示すフローチャートである。以下、図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS21)被写体動き記録部150は、所定のイベントを検知する。イベントは2種類ある。第1のイベントは、画像認識処理部140からの被写体座標の入力である。第2のイベントは、被写体座標を記録する期間を計る記録タイマのタイムアウトである。
【0060】
(ステップS22)被写体動き記録部150は、検知したイベントが画像認識処理部140からの被写体座標の入力であるか否かを判定する。被写体座標の入力である場合、被写体動き記録部150は被写体座標を被写体座標テーブル111に記録して、処理をステップS23に進める。被写体座標の入力でない場合、処理をステップS27に進める。
【0061】
(ステップS23)被写体動き記録部150は、現在、被写体の移動方向を記録中であるか否かを判定する。記録中である場合、処理をステップS25に進める。記録中でない場合、処理をステップS24に進める。なお、現在、被写体の移動方向を記録中であるか否かは、記録タイマがカウント中であるか否かによって判断できる。
【0062】
(ステップS24)被写体動き記録部150は、記録タイマのカウントをスタートする。また、被写体動き記録部150は本体動き記録部170に本体姿勢変化の記録を開始させる。そして、処理を終了する。
【0063】
(ステップS25)被写体動き記録部150は、今回受け付けた座標に対応する被写体201が前回受け付けた座標に対応する被写体と同一であるか否かを判定する。同一である場合、処理をステップS26に進める。同一でない場合、被写体動き記録部150は本体動き記録部170による本体姿勢変化の記録を停止させて、処理をステップS29に進める。なお、今回と前回で被写体が同一であるか否かは、例えば被写体の座標の変化の度合いによって判断できる。具体的には、携帯電話機100の加速度に基づいて算出される携帯電話機100の速度に比して被写体の座標変化が大きければ被写体が同一でないと判断し、当該速度に比して被写体の座標変化が小さければ被写体が同一であると判断する。また、被写体201が人物であれば、例えば画像認識処理部140から顔のパターンを取得しておき、当該パターンの前回と今回との一致の度合いに基づいて判断することもできる。
【0064】
(ステップS26)被写体動き記録部150は、被写体座標テーブル111を参照して、被写体201の前回の座標と今回の座標との差分から被写体201の移動方向を求める。具体的には、各軸の成分につき“座標変位=(今回の座標)−(前回の座標)”を算出して、座標変位の符号がプラスであれば移動方向を(X軸なら)右、(Y軸なら)下と求めることができる。他方、座標変位の符号がマイナスであれば移動方向を(X軸なら)左、(Y軸なら)上と求めることができる。被写体動き記録部150は、求めた移動方向を被写体移動方向テーブル112に記録する。
【0065】
(ステップS27)被写体動き記録部150は、記録タイマのタイムアウトであるか否かを判定する。記録タイマのカウントスタートからタイムアウトまでの時間は、例えば5秒〜10秒程度とすることが考えられる。タイムアウトである場合、動画像を記録するものと判断し、被写体動き記録部150は本体動き記録部170による本体姿勢変化の記録を停止させて、処理をステップS28に進める。タイムアウトでない場合、処理を終了する。
【0066】
(ステップS28)被写体動き記録部150は、判定処理部180に録画開始制御を行うよう指示する。判定処理部180は被写体動き記録部150の指示に応じて録画開始制御を行う。録画開始制御の詳細は後述する。
【0067】
(ステップS29)被写体動き記録部150は、記録タイマをリセットする。このとき、被写体動き記録部150は、被写体座標テーブル111、被写体移動方向テーブル112および本体姿勢変化テーブル113に記録されたデータを破棄してもよい。
【0068】
このようにして、被写体動き記録部150は画像認識処理部140から被写体201の座標を取得するたびに、被写体201の移動方向を記録する。
なお、ステップS26では被写体動き記録部150は携帯電話機100に対する相対的な移動方向を求めることとした。一方、携帯電話機100の移動方向および速度も考慮して、絶対的な(地表上での)移動方向を求めてもよい。具体的には、前回と今回との時間間隔での携帯電話機100の各軸の移動方向と距離を求め、それを被写体201の座標変位に加えればよい。
【0069】
また、被写体動き記録部150は、被写体201の移動方向の記録を開始するとともに、本体動き記録部170による本体姿勢変化の記録を開始させる。すると、本体動き記録部170は、被写体動き記録部150による記録処理と同期して、本体姿勢変化の記録を開始する。
【0070】
図10は、本体姿勢変化の記録処理を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS31)センサ制御部160は、加速度センサ106から携帯電話機100の加速度および所定軸周りの角速度を取得し、本体動き記録部170に出力する。
【0071】
(ステップS32)本体動き記録部170は、センサ制御部160から取得した加速度に基づいて、移動方向のX軸成分およびY軸成分を取得する。また、本体動き記録部170は、センサ制御部160から取得した角速度に基づいてY軸周りの回転方向を取得する。本体動き記録部170は、取得した移動方向および回転方向を本体姿勢変化テーブル113に記録する。
【0072】
このようにして、本体動き記録部170は携帯電話機100の移動方向および回転方向を記録する。
なお、本体動き記録部170は、被写体動き記録部150による移動方向の記録と同期して、本体の姿勢変化を記録するものとしたが、非同期で記録してもよい。その場合、例えば本体動き記録部170は、被写体動き記録部150が記録を開始した時刻と被写体動き記録部150が記録を終了した時刻とを本体姿勢変化テーブル113に記録しておく。このようにすれば、判定処理部180は、被写体動き記録部150および本体動き記録部170が同時間帯に記録した内容を容易に抽出・比較して、以降の判定処理を行える。
【0073】
判定処理部180は、記録タイマがタイムアウトすると、被写体動き記録部150の指示により、被写体移動方向テーブル112および本体姿勢変化テーブル113を参照して、録画開始制御を行う。
【0074】
図11は、録画開始制御を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS41)判定処理部180は、被写体移動方向テーブル112および本体姿勢変化テーブル113を参照して、同時刻における被写体201の移動方向と携帯電話機100本体の姿勢変化とを比較する。比較対象の時間帯は、記録タイマの開始時点から記録タイマの終了時点までの時間帯である。比較方法は、以下のステップS42〜S45に示す通りである。
【0075】
(ステップS42)判定処理部180は、移動方向の各軸成分の一致頻度(所定時間当たりの一致回数)が閾値以上であるか否かを判定する。一致頻度が閾値以上である場合、処理をステップS46に進める。一致頻度が閾値よりも小さい場合、処理をステップS43に進める。一致するとは、例えば、X軸成分につき被写体201および携帯電話機100の移動方向が両方とも“右”あるいは両方とも“左”で同じであることをいう。両者の移動方向の、一方が“右”、他方が“左”である場合は不一致である。一致頻度はX軸、Y軸ごとに求めることができる。何れか一方の軸成分に順番に着目して、少なくとも何れかの成分で一致頻度が閾値以上であるかを判定する。例えば、1秒当たり5回移動方向の記録を行っている場合、5秒間当たりの移動方向のX軸成分(またはY軸成分)の一致回数が閾値10回以上であるか否かを判定する。
【0076】
(ステップS43)判定処理部180は、各軸成分における移動方向の食い違い(不一致)が交互に記録されているか否かを判定する。移動方向の食い違いが交互に記録されている場合、処理をステップS46に進める。移動方向の食い違いが交互に記録されていない場合、処理をステップS44に進める。ここで、移動方向の食い違いとは、例えばX軸成分でいえば次のケースが挙げられる。(1)被写体201につき右移動が記録されているのに対し、携帯電話機100につき左移動が記録されているケース。(2)被写体201につき左移動が記録されているのに対し、携帯電話機100につき右移動が記録されているケース。交互に記録とは、各ケースにつき、時系列に例えば(1)、(2)、(1)、(2)、(1)、(2)のように所定回数(例えば5回)だけ繰り返し記録されていることを示す。Y軸成分については、上記(1)、(2)のケースで“右移動”を“下移動”、“左移動”を“上移動”と読みかえれば良い。
【0077】
(ステップS44)判定処理部180は、所定期間(例えば、5秒間)、被写体201と携帯電話機100との動きがないか否かを判定する。所定期間、両者の動きがない場合、処理をステップS46に進める。当該期間中に少なくとも何れか一方で動きがある場合、処理をステップS45に進める。
【0078】
(ステップS45)判定処理部180は、所定期間(例えば、3秒間)、携帯電話機100のみで動きが記録されているか否かを判定する。所定期間、携帯電話機100のみで動きが記録されている場合、処理をステップS46に進める。当該期間中に被写体201の動きも検出されている場合、処理を終了する。
【0079】
(ステップS46)判定処理部180は、画面描画処理部185に録画開始を通知する。画面描画処理部185は、動画像の録画を開始する旨をディスプレイ107aに表示させる。
【0080】
(ステップS47)判定処理部180は、録画処理部190に録画開始を指示する。録画処理部190は、画像生成制御部130から画像情報を取得して動画情報を生成し、動画情報記憶部120に格納する。
【0081】
このようにして、判定処理部180は被写体移動方向テーブル112および本体姿勢変化テーブル113の情報に基づいて録画開始制御を行う。その際、判定処理部180は複数の方法で判定を行うことで、撮影者が動画録画を開始したいタイミングをより適切に検知する。
【0082】
ここで、上記ステップS42〜S45に示した方法で判定を行う理由は以下の通りである。
(1)ステップS42の判定について
被写体201の移動方向および携帯電話機100の移動方向が所定頻度で一致する場合、撮影者が被写体201を追うように携帯電話機100を動かしていると判断できる。その場合、撮影者は被写体201の動画を撮ろうとしていると推測されるからである。
【0083】
(2)ステップS43の判定について
被写体201の移動方向および携帯電話機100の移動方向の食い違い(不一致)が交互に記録されている場合にも、被写体201の移動を追うように、撮影者が携帯電話機100を動かしていると判断できる。その場合、撮影者は被写体201の動画を撮ろうとしていると推測されるからである。
【0084】
(3)ステップS44の判定について
被写体201および携帯電話機100につき、所定期間だけ両者の動きが記録されていなければ、撮影者は被写体201に対して携帯電話機100をほぼ固定状態として、被写体201の動画を撮ろうとしていると推測されるからである。
【0085】
(4)ステップS45の判定について
所定期間だけ携帯電話機100のみで動きが記録されている場合、撮影者は被写体201の画像情報200内の位置がほぼ固定されるように、携帯電話機100を動かしており、被写体201の動画を撮ろうとしていると推測されるからである。
【0086】
携帯電話機100などの撮像装置では、動画録画を行っていなくても、ディスプレイ107aに撮像した画像が表示されることが多い。ディスプレイ107aに画像が表示されていると、撮影者は既に録画が開始されていると思い込んで録画開始の操作入力をし忘れることもある。上記録画開始制御によれば、このような操作入力のし忘れがあったとしても、適切なタイミングで動画像の録画を開始できる。
【0087】
また、携帯電話機100および被写体201の移動状況に基づいて、録画開始制御を行うので、携帯電話機100のみの移動状況に基づいて録画開始を行うかを判断するよりも、より適切なタイミングで録画開始を行える。
【0088】
なお、上記ステップS42〜S45の判定処理を行う順序は、上記の順序と異なっていてもよい。また、上記ステップS42〜S45に示した判定処理のうちの一部を行うようにしてもよい。
【0089】
更に、ステップS43の判定は、被写体201の移動方向および携帯電話機100の移動方向が互いに逆向きで、かつ、携帯電話機100の移動方向が、1つ前の記録タイミングで取得された被写体201の移動方向と同じ移動方向であることを所定回数だけ検知した場合に、動画像の記録を開始する処理ということもできる。
【0090】
次に、上記ステップS42、S43およびS45で示した判定に基づく録画開始制御の具体的な処理方法を例示する(ステップS44の判定は両者の動きが記録されない場合であり、具体的な処理方法を容易に想起できるためその説明を省略する)。以下の説明では、移動方向のX軸成分にのみ着目して説明するが、Y軸成分に関しても同様である。
【0091】
まず、ステップS42の判定に基づく録画開始制御を説明する。
図12は、録画開始制御の第1の具体例を示す図である。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、各ステップに対応する図には、画像情報(例えば画像情報210)および被写体(例えば被写体211)と、被写体および装置本体(携帯電話機100)の移動方向のX軸成分と、が対応付けて示されている。図13〜図15についても同様である。各画像情報に含まれる被写体は全て同一の被写体であるとする。
【0092】
(ステップST101)画像情報210は、被写体211の座標を取得した際の表示イメージを示している。被写体211は、画像情報210の中央部に位置している。画像情報210は、当該被写体の座標を最初に記録したタイミングのものなので、当該タイミングにおける被写体の移動方向は記録されていない(“−”表記)。装置本体についても同様である。
【0093】
(ステップST102)画像情報220は、ステップST101の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体221は、画像情報210の左側寄りに位置している。このとき、被写体221は、被写体211の位置よりも左に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が左であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体221および携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0094】
(ステップST103)画像情報230は、ステップST102の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体231は、画像情報230の中央部に位置している。このとき、被写体231は、被写体221の位置よりも右に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が記録なしであるとする。この場合、判定処理部180は、被写体231および携帯電話機100の移動方向が一致していないと判断する。
【0095】
(ステップST104)画像情報240は、ステップST103の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体241は、画像情報240の右側寄りに位置している。このとき、被写体241は、被写体231の位置よりも右に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体241および携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0096】
(ステップST105)画像情報250は、ステップST104の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体251は、画像情報250の中央部に位置している。このとき、被写体251は、被写体241の位置よりも左に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体251および携帯電話機100の移動方向が一致していないと判断する。
【0097】
(ステップST106)画像情報260は、ステップST105の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体261は、画像情報260の右側寄りに位置している。このとき、被写体261は、被写体251の位置よりも右に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が記録なしであるとする。この場合、判定処理部180は、被写体261および携帯電話機100の移動方向が一致していないと判断する。
【0098】
(ステップST107)画像情報270は、ステップST106の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体271は、画像情報270の中央部に位置している。このとき、被写体271は、被写体261の位置よりも左に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が左であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体271および携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0099】
(ステップST108)画像情報280は、ステップST107の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体281は、画像情報280の右側寄りに位置している。このとき、被写体281は、被写体271の位置よりも右に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体281および携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0100】
このようにして、判定処理部180は、被写体と携帯電話機100との移動方向の一致回数を取得して、一致頻度を算出する。判定処理部180は、算出した一致頻度が閾値以上となるか判定することで、動画像の録画開始のタイミングを検知する。
【0101】
次に、ステップS43の判定に基づく録画開始制御を説明する。
図13は、録画開始制御の第2の具体例を示す図である。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0102】
(ステップST111)画像情報210aは、被写体211aの座標を取得した際の表示イメージを示している。被写体211aは、画像情報210aの中央部に位置している。画像情報210aは、当該被写体の座標を最初に記録したタイミングのものなので、当該タイミングにおける被写体の移動方向は記録されていない。装置本体についても同様である。
【0103】
(ステップST112)画像情報220aは、ステップST111の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体221aは、画像情報220aの左側寄りに位置している。このとき、被写体221aは、被写体211aの位置よりも左に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体221aおよび携帯電話機100の移動方向が食い違っていると判断する。
【0104】
(ステップST113)画像情報230aは、ステップST112の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体231aは、画像情報230aの右側寄りに位置している。このとき、被写体231aは、被写体221aの位置よりも右に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が左であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体231aおよび携帯電話機100の移動方向が、ステップST112とはそれぞれ逆向きとなって食い違っていると判断する。
【0105】
(ステップST114)画像情報240aは、ステップST113の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体241aは、画像情報240aの左側寄りに位置している。このとき、被写体241aは、被写体231aの位置よりも左に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体241aおよび携帯電話機100の移動方向が、ステップST113とはそれぞれ逆向きとなって食い違っていると判断する。
【0106】
このようにして、判定処理部180は、被写体および携帯電話機100の移動方向の食い違いを検出して、それが交互に所定回数検出されたか判定することで、動画像の録画開始のタイミングを検知する。
【0107】
次に、ステップS45の判定に基づく録画開始制御を説明する。
図14は、録画開始制御の第3の具体例を示す図である。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0108】
(ステップST121)画像情報210bは、被写体211bの座標を取得した際の表示イメージを示している。被写体211bは、画像情報210bの中央部に位置している。画像情報210bは、当該被写体の座標を最初に記録したタイミングのものなので、当該タイミングにおける被写体の移動方向は記録されていない。装置本体についても同様である。
【0109】
(ステップST122)画像情報220bは、ステップST121の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体221bは、画像情報220bの中央部に位置している。このとき、被写体221bは、被写体211bの位置と変わらず、移動方向が記録なしである。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、携帯電話機100のみの移動方向が記録されていると判断する。
【0110】
(ステップST123)画像情報230bは、ステップST122の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体231bは、画像情報230bの中央部に位置している。このとき、被写体231bは、被写体221bの位置と変わらず、移動方向が記録なしである。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が左であるとする。この場合、判定処理部180は、携帯電話機100のみの移動方向が記録されていると判断する。
【0111】
(ステップST124)画像情報240bは、ステップST123の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体241bは、画像情報240bの中央部に位置している。このとき、被写体241bは、被写体231bの位置と変わらず、移動方向が記録なしである。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が右であるとする。この場合、判定処理部180は、携帯電話機100のみの移動方向が記録されていると判断する。
【0112】
このようにして、判定処理部180は、所定期間、携帯電話機100のみの移動方向が記録されたかを判定することで、動画像の録画開始のタイミングを検知する。
以上のような判定を順次行っていくことで、携帯電話機100は適切なタイミングで動画像の録画を開始できる。特に、録画開始の操作入力をし忘れることによる、撮り逃しを低減することができる。また、より適切なタイミングで録画開始を行うことで、不要な録画を行わずに済む。その結果、省電力化や動画情報記憶部120の記憶領域の利用効率化も図れる。
【0113】
次に、録画開始制御の変形例を説明する。
図15は、録画開始制御の第1の変形例を示す図である。図15には画像情報200の座標系50が示されている(左手系)。座標系50では紙面上向きがZ軸の正の方向である。画像認識処理部140は、画像情報200の横方向および縦方向に加えて、被写体の大きさの変化(ズームは利用しないとする)から奥行き方向(Z軸方向)の座標も取得できる。被写体動き記録部150は、移動方向のZ軸成分も考慮して、動画開始制御を行える。図15では、移動方向のZ軸成分に着目して説明する。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0114】
(ステップST131)画像情報210cは、被写体211cの座標を取得した際の表示イメージを示している。被写体211cは、画像情報210cの中央部に位置している。画像情報210cは、当該被写体の座標を最初に記録したタイミングのものなので、当該タイミングにおける被写体の移動方向は記録されていない。装置本体についても同様である。
【0115】
(ステップST132)画像情報220cは、ステップST131の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体221cは、画像情報220cの中央部に位置している。このとき、被写体221cは、被写体211cのXY軸上の位置と変わらないが、被写体221cの占める領域は、被写体211cの占める領域よりも大きくなっている。よって、被写体221cは被写体211cよりも前(Z軸の正の方向)に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が前(Z軸の正の方向)であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体221cおよび携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0116】
(ステップST133)画像情報230cは、ステップST132の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体231cは、画像情報230cの中央部に位置している。このとき、被写体231cは、被写体221cのXY軸上の位置と変わらないが、被写体231cの占める領域は、被写体221cの占める領域よりも小さくなっている。よって、被写体231cは被写体221cよりも後(Z軸の負の方向)に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が後(Z軸の負の方向)であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体231cおよび携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0117】
(ステップST134)画像情報240cは、ステップST133の次の記録タイミングでの表示イメージを示している。被写体241cは、画像情報240cの中央部に位置している。このとき、被写体241cは、被写体231cのXY軸上の位置と変わらないが、被写体241cの占める領域は、被写体231cの占める領域よりも大きくなっている。よって、被写体241cは被写体231cよりも前に移動している。更に、同タイミングにおける装置本体の移動方向が前であるとする。この場合、判定処理部180は、被写体241cおよび携帯電話機100の移動方向が一致していると判断する。
【0118】
このようにして、判定処理部180は、被写体と携帯電話機100との移動方向の一致回数をZ軸成分についても取得して、一致頻度を算出する。判定処理部180は、算出した一致頻度が閾値以上となるか判定することで、動画像の録画開始のタイミングを検知できる。
【0119】
次に、録画開始制御の他の変形例を説明する。
図16は、録画開始制御の第2の変形例を示す図である。ここで、図7では本体姿勢変化テーブル113に携帯電話機100の回転方向も記録する旨を説明した。携帯電話機100は当該回転方向も考慮して録画開始制御を行える。具体的には、X,Y軸方向の場合の処理と同様に、被写体201の移動方向(“右”など)と携帯電話機100の回転方向(“右”など)が一致する頻度が閾値以上となったかを判定すればよい。図16では、このように回転方向によって録画開始制御を行う場合の具体例を説明する。
【0120】
ここで、図16では携帯電話機100,100aおよび被写体(被写体211dなど)を上空から見下ろした様子を示している。携帯電話機100aは携帯電話機100と同一の携帯電話機であり、携帯電話機100の中心軸周りに回転する様子が分かり易いように図示したものである。被写体211d,221d,231d,241dは、同一の被写体であり、各ステップにおける被写体の位置の変化する様子が分かり易いように図示したものである。また、撮像方向310,320,330,340は、各ステップにおける携帯電話機100,100aの撮像方向(撮像部102の撮像可能範囲の中心)を示す。
【0121】
以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップST141)被写体211dは、図16の上側に位置している。このとき、携帯電話機100は被写体211dを撮影するために撮像方向310を向いている。この位置を0度とする。
【0122】
(ステップST142)被写体221dは、ステップST141の次の記録タイミングにおける被写体の位置を示しており、図16の右側に位置している。このとき、携帯電話機100a(携帯電話機100)は被写体221dを撮影するために撮像方向320を向いている。すなわち、携帯電話機100a(携帯電話機100)はステップST141の姿勢から90度だけ右回転したことになる。更に、画像情報内において、被写体221dは被写体211dよりも右に移動している。よって、判定処理部180は、被写体221dの移動方向および携帯電話機100a(携帯電話機100)の回転方向が一致していると判断する。
【0123】
(ステップST143)被写体231dは、ステップST142の次の記録タイミングにおける被写体の位置を示しており、図16の下側に位置している。このとき、携帯電話機100は被写体231dを撮影するために撮像方向330を向いている。すなわち、携帯電話機100はステップST142の姿勢から90度だけ右回転したことになる。更に、画像情報内において、被写体231dは被写体221dよりも右に移動している。よって、判定処理部180は、被写体231dの移動方向および携帯電話機100の回転方向が一致していると判断する。
【0124】
(ステップST144)被写体241dは、ステップST142の次の記録タイミングにおける被写体の位置を示しており、図16の左側に位置している。このとき、携帯電話機100a(携帯電話機100)は被写体241dを撮影するために撮像方向340を向いている。すなわち、携帯電話機100a(携帯電話機100)はステップST143の姿勢から90度だけ右回転したことになる。更に、画像情報内において、被写体241dは被写体231dよりも右に移動している。よって判定処理部180は、被写体241dの移動方向および携帯電話機100の回転方向が一致していると判断する。
【0125】
このようにして、判定処理部180は、被写体の移動方向および携帯電話機100の回転方向の一致回数を取得して、一致頻度を算出する。判定処理部180は、算出した一致頻度が閾値以上となるか判定することで、動画像の録画開始のタイミングを検知できる。
【0126】
携帯電話機100は、上記第2の変形例による判定を携帯電話機100の移動方向による判定と組合わせて用いることもできる。携帯電話機100の移動方向による判定と組合せて用いる場合には、例えば移動方向のX軸成分、移動方向のY軸成分および回転方向のそれぞれにつき一致頻度が閾値以上となったか判定し、少なくとも1つで閾値以上となるものがあれば、録画を開始する。
【0127】
あるいは、移動方向のX軸成分、移動方向のY軸成分および回転方向の全部の一致回数に基づいて、一致頻度が閾値以上となったか判定して、閾値以上となれば録画を開始するようにしてもよい。
【0128】
このように、種々の判定方法を組合わせて録画開始制御を行うことで、より適切なタイミングを検知して動画像の録画を開始できる。
以上、撮像装置、撮像プログラムおよび撮像方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物や行程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0129】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、コンピュータが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0130】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto - Optical disk)などがある。半導体メモリには、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのフラッシュメモリがある。
【0131】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータに格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0132】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム若しくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【符号の説明】
【0133】
1 撮像装置
1a,1b 検出手段
1c 記録手段
2 被写体
3,4 動き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の動きを検出して当該動きを示す第1の動き情報を生成する第1の検出手段と、
自装置の動きを検出して当該動きを示す第2の動き情報を生成する第2の検出手段と、
前記第1の動き情報および前記第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する記録手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記第1の動き情報および前記第2の動き情報が所定の頻度で一致する場合に、前記動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の動き情報には、前記被写体の移動方向を示す情報が含まれており、
前記第2の動き情報には、自装置の移動方向を示す情報が含まれており、
前記記録手段は、前記被写体の移動方向および自装置の移動方向が所定の頻度で一致する場合に、前記動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の動き情報には、前記被写体の移動方向を示す情報が含まれており、
前記第2の動き情報には、自装置の移動方向を示す情報が含まれており、
前記記録手段は、前記被写体の移動方向および自装置の移動方向が互いに逆向きで、かつ、自装置の移動方向が、1つ前のタイミングで取得された前記被写体の移動方向と同じ移動方向であることを所定回数だけ検知した場合に、前記動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の動き情報には、前記被写体の移動方向を示す情報が含まれており、
前記第2の動き情報には、自装置の回転方向を示す情報が含まれており、
前記記録手段は、前記被写体の移動方向および自装置の回転方向に基づいて、前記動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記録手段は、前記被写体が自装置に対して相対的に動いておらず、自装置が動いていることを所定期間だけ検知した場合に、前記動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体の動きを検出して第1の動き情報を生成し、
自装置の動きを検出して第2の動き情報を生成し、
前記第1の動き情報および前記第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする撮像プログラム。
【請求項8】
被写体の動きを検出して第1の動き情報を生成し、
自装置の動きを検出して第2の動き情報を生成し、
前記第1の動き情報および前記第2の動き情報に基づいて、動画像の記録を開始する、
ことを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−209631(P2012−209631A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71710(P2011−71710)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】