説明

撮像装置、撮像方法および撮像プログラム

【課題】動画撮影中に適用する特殊効果を、ユーザが容易に変更することができ、ひいては多様な映像表現を実現することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置であって、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理部と、前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力部と、前記変更指示信号入力部が受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して該被写体の画像データを生成する撮像装置、撮像方法および撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置では、自然な印象を有するきれいな画像を生成する機能にとどまらず、ノイズ、シェーディング、ぼかし等の効果を意図的に付加する機能を有するものが知られている。このような機能を有する撮像装置は、従来得られなかった独特の印象を与える撮影を可能としている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、フィルムのような粒状感(ノイズ感)を有するとともに、ハイコントラストの画像を生成する技術が開示されている。この技術によれば、荒々しく力強い印象の画像を撮影することができる。
【0004】
また、下記特許文献2では、周縁部が減光された画像を生成する技術が開示されている。この技術によれば、トイカメラで撮影したような印象の画像を撮影することができる。
【0005】
これらの従来技術は、静止画撮影だけでなく動画撮影にも適用可能である。動画を撮影する場合には、時間的な画像の移り変わりを利用して、静止画にはない動画ならではの独特の映像表現を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−62836号公報
【特許文献2】特開2010−74244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、静止画を撮影する場合には、ユーザが意図する瞬間を撮影することができるのに対し、動画を撮影する場合には、ユーザの意図を動画に反映させることが難しかった。これは、1つには動画は常に変化するため、その分だけ表現の自由度が大きいことに起因している。この点につき、従来の特殊効果は、動画撮影された各フレームに対して同様の効果が付与されるにすぎないため、特殊効果を付与したとしても単調なシーンになってしまいがちであった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動画撮影中に適用する特殊効果を、ユーザが容易に変更することができ、ひいては多様な映像表現を実現することができる撮像装置、撮像方法および撮像プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置であって、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理部と、前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力部と、前記変更指示信号入力部が受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記変更指示信号は、前記動画中特殊効果の特性を不変とする効果ホールド信号と、前記動画中特殊効果の時間的な変化を与える特性曲線の変更指示を与える特性曲線変更指示信号と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記特性曲線を表示可能な表示部をさらに備え、前記制御部は、前記特性曲線変更指示信号が入力された場合、変更された前記特性曲線を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、撮影指示信号の入力を受け付けるとともに、前記変更指示信号の一部をなすレリーズボタンを有し、前記制御部は、前記動画中特殊効果を付与している最中に前記レリーズボタンによって信号が入力された場合、該信号を前記効果ホールド信号と認識することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記変更指示信号入力部は、前記表示部の表示画面上に設けられ、外部からの接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを有し、前記制御部は、前記タッチパネルに対して前記特性の表示位置に対応した接触位置であって略同じ接触位置での接触が継続する場合、該接触による信号を前記効果ホールド信号と認識することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記変更指示信号入力部は、前記表示部の表示画面上に設けられ、外部からの接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを有し、前記制御部は、前記タッチパネルに対して前記特性曲線上に対応した接触位置を基点として接触位置がスライドしながら変化した場合、該スライドの方向に応じて前記特性を変更するとともに、前記表示部に変更した前記特性に対応する特性曲線を表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記動画中特殊効果画像処理部が行う画像処理は、特定の画像データとこの画像データの後に撮影した画像データとを所定の比率で順次合成し、前記特定の画像データの合成比率が時間とともに小さくなるワンショットエコー処理を含み、前記動画中特殊効果処理の特性は、前記合成比率であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、一つの画像データに対して視覚的な効果を生じさせるアート効果を付与する画像処理を行うアート効果画像処理部を備え、前記動画中特殊効果画像処理部が行う画像処理は、前記アート効果画像処理部が行うアート効果画像処理の種類を時間の経過とともに徐々に変えていくトランジット処理を含み、前記動画中特殊効果の特性は、前記トランジット処理開始時点で選択されているアート効果の画像中における合成比率であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る撮像方法は、被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置が行う撮像方法であって、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理ステップと、前記動画中特殊効果画像処理ステップの最中に前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力ステップと、前記変更指示信号入力ステップで受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する特性変更ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る撮像プログラムは、被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置に、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理ステップと、前記動画中特殊効果画像処理ステップの最中に前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力ステップと、前記変更指示信号入力ステップで受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する特性変更ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行い、変更指示信号の入力に応じて特性を変更するため、ユーザは動画撮影中に付与する特殊効果をユーザの意志で容易に変更することができる。したがって、動画撮影中に適用する特殊効果を用いることによって多様な映像表現を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置のユーザに面する側(前面側)の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置のアート効果画像処理部が行うアート効果画像処理の概要を示す図である。
【図4】図4は、マルチエコーの概要を説明する図である。
【図5】図5は、ワンショットエコーの概要を説明する図である。
【図6】図6は、最新の撮影画像に合成されるSDRAM画像の係数の時間変化を示す図である。
【図7】図7は、トランジットの概要を説明する図である。
【図8】図8は、トランジット処理において開始トリガ入力前にかけられているアート効果の係数の時間変化を示す図である。
【図9】図9は、揺らぎの概要を説明する図である。
【図10】図10は、動画記録時と動画非記録時における十字キーの各矢印キーへの操作割り当て例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置が備えるレンズ制御部と制御部との同期通信の一例を示すタイミングチャートである。
【図12】図12は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置の表示部における動画用の画面表示例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置が行う動画中特殊効果制御処理の概要を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置が行う画像処理の概要を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置が行う特性変更処理の概要を示すフローチャートである。
【図17】図17は、効果ホールド状態を模式的に示す図である。
【図18】図18は、特性曲線変更処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0022】
本発明の一実施の形態は、静止画と動画を撮影可能な撮像装置を用いて動画記録を開始すると、静止画用に割り当てられた操作入力用のユーザインターフェースの機能が動画特殊効果用に切り替わることを特徴とする。
【0023】
本実施の形態に係る撮像装置は、動画撮影中に静止画を撮影する機能を有する。ここで、動画撮影中の静止画撮影とは、動画を撮影している途中で静止画を撮影する場合と、動画撮影を終了した直後に静止画を撮影する場合とを含む。また、動画を撮影している途中で静止画を撮影する場合には、静止画撮影時に動画撮影を一旦停止する場合と、静止画撮影を動画撮影と並行して行う場合とが含まれる。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置のユーザに面する側(前面側)の構成を示す斜視図である。図1および図2に示す撮像装置1は、本体部2と、本体部2に着脱自在なレンズ部3と、を備える。
【0025】
本体部2は、シャッタ10と、シャッタ駆動部11と、撮像素子12と、撮像素子駆動部13と、信号処理部14と、A/D変換部15と、画像処理部16と、AE処理部17と、AF処理部18と、画像圧縮展開部19と、入力部20と、表示部21と、表示駆動部22と、記録媒体23と、メモリI/F24と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)25と、Flashメモリ26と、本体通信部27と、バス28と、制御部29と、を備える。
【0026】
シャッタ10は、撮像素子12の状態を露光状態または遮光状態に設定する。シャッタ駆動部11は、ステッピングモータ等を用いて構成され、制御部29から入力される指示信号に応じてシャッタ10を駆動する。
【0027】
撮像素子12は、レンズ部3が集光した光を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成される。撮像素子駆動部13は、所定のタイミングで撮像素子12から画像データ(アナログ信号)を信号処理部14に出力させる。この意味で、撮像素子駆動部13は、電子シャッタとして機能する。
【0028】
信号処理部14は、撮像素子12から入力されるアナログ信号に対して、アナログ処理を施してA/D変換部15に出力する。具体的には、信号処理部14は、アナログ信号に対して、ノイズ低減処理およびゲインアップ処理等を行う。例えば、信号処理部14は、アナログ信号に対して、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに目的の明るさとなるようにゲインアップを行う。
【0029】
A/D変換部15は、信号処理部14から入力されるアナログ信号に対してA/D変換を行うことによってデジタルの画像データを生成し、バス28を介してSDRAM25に出力する。
【0030】
画像処理部16は、バス28を介してSDRAM25から画像データを取得し、取得した画像データ(RAWデータ)に対して各種の画像処理を行って処理画像データを生成する。この処理画像データは、バス28を介してSDRAM25に出力される。画像処理部16は、基本画像処理部161と、アート効果画像処理部162と、動画中特殊効果画像処理部163と、を有する。
【0031】
基本画像処理部161は、画像データに対して、少なくとも、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、撮像素子がベイヤー配列の場合には画像データの同時化処理、カラーマトリクス演算処理、ガンマ補正処理、色再現処理およびエッジ強調処理等を含む基本の画像処理を行う。また、基本画像処理部161は、予め設定された各画像処理のパラメータに基づいて、自然な画像を再現する仕上がり効果処理を行って仕上がり効果画像データを生成する。ここで、各画像処理のパラメータとは、コントラスト、シャープネス、彩度、ホワイトバランスおよび階調の値である。
【0032】
アート効果画像処理部162は、1つの画像データに対して複数の画像処理を組み合わせることにより、視覚的な効果を生じさせるアート効果処理を行って処理画像データ(以下、「アート効果画像データ」という)を生成する。
【0033】
図3は、アート効果画像処理部162が行うアート効果画像処理の概要を示す図である。図3ではアート効果画像処理として、ファンタジックフォーカス、ファンタジックフォーカス+スターライト、ファンタジックフォーカス+ホワイトエッジ、ポップアート、ポップアート+スターライト、ポップアート+ピンホール、ポップアート+ホワイトエッジ、トイフォト、ラフモノクローム、ジオラマの10種類が記載されている。以下、これらのアート効果画像処理について説明する。
【0034】
ファンタジックフォーカスは、画像全体にぼかし処理を施し、ぼかす前の画像と一定の割合で合成するソフトフォーカスの効果を与える処理である。ファンタジックフォーカスは、中間の輝度をより明るくするトーンカーブ処理を行うことにより、柔らかいトーンの中で、被写体のディテールを残しながら、幸福な光に包まれたように美しく幻想的な雰囲気の画像を結像または生成する。ファンタジックフォーカスは、例えばトーンカーブ処理、ぼかし処理、アルファブレンド処理および画像合成処理等の画像処理を組み合わせることによって実現される。
ファンタジックフォーカス+スターライトは、ファンタジックフォーカスに加えて、画像中の高輝度部に対してクロスパターンを描写するクロスフィルター効果を施す処理である。
ファンタジックフォーカス+ホワイトエッジは、ファンタジックフォーカスに加えて、画像の中心部から周縁部に行くにしたがって徐々に白味を帯びる効果が施す処理である。このような白味の効果は、画像の中心からの距離が大きいほど周辺部が白くなるように画素値を変更することによって得られる。
【0035】
ポップアートは、色をカラフルに強調し、明るく楽しい雰囲気を表現する処理である。ポップアートは、例えば彩度強調処理およびコントラスト強調処理を組み合わせることによって実現される。全体に高コントラストで高彩度の効果である。
ポップアート+スターライトは、ポップアートとスターライトを重ねて施す処理である。この場合には、カラフルな画像にクロスフィルターを施した効果が得られる。
ポップアート+ピンホールは、ポップアートに加えて、画像の周縁部をシェーディングによって暗くして穴から覗き込むような効果を与えるトイフォト(ピンホール)を施す処理である。トイフォトの詳細については、後述する。
ポップアート+ホワイトエッジは、ポップアートとホワイトエッジを重ねて施す処理である。
【0036】
トイフォトは、画像の中心からの距離が大きいほど輝度が小さく(暗く)なるようにして、あたかも穴から覗き込んで異空間に迷い込んだような効果を生じさせる処理である。トイフォトは、例えばローパスフィルタ処理、ホワイトバランス処理、コントラスト処理、色相・彩度処理に加え、輝度信号に対して周辺ほど小さい係数を乗じるシェーディング処理等の画像処理を組み合わせることによって実現される(トイフォト、シェーディングの詳細な内容については、例えば特開2010−74244号公報を参照)。
【0037】
ラフモノクロームは、高コントラストとフィルムの粒状のノイズを付加してモノクロ画像の力強さや荒々しさを表現する処理である。ラフモノクロームは、例えばエッジ強調処理、レベル補正最適化処理、ノイズパターン重畳処理、合成処理およびコントラスト処理等を組み合わせることによって実現される(ラフモノクロームの詳細な内容については、例えば特開2010−62836号公報を参照)。このうちノイズパターン重畳処理(ノイズ付加処理)は、予め作成したノイズパターン画像をもとの画像に加算する処理である。ノイズパターン画像は、例えば乱数などを発生させ、この乱数に基づいて生成してもよい。
【0038】
ジオラマは、高コントラストで高彩度の画像に、画像の周縁部をぼかすことにより、ミニチュア模型やおもちゃを見ているかのような雰囲気を画面上に作り出す処理である。ジオラマは、例えば色相・彩度処理、コントラスト処理、周辺ぼかし処理および合成処理等を組み合わせることによって実現される。このうち、周辺ぼかし処理は、画像の中心からの距離に応じ、周辺部ほどぼける度合いが大きくなるように、画像の位置に応じてローパス係数を変更しながらローパスフィルタ処理を行うものである。なお、周辺ぼかし処理として、画像の上下のみ、または画像の左右のみをぼかすようにしてもよい。
【0039】
動画中特殊効果画像処理部163は、動画を記録する際、画像に特殊効果を加える画像処理を行う。動画中特殊効果画像処理部163が行う動画中特殊効果としては、例えばマルチエコー、ワンショットエコー、トランジット、揺らぎがある。以下、これらの動画中特殊効果について説明する。
【0040】
図4は、マルチエコーの概要を説明する図である。マルチエコーとは、直前の記録用画像と今撮影した画像の合成を所定の期間繰り返すことによって画像に残像が残る効果である。具体的には、図4に示すように、ボール101が動く軌跡を残像として表示することができる効果である。
【0041】
動画中特殊効果画像処理部163は、動画中特殊効果としてマルチエコーが設定されている場合、開始トリガが入力されると、その直後に生成された画像に対して、一つ前のフレームの画像を所定の割合で合成する処理(マルチエコー処理)を行う。
【0042】
図4に示す場合、動画中特殊効果画像処理部163は、開始トリガ入力直後の撮影画像P1とその1つ前のフレームの撮影画像P0に対応する記録画像R0とを合成することによってマルチエコー画像R1を生成する。この合成の際、各画素において、撮影画像P1の信号に係数0.6を乗じる一方、記録画像R0の信号に係数0.4を乗じる。
続いて、動画中特殊効果画像処理部163は、次のフレームの撮影画像P2と合成画像R1とを合成することによってマルチエコー画像R2を生成する。マルチエコー画像R2を生成する際には、各画素において、撮影画像P2の信号に係数0.6を乗じる一方、合成画像R1の信号に係数0.4を乗じる。
【0043】
動画中特殊効果画像処理部163は、終了トリガが入力されるまで、上述した合成処理を繰り返し行うことによってマルチエコー画像を順次生成する。終了トリガが入力されると、記録媒体23には、撮影画像P5に対応する記録画像R5が記録される。
【0044】
図5は、ワンショットエコーの概要を説明する図である。ワンショットエコーとは、特定のフレームの画像(一瞬の画像)が徐々に薄くなりながら消えていく効果である。具体的には、図5に示すように、特定の時間に撮影されたボール101がしばらくの間撮影画像に残像として残るような効果である。
【0045】
動画中特殊効果画像処理部163は、動画中特殊効果としてワンショットエコーが設定されている場合、開始トリガが入力されると、その直後に撮影して記録された画像データを一旦SDRAM25に保存し、この画像データをその後に撮影された画像データに対して時間とともに徐々に重みが減衰するように合成していく処理(ワンショットエコー処理)を行う。
【0046】
図5に示す場合、開始トリガの入力直後に撮影された撮影画像P1はSDRAM25に記憶される(以下、SDRAM画像S1という)。動画中特殊効果画像処理部163は、SDRAM25が記憶するSDRAM画像S1と最新の撮影画像とを所定の比率で合成する。
【0047】
図5に示す場合、開始トリガ入力直後には撮影画像P1に対応するワンショットエコー画像R11が表示される。
その後、時間t=tにおいて、動画中特殊効果画像処理部163は、SDRAM画像S1と撮影画像P2とを合成することによってワンショットエコー画像R12を生成する。この合成を行う際、各画素において、SDRAM画像S1の信号に係数a1=0.8を乗じる一方、撮影画像P2の信号に係数1−a1=0.2を乗じる。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t3において、SDRAM画像S1の信号に乗じる係数をa=0.4、撮影画像P3の信号に乗じる係数を1−a=0.6として合成したワンショットエコー画像R13を生成する。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t4において、SDRAM画像S1の信号に乗じる係数をa=0.2、撮影画像P4の信号に乗じる係数を1−a=0.8として合成したワンショットエコー画像R14を生成する。
その後、時間t=t5において係数a=0となるため、撮影画像P5が記録画像R5となる。
【0048】
図6は、最新の撮影画像に合成されるSDRAM画像の合成比率の時間変化を示す図である。図6において、横軸tは開始トリガ入力時点(t=0)からの経過時間であり、縦軸aはSDRAM画像S1の各画素の信号に乗じる係数である。図6に示すように、係数aは、t=0でa1であり、時間とともに滑らかに減少していき、開始トリガ入力から所定時間t5経過した時点で0となる。すなわち、SDRAM画像S1の合成画像中に占める割合は、時間とともに徐々に減少していく設定がなされている。これにより、SDRAM画像S1が時間とともに徐々に消えていくような画像を作り出すことができる。
【0049】
なお、図6に示す曲線は一例に過ぎず、時間とともに係数aが減衰するなどして一定時間で係数aが0となるように滑らかに変化する曲線であればどのようなものでもよく、例えば係数aが一定値をとる期間を含む曲線でもよい。
【0050】
また、係数aは、開始トリガからのフレーム数に応じて定めるようにしてもよい。この場合には、フレーム単位で徐々に係数aの値を減少させながら、所定のフレーム数(例えば120フレーム)で係数が0となるようにすればよい。
【0051】
図7は、トランジットの概要を説明する図である。トランジットは、1つの画像に対して付与されるアート効果が、別のアート効果へと徐々に比率を変えながら変わっていく効果である。図7では、アート効果Aからアート効果Bへ変化するトランジットを模式的に示している。図7において、トランジットの開始トリガ入力直前は、撮影画像P0に対してアート効果Aを施したアート効果画像A0が生成される。トランジットでアート効果の切り替え開始から切り替え終了までに要する時間は、適宜設定可能である。
【0052】
図7に示す場合、開始トリガ入力前は、アート効果Aが設定されているものとする。すなわち、開始トリガ入力直前において、アート効果画像処理部162は、撮影画像P0にアート効果Aを施したアート効果画像R20を形成しているものとする。
【0053】
開始トリガが入力されると、動画中特殊効果画像処理部163は、撮影画像P1にアート効果Aを施したアート効果画像A1に係数b(=b0)=0.8を乗じる一方、撮影画像P1にアート効果Bを施したアート効果画像B1に係数1−b(=1−b0)=0.2を乗じた二つの画像を合成することによってトランジット画像R21を生成する。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t12において、撮影画像P2にアート効果Aを施したアート効果画像A2の信号に乗じる係数をb=0.6とし、撮影画像P2にアート効果Bを施したアート効果画像B2の信号に乗じる係数を1−b=0.4として合成したトランジット画像R22を生成する。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t13において、撮影画像P3にアート効果Aを施したアート効果画像A3の信号に乗じる係数をb=0.4とし、撮影画像P3にアート効果Bを施したアート効果画像B3の信号に乗じる係数を1−b=0.6として合成したトランジット画像R23を生成する。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t14において、撮影画像P4にアート効果Aを施したアート効果画像A4の信号に乗じる係数をb=0.2とし、撮影画像P4にアート効果Bを施したアート効果画像B4の信号に乗じる係数を1−b=0.8として合成したトランジット画像R24を生成する。
その後、動画中特殊効果画像処理部163は、時間t=t15において、撮影画像P5にアート効果Bのみを施した(b=0)トランジット画像R25を生成する。
【0054】
図8は、トランジット処理において開始トリガ入力前から付与されているアート効果の合成比率(係数)bの時間変化を示す図である。図8に示すように、係数bは、t=0でb0であり、時間とともに滑らかに減少していき、開始トリガ入力から所定時間t15経過した時点で0となる。
【0055】
なお、図8に示す曲線は一例に過ぎず、時間とともに係数bが減衰するなどして一定時間で係数bが0となるように滑らかに変化する曲線であればどのようなものでもよく、例えば係数bが一定値をとる期間を含む曲線でもよい。
【0056】
また、係数bを、開始トリガからのフレーム数に応じて定めるようにしてもよい。この場合には、フレーム単位で滑らかに係数bの値を減少させながら、所定のフレーム数(例えば120フレーム)で係数が0となるようにすればよい。
【0057】
図9は、揺らぎの概要を示す図である。揺らぎとは、動画中の各フレームに対して付与するアート効果のかかり具合を時間とともにランダムに変化させることによって得られる効果である。図9では、一例として、アート効果がクロスフィルターである場合を示している。この場合、動画中特殊効果画像処理部163は、クロス102を時間とともにランダムに回転させるとともに、クロス102の大きさを時間とともにランダムに変化させることによって揺らぎを与えている。
【0058】
引き続き、撮像装置1の構成を説明する。
AE処理部17は、バス28を介してSDRAM25に記録された画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、静止画撮影または動画撮影を行う際の露出条件を設定する。具体的には、AE処理部17は、画像データから輝度を算出し、算出した輝度に基づいて、例えば絞り値(F値)の設定値、シャッタ速度等を決定することで撮像装置1の自動露出を行う。
【0059】
AF処理部18は、バス28を介してSDRAM25に記録された画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、撮像装置1の自動焦点の調整を行う。例えば、AF処理部18は、画像データから高周波成分の信号を取り出し、高周波成分の信号に対してAF(Auto Focus)演算処理を行うことによって、撮像装置1の合焦評価を決定することで撮像装置1の自動焦点の調整を行う。
【0060】
画像圧縮展開部19は、バス28を介してSDRAM25から画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の形式に従って圧縮し、この圧縮した画像データをSDRAM25に出力する。ここで、所定の形式としては、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式、MotionJPEG方式およびMP4(H.264)方式等である。また、画像圧縮展開部19は、バス28およびメモリI/F24を介して記録媒体23に記録された画像データ(圧縮画像データ)を取得し、取得した画像データを展開(伸長)してSDRAM25に出力する。なお、記録媒体23の代わりに撮像装置1の内部に記憶部を設けてもよい。
【0061】
入力部20は、静止画撮影および動画撮影における撮影条件を設定する静止画撮影条件設定信号を含む各種設定信号の入力を受け付ける設定信号入力部201と、少なくとも動画撮影の開始を指示する動画撮影開始信号の入力を受け付ける動画撮影信号入力部202と、動画中特殊効果の特性を変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力部203と、を有する。
【0062】
変更指示信号入力部203が入力を受け付ける変更指示信号は、動画中特殊効果の特性を変えずに動画中特殊効果をホールドする効果ホールド信号、および動画中特殊効果の特性の時間的な変化を与える特性曲線の変更指示を与える特性曲線変更指示信号からなる。
【0063】
入力部20は、本体部2の表面に設けられた操作信号入力用のユーザインターフェースを用いて実現される。以下、入力部20の一部をなすユーザインタフェースの構成を説明する。
【0064】
撮像装置1は、操作入力用のユーザインタフェースとして、撮像装置1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切替える電源ボタン41と、静止画撮影の指示を与える静止画レリーズ信号の入力を受け付けるレリーズボタン42と、撮像装置1に設定された各種撮影モードを切り替えるモードダイヤル43と、撮像装置1の各種設定を切替える操作ボタン44と、撮像装置1の各種設定を表示部21に表示させるメニューボタン45と、記録媒体23に記録された画像データに対応する画像を表示部21に表示させる再生ボタン46と、動画撮影の指示を与える動画レリーズ信号の入力を受け付ける動画ボタン47と、撮像装置1の各種機能を設定するファンクションキー48と、データを消去する消去ボタン49と、表示部21の表示画面に重ねて設けられ、外部からの接触位置に応じた入力信号を受け付けるタッチパネル50とを有する。
【0065】
レリーズボタン42は、外部からの押圧により進退可能である。レリーズボタン42が半押しされた場合、撮影準備動作を指示する1stレリーズ信号が入力される。これに対し、レリーズボタン42が全押しされた場合、静止画撮影を指示する2ndレリーズ信号が入力される。本実施の形態では、動画中特殊効果画像処理部163が動画中特殊効果画像処理を実行している最中は、レリーズボタン42の1stレリーズ信号を効果ホールド信号としてもよい。これにより、ユーザは効果ホールドを行いたいときに、直感的に把握しやすい入力ボタンを使用して効果ホールド処理を行うことができる。この場合のレリーズボタン42は、変更指示信号入力部203の一部をなすこととなる。
【0066】
操作ボタン44は、メニュー画面等における選択設定入力を行うために上下左右方向に十字状をなす十字キー441と、十字キー441による選択を確定する決定ボタン442とを有する。十字キー441は、上矢印キー443、下矢印キー444、左矢印キー445、右矢印キー446からなる。
【0067】
タッチパネル50は、変更指示信号入力部203の一部として機能する。すなわち、タッチパネル50は、効果ホールド信号や、特性曲線変更指示信号の入力を受け付ける機能を有する。
【0068】
以上説明したユーザインタフェースのうち、動画ボタン47以外のボタンは設定信号入力部201の一部をなす。また、動画ボタン47は動画撮影信号入力部202の一部をなす。また、動画中特殊効果画像処置実行中のレリーズボタン42、およびタッチパネル50は、変更指示信号入力部203の一部をなす。
【0069】
図10は、動画記録中でない場合(動画非記録時)と動画記録中である場合(動画記録時)における十字キー441の各矢印キーへの操作割り当て例を示す図である。動画が記録中でない場合、上矢印キー443には露出補正操作が割り当てられる。下矢印キー444には連写・単写操作が割り当てられる。左矢印キー445にはAFターゲット操作が割り当てられる。右矢印キー446にはフラッシュ設定操作が割り当てられる。
【0070】
次に、動画記録中である場合を説明する。この場合、上矢印キー443にはワンショットエコー開始操作が割り当てられる。下矢印キー444にはトランジット開始操作が割り当てられる。左矢印キー445は、マルチエコーの開始、停止操作を交互に割り当てトグルキーとして機能する。右矢印キー446には揺らぎ開始操作が割り当てられる。なお、揺らぎの終了を任意に選択できるように設定する場合には、右矢印キー446に対して、揺らぎの開始操作と終了操作とを交互に操作可能なトグルキーとして機能させればよい。
【0071】
なお、動画記録時における入力ボタンの割り当ては、図10に示すものに限られるわけではない。
【0072】
表示部21は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて構成される。表示駆動部22は、バス28を介してSDRAM25が記憶する画像データまたは記録媒体23が記憶する画像データを取得し、取得した画像データに対応する画像を表示部21に表示させる。ここで、画像の表示には、撮影直後の画像データを所定時間(例えば3秒間)だけ表示するレックビュー表示、記録媒体23に記録された画像データを再生する再生表示、および撮像素子12が連続的に生成する画像データに対応するライブビュー画像を時系列に沿って順次表示するライブビュー表示等が含まれる。また、表示部21は、撮像装置1の操作情報および撮影に関する情報を適宜表示する。
【0073】
記録媒体23は、撮像装置1の外部から装着されるメモリカード等を用いて構成される。記録媒体23は、メモリI/F24を介して撮像装置1に着脱自在に装着される。記録媒体23には、その種類に応じた図示しない読み書き装置によって画像処理部16や画像圧縮展開部19が処理を施した画像データが書き込まれ、または読み書き装置によって記録媒体23に記録された画像データが読み出される。また、記録媒体23は、制御部29の制御のもと、メモリI/F24およびバス28を介して撮像プログラムおよび各種情報それぞれをFlashメモリ26に出力してもよい。
【0074】
SDRAM25は、揮発性メモリを用いて構成される。SDRAM25は、バス28を介してA/D変換部15から入力される画像データ、画像処理部16から入力される処理画像データおよび撮像装置1の処理中の情報を一時的に記憶する一次記憶部としての機能を有する。例えば、SDRAM25は、信号処理部14、A/D変換部15およびバス28を介して、撮像素子12が1フレーム毎に順次出力する画像データを一時的に記憶する。
【0075】
Flashメモリ26は、不揮発性メモリを用いて構成される。Flashメモリ26は、プログラム記録部261と、特殊効果処理情報記録部262と、画像処理情報記録部263と、を有する。プログラム記録部261は、撮像装置1を動作させるための各種プログラム、撮像プログラムおよびプログラムの実行中に使用される各種データおよび画像処理部16による画像処理の動作に必要な各種パラメータ等を記録する。特殊効果処理情報記録部262は、アート効果画像処理部162が行う各アート効果処理における画像処理の組み合わせ情報を記録する。画像処理情報記録部263は、画像処理部16が実行可能な画像処理に処理時間を対応付けた画像処理情報を記録する。また、Flashメモリ26は、撮像装置1を特定するための製造番号等を記録する。
【0076】
本体通信部27は、本体部2に装着されたレンズ部3との通信を行うための通信インターフェースである。本体通信部27には、レンズ部3との電気的な接点も含まれる。
【0077】
バス28は、撮像装置1の各構成部位を接続する伝送路等を用いて構成される。バス28は、撮像装置1の内部で発生した各種データを撮像装置1の各構成部位に転送する。
【0078】
制御部29は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。制御部29は、画像処理制御部291と、特性制御部292と、表示制御部293と、を有する。
【0079】
画像処理制御部291は、バス28を介して入力される入力部20からの指示信号に応じて、画像処理部16に実行させるべき画像処理の内容を設定し、設定した内容に応じた画像処理を、基本画像処理部161、アート効果画像処理部162、および動画中特殊効果画像処理部163のいずれかに実行させる。
【0080】
特性制御部292は、動画中特殊効果の特性を制御する。この特性は、ワンショットエコーの場合には、SDRAM画像の合成比率aである(図6を参照)。また、トランジットの場合には、トランジット前のアート効果の合成比率bである(図8を参照)。
【0081】
表示制御部293は、表示部21の表示態様を制御する。具体的には、表示制御部293は、表示駆動部22を駆動し、画像処理部16が処理を行った各種画像データに対応する画像を表示部21に表示させる。
【0082】
制御部29は、バス28を介して入力部20から送信される指示信号に応じて、撮像装置1を構成する各部に対して制御信号や各種データの送信を行うことにより、撮像装置1の動作を統括的に制御する。
【0083】
制御部29は、レリーズボタン42を介して2ndレリーズ信号が入力された場合、撮像装置1における静止画撮影動作を開始する制御を行う。また、制御部29は、動画ボタン47を介して動画撮影開始信号が入力された場合、撮像装置1における動画撮影動作を開始する制御を行う。ここで、撮像装置1における撮影動作とは、シャッタ駆動部11および撮像素子駆動部13の駆動によって撮像素子12が出力した画像データに対し、信号処理部14、A/D変換部15および画像処理部16が所定の処理を施す動作をいう。このように処理が施された画像データは、画像処理制御部291の制御のもと、画像圧縮展開部19で所定の形式にしたがって圧縮され、バス28およびメモリI/F24を介して記録媒体23に記録される。なお、本実施の形態では記録媒体23が記憶部の一部をなしているが、記録媒体23とは別に撮像装置1の内部に記憶部の機能を有する記憶領域を確保し、この記憶領域に圧縮した画像データを記憶するようにしてもよい。
【0084】
以上の構成を有する本体部2に対して、音声入出力部、被写体に対して補助光(フラッシュ)を発光する補助光発光部、インターネットを介して外部の装置と双方向に通信を行う機能を有する通信部などをさらに設けてもよい。
【0085】
次に、レンズ部3の構成を説明する。レンズ部3は、光学系31と、レンズ駆動部32と、絞り33と、絞り駆動部34と、レンズ操作部35と、レンズFlashメモリ36と、レンズ通信部37と、レンズ制御部38と、を備える。
【0086】
光学系31は、一または複数のレンズを用いて構成される。光学系31は、所定の視野領域から光を集光する。光学系31は、画角を変化させる光学ズーム機能および焦点を変化させるフォーカス機能を有する。
【0087】
レンズ駆動部32は、DCモータまたはステッピングモータ等を用いて構成され、光学系31のレンズを光軸L上で移動させることにより、光学系31のピント位置や画角等の変更を行う。
【0088】
絞り33は、光学系31が集光した光の入射量を制限することにより露出の調整を行う。
絞り駆動部34は、ステッピングモータ等を用いて構成され、絞り33を駆動する。
【0089】
レンズ操作部35は、図2に示すように、レンズ部3のレンズ鏡筒の周囲に設けられるリングであり、レンズ部3における光学ズームの操作を開始する操作信号の入力、またはレンズ部3におけるピント位置の調整を指示する指示信号の入力を受け付ける。なお、レンズ操作部35は、プッシュ式のスイッチ等であってもよい。
【0090】
レンズFlashメモリ36は、光学系31の位置および動きそれぞれを決定するための制御用プログラム、光学系31のレンズ特性および各種パラメータを記録する。
【0091】
レンズ通信部37は、レンズ部3が本体部2に装着されたときに、本体部2の本体通信部27と通信を行うための通信インターフェースである。レンズ通信部37には、本体部2との電気的な接点も含まれる。
【0092】
レンズ制御部38は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。レンズ制御部38は、レンズ操作部35の操作信号または本体部2からの指示信号に応じてレンズ部3の動作を制御する。具体的には、レンズ制御部38は、レンズ操作部35の操作信号に応じて、レンズ駆動部32を駆動させてレンズ部3のピント合わせやズーム変更を行うとともに、絞り駆動部34を駆動させて絞り値の変更を行う。なお、レンズ制御部38は、レンズ部3が本体部2に装着された際に、レンズ部3のピント位置情報、焦点距離およびレンズ部3を識別する固有情報等を本体部2に送信するようにしてもよい。
【0093】
レンズ制御部38は、本体部2の制御部29との間で所定の周期でレンズ通信信号を送受信することによって、本体部2との動作の連携を図っている。図11は、レンズ制御部38と制御部29との同期通信の一例を示すタイミングチャートである。図11(a)は本体部2内の処理を示している。図11(b)は垂直同期信号を示している。図11(c)は撮像、読み出しのタイミングを示している。図11(d)はレンズ通信を示している。図11(e)はレンズ通信同期信号を示している。図11(f)はレンズ位置取得信号を示している。図11(g)はレンズ部3内の処理を示している。
【0094】
まず、制御部29は、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の画像処理およびAF評価値の算出等を画像処理部16に実行させるとともに、レンズ制御部38にレンズ状態データを取得するためのレンズ状態データ要求コマンドを送信する(B1、BL)。この際、制御部29は、同期通信モード中に、垂直同期信号と同じ周期でレンズ通信用の同期信号および光学系31の位置情報を取得するタイミングを指示するレンズ位置取得信号を送信する。このレンズ位置取得信号は、図11(c)に示すように撮像素子12の中央部の蓄積時間の1/2が経過した時点で状態が変化する信号である。
【0095】
レンズ制御部38は、レンズ位置取得信号の状態が変化したタイミングで光学系31の位置情報を取得するとともに、レンズ通信同期信号の受信タイミングでレンズ操作部35の操作状態を検出する(L1)。
【0096】
続いて、レンズ制御部38は、制御部29から受信したレンズ状態データ要求コマンドへの応答として、工程L1で取得した光学系31の位置情報およびレンズ操作部35の捜査状態を含むレンズ状態データを制御部29へ送信する(L2)。
【0097】
この後、制御部29は、レンズ制御部38から送られてきたレンズ状態データに基づいて、AF評価値の算出や、露出値の変更等の各種設定変更を行う(B2)。
【0098】
制御部29とレンズ制御部38は、以上説明した処理を周期的に繰り返し行う。
【0099】
図12は、以上の構成を有する撮像装置1が行う処理の概要を示すフローチャートである。図12において、まず、ユーザによって電源ボタン41が操作されて、撮像装置1の電源がオン状態になる(ステップS1:Yes)と、制御部29は、撮像装置1の初期化を行う(ステップS2)。この初期化処理において、制御部29は、例えば動画の記録中を示す記録中フラグをオフ状態にリセットしたり、動画中の特殊効果に関する適用を示す特殊効果フラグをオフ状態にリセットしたり、レンズ制御部38との間のレンズ通信(図11を参照)を開始したりする処理を行う。なお、撮像装置1の電源がオン状態でない場合(ステップS1:No)、撮像装置1はステップS1を繰り返す。
【0100】
続いて、再生ボタン46が操作されることなく(ステップS3:No)、メニューボタン45が操作された場合(ステップS4:Yes)、撮像装置1は、設定を変更するためのメニュー画面を表示し、ユーザの選択操作に応じて撮像装置1の各種条件を設定する設定処理を実行する(ステップS5)。ステップS5の後、撮像装置1は、後述するステップS7へ移行する。
【0101】
ここで設定される内容は、仕上がり効果処理、アート効果処理、静止画記録モード、動画記録モード、動画中特殊効果処理などである。仕上がり効果処理には、例えば画像を自然な色合いに仕上げる処理であるナチュラル、画像を色鮮やかに仕上げる処理であるビビッド、被写体の素材性を重視して仕上げる処理であるフラット、画像をモノクロ調に仕上げる処理であるモノトーンなどが含まれる。静止画記録モードは、記録対象とする静止画の種類に応じて定められ、例えばJPEG記録モード、JPEG+RAW記録モード、RAW記録モードなどがある。動画撮影モードは、動画圧縮形式に応じて定められるモードであって、例えばMotion−JPEGモード、MP4(H.264)モードなどがある。動画中特殊効果処理で設定されるのは、例えばトランジットによるアート効果の切り替え先や揺らぎなどである。
【0102】
ステップS3で再生ボタン46が操作された場合(ステップS3:Yes)、撮像装置1は再生処理を行う(ステップS6)。このステップS6において、表示制御部293は、記録媒体23に記録されているファイル一覧を表示部21に表示させる。その後、入力部20によって再生画像が選択入力された場合、記録媒体23から画像データを取得し、取得した画像データを画像圧縮展開部19で展開して表示部21に表示させる。この後、撮像装置1は、ステップS18へ移行する。
【0103】
ステップS3で再生ボタン46が操作されることなく(ステップS3:No)、メニューボタン45が操作されていない場合(ステップS4:No)において、動画ボタン47が操作されたとき(ステップS7:Yes)、制御部29は、動画の記録中であることを示す記録中フラグを反転させる(ステップS8)。具体的には、例えば記録中フラグがオン状態にある場合、制御部29は、その記録中フラグをオフ状態に反転させる。
【0104】
続いて、制御部29は、SDRAM25に記録された記録中フラグがオン状態であるか否かを判断する(ステップS9)。記録中フラグがオン状態であると判断した場合(ステップS9:Yes)、制御部29は、記録媒体23に画像データを時系列に沿って記録するための動画ファイルを生成して記録媒体23に格納する(ステップS10)。
【0105】
その後、制御部29は、特殊動画用のユーザインターフェース(UI)を設定する(ステップS11)。この設定により、例えば図10に示すような動画記録時の割り当てが実行される。制御部29は、ステップS11で設定対象となったユーザインタフェースがこの後で受け付ける信号を、図10に基づく特殊動画用の信号として認識する。
【0106】
続いて、表示制御部293は、表示部21に表示させる画面上表示(OSD)などの設定を切り替えることによって動画用の画面への切替えを行う(ステップS12)。具体的には、表示制御部293は、例えば残り時間や、動画撮影時に特殊効果を適用できることを示すアイコンなどを表示する。この後、撮像装置1は、後述するステップS15へ移行する。
【0107】
図13は、表示部21における動画用の画面表示例を示す図である。図13に示すように、動画用画面Qでは、動画中特殊効果を適用可能であることを示す動画アイコン111、動画用画面キー割り当てを示す画面上表示112および動画撮影の残り時間を表示する残り時間113が表示される。このうち、画面上表示112は数秒間表示した後に自動的に消えるようにしてもよいし、常時表示するようにしてもよい。また、設定信号入力部201からの入力によって画面上表示112の表示と非表示を切り替えることができるようにしてもよい。
【0108】
ステップS9において、記録中フラグがオフ状態であると判断した場合(ステップS9:No)、制御部29は、静止画用ユーザインターフェースを設定する(ステップS13)。この後、撮像装置1は、後述するステップS15へ移行する。
【0109】
続いて、表示制御部293は、表示部21における画面上表示などの設定を静止画用に切り替える(ステップS14)。この切り替えにより、表示部21は、例えば残り記録枚数や、静止画撮影時に特殊効果を適用できることを示すアイコンなどを表示する。この後、撮像装置1は、後述するステップS15へ移行する。
【0110】
ステップS7において、動画ボタン47が操作されていない場合(ステップS7:No)、画像処理制御部291は、動画中特殊効果画像処理部163に対して動画中特殊効果処理を行わせる(ステップS15)。
【0111】
図14は、動画中特殊効果制御処理の概要を示すフローチャートである。図14において、動画中特殊効果を開始するキーが操作された場合(ステップS31:Yes)、画像処理制御部291は、動画中特殊効果フラグをオンにする(ステップS32)。その後、画像処理制御部291は、効果設定を行う(ステップS33)。
【0112】
動画中特殊効果を開始するキーが操作されない場合(ステップS31:No)において、終了指示が入力されたとき(ステップS34:Yes)、画像処理制御部291は、動画中特殊効果フラグをオフにする制御を行う(ステップS35)。この後、撮像装置1は、メインルーチンへ戻る。
【0113】
これに対し、動画中特殊効果を開始するキーが操作されない場合(ステップS31:No)において、終了指示が入力されないとき(ステップS34:No)、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
【0114】
ステップS15の動画中特殊効果制御処理の後、レリーズボタン42から1stレリーズ信号が入力された場合(ステップS16:Yes)、制御部29は、AE処理部17に露出を調整するAE処理を実行させるとともに、AF処理部18にピントを調整するAF処理を実行させる(ステップS17)。
【0115】
続いて、制御部29は、電源ボタン41が操作されることによって撮像装置1の電源がオフされたか否かを判断する(ステップS18)。撮像装置1の電源がオフされたと制御部29が判断した場合(ステップS18:Yes)、撮像装置1は、本処理を終了する。これに対して、撮像装置1の電源がオフされていないと制御部29が判断した場合(ステップS18:No)、撮像装置1は、ステップS3へ戻る。
【0116】
レリーズボタン42から1stレリーズ信号が入力されない場合(ステップS16:No)、レリーズボタン42から2ndレリーズ信号が入力されたとき(ステップS19:Yes)、制御部29は、シャッタ駆動部11および撮像素子駆動部13をそれぞれ駆動することにより、メカシャッタによる撮影を行う(ステップS20)。
【0117】
続いて、画像処理部16は、撮影した静止画像に対して所定の画像処理を実行する(ステップS21)。なお、画像処理の詳細については後述する。
【0118】
この後、制御部29は、画像データをJPEG形式で画像圧縮展開部19に圧縮させ、この圧縮した画像データを記録媒体23に記録する(ステップS22)。このステップS22で、制御部29は、画像圧縮展開部19がJPEG形式で圧縮した画像データに、画像処理部16が画像処理を行っていないRAWデータを対応付けて記録媒体23に記録させるようにしてもよい。ステップS22の後、撮像装置1は、ステップS18へ移行する。
【0119】
ステップS19において、レリーズボタン42から2ndレリーズ信号が入力されない場合(ステップS19:No)、制御部29は、AE処理部17に露出を調整するAE処理を実行させるとともに、AF処理部18にピントを調整するAF処理を実行させる(ステップS23)。
【0120】
続いて、制御部29は、撮像素子駆動部13を駆動することにより、電子シャッタによる撮影を実行する(ステップS24)。
【0121】
この後、画像処理部16は、撮像装置1の設定情報に基づいて画像処理を行う(ステップS25)。画像処理の詳細については後述する。
【0122】
表示制御部293は、画像処理部16が処理を施した画像データに対応するライブビュー画像を表示部21に表示させる(ステップS26)。
【0123】
続いて、撮像装置1が動画記録中であれば(ステップS27:Yes)、制御部29は、画像データを画像圧縮展開部19に圧縮させ、この圧縮した画像データを記録媒体23に作成された動画ファイルに動画として記録させる(ステップS28)。この後、撮像装置1は、ステップS18へ移行する。これに対して、ステップS27で動画記録中でなければ(ステップS27:No)、撮像装置1はステップS18へ移行する。
【0124】
図15は、画像処理の概要を示すフローチャートである。図15において、基本画像処理部161は基本画像処理を行う(ステップS41)。ここでの基本画像処理は、OB(Optical Black)値の減算、WB補正、同時化、カラーマトリクス演算、ガンマ変換色補正、エッジ強調、NR(Noise Reduction)などの処理を含む。
【0125】
ここで、WB補正は、ベイヤ配列の画像データに対して、予めユーザが設定したWBモードに応じたRゲインとBゲインを乗じて、WBを撮像装置本体のフラッシュメモリから読み出し、その値を乗じることで補正する処理である。
同時化は、撮像素子12がベイヤー配列であった場合に、その画素にないデータを周辺から補間することによって、各画素がRGBデータで構成されるデータに変換する処理である。
カラーマトリクス演算は、設定されているWBモードに応じたカラーマトリクス係数を本体のフラッシュメモリから読み出して乗算する処理である。
ガンマ変換色補正処理では、仕上がりの設定に応じて予め設計したガンマテーブルを本体のフラッシュメモリから読み出し、画像データをガンマ変換する。このとき、RGBデータに適用するガンマ変換と、RGBの色空間を輝度信号Yと2つの色差信号Cb、Crによって表される色空間に変換した後で輝度信号Yのみにガンマ変換を行うようにしてもよい。また、適切な色再現性を得るために、仕上がりの設定に応じて予め設計したサイドパラメータを用いて色を補正してもよい。なお、アート効果の種類によってガンマ曲線を変えるようにしてもよい。
エッジ強調処理では、バンドパスフィルタによりエッジ成分を抽出し、エッジ強調度に応じた係数を乗じて画像データに加算することで強調する。
NR処理では、画像を周波数分解し、周波数に応じてコアリング処理などを行うことでノイズを低減する処理を行う。
【0126】
続いて、アート効果画像処理部162は、アート効果処理を行う(ステップS42)。ここでは、上述したクロスフィルター、ソフトフォーカス、ノイズ付加、シェーディング、周辺輝度持ち上げ、周辺ぼかし、等の処理を行う。
【0127】
その後、撮像装置1が静止画撮影を行う場合(ステップS43:Yes)、制御部29が動画中特殊効果(第1の特殊効果)に対応した特殊効果(第2の特殊効果)を静止画の画像データに付与することを禁止する制御を行った後、メインルーチンへ戻る。
【0128】
ここで、撮像装置1が静止画撮影を行う場合に動画中特殊効果に対応した特殊効果を付与しない理由を説明する。動画撮影中の静止画撮影はレスポンスの速さが重要である。静止画の画素数は動画の画素数に比べて数倍程度大きいため、静止画に動画中特殊効果を付与すると、静止画撮影後の動画撮影の再開タイミングに影響を及ぼすおそれがある。そこで、本実施の形態では、静止画の場合に動画中特殊効果の適用を禁止している。なお、光束でレスポンスに影響がなければ静止画に適用することも可能である。
【0129】
一方、撮像装置1が動画撮影を行う場合(ステップS43:No)、制御部29は、動画中特殊効果が設定されているか否かを判定する(ステップS44)。動画中特殊効果が設定されている場合(ステップS44:Yes)、ステップS45へ移行する。これに対して、動画中特殊効果が設定されていない場合(ステップS44:No)、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
【0130】
ステップS44で動画中特殊効果が設定されている場合(ステップS44:Yes)において、適用する効果がマルチエコーであるとき(ステップS45:Yes)、動画中特殊効果画像処理部163は、直前の画像処理結果(前フレーム)に対して、上述したマルチエコー処理(図4を参照)として、現在のフレームを所定の比率で合成する(ステップS46)。一方、適用する特殊効果がマルチエコーでないとき(ステップS45:No)、撮像装置1はステップS47へ移行する。
【0131】
ステップS47において、制御部29は、適用する効果がワンショットエコーであるか否かを判定する。適用する効果がワンショットエコーである場合(ステップS47:Yes)において、変更指示信号入力部203が特性変更指示信号の入力を受け付けたとき(ステップS48:Yes)、特性制御部292は、ワンショットエコーの特性を変更する制御を行う(ステップS49)。
【0132】
図16は、特性制御部292が行うマルチエコー処理の特性の変更処理の一例を示す図である。ステップS48で入力された変更指示信号が、レリーズボタン42の1stレリーズによる効果ホールド指示信号である場合(ステップS61:Yes)、特性制御部292は、前フレームと同じ係数aを設定し、この係数aを含む制御信号を動画中特殊効果画像処理部163に送信する(ステップS62)。
【0133】
図17は、ステップS62における効果ホールド状態を模式的に示す図である。図17に示すように、変更指示信号入力部203によって変更指示信号として効果ホールド指示信号が入力されると、係数aの時間的な特性曲線は効果ホールド指示信号が入力されている間(t'≦t≦t'')、係数aは一定値a'をとる。
【0134】
ステップS48で入力された変更指示信号が効果ホールド信号でない場合(ステップS61:No)、入力された変更指示信号は、特性曲線変更指示信号である。この場合、特性制御部292は、入力に応じて特性曲線を変更する(ステップS63)。
【0135】
図18は、特性曲線の変更処理の概要を示す図である。ユーザは、まず所定のボタンを押して、表示部21上に特性曲線を表示させる。この際、ライブビュー画像を表示した状態で上書きしてもよいし、一旦ライブビュー画像を消してから特性曲線を表示してもよい。図18では、後者の場合を示している。なお、図18では、表示時点が特性曲線のどの位置であるかを示す破線と表示が加えられている。
【0136】
表示部21が特性曲線Cを表示すると、ユーザは、表示部21上のタッチパネル50に表示された特性曲線C上で変更を開始したい箇所を指でタッチしてスライドさせる(図18(a))。その後、ユーザがタッチパネル50から指を離すと、特性制御部292は、特性曲線Cを指のタッチに応じて変更した特性曲線C'を作成し、表示制御部293を介して表示部21に表示させる。
【0137】
この後、特性制御部292は、変更した特性曲線C'に基づいて、現時間に応じた係数aを算出する(ステップS64)。この後、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
【0138】
再び図15に戻ってステップS50以降の処理を説明する。特性制御部292から制御信号を受信した動画中特殊効果画像処理部163は、ワンショットエコー効果を得るために、SDRAM25が記憶する特定の画像データであるレリーズフレームとの合成処理を行う(ステップS50)。ここで、特殊効果フラグがオンになって最初のフレームの場合、動画中特殊効果画像処理部163は、現在のフレームの画像をSDRAM25に記憶する処理を行う。これに対し、特殊効果フラグがオンになって2フレーム以後の場合、動画中特殊効果画像処理部163は、SDRAM25が記憶しているレリーズフレームと合成処理を行う。
【0139】
ステップS47において、適用する動画中特殊効果がワンショットエコーでない場合(ステップS47:No)、撮像装置1はステップS51へ移行する。
【0140】
ステップS51において、制御部29は、適用する効果が揺らぎであるか否かを判定する。適用する効果が揺らぎである場合(ステップS51:Yes)、動画中特殊効果画像処理部163は揺らぎ効果を追加する処理を行う(ステップS52)。
【0141】
ステップS52における動画中特殊効果画像処理部163の具体的な処理を説明する。動画中特殊効果画像処理部163は、シェーディング処理、クロスフィルター処理などのアート効果処理における画像処理パラメータに揺らぎを持たせた効果を追加する。例えば、シェーディング処理であれば、画像の中心からの減衰特性を時間とともに変化させる。周辺ぼかしであれば、ぼかし量やぼかし形状を変化させる。クロスフィルターであれば、クロスパターンの長さや角度を時間とともに変化させる。また、彩度、コントラスト、ホワイトバランスを時間とともに変化させてもよい。なお、揺らぎとシェーディング等のアート効果が重複する場合、両方を付与してもよいし、揺らぎのみを付与するようにしてもよい。
【0142】
ステップS51において、適用する効果が揺らぎではない場合(ステップS51:No)、撮像装置1はステップS53へ移行する。
【0143】
ステップS53において、制御部29は、適用する効果がトランジットであるか否かを判定する。適用する効果がトランジットである場合(ステップS53:Yes)、基本画像処理部161およびアート効果画像処理部162は、仕上がり/切り替え先の設定に応じた基本画像処理およびアート効果処理をそれぞれ実行する(ステップS54、S55)。
【0144】
その後、変更指示信号入力部203が特性変更指示の入力を受け付けたとき(ステップS56:Yes)、特性制御部292は、トランジット処理の特性を変更する制御を行う(ステップS57)。トランジット処理の特性を変更する制御の詳細な内容は、上述したステップS49と同様である。ただし、トランジット処理の場合、特性制御部292は、係数bに対する特性曲線(図8を参照)に基づいて、効果ホールド処理や特性曲線変更処理を行う。
【0145】
この後、動画中特殊効果画像処理部163は、トランジット用の二つの画像の合成処理を行うことによってトランジット画像を生成する(ステップS58)。ステップS58の後、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
【0146】
ステップS48において、変更指示信号入力部203が特性変更指示信号の入力を受け付けないとき(ステップS48:No)、撮像装置1はステップS50へ移行する。
【0147】
ステップS53において、制御部29が判定した結果、適用する効果がトランジットでない場合(ステップS53:No)、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
【0148】
ステップS56において、変更指示信号入力部203が特性変更指示信号の入力を受け付けないとき(ステップS56:No)、撮像装置1はステップS58へ移行する。
【0149】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行っている最中に特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付けた場合、その変更指示信号に応じて特性を変更するため、ユーザは動画撮影中に付与する特殊効果をユーザの意志で容易に変更することができる。したがって、動画撮影中に適用する特殊効果を用いることによって多様な映像表現を実現することができる。
【0150】
また、本実施の形態によれば、動画記録を開始すると、設定信号入力部が動画中特殊効果用に切り替わり、制御部は動画用特殊効果の設定信号が入力されたものと認識する。したがって、ユーザは撮影時に簡単な操作をすることで、容易に動画に特殊効果を適用することができる。
【0151】
また、本実施の形態によれば、設定信号入力部を構成するユーザインターフェースに動画用と静止画用の入力機能を兼備させることができるため、動画撮影の場合にも操作性に優れたユーザインターフェースを実現することができる。加えて、ユーザインターフェースの数も抑制することができるため、レイアウトの制限も少なくなり、小型化に好適な撮像装置を実現することができる。
【0152】
また、本実施の形態によれば、編集機器やPC上で実現できるものと同等な特殊効果を、撮像装置自体で実行することができる。したがって、ユーザの作画意図を反映した動画を、高度な専門知識を必要とすることなく、また後編集することなく作成することができる。
【0153】
また、本実施の形態によれば、動画撮影中の静止画に対して、動画中特殊効果の適用を禁止する制御を行うことにより、静止画撮影後の動画撮影の再開タイミングへの影響を防止することができる。
【0154】
一般に、撮像装置は、PC等と比較してメモリーが少なく処理能力が劣っているため、PC等と同等の動画データの編集処理を実現することは難しい。また、動画中の静止画撮影や、動画終了直後の静止画撮影の可能な撮像装置においては、メモリー不足やメモリー管理上の問題が決定的なものになり、メモリー増設によるコスト増や、静止画撮影時の応答性や静止画画質の劣化などの問題を発生してしまう恐れもある。本実施の形態では、この点に鑑み、撮影した動画を編集することなく、撮影時に複数のフレームにわたる時間的な移り変わりの特殊効果による撮影者の作画意図を付与した動画を撮影可能が技術を実現している。
【0155】
なお、本実施の形態では、ワンショットエコーとトランジットに対して特性変更指示信号が入力可能である場合を説明したが、他の動画中特殊効果の特性を変更できるようにしてもよい。具体的には、例えばマルチエコーにおいて、現フレームと他のフレームとを合成する係数を変更できるようにしてもいいし、揺らぎの際に効果ホールドを行うことができるようにしてもよい。
【0156】
また、本実施の形態において、動画中特殊効果の時間的な推移を一通り見た後でユーザが最適な特性を設定することができるようにしてもよい。この場合には、タッチパネル50に特性曲線を表示するとともに、表示部21にユーザに対して特性の変更指示を入力するように促すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0157】
以上の説明では、動画撮影中に動画中特殊効果を変更することを記載してたが、本実施の形態は静止画撮影時のライブビュー表示に対しても適用可能であることはいうまでもない。
【0158】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
【0159】
例えば、本発明において、表示部とは別に電子ビューファインダを本体部に設け、この電子ビューファインダにおいて本発明を適用するようにしてもよい。この場合には、表示部と電子ビューファインダとで動画中特殊効果の見え方が異なるようにすればより好ましい。
【0160】
また、本発明においては、本体部とレンズ部とが一体的に形成されていてもよい。
【0161】
また、本発明に係る撮像装置は、デジタル一眼レフカメラ以外にも、例えばアクセサリ等を装着可能なデジタルカメラ、デジタルビデオカメラおよび撮影機能を有する携帯電話やタブレット型携帯機器等の電子機器にも適用することができる。
【0162】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本発明を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0163】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態を含みうるものであり、特許請求の範囲によって特定される技術的思想の範囲内で種々の設計変更等を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 撮像装置
2 本体部
3 レンズ部
12 撮像素子
16 画像処理部
19 画像圧縮展開部
20 入力部
21 表示部
22 表示駆動部
23 記録媒体
26 Flashメモリ
27 本体通信部
28 バス
29 制御部
31 光学系
35 レンズ操作部
36 レンズflashメモリ
37 レンズ通信部
38 レンズ制御部
41 電源ボタン
42 レリーズボタン
43 モードダイヤル
44 操作ボタン
45 メニューボタン
46 再生ボタン
47 動画ボタン
48 ファンクションキー
49 消去ボタン
50 タッチパネル
161 基本画像処理部
162 アート効果画像処理部
163 動画中特殊効果画像処理部
201 設定信号入力部
202 動画撮影信号入力部
203 変更指示信号入力部
261 プログラム記録部
262 特殊効果処理情報記録部
263 画像処理情報記録部
291 画像処理制御部
292 特性制御部
293 表示制御部
441 十字キー
442 決定ボタン
443 上矢印キー
444 下矢印キー
445 左矢印キー
446 右矢印キー
A1、A2、A3、A4、B1、B2、B3、B4、B5、R20 アート効果画像
C、C' 特性曲線
R1、R2、R3、R4 マルチエコー画像
R11、R12、R13、R14 ワンショットエコー画像
R21、R22、R23、R24、R25 トランジット画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置であって、
複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理部と、
前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力部と、
前記変更指示信号入力部が受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記変更指示信号は、
前記動画中特殊効果の特性を不変とする効果ホールド信号と、
前記動画中特殊効果の時間的な変化を与える特性曲線の変更指示を与える特性曲線変更指示信号と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特性曲線を表示可能な表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記特性曲線変更指示信号が入力された場合、変更された前記特性曲線を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影指示信号の入力を受け付けるとともに、前記変更指示信号の一部をなすレリーズボタンを有し、
前記制御部は、
前記動画中特殊効果を付与している最中に前記レリーズボタンによって信号が入力された場合、該信号を前記効果ホールド信号と認識することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記変更指示信号入力部は、
前記表示部の表示画面上に設けられ、外部からの接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを有し、
前記制御部は、
前記タッチパネルに対して前記特性の表示位置に対応した接触位置であって略同じ接触位置での接触が継続する場合、該接触による信号を前記効果ホールド信号と認識することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記変更指示信号入力部は、
前記表示部の表示画面上に設けられ、外部からの接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを有し、
前記制御部は、
前記タッチパネルに対して前記特性曲線上に対応した接触位置を基点として接触位置がスライドしながら変化した場合、該スライドの方向に応じて前記特性を変更するとともに、前記表示部に変更した前記特性に対応する特性曲線を表示させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記動画中特殊効果画像処理部が行う画像処理は、
特定の画像データとこの画像データの後に撮影した画像データとを所定の比率で順次合成し、前記特定の画像データの合成比率が時間とともに小さくなるワンショットエコー処理を含み、
前記動画中特殊効果処理の特性は、前記合成比率であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
一つの画像データに対して視覚的な効果を生じさせるアート効果を付与する画像処理を行うアート効果画像処理部を備え、
前記動画中特殊効果画像処理部が行う画像処理は、
前記アート効果画像処理部が行うアート効果画像処理の種類を時間の経過とともに徐々に変えていくトランジット処理を含み、
前記動画中特殊効果の特性は、前記トランジット処理開始時点で選択されているアート効果の画像中における合成比率であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置が行う撮像方法であって、
複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理ステップと、
前記動画中特殊効果画像処理ステップの最中に前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力ステップと、
前記変更指示信号入力ステップで受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する特性変更ステップと、
を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項11】
被写体を撮像して該被写体の画像データを生成し、動画および静止画を撮影可能な撮像装置に、
複数のフレームにわたって視覚的な効果を生じさせるために時間的に変化する特性を有する動画中特殊効果を付与する画像処理を行う動画中特殊効果画像処理ステップと、
前記動画中特殊効果画像処理ステップの最中に前記特性の変更を指示する変更指示信号の入力を受け付ける変更指示信号入力ステップと、
前記変更指示信号入力ステップで受け付けた変更指示信号に応じて前記特性を変更する特性変更ステップと、
を実行させることを特徴とする撮像プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85042(P2013−85042A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222359(P2011−222359)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】