撮像装置、撮像方法及びプログラム
【課題】 時系列に明るさが変化する被写体を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できるようにする。
【解決手段】 任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段(25)、連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段(43)、撮影方向を取得する方向取得手段(37)、任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段(36)、撮影画角を取得する画角取得手段(43)、被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段(44)、画像の合成を行う際に、撮影方向、現在位置及び撮影画角を手掛かりに情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段(43)を備える。
【解決手段】 任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段(25)、連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段(43)、撮影方向を取得する方向取得手段(37)、任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段(36)、撮影画角を取得する画角取得手段(43)、被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段(44)、画像の合成を行う際に、撮影方向、現在位置及び撮影画角を手掛かりに情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段(43)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法及びプログラムに関し、詳細には、暗い被写体を撮影することができる撮像装置、撮像方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗い被写体群、たとえば、夜空の星々をカメラで撮影しても、真っ暗な画像(写真)しか得られない。あまりにも星の光が弱く、CCD等の撮像デバイス(銀塩カメラの場合はフィルム)で光をとらえられないためである。このような場合は、一般的に長時間露光撮影(シャッタ速度を遅くして撮影すること)を行うが、手ぶれ防止のためのカメラ固定具(三脚)が必要であり、準備が面倒で手軽に行うことができなかった。
【0003】
固定具不要の暗所撮影技術としては、たとえば、下記の特許文献1に記載のもの(以下、従来技術)が知られている。この従来技術では、手ぶれ限界を超えない露光時間(一般的には1/60秒以下のシャッタ速度)で複数枚の画像を連続的に撮像し、それらの画像を重ね合わせて合成する。合成された被写体の明るさは、元画像(合成前の各画像)に写し込まれている被写体の明るさを合成枚数分だけ加算したものになる。したがって、被写体を夜空の星々とした場合は、それらの星々を明るく写し出すことができ、しかも、長時間露光を行わないため、三脚等の固定具を必要とせず、思い立ったときにいつでも手軽に撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、以下の問題点がある。
夜空の星々の明るさは様々である。星の明るさは等級(実視等級)で表されており、1等星が最も明るく、6等星がかろうじて肉眼で見える程度の暗い星である。また、望遠鏡を使えば6等星よりも暗い星々(7等星、8等星・・・・)も見ることができる。
【0006】
さて、暗い星を肉眼や望遠鏡で見るとチカチカと瞬いて見える(または明るさが揺らいで見える)。これは、大気の揺らぎや大気中のチリの影響を受けるためである。暗い星ほどこの影響を大きく受ける。
【0007】
従来技術の場合、チカチカと瞬く星をノイズとして排除してしまうことがあった。その理由を説明すると、従来技術では複数の画像を合成する際に、画像内に存在する特徴点の動きベクトルを算出し、その動きベクトルに基づいて合成すべき被写体であるか否かを判定しているが、その判定の際に「手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトルを有する被写体を排除して合成しない」仕組み(同文献の段落〔0045〕参照)になっているからである。つまり、暗い星の瞬きは、この排除条件(手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトル)に当てはまるためである。
【0008】
かかる不都合は夜空の星だけに限らない。暗い被写体であって且つその明るさが時系列に変化する被写体の場合に生じやすい。
【0009】
したがって、従来技術は、時系列に明るさが変化する被写体(上記の例では、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を撮影する場合に不都合を招くという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、時系列に明るさが変化する被写体(たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る撮像装置は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、前記撮影方向を取得する方向取得手段と、前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、前記撮影画角を取得する画角取得手段と、前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、時系列に明るさが変化する被写体であっても合成を支障なく行うことができる。したがって、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ1の外観図である。
【図2】デジタルカメラの内部ブロック図である。
【図3】大容量記憶デバイス19の模式的な構造図である。
【図4】データベース格納領域19bに格納されるデータベースの構造図である。
【図5】赤道座標系の概念図である。
【図6】中央制御部43のコンピュータ(CPU43a)で実行される制御プログラムの要部フローを示す図である。
【図7】画像合成処理(ステップS9)のサブルーチンフローを示す図である。
【図8】データベース照合処理(ステップS16)のサブルーチンフローを示す図である。
【図9】星座撮影の概念図である。
【図10】実施形態を適用した星座撮影の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、デジタルカメラへの適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、デジタルカメラ1の外観図である。この図において、デジタルカメラ1は、たとえば、箱状薄形のカメラボディ2の前面に沈胴式または固定式のレンズ鏡筒3や、ストロボ発光窓4及びファインダ前面窓5などを配置すると共に、カメラボディ2の上面に電源スイッチ6及びシャッターボタン7などを配置しており、さらに、カメラボディ2の背面にファインダ後面窓8、撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9、ズーム操作兼再生表示モード切替スイッチ10、MENUボタン11、上下左右方向移動ボタン12、SETボタン13、DISPボタン14及びタッチパネル15付の表示部16などを配置し、加えて、カメラボディ2の底面に蓋17を設け、この蓋17の内部にバッテリ18と、カード型メモリまたはカード型ハードディスクなどの大容量記憶デバイス19とを着脱可能な状態で実装している。
【0016】
図2は、デジタルカメラの内部ブロック図である。この図において、デジタルカメラ1は、レンズ鏡筒3に収められた撮影レンズ20やズームレンズ21、フォーカスレンズ22及び絞り機構23などを含む光学系24と、この光学系24を介して取り込まれた被写体の像を撮像するCCDやCMOS等の二次元イメージセンサを含む撮像部25と、撮像部25から出力される画像信号に所要の画像処理(ガンマ補正等)を施す画像処理部26と、光学系24の絞り機構23を駆動する絞り駆動部27と、光学系24のフォーカスレンズ22を駆動するフォーカス駆動部28と、光学系24のズームレンズ21を駆動するズーム駆動部29と、各種キーやスイッチ及びボタン類(シャッターボタン7、撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9、ズーム操作兼再生表示モード切替スイッチ10、MENUボタン11、上下左右方向移動ボタン12、SETボタン13、DISPボタン14等)を含む操作部30と、ストロボ発光窓4の裏側に取り付けられたストロボ発光部31及びストロボ駆動部32と、液晶ディスプレイパネル等からなる表示部16を駆動する表示駆動部33と、タッチパネル15のタッチ座標を取り込むタッチ座標入力部34と、大容量記憶デバイス19のデータ入出力を制御するデバイスデータ入出力部35と、デジタルカメラ1の現在位置を検出する、たとえば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信部などの位置検出部36と、デジタルカメラ1の姿勢を検出する、たとえば、MI(Magneto−impedance Effect)センサなどの姿勢検出部37と、必要に応じてパーソナルコンピュータ等の外部機器38との間のデータ入出力を仲介する外部入出力部39と、充電可能な電池(バッテリ18)やその電池の充電部40及び充電用外部端子41を含みデジタルカメラ1の各部の動作に必要な電力を発生する電源部42と、中央制御部43とを備える。
【0017】
中央制御部43は、コンピュータ(以下、CPU)43a、不揮発性メモリ(以下、ROM)43b、揮発性メモリ(以下、RAM)43c及び書き換え可能型不揮発性メモリ(以下、PROM)43dを備えており、ROM43bに予め格納されている制御プログラムや、PROM43dに予め又は任意に書き込まれるデータをRAM43cにロードしてCPU43aで実行することにより、つまり、プログラム制御方式によって、このデジタルカメラ1の各部の動作を統括制御するものであるが、この方式(プログラム制御方式)に限定されない。その機能の全て又は一部をハードロジックで実現してもよい。
【0018】
さて、図示のデジタルカメラ1は、操作部30の撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9が「撮影」位置にあるときに撮影モード(静止画又は動画撮影モード)で動作し、「再生」位置にあるときに再生モードで動作する。
【0019】
静止画又は動画撮影モードを選択した場合、撮像部25から周期的(毎秒数十フレーム)に出力される画像信号が、画像処理部26と中央制御部43及び表示駆動部33を経て表示部16に出力され、構図確認用のライブビュー画像(スルー画像ともいう)として継続的に表示される。撮影者は、ライブビュー画像を見ながら所望の構図になるように撮影方向や撮像部25の画角(ズームレンズ21のズーム量)を調節し、所望の構図が得られたときにレリーズ操作(シャッターボタン7の押し下げ操作)を行う。
【0020】
そして、レリーズ操作に応答して、フォーカスレンズ22のAF(自動焦点)処理や絞り機構23のAE(自動露出)処理などが実行され、適正露出が得られたときに、撮像部25から高画質の画像信号が取り出される。取り出された画像信号は、画像処理部26と中央制御部43及びデバイスデータ入出力部35を経て大容量記憶デバイス19に送られ、撮影済み画像として大容量記憶デバイス19に記録保存される。
【0021】
一方、再生モードを選択した場合は、たとえば、直近に撮影された画像を大容量記憶デバイス19から読み出して表示部16に再生表示するか、あるいは、撮影済み画像の縮小画像を表示部16に一覧表示し、その一覧の中からユーザ操作によって選択された画像(ユーザが再生を希望する画像)の元画像を大容量記憶デバイス19から読み出して表示部16に再生表示する。
【0022】
撮影モードには、冒頭で説明した固定具不要の暗所撮影モードが含まれている。すなわち、図示のデジタルカメラ1は、必要に応じ、手ぶれ限界を超えないシャッタ速度(一般的には1/60秒以下)で複数枚の画像を連続的に撮像し、それらの画像を重ね合わせて合成した合成画像を大容量記憶デバイス19に記録保存できるようになっている。
【0023】
合成された画像の被写体の明るさは、元画像(合成前の各画像)に写し込まれている被写体の明るさを加算したものになる。したがって、たとえば、被写体を夜空の星々とした場合に、それらの星々を明るく写し出すことができる。しかも、この暗所撮影モードでは、長時間露光を行わないため、三脚等の固定具が不要であり、思い立ったときにいつでも手軽に暗所撮影を行うことができる。
【0024】
しかしながら、夜空の星々のうち等級が大きい暗い星は、大気の影響を受けて時系列的な光の明滅(瞬きまたは揺らぎ)を生じるので、画像合成の際にノイズとして取り除かれてしまうことがある。たとえば、冒頭の従来技術(特許文献1)では、「手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトルを有する被写体を排除して合成しない」仕組みになっているため、瞬く星が除外されてしまう。
【0025】
したがって、実施形態の課題は、時系列に明るさが変化する被写体(たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で撮影できるようにすることにあり、その究極のポイントは、所定のデータベースを参照して合成すべき被写体であるか否かを最終判断するようにしたことにある。
【0026】
説明の便宜上、夜空の星々を一括りにして「被写体群」ということにし、その被写体群に含まれる各々の星のことを「個別被写体」ということにする。
【0027】
図3は、大容量記憶デバイス19の模式的な構造図である。この図において、大容量記憶デバイス19には撮影済みの画像を記憶保存する領域(以下、画像保存領域19a)と、所定のデータベースを格納するための領域(以下、データベース格納領域19b)とが設けられている。なお、ここでは、データベース格納領域19bを大容量記憶デバイス19に設けるとしているが、これに限定されない。他の記憶要素、たとえば、中央制御部43のROM43bやPROM43dなどに設けてもよい。CPU43aからアクセス可能な記憶空間であればよい。
【0028】
図4は、データベース格納領域19bに格納されるデータベースの構造図である。この図において、データベース44は、個別被写体名フィールド44aと座標フィールド44bとからなるレコードを行方向に多数配列した構造を有しており、個別被写体名フィールド44aには個別被写体の名前(ここでは各々の星の名前)が格納され、また、座標フィールド44bにはその個別被写体の位置座標(ここでは各々の星の天空座標)が格納されている。
【0029】
ここで、天空座標の表し方(座標系)にはいくつかの種類がある。日常的に用いられるのは地平座標系である。たとえば、我々が星を見た場合、「西のほうの空の低いところに月が見えている。」、「南の中天にオリオン座が昇っている。」、「松の湯の煙突のすぐ上に明るい星が見えている。」などのように表現する。
【0030】
この場合、「西のほう」、「南」、「松の湯」という部分で「方向」を表し、「低いところ」、「中天」、「煙突のすぐ上」という部分で「高さ」を表している。地平座標系は、これらの表現とまったく同じ方法で星々の位置を表す座標系であるが、「西のほう」、「南」、「松の湯」、あるいは「低いところ」、「中天」、「煙突のすぐ上」といったあいまいなものではなく、基点を定めたうえで定量的に数値で表現するようにしたものである。
【0031】
つまり、地平座標系は方位(Azimuth)と高度(Altitude)を表す2つの数値からなる座標系である。方位は南を基点(0゜)とし、西回りに360゜までの数字で表す。真西は90゜、真北が180゜、真東が270゜になる。高さは水平線を基点(0゜)とし、天頂(頭の真上)方向に+90゜まで、天底方向に−90゜までの数字で表す。
【0032】
したがって、上記の例をこの地平座標系を用いていい直すと、「方位85゜、高度10゜に月が見えている。」、「方位355゜、高度55゜にオリオン座が昇っている」、「方位265゜、高度13゜に明るい星が見えている。」となる。
【0033】
このように地平座標系は、感覚的で非常に分かりやすいが、時間の概念がないため、データベース44の座標情報としてふさわしくない。星の位置は時間と共に変化するからである。データベース44には、絶対位置を示す別の座標系(赤道座標系、黄道座標系、銀河座標系)を格納しなければならない。
【0034】
図5は、赤道座標系の概念図である。赤道座標系は星の絶対位置を表すために用いられる座標系であり、地球の自転を基準とした座標系である。星の絶対位置を「赤経(せきけい:αまたはR.A.=RightAscensionの略)」と「赤緯(せきい:δまたはDecl.=Declinationの略)」と呼ばれる2つの数値で表現する。概念的には、地球の自転軸を北に伸ばして天球と交わる点を「天の北極」とし、南に伸ばして天球と交わる点を「天の南極」とするとともに、地球上の経度線と緯度線をそのまま天球上に貼りつけたものと考えればよい。
【0035】
赤緯は赤道面を基点(0゜)とし、南(−)北(+)にそれぞれ90゜までの数値で表す。天の北極は+90゜、天の南極は−90゜になる。赤経は春分点(太陽が天の赤道を南側から北側へ横切る点)を基点(0゜=0時)にして東回りに測り、15゜=1時、15′=1分、15”=1秒として24時までの数値で表す。
【0036】
赤経の基点(春分点)や、赤緯の基点(赤道面)は、歳差運動(地球の地軸の移動による首振り運動)や章動によってわずかずつ移動するため、その時点での見かけのものを視赤経・視赤緯(視位置)と呼び、変動分をならしたものを平均赤経・平均赤緯と呼ぶ。なお、1991年までは西暦1950.0年(B1950.0)に基づいた平均赤経と平均赤緯(1950年分点)が主に用いられていたが、1992年からは西暦2000.0年(J2000.0)に基づいたもの(2000年分点)に改められた。
【0037】
ここで、一例として、全天一の明るさを持つ恒星である「おおいぬ座のシリウス」の位置を2000年分点で表記すると次のようになる。
J2000.0:α=6h45.2m,δ=−16.43′
【0038】
したがって、シリウスの位置をデータベース44の座標フィールド44bに格納する場合は、図4に示すように、星名(シリウス)を個別被写体名フィールド44aに格納するとともに、座標フィールド44bに、赤経(α)サブフィールド44cと赤緯(δ)サブフィールド44dとを設け、赤経(α)サブフィールド44cに方位値(α=6h45.2m)を格納し、赤緯(δ)サブフィールド44dに高度値(δ=−16.43′)を格納すればよい。
【0039】
これらの方位値(α=6h45.2m)や高度値(δ=−16.43′)は、赤道座標系におけるシリウスの絶対位置を表すから、この絶対位置に基づいて、ある時点(年月日及び時刻)におけるシリウスの視位置(視赤経・視赤緯)を割り出すことができる。
【0040】
データベース44に格納する座標系は、この赤道座標系に限らない。絶対位置を表すための座標系であればよく、黄道座標系や銀河座標系であってもよい。
【0041】
図6は、中央制御部43のコンピュータ(CPU43a)で実行される制御プログラムの要部フローを示す図である。図示のフローは、デジタルカメラ1の全体動作を統括する制御プログラムのうち撮影モード部分を抜き出したものであって、特に、遠方にある暗い被写体群を撮影する際の制御部分を抜粋したものである。
【0042】
このフローの実行条件は、「撮影モード」であって、撮影対象の被写体群が「暗く」、且つ、「遠くにある」場合である。この条件に当てはまる撮影を行うときに、図示のフローを自動実行してもよいし、あるいは、撮影者に手動選択させるようにしてもよい。
【0043】
上記の実行条件に当てはまる被写体の一例は夜空の星である。星の光は相当弱く、しかも、ほぼ無限遠の遠い距離にあるからである。したがって、以降では、上記の実行条件に当てはまる被写体群を「夜空の星」として説明する。ただし、これに限定されないことはもちろんである。暗く、且つ、遠くにある被写体群であればよい。
【0044】
このフローでは、まず、被写体群の明るさ(露出)を判定する(ステップS1)。被写体群が明るい場合は通常の撮影処理を実行(ステップS2)するが、暗い場合は、まず、シャッタ速度を手ぶれ限界速度(一般的に1/60秒程度)に設定(ステップS3)するとともに、撮像部25の感度(いわゆるISO感度)を上限まで高め(ステップS4)、その後、撮影者のシャッタ操作に応答して複数枚の画像を連続撮影(連写ともいう)する(ステップS5)。
【0045】
一般的な暗所撮影ではストロボを発光するが、このフローではストロボの発光は行わない。撮影対象の被写体群が遠方にあるからであり、たとえ、ストロボを発光しても被写体群まで光が届かないからである。
【0046】
次いで、撮影方向、撮影画角、現在位置及び現在日時を取得する(ステップS6〜ステップS8)。撮影方向は被写体群の方向、つまり、レンズ鏡筒3の光軸の方向であり、この方向は姿勢検出部37の検出結果から割り出すことができる。また、撮影画角は光学系24の撮影画角であり、この撮影画角はズームレンズ21のズーム位置から割り出すことができる。現在位置は撮影位置であり、この撮影位置は位置検出部36の検出結果から割り出すことができる。さらに、現在日時は撮影日時であり、この日時はCPU43aの時計機能(日付と時刻を発生する機能;OSの基本機能の一つである)から割り出すことができる。
【0047】
撮影方向、撮影画角、現在位置及び現在日時を取得すると、次に、画像合成処理(ステップS9)を実行した後、画像合成処理によって得られた合成画像を大容量記憶デバイス19に記録保存し(ステップS10)、必要であれば、確認用のプレビュー画像を表示部16に表示してから、フローを終了する。
【0048】
図7は、画像合成処理(ステップS9)のサブルーチンフローを示す図である。このフローでは、まず、撮影枚数変数iに初期値1をセットし(ステップS11)、次いで、図6のステップS5で連続撮影された複数枚の画像のうちのi枚目の画像とi+1枚目の画像から特徴点を抽出する(ステップS12)。特徴点は、画像の境目や角といった特徴を点化したもののことをいう。色彩が大きく変わる、濃淡の濃い部分、輪郭といったものなども特徴点になる。
【0049】
次に、i枚目の画像とi+1枚目の画像の特徴点の動きベクトルを算出する(ステップS13)。動きベクトルは、基準画像(ここではi枚目の画像)の特徴と似ている特徴が注目画像(ここではi+1枚目の画像)の何処にあるかをベクトルを用いて示したもののことをいう。
【0050】
全ての特徴点について動きベクトルを算出すると、次いで、それらの特徴点が合成すべきものであるか否かを判定する(ステップS14)。合成すべき特徴点とは、動きベクトル0の特徴点(画像間の動きがない特徴点)、または、動きベクトルの方向と動きの量に一定の相関性が見られる特徴点のことをいう。たとえば、夜空の星々は、地球の自転に伴い、天の北極(南半球では天の南極)を中心にした円に沿って移動するが、撮影時間に相当する短い時間で見た場合、動きベクトル0の特徴点とみなすことができるので、夜空の星々は合成すべき特徴点になる。
【0051】
一方、合成すべきでない特徴点は、動きベクトルに一定の相関性が見られないもののことをいう。具体的には、(1)i枚目の画像とi+1枚目の画像のいずれか一方にしか現れない特徴点、あるいは、(2)双方に現れる特徴点であっても、その動きベクトルと他の動きベクトルとが明らかに異なる特徴点のことをいう。(1)の典型例は、i枚目の画像とi+1枚目の画像の撮影周期に同期して明滅する光であり、(2)の典型例は、たとえば、走行中の自動車のヘッドライト55などである。
【0052】
ここで、冒頭の従来技術(特許文献1)のように、合成すべき特徴点を「動きベクトル」だけで判定した場合は、これらの(1)、(2)の特徴点(明滅光や自動車のヘッドライト55)を一律に「合成すべきでない」と判定してしまう。夜空の星々を撮影する場合、自動車のヘッドライト55は合成対象から排除してもかまわないが、明滅光については、必ずしも排除すべき特徴点(合成すべきでない特徴点)とはいい切れない。瞬く星(6等星などの暗い星)かもしれないからである。
【0053】
そこで、実施形態では、この段階における「合成すべきでない特徴点」の判定を“仮”の判定とし、最終的な判定をデータベース照合によって行うことにした(ステップS16)。このデータベース照合処理については後で詳しく説明する。
【0054】
特徴点の判定(ステップS14)及びデータベース照合処理(ステップS16)による特徴点の最終判定を行うと、次に、合成すべきと判定された特徴点を残してi枚目の画像とi+1枚目の画像を合成する(ステップS15)。この合成処理においては、各画像毎に、一定の相関性があると認められた動きベクトルの方向と動きの量に応じて位置合わせを行ってから合成する。次に、撮影枚数変数iを+1して(ステップS17)、「i>imax」であるか否かを判定する(ステップS18)。imaxは、図6のステップS5における連続撮影枚数である。「i>imax」でない場合は、まだ、合成対象の画像が残っていると判断して、再びステップS12以降を実行し、「i>imax」である場合は、全ての画像の合成を完了したと判断して、図6のステップS10に進む。
【0055】
図8は、データベース照合処理(ステップS16)のサブルーチンフローを示す図である。このフローでは、まず、図6のステップS6で求めておいた撮影方向に基づいて各特徴点(図7のステップS14で合成すべきでないと仮判定された各特徴点)の座標を星座の座標系に変換する(ステップS21)。星座の座標系はデータベース44の座標系(赤道座標系)である。次いで、合成すべきでないと仮判定された特徴点に対応する星をデータベース44から検索し(ステップS22)、該当する星(個別被写体)が検索されたか否かを判定する(ステップS23)。
【0056】
たとえば、注目特徴点の座標がα=6h45.2m,δ=−16.43′である場合、その特徴点に対応する星としてデータベース44から「シリウス」が検索される。この場合は、該当する星(個別被写体)が検索されたので、その特徴点を「合成すべき特徴点」として最終判定(ステップS24)した後、図7のステップS15に進む。一方、注目特徴点の座標に該当する星(個別被写体)がデータベース44から検索されなかった場合は、その特徴点を「合成しない特徴点」として最終判定(ステップS25)した後、図7のステップS15に進む。
【0057】
図9は、星座撮影の概念図である。(a)に示すように、表示部16のライブビュー画像には、天空の星々(星45〜51)や遠方の家屋52、53が表示されており、さらに、走行中の車両54のヘッドライト55の明かりが表示されている。
【0058】
家屋52、53の窓から漏れる光と天空の星々(星45〜51)の多くは一定の明るさを保っているが、いくつかの星は6等星またはそれに近い等級の暗い星であり、大気の影響を受けて瞬いている(明滅している)。今、星50をそのような瞬きを持つ個別被写体とすると、この星50は、上記の(1)に相当する。また、車両54のヘッドライト55は明るさ一定であるが、ライブビュー画像の左から右方向へと移動する特異な動きをする個別被写体であるから、この車両54のヘッドライト55は、上記の(2)に相当する。
【0059】
(b)に示すように、冒頭の従来技術(特許文献1)を適用した場合は、星50と車両54のヘッドライト55がともに排除された合成画像が作られる。星50は、i枚目の画像とi+1枚目の画像のいずれか一方にしか現れない特徴点になるからであり、また、車両54のヘッドライト55は、その動きベクトルと他の動きベクトルとが明らかに異なる特徴点になるからである。
【0060】
夜空の星座を撮影する場合、車両54のヘッドライト55の排除は好ましいものの、星50の排除は被写体の消失になるので避けなければならない。本実施形態では、データベース44を参照して明滅する特徴点を合成すべきものであるか否かを最終判定する。具体的には、その特徴点の位置座標をデータベース44の座標系(赤道座標系)に変換し(図8のステップS21)、該当する座標の星(個別被写体)がデータベース44に登録されているか否かを判定(図8のステップS23)して、登録されていれば当該特徴点を合成し(図8のステップS24)、登録されていなければ当該特徴点を合成しない(図8のステップS25)。
【0061】
このようにすることにより、明滅する星50を排除せずに合成画像に含めることができ、夜空の星座を意図したとおりに撮影することができる。
【0062】
図10は、実施形態を適用した星座撮影の概念図である。(a)に示すように、天空56の任意位置Pxに光軸を合わせて所定の画角で構図を調整した場合、ライブビュー画像57には天空56に散らばる多数の星(○印)のうちのいくつかが含まれる。構図内の星々をT1〜T7で示すことにする。ライブビュー画像57の横方向は天空56の赤経、縦方向は赤緯に対応し、天空56の様子は現在の日時(季節と時刻)と撮影場所によって決まる。T1〜T7の各々の座標はデータベース44に格納されており、たとえば、T6をシリウスとした場合、T6の赤経(α=6h45.2m)と赤緯(δ=−16.43′)がデータベース44に格納されている。
【0063】
この図10と前出の図9を見比べると、瞬く星50の位置にT6が存在している。このため、図7のステップS14で、星50が「合成すべきでない」と仮に判定されたとしても、図8のステップS23で、「データベース44に該当する星(T6)が存在する」と判定されるから、この瞬く星50については、最終的に「合成すべき」と判定される(図8のステップS24)こととなり、結局のところ、図10(b)に示すように、構図内の全ての星45〜51をもれなく含む合成画像を生成出力することができる。
【0064】
なお、以上の実施形態では、星座撮影を例にしたが、これに限定されない。時系列に明るさが変化する暗い被写体群の撮影用途であればよい。少なくとも、当該用途のデータベースを備えていればよい。また、以上の実施形態では、デジタルカメラ1への適用を例にしたが、たとえば、カメラ付の携帯電話機や携帯情報端末などの電子機器であってもよい。
【0065】
また、以上の実施形態では、データベース44に全ての被写体の情報を格納するとしているが、これに限定されない。画像合成の対象から排除される可能性がある被写体の情報だけを格納してもよい。これは、たとえば、夜空の星々を被写体群とした場合、その被写体群に含まれる明るい星については、図7のステップS14で「合成すべき被写体」と判定されるので、データベース44に格納する必要がなく、むしろ、データベース44には、図7のステップS14で「合成すべきでない被写体」と仮判定される可能性がある暗い星(6等星など)の情報だけを格納しておけばよいからである。このようにすると、データベース44のサイズを小さくしてデータ量を削減できるから好ましい。
また、以上の実施形態では、合成すべき特徴点でないと判断された場合にデータベースと照合することで、星の瞬きなどが排除されないようにしたが、合成すべき特徴点であると判断された場合にデータベースと照合して、データベースと一致しない特徴点を排除するようにしてもよい。すなわち、図7のステップS16(データベース照合処理)と同じ処理を、ステップS14のYES判定とステップS15との間に入れてもよい。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0067】
(付記1)
請求項1に記載の発明は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、
前記撮影方向を取得する方向取得手段と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、
前記撮影画角を取得する画角取得手段と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置である。
請求項1に記載の発明によれば、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【0068】
(付記2)
請求項2に記載の発明は、前記判定手段は、前記撮影方向、前記現在位置及び前記撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して画像内における前記個別被写体の各々の位置を算出し、各画像内に存在する被写体が、前記算出された位置と合致する位置に存在するか否かに応じて合成の可否を判定する第1の判定手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
【0069】
(付記3)
請求項3に記載の発明は、画像内に存在する複数の被写体の各々について、各画像間での移動方向および移動量を示す動きベクトルを算出する算出手段と、
複数の被写体の間で一定の相関性のある動きベクトルを特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像合成手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルに応じて各画像の位置合わせを行って合成し、
前記判定手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルと、個々の被写体の動きベクトルとの差に応じて合成の可否を判定する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
【0070】
(付記4)
請求項4に記載の発明は、前記判定手段は、前記連続撮影で得られた複数の画像の全てに存在する被写体か一部だけに存在する被写体かに応じて合成の可否を判断する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
【0071】
(付記5)
請求項5に記載の発明は、前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行わないと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置である。
【0072】
(付記6)
請求項6に記載の発明は、前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行うと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置である。
【0073】
(付記7)
請求項7に記載の発明は、前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記判定手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該明るさが変化する個別被写体を合成すべきものであると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
請求項7に記載の発明によれば、時系列に明るさが変化する被写体、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影できる。
【0074】
(付記8)
請求項8に記載の発明は、前記被写体群は夜空の星々であって、前記判定手段は、当該夜空の星々のうち暗い星に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該暗い星を合成すべき被写体であると判定することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置である。
請求項8に記載の発明によれば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影できる。
【0075】
(付記9)
請求項9に記載の発明は、前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記情報保持手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報のみを保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
請求項9に記載の発明によれば、情報保持手段の情報量を少なくすることができる。
【0076】
(付記10)
請求項10記載の発明は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影工程と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成工程と、
前記撮影方向を取得する方向取得工程と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得工程と、
前記撮影画角を取得する画角取得工程と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持工程と、
前記画像合成工程で画像の合成を行う際に、前記方向取得工程によって取得された撮影方向、前記位置取得工程によって取得された現在位置及び前記画角取得工程によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持工程で保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定工程と
を含むことを特徴とする撮像方法である。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1と同様に、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【0077】
(付記11)
請求項11記載の発明は、撮像装置のコンピュータに、
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段、
前記撮影方向を取得する方向取得手段、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段、
前記撮影画角を取得する画角取得手段、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラムである。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1と同様に、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【符号の説明】
【0078】
1 撮像装置
25 撮像部(撮影手段)
36 位置検出部(位置取得手段)
37 姿勢検出部(方向取得手段)
43 中央制御部(画像合成手段、画角取得手段、判定手段、第1の判定手段、算出手段、特定手段、第2の判定手段)
43a CPU(コンピュータ)
44 データベース(情報保持手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法及びプログラムに関し、詳細には、暗い被写体を撮影することができる撮像装置、撮像方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗い被写体群、たとえば、夜空の星々をカメラで撮影しても、真っ暗な画像(写真)しか得られない。あまりにも星の光が弱く、CCD等の撮像デバイス(銀塩カメラの場合はフィルム)で光をとらえられないためである。このような場合は、一般的に長時間露光撮影(シャッタ速度を遅くして撮影すること)を行うが、手ぶれ防止のためのカメラ固定具(三脚)が必要であり、準備が面倒で手軽に行うことができなかった。
【0003】
固定具不要の暗所撮影技術としては、たとえば、下記の特許文献1に記載のもの(以下、従来技術)が知られている。この従来技術では、手ぶれ限界を超えない露光時間(一般的には1/60秒以下のシャッタ速度)で複数枚の画像を連続的に撮像し、それらの画像を重ね合わせて合成する。合成された被写体の明るさは、元画像(合成前の各画像)に写し込まれている被写体の明るさを合成枚数分だけ加算したものになる。したがって、被写体を夜空の星々とした場合は、それらの星々を明るく写し出すことができ、しかも、長時間露光を行わないため、三脚等の固定具を必要とせず、思い立ったときにいつでも手軽に撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、以下の問題点がある。
夜空の星々の明るさは様々である。星の明るさは等級(実視等級)で表されており、1等星が最も明るく、6等星がかろうじて肉眼で見える程度の暗い星である。また、望遠鏡を使えば6等星よりも暗い星々(7等星、8等星・・・・)も見ることができる。
【0006】
さて、暗い星を肉眼や望遠鏡で見るとチカチカと瞬いて見える(または明るさが揺らいで見える)。これは、大気の揺らぎや大気中のチリの影響を受けるためである。暗い星ほどこの影響を大きく受ける。
【0007】
従来技術の場合、チカチカと瞬く星をノイズとして排除してしまうことがあった。その理由を説明すると、従来技術では複数の画像を合成する際に、画像内に存在する特徴点の動きベクトルを算出し、その動きベクトルに基づいて合成すべき被写体であるか否かを判定しているが、その判定の際に「手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトルを有する被写体を排除して合成しない」仕組み(同文献の段落〔0045〕参照)になっているからである。つまり、暗い星の瞬きは、この排除条件(手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトル)に当てはまるためである。
【0008】
かかる不都合は夜空の星だけに限らない。暗い被写体であって且つその明るさが時系列に変化する被写体の場合に生じやすい。
【0009】
したがって、従来技術は、時系列に明るさが変化する被写体(上記の例では、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を撮影する場合に不都合を招くという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、時系列に明るさが変化する被写体(たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る撮像装置は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、前記撮影方向を取得する方向取得手段と、前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、前記撮影画角を取得する画角取得手段と、前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、時系列に明るさが変化する被写体であっても合成を支障なく行うことができる。したがって、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ1の外観図である。
【図2】デジタルカメラの内部ブロック図である。
【図3】大容量記憶デバイス19の模式的な構造図である。
【図4】データベース格納領域19bに格納されるデータベースの構造図である。
【図5】赤道座標系の概念図である。
【図6】中央制御部43のコンピュータ(CPU43a)で実行される制御プログラムの要部フローを示す図である。
【図7】画像合成処理(ステップS9)のサブルーチンフローを示す図である。
【図8】データベース照合処理(ステップS16)のサブルーチンフローを示す図である。
【図9】星座撮影の概念図である。
【図10】実施形態を適用した星座撮影の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、デジタルカメラへの適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、デジタルカメラ1の外観図である。この図において、デジタルカメラ1は、たとえば、箱状薄形のカメラボディ2の前面に沈胴式または固定式のレンズ鏡筒3や、ストロボ発光窓4及びファインダ前面窓5などを配置すると共に、カメラボディ2の上面に電源スイッチ6及びシャッターボタン7などを配置しており、さらに、カメラボディ2の背面にファインダ後面窓8、撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9、ズーム操作兼再生表示モード切替スイッチ10、MENUボタン11、上下左右方向移動ボタン12、SETボタン13、DISPボタン14及びタッチパネル15付の表示部16などを配置し、加えて、カメラボディ2の底面に蓋17を設け、この蓋17の内部にバッテリ18と、カード型メモリまたはカード型ハードディスクなどの大容量記憶デバイス19とを着脱可能な状態で実装している。
【0016】
図2は、デジタルカメラの内部ブロック図である。この図において、デジタルカメラ1は、レンズ鏡筒3に収められた撮影レンズ20やズームレンズ21、フォーカスレンズ22及び絞り機構23などを含む光学系24と、この光学系24を介して取り込まれた被写体の像を撮像するCCDやCMOS等の二次元イメージセンサを含む撮像部25と、撮像部25から出力される画像信号に所要の画像処理(ガンマ補正等)を施す画像処理部26と、光学系24の絞り機構23を駆動する絞り駆動部27と、光学系24のフォーカスレンズ22を駆動するフォーカス駆動部28と、光学系24のズームレンズ21を駆動するズーム駆動部29と、各種キーやスイッチ及びボタン類(シャッターボタン7、撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9、ズーム操作兼再生表示モード切替スイッチ10、MENUボタン11、上下左右方向移動ボタン12、SETボタン13、DISPボタン14等)を含む操作部30と、ストロボ発光窓4の裏側に取り付けられたストロボ発光部31及びストロボ駆動部32と、液晶ディスプレイパネル等からなる表示部16を駆動する表示駆動部33と、タッチパネル15のタッチ座標を取り込むタッチ座標入力部34と、大容量記憶デバイス19のデータ入出力を制御するデバイスデータ入出力部35と、デジタルカメラ1の現在位置を検出する、たとえば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信部などの位置検出部36と、デジタルカメラ1の姿勢を検出する、たとえば、MI(Magneto−impedance Effect)センサなどの姿勢検出部37と、必要に応じてパーソナルコンピュータ等の外部機器38との間のデータ入出力を仲介する外部入出力部39と、充電可能な電池(バッテリ18)やその電池の充電部40及び充電用外部端子41を含みデジタルカメラ1の各部の動作に必要な電力を発生する電源部42と、中央制御部43とを備える。
【0017】
中央制御部43は、コンピュータ(以下、CPU)43a、不揮発性メモリ(以下、ROM)43b、揮発性メモリ(以下、RAM)43c及び書き換え可能型不揮発性メモリ(以下、PROM)43dを備えており、ROM43bに予め格納されている制御プログラムや、PROM43dに予め又は任意に書き込まれるデータをRAM43cにロードしてCPU43aで実行することにより、つまり、プログラム制御方式によって、このデジタルカメラ1の各部の動作を統括制御するものであるが、この方式(プログラム制御方式)に限定されない。その機能の全て又は一部をハードロジックで実現してもよい。
【0018】
さて、図示のデジタルカメラ1は、操作部30の撮影モード/再生モード切り換えスイッチ9が「撮影」位置にあるときに撮影モード(静止画又は動画撮影モード)で動作し、「再生」位置にあるときに再生モードで動作する。
【0019】
静止画又は動画撮影モードを選択した場合、撮像部25から周期的(毎秒数十フレーム)に出力される画像信号が、画像処理部26と中央制御部43及び表示駆動部33を経て表示部16に出力され、構図確認用のライブビュー画像(スルー画像ともいう)として継続的に表示される。撮影者は、ライブビュー画像を見ながら所望の構図になるように撮影方向や撮像部25の画角(ズームレンズ21のズーム量)を調節し、所望の構図が得られたときにレリーズ操作(シャッターボタン7の押し下げ操作)を行う。
【0020】
そして、レリーズ操作に応答して、フォーカスレンズ22のAF(自動焦点)処理や絞り機構23のAE(自動露出)処理などが実行され、適正露出が得られたときに、撮像部25から高画質の画像信号が取り出される。取り出された画像信号は、画像処理部26と中央制御部43及びデバイスデータ入出力部35を経て大容量記憶デバイス19に送られ、撮影済み画像として大容量記憶デバイス19に記録保存される。
【0021】
一方、再生モードを選択した場合は、たとえば、直近に撮影された画像を大容量記憶デバイス19から読み出して表示部16に再生表示するか、あるいは、撮影済み画像の縮小画像を表示部16に一覧表示し、その一覧の中からユーザ操作によって選択された画像(ユーザが再生を希望する画像)の元画像を大容量記憶デバイス19から読み出して表示部16に再生表示する。
【0022】
撮影モードには、冒頭で説明した固定具不要の暗所撮影モードが含まれている。すなわち、図示のデジタルカメラ1は、必要に応じ、手ぶれ限界を超えないシャッタ速度(一般的には1/60秒以下)で複数枚の画像を連続的に撮像し、それらの画像を重ね合わせて合成した合成画像を大容量記憶デバイス19に記録保存できるようになっている。
【0023】
合成された画像の被写体の明るさは、元画像(合成前の各画像)に写し込まれている被写体の明るさを加算したものになる。したがって、たとえば、被写体を夜空の星々とした場合に、それらの星々を明るく写し出すことができる。しかも、この暗所撮影モードでは、長時間露光を行わないため、三脚等の固定具が不要であり、思い立ったときにいつでも手軽に暗所撮影を行うことができる。
【0024】
しかしながら、夜空の星々のうち等級が大きい暗い星は、大気の影響を受けて時系列的な光の明滅(瞬きまたは揺らぎ)を生じるので、画像合成の際にノイズとして取り除かれてしまうことがある。たとえば、冒頭の従来技術(特許文献1)では、「手ぶれに基づく動きベクトルとは方向または大きさが異なる動きベクトルを有する被写体を排除して合成しない」仕組みになっているため、瞬く星が除外されてしまう。
【0025】
したがって、実施形態の課題は、時系列に明るさが変化する被写体(たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々)を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で撮影できるようにすることにあり、その究極のポイントは、所定のデータベースを参照して合成すべき被写体であるか否かを最終判断するようにしたことにある。
【0026】
説明の便宜上、夜空の星々を一括りにして「被写体群」ということにし、その被写体群に含まれる各々の星のことを「個別被写体」ということにする。
【0027】
図3は、大容量記憶デバイス19の模式的な構造図である。この図において、大容量記憶デバイス19には撮影済みの画像を記憶保存する領域(以下、画像保存領域19a)と、所定のデータベースを格納するための領域(以下、データベース格納領域19b)とが設けられている。なお、ここでは、データベース格納領域19bを大容量記憶デバイス19に設けるとしているが、これに限定されない。他の記憶要素、たとえば、中央制御部43のROM43bやPROM43dなどに設けてもよい。CPU43aからアクセス可能な記憶空間であればよい。
【0028】
図4は、データベース格納領域19bに格納されるデータベースの構造図である。この図において、データベース44は、個別被写体名フィールド44aと座標フィールド44bとからなるレコードを行方向に多数配列した構造を有しており、個別被写体名フィールド44aには個別被写体の名前(ここでは各々の星の名前)が格納され、また、座標フィールド44bにはその個別被写体の位置座標(ここでは各々の星の天空座標)が格納されている。
【0029】
ここで、天空座標の表し方(座標系)にはいくつかの種類がある。日常的に用いられるのは地平座標系である。たとえば、我々が星を見た場合、「西のほうの空の低いところに月が見えている。」、「南の中天にオリオン座が昇っている。」、「松の湯の煙突のすぐ上に明るい星が見えている。」などのように表現する。
【0030】
この場合、「西のほう」、「南」、「松の湯」という部分で「方向」を表し、「低いところ」、「中天」、「煙突のすぐ上」という部分で「高さ」を表している。地平座標系は、これらの表現とまったく同じ方法で星々の位置を表す座標系であるが、「西のほう」、「南」、「松の湯」、あるいは「低いところ」、「中天」、「煙突のすぐ上」といったあいまいなものではなく、基点を定めたうえで定量的に数値で表現するようにしたものである。
【0031】
つまり、地平座標系は方位(Azimuth)と高度(Altitude)を表す2つの数値からなる座標系である。方位は南を基点(0゜)とし、西回りに360゜までの数字で表す。真西は90゜、真北が180゜、真東が270゜になる。高さは水平線を基点(0゜)とし、天頂(頭の真上)方向に+90゜まで、天底方向に−90゜までの数字で表す。
【0032】
したがって、上記の例をこの地平座標系を用いていい直すと、「方位85゜、高度10゜に月が見えている。」、「方位355゜、高度55゜にオリオン座が昇っている」、「方位265゜、高度13゜に明るい星が見えている。」となる。
【0033】
このように地平座標系は、感覚的で非常に分かりやすいが、時間の概念がないため、データベース44の座標情報としてふさわしくない。星の位置は時間と共に変化するからである。データベース44には、絶対位置を示す別の座標系(赤道座標系、黄道座標系、銀河座標系)を格納しなければならない。
【0034】
図5は、赤道座標系の概念図である。赤道座標系は星の絶対位置を表すために用いられる座標系であり、地球の自転を基準とした座標系である。星の絶対位置を「赤経(せきけい:αまたはR.A.=RightAscensionの略)」と「赤緯(せきい:δまたはDecl.=Declinationの略)」と呼ばれる2つの数値で表現する。概念的には、地球の自転軸を北に伸ばして天球と交わる点を「天の北極」とし、南に伸ばして天球と交わる点を「天の南極」とするとともに、地球上の経度線と緯度線をそのまま天球上に貼りつけたものと考えればよい。
【0035】
赤緯は赤道面を基点(0゜)とし、南(−)北(+)にそれぞれ90゜までの数値で表す。天の北極は+90゜、天の南極は−90゜になる。赤経は春分点(太陽が天の赤道を南側から北側へ横切る点)を基点(0゜=0時)にして東回りに測り、15゜=1時、15′=1分、15”=1秒として24時までの数値で表す。
【0036】
赤経の基点(春分点)や、赤緯の基点(赤道面)は、歳差運動(地球の地軸の移動による首振り運動)や章動によってわずかずつ移動するため、その時点での見かけのものを視赤経・視赤緯(視位置)と呼び、変動分をならしたものを平均赤経・平均赤緯と呼ぶ。なお、1991年までは西暦1950.0年(B1950.0)に基づいた平均赤経と平均赤緯(1950年分点)が主に用いられていたが、1992年からは西暦2000.0年(J2000.0)に基づいたもの(2000年分点)に改められた。
【0037】
ここで、一例として、全天一の明るさを持つ恒星である「おおいぬ座のシリウス」の位置を2000年分点で表記すると次のようになる。
J2000.0:α=6h45.2m,δ=−16.43′
【0038】
したがって、シリウスの位置をデータベース44の座標フィールド44bに格納する場合は、図4に示すように、星名(シリウス)を個別被写体名フィールド44aに格納するとともに、座標フィールド44bに、赤経(α)サブフィールド44cと赤緯(δ)サブフィールド44dとを設け、赤経(α)サブフィールド44cに方位値(α=6h45.2m)を格納し、赤緯(δ)サブフィールド44dに高度値(δ=−16.43′)を格納すればよい。
【0039】
これらの方位値(α=6h45.2m)や高度値(δ=−16.43′)は、赤道座標系におけるシリウスの絶対位置を表すから、この絶対位置に基づいて、ある時点(年月日及び時刻)におけるシリウスの視位置(視赤経・視赤緯)を割り出すことができる。
【0040】
データベース44に格納する座標系は、この赤道座標系に限らない。絶対位置を表すための座標系であればよく、黄道座標系や銀河座標系であってもよい。
【0041】
図6は、中央制御部43のコンピュータ(CPU43a)で実行される制御プログラムの要部フローを示す図である。図示のフローは、デジタルカメラ1の全体動作を統括する制御プログラムのうち撮影モード部分を抜き出したものであって、特に、遠方にある暗い被写体群を撮影する際の制御部分を抜粋したものである。
【0042】
このフローの実行条件は、「撮影モード」であって、撮影対象の被写体群が「暗く」、且つ、「遠くにある」場合である。この条件に当てはまる撮影を行うときに、図示のフローを自動実行してもよいし、あるいは、撮影者に手動選択させるようにしてもよい。
【0043】
上記の実行条件に当てはまる被写体の一例は夜空の星である。星の光は相当弱く、しかも、ほぼ無限遠の遠い距離にあるからである。したがって、以降では、上記の実行条件に当てはまる被写体群を「夜空の星」として説明する。ただし、これに限定されないことはもちろんである。暗く、且つ、遠くにある被写体群であればよい。
【0044】
このフローでは、まず、被写体群の明るさ(露出)を判定する(ステップS1)。被写体群が明るい場合は通常の撮影処理を実行(ステップS2)するが、暗い場合は、まず、シャッタ速度を手ぶれ限界速度(一般的に1/60秒程度)に設定(ステップS3)するとともに、撮像部25の感度(いわゆるISO感度)を上限まで高め(ステップS4)、その後、撮影者のシャッタ操作に応答して複数枚の画像を連続撮影(連写ともいう)する(ステップS5)。
【0045】
一般的な暗所撮影ではストロボを発光するが、このフローではストロボの発光は行わない。撮影対象の被写体群が遠方にあるからであり、たとえ、ストロボを発光しても被写体群まで光が届かないからである。
【0046】
次いで、撮影方向、撮影画角、現在位置及び現在日時を取得する(ステップS6〜ステップS8)。撮影方向は被写体群の方向、つまり、レンズ鏡筒3の光軸の方向であり、この方向は姿勢検出部37の検出結果から割り出すことができる。また、撮影画角は光学系24の撮影画角であり、この撮影画角はズームレンズ21のズーム位置から割り出すことができる。現在位置は撮影位置であり、この撮影位置は位置検出部36の検出結果から割り出すことができる。さらに、現在日時は撮影日時であり、この日時はCPU43aの時計機能(日付と時刻を発生する機能;OSの基本機能の一つである)から割り出すことができる。
【0047】
撮影方向、撮影画角、現在位置及び現在日時を取得すると、次に、画像合成処理(ステップS9)を実行した後、画像合成処理によって得られた合成画像を大容量記憶デバイス19に記録保存し(ステップS10)、必要であれば、確認用のプレビュー画像を表示部16に表示してから、フローを終了する。
【0048】
図7は、画像合成処理(ステップS9)のサブルーチンフローを示す図である。このフローでは、まず、撮影枚数変数iに初期値1をセットし(ステップS11)、次いで、図6のステップS5で連続撮影された複数枚の画像のうちのi枚目の画像とi+1枚目の画像から特徴点を抽出する(ステップS12)。特徴点は、画像の境目や角といった特徴を点化したもののことをいう。色彩が大きく変わる、濃淡の濃い部分、輪郭といったものなども特徴点になる。
【0049】
次に、i枚目の画像とi+1枚目の画像の特徴点の動きベクトルを算出する(ステップS13)。動きベクトルは、基準画像(ここではi枚目の画像)の特徴と似ている特徴が注目画像(ここではi+1枚目の画像)の何処にあるかをベクトルを用いて示したもののことをいう。
【0050】
全ての特徴点について動きベクトルを算出すると、次いで、それらの特徴点が合成すべきものであるか否かを判定する(ステップS14)。合成すべき特徴点とは、動きベクトル0の特徴点(画像間の動きがない特徴点)、または、動きベクトルの方向と動きの量に一定の相関性が見られる特徴点のことをいう。たとえば、夜空の星々は、地球の自転に伴い、天の北極(南半球では天の南極)を中心にした円に沿って移動するが、撮影時間に相当する短い時間で見た場合、動きベクトル0の特徴点とみなすことができるので、夜空の星々は合成すべき特徴点になる。
【0051】
一方、合成すべきでない特徴点は、動きベクトルに一定の相関性が見られないもののことをいう。具体的には、(1)i枚目の画像とi+1枚目の画像のいずれか一方にしか現れない特徴点、あるいは、(2)双方に現れる特徴点であっても、その動きベクトルと他の動きベクトルとが明らかに異なる特徴点のことをいう。(1)の典型例は、i枚目の画像とi+1枚目の画像の撮影周期に同期して明滅する光であり、(2)の典型例は、たとえば、走行中の自動車のヘッドライト55などである。
【0052】
ここで、冒頭の従来技術(特許文献1)のように、合成すべき特徴点を「動きベクトル」だけで判定した場合は、これらの(1)、(2)の特徴点(明滅光や自動車のヘッドライト55)を一律に「合成すべきでない」と判定してしまう。夜空の星々を撮影する場合、自動車のヘッドライト55は合成対象から排除してもかまわないが、明滅光については、必ずしも排除すべき特徴点(合成すべきでない特徴点)とはいい切れない。瞬く星(6等星などの暗い星)かもしれないからである。
【0053】
そこで、実施形態では、この段階における「合成すべきでない特徴点」の判定を“仮”の判定とし、最終的な判定をデータベース照合によって行うことにした(ステップS16)。このデータベース照合処理については後で詳しく説明する。
【0054】
特徴点の判定(ステップS14)及びデータベース照合処理(ステップS16)による特徴点の最終判定を行うと、次に、合成すべきと判定された特徴点を残してi枚目の画像とi+1枚目の画像を合成する(ステップS15)。この合成処理においては、各画像毎に、一定の相関性があると認められた動きベクトルの方向と動きの量に応じて位置合わせを行ってから合成する。次に、撮影枚数変数iを+1して(ステップS17)、「i>imax」であるか否かを判定する(ステップS18)。imaxは、図6のステップS5における連続撮影枚数である。「i>imax」でない場合は、まだ、合成対象の画像が残っていると判断して、再びステップS12以降を実行し、「i>imax」である場合は、全ての画像の合成を完了したと判断して、図6のステップS10に進む。
【0055】
図8は、データベース照合処理(ステップS16)のサブルーチンフローを示す図である。このフローでは、まず、図6のステップS6で求めておいた撮影方向に基づいて各特徴点(図7のステップS14で合成すべきでないと仮判定された各特徴点)の座標を星座の座標系に変換する(ステップS21)。星座の座標系はデータベース44の座標系(赤道座標系)である。次いで、合成すべきでないと仮判定された特徴点に対応する星をデータベース44から検索し(ステップS22)、該当する星(個別被写体)が検索されたか否かを判定する(ステップS23)。
【0056】
たとえば、注目特徴点の座標がα=6h45.2m,δ=−16.43′である場合、その特徴点に対応する星としてデータベース44から「シリウス」が検索される。この場合は、該当する星(個別被写体)が検索されたので、その特徴点を「合成すべき特徴点」として最終判定(ステップS24)した後、図7のステップS15に進む。一方、注目特徴点の座標に該当する星(個別被写体)がデータベース44から検索されなかった場合は、その特徴点を「合成しない特徴点」として最終判定(ステップS25)した後、図7のステップS15に進む。
【0057】
図9は、星座撮影の概念図である。(a)に示すように、表示部16のライブビュー画像には、天空の星々(星45〜51)や遠方の家屋52、53が表示されており、さらに、走行中の車両54のヘッドライト55の明かりが表示されている。
【0058】
家屋52、53の窓から漏れる光と天空の星々(星45〜51)の多くは一定の明るさを保っているが、いくつかの星は6等星またはそれに近い等級の暗い星であり、大気の影響を受けて瞬いている(明滅している)。今、星50をそのような瞬きを持つ個別被写体とすると、この星50は、上記の(1)に相当する。また、車両54のヘッドライト55は明るさ一定であるが、ライブビュー画像の左から右方向へと移動する特異な動きをする個別被写体であるから、この車両54のヘッドライト55は、上記の(2)に相当する。
【0059】
(b)に示すように、冒頭の従来技術(特許文献1)を適用した場合は、星50と車両54のヘッドライト55がともに排除された合成画像が作られる。星50は、i枚目の画像とi+1枚目の画像のいずれか一方にしか現れない特徴点になるからであり、また、車両54のヘッドライト55は、その動きベクトルと他の動きベクトルとが明らかに異なる特徴点になるからである。
【0060】
夜空の星座を撮影する場合、車両54のヘッドライト55の排除は好ましいものの、星50の排除は被写体の消失になるので避けなければならない。本実施形態では、データベース44を参照して明滅する特徴点を合成すべきものであるか否かを最終判定する。具体的には、その特徴点の位置座標をデータベース44の座標系(赤道座標系)に変換し(図8のステップS21)、該当する座標の星(個別被写体)がデータベース44に登録されているか否かを判定(図8のステップS23)して、登録されていれば当該特徴点を合成し(図8のステップS24)、登録されていなければ当該特徴点を合成しない(図8のステップS25)。
【0061】
このようにすることにより、明滅する星50を排除せずに合成画像に含めることができ、夜空の星座を意図したとおりに撮影することができる。
【0062】
図10は、実施形態を適用した星座撮影の概念図である。(a)に示すように、天空56の任意位置Pxに光軸を合わせて所定の画角で構図を調整した場合、ライブビュー画像57には天空56に散らばる多数の星(○印)のうちのいくつかが含まれる。構図内の星々をT1〜T7で示すことにする。ライブビュー画像57の横方向は天空56の赤経、縦方向は赤緯に対応し、天空56の様子は現在の日時(季節と時刻)と撮影場所によって決まる。T1〜T7の各々の座標はデータベース44に格納されており、たとえば、T6をシリウスとした場合、T6の赤経(α=6h45.2m)と赤緯(δ=−16.43′)がデータベース44に格納されている。
【0063】
この図10と前出の図9を見比べると、瞬く星50の位置にT6が存在している。このため、図7のステップS14で、星50が「合成すべきでない」と仮に判定されたとしても、図8のステップS23で、「データベース44に該当する星(T6)が存在する」と判定されるから、この瞬く星50については、最終的に「合成すべき」と判定される(図8のステップS24)こととなり、結局のところ、図10(b)に示すように、構図内の全ての星45〜51をもれなく含む合成画像を生成出力することができる。
【0064】
なお、以上の実施形態では、星座撮影を例にしたが、これに限定されない。時系列に明るさが変化する暗い被写体群の撮影用途であればよい。少なくとも、当該用途のデータベースを備えていればよい。また、以上の実施形態では、デジタルカメラ1への適用を例にしたが、たとえば、カメラ付の携帯電話機や携帯情報端末などの電子機器であってもよい。
【0065】
また、以上の実施形態では、データベース44に全ての被写体の情報を格納するとしているが、これに限定されない。画像合成の対象から排除される可能性がある被写体の情報だけを格納してもよい。これは、たとえば、夜空の星々を被写体群とした場合、その被写体群に含まれる明るい星については、図7のステップS14で「合成すべき被写体」と判定されるので、データベース44に格納する必要がなく、むしろ、データベース44には、図7のステップS14で「合成すべきでない被写体」と仮判定される可能性がある暗い星(6等星など)の情報だけを格納しておけばよいからである。このようにすると、データベース44のサイズを小さくしてデータ量を削減できるから好ましい。
また、以上の実施形態では、合成すべき特徴点でないと判断された場合にデータベースと照合することで、星の瞬きなどが排除されないようにしたが、合成すべき特徴点であると判断された場合にデータベースと照合して、データベースと一致しない特徴点を排除するようにしてもよい。すなわち、図7のステップS16(データベース照合処理)と同じ処理を、ステップS14のYES判定とステップS15との間に入れてもよい。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0067】
(付記1)
請求項1に記載の発明は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、
前記撮影方向を取得する方向取得手段と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、
前記撮影画角を取得する画角取得手段と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置である。
請求項1に記載の発明によれば、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【0068】
(付記2)
請求項2に記載の発明は、前記判定手段は、前記撮影方向、前記現在位置及び前記撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して画像内における前記個別被写体の各々の位置を算出し、各画像内に存在する被写体が、前記算出された位置と合致する位置に存在するか否かに応じて合成の可否を判定する第1の判定手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
【0069】
(付記3)
請求項3に記載の発明は、画像内に存在する複数の被写体の各々について、各画像間での移動方向および移動量を示す動きベクトルを算出する算出手段と、
複数の被写体の間で一定の相関性のある動きベクトルを特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像合成手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルに応じて各画像の位置合わせを行って合成し、
前記判定手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルと、個々の被写体の動きベクトルとの差に応じて合成の可否を判定する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
【0070】
(付記4)
請求項4に記載の発明は、前記判定手段は、前記連続撮影で得られた複数の画像の全てに存在する被写体か一部だけに存在する被写体かに応じて合成の可否を判断する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
【0071】
(付記5)
請求項5に記載の発明は、前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行わないと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置である。
【0072】
(付記6)
請求項6に記載の発明は、前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行うと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置である。
【0073】
(付記7)
請求項7に記載の発明は、前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記判定手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該明るさが変化する個別被写体を合成すべきものであると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
請求項7に記載の発明によれば、時系列に明るさが変化する被写体、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影できる。
【0074】
(付記8)
請求項8に記載の発明は、前記被写体群は夜空の星々であって、前記判定手段は、当該夜空の星々のうち暗い星に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該暗い星を合成すべき被写体であると判定することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置である。
請求項8に記載の発明によれば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影できる。
【0075】
(付記9)
請求項9に記載の発明は、前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記情報保持手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報のみを保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
請求項9に記載の発明によれば、情報保持手段の情報量を少なくすることができる。
【0076】
(付記10)
請求項10記載の発明は、任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影工程と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成工程と、
前記撮影方向を取得する方向取得工程と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得工程と、
前記撮影画角を取得する画角取得工程と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持工程と、
前記画像合成工程で画像の合成を行う際に、前記方向取得工程によって取得された撮影方向、前記位置取得工程によって取得された現在位置及び前記画角取得工程によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持工程で保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定工程と
を含むことを特徴とする撮像方法である。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1と同様に、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【0077】
(付記11)
請求項11記載の発明は、撮像装置のコンピュータに、
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段、
前記撮影方向を取得する方向取得手段、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段、
前記撮影画角を取得する画角取得手段、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して前記個別被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラムである。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1と同様に、被写体に関する座標情報を参照して合成すべきか否かを判定するので、たとえば、チカチカと瞬く星を含む夜空の星々を不都合なく撮影でき、しかも、三脚等の固定具不要で手軽に撮影できる。
【符号の説明】
【0078】
1 撮像装置
25 撮像部(撮影手段)
36 位置検出部(位置取得手段)
37 姿勢検出部(方向取得手段)
43 中央制御部(画像合成手段、画角取得手段、判定手段、第1の判定手段、算出手段、特定手段、第2の判定手段)
43a CPU(コンピュータ)
44 データベース(情報保持手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、
前記撮影方向を取得する方向取得手段と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、
前記撮影画角を取得する画角取得手段と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記撮影方向、前記現在位置及び前記撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して画像内における前記個別被写体の各々の位置を算出し、各画像内に存在する被写体が、前記算出された位置と合致する位置に存在するか否かに応じて合成の可否を判定する第1の判定手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
画像内に存在する複数の被写体の各々について、各画像間での移動方向および移動量を示す動きベクトルを算出する算出手段と、
複数の被写体の間で一定の相関性のある動きベクトルを特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像合成手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルに応じて各画像の位置合わせを行って合成し、
前記判定手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルと、個々の被写体の動きベクトルとの差に応じて合成の可否を判定する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記連続撮影で得られた複数の画像の全てに存在する被写体か一部だけに存在する被写体かに応じて合成の可否を判断する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行わないと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行うと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記判定手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該明るさが変化する個別被写体を合成すべきものであると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被写体群は夜空の星々であって、前記判定手段は、当該夜空の星々のうち暗い星に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該暗い星を合成すべき被写体であると判定することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記情報保持手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報のみを保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影工程と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成工程と、
前記撮影方向を取得する方向取得工程と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得工程と、
前記撮影画角を取得する画角取得工程と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持工程と、
前記画像合成工程で画像の合成を行う際に、前記方向取得工程によって取得された撮影方向、前記位置取得工程によって取得された現在位置及び前記画角取得工程によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持工程で保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定工程と
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項11】
撮像装置のコンピュータに、
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段、
前記撮影方向を取得する方向取得手段、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段、
前記撮影画角を取得する画角取得手段、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段と、
前記撮影方向を取得する方向取得手段と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段と、
前記撮影画角を取得する画角取得手段と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段と、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記撮影方向、前記現在位置及び前記撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して画像内における前記個別被写体の各々の位置を算出し、各画像内に存在する被写体が、前記算出された位置と合致する位置に存在するか否かに応じて合成の可否を判定する第1の判定手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
画像内に存在する複数の被写体の各々について、各画像間での移動方向および移動量を示す動きベクトルを算出する算出手段と、
複数の被写体の間で一定の相関性のある動きベクトルを特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像合成手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルに応じて各画像の位置合わせを行って合成し、
前記判定手段は、前記特定手段により特定された動きベクトルと、個々の被写体の動きベクトルとの差に応じて合成の可否を判定する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記連続撮影で得られた複数の画像の全てに存在する被写体か一部だけに存在する被写体かに応じて合成の可否を判断する第2の判定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行わないと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1の判定手段により合成を行うと判定された画像内の被写体に対して、更に前記第2の判定手段による判定を行って最終的な合成の可否を判断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記判定手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該明るさが変化する個別被写体を合成すべきものであると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被写体群は夜空の星々であって、前記判定手段は、当該夜空の星々のうち暗い星に対応する情報が前記情報保持手段に含まれていた場合に、当該暗い星を合成すべき被写体であると判定することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被写体群は、時系列的に明るさが変化する個別被写体を含み、
前記情報保持手段は、当該明るさが変化する個別被写体に対応する情報のみを保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影工程と、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成工程と、
前記撮影方向を取得する方向取得工程と、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得工程と、
前記撮影画角を取得する画角取得工程と、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持工程と、
前記画像合成工程で画像の合成を行う際に、前記方向取得工程によって取得された撮影方向、前記位置取得工程によって取得された現在位置及び前記画角取得工程によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持工程で保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定工程と
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項11】
撮像装置のコンピュータに、
任意の撮影方向に存在する被写体群を任意の場所且つ任意の撮影画角で連続撮影する撮影手段、
前記連続撮影された複数枚の画像を合成出力する画像合成手段、
前記撮影方向を取得する方向取得手段、
前記任意の場所の位置を現在位置として取得する位置取得手段、
前記撮影画角を取得する画角取得手段、
前記被写体群に含まれる個別被写体に関する座標情報を保持する情報保持手段、
前記画像合成手段で画像の合成を行う際に、前記方向取得手段によって取得された撮影方向、前記位置取得手段によって取得された現在位置及び前記画角取得手段によって取得された撮影画角を手掛かりに前記情報保持手段に保持されている情報を参照して各画像内に存在する被写体の各々の合成を行うか否かを判定する判定手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−170029(P2012−170029A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31534(P2011−31534)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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