説明

撮像装置およびプロジェクター

【課題】赤外線および可視光による撮像が可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置4は、投写面を撮像する撮像素子41と、赤外線の透過率が可視光の透過率より高い光学フィルター44と、可視光の透過率が光学フィルター44より高い可視光透過部材45と、撮像素子41に入射する光の光路上に光学フィルター44を配置する第1状態と光路上に可視光透過部材45を配置する第2状態とを切り替える切替部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出される光を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面に拡大投写するプロジェクターが知られている。近年、プロジェクターにより投影される画像に対して、図形や文字等を重ねて表示できるように構成された技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のプロジェクターは、撮像装置を備え、先端から赤外線を射出するポインティングデバイス、並びに、画像出力装置および画像解析装置を兼ねるPC(Personal Computer)と組み合わされることで、インタラクティブホワイトボードシステムとなる表示システムを構成している。撮像装置は、外装筐体の開口部内に配置されるカメラを有し、この開口部は、赤外線を透過するカバーによって閉塞されている。カメラは、投写面上で操作されたポインティングデバイスから射出される赤外線を検出する。そして、プロジェクターは、ポインティングデバイスの軌跡に応じた図形等を元の画像に重ねて投影可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−2650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、赤外線を透過するカバーについて詳細に説明されていないが、カメラがポインティングデバイスから発せられる赤外線以外の光を受光して誤認識しないよう、赤外線以外の可視光等の波長をカットする部材が採用されていることが考えられる。
これによって、特許文献1に記載のプロジェクターは、カメラがポインティングデバイスから発せられる赤外線を検出して元の画像に重ねて投影できるとはいうものの、赤外線以外の可視光による撮像が困難に構成されている。これにより、特許文献1に記載のプロジェクターは、カメラが投写面に投写された画像を撮像することが困難なため、投写面に投写される画像に基づいて加工を施すことができないという課題がある。例えば、投写面上におけるポインティングデバイスの位置を合わせる(キャリブレーション)ための調整用パターンや、投写される画像の歪をカメラが撮像できないため、キャリブレーションや画像の歪補正を自動でできず、プロジェクターの操作が煩雑になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る撮像装置は、被写体を撮像する撮像素子と、赤外領域の透過率が可視光領域の透過率より高い光学フィルターと、可視光領域の透過率が前記光学フィルターの前記可視光領域の透過率より高い可視光透過部材と、前記撮像素子に入射する光の光路上に前記光学フィルターを配置する第1状態と前記光路上に前記可視光透過部材を配置する第2状態とを切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、撮像装置は、光学フィルターおよび可視光透過部材を備え、切替部によって光学フィルターが撮像素子に入射する光の光路上に配置される第1状態と、可視光透過部材が光路上に配置される第2状態とが切り替えられるように構成されている。これによって、撮像素子は、第1状態において、光学フィルターを透過する赤外線を受光して撮像し、第2状態において、可視光透過部材を透過する可視光を受光して撮像することが可能となる。
また、撮像素子に入射する光の光路上には、第1状態において光学フィルターが配置され、第2状態において可視光透過部材が配置されるので、第1状態と第2状態とで撮像素子に至る光の屈折状態の差を低減することが可能となる。よって、撮像素子は、第1状態および第2状態の双方で焦点ずれを抑制して撮像することが可能となる。
したがって、本適用例の撮像装置によれば、赤外線および可視光による確実な撮像が可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の撮像装置において、前記被写体からの光を前記撮像素子に結像させる撮像レンズをさらに備え、前記第1状態および前記第2状態において、前記光学フィルターおよび前記可視光透過部材は、前記撮像素子と前記撮像レンズとの間へ挿入されることが好ましい。
【0010】
本適用例によれば、光学フィルターおよび可視光透過部材は、撮像素子と撮像レンズとの間に配置されるので、光学フィルターおよび可視光透過部材には、撮像レンズによって撮像素子に結像しようとする光が入射することとなる。これによって、光学フィルターおよび可視光透過部材が撮像レンズ内や、撮像レンズに対して撮像素子とは反対側に配置される構成に比べ、光学フィルターおよび可視光透過部材の大きさ、および第1状態と第2状態とを切り替える移動量を小さく構成することができる。よって、撮像装置の小型化が図れる。
また、光学フィルターおよび可視光透過部材は、撮像素子に近接して配置されることとなるので、第1状態と第2状態とで撮像素子に至る光の屈折状態の差をさらに効率よく低減することが可能となる。
したがって、本適用例の撮像装置によれば、小型化を図りつつ、赤外線画像および可視光画像の確実な撮像が可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る撮像装置において、前記切替部は、前記光学フィルターおよび前記可視光透過部材を保持し、前記撮像素子の光軸に沿う方向に延出する中心軸を中心とする回転により前記第1状態と前記第2状態とが切り替えられる可動部材と、前記可動部材を回転可能に支持するベース部材と、を備えることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、可動部材は、光学フィルターおよび可視光透過部材を保持してベース部材に支持され、回転されることによって、第1状態と第2状態とが切り替えられる。また、可動部材は、撮像素子の光軸に沿う方向に延出する中心軸を中心として回転する。つまり、光学フィルターおよび可視光透過部材は、可動部材が回転されることによって、撮像素子の光軸に直交する面内で移動し、撮像素子と撮像レンズとの間に対して出し入れされることとなる。これによって、撮像素子と撮像レンズとの間への挿入と、退避とによって第1状態と第2状態とを切り替える構成を容易に実現することが可能となる。
また、光学フィルターおよび可視光透過部材は、可動部材の回転によって移動する構成なので、他の移動形態、例えば、直線上に沿って移動する構成に比べ、高精度の移動が可能となる。よって、光学フィルターおよび可視光透過部材のサイズを効率よく設定して、小型化や低コスト化を図ることや、可動部材の位置を検出する検出スイッチを設けることで、容易に第1状態か第2状態かを検知することが可能となる。
【0013】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する投写部と、前記投写部から射出された光が投影される投写面を撮像する上記適用例のいずれかに記載の撮像装置と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、プロジェクターは、投写部と前述した撮像装置とを備えているので、撮像素子が撮像した赤外線および可視光による撮像画像に基づいて画像の投影が可能となる。
例えば、このプロジェクターにポインティングデバイスを加えたシステム等において、以下のように適用することができる。すなわち、第2状態において、投写部が投写した調整用パターンを撮像装置が撮像して(可視光画像の撮像)、投写面上におけるポインティングデバイスの位置を合わせるためのキャリブレーションや画像の歪補正を自動的に行うこと等に利用することが可能となる。そして、第1状態において、投写面上で操作されたポインティングデバイスからの赤外線画像を撮像装置が撮像し、画像情報にこの赤外線による情報を重ねた重畳画像を投写部が投写面に投影させることが可能となる。これによって、操作者の煩雑性を低減してインタラクティブな入出力を容易に可能とし、授業や会議等の利用範囲が広がるプロジェクターの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクターを用いた表示システムの構成を示す模式図。
【図2】第1実施形態のプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図3】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図4】第1実施形態の撮像装置の斜視図。
【図5】第1実施形態の撮像装置の分解斜視図。
【図6】第1実施形態の第2状態における撮像装置を示す図。
【図7】第1実施形態の撮像装置の平面図。
【図8】第2実施形態の切替部の模式図。
【図9】変形例2の撮像装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1を用いた表示システム100の概略構成を示す模式図である。
表示システム100は、本実施形態のプロジェクター1、図示しないケーブルを介してプロジェクター1に接続された画像出力装置としてのPC(Personal Computer)20、およびポインティングデバイス30を備えている。
【0017】
プロジェクター1は、図1に示すように、スクリーン等の投写面SCの上方の壁面に設置された支持装置40に支持され、下方を向く側から斜め下方に光を投写し、PC20から送信される画像情報に応じた画像を投写面SCに投影する。プロジェクター1は、後で詳細に説明するが、撮像装置4(図3参照)を備え、被写体としての投写面SCを撮像できるように構成されている。
【0018】
ポインティングデバイス30は、先端が投写面SCに押し当てられると先端部から赤外線を発する。
PC20は、プロジェクター1に画像情報を送信すると共に、撮像装置4が撮像した撮像画像に基づく制御を行う。
【0019】
表示システム100は、撮像装置4が撮像した画像に基づいて、調整を施すことや、画像情報にポインティングデバイス30の軌跡が重畳された重畳画像を投写面SCに投影することが可能に構成されている。
【0020】
〔プロジェクターの主な構成〕
図2は、本実施形態のプロジェクター1の外観を示す斜視図であり、図1におけるプロジェクター1を下方側(光を投写する側)から見た図である。図3は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す模式図である。
プロジェクター1は、図2、図3に示すように、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、投写部としての光学ユニット3および撮像装置4を備えている。
【0021】
なお、図示は省略するが、外装筐体2の内部には、さらに、光学ユニット3に備えられた光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置、光学ユニット3を冷却する冷却装置等が配置されている。また、以下では、説明の便宜上、プロジェクター1が支持装置40に支持された状態において、投写面SCに対する法線方向を前後方向として投写面SCに向かう方向を前方向(+Y方向)、重力に逆らう方向を上方向(+Z方向)、投写面SCに向かって右側を右方向(+X方向)として記載する。
【0022】
外装筐体2は、合成樹脂製の部材が複数組み合わされて構成されており、図2に示すように、−Z側の面を形成する投写側面2A、+Z側の面を形成する治具取付面2B、左右の面をそれぞれ形成する左側面2C、右側面2D、および前後の面をそれぞれ形成する前面2F、後面2Eを有している。
【0023】
投写側面2Aには、図2に示すように、前後方向における後方(−Y方向)寄りに、第1傾斜面21aおよび第2傾斜面21bを有する凹部21が形成され、凹部21の後方には、複数のキーを有する操作パネル22が配置されている。
【0024】
第1傾斜面21aは、第2傾斜面21bに対して後面2E側に位置し、後方から前方に向かうに従って、+Z方向(治具取付面2Bに近接する方向)に向かうように傾斜している。第2傾斜面21bは、第1傾斜面21aに連接し、後方から前方に向かうに従って、−Z方向(治具取付面2Bから離間する方向)に向かうように傾斜している。
【0025】
第1傾斜面21aには、左側面2C側寄りに形成された凹部211が設けられており、この凹部211の底部分には、第1開口部211Hが形成されている。
投写側面2Aは、プロジェクター1が支持装置40に支持された状態において、下方を向くように配置され(図1参照)、プロジェクター1は、この第1開口部211Hから投写面SCに光を投写する。
【0026】
第1傾斜面21aにおける凹部211の+X方向には、略矩形状の第2開口部212Hおよび第3開口部213Hが順次形成されている。
第2開口部212H内には、後述する撮像装置4が配置される。第3開口部213H内には、リモコン(図示省略)からの赤外線信号を受光する受光装置(図示省略)が配置され、この第3開口部213Hは、赤外線を透過し、可視光をカットするカバー23により閉塞される。
【0027】
左側面2Cの前側には、複数のスリット状の孔を有する吸気口214が形成されている。この吸気口214の内側には、図示は省略するが、エアフィルターおよび吸気ファンが配置されており、吸気ファンの駆動によって、吸気口214およびエアフィルターを介して外装筐体2内を冷却するための冷却空気が導入される。
右側面2Dには、図示は省略するが、排気口が設けられており、この排気口の内側には、排気ファンが配置されている。そして、吸気ファンにより導入され、外装筐体2内を冷却した空気は、この排気口から排出される。
【0028】
治具取付面2Bには、図1に示すように、金具50が取り付けられ、プロジェクター1は、この金具50を介して支持装置40に取り付けられる。
また、治具取付面2Bには、図示は省略するが、開口部が形成されており、接続端子に接続されたケーブル(図示省略)は、この開口部からプロジェクター1の外部に出される。そして、プロジェクター1の外部に出されたケーブルは、支持装置40内に挿通されて、壁面を経てPC20等の外部の機器に接続される。
【0029】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0030】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源311から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する。
光学ユニット3は、図3に示すように、光源装置31、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、投写光学装置36、およびこれらの光学部品を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37を備えている。
光学ユニット3は、図3に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写光学装置36が配置される。
【0031】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備えている。光源装置31は、光源311から射出された光をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。
【0032】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備えている。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光を複数の部分光に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光の光軸Cに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0033】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0034】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0035】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0036】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0037】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0038】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が表示画像信号に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。
【0040】
投写光学装置36は、複数のレンズを組み合わせた組レンズ部361、および非球面形状の反射ミラーを有する反射部362を備えている。クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光は、組レンズ部361にて拡大され、反射部362によって広角化されて反射する。そして、反射部362で反射された光は、外装筐体2の第1開口部211H(図2参照)を通過して、投写面SCに投写される(図1参照)。
【0041】
このように、投写光学装置36が組レンズ部361および反射部362を備えることで、本実施形態のプロジェクター1は、投写距離の短い、いわゆる短焦点プロジェクターとして構成される。
【0042】
撮像装置4は、前述したように、第2開口部212H内に配置され、投写面SCに投写された画像および投写面SC上で操作されたポインティングデバイス30から発せられる赤外線を撮像可能に構成されている。
【0043】
〔撮像装置の構成〕
ここで、撮像装置4について詳細に説明する。
図4は、撮像装置4の斜視図である。図5は、撮像装置4の分解斜視図である。
撮像装置4は、図4、図5に示すように、撮像素子41、回路基板42、撮像レンズ43、光学フィルター44、可視光透過部材45、および切替部5を備えている。
【0044】
撮像素子41は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成されている。
回路基板42は、撮像素子41が実装され、図示しないケーブルを介して制御部に接続されている。回路基板42は、撮像素子41の受光部411が投写面SC側を向き、投写面SCを効率よく撮像するように、第1傾斜面21a(図1、図2参照)に沿うように(X−Y平面に対して傾斜して)配置されている。
【0045】
撮像レンズ43は、詳細な図は省略するが、複数のレンズから構成され、投写面SCに投写された画像および投写面SC上で操作されたポインティングデバイス30から発せられる赤外線を撮像素子41に結像させる。また、撮像レンズ43は投射面SC全体を撮像可能とするため広角レンズとなっている。
【0046】
光学フィルター44は、赤外領域の透過率が可視光領域の透過率より高い部材、換言すると赤外線を透過し、可視光をカットするいわゆるIRフィルターとして形成されている。本実施形態の光学フィルター44は、ガラスの板材に蒸着等による薄膜が形成されて構成されている。
【0047】
可視光透過部材45は、可視光領域の透過率が光学フィルター44の可視光領域の透過率より高くなるように構成されている。また、可視光透過部材45は、ガラスの板材で、光学フィルター44と同等の厚さを有して形成されている。
光学フィルター44および可視光透過部材45は、図5に示すように、平面視矩形に形成され、後述する切替部5の可動部材51に並設して配置される。なお、光学フィルター44、可視光透過部材45は、ガラス製に限らず合成樹脂製等であってもよい。
【0048】
光学フィルター44および可視光透過部材45は、可動部材51が回転されることにより、撮像素子41に入射する光の光路上に光学フィルター44が配置される第1状態と、この光路上に可視光透過部材45が配置される第2状態とが切り替えられる。具体的に、光学フィルター44および可視光透過部材45は、可動部材51が回転されることにより、撮像素子41と撮像レンズ43との間への挿入と、退避とが行われて、第1状態と第2状態とが切り替えられる。
【0049】
切替部5は、図5に示すように、可動部材51、ベース部材52、駆動部53および押え部材54を備え、第1状態と第2状態とを切り替え可能に構成されている。
図6は、第2状態における撮像装置4を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。なお、図6は、回路基板42、ベース部材52および押え部材54を省略した図である。
【0050】
可動部材51は、光学フィルター44および可視光透過部材45を保持し、ベース部材52に対して回転可能に支持される。可動部材51は、図6(a)に示すように、平面視において、一方の端部から他方の端部に向かって放射状に広がる形状を有している。そして、可動部材51には、一方の端部側に中心軸51Jを中心とする丸孔(軸受511)が形成され、他方の端部には、中心軸51Jを中心とするギア部51Gが形成されている。中心軸51Jは、図5に示すように、撮像素子41の光軸41Jに沿う方向に延出している。
【0051】
可動部材51には、軸受511とギア部51Gとの間に、2つの矩形状の凹部が形成されており、光学フィルター44および可視光透過部材45は、この凹部に接着されて並設される(図5参照)。また、この2つの凹部の底面には、それぞれ開口部が形成されており、第1状態、第2状態においてそれぞれの部材を透過した光は、この開口部を通過して撮像素子41に射出される。
【0052】
具体的に、第2状態において、可視光透過部材45は、図6(b)に示すように、撮像素子41と撮像レンズ43との間に挿入される。そして、撮像レンズ43から射出され、可視光透過部材45を透過した光は、凹部の開口部を通過して撮像素子41に射出される。図示は省略するが、第1状態において、光学フィルター44は、撮像素子41と撮像レンズ43との間に挿入される。そして、撮像レンズ43から射出され、光学フィルター44を透過した光は、凹部の開口部を通過して撮像素子41に射出される。
【0053】
ベース部材52は、図5に示すように、回路基板42と可動部材51との間に配置され、可動部材51を回転可能に支持する。
ベース部材52は、図5に示すように、平面視矩形状に形成され、一方の端部近傍に支持軸521が形成され、他方の端部近傍に歯車支持軸522が設けられている。
支持軸521は、可動部材51の軸受511に挿入され、可動部材51を回転可能に支持する。歯車支持軸522は、後述する中継ギア532に挿入され、中継ギア532を回転可能に支持する。
【0054】
また、ベース部材52には、支持軸521と歯車支持軸522との間に、開口部523およびガイド突起524が設けられ、歯車支持軸522の近傍に丸孔525が形成されている。
【0055】
開口部523は、光学フィルター44または可視光透過部材45を透過した光が通過するように形成されている。ガイド突起524は、中心軸51Jを中心とする円弧状に突出する部位であり、開口部523と歯車支持軸522との間に形成されている。そして、ガイド突起524は、可動部材51に接して可動部材51が滑らかに回転するように案内する。丸孔525は、後述するステッピングモーター531のピニオン5311が挿通される。
【0056】
駆動部53は、図5に示すように、ステッピングモーター531、中継ギア532を備え、制御部の指示に基づいて可動部材51を回転させる。
ステッピングモーター531は、駆動軸に組み込まれたピニオン5311を有している。ステッピングモーター531は、図5の図面視におけるベース部材52の下方からピニオン5311が丸孔525に挿通され、ベース部材52の下面に取り付けられる。
【0057】
中継ギア532は、ステッピングモーター531で発生した駆動力を可動部材51に伝達する。具体的に、中継ギア532は、合成樹脂製であり、図5、図6に示すように、同軸上に積層された大ギア部5321および小ギア部5322を備えている。中継ギア532は、ベース部材52の歯車支持軸522に支持され、大ギア部5321がピニオン5311に噛合され、小ギア部5322が可動部材51のギア部51Gに噛合されて配置される。
【0058】
押え部材54は、図5に示すように、可動部材51に対してベース部材52の反対側に配置される。押え部材54は、平面視矩形状に形成され、中央部には、撮像レンズ43を保持する円筒部541が形成されている。押え部材54は、ベース部材52にネジ等で固定され、ベース部材52とで可動部材51を回転可能に保持する。
【0059】
〔撮像装置の動作〕
ここで、撮像装置4の動作について説明する。
図7は、撮像装置4の平面図であり、(a)は、第2状態を示す図、(b)は、第1状態を示す図である。なお、図7は、回路基板42、ベース部材52および押え部材54を省略した図である。
【0060】
撮像装置4は、制御部の指示に基づいてステッピングモーター531が作動することによって可動部材51が回転し、第1状態と第2状態とが切り替えられる。そして、撮像装置4は、第1状態においては、光学フィルター44を透過する赤外線画像の撮像が可能となり、第2状態においては、可視光透過部材45を透過する可視光画像の撮像が可能となる。
【0061】
具体的に、第2状態において、撮像装置4は、図7(a)に示すように、可視光透過部材45が撮像素子41と撮像レンズ43との間に配置され、投写面SC(図1参照)に投写された画像を撮像することが可能となる。つまり、撮像素子41は、光学ユニット3から投写面SCに投写された調整用パターン等の画像を撮像することが可能となる。
【0062】
表示システム100は、撮像素子41が撮像した画像に基づいて、調整を施すことが可能となる。例えば、表示システム100は、プロジェクター1から投写された調整用パターンに基づいて、ポインティングデバイス30が投写面SCに指し示す位置を自動で合わせるオートキャリブレーションや、自動による画像の歪補正等を行う。
【0063】
一方、撮像装置4は、第2状態から第1状態に切り替えられるように指示されると、ピニオン5311は、図7(b)の図面視における時計回りに回転する。ピニオン5311が時計回りに回転すると、中継ギア532を介してピニオン5311に噛合している可動部材51は、中心軸51Jを中心に時計回りに回転する。そして、可動部材51が所定の位置まで回転すると、図7(b)に示すように、光学フィルター44が撮像素子41と撮像レンズ43との間に配置される第1状態となる。
【0064】
第1状態において、撮像素子41は、投写面SC上にて操作され、ポインティングデバイス30から発せられる赤外線を撮像することが可能となる。
PC20は、撮像装置4が撮像した撮像画像に基づいて赤外線の射出位置の解析を行い、画像情報にこの射出位置の軌跡を示す線を重畳した重畳画像を生成し、この重畳画像の画像情報をプロジェクター1に送信する。そして、プロジェクター1は、ポインティングデバイス30の軌跡を示す線が反映されたこの重畳画像を投写面SCに投影する。
【0065】
なお、本実施形態の表示システム100は、第1状態において、手動によるキャリブレーションも可能に構成されている。すなわち、プロジェクター1から順次投写されるマーク画像に合わせて、操作者がポインティングデバイス30を指し示すことに伴って発する赤外線を撮像することにより手動によるキャリブレーションが行われる。
【0066】
撮像装置4は、第1状態から第2状態に切り替えられるように指示されると、ピニオン5311および可動部材51は、第2状態から第1状態に切り替えられる場合と反対方向に回転する。そして、可動部材51が所定の位置まで回転すると、図7(a)に示すように、可視光透過部材45が撮像素子41と撮像レンズ43との間に配置される第2状態となる。
【0067】
このように、撮像装置4は、制御部の指示に基づいて駆動部53が作動することによって可動部材51が回転して第1状態と第2状態とが切り替えられ、赤外線による撮像および可視光による撮像を行う。そして、プロジェクター1は、撮像装置4が撮像した撮像画像に基づいた画像を投影する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置4およびプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)撮像装置4は、光学フィルター44および可視光透過部材45を備え、切替部5によって光学フィルター44が撮像素子41に入射する光の光路上に配置される第1状態と、可視光透過部材45がこの光路上に配置される第2状態とが切り替えられるように構成されている。これによって、撮像素子41は、第1状態において、光学フィルター44を透過する赤外線を受光して撮像し、第2状態において、可視光透過部材45を透過する可視光を受光して撮像することが可能となる。
また、撮像素子41に入射する光の光路上には、第1状態において光学フィルター44が配置され、第2状態において可視光透過部材45が配置されるので、第1状態と第2状態とで撮像素子41に至る光の屈折状態の差を低減することが可能となる。よって、撮像素子41は、第1状態および第2状態の双方で焦点ずれを抑制して撮像することが可能となる。
したがって、撮像装置4は、赤外線および可視光による確実な撮像が可能となる。
【0069】
(2)撮像装置4は、撮像レンズ43が広角レンズであるので、より広範囲の領域を撮像することができる。そして、光学フィルター44および可視光透過部材45は、撮像素子41と撮像レンズ43との間に配置されるので、光学フィルター44および可視光透過部材45には、撮像レンズ43を透過し撮像素子41に結像しようとする光が入射することとなる。これによって、光学フィルター44および可視光透過部材45が撮像レンズ43内や、撮像レンズ43の外側(撮像レンズ43に対して撮像素子41の反対側)に配置される構成に比べ、光学フィルター44および可視光透過部材45の大きさ、および第1状態と第2状態とを切り替える移動量を小さく構成することができる。よって、撮像装置4の小型化が図れる。
また、光学フィルター44および可視光透過部材45は、撮像素子41に近接して配置されることとなるので、第1状態と第2状態とで撮像素子41に至る光の屈折状態の差をさらに効率よく低減することが可能となる。
したがって、撮像装置4は、小型化が図られつつ、赤外線および可視光による確実な撮像が可能となり、ひいては大型化を抑制して撮像装置4を備えるプロジェクター1の提供が可能となる。
【0070】
(3)光学フィルター44および可視光透過部材45は、可動部材51に保持され、可動部材51がベース部材52に対して回転されることによって、第1状態と第2状態とが切り替えられる。これによって、撮像素子41と撮像レンズ43との間への挿入と、退避とによって第1状態と第2状態とを切り替える構成を容易に実現することが可能となる。
また、光学フィルター44および可視光透過部材45を、他の移動形態、例えば、直線上に沿って移動する構成に比べ、高精度の移動が可能となる。よって、光学フィルター44および可視光透過部材45のサイズを効率よく設定して、小型化や低コスト化を図ることや、可動部材51の位置を検出する検出スイッチを設けることで、容易に第1状態か第2状態かを検知することが可能となる。
【0071】
(4)プロジェクター1は、第2状態において、投写面SCに投写された調整用パターンを撮像装置4が撮像して、オートキャリブレーションや自動による画像の歪補正等に利用する。そして、プロジェクター1は、第1状態において、投写面SC上で操作されたポインティングデバイス30からの赤外線を撮像装置4が撮像して重畳画像を投写面SCに投影させる。これによって、操作者の煩雑性を低減してインタラクティブな入出力を容易に可能とし、授業や会議等の利用範囲が広がるプロジェクター1の提供が可能となる。
【0072】
(5)撮像装置4は、スクリーンはもとより、教室や会議室の壁、黒板等の投写面SCであっても投写された画像を撮像することが可能なので、利用範囲の自由度が増すプロジェクター1の提供が可能となる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るプロジェクター1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、第1実施形態のプロジェクター1と同様の構造および同様の部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0074】
本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態のプロジェクター1の撮像装置4と構成の異なる撮像装置14を備えている。そして、本実施形態の撮像装置14は、第1実施形態のステッピングモーター531に替えてソレノイド152Sを有し、このソレノイド152Sの駆動により、第1状態と第2状態とが切り替えられるように構成されている。
【0075】
図8は、本実施形態の撮像装置14の模式図であり、(a)は、第2状態を示す図、(b)は、第1状態を示す図である。
撮像装置14は、第1実施形態と同様の撮像素子41、回路基板42(図8において図示省略)、撮像レンズ43、光学フィルター44、可視光透過部材45、および第1実施形態の切替部5と構成の異なる切替部15を備えている。
切替部15は、図8に示すように、可動部材151、駆動部152および図示しないベース部材、押え部材を備えている。
【0076】
可動部材151は、第1実施形態の可動部材51と同様に、光学フィルター44および可視光透過部材45を保持し、可動部材51のギア部51Gが削除された形状を有している。可動部材151は、可動部材51と同様の軸受511を有し、回転可能に構成されている。また、可動部材151には、軸受511近傍の端部に、光学フィルター44および可視光透過部材45と反対側に突出する突起部1511が設けられている。
【0077】
駆動部152は、ソレノイド152Sおよび圧縮コイルバネ152Bを備えている。
ソレノイド152Sは、コイル、固定鉄芯(いずれも図示省略)、および可動鉄芯152Fを備え、電流が供給されることで可動鉄芯152Fが直進運動を得るように構成されている。具体的に、可動鉄芯152Fは、コイルに電流が供給されると固定鉄芯に引き寄せられ、電流が供給されないと固定鉄芯への吸引力は消滅する。
【0078】
本実施形態のソレノイド152Sは、電流が供給された際に、可動鉄芯152Fの突出量が小さくなるプル型のソレノイドが採用されており、その吸引力は、圧縮コイルバネ152Bの付勢力より大きいタイプが採用されている。ソレノイド152Sは、図8の図面視における突起部1511の上方に配置され、可動鉄芯152Fが突起部1511に接続されて配置される。
【0079】
圧縮コイルバネ152Bは、軸受511に対してソレノイド152Sの反対側に配置され、一端が図示しないベース部材に当接し、他端が図8の図面視における可動部材151の下面に当接する。そして、圧縮コイルバネ152Bは、可動部材151を上方に付勢する。
図示しないベース部材、押え部材は、可動部材151を回転可能に保持する。
【0080】
切替部15は、制御部の指示に基づいて、ソレノイド152Sへの電力の供給と、電力の供給停止により可動部材151が回転し、第1状態と第2状態とが切り替えられる。
具体的に、ソレノイド152Sに電流が供給されると、可動鉄芯152Fは、圧縮コイルバネ152Bの付勢力に抗して突出量が小さくなるように移動する。可動部材151は、突起部1511が可動鉄芯152Fに引張られ、図8(a)に示すように、可視光透過部材45が撮像素子41と撮像レンズ43との間に挿入されて第2状態となる。
【0081】
一方、ソレノイド152Sへの電流の供給が停止されると、圧縮コイルバネ152Bの付勢力によって、可動部材151は、図8(b)の図面視において時計回りに回転する。そして、可動部材151に保持されている光学フィルター44は、図8(b)に示すように、撮像素子41と撮像レンズ43との間に挿入されて第1状態となる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置14およびプロジェクター1によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(1)ソレノイド152Sによる直進運動を利用して可動部材151を容易に回転させることができる。よって、撮像装置14は、簡単な構造で電動式による第1状態と第2状態との切り替えが可能となる。また、ソレノイド152Sは、永久磁石を備える必要がないので、小型、軽量なタイプのソレノイドの採用が可能となり、切替部15の小型化、軽量化、ひいてはプロジェクター1の小型化、軽量化が図れる。
【0083】
(2)第1状態より使用される頻度が少ないと考えられる第2状態において、ソレノイド152Sに電流が供給されるように構成されているので、プロジェクター1の低消費電力化が可能となる。
【0084】
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
第1実施形態では、ステッピングモーター531を用いて可動部材51を回転させるように構成されているが、ステッピングモーター531に限らず、直流モーター等を用いて可動部材51を回転させるように構成してもよい。
また、第1状態と第2状態とで可動部材51によるONとOFFとが切り替わる検出スイッチを設けてもよい。
【0085】
(変形例2)
前記実施形態の光学フィルター44および可視光透過部材45は、撮像素子41と撮像レンズ43との間に配置されるように構成されているが、撮像素子41に入射する光の光路上に配置可能に構成されていれば、他の箇所であってもよい。
図9は、変形例2の撮像装置24を模式的に示す断面図であり、(a)は、第2状態を示す図、(b)は、第1状態を示す図である。
【0086】
図9に示すように、光学フィルター44および可視光透過部材45は、切替部25の可動部材251に併設して保持され、撮像レンズ43の外側(撮像レンズ43に対して撮像素子41とは反対側)の光路上に配置可能に構成されている。
可動部材251は、図9に示すように、光学フィルター44および可視光透過部材45を保持する枠部2512と、撮像素子41および撮像レンズ43の側方を覆うように形成された側面部2513とを有している。側面部2513の端部には、回転軸251Jが設けられ、回転軸251Jの近傍には、側面部2513から突出する突起部2511が設けられている。そして、この突起部2511には、第2実施形態のソレノイド152Sと同様に構成されたソレノイド252Sの可動鉄芯が接続されている。
【0087】
可動部材251は、ソレノイド252Sの直進運動と、回転軸251Jに対してソレノイド252Sと反対側に配置された引張りコイルバネ252Bの付勢力とにより回転可能に構成され、制御部の指示に基づいて、第1状態と第2状態とが切り替えられる。
【0088】
具体的に、ソレノイド252Sに電流が供給されると、引張りコイルバネ252Bの付勢力に抗して可動鉄芯が縮み、図9(a)に示すように、可視光透過部材45は、撮像レンズ43の前面を覆うように配置、つまり撮像素子41に入射する光路上に配置されて第2状態となる。
一方、ソレノイド252Sへの電流の供給が停止されると、引張りコイルバネ252Bの付勢力によって、可動部材251は、図9(b)の図面視において反時計回りに回転する。そして、可動部材251に保持されている光学フィルター44は、図9(b)に示すように、撮像レンズ43の前面を覆うように配置されて第1状態となる。
また、変形例2のソレノイド252Sに替えてモーターを備える構成とし、このモーターを利用して可動部材251を回転させるように構成してもよい。
【0089】
(変形例3)
変形例2における可視光透過部材45を廃止して可動部材251を小型化し、光学フィルター44が撮像素子41の光路上に配置される状態(第1状態)と、光路上から退避する状態(退避状態)とが切り替えられるように構成してもよい。この場合、第1状態と退避状態とで撮像素子41に至る光の屈折状態の差を低減するように撮像レンズ43を設定することが可能なので、赤外線および可視光による確実な撮像を可能としつつ、大型化を抑制して撮像レンズ43の外側で光学フィルター44の配置を切り替える構成が可能となる。
【0090】
(変形例4)
前記実施形態の光学フィルター44および可視光透過部材45は、ガラスの板材を基材とし、双方の部材が同程度の厚さを有して形成されているが、撮像素子41に焦点が合うように透過する波長に対応する屈折率や板厚を考慮し、異なる材料を用いたり、異なる板厚の部材を用いたりしてもよい。つまり、第1状態および第2状態で撮像素子41に焦点が合うように形成されていれば、光学フィルター44、可視光透過部材45を屈折率や板厚が異なる材料で構成してもよい。
【0091】
(変形例5)
前記実施形態および変形例の切替部5,15,25は、電力により可動部材51,151,251を回転させるように構成されているが、可動部材51,151,251に接続される操作部を設け、この操作部を手動により操作することで、可動部材51,151,251を回転させるように構成してもよい。
【0092】
(変形例6)
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0093】
(変形例7)
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【0094】
(変形例8)
前記実施形態では撮像装置14,24はプロジェクター1に内蔵される構成となっていたが、これに限らず、撮像装置14,24をプロジェクター1とは別に独立して構成してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…プロジェクター、3…光学ユニット、4,14,24…撮像装置、5,15,25…切替部、20…PC、30…ポインティングデバイス、36…投写光学装置、40…支持装置、41…撮像素子、41J…光軸、43…撮像レンズ、44…光学フィルター、45…可視光透過部材、51,151,251…可動部材、51J…中心軸、52…ベース部材、53,152…駆動部、100…表示システム、311…光源、361…組レンズ部、362…反射部、531…ステッピングモーター、152S,252S…ソレノイド、SC…投写面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子と、
赤外領域の透過率が可視光領域の透過率より高い光学フィルターと、
可視光領域の透過率が前記光学フィルターの前記可視光領域の透過率より高い可視光透過部材と、
前記撮像素子に入射する光の光路上に前記光学フィルターを配置する第1状態と前記光路上に前記可視光透過部材を配置する第2状態とを切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記被写体からの光を前記撮像素子に結像させる撮像レンズをさらに備え、
前記第1状態および前記第2状態において、前記光学フィルターおよび前記可視光透過部材は、前記撮像素子と前記撮像レンズとの間へ挿入されることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記切替部は、
前記光学フィルターおよび前記可視光透過部材を保持し、前記撮像素子の光軸に沿う方向に延出する中心軸を中心とする回転により前記第1状態と前記第2状態とが切り替えられる可動部材と、
前記可動部材を回転可能に支持するベース部材と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する投写部と、
前記投写部から射出された光が投影される投写面を撮像する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−38626(P2013−38626A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173619(P2011−173619)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】