説明

撮像装置および撮像方法

【課題】デジタルカメラの「ミニチュア写真化」画像の撮像ができ、はっきりとした効果を得る。
【解決手段】電源オンによりシステム制御部29が設定内容を読み出し、「ミニチュア写真化」処理時に「ユーザ設定」、「自動設定」を判断する。「ユーザ設定」時、設定のぼかし領域でぼかし処理してモニタリング、またぼかし領域の変更要求で設定画面へ移り、変更のぼかし領域でモニタリングする。さらに被写体検出モードを確認、顔検出モード時は画角内から顔を検出して合焦処理し、顔がぼかし領域内に移動すると検出を中止する。また「自動設定」時、第1レリーズでAF処理したAF領域を注目領域の中心に、その周囲をぼかし領域にしてモニタリングする。第2レリーズ押下でモニタリング処理から、シャッター制御によりCCD/CMOS部20から主画像が画像処理部25へ転送、メモリ部26に展開され、合焦した被写体以外の領域をぼかし処理して効果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段を有する携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、玩具などの携帯可能な電子機器に適用可能であり、特に、デジタルカメラの画像処理機構に用いられる撮像装置および撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラが爆発的に普及してきている。そして、デジタルカメラならではの特徴として写真を撮像時や撮像後に自在に加工できることが挙げられる。このような加工技術の1つとして、通常に撮像された風景写真等において、まるで模型を近距離から撮像したかのように加工する、いわゆる「ミニチュア写真化」テクニックが知られている。これらのテクニックの多くは画像編集用のレタッチソフトを用いて、かつ幾つかの手順を踏んで実施するテクニックであるが、それらのノウハウを簡単に実施するためのパック化された「ミニチュア写真化」の加工ソフトも既に公開されている。
【0003】
実際のレタッチソフトを用いた方法としては、
1.写真のコントラストと彩度を強くすることで、コントラストが強く色彩のはっきりした画像にする(風景写真などで多く見られる霞がかかったような画像の状態を改善する)。
2.被写界深度が深いすなわちピントの合う距離の範囲が広い写真の場合は、被写界深度を浅くすなわちピントの合う範囲を狭く設定する(主要な被写体以外の領域をピントがあっていないようにぼかす)。
【0004】
このような方法により、撮像した写真に対して、誰にでも手軽に「ミニチュア写真化」の処理を行うことができる。
【0005】
また、特許文献1,2には、自動合焦した領域を判定し、自動合焦した領域以外にぼかす処理を行って、ポートレートのように背景をぼかした画像を得る技術が記載されている。そして、特許文献1,2では、ぼかし処理を行うものの「ミニチュア写真化」に関するものではなく、ぼかす領域を指定することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したレタッチソフトによる加工(画像処理)をPC(パーソナルコンピュータ)上で行うのは手間がかかり面倒である。
【0007】
また、撮像後の画像に対して加工を行って「ミニチュア写真化」を行う場合、撮像後の画像では合焦した領域が決まっているため、ピントがあった合焦領域を変更することはできない。
【0008】
つまり、「ミニチュア写真化」を行う際の加工ソフトでは、ミニチュアのように見せたい注目領域をユーザが設定し、この設定された注目領域以外の領域をピントが合っていないようにぼかすことによって、ミニチュア写真を得るようにしたものである。
【0009】
しかし、撮像後の画像において、合焦領域とユーザが設定した注目領域とが異なる場合、「ミニチュア写真化」を行っても、画像内のミニチュアのように見せたい領域にピントが合っていない場合があって、「ミニチュア写真化」の効果がはっきり得られないという課題があった。
【0010】
本発明は、前記従来技術の課題を解決するものであり、デジタルカメラの撮像時において、自動的に「ミニチュア写真化」した画像の撮像が可能であり、これにより後から加工する手間が省け、簡便に「ミニチュア写真化」の処理ができ、その効果がはっきりと得られる撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載した撮像装置は、光学レンズを通過した被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、画像データにおける合焦領域内のデータに基づいて自動合焦を行う合焦手段と、画像データの画角内において注目領域を指定する注目領域指定手段と、注目領域以外のデータに対してぼかし処理を行うぼかし処理手段と、ぼかし処理された画像データを画像ファイルとして記録する記録手段と、を備え、合焦領域が、注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されることを特徴とする。
【0012】
この構成によって、自動合焦した領域にぼかし処理をしてしまうことや、注目領域外のぼかし処理する領域を無駄に自動合焦してしまうという不具合を防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載した発明は、請求項1記載の撮像装置において、合焦手段が自動合焦を行うために用いる合焦領域を撮像前にあらかじめ設定する設定手段をさらに備え、この設定手段によって合焦領域があらかじめ設定された場合でも、合焦領域が注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に変更されることを特徴とする。
【0014】
この構成によって、設定された自動合焦する領域にぼかし処理をしてしまうことや、ぼかし処理する領域を無駄に自動合焦してしまう不具合を防止することができる。
【0015】
また、請求項3に記載した発明は、請求項1または2の撮像装置において、画像データにおける測光領域内のデータに基づいて測光処理する測光手段をさらに備え、測光領域が、注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されることを特徴とする。
【0016】
この構成によって、測光した適正露光の領域にぼかし処理をしてしまうことや、注目領域外のぼかし処理する領域を無駄に測光してしまう不具合を防止することができる。
【0017】
また、請求項4に記載した発明は、請求項1〜3の撮像装置において、注目領域が、ユーザにより設定されることを特徴とする。
【0018】
この構成によって、ユーザの所望する「ミニチュア写真化」の撮像をすることができる。
【0019】
また、請求項5に記載した発明は、請求項1の撮像装置において、画像データの画角内にある対象物の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、注目領域指定手段は、顔検出手段が検出した顔を含んだ領域を注目領域として指定することを特徴とする。
【0020】
この構成によって、撮像前に、対象物の顔等を含む領域を注目領域に指定するという煩雑な手間を省くことができる。
【0021】
また、請求項6に記載した発明は、請求項1または5の撮像装置において、画像データの画角内において合焦した対象物の動きを追尾し位置を検出する位置検出手段をさらに備え、注目領域指定手段は、位置検出手段が対象物を追尾し検出した位置を含んだ領域を注目領域として指定することを特徴とする。
【0022】
この構成によって、撮像前に、対象物を追尾し検出した位置を含む領域を注目領域に指定するという煩雑な手間を省くことができる。
【0023】
また、請求項7に記載した発明は、請求項1〜6の撮像装置において、画像データ表示する画角内に、合焦領域または測光領域を識別可能に表示することを特徴とする。
【0024】
この構成によって、ユーザが設定する現在の領域を識別することができ誤設定することを防ぐことができる。
【0025】
また、請求項8に記載した発明は、請求項1〜7の撮像装置において、画像データを表示する画角内に、注目領域内と注目領域外の領域を識別可能に表示することを特徴とする。
【0026】
この構成によって、ユーザが設定する現在の領域を識別することができ誤設定することを防ぐことができる。
【0027】
また、請求項9〜16に記載した撮像方法は、前述の請求項1〜9の撮像装置のカテゴリーを撮像方法としたものであり、同様の作用効果を奏することから、その説明は省略する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、自動合焦した領域にぼかし処理をしてしまったり、注目領域外のぼかし処理する領域を無駄に自動合焦してしまったりすることを防ぎ、また、合焦領域を含んだぼかし処理を行わない領域を注目領域に自動設定して「ミニチュア写真化」処理するための煩雑な手間を省くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態1における撮像装置の概略構成を示したブロック図
【図2】本実施形態1の撮像装置の上部外観図で、(a)は鏡胴ユニットの収納状態、(b)は鏡胴ユニットの繰り出し状態を示す図
【図3】本実施形態1の撮像装置における被写体側から見た外観図
【図4】本実施形態1の撮像装置における撮影者側から見た外観図
【図5】本実施形態1の撮像装置における受光画面とAF領域を示す図
【図6】AF処理の基本制御方式を示すフローチャート
【図7】AF評価値のピークの検出方法に用いる平滑微分の説明図
【図8】本実施形態1の撮像装置における事例で(a)は15分割したAF領域、(b)は合焦する表示枠、(c)は注目領域,ぼかし領域を示す図
【図9】本実施形態1の撮像装置の領域選択動作を示すフローチャート
【図10】本実施形態1の撮像装置の領域のユーザ設定動作を示すフローチャート
【図11】本実施形態1の注目領域の設定例であり(a)は円形、(b)は矩形を示す図
【図12】本実施形態1の注目領域/ぼかし領域の設定画面の例であり(a),(b)は矩形、(c),(d)は円形の場合を示す図
【図13】本実施形態1のぼかし領域とAF領域の関係(a)〜(d)を示す図
【図14】本発明の実施形態2の撮像装置の領域の自動設定動作を示すフローチャート
【図15】本実施形態2の撮像装置における事例であり対象物の移動に伴う(a)は表示枠、(b)は注目領域/ぼかし領域を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の実施形態1における撮像装置の概略構成を示したブロック図である。また、図2本実施形態1の撮像装置(デジタルカメラ)を上部から見た外観図であり、(a)は鏡胴ユニットの収納状態、(b)は鏡胴ユニットの繰り出し状態を示している。また、図3は撮像装置(デジタルカメラ)を前方すなわち被写体側から見た外観図、図4は撮像装置(デジタルカメラ)を後方すなわち撮影者側から見た外観図である。
【0032】
図1に示すように、撮像装置(デジタルカメラ1)において、鏡胴ユニット2における撮像レンズ部として、ズームレンズ、フォーカスレンズ、メカニカルシャッター、絞りから構成される。それぞれズーム機能を実現するためのズーム制御部21、被写体に合焦処理するための機能を持つフォーカス制御部22、被写体の明るさを制御する絞り制御部やシャッター制御を行う絞り・シャッター制御部23、起動時にこれらの鏡胴ユニット2を繰り出し、あるいは収納するための鏡胴収納/繰出制御部24から構成される。
【0033】
ズームレンズやフォーカスレンズは、モータ(図示せず)によって動作する。図2(a)は鏡胴ユニット2が収納されている状態を外観図で示し、(b)は鏡胴ユニットを繰り出したときの外観図を示している。図2(a),(b)はデジタルカメラ1を上から見た図であり、上部には、レリーズシャッター4、モードダイアル5、電源スイッチ3が配置されている。
【0034】
モードダイアル5は、撮像モード、撮像した写真を表示するための再生モード、各種設定をするためのセットアップモード、あるいは人物を撮像するためのポートレートモードや夜景を撮像するためのポートレートモードなどがユーザに提供され、ユーザはそれぞれのモードを先述のモードダイアル5で切替えを行う。
【0035】
本実施形態1において「ミニチュア写真化」モード(通常の写真においてミニチュアを撮像したような写真に加工して記録する撮像モード)も同様にこのモードダイアル5に割り当てられていてもよい。例えば、撮像のモードにダイアルが設定されている場合は、鏡胴ユニット2を撮像可能位置まで繰り出しモニタリング状態になる。
【0036】
モニタリング状態においては、撮像を行うユーザが被写体を図4に示す外観図の表示部(LCDモニタ)18によりリアルタイムで見ている状態である。この状態において、レリーズシャッター4は解放されている状態であって、ズームレンズやフォーカスレンズを通して、受光した像は、受光素子であるCCDあるいはCMOSのCCD/CMOS部20より電気信号に変換され、デジタルの画像データとして画像処理部25へ転送される。その画像は表示部(LCDモニタ)18にてリアルタイムで表示されている。通常は1秒間に30フレームで画素数は640×480といった小さい画像が転送され、表示部(LCDモニタ)18に表示されることでユーザはリアルタイムで被写体を確認しレリーズシャッター4を押す機会を待つ。
【0037】
レリーズシャッター4は、2段になっているものが多く、ボタンを半押しした状態を第1レリーズ、全押し(押下、押し込み)した状態を第2レリーズと定義する。レリーズシャッター4を半押しする第1レリーズによりオートフォーカス(AF:自動合焦)処理が行われる。すなわちフォーカスがロックされる。これについて以下に説明する。
【0038】
レリーズシャッター4が半押し(第1レリーズ)されると、CCD/CMOS部20から、画像処理部25に取り込まれたYUV信号より、画面の合焦度合いを示すAF評価値、露光状態を示すAE評価値を算出する。AF評価値データは、特徴データとしてシステム制御部29に読み出されて、自動合焦(AF)の処理に利用される。この積分値は合焦状態にあるとき、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。これを利用して、AF処理による合焦検出動作時は、それぞれのフォーカスレンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点(ピーク位置)を検出する。
【0039】
また、極大になる点が複数あることも考慮にいれ、複数あった場合はピーク位置の評価値の大きさや、その周辺の評価値との下降、上昇度合いを判断し、最も信頼性のある点を合焦位置としてAF処理を実行する。
【0040】
またAF評価値は、デジタルRGB信号内の特定の範囲から算出することができる。表示部18内の中心枠がこのデジタルカメラ1でのAF領域である。図5に示すようにRGB信号内の水平60%、垂直50%とする。
【0041】
次にAE評価値は、図示しないがYUV信号を幾つかの領域(このデジタルカメラ1では水平16×垂直16個)に分割して、その領域内を測光した輝度データを用いる。各領域内の画素に対して所定の閾値を超えるものを対象画素とし、その輝度値を加算、対象画素数で乗算することによって求められる。各領域の輝度分布により、適正露光量を算出し、次のフレームの取り込みに対し補正を行う。
【0042】
自動合焦(AF)処理の基本制御方式に関しては、図6のフローチャートに従って実行している。所定パルス量フォーカスを移動(S1)、その後AF領域のデータに基づいて、AF評価値を取得する(S2)。平滑微分演算(S3)、ピーク検出処理(S4)等により取得した結果からピーク検出を確認し(S5)、ピークが検出されている場合(処理S5のYes)は、その結果をもとにピーク位置の算出を行って(S9)終了処理へと移行し、ピークが検出されていない場合(処理S5のNo)は、終了位置を確認し(S6)、終了位置になるまで(処理S6のNo)、再びフォーカス駆動、AF評価値の取得を繰り返し、ピークを検出した時点で終了する。
【0043】
また、終了位置までフォーカスを移動してピーク位置を検出できない場合(S6のNo)、すなわち「至近」〜「無限」までフォーカスが合わない場合、ピーク領域選択処理を行う(S7)。1例として、至近側が無限より評価値が得られている場合は、被写体が近すぎると判断し、「NG」としてAFが合わないことを表示部に表示する(S8)。「NG」の結果をもとにピーク位置(なし)の算出を行って(S9)終了処理へと移行する。
【0044】
前述のピークの検出方法としては、平滑微分を用いることが多いが、合焦領域のAF評価値が0からマイナスの値になる時点で、AF評価値のピークを検出すなわち認定とする(図7参照)。
【0045】
AF処理に関しては、前述にて説明した第1レリーズにて合焦するワンショットオートフォーカスの方式もあれば、近年では、被写体の顔を検出し、検出した顔にピントを合わせた後、もし顔が移動しても移動した位置の顔にピントを合わせ続けるいわゆる動体追従オートフォーカスを行う方式もある。これは、いわゆる被写体検出モードと呼ばれ、移動している対象物にピントを合わせ続けることを目的としている。
【0046】
また、図8(a)〜(c)はマルチオートフォーカスの事例を示す図である。先ほどの図5に示した例では、AF領域は1エリアであったが、本マルチオートフォーカスの処理事例では、図8(a)のように15分割したAF領域20bにおいて、それぞれのAF領域20bにピークを検出する。隣り合ったエリアが2箇所以上ピークを検出すれば、合焦したとみなし、合焦したことをユーザに知らせるため、図4の表示部18に、図8(b)にて一点鎖線で示す表示枠18aを表示し、またスピーカから「ピピッ」といった合焦したことを報知する音を鳴らす。
【0047】
通常のデジタルカメラは、専用のバッテリーや、単三などの電池より電源を供給し、DC/DCコンバーター等の図1に示す電源回路部16より各ブロックに適切な電圧を供給する。画像処理部25は、前述したデジタルの画像データに対して各種画像処理を施すものである。第2レリーズが押下される(レリーズシャッター4を全押しされる)と、主画像が、例えば10MのCCDであれば、10Mの画像サイズのデジタル画像YUV信号が、画像処理部25に転送される。
【0048】
さらに、YUV形式(Y:輝度データ,UV:色差データ)に変換するための画像フォーマットを変換する画像変換機能を持つ。YUVデータをJPEG方式に準拠した圧縮方式にて圧縮、または圧縮された画像を伸長するための、圧縮・伸長機能、および指定された領域をぼかし処理するための画像処理機能を持つ。
【0049】
また、SDRAM,フラッシュメモリ等のメモリ部(揮発性,不揮発性)25,27、画像処理部25、外部メモリカードI/F部17、システム制御部29、USB通信部12、表示部18は、システムバス30によって相互接続されている。
【0050】
圧縮された画像データは、デジタルカメラのファイルフォーマットExif準拠となるよう、撮像時の条件やデジタルカメラの機種名をJPEGデータのヘッダーとして付加し、撮像したJPEGファイルとしてメモリ部(揮発性:SDRAM)26に一時保管される。外部メモリカードI/F部17は、コンパクトフラッシュ(登録商標)や、SDカードなど複数種類発売されているが、脱着可能に設けられ、前述のJPEGファイルを格納する。
【0051】
図9、図10は本実施形態1の撮像装置の動作を示すフローチャートであり、図9、図10に従って、図1〜図8を参照しながら説明する。
【0052】
図9に示すように、デジタルカメラ1の電源をオンする(S11)と、まずは、システム制御部29において動作プログラムが起動しセットアップの処理においてした設定内容の読み出しを行う(S12)。この設定内容は、メモリ部(不揮発性)27に格納されており、電源をオフしても内容が失われることはない。本実施形態1では、「ミニチュア写真化」の撮像を行うための設定内容として例えば、「ぼかし領域はユーザが設定する」か「ぼかし領域はAF処理結果より自動設定する」かのどちらをユーザが設定したかを判断し(S13)、「ユーザ設定」の場合は、図10に示すフローチャートの処理へ移行する。また、処理S13で「自動設定」の場合は、図14に示すフローチャートへ移行する。
【0053】
また、セットアップの処理では、操作部19である図4に示すMENUボタン15aや上下左右ボタン14b〜14eにおいて、ユーザが表示部(LCDモニタ)18を見ながら設定する。ここで設定した内容は、メモリ部(不揮発性)27に格納される。
【0054】
次に、図9の処理S13において「ユーザ設定」の場合、図10のフローチャートに示すように、「ミニチュア写真化」モード(以下、ミニチュアモードという)であるかどうかを判断する(S14)。この場合はモードダイアル5の設定により判断可能である。ミニチュアモードではない場合(処理S14のNo)、通常撮像のモニタリングの処理を行い(S15)、ミニチュアモードの場合(処理S14のYes)、ユーザが設定したぼかし領域の設定に基づいて、ぼかし処理を行いモニタリングする(S16)。なお、第1レリーズが押されるとAF領域においてAF処理が実行される。
【0055】
ユーザのぼかし領域の設定例を図11(a)に記載する。ぼかさないで合焦処理する注目領域18cを左下に、その周辺を少しぼかすために弱くぼかし処理する中間領域18d、それ以外のぼかし処理するぼかし領域18bと設定されている。また、図11(b)は、矩形で合焦処理する注目領域18c、弱くぼかし処理する中間領域18d、残りのぼかし処理するぼかし領域18bを設定している。
【0056】
モニタリング時に画像をぼかし処理する場合には、ユーザが分かり易いように、表示部18にOSD(オンスクリーンディスプレイ)を表示してもよい。具体的には、ぼかさない注目領域18cは透過率が100%のプレーンとし、ぼかし領域18bは透過率が50%とすることで、実際にモニタリングする画像データをぼかし処理しなくとも、ユーザは設定したぼかし領域18bをモニタリング時に認識しながら撮像することが可能である。
【0057】
また、モニタリング時にぼかし領域18bを変更する旨のユーザ要求があった場合(S17)、これを確認すると(処理S17のYes)、ぼかし領域18bの設定画面へ移行する(S18)。この要求のトリガは、図4のディスプレイボタン15dをユーザが押すと、図12(a)〜(d)に示すような注目領域/ぼかし領域の設定画面に移行する。図12(a),(b)の矩形の注目領域設定の場合は、注目領域18cを上下に上下キーで移動する(上ボタン14b、下ボタン14cの押下)ことで移動する。また、注目領域18cの幅は、左右キーで操作する(左/ストロボボタン14e、右/マクロボタン14dの押下)。図12(c),(d)の場合は円形の注目領域18cである。この場合は、上下左右キー(ボタン14b,c,d,e)で注目領域18cを移動し、ズームスイッチ(WIDE)13aで注目領域18cを大きくし、ズームスイッチ(TELE)13bで注目領域18cを小さくする。
【0058】
この処理S18において、領域が変更されると、例えば処理S16へ戻り、変更されて領域に基づきぼかし処理を行って、モニタリングする。
【0059】
このように、ユーザは注目領域18cやぼかし領域18bを設定することが可能である。このとき、第1レリーズを押下するとAF領域をユーザが設定変更したぼかし領域18bにあわせてAF処理を行う。ぼかし領域18bとAF領域20bの関係は、図13(a)〜(d)に例を記載する。図13(b)の場合は、注目領域18cは狭く中心は上に設定されている。この場合においては、AF領域20bも同様に狭く中心を上にもっていき領域の範囲も狭くなる。AFの評価データも通常の領域より狭いため、AF処理は早く、AF領域20bにある被写体にフォーカスレンズを動かし合焦する。
【0060】
さらに、デジタルカメラ1が被写体検出モードであるか確認する(S19)。ここで、モニタリング時に被写体検出モードであった場合(処理S19のYes)、例えば、顔検出モードであった場合においては、モニタリング時にモニタリング画像から顔があるかどうかを検出する。一度顔を検出すると、顔に合わせてモニタリング時に合焦処理を行う。この場合通常は、AFと同様に顔検出する領域は広い範囲であるが、図13(a)のようにぼかし領域18bを設定している場合においては、その領域外(注目領域18c)を中心に検出するため、検出速度も速くなる。また、ぼかし領域18b内に検出した顔が移動すれば、検出を中止する(S20)。
【0061】
また、合焦処理と同様に露出の制御も図1に示す絞り・シャッター制御部23によって行うが、注目領域を中心に露出が合うように制御する。レリーズシャッター(第2レリーズ)が押されたかどうかを確認する(S21)。第2レリーズが押されなければ(処理S21のNo)、処理S16からモニタリングの処理を繰り返す。第2レリーズが押されると(処理S21のYes)、AF領域のAF処理、露出領域の露出処理、ぼかし領域の処理の制限等を行い撮像の準備を行う(S22)。シャッター制御を行って、CCD/CMOS部20から主画像が、画像処理部25へ転送され、メモリ部26に展開される(S23)。これを第1画像とする。また、展開された第1画像をメモリ部26の別の領域に複製する(S24)。複製された画像を第2画像とする。
【0062】
この第2画像に対して、ユーザが設定した所定のぼかし領域18bにぼかし処理を行う(S25)。第1,第2画像はそれぞれ圧縮され、JPEG画像として画像ファイル化され、SDカードに蓄積される(S26)。
【0063】
本実施形態1では、ユーザによりあらかじめ設定、変更された注目領域において、被写体に合焦するため合焦領域の一部が注目領域内にあれば合焦処理を行い、注目領域外にあれば合焦処理を行わないことから、無駄な合焦処理や露光処理をすることがなくなる。
【0064】
また、図14は本発明における実施形態2の撮像装置の動作を示すフローチャートであり、図14に従って、図1〜図8を参照しながら説明する。ここで、図14において、前述の図10により説明した構成要素に対応し同等のものには同一の符号を付して示す。
【0065】
前述の図9に示す処理S13において「自動設定」の場合、図14のフローチャートに示すように、ミニチュアモードであるかを判断する(S14)。ミニチュアモードの場合(処理S14のYes)、第1レリーズが押されAF処理が実行されるが、AF領域を中心として注目領域とし、その周囲をぼかし領域としてぼかし処理を行う。この場合、ユーザに分かるように、第1レリーズの際には図8(c)に示すように矩形でOSD表示(注目領域18c)を行ってもよく。また円形の場合は、図15(b)のようにOSD表示(注目領域18c)を行ってもよい。
【0066】
本実施形態2では、注目領域/ぼかし領域を自動設定するため、前述の図10に示したぼかし領域を設定する処理S16〜S18を行うことなく、処理S19の被写体検出モードであるかの確認が行われる。被写体検出モードの場合(処理S19のYes)は、処理S20に代えて、AF処理する被写体検出した領域を注目領域の中心として、その周囲をぼかし領域とするモニタリングを行う(S30)。
【0067】
被写体検出モードで、顔検出された場合においては、モニタリング時に、図15(a)のように顔を一点鎖線で示す表示枠18aにより検出されたことが分かるようにOSD表示を行うが、ミニチュアモードの場合には、図15(b)に示すように、ぼかさない注目領域18cは透過率が100%のプレーン、ぼかし領域18bは透過率が50%とした領域表示とするようにしてもよい。
【0068】
そして、自動設定された注目領域におけるAF処理は前述したとおりであり、実際に第2レリーズが押下(処理S21のYes)されて撮像した場合の処理は、撮像素子より主画像を取り込み、以下は、図10のフローチャートの処理S22〜S26としてした説明と同じである。
【0069】
また、本実施形態2により注目流域が自動的に設定され、無駄な合焦、露光処理を行うことなく、「ミニチュア写真化」処理する被写体を画角内における任意の位置に変更することが可能となり、設定等の煩雑な手間を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る撮像装置および撮像方法は、自動合焦した領域にぼかし処理をしてしまったり、注目領域外のぼかし処理する領域を無駄に自動合焦してしまったりすることを防ぎ、また、合焦領域を含んだ領域を注目領域に自動設定して「ミニチュア写真化」処理するための煩雑な手間を省くことができ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、玩具などの電子機器に適用でき、画像処理機構に用いて有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 デジタルカメラ
2 鏡胴ユニット
3 電源スイッチ
4 レリーズシャッター
5 モードダイアル
6 バッテリー
7 SDカード
16 電源回路部
17 外部メモリカードI/F部
18 表示部
18a 表示枠
18b ぼかし領域
18c 注目領域
18d 中間領域
20 CCD/CMOS部
20a 受光画面
20b AF領域
25 画像処理部
26 メモリ部(揮発性)
27 メモリ部(不揮発性)
29 システム制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2009−27298号公報
【特許文献2】特表2008−529322号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズを通過した被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記画像データにおける合焦領域内のデータに基づいて自動合焦を行う合焦手段と、前記画像データの画角内において注目領域を指定する注目領域指定手段と、前記注目領域以外のデータに対してぼかし処理を行うぼかし処理手段と、前記ぼかし処理された画像データを画像ファイルとして記録する記録手段と、を備え、
前記合焦領域が、前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記合焦手段が自動合焦を行うために用いる合焦領域を撮像前にあらかじめ設定する設定手段をさらに備え、
該設定手段によって合焦領域があらかじめ設定された場合でも、前記合焦領域が前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に変更されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像データにおける測光領域内のデータに基づいて測光処理する測光手段をさらに備え、
前記測光領域が、前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記注目領域が、ユーザにより設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像データの画角内にある対象物の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、
前記注目領域指定手段は、前記顔検出手段が検出した顔を含んだ領域を注目領域として指定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像データの画角内において合焦した対象物の動きを追尾し位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記注目領域指定手段は、前記位置検出手段が前記対象物を追尾し検出した位置を含んだ領域を注目領域として指定することを特徴とする請求項1または5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画像データを表示する画角内に、合焦領域または測光領域を識別可能に表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像データを表示する画角内に、注目領域内と注目領域外の領域を識別可能に表示することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
光学レンズを通過した被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記画像データにおける合焦領域内のデータに基づいて自動合焦を行う合焦手段と、前記画像データの画角内において注目領域を指定する注目領域指定手段と、前記注目領域以外のデータに対してぼかし処理を行うぼかし処理手段と、前記ぼかし処理された画像データを画像ファイルとして記録する記録手段とを備えた装置の撮像方法であって、
前記合焦領域が、前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されて撮像を行うことを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
前記合焦手段が自動合焦を行うために用いる合焦領域を撮像前にあらかじめ設定する設定手段をさらに備え、
該設定手段によって合焦領域があらかじめ設定された場合でも、前記合焦領域が前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に変更されて撮像を行うことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項11】
前記画像データにおける測光領域内のデータに基づいて測光処理する測光手段をさらに備え、
前記測光領域が、前記注目領域と少なくとも一部が重なるように自動的に設定されて撮像を行うことを特徴とする請求項9または10記載の撮像方法。
【請求項12】
前記注目領域が、ユーザにより設定されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項13】
前記画像データの画角内にある対象物の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、
前記注目領域指定手段は、前記顔検出手段が検出した顔を含んだ領域を注目領域として指定し撮像を行うことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項14】
前記画像データの画角内において合焦した対象物の動きを追尾し位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記注目領域指定手段は、前記位置検出手段が前記対象物を追尾し検出した位置を含んだ領域を注目領域として指定し撮像を行うことを特徴とする請求項9または13記載の撮像方法。
【請求項15】
前記画像データを表示する画角内に、合焦領域または測光領域を識別可能に表示することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項16】
前記画像データを表示する画角内に、注目領域内と注目領域外の領域を識別可能に表示することを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−120143(P2011−120143A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277555(P2009−277555)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】