説明

撮像装置および撮像方法

【課題】むやみに撮像素子から画像信号の読み出し回数を増やすことなく、効果的なタイミングで画像信号を読み出し、表示の更新を行えるようにした撮像装置および撮像方法を提供する。
【解決手段】長時間露光中に撮像素子から画像信号を読み出し(S9)、この読み出した画像信号を累積的に加算することにより、加算画像を生成し(S13)、この加算画像の生成後、画像信号の次の読出しまでの間に、加算画像に基づいて補間画像を生成し(S17)、加算画像および補正画像を表示する(S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像方法に関し、詳しくは、バルブ撮影等の長時間露光中に撮像素子から画像信号を間歇的に読み出して画像表示を行う撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラ等の撮像装置においては、被写体像の観察を光学式ファインダで行うものが多々あった。しかし、最近では、光学式ファインダを無くし、または光学式ファインダと共に、撮像素子で取得した画像データに基づいて表示部に被写体像を表示するデジタルカメラが市販されている。
【0003】
光学ファインダの場合も液晶モニタによる表示の場合であっても、バルブ撮影のような長時間露光時には、露光中の被写体の状態や露光状態を確認することができず、撮影終了後に画像を確認するのが一般的であった。そこで、特許文献1には、所定の時間間隔で撮像素子から画像信号を読出し、順次加算した画像を液晶モニタに表示する撮像装置が開示されている。この特許文献1に開示の撮像装置は、撮影を行いながら、経過を確認することができれば簡単に適正な露光量で撮影を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−121222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルブ撮影等においては、撮影対象や周囲の条件に応じて、シャッタの開放から閉鎖までの時間(露光時間)が様々である。例えば、花火のように明るくて動きのある被写体を撮影する場合には、露光時間は数秒から数十秒であるから、表示更新の時間間隔が長いと露光の進み具合を適切に観察することができない。一方、夜景のように暗くて動きがない被写体を撮影する場合には、露光時間は数分から数十分になるので、短い時間間隔での表示更新は無意味であり、また撮像素子から画像信号の読み出しや加算処理のために無駄に電力を消費してしまう。
【0006】
また、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージンセンサは、フォトダイオードの蓄積電荷を蓄積したままで読み出す、いわゆる非破壊での画像読出しを行うことができず、画像信号の読出しを行うたびに、電気的な読出しノイズが画像に重畳していき、加算画像の画質が劣化してしまう。また、画像信号の読出し時の電力消費に伴う発熱により、撮像部の温度が上昇し、撮像素子の暗電流ノイズが増加してしまう。これらの理由により、画像加算の枚数が多いほど最終的な画質が劣化してしまう。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、むやみに撮像素子から画像信号の読み出し回数を増やすことなく、効果的なタイミングで画像信号を読み出し、表示の更新を行えるようにした撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、バルブ撮影中の被写体の画像を表示する機能を有する撮像装置において、被写体を所定の時間間隔で順次に撮像して画像信号を読み出す撮像部と、上記撮像部で画像信号が読み出される毎に、該画像信号を基に表示用画像データを生成する第1表示画像データ生成部と、上記撮像部で読み出された画像信号が撮像されてから、次に読み出される画像信号が撮像されるまでの間の所定の時刻において撮像されると予測される画像信号を基に、表示用画像データを生成する第2表示画像データ生成部と、上記第1表示画像データ生成部で生成された表示用の画像データによって表わされる画像、及び上記第2表示画像データ生成部で生成された表示用の画像データによって表わされる画像を時系列的に表示する画像表示部と、上記撮像部で順次に撮像された画像信号を基に記録用の画像データを生成して記録する画像データ記録部と、を備える。
【0009】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記撮像部によって読み出された画像信号を基に、撮像中に被写体の明るさが変化したか否かを検出する検出部を備え、上記検出部によって上記被写体の明るさが変化したことが検出された場合は、上記所定の時間間隔を相対的に短くして撮像する。
【0010】
第3の発明に係わる撮像方法は、長時間露光中に撮像素子から画像信号を読み出し、上記読み出した画像信号を累積的に加算することにより、加算画像を生成し、上記加算画像の生成後、画像信号の次の読出しまでの間に、上記加算画像に基づいて補間画像を生成し、上記加算画像および上記補正画像を表示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、むやみに撮像素子から画像信号の読み出し回数を増やすことなく、効果的なタイミングで画像信号を読み出し、表示の更新を行えるようにした撮像装置および撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラの主として電気回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にカメラにおけるバルブ動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおいて、バルブ撮影と更新表示を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にカメラにおけるバルブ動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるカメラにおいて、バルブ撮影と更新表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい第1実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した背面表示部等にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、静止画や動画の画像データが画像記憶部に記録される。この際、バルブ撮影モードが選択されている場合には、撮像部からの画像データを所定時間間隔で加算処理を行い、この加算処理された画像データに基づいて、バルブ撮影中の経過画像を表示する。撮影者はこの経過画像を観察しながら、バルブ撮影の露光終了を決定することができる。画像記憶部に記録された静止画や動画の画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
【0014】
図1は、本実施形態に係わるカメラ1の主として電気的構成を示すブロック図である。このカメラ1は、レンズ11、メカシャッタ13、イメージセンサ(撮像素子)15、画像処理部17、システム制御部21、外部メモリ23、表示部25、指示部27、内部メモリ29を有している。
【0015】
レンズ11は、ズームおよびフォーカス制御が可能であり、被写体像をイメージセンサ15上に形成する。また、レンズ11内には、絞りが配置されており、露光量を調節する。メカシャッタ13は、レンズ11の光路上に配置され、レンズ11を通過した被写体光束を開閉することにより、イメージセンサ15上での被写体像の露光時間(シャッタ速度)を制御する。
【0016】
撮像部として機能するイメージセンサ15は、レンズ11の光路上であって、メカシャッタ13の後ろに配置されている。イメージセンサ15は、CCD撮像素子やCMOS撮像素子を有し、これらの撮像素子上に結像した被写体像を画像信号に変換する。イメージセンサ15の出力は、画像処理部17に接続されている。
【0017】
画像処理部17は、イメージセンサ15から読み出された画像信号に画像処理を施し、画像データを生成し、システム制御部21に出力する。また、画像処理部17は、第1表示画像データ生成部としての機能を有する。すなわち、バルブ撮影時には、画像信号が読み出されるたびに画像データの累積的な加算処理を行い、表示用画像データを生成する。また、画像処理部17は、第2表示画像データ生成部としての機能も有する。すなわち、バルブ撮影時には、イメージセンサ15から画像信号が読み出されてから、次に画像信号が読み出されるまでの所定の時刻において、撮像されると予測される画像信号を基に、表示用の画像データを生成する。この予測は、補間演算により行う。
【0018】
内部メモリ29は、不揮発性メモリで構成され、カメラ動作に必要な各種調整値等や、カメラ1を全体制御するためのプログラムを記憶する。外部メモリ23は、撮影した画像データをカメラ外部に持ち出すためのリムーバブルメモリであり、コンパクトフラッシュ(登録商標)やSDカード等が用いられる。
【0019】
表示部25は、カメラ1の本体の背面等に配置され、液晶モニタや有機ELモニタを有するEVF(Electronic View Finder:電子ビューファインダ)であり、画像処理部17で生成された画像データを表示する。すなわち、撮影時には、イメージセンサ15から読み出され画像処理部17によって画像処理された画像データに基づいて、ライブビュー表示を行い、撮影終了時には、記録画像を表示するレックビュー表示を行う。また再生時には、外部メモリ23に記憶された画像データに基づいて再生表示を行う。なお、バルブ撮影モード設定時等の長時間露光撮影の際には、露光中に取得された画像データを加算した画像を、所定の時間間隔で撮影経過画像として表示する。撮影者はこの経過画像を観察することにより、露光動作の終了を決定することができる。
【0020】
指示部27は、ユーザがカメラ1に指示を与えるための各種操作部材を含む。操作部材としては、電源釦、レリーズ釦、メニュー釦、十字釦、OK釦、再生釦等がある。指示部これらの操作部材の操作状態を検出し、システム制御部21に出力する。
【0021】
システム制御部21は、内部メモリ29に記憶されているプログラムに従って、カメラ1の全体制御を行う。システム制御部21は、レンズ11、メカシャッタ13、イメージセンサ15、画像処理部17、外部メモリ23、表示部25、指示部27、内部メモリ29に接続されており、これらの部材の制御を行ったり、情報等の入出力を行い。例えば、指示部27を経由してユーザから命令を受け、イメージセンサ15の撮像を開始させ、画像信号の読出し等のタイミング制御を行い、また、メカシャッタ13の開閉タイミング制御を行い、レンズ11内の絞りの絞り制御やオートフォーカス制御等を行う。また、画像処理部17から画像データを入力し、表示部25に撮影画像の表示や、外部メモリ23に画像データの保存等も行う。
【0022】
次に、本実施形態において、バルブ撮影モードが設定されている場合の撮影シーケンスについて、図2に示すフローチャートを用いて説明する。このフローは、内部メモリ29に記憶されているプログラムに従って、システム制御部21が実行する。
【0023】
バルブ撮影モードでは、複数画像の加算を行う場合には、前述したように画質は劣化してしまう。そこで、本実施形態においては、撮影経過表示を行わない通常のバルブ撮影モードと画像加算・撮影経過表示を行う撮影経過表示モードを選択できるようにする。この設定は、メニュー画面において行うが、専用釦を設けてもよく、また他の操作部材と兼用するようにしても勿論かまわない。このように、2つのバルブ撮影モードを設定可能とすることにより、バルブ撮影に慣れており、経過表示による画質劣化を嫌うユーザには、従来通り、撮影経過表示を行わないバルブ撮影を選択できる。
【0024】
まず、ユーザは指示部27を操作することにより、バルブ撮影モードを選択し、次いで撮影経過表示モード設定または非設定とする。また、カメラ1の電源をオンとすると、表示部27にライブビュー表示が開始される。ライブビュー表示が開始されると、ユーザは、意図する被写体に向けてカメラ1の向きやレンズ11の焦点距離(ズーム)を調整する。また、カメラの設定によっては、レンズ11のフォーカス位置、絞り値(F値)、ISO感動等もユーザがマニュアルで設定する。
【0025】
図2に示すバルブ撮影モードのフローは、これらの設定を行った後のフローを示す。バルブ撮影モードのフローに入ると、撮影経過表示モードか否かの判定を行う(S1)。前述したように、撮影経過表示モードはメニュー画面で設定されることから、このステップではメニュー画面での設定状態に基づいて判定する。
【0026】
ステップS1における判定の結果、撮影経過表示モードであった場合には、1stレリーズ押下げか否かを判定する(S3)。ここでは、指示部27の内のレリーズ釦が半押しされたか否かを判定し、半押しがなされていない場合には、レリーズ釦が半押しされるのを待つ。
【0027】
ステップS3において、1stレリーズが押下げられると、次に、AF(Auto Focus:自動焦点調節)およびAE(Auto
Exposure:自動露出制御)を行い、被写体に対してピント合わせを行うと共に適正露出となる絞り値、シャッタ速度等を算出する(S5)。
【0028】
AFおよびAEを行うと、次に、2ndレリーズ押下げか否かの判定を行う(S7)。ユーザは、構図が決まると、レリーズ釦の全押しを行うので、このステップでは、2ndレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。2ndレリーズがオンとなると、システム制御部21からイメージセンサ15、メカシャッタ13に撮影開始命令が出力される。メカシャッタ13は遮光状態(閉鎖状態)から露光状態(開放)に変わり、露光が開始する。これによってイメージセンサ15は、レンズ11によって結像された被写体像を光電信号に変換する。
【0029】
被写体像の光電変換を開始し、カメラ1に設定されている初期設定値(内部メモリ29に記憶)、または1stレリーズ時のステップS5におけるAEの結果に応じて決定された読出し周期が経過すると、イメージセンサ15から画像信号が読み出される(S9)。画像信号の読出し完了後、イメージセンサ15は即座に露光を再開する。なお、ここでの画像読出しは、上述の読出し周期が経過する毎に行われ、ステップS9を処理する際に、上述の周期が経過していない場合には、画像読出しは行わず、次のステップS11に進む。
【0030】
次に、読出し画像が有るか否かの判定を行う(S11)。画像読出しは、本実施形態においては、1秒毎に行う。画像読出しと画像読出しの間では、ステップS11における判定の際には、読出し画像なしと判定される。なお、読出し周期の1秒は例示であり、他の値でもよい。
【0031】
ステップS11における判定の結果、読出し画像があった場合には、画像加算および画像処理を行う(S13)。ここでは、読み出した画像信号を、第1表示用画像データ生成部として機能する画像処理部17において、画像加算処理を行い、また他の画像処理を施す。なお、1枚目の画像を読み出した際には、画像加算は行わない。
【0032】
一方、ステップS11における判定の結果、読出し画像がない場合には、露光時間に応じて補間画像の生成を行う(S17)。本実施形態においては、n枚目の画像を読み出し、次にn+1枚目の画像を読み出す場合、この期間の間では、第2表示画像データ生成部として機能する画像処理部17が所定時間間隔で補間画像を生成し、この補間画像を表示部25に表示する。
【0033】
例えば、表示更新間隔(読出し間隔)を1/60秒とすると、撮影開始から1秒経過時にステップS11において、読出し画像有りと判定され、読み出された画像が表示される。撮影開始後、1秒が経過し、1+m/60秒後(ここで、m=1、2、3、・・・、59)は、読出し動作を行わないため、ステップS11において、読出し画像なしと判定され、画像処理部17によって補間画像が生成される。この補間画像は、n枚目の読出し画像の出力露光時間分だけゲインアップすることにより生成する。補間画像の生成については、図3を用いて後述する。
【0034】
ステップS17において、露光時間に応じた補間画像を生成すると、またはステップS13において加算画像を生成すると、次に、加算画像または補間画像の画像データはシステム制御部21に出力され、システム制御部21は画像データを表示部25に出力し、表示部25は撮影経過表示画像を表示する(S19)。この撮影経過画像の表示は、後述するステップS15等の加算画像評価と並行して処理され、次回、撮影経過画像が更新されるまで、この撮影経過画像の表示が継続される。
【0035】
ステップS13において、画像加算および画像処理がなされると、次に加算画像評価が行われる(S15)。ここでは、システム制御部21が画像処理部17から出力された加算画像データを解析する。
【0036】
ステップS15において加算画像評価を行うと、次に、レリーズが離されたか否かを判定する(S21)。ここでは、ステップS7において開始したレリーズ釦の全押し状態が継続しているか、すなわち、2ndレリーズスイッチがオンのままか否かを判定する。レリーズ釦が全押しのままの場合には、バルブ撮影が継続しており、一方、レリーズ釦から指が離れると、バルブ撮影が終了する。ステップS21における判定の結果、レリーズから指が離れていない場合には、ステップS9に戻る。
【0037】
ステップS9に戻ると、予め設定またはステップS5におけるAEによって定められた読出し周期の時間の間、露光を継続する。読出し周期の時間が経過すると、画像を読み出し(S9)、それまでに生成された加算画像に今回の画像を加算して加算画像を生成する。一方、読出し周期の間では、所定の周期で補間画像の生成を行う(S17)。生成された加算画像および生成された補間画像が表示部25に表示される(S19)、また、この間、加算画像評価(S15)を行う。これらの処理をステップS21において、レリーズから指が離れるまで繰り返す。
【0038】
ステップS21における判定の結果、レリーズから指が離れると、次に、バルブ撮影の終了動作に移る。まず、システム制御部21は、撮影終了命令をメカシャッタ13とイメージセンサ15に出力する。メカシャッタ13は、撮影終了命令を受けると、メカシャッタ13を閉鎖し、遮光状態に変化し露光を終了する。また、イメージセンサ15は、画像信号の読出しを行う(S23)。以後、イメージセンサ15は、バルブ撮影動作を終了するか、またはバルブ撮影動作からライブビュー動作に移る。
【0039】
ステップS23において、最終画像読出しを行うと、次に、画像加算および画像処理を行い、最終画像の生成を行う(S25)。ここでは、ステップS23において読み出した画像信号が、画像処理部17において、それまでの加算画像に加算され、画像処理が施され、最終の画像データが生成される。最終の加算画像が生成されると、次に、加算画像を外部メモリ23に保存されると同時に、表示部25に一定期間の間、加算画像が表示される(S27)。
【0040】
ステップS1における判定の結果、撮影経過表示モードでなかった場合には、ステップS3と同様に、1stレリーズの押下げがなされたかを判定する(S31)。この判定の結果、1stレリーズの押下げが有った場合には、次に、ステップS5と同様に、AFおよびAEを行う(S33)。
【0041】
ユーザは、構図が決まると、レリーズ釦の全押しを行うので、2ndレリーズの押下げがなされたか否かの判定を行う(S35)。この判定の結果、2ndレリーズの押下げがなされると、露光動作を開始する。すなわち、システム制御部21からイメージセンサ15、メカシャッタ13に撮影開始命令が出力される。メカシャッタ13は遮光状態(閉鎖状態)から露光状態(開放)に変わり、露光が開始する。撮影経過表示モードが設定されていた場合には、ステップS9〜S21において、読出し周期毎にイメージセンサ15から画像信号を読み出し、加算画像を生成していた。また、読出し画像がない場合には、読出し画像から補間画像を生成し、加算画像または補間画像を表示していた。しかし、通常のバルブ撮影モードでは、バルブ撮影が終了するまで画像信号を読み出すことがなく、またバルブ撮影中に撮影経過画像を表示することがない。
【0042】
2ndレリーズの押下げ下後、レリーズ釦から指が離れた否かを判定し、この判定の結果、レリーズ釦から指が離れた場合には、撮影を終了する(S37)。撮影の終了にあたって、システム制御部21が撮影終了命令をメカシャッタ13およびイメージセンサ15に出力する。メカシャッタ13は、シャッタを閉鎖し遮光状態に変化して露光を終了する。
【0043】
続いて、イメージセンサ15は、画像信号を読み出す(S39)。画像信号を読み出すと、イメージセンサ15は、動作を終了するか、またはバルブ撮影動作からライブビュー動作に切り換わる。
【0044】
画像信号を読み出すと、次に、読み出された画像信号は、画像処理部17にて、画像処理が施される(S41)。そして、画像処理された画像データは、外部メモリ23に保存され、また一定期間の間、表示部25にレックビュー表示がなされる(S43)。
【0045】
ステップS27において加算画像の保存と表示がなされると、またはステップS43において画像の保存と表示がなされると、バルブ撮影モードの処理を終了する。
【0046】
次に、ステップS17における補間画像の生成と、ステップS19における加算画像と補間画像の表示について、図3を用いて説明する。図3において、横軸は時間の流れを示し、T、T、T、・・・、T、TM+1、・・・は、画像読出しのタイミングを示す(但し、T、Tは図中、省略)。また、この画像読出しのタイミングで読み出された画像信号を加算した画像を、PIC、PIC、PIC、・・・、PIC、PICM+1、・・・とする(但し、PIC、PICは、図中、省略)。また、PICM_1、PICM_2、PICM_3は、タイミングT、TM+1の間におけるタイミングtM_1、tM_2、tM_3における補間画像を示す。
【0047】
補間画像PICM_1の画像データは、直前の読出し画像信号を加算して生成された画像PICの画像データより生成する。すなわち、画像PICは読出し時間Tの間、露光され、一方、補間画像PICM_1はtM_1の間、露光されることから、補間画像PICM_1の露光量は、画像PICの露光量に対してtM_1/Tだけ増加する。よって、補間画像PICM_1の画像データは、画像PICの画像データの出力を、tM_1/T倍することで生成することができる。
【0048】
補間画像PICM_2、PICM_3についても同様に、下記式に基づいて生成することができる。
PICM_1=PIC × tM_1/T (1)
PICM_2=PIC × tM_2/T (2)
PICM_3=PIC × tM_3/T (3)
【0049】
以上説明したように、本発明の第1実施形態においては、バルブ撮影モードを設定した際に、ユーザが撮影経過を確認しながらバルブ撮影を行うことができるという利便性を失することなく、読出し回数を不必要に増加することがないようにしている。このため、消費電力の増加と画質の劣化を防止することができる。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態について、図4および図5を用いて説明する。第1実施形態においては、補間画像を生成する時間間隔は一定であり、バルブ撮影中に変化することはなかった。これに対して、第2実施形態においては、前後の加算画像を比較し、被写体の変化を検出し、この検出結果に基づいて、補間画像を生成するか画像信号を読み出すか否かを制御する。
【0051】
本実施形態における構成も、図1に示した第1実施形態に係わるブロック図と同様であり、詳しい説明を省略する。ただし、システム制御部21は、画像信号を評価する画像信号評価部としての機能も有する。この画像信号評価部は、バルブ撮影時等の長時間露出の際に、前後の加算画像を比較し、前後の加算画像に変化があったか否かを評価する。
【0052】
また、システム制御部21は、イメージセンサ15から画像信号を読み出す時間間隔を制御するタイミング制御部としても機能する。この時間間隔は上述の画像信号評価部による評価結果に応じて行う。例えば、前後の加算画像に変化があると評価されたときには、時間的に変化しないと評価されたときに比べて画像信号を読み出す時間間隔を短くする。
【0053】
本実施形態における動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、第1実施形態の図2に示したフローチャートと比較し、ステップS16が追加されているだけであるので、同一のステップには同一のステップ番号を付し、詳しい説明を省略し、相違点を中心説明する。
【0054】
ステップS7において、2ndレリーズの押下げがあった場合には、イメージセンサ15から画像信号を読出し(S9)、続いて、読出し画像が有るか否かを判定する(S11)。本実施形態においても、画像信号の読出しと読出しの間は、補間画像を生成するので、画像信号の読出しを行った直後は、読出し画像有りと判定され、画像信号の読出しと読出しの間は、読出し画像なしと判定される。
【0055】
ステップS11における判定の結果、読出し画像が有った場合には、次に、画像加算と画像処理を行い(S13)、一方、判定の結果、読出し画像がなかった場合には、補間画像を生成する(S17)。補間画像を生成すると、または加算画像を生成すると、これらの画像を表示部25に表示する。
【0056】
また、ステップS13において加算画像を生成すると、次に、画像評価を行う(S15)。ここでは、画像評価部としての機能を有するシステム制御部21が、前後の2つの画像を比較し、被写体に変化が有るか否かを検出する。画像評価を行うと、画像評価結果に基づいて読出し周期を決定する(S16)。読出し周期が決定されると、タイミング制御部として機能するシステム制御部21が、この決定された読出し周期にしたがって、次回の読出しのタイミングを制御する。
【0057】
被写体の変化が大きい場合に、読み出された画像に基づいて補間画像を生成しても、補間画像と実際の露光画像との相違が大きくなる。そこで、本実施形態においては、被写体の変化が大きいと評価された場合には、補間画像を生成せずに、イメージセンサ15からの画像信号を読み出す読出し周期を短くするようにしている。ステップS15における加算画像評価と、ステップS16における画像評価結果から読出し周期の決定については、図5を用いて後述する。
【0058】
ステップS16において読出し周期を決定すると、次に、レリーズを離したか否を判定する(S21)。この判定の結果、レリーズを離していなければ、ステップS9に戻り、レリーズを離すまで、上述の動作を繰り返す。上述以外のステップでの処理は、図2に示したフローと同一の処理を行うので、詳しい説明は省略する。
【0059】
次に、図5を用いて、ステップS15における加算画像評価と、ステップS16における画像評価結果から読出し周期の決定について説明する。本実施形態においては、前後の加算画像を比較し、被写体の変化、図5に示す例では、花火の打ち上げを検出し、画像読出しを行うか補間画像を生成するかを選択する。
【0060】
図5において、横軸は時間の変化を示している。タイミングTM−1〜Tの期間は、花火が打ち上げられる前であり、先の加算画像PICM−1と後の加算画像PICを比較しても差がなく、前後の加算画像の間では変化がないと判断される。このため、次回の画像信号の読出しのタイミングTM+1までは、補間画像が生成され、表示される。すなわち、タイミングtM_1、tM_2、tM_3において、補間画像PICM_1、PICM_2、PICM_3が表示される。
【0061】
一方、タイミングT〜TM+1の期間は、花火が打ちあがり、加算画像PICと加算画像PICM+1を比較すると、両画像に差があり、前後の加算画像の間で変化があると評価される。加算画像の間で変化があると評価された場合に、補間画像を生成して表示すると、被写体は花火が打ちあがって変化していく一方、表示画像は花火の変化を表示することができないため、実際の露光経過と表示画像の差が大きくなる。
【0062】
そこで、本実施形態においては、前後の加算画像を比較した結果、被写体に変化があると評価された場合には、補間画像ではなく、実際に画像信号を読出し、加算画像を生成し表示するようにしている。図5に示す例においては、タイミングTM+1において、前後の加算画像に変化があると評価されると、タイミングTM+2、TM+3、TM+4において、補間画像を生成することなく、実際にイメージセンサ15から画像信号を読出し、加算画像を生成し、これを表示するようにしている。
【0063】
以上、説明したように、本発明の第2実施形態においては、被写体に変化が有る場合には、被写体の変化を見失うことがない。また、被写体に変化がない場合には、補間画像を表示することができ、一定時間間隔で露光経過を確認することができる。このため、ユーザは、露光経過を確認しながら、バルブ撮影を行うことができ、また、読出し回数を不必要に増加させることがないため消費電力と画像劣化を抑制することができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、イメージセンサ15から読み出した画像信号を基にして、露光時間に対応するように補間画像を生成して、撮影経過画像を表示するようにしている。このため、補間画像の生成にあたって、イメージセンサ15から画像信号を読み出す必要がないことから、むやみに撮像素子から画像信号の読み出し回数を増やすことなく、効果的なタイミングで画像信号を読み出し、表示の更新を行うことができる。
【0065】
なお、本発明の各実施形態においては、レリーズ釦の押しこみ操作に応じて撮影を開始し、レリーズ釦から指を離す操作に応じて撮影を終了するバルブ撮影に本発明を適用した例を説明した。しかし、レリーズ釦の操作に応じて撮影を開始し、指を離しても撮影を続行し、再度レリーズ釦を操作することにより撮影を終了するタイム撮影に本発明を適用することができる。また、長秒時間撮影にも本発明を適用することができる。
【0066】
また、本発明の各実施形態においては、破壊型のCCD撮像素子やCMOS撮像素子を使用した例について説明した。しかし、非破壊型撮像素子を用いてもよい。この場合には、撮像素子中の蓄積電荷が破壊されないことから、画像加算を行う必要がない。
【0067】
また、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0068】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1・・・カメラ、11・・・レンズ、13・・・メカシャッタ、15・・・イメージセンサ、17・・・画像処理部、21・・・システム制御部、23・・・外部メモリ、25・・・表示部、27・・・指示部、29・・・内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ撮影中の被写体の画像を表示する機能を有する撮像装置において、
被写体を所定の時間間隔で順次に撮像して画像信号を読み出す撮像部と、
上記撮像部で画像信号が読み出される毎に、該画像信号を基に表示用画像データを生成する第1表示画像データ生成部と、
上記撮像部で読み出された画像信号が撮像されてから、次に読み出される画像信号が撮像されるまでの間の所定の時刻において撮像されると予測される画像信号を基に、表示用画像データを生成する第2表示画像データ生成部と、
上記第1表示画像データ生成部で生成された表示用の画像データによって表わされる画像、及び上記第2表示画像データ生成部で生成された表示用の画像データによって表わされる画像を時系列的に表示する画像表示部と、
上記撮像部で順次に撮像された画像信号を基に記録用の画像データを生成して記録する画像データ記録部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記撮像部によって読み出された画像信号を基に、撮像中に被写体の明るさが変化したか否かを検出する検出部を備え、上記検出部によって上記被写体の明るさが変化したことが検出された場合は、上記所定の時間間隔を相対的に短くして撮像することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
長時間露光中に撮像素子から画像信号を読み出し、
上記読み出した画像信号を累積的に加算することにより、加算画像を生成し、
上記加算画像の生成後、画像信号の次の読出しまでの間に、上記加算画像に基づいて補間画像を生成し、
上記加算画像および上記補正画像を表示する、
ことを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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