撮像装置および撮像装置の制御プログラム
【課題】撮像素子を遮光状態にして撮像する必要がある場合でも、ユーザからの撮像指示にすぐに応答すること。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子と、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出部が当該動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部とを備える。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子と、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出部が当該動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1撮影を行った後、撮像素子への入射光を遮光して第2撮影を開始し、第2撮影の最中に撮影準備動作の指示入力を受け付けると、第2撮影から撮影準備動作に切り替える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2010−178264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮像素子を遮光状態にして電荷蓄積を開始した後に撮像指示があると、次の撮像を開始する前に、撮像素子のリセット動作を行わなければならない。また、閃光装置を駆動する必要がある場合には、次の撮像を開始する前に、更に閃光装置の充電をしなければならない。このように、被写体光束による撮像に対応して、撮像素子を遮光状態にして撮像を行う必要がある場合に、ユーザからの撮像指示にすぐに応答することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、撮像装置は、撮像素子と、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出部が動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様においては、撮像装置の制御プログラムは、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出ステップと、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出ステップにより動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御ステップとをコンピュータに実行させる。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】撮像装置10の要部の模式断面を示す。
【図2】撮像装置10のシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】NRを行う場合の撮像装置10のタイムシーケンスの一例を模式的に示す。
【図4】本撮影および暗露光撮影の動作を含むライブビュー撮影時のフローを示す。
【図5】本撮影および暗露光撮影の動作を含む非ライブビュー撮影時のフローを示す。
【図6】NR未処理の本画像データに関連して記憶される撮影関連情報の一例を示す。
【図7】NR処理の動作設定用の設定画面700の一例を模式的に示す。
【図8】撮像装置10の起動から終了までの処理フローの概略を示す。
【図9】ライブビュー撮影における処理フローの一例を示す。
【図10】NR処理を実行する場合の処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、撮像装置10の要部の模式断面を示す。撮像装置10は、ユーザ指示に応じて実行された被写体光束による本撮影後に、ユーザが新たに撮像する意図がないと判断される動作が検出されるまで、暗露光撮影を遅延させることで、ユーザの新たな撮像指示にすぐに応答することができる撮像装置を提供する。まず、撮像装置10の構成の概要について説明する。
【0010】
一眼レフカメラとしての撮像装置10は、レンズユニット20がカメラユニット30に装着されて、カメラとして機能する。レンズユニット20は、光軸11に沿って配列され鏡筒26に支持されたレンズ系21を備える。撮像レンズの一例としてのレンズ系21は、入射される被写体光束をカメラユニット30へ導く。レンズ系21は、レンズ系21を構成するレンズとしての前玉22およびレンズ群23と、絞り28とを含む。レンズ群23は、フォーカスおよびズームを担う。レンズ群23は、焦点調整、画角調整の指示に応じて、レンズ群23に含まれる1以上のレンズが光軸方向に移動できるように構成されている。カメラユニット30は、焦点調整および画角調整の指示をレンズユニット20に送信することができる。
【0011】
鏡筒26は、レンズ回路基板27を支持する。レンズ回路基板27は、レンズユニット20を制御する各種回路、電子素子等を搭載している。レンズユニット20は、カメラユニット30との接続部にレンズマウント29を備え、カメラユニット30が備えるカメラマウント31と係合して、カメラユニット30と一体化する。レンズマウント29とカメラマウント31とはそれぞれ通信端子を備えており、マウント同士が係合したときに互いの通信端子が接続される。これにより、レンズ回路基板27に搭載された各種回路、電子素子等は、カメラユニット30側と電気的に接続される。
【0012】
カメラユニット30は、レンズユニット20から入射される被写体光束を反射するメインミラー32と、メインミラー32で反射された被写体光束が結像するピント板33を備える。メインミラー32は、ミラーボックス内で、ミラーボックスの側壁に支持されたメインミラー回転軸40周りに揺動する。メインミラー32は、光軸11を中心とする被写体光束中に斜設される斜設状態と、被写体光束から退避した退避状態を取り得る。サブミラー34は、メインミラー32が被写体光束から退避する場合に、メインミラー32に連動して被写体光束から退避する。
【0013】
メインミラー32は、ライブビュースイッチが押し下げられた場合、または、レリーズボタンが最下部まで押し下げられた場合、破線で示した退避状態を取る。例えば、メインミラー32が被写体光束中に斜設された状態で、ライブビュースイッチが押し下げられた場合またはレリーズボタンが最下部まで押し下げられた場合、メインミラー32は破線で示した退避位置に移動する。ライブビュースイッチが押し下げられた場合、メインミラー32は再度ライブビューボタンが押し下げられるまで退避位置に留まる。一方、レリーズボタンが押し下げられた場合は、所定の撮像動作を終えると、メインミラー32はダウンされ元の斜設状態の位置に戻される。
【0014】
フォーカルプレーンシャッタ41および撮像素子36は、光軸11に沿って配列されている。撮像素子36は、撮像素子基板42に形成される。メインミラー32およびサブミラー34が退避状態である場合に、被写体光束は、レンズ系21を透過してカメラユニット30へ入射し、ミラーボックス内部と開放状態のフォーカルプレーンシャッタ41を通過して、撮像素子36の受光面で結像する。
【0015】
撮像素子36は、受光面で結像した被写体像を電気信号として出力する複数の光電変換素子を有する。撮像素子36としては、CMOSセンサ、CCDセンサ等を例示することができる。メイン基板43には、撮像素子36で光電変換された電気信号を処理する画像処理部55、カメラユニット30の全体を制御するカメラシステム制御部50等を実装する電気素子が搭載されている。
【0016】
カメラユニット30の背面には液晶モニタ等による表示ユニット53が配設されている。表示ユニット53は、撮像素子36が出力した画像信号から生成された画像を表示する。表示ユニット53は、画像処理部55によって被写体像の電気信号から生成された表示用画像データを用いて、被写体像を表示する。表示ユニット53は、撮像した画像に限らず、各種メニュー情報、撮像情報、告知情報等を表示する。ライブビュー時には、被写体に対して焦点調節をしながら、撮像素子36の受光面に結像した被写体像の電気信号から画像処理部55によって表示用画像データが生成され、生成された表示用画像データを用いて表示ユニット53が被写体像を表示する。
【0017】
ピント板33は、撮像素子36の受光面と共役の位置に配置されている。メインミラー32が斜設状態にある場合、ピント板33で結像した被写体像は、ペンタプリズム37で正立像に変換され、接眼光学系38を介してユーザに観察される。ペンタプリズム37の射出面上方には、測光素子39が配置される。測光素子39は、測光光学系35を介して、被写体像を撮像する光電変換素子である。また、測光素子39が備える光電変換素子により検出された被写体像の輝度分布は、シャッタスピード、絞り値等を決定するためにカメラシステム制御部50において使用される。また、被写体像の輝度分布は、人物の顔等を検出するために画像処理部55において使用される。
【0018】
斜設状態におけるメインミラー32の光軸11の近傍領域は、ハーフミラーとして形成されており、入射される被写体光束の一部が透過する。透過した被写体光束は、メインミラー32と連動して揺動するサブミラー34で反射されて、合焦ユニット52へ導かれる。合焦ユニット52に導かれた被写体光束は、合焦ユニット52内の合焦光学系を通じて合焦センサへ入射される。合焦センサは、複数の焦点調整領域のそれぞれにおいて合焦状態、前ピン状態、後ピン状態を示す位相差検出信号を出力する。前ピン状態、後ピン状態の場合には、位相差検出信号は合焦状態からのずれ量も示す。カメラシステム制御部50は、位相差検出方式による位相差AF(オートフォーカス)によって、レンズユニット20の焦点調節を行う。
【0019】
カメラユニット30には着脱可能な二次電池48が収容される。二次電池48は、カメラユニット30に限らず、レンズユニット20にも電力を供給する。電源がONされた場合に、二次電池48から撮像装置10の各部に電力が供給される。
【0020】
閃光部60は、被写体を照明する照明光としての閃光を発光する。閃光部60は、二次電池48からの電力を受けてキセノンランプ等から閃光を発光させる。閃光部60は、カメラシステム制御部50からの充電制御信号に応じて、充電の開始、終了等が制御される。また、閃光部60は、カメラシステム制御部50からの発光指示信号に応じて発光等の制御を行う。
【0021】
アイセンサ44は、撮像装置10にユーザが近接しているか否かを検出する。アイセンサ44は、接眼光学系38の近傍に設けられ、ユーザの顔部が撮像装置10に近接しているか否かの判定に用いる。アイセンサ44は、例えば、投光素子と、投光素子が投光した光が近接した物体に反射した反射光を受光する受光素子とを有する。カメラシステム制御部50は、受光素子で受光した受光量が所定値以上の場合に、ユーザの顔部が撮像装置10に近接していると判定する。アイセンサ44は、物体の近接を検出することができるセンサであれば、どのようなものでもよい。
【0022】
図2は、撮像装置10のシステム構成を概略的に示すブロック図である。撮像装置10のシステムは、レンズユニット20とカメラユニット30のそれぞれに対応して、レンズシステム制御部25を中心とするレンズ制御系と、カメラシステム制御部50を中心とするカメラ制御系により構成される。そして、レンズ制御系とカメラ制御系は、レンズマウント29とカメラマウント31とによって接続される通信端子を介して、相互に各種データ、制御信号の授受を行う。
【0023】
カメラ制御系に含まれる画像処理部55は、カメラシステム制御部50からの指示に従って、撮像素子36で光電変換された画像信号を処理して画像データを生成する。生成された画像データは、表示制御部59へ送られて、例えば撮影後の一定時間の間、表示ユニット53に表示される。これに並行して、画像データは、予め定められた画像フォーマットに加工され、外部接続IF56を介して外部メモリに記録される。また、画像処理部55は、測光素子39の出力を受けて被写体環境の明るさを算出する。算出された明るさ情報は、カメラシステム制御部50において適正露出の演算に用いられる。自動露出(AE)で制御される場合、カメラシステム制御部50は適正露出に従って露光時間、絞り28等を制御して、撮像素子36で露出する。
【0024】
カメラメモリ57は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、撮像装置10を制御するプログラム、各種変数、パラメータ等を記憶する役割を担う。ワークメモリ58は、例えばRAM等の高速アクセスできるメモリであり、処理中の画像データを一時的に保管する役割などを担う。
【0025】
駆動部51は、カメラシステム制御部50からの指令に従ってメインミラー32およびサブミラー34、フォーカルプレーンシャッタ41、閃光部60等を駆動する。操作入力部54は、レリーズボタン、撮像モードダイヤル等の操作部材がユーザに操作されたことを検出して、カメラシステム制御部50へ出力する。
【0026】
電源制御部49は、二次電池48と通信して残電力を検出する。また電源制御部49は、撮像装置10の各部への電力供給を制御する。電源制御部49は、二次電池48の他、家庭用AC電源等からの電力供給を制御してよい。
【0027】
レンズシステム制御部25は、カメラシステム制御部50からの制御信号を受けて各種動作を制御する。レンズメモリ24は、レンズ固有の情報およびレンズシステム制御部25が実行するプログラム等を記憶している。レンズ固有の情報は、通信端子を介してカメラシステム制御部50に送信され、カメラユニット30において、カメラシステム制御部50および画像処理部55等で利用される。
【0028】
センサ部47は、アイセンサ44、温度センサ45および把持センサ46を有する。センサ部47が有する各センサによる検出結果は、カメラシステム制御部50に出力される。温度センサ45は、撮像装置10の温度を検出する。具体的には、温度センサ45は、撮像素子36の近傍に設けられ、撮像素子36近傍の温度を検出する。把持センサ46は、ユーザが撮像装置10を把持しているか否かを検出する。例えば、把持センサ46は、ユーザに撮像装置10を把持させるグリップ部に設けられ、ユーザがグリップ部を把持したか否かを検出する。把持センサ46としては、タッチスイッチ、温度センサ等の他、種々の形式のものを適用できる。
【0029】
なお、把持センサ46は、レリーズボタンの近傍に設けられた受光センサを含んでよい。例えば、ユーザがレリーズボタンにタッチしている場合に、少なくとも一部の光がユーザの指等によって遮光される位置に、受光センサが設けられてよい。把持センサ46は、予め定められた値を超える光量が受光センサで検出された場合に、ユーザが撮像装置10を把持していない旨を検出してよい。
【0030】
図3は、ノイズリダクションを行う場合の撮像装置10のタイムシーケンスの一例を模式的に示す。特に、本撮影に伴って暗露光撮影を行う撮像動作を行う場合のタイムシーケンスについて説明する。
【0031】
カメラシステム制御部50がレリーズボタンに対する本撮影を指示する全押し操作をレリーズ指示として検出すると、駆動部51のタイミング制御により、本撮影の動作が行われる。具体的には、時刻t0からフォーカルプレーンシャッタ41の駆動を開始させ、フォーカルプレーンシャッタ41が開状態となると、撮像素子36による電荷蓄積が開始される。そして、電荷蓄積が開始されてから予め定められた露光時間が経過すると、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にするとともに、撮像素子36からの画像信号の読み出しを開始させる。
【0032】
画像信号を読み出しが完了した後、カメラシステム制御部50は、例えば検出されたユーザの動作から、次の本撮影に対応すべきか否かを判断する。カメラシステム制御部50は、次の本撮影に対応すべき旨を判断したときには、次の本撮影の準備を開始させる。例えばカメラシステム制御部50は、レリーズボタンが半押し状態である旨を検出した場合に、次の本撮影に対応すべき旨を判断してよい。カメラシステム制御部50は、本撮影の準備として、駆動部51を制御して、閃光部60の充電を行わせる。また、カメラシステム制御部50は、測光素子39の露光と、画像処理部55における適正露出を算出する測光処理等とを行わせる。閃光部60の充電、測光処理等が完了することにより、次の撮影を開始する準備が整う。
【0033】
カメラシステム制御部50は、次のレリーズ指示を検出すると、時刻t0からの本撮影時の動作と同様の動作をすることにより、時刻t1から次の本撮影の動作を実行する。これにより、速やかにユーザの本撮影を行うことができる。
【0034】
本撮影後、暗露光撮影イベントが生じた場合に、時刻t3から暗露光撮影を行う。例えば、カメラシステム制御部50は、例えばユーザの動作から暗露光撮影を行うべき旨を判断した場合、暗露光撮影を行う。例えば、カメラシステム制御部50は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作として、レリーズボタンの半押しが解除され、電源ボタンをオフにする動作が検出された場合等に、暗露光撮影を行うべき旨を判断してよい。暗露光撮影を行う場合、カメラシステム制御部50は、駆動部51を制御して、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、撮像素子36に本撮影時の電荷蓄積と同様の動作を開始させる。そして、時刻t0の本撮影時と同じ露光時間が経過すると、撮像素子36からの画像信号の読み出しを開始させる。これにより、時刻t0の本撮影に対応する暗露光撮影が完了する。
【0035】
画像処理部55は、時刻t0の本撮影で取得した本画像データから、暗露光撮影で取得した暗露光データを減算する処理を行う。これにより、本画像データについては、撮像素子36に起因する固定パターンノイズ等が低減される。なお、本画像データから暗露光データを減算する処理をNR(ノイズリダクション)処理と呼ぶ場合がある。
【0036】
本図に関連して説明した本撮影により本画像データを取得する動作は、撮像素子36へ入射光を導いて撮像素子36から第1画像データを取得する第1撮像動作の一例である。また、暗露光撮影により暗露光データを取得する動作は、撮像素子36への入射光を遮断して撮像素子36から第2画像データを取得する第2撮像動作の一例である。
【0037】
すなわち、カメラシステム制御部50は、撮像素子36へ入射光を導いて撮像素子36から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子36への入射光を遮断して撮像素子36から第2画像データを取得する第2撮像動作を、ユーザによる予め定められた動作を検出したタイミングに同期して実行する。ユーザによる予め定められた動作としては、本図に関連して説明したように、レリーズボタンの半押しを解除する動作、ユーザが電源ボタンをオフにする動作等を例示することができる。このため、本撮影後にユーザがレリーズボタンを半押しされた状態に維持している場合には、本撮影後に続けて暗露光撮影を開始せずに、次の本撮影の準備を開始する。
【0038】
また、本撮影に続けてNR処理を実行する場合、暗露光撮影を行う露光時間と、暗露光データを読み出すデータ転送時間、本画像データから暗露光データを減算する補正演算を行う時間を要する。また、暗露光撮影中にレリーズ指示を受け付けた場合、次の本撮影前に、少なくとも蓄積電荷をリセットする動作を要する。しかし、撮像装置10によれば、ユーザが次の本撮影を行う意図があると判断された場合には、速やかに次の撮影準備を行うので、本撮影前に蓄積電荷のリセット動作が必要となる確率を著しく低減できる。したがって、ユーザはシャッタチャンスを逃すことなく次の本撮影を開始させることができる。このように、レリーズボタンの状態からユーザの次の本撮影の意図を判定することで、いわゆるレリーズタイムラグを、暗露光撮影を伴わない通常撮影と同等とすることができる。そして、撮像装置10は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作や、ユーザが電源をオフにする動作等、すぐに次の本撮影を行う意図がないと判定される動作を検出した場合に、暗露光撮影を行う。このため、NR処理が適用された画像データを提供できる。
【0039】
また、撮像素子36の電荷蓄積および読み出しと並行して閃光部60を充電すると、撮像データにノイズが混入する場合がある。しかし、撮像装置10によれば、ユーザが次の本撮影をする意図がある場合は、本撮影に続けて暗露光撮影を実行しないので、閃光部60の充電を速やかに開始することができる。このため、暗露光撮影を伴わない通常の撮影時と同様に、閃光部60を充電することができる。したがって、閃光部60を使用して撮影する場合のレリーズタイムラグと同等としつつ、必要に応じて閃光部60を発光させて次の本撮影を行うことができる。
【0040】
図4は、本撮影および暗露光撮影の動作を含むライブビュー撮影時のフローを模式的に示す。カメラシステム制御部50がライブビュースイッチの押し下げを検出した場合(ライブビュースイッチON)、時刻t140からライブビュー撮影を開始する。ライブビュー撮影では、撮像素子36から出力された画像信号から表示用画像データを画像処理部55が生成する。表示ユニット53は、順次に生成される表示用画像データを用いて被写体像を順次に表示する。
【0041】
レリーズボタンの押し込みを検出した場合(レリーズボタンON)、時刻t141から図3に関連して説明した本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データ400が取得される。本撮影の後、レリーズボタンの半押し状態が維持されている場合はライブビュー撮影が再開して、閃光部60の充電、測光処理等、次の本撮影の準備を行う。続いてレリーズボタンの押し込みを検出した場合、時刻t142から本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データ401が取得される。なお、本画像データ400および本画像データ401は、一例としてRAWデータの形式でワークメモリ58に保持される。
【0042】
時刻t142からの本撮影が完了した後、レリーズボタンの半押し状態が維持されている場合は、再度、ライブビュー撮影が再開される。ライブビュースイッチの再度の押し下げを検出した場合(ライブビュースイッチOFF)、時刻t143においてライブビュー撮影が終了する。
【0043】
続いて、電源ボタンをオフする動作が検出されると、時刻t144から、時刻t141で開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。この暗露光撮影では、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、時刻t141から開始した本撮影時と同じ露光時間の間、撮像素子36の電荷をリセットせずに維持した後、画像信号を読み出す。この暗露光撮影により、本画像データ400に対応するRAW形式の暗露光データ410を取得する。続いて、時刻t145から、時刻t142で開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。この暗露光撮影では、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、時刻t142から開始した本撮影時と同じ露光時間の間、撮像素子36の電荷をリセットせずに維持した後、画像信号を読み出す。この暗露光撮影により、本画像データ401に対応するRAW形式の暗露光データ411を取得する。
【0044】
画像処理部55は、本画像データ400から暗露光データ410を減算することにより、NR処理が施された画像データ420を生成する。ここで、画像処理部55は、撮像素子36が有する複数の光電変換素子に対応する複数の画素毎に減算する。同様に、画像処理部55は、本画像データ401から暗露光データ411を減算することにより、NR処理が施された画像データ421を生成する。続いて、電源制御部49は、二次電池48等の電源から撮像装置10の各部への電源供給を停止する。このように、ユーザが次の本撮影をする意図がある場合は、NR処理を後送りにして、すぐさまライブビュー画像を表示することができる。このため、ユーザは、ライブビュー画像から、構図の確認等、被写界の確認を行なうことができ、ライブビュー画像からシャッタチャンスを判断することができる。
【0045】
図5は、本撮影および暗露光撮影の動作を含む非ライブビュー撮影時のフローを模式的に示す。ここでは、接眼光学系38を通じて被写体像をユーザに提示する場合の動作フローについて説明する。ここでは、主として図4に関連して説明した動作との相違点につき説明する。
【0046】
レリーズボタンの押し込みを検出すると(レリーズボタンON)、時刻t150において本撮影を開始する。具体的には、カメラシステム制御部50は、メインミラー32をアップさせて退避状態とし、図3で説明した本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データが取得される。本撮影の後、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していることが検出された場合(アイセンサ出力:検出)は、暗露光撮影を行わずに、閃光部60の充電、等、次の本撮影の準備を行う。続いてレリーズボタンの押し込みを検出した場合、時刻t151から本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データが取得される。
【0047】
時刻t151からの本撮影が完了した後、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していることが検出された場合(アイセンサ出力:検出)は、暗露光撮影を行わずに、次の本撮影の準備を行う。
【0048】
続いて、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していないことが検出された場合(アイセンサ出力:非検出)に、時刻t152から、時刻t150に開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。暗露光撮影が終了すると、時刻t153から、時刻t151に開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。そして、画像処理部55は、図4に関連して説明した動作と同様に、本画像データのそれぞれに対して、対応する暗露光データを減算することにより、NR処理が施された画像データを生成する。このように撮像装置10は、ユーザの顔部が撮像装置10から離間する動作を検出したタイミングに同期して、暗露光撮影を実行することができる。
【0049】
なお、図4、図5に関連して、2回の本撮影にそれぞれ対応して、暗露光撮影を2回行うとして説明した。しかし、2以上の本撮影を同じ露光時間で行った場合等には、それらの本撮影に対応する1の暗露光撮影を行って、得られた暗露光データを当該2以上の本撮影で得られた2以上の本画像データにNR処理を適用するようにしてもよい。その他、予め定められた長さより長い露光時間で1の暗露光撮影を行ってもよい。例えば、2以上の本撮影におけるそれぞれの露光時間のうち、最も長い露光時間で1の暗露光撮影を行ってよい。この場合、暗露光データを、本撮影時の露光時間に対する暗露光撮影時の露光時間の比に応じて補正して、補正した暗露光データを用いてNR処理を本画像データに施してもよい。
【0050】
また、以上の説明において、ユーザがレリーズボタンの半押しを解除する動作、ユーザが電源をオフにする動作、ユーザの顔部が撮像装置10から離間する動作等を検出したタイミングに同期して、暗露光撮影を実行するとした。しかし、ユーザがすぐに新たな撮影を行う意思がないと判断できる動作であれば、どのような動作を検出してもよい。例えば、ユーザが再生モードに切り替える動作、ユーザが撮像装置10の把持を終了する動作、ユーザが特定操作部材の操作を開始する動作または終了する動作を検出してよい。特定操作部材としては、ファンクションボタン等の予め定められた操作キーであってよい。これにより、ユーザは暗露光撮影を行うタイミングを意図的にコントロールすることができる。
【0051】
なお、レリーズボタンを半押しする等してユーザが新たな撮影をする意図が示されているような場合であっても、本撮影動作を実行してから予め定められた時間が経過したことを検出した場合には、ユーザ動作の検出結果に関わらず、暗露光撮影を実行してもよい。これにより、暗露光撮影の精度が、時間経過よって大きく低下することを抑制することができる。予め定められた時間としては、撮像装置10がスタンバイ状態に遷移すると判断されるまでの時間を例示できる。予め定められた時間として、スタンバイ状態に関する時間より短い時間を適用するなど、スタンバイ状態に関する時間とは異なる時間を適用してよいことはいうまでもない。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する他の場合としては、本撮影の回数が、予め定められた回数を超えたことを検出した場合を例示できる。
【0052】
また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する他の場合としては、撮像素子36近傍の温度が、本撮影動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したことを検出した場合を例示できる。許容温度としては、暗電流ノイズの誤差が予め定められた値未満となることが保証される温度を適用してよい。より大きい誤差が許容できる場合に、より大きい許容温度を適用できる。これにより、暗露光撮影の精度が、温度が変化することによって大きく低下することを抑制することができる。
【0053】
ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する更なる他の場合としては、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したことを検出した場合を例示できる。保証電圧としては、撮像装置10が動作を予め定められた固定の電圧であってよい。また、保証電圧として、NR処理を施していない本撮影に対応する暗露光撮影を行うことを保証できる電圧を適用してよい。具体的には、暗露光撮影を行うことを保証できる二次電池48の残存容量に対応する電圧を、保証電圧として適用してよい。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する更なる他の場合としては、電源電圧が予め定められた許容電圧以上に変化したことを検出した場合を例示できる。許容電圧としては、暗電流ノイズの誤差が予め定められた値未満となることが保証される電圧を適用してよい。より大きい誤差が許容できる場合に、より大きい許容電圧を適用できる。これにより、暗露光撮影の精度が、電源電圧が変化することによって大きく低下することを抑制することができる。
【0054】
本撮影動作を実行してから予め定められた時間が経過したという時間条件、本撮影動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したという温度条件、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したという電源条件は、動作検出部の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行するための予め定められた環境条件の一例である。これら複数の条件のいずれかの条件が満たされた場合に、予め定められた環境条件が検出されたとみなしてもよい。また、複数の条件に任意の組み合わせが満たされた場合に、予め定められた環境条件が検出されたとみなしてもよい。このように、撮像装置10によれば、予め定められた環境条件が検出された場合や、電源ボタンがオフされた場合等にNR処理を確実に実行することができる。このため、ユーザが暗露光撮影をし忘れる可能性を著しく低減できる。また、NR処理が施されずに、固定パターンが顕著な画像データが記録される可能性を著しく低減することができる。
【0055】
図6は、NR未処理の本画像データに関連づけて記憶される撮影関連情報の一例をテーブル形式で示す。カメラシステム制御部50は、NR処理を施していない本画像データを識別する識別情報としての未処理画像IDに対応づけて、本画像データを撮影したときの撮像時刻、温度、電源電圧および撮像条件をワークメモリ58に記憶する。ここで、本撮像時の温度は、温度センサ45により検出された、撮像素子36近傍の温度を示す。電源電圧は、電源制御部49により検出された、二次電池48の両極の電圧を示す。撮像条件は、露光時間および撮像感度を含む。
【0056】
カメラシステム制御部50は、撮影関連情報を参照して、本情報に記憶されている本撮影の撮像時刻から予め定められた時間以上の時間が経過した時刻を過ぎた場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影の撮像時刻に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影の撮像時刻に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。また、カメラシステム制御部50は、撮像素子36近傍の温度が、本情報に記憶されている本撮影時の温度から許容温度以上に変化したことを検出した場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影時の温度に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影時の温度に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。また、カメラシステム制御部50は、電源電圧が、本情報に記憶されている本撮影時の電圧から許容電圧以上に変化したことを検出した場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影時の電圧に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影時の電圧に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。
【0057】
図7は、NR処理の動作をユーザが設定するための設定画面700の一例を模式的に示す。本設定画面700は、表示ユニット53に表示される。設定画面700は、NR処理を行う旨を示すONアイコンおよび、NR処理を行わない旨を示すOFFアイコンを含む。ユーザは、操作入力部54の一部として十字キー等を用いてONアイコンおよびOFFアイコンのいずれかを選択することにより、NR処理の有無を設定できる。カメラシステム制御部50は、ユーザによってONが選択されていることを条件として、暗露光撮影を含むNR処理を行う。したがって、OFFが選択された場合は、暗露光撮影は行わない。
【0058】
設定画面700は、暗露光撮影の動作速度を設定するための項目を含む。本図において、暗露光撮影を実行すると判断されるユーザ動作および環境条件に対応する項目毎に、暗露光撮影の動作速度を設定できる。例えば、本設定画面700において、「電源OFF」は、電源がオフされた場合の暗露光撮影の動作速度を設定するための項目である。「電源変化」は、上述した電圧条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「温度変化」は、上述した温度条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「時間経過」は、上述した時間条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「ユーザセンサ」は、アイセンサ44の検出結果、把持センサ46の検出結果、レリーズボタンの半押しの検出結果等、ユーザの動作を検出する検出結果に応じて暗露光撮影を実行する場合の動作速度を設定するための項目である。
【0059】
設定画面700は、各項目について、「NORM」、「HIGH」および「AUTO」の中から、暗露光撮影の動作速度をユーザに選択させる。「NORM」は、本撮影時の露光時間と同じ露光時間で暗露光撮影を行うことを示す。「HIGH」は、本撮影時の露光時間より短い露光時間で暗撮影を行うことを示す。「AUTO」は、本撮影時の露光時間を撮像装置10で自動に決定することを示す。
【0060】
このように、カメラシステム制御部50は、ユーザによって事前に指定された動作に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定する。また、「AUTO」が設定された場合、カメラシステム制御部50が露光時間を自動で決定する。例えば、電圧条件が検出された場合に、本撮影時の露光時間よりも短い露光時間を決定することができる。例えば、本撮影の露光時間が8秒である場合、4秒の露光時間で暗露光撮影を行ってよい。この場合、画像処理部55は、暗露光データの画素値を2倍することにより、本撮影時との間の露光時間の違いをキャンセルする補正を暗露光データに施す。そして、画像処理部55は、本画像データから補正した暗露光データを減算することにより、本画像データにNR処理を施してよい。暗露光撮影を短い露光時間ですることで、暗露光撮影に要する時間を短縮することができる。このため、二次電池48の残存容量が少なくなった場合に、NR処理が未処理の本画像データが多く存在しているときでも、確実に暗露光撮影を行うことができる場合がある。
【0061】
本図に関連して説明したように、カメラシステム制御部50は、検出した動作の種類に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定することができる。また、検出した環境条件に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定することができる。
【0062】
図8は、撮像装置10の起動から終了までの処理フローの概略を示す。本フローは、例えば電源ボタンが押し込まれた場合に、開始される。本フローは、カメラシステム制御部50が主体となって撮像装置10の各部を制御することにより実行される。
【0063】
ステップS800において、カメラシステム制御部50は、初期設定を開始する。例えば、カメラシステム制御部50は、撮像装置10を制御するための各種パラメータ等を、カメラメモリ57からワークメモリ58に展開する。また、カメラシステム制御部50は、例えば撮像モードダイヤル等の状態、および、展開された各種変数、パラメータ等に従って、撮像装置10の各部の動作条件を設定する。動作条件としては、図7に関連して説明したNR処理の動作条件の他、人物、風景等を指定する被写体の種別に関する撮像モード、露光時間および撮像感度等を含む撮像条件、記録画素数等の記録条件等を例示することができる。
【0064】
続いて、ステップS802において、初期設定で設定した動作条件を表示ユニット53に表示する。例えば、カメラシステム制御部50は、設定した動作条件を、アイコン表示等の種々の形式で表示ユニット53に表示させる。
【0065】
続いて、ステップS804において、カメラシステム制御部50は、操作入力部54に対するユーザ指示を特定する。ユーザ指示が諸設定を実行する指示である場合、カメラシステム制御部50が主体となって、指示された設定処理を行う(ステップS806)。設定処理としては、NR処理の動作条件の他、撮像モード、撮像条件、記録条件を設定する処理等を例示することができる。ステップS806では、図7に関連して説明したユーザ設定の他に、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を行うと判断されるまでの、本撮影からの時間を設定してよい。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を行うと判断されるまでの、本撮影の回数等を設定してもよい。
【0066】
ステップS804において、ユーザ指示が撮像実行に関する指示であると判断された場合、撮像実行に関する処理を行う(ステップS812)。撮影実行に関する指示としては、ライブビューボタン、動画撮影ボタン、レリーズボタンに対する操作等を例示することができる。ステップS804におけるユーザ指示が画像の再生を実行する指示である場合、再生処理を実行する(ステップS822)。再生処理としては、外部メモリに記録された静止画、動画等の画像をサムネイル表示する処理、ユーザにより指示された画像を表示する処理等を例示することができる。ステップS822では、これらの再生処理に並行して、ステップS832およびステップS834に関連して説明するNR処理を行ってもよい。
【0067】
ステップS804においてユーザ指示がない場合は、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する(ステップS832)。例えば、図6に関連して説明した情報を参照して、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する。NR処理が未処理の本画像データがある場合は、ステップS834においてNR処理を行い、ステップS808に処理を進める。なお、ステップS834の処理については後述する。NR処理が未処理の本画像データが無い場合は、NR処理を行わずにステップS808に処理を進める。
【0068】
ステップS806、ステップS812、ステップS822の処理が完了した場合、ステップS808に処理を進める。ステップS808では、電源をOFFするか否かを判断する。例えば、電源ボタンが再度押し込まれた場合や、撮像装置10が動作を開始してから予め定められた期間、ユーザ指示が無い状態が継続した場合等に、電源をOFFすると判断する。ステップS808の判断において電源をOFFしないと判断した場合は、ステップS804に処理を移行させる。電源をOFFすると判断した場合は、電源OFF時の処理を行い(ステップS810)、本フローを終了する。電源OFF時の処理としては、ユーザにより設定された動作設定等の変数データをカメラメモリ57に記録する処理を例示することができる。また、電源OFF時の処理として、ステップS832およびステップS834の処理ブロックによるNR処理を含む。
【0069】
図9は、撮像実行に関する処理フローの一例を示す。本例では、ステップS812の一部の処理として、ライブビュー撮影が指示された場合の処理フローを示す。例えば、本フローは、ライブビュースイッチが押し込まれた場合に、開始される。
【0070】
本フローが開始すると、カメラシステム制御部50は、ライブビュー画像の取得および表示を行わせる(ステップS902)。続いて、ステップS904において、カメラシステム制御部50は、レリーズボタンが全押しされたか否かを判断する。レリーズボタンが全押しされた場合、カメラシステム制御部50は、本画像データを取得させる(ステップS906)。続いて、ステップS908において、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データとして、ワークメモリ58に保持する。また、カメラシステム制御部50は、図6に関連して説明した撮影関連情報のデータとして、本画像データを識別する識別情報、本画像データの撮像時刻、撮像素子36近傍の温度、および撮像条件のデータを追加する。
【0071】
続いて、ステップS910において、カメラシステム制御部50は、閃光部60の充電が必要か否かを判断する。具体的には、カメラシステム制御部50は、画像処理部55における測光処理の処理結果および閃光部60の充電状況に応じて、閃光部60の充電が必要か否かを判断する。閃光部60の充電が必要であると判断された場合、閃光部60の充電を開始し(ステップS912)、ステップS914に処理を進める。ステップS910の判断において、閃光部60の充電が不要であると判断された場合、閃光部60の充電を開始せずにステップS914に処理を進める。
【0072】
ステップS904の判断において、レリーズボタンが全押しされてないと判断した場合、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する(ステップS916)。例えば、図6に関連して説明した撮影関連情報を参照して、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する。NR処理が未処理の本画像データがある場合は、ステップS918においてNR処理を行い、ステップS914に処理を進める。なお、ステップS918の処理については後述する。NR処理が未処理の本画像データが無い場合は、NR処理を行わずにステップ914に処理を進める。
【0073】
ステップS914において、カメラシステム制御部50は、ライブビュー撮影を終了するか否かを判断する。例えば、ライブビュースイッチが再度押し込まれた場合に、ライブビュー撮影を終了すると判断する。また、再生ボタン等の、ライブビュー撮影を終了すべきキーとして予め定められたキーが操作された場合に、ライブビュー撮影を終了すると判断してよい。また、ライブビュー撮影を開始してから予め定められた期間、レリーズ指示等のユーザ指示が無い状態が継続した場合にも、ライブビュー撮影を終了すると判断してよい。ライブビュー撮影が終了しないと判断した場合、ステップS902に処理を移行する。ライブビュー撮影を終了すると判断した場合、本フローを終了する。
【0074】
図10は、NR処理を実行する場合の処理フローの一例である。具体的には、図8のステップS834、図9のステップS918の具体的な処理フローである。本フローが開始されると、ステップS1002において、二次電池48の残存容量が予め定められた値より小さいか否かを判断する。二次電池48の残存容量が予め定められた値以上である場合、ステップS1004において、ユーザの動作条件を満たすか否かを判断する。例えば、レリーズボタンの半押し動作が解除された場合や、電源ボタンがオフされた場合等、上述した予め定められた動作を検出した場合に、ユーザの動作条件を満たすと判断する。
【0075】
ユーザの動作条件を満たさないと判断された場合、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データのうち、温度変化条件、時間経過条件、電圧変化条件を満たす本画像データの有無を判断する(ステップS1006)。条件を満たす本画像データがある場合、カメラシステム制御部50は、対応する暗露光撮影を行わせる(ステップS1008)。この暗露光撮影では、図7に関連して説明したユーザ設定に従って、検出された環境条件に対応する露光時間で暗露光撮影をしてよい。なお、条件を満たす複数の本画像データが存在する場合、同一の撮像条件で撮影された複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。また、異なる撮像条件で撮影された複数の本画像データについて、上述したような露光時間等の補正を暗露光データに適用できると判断される場合は、複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。
【0076】
続いて、ステップS1010において、画像処理部55は、環境条件を満たす本画像データから、暗露光撮影により取得された暗露光データを減算することにより、当該本画像データにNR処理を含む画像処理を施す。NR処理を施すと、図6に関連して説明したデータの中から、当該本画像データに対応するデータを削除して、本フローを終了する。
【0077】
なお、環境条件を検出した場合は、暗露光撮影を実行する前に、ユーザに警告を行ってよい。例えば、カメラシステム制御部50は、暗露光撮影を開始する旨を表示ユニット53に表示させ、暗露光撮影をしない旨の指示をユーザから受け付けた場合には、ステップS1008およびステップS1010の処理を行わずに本フローを終了してもよい。
【0078】
ステップS1002の判断において、電池の残存容量が予め定められた値より小さいと判断された場合、ステップS1012に処理を進める。また、ステップS1004の判断において、ユーザの動作条件を満たすと判断された場合も、ステップS1012に処理を進める。ステップS1012においては、NR処理が未処理の全画像に対応する暗露光撮影を行う。この暗露光撮影では、図7に関連して説明したユーザ設定に従って、電圧変化またはユーザセンサに対応する露光時間で暗露光撮影をしてもよい。また、同一の撮像条件で撮影された複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。また、異なる撮像条件で撮影された複数の本画像データについて、上述したような露光時間等の補正を暗露光データに適用できると判断される場合は、複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。
【0079】
続いて、ステップS1014において、画像処理部55は、条件を満たす本画像データから、暗露光撮影により取得された暗露光データを減算することにより、本画像データにNR処理を含む画像処理を施す。NR処理を施すと、図6に関連して説明したデータの中から、当該本画像データに対応するデータを削除して、本フローを終了する。
【0080】
なお、ステップS1010、ステップS1014において、画像処理部55は、NR処理が施された本画像データに、ホワイトバランス処理、色補間処理、色補正処理、ガンマ補正、輪郭強調処理、圧縮符号化等、予め定められた処理を施して、外部メモリ等への記録用の画像を生成してよい。生成された記録用の画像データは、外部接続IF56を介して、外部メモリに記録されてよい。
【0081】
なお、ステップS1010、ステップS1014において、暗露光撮影で得られた暗露光データを、本撮影時および暗露光時のそれぞれにおける撮像素子36近傍の温度に応じて補正して、補正した暗露光データを本撮影データから減算してもよい。例えば、暗露光データの輝度レベルに、予め定められた温度係数を乗じることで、暗露光データを補正してよい。ここで、温度係数とは、暗露光撮影で得られた輝度レベルと、暗露光撮影時の温度と本撮影時の温度との温度差に応じて、当該輝度レベルを補正する係数であってよい。暗露光時の輝度レベルは、温度が高いほど大きくなり、温度が低いほど小さくなる。本温度係数は、温度差に応じて輝度レベルを補正する値であり、カメラメモリ57にパラメータとして予め記録されてよい。
【0082】
以上の説明では、撮像装置10の動作を分かり易く説明することを目的として、本撮影後にユーザが次の本撮影を行う意図があると判断された場合に、暗露光撮影の露光動作および本画像データから暗露光データを減算するデータ処理を含むNR処理の全体を、遅延させるとした。しかし、暗露光撮影の露光動作とデータ処理を実行するタイミングとを、別個に制御してもよい。
【0083】
例えば、本撮影後に、測光素子39の露光と並行して、暗露光撮影の露光動作を実行してよい。この場合に、本画像データからの減算用の暗露光データを生成するタイミングを、遅延させてもよい。例えば、暗露光撮影で得られた画像信号から直接に生成された暗露光データに補正等の前処理を施すタイミングと、本画像データから暗露光データを減算するタイミングとを遅延させてもよい。本画像データに対する減算処理用の暗露光データを生成するタイミングを遅延させることによって、画像処理部55は、測光素子39からの出力データに対する顔検出や適正露出等の演算を速やかに開始し完了させることができる。このため、本撮影の直後に暗露光撮影をしつつ、次の本撮影の準備を速やかに完了できる場合がある。なお、この場合の暗露光撮影の露光時間を、本撮影の露光時間と一致させてもよいが、測光素子39の露光に要する時間を上限として暗露光撮影の露光動作を行ってもよい。上述したように、暗露光撮影の露光時間が本撮影の露光時間と一致しない場合でも、露光時間の比等を用いて暗露光データを補正できる場合がある。この場合、測光素子39の露光のような次の本撮影の準備に要する時間内で、暗露光撮影の露光動作を行うことができる。そして、本画像データに対する減算処理用の暗露光データを生成する処理等のタイミングを遅延させることで、画像処理部55において測光データに対する演算を集中して行うことができる。
【0084】
このような暗露光撮影の露光動作とデータ処理を実行するタイミングとを別個に制御する動作は、測光素子39のような撮像素子36とは独立した測光用センサを有する撮像装置であれば適用できる。すなわち、カメラシステム制御部50は、暗露光撮影のうち、入射光を遮断して撮像素子36の光電変換処理を実行するタイミングと、光電変換処理の出力から暗露光データを生成するタイミングとを異ならせてよい。
【0085】
上記の説明において、カメラシステム制御部50の動作として説明した処理は、カメラシステム制御部50がプログラムに従って撮像装置10が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。また、上記の説明において画像処理部55により実現される処理は、プロセッサによって実現することができる。例えば、画像処理部55の動作として説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って撮像装置10が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。すなわち、本実施形態の撮像装置10に関連して説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現することができる。すなわち、当該処理を、いわゆるコンピュータ装置によって実現することができる。コンピュータ装置は、上述した処理の実行を制御するプログラムをロードして、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータ装置は、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムをロードすることができる。
【0086】
本実施形態において、一眼レフカメラとしての撮像装置10の機能および動作を説明した。撮像装置としては、一眼レフカメラの他に、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、放送用の撮像機器、撮像機能付きの携帯電話機、撮像機能付きの携帯情報端末、撮像機能付きのゲーム機器等の娯楽装置等、撮像機能を有する種々の機器を適用の対象とすることができる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0089】
10 撮像装置、11 光軸、20 レンズユニット、21 レンズ系、22 前玉、23 レンズ群、24 レンズメモリ、25 レンズシステム制御部、26 鏡筒、27 レンズ回路基板、29 レンズマウント、30 カメラユニット、31 カメラマウント、32 メインミラー、33 ピント板、34 サブミラー、35 測光光学系、36 撮像素子、37 ペンタプリズム、38 接眼光学系、39 測光素子、40 メインミラー回転軸、41 フォーカルプレーンシャッタ、42 撮像素子基板、43 メイン基板、44 アイセンサ、45 温度センサ、46 把持センサ、47 センサ部、48 二次電池、49 電源制御部、50 カメラシステム制御部、51 駆動部、52 合焦ユニット、53 表示ユニット、54 操作入力部、55 画像処理部、56 外部接続IF、57 カメラメモリ、58 ワークメモリ、59 表示制御部、60 閃光部、400、401 本画像データ、410、411 暗露光データ、420、421 画像データ、700 設定画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1撮影を行った後、撮像素子への入射光を遮光して第2撮影を開始し、第2撮影の最中に撮影準備動作の指示入力を受け付けると、第2撮影から撮影準備動作に切り替える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2010−178264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮像素子を遮光状態にして電荷蓄積を開始した後に撮像指示があると、次の撮像を開始する前に、撮像素子のリセット動作を行わなければならない。また、閃光装置を駆動する必要がある場合には、次の撮像を開始する前に、更に閃光装置の充電をしなければならない。このように、被写体光束による撮像に対応して、撮像素子を遮光状態にして撮像を行う必要がある場合に、ユーザからの撮像指示にすぐに応答することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、撮像装置は、撮像素子と、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出部が動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様においては、撮像装置の制御プログラムは、ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出ステップと、撮像素子へ入射光を導いて撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子への入射光を遮断して撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、動作検出ステップにより動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御ステップとをコンピュータに実行させる。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】撮像装置10の要部の模式断面を示す。
【図2】撮像装置10のシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】NRを行う場合の撮像装置10のタイムシーケンスの一例を模式的に示す。
【図4】本撮影および暗露光撮影の動作を含むライブビュー撮影時のフローを示す。
【図5】本撮影および暗露光撮影の動作を含む非ライブビュー撮影時のフローを示す。
【図6】NR未処理の本画像データに関連して記憶される撮影関連情報の一例を示す。
【図7】NR処理の動作設定用の設定画面700の一例を模式的に示す。
【図8】撮像装置10の起動から終了までの処理フローの概略を示す。
【図9】ライブビュー撮影における処理フローの一例を示す。
【図10】NR処理を実行する場合の処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、撮像装置10の要部の模式断面を示す。撮像装置10は、ユーザ指示に応じて実行された被写体光束による本撮影後に、ユーザが新たに撮像する意図がないと判断される動作が検出されるまで、暗露光撮影を遅延させることで、ユーザの新たな撮像指示にすぐに応答することができる撮像装置を提供する。まず、撮像装置10の構成の概要について説明する。
【0010】
一眼レフカメラとしての撮像装置10は、レンズユニット20がカメラユニット30に装着されて、カメラとして機能する。レンズユニット20は、光軸11に沿って配列され鏡筒26に支持されたレンズ系21を備える。撮像レンズの一例としてのレンズ系21は、入射される被写体光束をカメラユニット30へ導く。レンズ系21は、レンズ系21を構成するレンズとしての前玉22およびレンズ群23と、絞り28とを含む。レンズ群23は、フォーカスおよびズームを担う。レンズ群23は、焦点調整、画角調整の指示に応じて、レンズ群23に含まれる1以上のレンズが光軸方向に移動できるように構成されている。カメラユニット30は、焦点調整および画角調整の指示をレンズユニット20に送信することができる。
【0011】
鏡筒26は、レンズ回路基板27を支持する。レンズ回路基板27は、レンズユニット20を制御する各種回路、電子素子等を搭載している。レンズユニット20は、カメラユニット30との接続部にレンズマウント29を備え、カメラユニット30が備えるカメラマウント31と係合して、カメラユニット30と一体化する。レンズマウント29とカメラマウント31とはそれぞれ通信端子を備えており、マウント同士が係合したときに互いの通信端子が接続される。これにより、レンズ回路基板27に搭載された各種回路、電子素子等は、カメラユニット30側と電気的に接続される。
【0012】
カメラユニット30は、レンズユニット20から入射される被写体光束を反射するメインミラー32と、メインミラー32で反射された被写体光束が結像するピント板33を備える。メインミラー32は、ミラーボックス内で、ミラーボックスの側壁に支持されたメインミラー回転軸40周りに揺動する。メインミラー32は、光軸11を中心とする被写体光束中に斜設される斜設状態と、被写体光束から退避した退避状態を取り得る。サブミラー34は、メインミラー32が被写体光束から退避する場合に、メインミラー32に連動して被写体光束から退避する。
【0013】
メインミラー32は、ライブビュースイッチが押し下げられた場合、または、レリーズボタンが最下部まで押し下げられた場合、破線で示した退避状態を取る。例えば、メインミラー32が被写体光束中に斜設された状態で、ライブビュースイッチが押し下げられた場合またはレリーズボタンが最下部まで押し下げられた場合、メインミラー32は破線で示した退避位置に移動する。ライブビュースイッチが押し下げられた場合、メインミラー32は再度ライブビューボタンが押し下げられるまで退避位置に留まる。一方、レリーズボタンが押し下げられた場合は、所定の撮像動作を終えると、メインミラー32はダウンされ元の斜設状態の位置に戻される。
【0014】
フォーカルプレーンシャッタ41および撮像素子36は、光軸11に沿って配列されている。撮像素子36は、撮像素子基板42に形成される。メインミラー32およびサブミラー34が退避状態である場合に、被写体光束は、レンズ系21を透過してカメラユニット30へ入射し、ミラーボックス内部と開放状態のフォーカルプレーンシャッタ41を通過して、撮像素子36の受光面で結像する。
【0015】
撮像素子36は、受光面で結像した被写体像を電気信号として出力する複数の光電変換素子を有する。撮像素子36としては、CMOSセンサ、CCDセンサ等を例示することができる。メイン基板43には、撮像素子36で光電変換された電気信号を処理する画像処理部55、カメラユニット30の全体を制御するカメラシステム制御部50等を実装する電気素子が搭載されている。
【0016】
カメラユニット30の背面には液晶モニタ等による表示ユニット53が配設されている。表示ユニット53は、撮像素子36が出力した画像信号から生成された画像を表示する。表示ユニット53は、画像処理部55によって被写体像の電気信号から生成された表示用画像データを用いて、被写体像を表示する。表示ユニット53は、撮像した画像に限らず、各種メニュー情報、撮像情報、告知情報等を表示する。ライブビュー時には、被写体に対して焦点調節をしながら、撮像素子36の受光面に結像した被写体像の電気信号から画像処理部55によって表示用画像データが生成され、生成された表示用画像データを用いて表示ユニット53が被写体像を表示する。
【0017】
ピント板33は、撮像素子36の受光面と共役の位置に配置されている。メインミラー32が斜設状態にある場合、ピント板33で結像した被写体像は、ペンタプリズム37で正立像に変換され、接眼光学系38を介してユーザに観察される。ペンタプリズム37の射出面上方には、測光素子39が配置される。測光素子39は、測光光学系35を介して、被写体像を撮像する光電変換素子である。また、測光素子39が備える光電変換素子により検出された被写体像の輝度分布は、シャッタスピード、絞り値等を決定するためにカメラシステム制御部50において使用される。また、被写体像の輝度分布は、人物の顔等を検出するために画像処理部55において使用される。
【0018】
斜設状態におけるメインミラー32の光軸11の近傍領域は、ハーフミラーとして形成されており、入射される被写体光束の一部が透過する。透過した被写体光束は、メインミラー32と連動して揺動するサブミラー34で反射されて、合焦ユニット52へ導かれる。合焦ユニット52に導かれた被写体光束は、合焦ユニット52内の合焦光学系を通じて合焦センサへ入射される。合焦センサは、複数の焦点調整領域のそれぞれにおいて合焦状態、前ピン状態、後ピン状態を示す位相差検出信号を出力する。前ピン状態、後ピン状態の場合には、位相差検出信号は合焦状態からのずれ量も示す。カメラシステム制御部50は、位相差検出方式による位相差AF(オートフォーカス)によって、レンズユニット20の焦点調節を行う。
【0019】
カメラユニット30には着脱可能な二次電池48が収容される。二次電池48は、カメラユニット30に限らず、レンズユニット20にも電力を供給する。電源がONされた場合に、二次電池48から撮像装置10の各部に電力が供給される。
【0020】
閃光部60は、被写体を照明する照明光としての閃光を発光する。閃光部60は、二次電池48からの電力を受けてキセノンランプ等から閃光を発光させる。閃光部60は、カメラシステム制御部50からの充電制御信号に応じて、充電の開始、終了等が制御される。また、閃光部60は、カメラシステム制御部50からの発光指示信号に応じて発光等の制御を行う。
【0021】
アイセンサ44は、撮像装置10にユーザが近接しているか否かを検出する。アイセンサ44は、接眼光学系38の近傍に設けられ、ユーザの顔部が撮像装置10に近接しているか否かの判定に用いる。アイセンサ44は、例えば、投光素子と、投光素子が投光した光が近接した物体に反射した反射光を受光する受光素子とを有する。カメラシステム制御部50は、受光素子で受光した受光量が所定値以上の場合に、ユーザの顔部が撮像装置10に近接していると判定する。アイセンサ44は、物体の近接を検出することができるセンサであれば、どのようなものでもよい。
【0022】
図2は、撮像装置10のシステム構成を概略的に示すブロック図である。撮像装置10のシステムは、レンズユニット20とカメラユニット30のそれぞれに対応して、レンズシステム制御部25を中心とするレンズ制御系と、カメラシステム制御部50を中心とするカメラ制御系により構成される。そして、レンズ制御系とカメラ制御系は、レンズマウント29とカメラマウント31とによって接続される通信端子を介して、相互に各種データ、制御信号の授受を行う。
【0023】
カメラ制御系に含まれる画像処理部55は、カメラシステム制御部50からの指示に従って、撮像素子36で光電変換された画像信号を処理して画像データを生成する。生成された画像データは、表示制御部59へ送られて、例えば撮影後の一定時間の間、表示ユニット53に表示される。これに並行して、画像データは、予め定められた画像フォーマットに加工され、外部接続IF56を介して外部メモリに記録される。また、画像処理部55は、測光素子39の出力を受けて被写体環境の明るさを算出する。算出された明るさ情報は、カメラシステム制御部50において適正露出の演算に用いられる。自動露出(AE)で制御される場合、カメラシステム制御部50は適正露出に従って露光時間、絞り28等を制御して、撮像素子36で露出する。
【0024】
カメラメモリ57は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、撮像装置10を制御するプログラム、各種変数、パラメータ等を記憶する役割を担う。ワークメモリ58は、例えばRAM等の高速アクセスできるメモリであり、処理中の画像データを一時的に保管する役割などを担う。
【0025】
駆動部51は、カメラシステム制御部50からの指令に従ってメインミラー32およびサブミラー34、フォーカルプレーンシャッタ41、閃光部60等を駆動する。操作入力部54は、レリーズボタン、撮像モードダイヤル等の操作部材がユーザに操作されたことを検出して、カメラシステム制御部50へ出力する。
【0026】
電源制御部49は、二次電池48と通信して残電力を検出する。また電源制御部49は、撮像装置10の各部への電力供給を制御する。電源制御部49は、二次電池48の他、家庭用AC電源等からの電力供給を制御してよい。
【0027】
レンズシステム制御部25は、カメラシステム制御部50からの制御信号を受けて各種動作を制御する。レンズメモリ24は、レンズ固有の情報およびレンズシステム制御部25が実行するプログラム等を記憶している。レンズ固有の情報は、通信端子を介してカメラシステム制御部50に送信され、カメラユニット30において、カメラシステム制御部50および画像処理部55等で利用される。
【0028】
センサ部47は、アイセンサ44、温度センサ45および把持センサ46を有する。センサ部47が有する各センサによる検出結果は、カメラシステム制御部50に出力される。温度センサ45は、撮像装置10の温度を検出する。具体的には、温度センサ45は、撮像素子36の近傍に設けられ、撮像素子36近傍の温度を検出する。把持センサ46は、ユーザが撮像装置10を把持しているか否かを検出する。例えば、把持センサ46は、ユーザに撮像装置10を把持させるグリップ部に設けられ、ユーザがグリップ部を把持したか否かを検出する。把持センサ46としては、タッチスイッチ、温度センサ等の他、種々の形式のものを適用できる。
【0029】
なお、把持センサ46は、レリーズボタンの近傍に設けられた受光センサを含んでよい。例えば、ユーザがレリーズボタンにタッチしている場合に、少なくとも一部の光がユーザの指等によって遮光される位置に、受光センサが設けられてよい。把持センサ46は、予め定められた値を超える光量が受光センサで検出された場合に、ユーザが撮像装置10を把持していない旨を検出してよい。
【0030】
図3は、ノイズリダクションを行う場合の撮像装置10のタイムシーケンスの一例を模式的に示す。特に、本撮影に伴って暗露光撮影を行う撮像動作を行う場合のタイムシーケンスについて説明する。
【0031】
カメラシステム制御部50がレリーズボタンに対する本撮影を指示する全押し操作をレリーズ指示として検出すると、駆動部51のタイミング制御により、本撮影の動作が行われる。具体的には、時刻t0からフォーカルプレーンシャッタ41の駆動を開始させ、フォーカルプレーンシャッタ41が開状態となると、撮像素子36による電荷蓄積が開始される。そして、電荷蓄積が開始されてから予め定められた露光時間が経過すると、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にするとともに、撮像素子36からの画像信号の読み出しを開始させる。
【0032】
画像信号を読み出しが完了した後、カメラシステム制御部50は、例えば検出されたユーザの動作から、次の本撮影に対応すべきか否かを判断する。カメラシステム制御部50は、次の本撮影に対応すべき旨を判断したときには、次の本撮影の準備を開始させる。例えばカメラシステム制御部50は、レリーズボタンが半押し状態である旨を検出した場合に、次の本撮影に対応すべき旨を判断してよい。カメラシステム制御部50は、本撮影の準備として、駆動部51を制御して、閃光部60の充電を行わせる。また、カメラシステム制御部50は、測光素子39の露光と、画像処理部55における適正露出を算出する測光処理等とを行わせる。閃光部60の充電、測光処理等が完了することにより、次の撮影を開始する準備が整う。
【0033】
カメラシステム制御部50は、次のレリーズ指示を検出すると、時刻t0からの本撮影時の動作と同様の動作をすることにより、時刻t1から次の本撮影の動作を実行する。これにより、速やかにユーザの本撮影を行うことができる。
【0034】
本撮影後、暗露光撮影イベントが生じた場合に、時刻t3から暗露光撮影を行う。例えば、カメラシステム制御部50は、例えばユーザの動作から暗露光撮影を行うべき旨を判断した場合、暗露光撮影を行う。例えば、カメラシステム制御部50は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作として、レリーズボタンの半押しが解除され、電源ボタンをオフにする動作が検出された場合等に、暗露光撮影を行うべき旨を判断してよい。暗露光撮影を行う場合、カメラシステム制御部50は、駆動部51を制御して、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、撮像素子36に本撮影時の電荷蓄積と同様の動作を開始させる。そして、時刻t0の本撮影時と同じ露光時間が経過すると、撮像素子36からの画像信号の読み出しを開始させる。これにより、時刻t0の本撮影に対応する暗露光撮影が完了する。
【0035】
画像処理部55は、時刻t0の本撮影で取得した本画像データから、暗露光撮影で取得した暗露光データを減算する処理を行う。これにより、本画像データについては、撮像素子36に起因する固定パターンノイズ等が低減される。なお、本画像データから暗露光データを減算する処理をNR(ノイズリダクション)処理と呼ぶ場合がある。
【0036】
本図に関連して説明した本撮影により本画像データを取得する動作は、撮像素子36へ入射光を導いて撮像素子36から第1画像データを取得する第1撮像動作の一例である。また、暗露光撮影により暗露光データを取得する動作は、撮像素子36への入射光を遮断して撮像素子36から第2画像データを取得する第2撮像動作の一例である。
【0037】
すなわち、カメラシステム制御部50は、撮像素子36へ入射光を導いて撮像素子36から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、撮像素子36への入射光を遮断して撮像素子36から第2画像データを取得する第2撮像動作を、ユーザによる予め定められた動作を検出したタイミングに同期して実行する。ユーザによる予め定められた動作としては、本図に関連して説明したように、レリーズボタンの半押しを解除する動作、ユーザが電源ボタンをオフにする動作等を例示することができる。このため、本撮影後にユーザがレリーズボタンを半押しされた状態に維持している場合には、本撮影後に続けて暗露光撮影を開始せずに、次の本撮影の準備を開始する。
【0038】
また、本撮影に続けてNR処理を実行する場合、暗露光撮影を行う露光時間と、暗露光データを読み出すデータ転送時間、本画像データから暗露光データを減算する補正演算を行う時間を要する。また、暗露光撮影中にレリーズ指示を受け付けた場合、次の本撮影前に、少なくとも蓄積電荷をリセットする動作を要する。しかし、撮像装置10によれば、ユーザが次の本撮影を行う意図があると判断された場合には、速やかに次の撮影準備を行うので、本撮影前に蓄積電荷のリセット動作が必要となる確率を著しく低減できる。したがって、ユーザはシャッタチャンスを逃すことなく次の本撮影を開始させることができる。このように、レリーズボタンの状態からユーザの次の本撮影の意図を判定することで、いわゆるレリーズタイムラグを、暗露光撮影を伴わない通常撮影と同等とすることができる。そして、撮像装置10は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作や、ユーザが電源をオフにする動作等、すぐに次の本撮影を行う意図がないと判定される動作を検出した場合に、暗露光撮影を行う。このため、NR処理が適用された画像データを提供できる。
【0039】
また、撮像素子36の電荷蓄積および読み出しと並行して閃光部60を充電すると、撮像データにノイズが混入する場合がある。しかし、撮像装置10によれば、ユーザが次の本撮影をする意図がある場合は、本撮影に続けて暗露光撮影を実行しないので、閃光部60の充電を速やかに開始することができる。このため、暗露光撮影を伴わない通常の撮影時と同様に、閃光部60を充電することができる。したがって、閃光部60を使用して撮影する場合のレリーズタイムラグと同等としつつ、必要に応じて閃光部60を発光させて次の本撮影を行うことができる。
【0040】
図4は、本撮影および暗露光撮影の動作を含むライブビュー撮影時のフローを模式的に示す。カメラシステム制御部50がライブビュースイッチの押し下げを検出した場合(ライブビュースイッチON)、時刻t140からライブビュー撮影を開始する。ライブビュー撮影では、撮像素子36から出力された画像信号から表示用画像データを画像処理部55が生成する。表示ユニット53は、順次に生成される表示用画像データを用いて被写体像を順次に表示する。
【0041】
レリーズボタンの押し込みを検出した場合(レリーズボタンON)、時刻t141から図3に関連して説明した本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データ400が取得される。本撮影の後、レリーズボタンの半押し状態が維持されている場合はライブビュー撮影が再開して、閃光部60の充電、測光処理等、次の本撮影の準備を行う。続いてレリーズボタンの押し込みを検出した場合、時刻t142から本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データ401が取得される。なお、本画像データ400および本画像データ401は、一例としてRAWデータの形式でワークメモリ58に保持される。
【0042】
時刻t142からの本撮影が完了した後、レリーズボタンの半押し状態が維持されている場合は、再度、ライブビュー撮影が再開される。ライブビュースイッチの再度の押し下げを検出した場合(ライブビュースイッチOFF)、時刻t143においてライブビュー撮影が終了する。
【0043】
続いて、電源ボタンをオフする動作が検出されると、時刻t144から、時刻t141で開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。この暗露光撮影では、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、時刻t141から開始した本撮影時と同じ露光時間の間、撮像素子36の電荷をリセットせずに維持した後、画像信号を読み出す。この暗露光撮影により、本画像データ400に対応するRAW形式の暗露光データ410を取得する。続いて、時刻t145から、時刻t142で開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。この暗露光撮影では、フォーカルプレーンシャッタ41を閉状態にしたまま、時刻t142から開始した本撮影時と同じ露光時間の間、撮像素子36の電荷をリセットせずに維持した後、画像信号を読み出す。この暗露光撮影により、本画像データ401に対応するRAW形式の暗露光データ411を取得する。
【0044】
画像処理部55は、本画像データ400から暗露光データ410を減算することにより、NR処理が施された画像データ420を生成する。ここで、画像処理部55は、撮像素子36が有する複数の光電変換素子に対応する複数の画素毎に減算する。同様に、画像処理部55は、本画像データ401から暗露光データ411を減算することにより、NR処理が施された画像データ421を生成する。続いて、電源制御部49は、二次電池48等の電源から撮像装置10の各部への電源供給を停止する。このように、ユーザが次の本撮影をする意図がある場合は、NR処理を後送りにして、すぐさまライブビュー画像を表示することができる。このため、ユーザは、ライブビュー画像から、構図の確認等、被写界の確認を行なうことができ、ライブビュー画像からシャッタチャンスを判断することができる。
【0045】
図5は、本撮影および暗露光撮影の動作を含む非ライブビュー撮影時のフローを模式的に示す。ここでは、接眼光学系38を通じて被写体像をユーザに提示する場合の動作フローについて説明する。ここでは、主として図4に関連して説明した動作との相違点につき説明する。
【0046】
レリーズボタンの押し込みを検出すると(レリーズボタンON)、時刻t150において本撮影を開始する。具体的には、カメラシステム制御部50は、メインミラー32をアップさせて退避状態とし、図3で説明した本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データが取得される。本撮影の後、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していることが検出された場合(アイセンサ出力:検出)は、暗露光撮影を行わずに、閃光部60の充電、等、次の本撮影の準備を行う。続いてレリーズボタンの押し込みを検出した場合、時刻t151から本撮影を行う。これにより、撮像素子36から本画像データが取得される。
【0047】
時刻t151からの本撮影が完了した後、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していることが検出された場合(アイセンサ出力:検出)は、暗露光撮影を行わずに、次の本撮影の準備を行う。
【0048】
続いて、アイセンサ44によりユーザの顔部が撮像装置10に近接していないことが検出された場合(アイセンサ出力:非検出)に、時刻t152から、時刻t150に開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。暗露光撮影が終了すると、時刻t153から、時刻t151に開始した本撮影に対応する暗露光撮影を開始する。そして、画像処理部55は、図4に関連して説明した動作と同様に、本画像データのそれぞれに対して、対応する暗露光データを減算することにより、NR処理が施された画像データを生成する。このように撮像装置10は、ユーザの顔部が撮像装置10から離間する動作を検出したタイミングに同期して、暗露光撮影を実行することができる。
【0049】
なお、図4、図5に関連して、2回の本撮影にそれぞれ対応して、暗露光撮影を2回行うとして説明した。しかし、2以上の本撮影を同じ露光時間で行った場合等には、それらの本撮影に対応する1の暗露光撮影を行って、得られた暗露光データを当該2以上の本撮影で得られた2以上の本画像データにNR処理を適用するようにしてもよい。その他、予め定められた長さより長い露光時間で1の暗露光撮影を行ってもよい。例えば、2以上の本撮影におけるそれぞれの露光時間のうち、最も長い露光時間で1の暗露光撮影を行ってよい。この場合、暗露光データを、本撮影時の露光時間に対する暗露光撮影時の露光時間の比に応じて補正して、補正した暗露光データを用いてNR処理を本画像データに施してもよい。
【0050】
また、以上の説明において、ユーザがレリーズボタンの半押しを解除する動作、ユーザが電源をオフにする動作、ユーザの顔部が撮像装置10から離間する動作等を検出したタイミングに同期して、暗露光撮影を実行するとした。しかし、ユーザがすぐに新たな撮影を行う意思がないと判断できる動作であれば、どのような動作を検出してもよい。例えば、ユーザが再生モードに切り替える動作、ユーザが撮像装置10の把持を終了する動作、ユーザが特定操作部材の操作を開始する動作または終了する動作を検出してよい。特定操作部材としては、ファンクションボタン等の予め定められた操作キーであってよい。これにより、ユーザは暗露光撮影を行うタイミングを意図的にコントロールすることができる。
【0051】
なお、レリーズボタンを半押しする等してユーザが新たな撮影をする意図が示されているような場合であっても、本撮影動作を実行してから予め定められた時間が経過したことを検出した場合には、ユーザ動作の検出結果に関わらず、暗露光撮影を実行してもよい。これにより、暗露光撮影の精度が、時間経過よって大きく低下することを抑制することができる。予め定められた時間としては、撮像装置10がスタンバイ状態に遷移すると判断されるまでの時間を例示できる。予め定められた時間として、スタンバイ状態に関する時間より短い時間を適用するなど、スタンバイ状態に関する時間とは異なる時間を適用してよいことはいうまでもない。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する他の場合としては、本撮影の回数が、予め定められた回数を超えたことを検出した場合を例示できる。
【0052】
また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する他の場合としては、撮像素子36近傍の温度が、本撮影動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したことを検出した場合を例示できる。許容温度としては、暗電流ノイズの誤差が予め定められた値未満となることが保証される温度を適用してよい。より大きい誤差が許容できる場合に、より大きい許容温度を適用できる。これにより、暗露光撮影の精度が、温度が変化することによって大きく低下することを抑制することができる。
【0053】
ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する更なる他の場合としては、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したことを検出した場合を例示できる。保証電圧としては、撮像装置10が動作を予め定められた固定の電圧であってよい。また、保証電圧として、NR処理を施していない本撮影に対応する暗露光撮影を行うことを保証できる電圧を適用してよい。具体的には、暗露光撮影を行うことを保証できる二次電池48の残存容量に対応する電圧を、保証電圧として適用してよい。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行する更なる他の場合としては、電源電圧が予め定められた許容電圧以上に変化したことを検出した場合を例示できる。許容電圧としては、暗電流ノイズの誤差が予め定められた値未満となることが保証される電圧を適用してよい。より大きい誤差が許容できる場合に、より大きい許容電圧を適用できる。これにより、暗露光撮影の精度が、電源電圧が変化することによって大きく低下することを抑制することができる。
【0054】
本撮影動作を実行してから予め定められた時間が経過したという時間条件、本撮影動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したという温度条件、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したという電源条件は、動作検出部の検出結果に関わらず暗露光撮影を実行するための予め定められた環境条件の一例である。これら複数の条件のいずれかの条件が満たされた場合に、予め定められた環境条件が検出されたとみなしてもよい。また、複数の条件に任意の組み合わせが満たされた場合に、予め定められた環境条件が検出されたとみなしてもよい。このように、撮像装置10によれば、予め定められた環境条件が検出された場合や、電源ボタンがオフされた場合等にNR処理を確実に実行することができる。このため、ユーザが暗露光撮影をし忘れる可能性を著しく低減できる。また、NR処理が施されずに、固定パターンが顕著な画像データが記録される可能性を著しく低減することができる。
【0055】
図6は、NR未処理の本画像データに関連づけて記憶される撮影関連情報の一例をテーブル形式で示す。カメラシステム制御部50は、NR処理を施していない本画像データを識別する識別情報としての未処理画像IDに対応づけて、本画像データを撮影したときの撮像時刻、温度、電源電圧および撮像条件をワークメモリ58に記憶する。ここで、本撮像時の温度は、温度センサ45により検出された、撮像素子36近傍の温度を示す。電源電圧は、電源制御部49により検出された、二次電池48の両極の電圧を示す。撮像条件は、露光時間および撮像感度を含む。
【0056】
カメラシステム制御部50は、撮影関連情報を参照して、本情報に記憶されている本撮影の撮像時刻から予め定められた時間以上の時間が経過した時刻を過ぎた場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影の撮像時刻に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影の撮像時刻に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。また、カメラシステム制御部50は、撮像素子36近傍の温度が、本情報に記憶されている本撮影時の温度から許容温度以上に変化したことを検出した場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影時の温度に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影時の温度に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。また、カメラシステム制御部50は、電源電圧が、本情報に記憶されている本撮影時の電圧から許容電圧以上に変化したことを検出した場合に、暗露光撮影を実行する。具体的には、カメラシステム制御部50は、当該本撮影時の電圧に対応づけて記憶された撮像条件で暗露光撮影を行うことにより、当該本撮影時の電圧に対応づけて記憶された本撮影画像に対応する暗露光データを取得する。
【0057】
図7は、NR処理の動作をユーザが設定するための設定画面700の一例を模式的に示す。本設定画面700は、表示ユニット53に表示される。設定画面700は、NR処理を行う旨を示すONアイコンおよび、NR処理を行わない旨を示すOFFアイコンを含む。ユーザは、操作入力部54の一部として十字キー等を用いてONアイコンおよびOFFアイコンのいずれかを選択することにより、NR処理の有無を設定できる。カメラシステム制御部50は、ユーザによってONが選択されていることを条件として、暗露光撮影を含むNR処理を行う。したがって、OFFが選択された場合は、暗露光撮影は行わない。
【0058】
設定画面700は、暗露光撮影の動作速度を設定するための項目を含む。本図において、暗露光撮影を実行すると判断されるユーザ動作および環境条件に対応する項目毎に、暗露光撮影の動作速度を設定できる。例えば、本設定画面700において、「電源OFF」は、電源がオフされた場合の暗露光撮影の動作速度を設定するための項目である。「電源変化」は、上述した電圧条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「温度変化」は、上述した温度条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「時間経過」は、上述した時間条件が満たされた場合の動作速度を設定するための項目である。「ユーザセンサ」は、アイセンサ44の検出結果、把持センサ46の検出結果、レリーズボタンの半押しの検出結果等、ユーザの動作を検出する検出結果に応じて暗露光撮影を実行する場合の動作速度を設定するための項目である。
【0059】
設定画面700は、各項目について、「NORM」、「HIGH」および「AUTO」の中から、暗露光撮影の動作速度をユーザに選択させる。「NORM」は、本撮影時の露光時間と同じ露光時間で暗露光撮影を行うことを示す。「HIGH」は、本撮影時の露光時間より短い露光時間で暗撮影を行うことを示す。「AUTO」は、本撮影時の露光時間を撮像装置10で自動に決定することを示す。
【0060】
このように、カメラシステム制御部50は、ユーザによって事前に指定された動作に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定する。また、「AUTO」が設定された場合、カメラシステム制御部50が露光時間を自動で決定する。例えば、電圧条件が検出された場合に、本撮影時の露光時間よりも短い露光時間を決定することができる。例えば、本撮影の露光時間が8秒である場合、4秒の露光時間で暗露光撮影を行ってよい。この場合、画像処理部55は、暗露光データの画素値を2倍することにより、本撮影時との間の露光時間の違いをキャンセルする補正を暗露光データに施す。そして、画像処理部55は、本画像データから補正した暗露光データを減算することにより、本画像データにNR処理を施してよい。暗露光撮影を短い露光時間ですることで、暗露光撮影に要する時間を短縮することができる。このため、二次電池48の残存容量が少なくなった場合に、NR処理が未処理の本画像データが多く存在しているときでも、確実に暗露光撮影を行うことができる場合がある。
【0061】
本図に関連して説明したように、カメラシステム制御部50は、検出した動作の種類に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定することができる。また、検出した環境条件に応じて、暗露光撮影における光電変換時間を決定することができる。
【0062】
図8は、撮像装置10の起動から終了までの処理フローの概略を示す。本フローは、例えば電源ボタンが押し込まれた場合に、開始される。本フローは、カメラシステム制御部50が主体となって撮像装置10の各部を制御することにより実行される。
【0063】
ステップS800において、カメラシステム制御部50は、初期設定を開始する。例えば、カメラシステム制御部50は、撮像装置10を制御するための各種パラメータ等を、カメラメモリ57からワークメモリ58に展開する。また、カメラシステム制御部50は、例えば撮像モードダイヤル等の状態、および、展開された各種変数、パラメータ等に従って、撮像装置10の各部の動作条件を設定する。動作条件としては、図7に関連して説明したNR処理の動作条件の他、人物、風景等を指定する被写体の種別に関する撮像モード、露光時間および撮像感度等を含む撮像条件、記録画素数等の記録条件等を例示することができる。
【0064】
続いて、ステップS802において、初期設定で設定した動作条件を表示ユニット53に表示する。例えば、カメラシステム制御部50は、設定した動作条件を、アイコン表示等の種々の形式で表示ユニット53に表示させる。
【0065】
続いて、ステップS804において、カメラシステム制御部50は、操作入力部54に対するユーザ指示を特定する。ユーザ指示が諸設定を実行する指示である場合、カメラシステム制御部50が主体となって、指示された設定処理を行う(ステップS806)。設定処理としては、NR処理の動作条件の他、撮像モード、撮像条件、記録条件を設定する処理等を例示することができる。ステップS806では、図7に関連して説明したユーザ設定の他に、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を行うと判断されるまでの、本撮影からの時間を設定してよい。また、ユーザ動作の検出結果に関わらず暗露光撮影を行うと判断されるまでの、本撮影の回数等を設定してもよい。
【0066】
ステップS804において、ユーザ指示が撮像実行に関する指示であると判断された場合、撮像実行に関する処理を行う(ステップS812)。撮影実行に関する指示としては、ライブビューボタン、動画撮影ボタン、レリーズボタンに対する操作等を例示することができる。ステップS804におけるユーザ指示が画像の再生を実行する指示である場合、再生処理を実行する(ステップS822)。再生処理としては、外部メモリに記録された静止画、動画等の画像をサムネイル表示する処理、ユーザにより指示された画像を表示する処理等を例示することができる。ステップS822では、これらの再生処理に並行して、ステップS832およびステップS834に関連して説明するNR処理を行ってもよい。
【0067】
ステップS804においてユーザ指示がない場合は、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する(ステップS832)。例えば、図6に関連して説明した情報を参照して、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する。NR処理が未処理の本画像データがある場合は、ステップS834においてNR処理を行い、ステップS808に処理を進める。なお、ステップS834の処理については後述する。NR処理が未処理の本画像データが無い場合は、NR処理を行わずにステップS808に処理を進める。
【0068】
ステップS806、ステップS812、ステップS822の処理が完了した場合、ステップS808に処理を進める。ステップS808では、電源をOFFするか否かを判断する。例えば、電源ボタンが再度押し込まれた場合や、撮像装置10が動作を開始してから予め定められた期間、ユーザ指示が無い状態が継続した場合等に、電源をOFFすると判断する。ステップS808の判断において電源をOFFしないと判断した場合は、ステップS804に処理を移行させる。電源をOFFすると判断した場合は、電源OFF時の処理を行い(ステップS810)、本フローを終了する。電源OFF時の処理としては、ユーザにより設定された動作設定等の変数データをカメラメモリ57に記録する処理を例示することができる。また、電源OFF時の処理として、ステップS832およびステップS834の処理ブロックによるNR処理を含む。
【0069】
図9は、撮像実行に関する処理フローの一例を示す。本例では、ステップS812の一部の処理として、ライブビュー撮影が指示された場合の処理フローを示す。例えば、本フローは、ライブビュースイッチが押し込まれた場合に、開始される。
【0070】
本フローが開始すると、カメラシステム制御部50は、ライブビュー画像の取得および表示を行わせる(ステップS902)。続いて、ステップS904において、カメラシステム制御部50は、レリーズボタンが全押しされたか否かを判断する。レリーズボタンが全押しされた場合、カメラシステム制御部50は、本画像データを取得させる(ステップS906)。続いて、ステップS908において、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データとして、ワークメモリ58に保持する。また、カメラシステム制御部50は、図6に関連して説明した撮影関連情報のデータとして、本画像データを識別する識別情報、本画像データの撮像時刻、撮像素子36近傍の温度、および撮像条件のデータを追加する。
【0071】
続いて、ステップS910において、カメラシステム制御部50は、閃光部60の充電が必要か否かを判断する。具体的には、カメラシステム制御部50は、画像処理部55における測光処理の処理結果および閃光部60の充電状況に応じて、閃光部60の充電が必要か否かを判断する。閃光部60の充電が必要であると判断された場合、閃光部60の充電を開始し(ステップS912)、ステップS914に処理を進める。ステップS910の判断において、閃光部60の充電が不要であると判断された場合、閃光部60の充電を開始せずにステップS914に処理を進める。
【0072】
ステップS904の判断において、レリーズボタンが全押しされてないと判断した場合、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する(ステップS916)。例えば、図6に関連して説明した撮影関連情報を参照して、NR処理が未処理の本画像データの有無を判断する。NR処理が未処理の本画像データがある場合は、ステップS918においてNR処理を行い、ステップS914に処理を進める。なお、ステップS918の処理については後述する。NR処理が未処理の本画像データが無い場合は、NR処理を行わずにステップ914に処理を進める。
【0073】
ステップS914において、カメラシステム制御部50は、ライブビュー撮影を終了するか否かを判断する。例えば、ライブビュースイッチが再度押し込まれた場合に、ライブビュー撮影を終了すると判断する。また、再生ボタン等の、ライブビュー撮影を終了すべきキーとして予め定められたキーが操作された場合に、ライブビュー撮影を終了すると判断してよい。また、ライブビュー撮影を開始してから予め定められた期間、レリーズ指示等のユーザ指示が無い状態が継続した場合にも、ライブビュー撮影を終了すると判断してよい。ライブビュー撮影が終了しないと判断した場合、ステップS902に処理を移行する。ライブビュー撮影を終了すると判断した場合、本フローを終了する。
【0074】
図10は、NR処理を実行する場合の処理フローの一例である。具体的には、図8のステップS834、図9のステップS918の具体的な処理フローである。本フローが開始されると、ステップS1002において、二次電池48の残存容量が予め定められた値より小さいか否かを判断する。二次電池48の残存容量が予め定められた値以上である場合、ステップS1004において、ユーザの動作条件を満たすか否かを判断する。例えば、レリーズボタンの半押し動作が解除された場合や、電源ボタンがオフされた場合等、上述した予め定められた動作を検出した場合に、ユーザの動作条件を満たすと判断する。
【0075】
ユーザの動作条件を満たさないと判断された場合、カメラシステム制御部50は、NR処理が未処理の本画像データのうち、温度変化条件、時間経過条件、電圧変化条件を満たす本画像データの有無を判断する(ステップS1006)。条件を満たす本画像データがある場合、カメラシステム制御部50は、対応する暗露光撮影を行わせる(ステップS1008)。この暗露光撮影では、図7に関連して説明したユーザ設定に従って、検出された環境条件に対応する露光時間で暗露光撮影をしてよい。なお、条件を満たす複数の本画像データが存在する場合、同一の撮像条件で撮影された複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。また、異なる撮像条件で撮影された複数の本画像データについて、上述したような露光時間等の補正を暗露光データに適用できると判断される場合は、複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。
【0076】
続いて、ステップS1010において、画像処理部55は、環境条件を満たす本画像データから、暗露光撮影により取得された暗露光データを減算することにより、当該本画像データにNR処理を含む画像処理を施す。NR処理を施すと、図6に関連して説明したデータの中から、当該本画像データに対応するデータを削除して、本フローを終了する。
【0077】
なお、環境条件を検出した場合は、暗露光撮影を実行する前に、ユーザに警告を行ってよい。例えば、カメラシステム制御部50は、暗露光撮影を開始する旨を表示ユニット53に表示させ、暗露光撮影をしない旨の指示をユーザから受け付けた場合には、ステップS1008およびステップS1010の処理を行わずに本フローを終了してもよい。
【0078】
ステップS1002の判断において、電池の残存容量が予め定められた値より小さいと判断された場合、ステップS1012に処理を進める。また、ステップS1004の判断において、ユーザの動作条件を満たすと判断された場合も、ステップS1012に処理を進める。ステップS1012においては、NR処理が未処理の全画像に対応する暗露光撮影を行う。この暗露光撮影では、図7に関連して説明したユーザ設定に従って、電圧変化またはユーザセンサに対応する露光時間で暗露光撮影をしてもよい。また、同一の撮像条件で撮影された複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。また、異なる撮像条件で撮影された複数の本画像データについて、上述したような露光時間等の補正を暗露光データに適用できると判断される場合は、複数の本画像データにつき1の暗露光撮影を行ってもよい。
【0079】
続いて、ステップS1014において、画像処理部55は、条件を満たす本画像データから、暗露光撮影により取得された暗露光データを減算することにより、本画像データにNR処理を含む画像処理を施す。NR処理を施すと、図6に関連して説明したデータの中から、当該本画像データに対応するデータを削除して、本フローを終了する。
【0080】
なお、ステップS1010、ステップS1014において、画像処理部55は、NR処理が施された本画像データに、ホワイトバランス処理、色補間処理、色補正処理、ガンマ補正、輪郭強調処理、圧縮符号化等、予め定められた処理を施して、外部メモリ等への記録用の画像を生成してよい。生成された記録用の画像データは、外部接続IF56を介して、外部メモリに記録されてよい。
【0081】
なお、ステップS1010、ステップS1014において、暗露光撮影で得られた暗露光データを、本撮影時および暗露光時のそれぞれにおける撮像素子36近傍の温度に応じて補正して、補正した暗露光データを本撮影データから減算してもよい。例えば、暗露光データの輝度レベルに、予め定められた温度係数を乗じることで、暗露光データを補正してよい。ここで、温度係数とは、暗露光撮影で得られた輝度レベルと、暗露光撮影時の温度と本撮影時の温度との温度差に応じて、当該輝度レベルを補正する係数であってよい。暗露光時の輝度レベルは、温度が高いほど大きくなり、温度が低いほど小さくなる。本温度係数は、温度差に応じて輝度レベルを補正する値であり、カメラメモリ57にパラメータとして予め記録されてよい。
【0082】
以上の説明では、撮像装置10の動作を分かり易く説明することを目的として、本撮影後にユーザが次の本撮影を行う意図があると判断された場合に、暗露光撮影の露光動作および本画像データから暗露光データを減算するデータ処理を含むNR処理の全体を、遅延させるとした。しかし、暗露光撮影の露光動作とデータ処理を実行するタイミングとを、別個に制御してもよい。
【0083】
例えば、本撮影後に、測光素子39の露光と並行して、暗露光撮影の露光動作を実行してよい。この場合に、本画像データからの減算用の暗露光データを生成するタイミングを、遅延させてもよい。例えば、暗露光撮影で得られた画像信号から直接に生成された暗露光データに補正等の前処理を施すタイミングと、本画像データから暗露光データを減算するタイミングとを遅延させてもよい。本画像データに対する減算処理用の暗露光データを生成するタイミングを遅延させることによって、画像処理部55は、測光素子39からの出力データに対する顔検出や適正露出等の演算を速やかに開始し完了させることができる。このため、本撮影の直後に暗露光撮影をしつつ、次の本撮影の準備を速やかに完了できる場合がある。なお、この場合の暗露光撮影の露光時間を、本撮影の露光時間と一致させてもよいが、測光素子39の露光に要する時間を上限として暗露光撮影の露光動作を行ってもよい。上述したように、暗露光撮影の露光時間が本撮影の露光時間と一致しない場合でも、露光時間の比等を用いて暗露光データを補正できる場合がある。この場合、測光素子39の露光のような次の本撮影の準備に要する時間内で、暗露光撮影の露光動作を行うことができる。そして、本画像データに対する減算処理用の暗露光データを生成する処理等のタイミングを遅延させることで、画像処理部55において測光データに対する演算を集中して行うことができる。
【0084】
このような暗露光撮影の露光動作とデータ処理を実行するタイミングとを別個に制御する動作は、測光素子39のような撮像素子36とは独立した測光用センサを有する撮像装置であれば適用できる。すなわち、カメラシステム制御部50は、暗露光撮影のうち、入射光を遮断して撮像素子36の光電変換処理を実行するタイミングと、光電変換処理の出力から暗露光データを生成するタイミングとを異ならせてよい。
【0085】
上記の説明において、カメラシステム制御部50の動作として説明した処理は、カメラシステム制御部50がプログラムに従って撮像装置10が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。また、上記の説明において画像処理部55により実現される処理は、プロセッサによって実現することができる。例えば、画像処理部55の動作として説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って撮像装置10が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。すなわち、本実施形態の撮像装置10に関連して説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現することができる。すなわち、当該処理を、いわゆるコンピュータ装置によって実現することができる。コンピュータ装置は、上述した処理の実行を制御するプログラムをロードして、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータ装置は、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムをロードすることができる。
【0086】
本実施形態において、一眼レフカメラとしての撮像装置10の機能および動作を説明した。撮像装置としては、一眼レフカメラの他に、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、放送用の撮像機器、撮像機能付きの携帯電話機、撮像機能付きの携帯情報端末、撮像機能付きのゲーム機器等の娯楽装置等、撮像機能を有する種々の機器を適用の対象とすることができる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0089】
10 撮像装置、11 光軸、20 レンズユニット、21 レンズ系、22 前玉、23 レンズ群、24 レンズメモリ、25 レンズシステム制御部、26 鏡筒、27 レンズ回路基板、29 レンズマウント、30 カメラユニット、31 カメラマウント、32 メインミラー、33 ピント板、34 サブミラー、35 測光光学系、36 撮像素子、37 ペンタプリズム、38 接眼光学系、39 測光素子、40 メインミラー回転軸、41 フォーカルプレーンシャッタ、42 撮像素子基板、43 メイン基板、44 アイセンサ、45 温度センサ、46 把持センサ、47 センサ部、48 二次電池、49 電源制御部、50 カメラシステム制御部、51 駆動部、52 合焦ユニット、53 表示ユニット、54 操作入力部、55 画像処理部、56 外部接続IF、57 カメラメモリ、58 ワークメモリ、59 表示制御部、60 閃光部、400、401 本画像データ、410、411 暗露光データ、420、421 画像データ、700 設定画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、
前記撮像素子へ入射光を導いて前記撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、前記撮像素子への前記入射光を遮断して前記撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、前記動作検出部が前記動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記動作検出部は、ユーザが電源をオフにする動作を検出する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記動作検出部は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作を検出する請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記動作検出部は、ユーザが再生モードに切り替える動作を検出する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記動作検出部は、ユーザの顔部が前記撮像装置から離間する動作を検出する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記動作検出部は、ユーザが前記撮像装置の把持を終了する動作を検出する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記動作検出部は、ユーザが特定操作部材の操作を開始する動作または終了する動作を検出する請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
予め定められた環境条件を検出する環境検出部を備え、
前記撮像制御部は、前記環境検出部が前記環境条件を検出した場合は、前記動作検出部の検出結果に関わらず、前記第2撮像動作を実行する請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像制御部は、前記環境検出部が前記環境条件を検出した場合は、前記第2撮像動作を実行する前に、ユーザに警告を行う請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記環境検出部は、前記第1撮像動作を実行してから予め定められた時間が経過したことを検出する請求項8または9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記環境検出部は、前記撮像素子近傍の温度が、前記第1撮像動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したことを検出する請求項8から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記環境検出部は、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したことを検出する請求項8から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像制御部は、前記第2撮像動作のうち、前記入射光を遮断して前記撮像素子の光電変換処理を実行するタイミングと、前記光電変換処理の出力から前記第2画像データを生成するタイミングとを異ならせる請求項1から12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像制御部は、検出した前記動作の種類に基づいて、前記第2撮像動作における光電変換時間を決定する請求項1から13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像制御部は、ユーザによって事前に指定された前記動作に基づいて、前記第2撮像動作における光電変換時間を決定する請求項1から13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出ステップと、
撮像素子へ入射光を導いて前記撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、前記撮像素子への前記入射光を遮断して前記撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、前記動作検出ステップにより前記動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御ステップと
をコンピュータに実行させる撮像装置の制御プログラム。
【請求項1】
撮像素子と、
ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出部と、
前記撮像素子へ入射光を導いて前記撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、前記撮像素子への前記入射光を遮断して前記撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、前記動作検出部が前記動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記動作検出部は、ユーザが電源をオフにする動作を検出する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記動作検出部は、ユーザがレリーズ指示を終了する動作を検出する請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記動作検出部は、ユーザが再生モードに切り替える動作を検出する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記動作検出部は、ユーザの顔部が前記撮像装置から離間する動作を検出する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記動作検出部は、ユーザが前記撮像装置の把持を終了する動作を検出する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記動作検出部は、ユーザが特定操作部材の操作を開始する動作または終了する動作を検出する請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
予め定められた環境条件を検出する環境検出部を備え、
前記撮像制御部は、前記環境検出部が前記環境条件を検出した場合は、前記動作検出部の検出結果に関わらず、前記第2撮像動作を実行する請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像制御部は、前記環境検出部が前記環境条件を検出した場合は、前記第2撮像動作を実行する前に、ユーザに警告を行う請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記環境検出部は、前記第1撮像動作を実行してから予め定められた時間が経過したことを検出する請求項8または9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記環境検出部は、前記撮像素子近傍の温度が、前記第1撮像動作を実行したときの温度から予め定められた許容温度以上に変化したことを検出する請求項8から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記環境検出部は、電源電圧が予め定められた保証電圧以下に低下したことを検出する請求項8から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像制御部は、前記第2撮像動作のうち、前記入射光を遮断して前記撮像素子の光電変換処理を実行するタイミングと、前記光電変換処理の出力から前記第2画像データを生成するタイミングとを異ならせる請求項1から12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像制御部は、検出した前記動作の種類に基づいて、前記第2撮像動作における光電変換時間を決定する請求項1から13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像制御部は、ユーザによって事前に指定された前記動作に基づいて、前記第2撮像動作における光電変換時間を決定する請求項1から13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
ユーザによる予め定められた動作を検出する動作検出ステップと、
撮像素子へ入射光を導いて前記撮像素子から第1画像データを取得する第1撮像動作に対応する、前記撮像素子への前記入射光を遮断して前記撮像素子から第2画像データを取得する第2撮像動作を、前記動作検出ステップにより前記動作を検出したタイミングに同期して実行する撮像制御ステップと
をコンピュータに実行させる撮像装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−81132(P2013−81132A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221012(P2011−221012)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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