説明

撮像装置及び制御方法

【課題】 適切且つ容易にバウンス撮影を行うことができるようにすること。
【解決手段】 撮像装置による撮影に用いられる、発光角度が変更可能なフラッシュ装置の制御方法であって、前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、測光手段により各発光角度において測光を行う測光工程と(S105)、記憶手段により、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いて、最も大きい測光値が得られた発光角度を記憶する記憶工程と(S105〜S108)、設定手段により、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定する設定工程と(109)を有し、前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置で行われるフラッシュ撮影時のフラッシュ制御に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュを使用した撮影において、被写体にフラッシュ光を直接照射して撮影するときに、被写体の目が赤く写る赤目現象が知られている。また、フラッシュ光を直接照射すると、細かな陰影が飛んで平板な写真になったり、背景にまで光が回らず周囲が薄暗くなることがある。更に、太陽光や室内灯では影が下にできるが、フラッシュ光を直接照射すると横方向に影ができるため、被写体の後ろに壁などがあると被写体の影が写りこんでしまう。
【0003】
上記のフラッシュ光の直接照射の問題を解決するための手法として、フラッシュ光の間接照射を行うバウンス照射が挙げられる。バウンス照射ではフラッシュ光を天井や壁などの反射体からの反射により拡散された光を用いるため、被写体にほぼ均一でやわらかい光を照射することができる。しかしながら、バウンス照射において、フラッシュの発光角度が適切でないと光量不足に陥ったり、被写体の一部にしか照射されなかったりしてしまう。これは、従来、バウンス照射において被写体を適切に照射しているかどうかを判断するのは、撮影者の勘やコツによるものであるためである。
【0004】
これに対し、例えば、特許文献1ではバウンス光を照射するフラッシュの発光角度と照射角度とを求める手法が開示されている。この手法では、カメラから被写体までの距離情報とフラッシュの発光部から天井までの距離情報を求めて、2つの距離情報から最適なバウンス照射ができるようにフラッシュの発光角度と照射角度とを演算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−304440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、反射体の反射率による影響、即ち被写体からの反射光や、レンズの絞り値等の実際の露光量を考慮しておらず、必ずしも適切な発光角度とならないことがあった。
【0007】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、容易に適切なバウンス撮影を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、発光角度が変更可能なフラッシュ装置を制御する本発明の撮像装置は、測光手段と、前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、各発光角度において前記測光手段により測光を行わせ、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いて、最も大きい測光値が得られた発光角度を記憶する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定して、撮影を行うように制御し、前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に適切なバウンス撮影を行うことができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態におけるカメラシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める処理を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態におけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める処理を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態におけるフラッシュの発光角度を説明するための図。
【図5】第2の実施形態における測光値が最大となる発光角度を求める方法の一例を説明するための図。
【図6】第3の実施形態におけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める処理を示すフローチャート。
【図7】第3の実施形態のカメラシステムにおける表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施形態にかかる撮像装置の一例として、カメラシステムの概略構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態のカメラシステムは、カメラ1とフラッシュ2から構成される。なお、カメラ1とフラッシュ2は、着脱可能に構成されていても、一体的に構成されていても、どちらでも構わない。
【0013】
11はカメラ1のシステム全体を制御するマイコンであり、既知のCPUやA/D変換部等が内蔵される。以下、「カメラCPU」と呼ぶ。12は多分割測光センサであり、不図示の撮影レンズを介して入射した光学像を複数の領域に分割し、領域毎に測光値を出力する。多分割測光センサ12から取得した測光値はカメラCPU11でA/D変換され、自動露出制御の演算に用いられる。
【0014】
21は、フラッシュ2のシステム全体を制御するマイコンであり、既知のCPUやA/D変換部等が内蔵される。以下、「フラッシュCPU」と呼ぶ。22は所定の配光角を持ったフラッシュ発光部であり、閃光管が用いられる。フラッシュ発光部22の発光角度は変更可能であり、23はフラッシュ発光部22の発光角度を調節する駆動回路である。24はフラッシュ発光部と同位置にあるLEDであり、動画を撮影するときはフラッシュ発光部22に代わって補助光として点灯する。25はフラッシュ発光部22の傾きを検出する角度検出器であり、検出したフラッシュ発光部22の発光角度をフラッシュCPU21を介してカメラCPU11へ送信する。26は表示部であり、フラッシュ2の発光量などの情報を表示する。また、手動でフラッシュ発光部22の角度を調整する時のインジゲータを表示する。
【0015】
次に、上記構成を有するカメラシステムにおけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める本第1の実施形態の処理方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートはカメラ1がバウンス照射時に、最適なフラッシュ発光部22の発光角度を検出するプログラムに入ったところからスタートする。なお、発光角度を検出するプログラムは、例えば発光角度検出スイッチをカメラ1あるいはフラッシュ2に設けておき、ユーザにより該発光角度検出スイッチが操作されることで実行開始すればよい。
【0016】
S101では、フラッシュ発光部22の角度がカメラ1の不図示の撮影レンズの光軸に対して略平行になるように、カメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して、駆動回路23を制御する。カメラCPU11はフラッシュCPU21と通信して、角度検出器25からフラッシュ発光部22の角度が光軸と略平行になったと読み取ったときに、多分割測光センサ12にフラッシュ光を照射しない状態で測光を行わせる。そして、カメラCPU11に多分割測光センサ12の全領域から得られた測光値を記憶する。次に、S102では、カメラCPU11はフラッシュCPU21と通信して、フラッシュ発光部22を一定光量で発光させ、被写体にダイレクト光を照射する。そして、多分割測光センサ12がダイレクト光照射時の測光を行い、カメラCPU11は多分割測光センサ12により得られた測光値と、記憶したフラッシュ光照射のない場合の測光値との差分を演算し記憶する。なお、以下の説明では、フラッシュ光を照射したときに多分割測光センサ12で測光した測光値から、S101で記憶したフラッシュ光照射のない場合の測光値との差分を、フラッシュ光を照射したときの「測光値」と呼ぶ。
【0017】
S103では、カメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して駆動回路23を制御し、フラッシュ発光部22を光軸に対して垂直方向に一定角度動かす。S104では、カメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して、角度検出器25からフラッシュ発光部22の角度を読み取り、垂直かどうかを判断する。垂直であればS109に進み、垂直でないときはS105に進む。S105では、カメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して、フラッシュ発光部22を一定光量で発光させ、多分割測光センサ12が測光する。S106では、カメラCPU11はS102で記憶した測光値と、S105で測光した測光値とを比較する。
【0018】
S106では、S105で測光した測光値と、S102で記憶した測光値とが同レベルの値であることを検出すると、フラッシュ光がダイレクトに被写体に照射されていると判断する。なお、同レベルの値かどうかは、比較された2つの測光値の差が予め決められた所定範囲内にあるかどうかによって判断する。そして、フラッシュ光がダイレクトに被写体に照射されていると判断されると、S103に戻ってカメラCPU11はフラッシュCPU21と通信し、フラッシュ発光部22を垂直方向に一定角度動かし、上述した処理を繰り返す。一方、S105で測光した測光値と、S102で記憶した測光値との差が所定範囲外にあると判断されると、S107に進む。
【0019】
S107では、S105で測光した測光値の内、被写体に対応する領域の測光値の平均値を演算する。この平均値が、前回までの測光値から得られた測光値の平均値を上回ったときはS108に進み、以下のときはS103に戻る。S108では、S107で得られた測光値の平均値をカメラCPU11が上書きして記憶する。また、カメラCPU11は、S105で測光したときのフラッシュ発光部22の発光角度を角度検出器25からフラッシュCPU21と通信して読み出し、上書きして記憶する。そして、カメラCPU11がフラッシュ発光部22の角度を垂直まで動かした時に記憶されていた角度が、最適なバウンス照射時のフラッシュ発光部22の発光角度となる。S109では、カメラCPU11は、S108で記憶したフラッシュ発光部22の発光角度の角度データを読出し、該発光角度になるようにフラッシュCPU21を経由して駆動回路23を制御する。
【0020】
上記の通り、本第1の実施形態によれば、実際の測光量からバウンス照射時に被写体が最も明るくなる角度を見つけ出すことができるようになり、最適なフラッシュ発光部22の発光角度を自動で設定することができる。また、被写体にダイレクトにフラッシュ光が照射されることを防ぐことができる。
【0021】
また、最適な発光角度として、被写体に対応する領域の測光値の平均値が最大となる発光角度を求めたが、これに限るものではなく、測光値に基づいて発光角度を決定するのであれば、本願発明に含まれる。例えば、多分割測光センサ12の全領域の測光値に基づいて求めても、中央の領域の測光値に基づいて求めても良い。更には、予め設定された条件に基づいて、各領域に重み付けを行い、各領域から得られる測光値を重み付け平均しても構わない。
【0022】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本第2の実施形態におけるカメラシステムの構成は、図1を参照して第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、図3のフローチャートを参照して、本第2の実施形態におけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める処理方法について説明する。図3のフローチャートはカメラ1がバウンス照射時に、最適なフラッシュ発光部22の発光角度を検出するプログラムに入ったところからスタートする。
【0023】
なお、図3において、S101〜S106の処理は、S104におけるフラッシュ発光部22の角度が、垂直かどうかの判断処理を含まない事を除いて、図1のS101〜S106の各ステップで行われる処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。S106で、S105で測光した測光値と、S102で記憶した測光値との差が所定範囲外にあると判断されると、S206に進む。
【0024】
S206では、カメラCPU11は、S106でダイレクト光の照射が検出されなくなったときのフラッシュ発光部22の角度データを角度検出器25からフラッシュCPU21と通信して読み取り、記憶する。例えば、図4に示す例では、上記演算により、バウンス照射時においてフラッシュ発光部22の発光角度が、角度101の範囲にあれば、ダイレクト光が照射されていると判断されるものとする。この場合、最適なバウンス照射時のフラッシュ発光部22の発光角度を検出するのは、角度102の範囲内でよいことになる。
【0025】
S207では、角度102の範囲から、測光する角度を等間隔に複数点(図4の例では3点)算出する。この演算より図4の角度103、104、105が求まる。S208では、カメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して駆動回路23を制御し、フラッシュ発光部22を角度101から垂直方向に算出した角度の1つへ動かす。S209では、カメラCPU11はフラッシュCPU21と通信して、フラッシュ発光部22を一定光量で発光させると共に、多分割測光センサ12による測光を行わせる。S210では、S209で測光して得た測光値の内、被写体に対応する領域の測光値の平均値を演算し、カメラCPU11に記憶する。また、カメラCPU11は、S209で測光した時のフラッシュ発光部22の発光角度を角度検出器25からフラッシュCPU21と通信して読み出し、記憶する。S211では、S207で求めた複数点(ここでは3点)の角度において測光と演算が終了したかどうかを判断し、測光と演算が終了していればS212に進み、終了していない時はS208に戻って、上記処理を繰り返す。S212では、複数点(角度103、角度104、角度105)で演算した測光値の分布から、最適なバウンス照射時のフラッシュ発光部22の発光角度を演算する。
【0026】
ここで、S212で行われる演算方式の一例について、図5を用いて説明する。角度103での測光演算値をD103、角度104での測光演算値をD104、角度105での測光演算値をD105とし、その関係が例えば図5のようであるものとする。これらの3つのデータより、最大となる発光角度を演算する。まず、測光演算値D103と測光演算値D104との差分から傾きI101、測光演算値D104と測光演算値D105との差分から傾きI102を算出する。このとき、図5の例では、傾きI101が傾きI102に比べて小さくなっている。上記演算より算出された2つの傾きの絶対量を比較して、絶対量の小さい傾き(この場合、傾きI101)の係数に対して、傾きI102を反転した係数に補正する演算し、傾きI103を算出する。そして、傾きI103と傾きI102との交点の角度を、最適なフラッシュ発光部22の発光角度θとする。上述したようにして算出された発光角度θのデータを、カメラCPU11に記憶する。
【0027】
なお、本発明における最適な発光角度の演算方法は、上述した方法に限るものではなく、得られた測光値とその測光値を取得したときに発光角度との分布から他の方法により求めてもよい。例えば、より多くの発光角度で測光値を求めた場合、関数近似などの手法や、正規分布等の統計的な手法により求めることも可能である。
【0028】
S213では、S212で記憶した発光角度θのデータを読出し、該角度になるようにカメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して駆動回路23を制御する。
【0029】
上記の通り、本第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1の実施形態と比較して、測光する回数を抑えることができるので、時間短縮と消費電力の抑制を図ることができる。
【0030】
なお、S210では、S209で測光して得た測光値の内、被写体に対応する領域の測光値の平均値を測光値としたが、これに限るものではなく、測光値に基づいていれば、本願発明に含まれる。例えば、多分割測光センサ12の全領域の測光値や、中央の領域の測光値であっても求めても良い。更には、予め設定された条件に基づいて、各領域に重み付けを行い、各領域から得られる測光値を重み付け平均しても構わない。
【0031】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本第3の実施形態におけるカメラシステムの構成は、図1を参照して第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、図6のフローチャートを参照して、本第3の実施形態におけるバウンス撮影で用いる発光角度を求める処理方法について説明する。図3のフローチャートはカメラ1がバウンス照射時に、最適なフラッシュ発光部22の発光角度を検出するプログラムに入ったところからスタートする。
【0032】
S300では、カメラCPU11は、フラッシュ発光部22の角度を角度検出器25からフラッシュCPU21と通信して読み出し、略平行になっているかを検出する。略平行であればS301でフラッシュ光を照射しない状態で多分割測光センサ12が測光を行い、カメラCPU11に多分割測光センサ12により得られた測光値を記憶してステップS303に進む。一方、略平行でなければS302に進み、フラッシュ2の表示部26にフラッシュ発光部22を略平行にするようにという旨のメッセージを表示して、ユーザに知らせ、S300に戻る。
【0033】
S303では、カメラCPU11は、フラッシュCPU21と通信して、フラッシュ発光部22を一定光量で発光させ、被写体にダイレクト光を照射する。そして、多分割測光センサ12がダイレクト光照射時の測光を行い、カメラCPU11は多分割測光センサ12により得られた測光値と、記憶したフラッシュ光照射のない場合の測光値との差分を演算し記憶する。なお、以下の説明では、フラッシュ光を照射したときに多分割測光センサ12で測光した測光値から、S301で記憶したフラッシュ光照射のない場合の測光値との差分を、フラッシュ光を照射したときの「測光値」と呼ぶ。
【0034】
S304では、フラッシュ発光部22の発光角度がユーザによって変更されたかどうかを、角度検出器25を用いてカメラCPU11がフラッシュCPU21と通信して検出する。フラッシュ発光部22の発光角度が変更されたことを検出するとS305に進み、発光角度が維持されていたら発光角度が変更されるまで待ち続ける。S305では、カメラCPU11はフラッシュCPU21と通信してフラッシュ発光部22を一定光量で発光させ、多分割測光センサ12が測光する。S306では、カメラCPU11はS303で記憶した測光値とS305で測光した測光値とを比較し、2つの測光値が同レベルの値かどうかを判断する。なお、同レベルの値かどうかは、比較された2つの測光値の差が予め決められた所定範囲内にあるかどうかによって判断する。同レベルの値であれば、フラッシュ光がダイレクトに被写体に光が照射されていると判断し、S307に進む。S307では、測光した時点のフラッシュ発光部22の発光角度では、被写体にダイレクト光が照射されているというガイダンスを表示部26に、例えば図7(a)に示すように表示する。
【0035】
一方、S306において、S305で測光した測光値と、S303で記憶した測光値との差が所定範囲外にあると判断されると、S308に進む。S308では、カメラCPU11がS305で測光した測光値に対して、中央部分の領域に重みをつけた中央重点演算を行って、以下の判断に用いる測光値を求める。S309では、S308で演算した測光値を予め設定された複数のレベルにレベル分けし、例えば図7に示すように、フラッシュ2の表示部26に測光量のガイダンスを表示する。
【0036】
図7の表示について説明する。図7(b)は、被写体にダイレクト光が照射されておらず、且つ、バウンス照射による被写体への照射量が最小レベルであることを意味する。図7(c)は、被写体にダイレクト光が照射されておらず、且つ、バウンス照射による被写体への照射量が最大レベルであることを意味し、ユーザは、このレベルの表示がなされたフラッシュ発光部22の角度がバウンス照射における最適な発光角度と判断できる。ステップS310では、カメラ1もしくはフラッシュ2の不図示の操作部材により、最適なバウンス光を照射するフラッシュ発光角度を検出するプログラムをユーザにより終了されたかを検出する。プログラムが継続動作されればステップS304に戻り、終了されたら図6のフローチャートは終了する。
【0037】
上記の通り、本第3の実施形態によれば、発光角度を手動で変更する場合においても、実際の測光量からバウンス照射時の最適なフラッシュ発光部22の発光角度を設定することができる。また、意図せず、被写体にダイレクトにフラッシュ光が照射されることを防ぐことができる。
【0038】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、フラッシュ光を照射した時に得られた測光値からフラッシュ光を照射していない時に得られた測光値を差分して、フラッシュ光を照射した時に得られた測光値としていた。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、フラッシュ光を照射した時に得られた測光値そのものを用いても構わない。
【0039】
また、上記第1〜第3の実施形態では、カメラ1が有する多分割測光センサ12により測光を行って、バウンス照射時の最適なフラッシュ発光部22の発光角度をカメラCPU11により求めていた。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、フラッシュ2が多分割測光センサを有していて、該多分割測光センサによる測光結果を用いてフラッシュCPU21によりバウンス照射時の最適なフラッシュ発光部22の発光角度を求めるようにしても構わない。
【0040】
また、上記第3の実施形態では、中央重点演算により得られた測光値をレベル分けし、発光角度のガイダンス表示に用いたが、本発明はこれに限るものではなく、測光値に基づいて得た値をガイダンス表示に用いるのであれば、本願発明に含まれる。例えば、多分割測光センサ12の全領域の測光値に基づいて求めても、被写体に対応する領域の測光値に基づいて求めても良い。更には、予め設定された条件に基づいて、各領域に重み付けを行い、各領域から得られる測光値を重み付け平均しても構わない。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態においては、発光角度を求めるために、フラッシュ発光部22の閃光管を用いるものとして説明しているが、LED24を用いてもよい。LEDを用いた場合は、フラッシュ発光部22を用いるよりも消費電力を抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態において、被写体へのダイレクト光が照射されているかを検出する方法は上述した方法に限らず、他の方法であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光角度が変更可能なフラッシュ装置を制御する撮像装置であって、
測光手段と、
前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、各発光角度において前記測光手段により測光を行わせ、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いて、最も大きい測光値が得られた発光角度を記憶する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定して、撮影を行うように制御し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
発光角度が変更可能なフラッシュ装置を制御する撮像装置であって、
測光手段と、
前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、各発光角度において前記測光手段により測光を行わせ、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いた測光値の分布から、最大の測光値が得られる発光角度を求め、該求めた発光角度を記憶する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定して、撮影を行うように制御し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記所定範囲の値を有する測光値を除いた測光値は、前記フラッシュ装置が変更可能な発光角度の範囲から、前記所定範囲の値を有する測光値が得られた発光角度の範囲を除いた範囲を、複数に分割して得られる複数の発光角度で得られる測光値であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
発光角度が変更可能なフラッシュ装置を制御する撮像装置であって、
測光手段と、
前記発光角度が変更される度に、前記測光手段により測光を行わせ、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いた測光値のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段により求められた前記レベルを表示する表示手段とを有し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記測光値が前記所定範囲の値を有する場合に、前記測光値が前記所定範囲の値を有することを表示することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記測光手段は、複数の領域の測光値をそれぞれ取得する測光手段であって、
前記所定範囲外の値を有する測光値は、前記複数の領域の内、被写体の領域に対応する領域から得られる測光値の平均値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記測光手段は、複数の領域の測光値をそれぞれ取得する測光手段であって、
前記所定範囲外の値を有する測光値は、中央重点演算により得られた測光値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置による撮影に用いられる、発光角度が変更可能なフラッシュ装置の制御方法であって、
前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、測光手段により各発光角度において測光を行う測光工程と、
記憶手段により、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いて、最も大きい測光値が得られた発光角度を記憶する記憶工程と、
設定手段により、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定する設定工程とを有し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
撮像装置による撮影に用いられる、発光角度が変更可能なフラッシュ装置の制御方法であって、
前記フラッシュ装置によりフラッシュ光を複数の発光角度でそれぞれ照射させながら、測光手段により各発光角度において測光を行う測光工程と、
記憶手段により、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いた測光値の分布から、最大の測光値が得られる発光角度を求め、該求めた発光角度を記憶する記憶工程と、
設定手段により、前記記憶された発光角度に前記フラッシュ装置を設定する設定工程とを有し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
撮像装置による撮影に用いられる、発光角度が変更可能なフラッシュ装置の制御方法であって、
前記発光角度が変更される度に、測光手段により測光を行う測光工程と、
演算手段により、得られた複数の測光値の内、所定範囲の値を有する測光値を除いた測光値のレベルを求める演算工程と、
表示手段により、前記演算工程で求められた前記レベルを表示する表示工程とを有し、
前記所定範囲の値を有する測光値は、前記フラッシュ装置の発光角度が撮影レンズの光軸に対して略平行な発光角度で得られる測光値との差が予め決められた範囲内にある測光値であることを特徴とする制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−221364(P2011−221364A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91825(P2010−91825)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】