説明

撮像装置及び撮像システム

【課題】補助光の照射に伴う消費電力を十分に削減することが可能な撮像装置を得る。
【解決手段】撮像装置としての監視装置3は、受光素子を有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する撮像部12と、発光素子を有し、当該発光素子を点灯させることにより、撮像部12による撮像のための補助光を照射する照射部13と、撮像部12及び照射部13を制御する制御部14と、を備え、制御部14は、電荷蓄積期間においては発光素子が点灯し、電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては発光素子が消灯するように、撮像部12及び照射部13の動作を同期制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラによって所定の監視エリアを撮影することにより、監視エリアへの侵入者を検知する監視装置が広く実用化されている。このような監視装置においては、一般的に、監視カメラによって撮影した監視エリアの映像をモニタに表示し、表示された映像を監視者が目視することによって、監視エリアへの侵入者が監視される。また、夜間における監視を行うべく、監視エリアに向けて補助光を照射するための補助光照射器を備えた監視装置も実用化されている。
【0003】
下記特許文献1には、補助光として赤外光を照射する照明機器を備えた撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4310309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、夜間の監視期間において補助光を常時照射したのでは、消費電力が増大する。また、監視エリア内に何等かの移動物体を検知した場合のみ補助光を照射するという制御も可能ではあるが、移動物体の検知期間内においては補助光が常時照射されるため、消費電力の削減効果は不十分である。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、補助光の照射に伴う消費電力を十分に削減することが可能な撮像装置及び撮像システムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る撮像装置は、受光素子を有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する撮像部と、発光素子を有し、当該発光素子を点灯させることにより、前記撮像部による撮像のための補助光を照射する照射部と、前記撮像部及び前記照射部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電荷蓄積期間においては前記発光素子が点灯し、前記電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては前記発光素子が消灯するように、前記撮像部及び前記照射部の動作を同期制御することを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る撮像装置によれば、制御部は、受光素子の電荷蓄積期間においては発光素子が点灯し、電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては発光素子が消灯するように、撮像部及び照射部の動作を同期制御する。従って、発光素子が常時点灯される場合と比較すると、補助光の照射に伴う消費電力を削減することが可能となる。しかも、電荷蓄積期間でない期間に受光素子に入射された対象物からの反射光は、対象物の画像形成に寄与しないため、電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間において発光素子を消灯する制御を行っても、対象物の画像を支障なく形成することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る撮像装置は、第1の態様に係る撮像装置において特に、前記発光素子の発光強度は、常時点灯される発光素子の発光強度よりも高く設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る撮像装置によれば、発光素子の発光強度は、常時点灯される発光素子の発光強度よりも高く設定されている。従って、対象物からの反射光の強度が上がり、信号対雑音比を向上することができるため、高画質の撮像画像を得ることが可能となる。しかも、電荷蓄積期間でない期間においては発光素子が消灯されるため、発光素子の発光強度を高く設定することに伴う消費電力の増大を必要最小限に抑制することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る撮像システムは、受光素子を有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する撮像装置と、発光素子を有し、当該発光素子を点灯させることにより、前記撮像装置による撮像のための補助光を照射する照射装置と、前記撮像装置及び前記照射装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記電荷蓄積期間においては前記発光素子が点灯し、前記電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては前記発光素子が消灯するように、前記撮像装置及び前記照射装置の動作を同期制御することを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る撮像システムによれば、制御装置は、受光素子の電荷蓄積期間においては発光素子が点灯し、電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては発光素子が消灯するように、撮像装置及び照射装置の動作を同期制御する。従って、発光素子が常時点灯される場合と比較すると、補助光の照射に伴う消費電力を削減することが可能となる。しかも、電荷蓄積期間でない期間に受光素子に入射された対象物からの反射光は、対象物の画像形成に寄与しないため、電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間において発光素子を消灯する制御を行っても、対象物の画像を支障なく形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、補助光の照射に伴う消費電力を十分に削減することが可能な撮像装置及び撮像システムを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視装置の使用状況の一例を示す図である。
【図2】監視装置の外観を模式的に示す図である。
【図3】監視装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】撮像部の構成を簡略化して示す図である。
【図5】制御部による撮像部及び照射部の同期制御を示すタイミングチャートである。
【図6】照射部における発光素子の発光制御を示すタイミングチャートである。
【図7】監視装置と同等の機能を備える監視システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る監視装置3(撮像装置)の使用状況の一例を示す図である。通信基地局1が山中に設置されており、通信基地局1の周囲はフェンス2で取り囲まれている。この例において、監視装置3は、所定の撮影エリアとして、フェンス2を含む監視エリア4を撮影することにより、フェンス2を乗り越えて通信基地局1へ侵入しようとする侵入者を監視する用途で使用される。なお、図1の例では通信基地局1に一つの監視装置3のみが設置されているが、通信基地局1の周囲を死角無く監視するために、複数の監視装置3が設置されてもよい。
【0017】
図2は、監視装置3の外観を模式的に示す図である。また、図3は、監視装置3の機能構成を示すブロック図である。図3を参照して、監視装置3は、監視エリア4の画像を撮像するための撮像部12と、撮像部12による撮像のための補助光を照射する照射部13と、撮像部12及び照射部13を制御する制御部14とを備えて構成されている。
【0018】
図4は、撮像部12の構成を簡略化して示す図である。撮像部12は、複数のレンズを有する光学系30と、行列状に配列された複数の受光素子を有するCCD等の受光素子部31とを含んで構成されている。
【0019】
撮像の対象物からの反射光L1は、光学系30によって受光素子部31上に導光される。受光素子部31を構成する各受光素子は、反射光L1の受光強度に応じた量の電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電流として取り出すことにより電気信号D1を出力する。これにより、対象物の画像が形成される。撮像部12によって撮影された画像は、通信基地局1内又は遠隔地の監視センタ内に設置された液晶ディスプレイ等の表示部32に表示される。
【0020】
図3を参照して、照射部13は、LED等の複数の発光素子を備えて構成されており、850nm帯又は940nm帯等の任意の波長帯の赤外光を補助光として照射する。
【0021】
図2を参照して、撮像部12のレンズと、照射部13とが、筐体11の前面に取り付けられている。図3に示した制御部14は、筐体11の内部に配置されている。
【0022】
監視装置3は広角カメラを用いて構成されており、この場合、撮像部12は、監視エリア4の全体を撮影可能なように、視野が固定されている。またこの場合、監視エリア4の全体に対して補助光を照射可能なように、照射部13による補助光の照射範囲が固定されている。
【0023】
但し、監視装置3は、パンチルト機能及びズーム機能を搭載したPTZカメラを用いて構成されていてもよい。この場合、変化する撮像部12の撮影範囲に補助光を照射可能なように、照射部13による補助光の照射範囲を、撮像部12の撮影範囲に応じて可変に制御してもよい。
【0024】
本実施の形態において、監視装置3は、夜間における通信基地局1への侵入者を監視する用途で使用され、撮像部12は、照射部13から照射された赤外光に対する対象物からの反射光を受光することによって、対象物を撮像する。
【0025】
なお、夜間のみならず日中における監視も可能であり、この場合には、撮像部12は、太陽光に対する対象物からの反射光を受光することによって、対象物を撮像する。
【0026】
図5は、制御部14による撮像部12及び照射部13の同期制御を示すタイミングチャートである。図5の上段には撮像部12の動作を示しており、下段には照射部13の動作を示している。
【0027】
受光素子部31を構成する各受光素子は、期間P1で示す電荷蓄積期間において、反射光L1の受光強度に応じた量の電荷を蓄積する。また、電荷蓄積期間以外の期間P2においては、各受光素子からの蓄積電荷の取り出しが行われる。期間P1及び期間P2は、画像のフレームレート(例えば30fps)に応じた所定の周期で交互に繰り返される。
【0028】
制御部14は、撮像部12の上記動作に同期させて、照射部13が備える発光素子の点灯及び消灯を制御する。具体的には、期間P1においては発光素子が点灯状態となり、期間P2においては発光素子が消灯状態となるように、発光素子の動作タイミングを制御する。
【0029】
例えば、制御部14から照射部13に対してパルス状の駆動信号を入力し、パルスの論理が「1」の期間に発光素子を点灯させ、「0」の期間に発光素子を消灯させることにより、動作タイミングを制御することができる。あるいは、制御部14から照射部13に対して正弦波状の駆動信号を入力し、駆動信号の値が所定の閾値以上となる期間に発光素子を点灯させ、閾値未満となる期間に発光素子を消灯させることにより、動作タイミングを制御することができる。
【0030】
図5を参照して、例えば時刻T1においては、電荷蓄積期間が開始されると同時に、発光素子の点灯が開始されている。また、続く時刻T2においては、電荷蓄積期間が終了されると同時に、発光素子が消灯されている。さらに、続く時刻T3においては、電荷蓄積期間が開始されると同時に、発光素子の点灯が開始されている。
【0031】
なお、電荷蓄積期間の開始タイミングと発光素子の点灯開始タイミングとは互いに一致していることが望ましいが、厳密に一致している必要はなく、多少のずれがあっても構わない。同様に、電荷蓄積期間の終了タイミングと発光素子の消灯タイミングとは互いに一致していることが望ましいが、厳密に一致している必要はなく、多少のずれがあっても構わない。
【0032】
図6は、照射部13における発光素子の発光制御を示すタイミングチャートである。破線で示した特性は、撮像画像に定常的に含まれるノイズレベルZ0を示している。一点鎖線で示した特性は、発光素子を常時点灯させる制御(つまり期間P1のみならず期間P2においても点灯させる制御)を行う場合の赤外光の発光強度Z1を示している。実線で示した特性は、撮像部12の動作に同期させて発光素子を間欠的に点灯させる制御(つまり期間P1において点灯させ期間P2において消灯させる制御)を行う場合の赤外光の発光強度Z2を示している。
【0033】
発光素子を常時点灯させる制御を行う場合には、照射部13における消費電力及び発熱を抑制する必要があるために、発光強度Z1をある程度低く抑える必要がある。従って、発光強度Z1はノイズレベルZ0に近く設定されるため、信号対雑音比が小さくなる。
【0034】
一方、撮像部12の動作に同期させて発光素子を間欠的に点灯させる制御を行う場合には、発光素子の消灯期間において消費電力等は生じないため、発光強度Z1に比べて発光強度Z2を十分に高く設定することができる。これにより、対象物からの反射光の強度が上がり、信号対雑音比を向上することができるため、高画質の撮像画像を得ることが可能となる。
【0035】
図7は、監視装置3と同等の機能を備える監視システム10(撮像システム)を示す図である。撮像部12に相当する撮像装置22と、照射部13に相当する照射装置23と、制御部14に相当する制御装置24とが、フレーム21に取り付けられている。撮像装置22は、複数の受光素子を内部に有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する。照射装置23は、撮像装置22による撮像のための補助光を照射する。制御装置24は、電荷蓄積期間においては発光素子が点灯し、電荷蓄積期間でない期間においては発光素子が消灯するように、撮像装置22及び照射装置23の動作を同期制御する。このように本発明は、一つの筐体内に全ての機能を集約した単体の装置として構成してもよく、あるいは、複数の機能を複数の装置に分散したシステムとして構成してもよい。
【0036】
本実施の形態に係る監視装置3(及び監視システム10)によれば、制御部14は、受光素子の電荷蓄積期間においては発光素子が点灯し、電荷蓄積期間でない期間においては発光素子が消灯するように、撮像部12及び照射部13の動作を同期制御する。従って、発光素子が常時点灯される場合と比較すると、補助光の照射に伴う消費電力を削減することが可能となる。しかも、電荷蓄積期間でない期間に受光素子に入射された対象物からの反射光は、対象物の画像形成に寄与しないため、電荷蓄積期間でない期間において発光素子を消灯する制御を行っても、対象物の画像を支障なく形成することができる。なお、電荷蓄積期間でない期間の全期間において発光素子を消灯するのではなく、電荷蓄積期間でない期間の一部期間において発光素子を消灯するように制御してもよい。
【0037】
また、発光素子の発光強度Z2は、常時点灯される発光素子の発光強度Z1よりも高く設定されている。従って、対象物からの反射光の強度が上がり、信号対雑音比を向上することができるため、高画質の撮像画像を得ることが可能となる。しかも、電荷蓄積期間でない期間においては発光素子が消灯されるため、発光素子の発光強度を高く設定することに伴う消費電力の増大を必要最小限に抑制することができる。
【0038】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
3 監視装置
4 監視エリア
10 監視システム
12 撮像部
13 照射部
14 制御部
22 撮像装置
23 照射装置
24 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子を有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する撮像部と、
発光素子を有し、当該発光素子を点灯させることにより、前記撮像部による撮像のための補助光を照射する照射部と、
前記撮像部及び前記照射部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電荷蓄積期間においては前記発光素子が点灯し、前記電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては前記発光素子が消灯するように、前記撮像部及び前記照射部の動作を同期制御する、撮像装置。
【請求項2】
前記発光素子の発光強度は、常時点灯される発光素子の発光強度よりも高く設定されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
受光素子を有し、当該受光素子に電荷を蓄積する電荷蓄積期間を周期的に繰り返すことにより、対象物を撮像する撮像装置と、
発光素子を有し、当該発光素子を点灯させることにより、前記撮像装置による撮像のための補助光を照射する照射装置と、
前記撮像装置及び前記照射装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記電荷蓄積期間においては前記発光素子が点灯し、前記電荷蓄積期間でない期間の少なくとも一部期間においては前記発光素子が消灯するように、前記撮像装置及び前記照射装置の動作を同期制御する、撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−109767(P2012−109767A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256589(P2010−256589)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】