説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】衝撃を検知した場合にマスク処理を施さない画像を生成できるようにする。
【解決手段】撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、前記衝撃検知手段が衝撃を検知した場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替手段と、ネットワークに画像を配信する画像配信手段とを具備し、前記マスク処理切替手段は、前記衝撃検知手段が衝撃を検知した場合に、前記マスク処理に関する切り替えを行って前記画像配信手段に画像を出力するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像方法に関し、特に、衝撃検知機能を有する撮像装置に用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置、特に、監視カメラにおいては、プライバシー保護の観点から映像および画像の一部を遮蔽するマスキング技術を有しており、その技術が浸透している。監視カメラは、一般的に、ネットワーク経由で映像を配信するため、その映像にマスク処理が施してあればそのマスク領域のプライバシーが保護される。
【0003】
しかし、緊急事態が発生した場合、管理者や閲覧者などのユーザーにとっては、逆にそのマスク領域が不都合である場合がある。例えば、図8の映像81で示すように、監視カメラを棒で壊そうする破壊行為者がいたとする。その破壊行為者が何らかの理由で予め監視カメラのマスク領域を知っていた場合、わざと自分の顔をマスク領域内に隠して、顔が分からないように破壊行為をすることが考えられる。
【0004】
例えば、特許文献1において提案された監視装置では、撮像装置により撮像された監視領域内の状態変化を検知する状態変化検知手段(侵入センサ/火災センサ/ガスセンサ/非常ボタン)を備えている。そして、前記状態変化検知手段により前記監視領域内の状態変化が検知された場合に、マスク処理を制御する技術が開示されている。また、前記マスク処理によって生成された画像はネットワークを経由して配信される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−61076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された監視装置は、撮像装置により撮像された監視領域内においてのみ状態変化検知を行いマスク処理制御する技術であった。したがって、撮像装置が衝撃(衝撃、振動、音量など)を検知した場合に、マスク処理制御を行うことができない問題点があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、撮像装置が衝撃を検知した場合に、マスク処理に関する制御を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、前記衝撃検知手段が検知をした場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替手段と、ネットワークに画像を配信する画像配信手段とを具備する撮像装置であって、前記マスク処理切替手段は、前記衝撃検知手段が検知をした場合に、前記マスク処理に関する切り替えを行って前記画像配信手段に画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像装置への衝撃を検知した場合に、撮像装置に対して行なわれる破壊行為や妨害行為を録画できる可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の衝撃検知時の処理手順を説明するフローチャートである。
【図3】第2の実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態の衝撃検知時の処理手順を説明するフローチャートである。
【図5】第3の実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態の衝撃検知時の処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】第4の実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】従来の監視カメラの問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の撮像装置の詳細を説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)を参照して、本発明の実施形態における、撮像装置100の構成例について説明する。
撮像装置100において、レンズ、撮像素子、アナログ/デジタル変換、現像処理を含む撮像部101は、撮像対象物を撮像して画像を生成して出力する。
【0011】
マスク処理部102は、撮像部101から送られてきた画像の撮像対象物のプライバシー領域に対してマスキングするマスク処理を施す。マスク処理切替部103は、撮像部101またはマスク処理部102から送られてくる画像信号経路の切り替えを行う。また、マスク処理切替部103は、左記の画像信号経路の切り替えに限らず、例えば撮像した画像にマスク処理を施すか、マスク処理を制限するかを切り替える機構であってもよい。
【0012】
エンコード部104は、送られてきた画像をJPEGやMPEGといった画像フォーマットに変換処理する。画像配信部105は、エンコード部104から送られてきた画像をネットワーク106に配信する。ネットワーク106は、インターネットやLAN (Local Area Network)である。衝撃検知部107は、撮像装置100に対する衝撃を検知した場合に、マスク処理切替部103に対して検知トリガーを送る。
【0013】
本実施形態において衝撃とは、衝撃、振動、音量などを指す。また、マスク処理とは、ユーザーが、ユーザーインターフェイスを用いて、あらかじめ任意で設定しておいた撮像装置100の撮像領域に対するプライバシー保護のためのマスク領域と、撮像部101から送られてきた画像とを用いて、画像合成を行うことである。
【0014】
次に、本発明の特徴である、撮像装置100に対する衝撃を検知した場合に、マスク処理を施さない画像を配信する処理について、以下にその詳細を説明する。
初めに、撮像装置100の通常時処理について説明する。ここでいう通常時処理とは、衝撃検知部107が撮像装置100に対する衝撃を検知していない状態で、撮影された画像をネットワーク106へ配信するまでに行う処理のことである。
【0015】
通常時処理についてさらに詳細を述べる。
撮像部101は、撮像対象物を撮像して画像を生成して出力する。マスク処理部102は、撮像部101から送られてきた画像において、ユーザーがあらかじめ任意で設定しておいた撮像対象物のプライバシー領域に対してマスク処理を施す。マスク処理切替部103は、撮像部101またはマスク処理部102から送られてくる画像信号経路の切り替えを行うが、この通常時処理においては、マスク処理部102との経路をつないでいる。
【0016】
エンコード部104は、マスク処理部102から送られてきた画像をJPEGやMPEGといった画像フォーマットに変換処理する。画像配信部105は、エンコード部104から送られてきた画像をネットワークプロトコルに従ってネットワーク106へ配信する。ネットワーク106は、インターネットやLAN (Local Area Network)である。衝撃検知部107は、撮像装置100に対する衝撃をいつでも検知できるように待機している状態に設定されている。つまり、通常時処理においては、撮像した画像にマスク処理を施して、それをネットワーク106に配信する。
【0017】
次に、本実施形態の撮像装置100の衝撃検知時処理について説明する。ここでいう衝撃検知時処理とは、衝撃検知部107が撮像装置100に対する衝撃を検知した場合に、画像信号経路を切り替えてから画像をネットワーク106へ配信するまでの処理のことである。
【0018】
衝撃検知時処理についてさらに詳細を述べる。
衝撃検知部107が撮像装置100に対する衝撃を検知した場合は、衝撃検知部107は、検知トリガーをマスク処理切替部103に通知する。通知を受けたマスク処理切替部103は、例えば自身とマスク処理部102とをつなぐ経路から、自身と撮像部101とをつなぐ経路に切り替える、切り替え処理を行う。切り替え処理を行った結果、画像にマスク処理が施されない画像がエンコード部104へ送られるようになる。
【0019】
エンコード部104は、撮像部101から送られてきた画像をJPEGやMPEGといった画像フォーマットに変換処理する。画像配信部105は、エンコード部104から送られてきた画像をネットワークプロトコルに従ってネットワーク106へ配信する。ネットワーク106は、インターネットやLAN (Local Area Network)である。
つまり、本実施形態の撮像装置100の特徴として、衝撃検知時には、撮像した画像にマスク処理を施さずに、ネットワーク106に配信することである。
【0020】
次に、図1(b)を参照して第1の実施形態の撮像装置100の変形例を説明する。
図1(b)は、図1(a)の画像配信部105の代わりに、内部蓄積書込部109と内部蓄積部110を具備したものである。このような構成により衝撃検知時には、画像をネットワークに配信するのではなく、内部蓄積部110へ記録して蓄積することを特徴とする。内部蓄積部110へ内部蓄積することにより、ネットワーク上にマスク処理を施していない画像が流れないようにすることができて、プライバシーが保護される効果がある。
【0021】
衝撃を検知した場合に行なわれる処理手順の一例を、図2のフローチャートに示す。
S201では、衝撃検知部107は、衝撃を検知するまで待機している。衝撃を受けた場合はS202に進む。
S202では、衝撃を検知した衝撃検知部107は、マスク処理切替部103へ検知トリガーを出力し、衝撃を受けたことを通知する。
【0022】
S203では、マスク処理切替部103は、それまでマスク処理を施した画像を送信する経路であったが、衝撃検知部107から検知トリガーを受信したので、マスク処理を施さない画像を送信する経路へ経路を切り替える。
【0023】
なお、S203において行なわれる処理としては、前述した画像を送信する経路の切り替えに限らず、例えば撮像した画像にマスク処理を施すか、マスク処理を制限するかの切り替えであってもよい(図示せず)。具体的には、マスク処理部102は通常時はマスク処理を行い、衝撃検知部107から検知トリガーを受信した場合には、マスク処理を施さないようにしてもよい。
【0024】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、衝撃を検知した場合、画像にマスク処理を施さない切り替え処理をした上でネットワーク106上に画像配信を行った(図1(a))。もしくは、内部蓄積部110に画像の蓄積を行った(図1(b))。しかし、本発明はこれに限らない。
【0025】
本実施形態では、図3の撮像装置300において、衝撃を検知した場合、画像にマスク処理を施すか、マスク処理を制限するかの切り替えを行い、さらに、ネットワーク106に画像配信するか内部蓄積部110に画像を蓄積するかを切り替えることを特徴とする。これによって、画像に対してマスク処理を施すか、マスク処理を制限するかの切替と、さらに、その画像をネットワークに画像配信するか内部蓄積部に蓄積するかの切替を、複合して行うことができる。以下にその詳細を説明するが、ここでは図1(a)を比較対象として例にとり、その差分についてのみ説明する。
【0026】
図3を参照して、本発明の実施形態における撮像装置300について説明する。
撮像装置300において、図1(a)との差異は、第2マスク処理切替部108、内部蓄積書込部109、内部蓄積部110がさらに具備されることである。衝撃検知部107は、マスク処理切替部103に加えて、第2マスク処理切替部108にも同時に検知トリガーを出力し、衝撃を受けたことを通知する。第2マスク処理切替部108は、エンコード部104から送られてくる画像信号経路の切り替えを行う。内部蓄積書込部109は、送られてくる画像を内部蓄積部110に書込む。内部蓄積部110は、その画像の蓄積を行う。
【0027】
撮像装置300の通常時処理については、第1の実施形態における撮像装置100の通常時処理と同じ処理であるため説明を省略する。
次に、本発明の特徴である、撮像装置300の衝撃検知時処理について説明する。本実施形態における衝撃検知時処理の概要は、衝撃検知部107が撮像装置300に対する衝撃を検知した場合に、マスク処理切替部103および第2マスク処理切替部108の経路を切り替えて、内部蓄積部110に画像を蓄積する処理のことである。
【0028】
衝撃検知時処理についてさらに詳細を述べる。
衝撃検知部107が撮像装置300に対する衝撃を検知した場合は、衝撃検知部107は、検知トリガーをマスク処理切替部103および第2マスク処理切替部108に同時に通知する。検知トリガーを受信したマスク処理切替部103は、自身とマスク処理部102とをつなぐ経路から、自身と撮像部101とをつなぐ経路へ切り替えを行う。
【0029】
検知トリガーを受信した第2マスク処理切替部108は、自身と画像配信部105とをつなぐ経路から、自身と内部蓄積書込部109とをつなぐ経路へ切り替える。
つまり、切り替えを行う前は、マスク処理を施した画像がネットワーク106上に配信されるが、切り替えを行った後は、マスク処理を施さない画像が内部蓄積部110に蓄積される。
【0030】
図4に、衝撃を検知した場合に内部蓄積書込部109に画像を蓄積する処理手順を説明するフローチャートを示す。
S401では、衝撃検知部107は、衝撃を検知するまで待機し、衝撃を受けた場合はS402に進む。
S402では、衝撃を検知した衝撃検知部107は、マスク処理切替部103および第2マスク処理切替部108へ検知トリガーを出力し、衝撃を受けたことを通知する。
【0031】
S403では、衝撃検知部107から検知トリガーを受信すると、マスク処理切替部103は、それまでマスク処理を施した画像を送信する経路から、マスク処理を施さない画像を送信する経路へ経路を切り替える。なお、前述したように、画像を送信する経路の切り替えに限らず、例えば撮像した画像にマスク処理を施すか、マスク処理を制限するかの切り替えであってもよい(図示せず)。
S404においては、第2マスク処理切替部108は、画像を画像配信部105へ送信する経路であったが、衝撃検知部107から検知トリガーを受信したので、画像を内部蓄積書込部109へ送信する経路へ経路を切り替える。
【0032】
(第3の実施形態)
前述した第1の実施形態、及び第2の実施形態では、衝撃を検知した場合、衝撃を検知した直後以降の画像を配信したが、本発明はこれに限らない。
本実施形態では、図5における撮像装置500において、衝撃を検知した場合に、衝撃を検知する前後の画像を連続的に取得して配信するようにしている。これによって、例えば、破壊行為者が実際に破壊行為を行う直前および直後の画像を録画できるようになる。この映像を見ることで破壊行為者の特定がさらに容易になる効果が得られる。
【0033】
図5を参照して、本実施形態における、撮像装置500について説明する。
撮像装置500において、レンズ、撮像素子、アナログ/デジタル変換、現像処理を含む撮像部101は、撮像対象物を撮像して画像を生成して出力する。マスク処理部102は、撮像部101から送られてきた画像の撮像対象物のプライバシー領域をマスク処理する。
【0034】
エンコード部104は、送られてきた画像をJPEGやMPEGといった画像フォーマットに変換処理する。画像配信部105は、送られてきた画像をネットワーク106に配信する。ネットワーク106は、インターネットやLAN (Local Area Network)である。衝撃検知部107は、撮像装置500に対する衝撃を検知した場合に、衝撃前後画像処理部503に対して検知トリガーを送る。
【0035】
本実施形態において衝撃とは、衝撃、振動、音量などを指す。また、マスク処理とは、ユーザーが、ユーザーインターフェイスを用いて、あらかじめ任意で設定しておいた撮像装置500の撮像領域に対するプライバシー保護のためのマスク領域と、撮像部101から送られてきた画像とを用いて、画像合成処理することである。
【0036】
本発明の特徴である、撮像装置500に対する衝撃を検知した場合に、マスク処理を施さない画像を配信する処理について、以下にその詳細を説明する。
初めに、撮像装置500の通常時処理について説明する。ここでいう通常時処理の概要は、衝撃検知部107が撮像装置500に対する衝撃を検知していない状態で、撮影された画像をネットワーク106へ配信するまでの処理のことである。
【0037】
通常時処理についてさらに詳細に説明する。
撮像部101は、撮像対象物を撮像して画像を生成して出力する。マスク処理部102は、撮像部101から送られてきた画像において、ユーザーがあらかじめ任意で設定しておいた撮像対象物のプライバシー領域に対してマスク処理する。エンコード部104は、撮像部101およびマスク処理部102から送られてきた画像をJPEGやMPEGといった画像フォーマットに変換処理する。
【0038】
本実施形態のエンコード部104には入力される画像信号経路が2つあるため、エンコード部104の内部には実際のエンコード処理を行う機構が2つあってもよい。エンコード部104は、変換した画像を画像配信部105および画像バッファ書込部501に出力する。画像配信部105は、エンコード部104から送られてきた画像をネットワークプロトコルに従ってネットワーク106へ配信する。
【0039】
画像バッファ書込部501は、エンコード部104から送られてきた画像を画像バッファ記憶部502に書き込む。衝撃検知部107は、撮像装置500に対する衝撃をいつでも検知できるように待機している状態である。つまり、通常時処理は、一方で撮像した画像にマスク処理を施してそれをネットワークに配信しつつ、かつ、もう一方で撮像した画像にマスク処理を施さずに画像バッファ記憶部502に蓄積を行うことである。
【0040】
次に、本発明の特徴である、撮像装置500の衝撃検知時処理について説明する。ここでいう衝撃検知時処理の概要は、衝撃検知部107が撮像装置500に対する衝撃を検知した場合に、一方で撮像した画像にマスク処理を施してそれをネットワーク106に配信する。さらに、もう一方で衝撃前後画像処理部503が衝撃検知時より過去の画像から現在の画像に至るまでの画像を連続的に順に配信することである。
【0041】
衝撃検知時処理の詳細をさらに説明する。
衝撃検知部107が撮像装置500に対する衝撃を検知した場合は、衝撃検知部107は、検知トリガーを衝撃前後画像処理部503へ送る。検知トリガーを受信した衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知時点より過去の画像を、画像バッファ記憶部502から取得して、画像配信部105へ送信する。衝撃前後画像処理部503は、この画像取得と送信を繰り返すが、取得する画像については、過去の時点から現在に向かって順に取得する。よって、衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知以前の過去から最新に至るまでの画像を順に画像配信部105に送信し続けることができる。
【0042】
つまり、衝撃検知部107が衝撃を検知すると、マスク処理が施された画像をネットワーク106へ配信しながら、かつ、もう一方でマスク処理が施されていない衝撃検知以前の過去から現在に至るまでの連続した画像をネットワーク106に配信することができる。
【0043】
図6に、衝撃検知時の前後画像処理手順を説明するフローチャートを示す。
S601で、衝撃検知部107は、衝撃を検知するまで待機し、衝撃を受けた場合はS602に進む。
S602では、衝撃を検知した衝撃検知部107は、衝撃前後画像処理部503へ検知トリガーを通知する。
【0044】
S603では、検知トリガーを受信した衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知時より過去の画像が連続してバッファされている画像バッファ記憶部502から、衝撃を検知する前の画像、例えば、衝撃検知60秒前の画像を取得して画像配信部105に送信する。
【0045】
次に、S604において、取得予定画像の有無を判定する。この判定の結果、取得予定画像が残っている場合にはS603に戻り、画像の取得と送信を繰り返し行う。取得する画像は、衝撃検知60秒の時点から現在に向かって順に取得する。S604の判定の結果、取得予定画像が残っていない場合には処理を終了する。
このフローによると、衝撃検知時より過去の画像から現在に至るまでの画像を順に送信しつづけることができる。
【0046】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、衝撃を検知した場合、画像バッファ記憶部502に蓄積されたマスク処理が施されていない画像がネットワーク106に配信されたが、本発明はこれに限らない。
本実施形態では、図7の撮像装置700において、衝撃を検知した場合、画像バッファ記憶部502に蓄積された衝撃検知前後の画像はネットワーク106へ配信せずに、内部蓄積部110に蓄積することを特徴とする。これによって、マスク処理を施していない画像がネットワーク上に流れることがなくなり、プライバシーが保護される効果がある。以下にその詳細を説明するが、図5との差分についてのみ説明する。
【0047】
図7を参照して、本実施形態における撮像装置700について説明する。
撮像装置700において、図5で説明した撮像装置500との差異は、内部蓄積書込部109、内部蓄積部110がさらに具備されることである。内部蓄積書込部109は、送られてくる画像を内部蓄積部110に書込む。内部蓄積部110は、画像の蓄積を行う。
【0048】
撮像装置700の通常時処理については、第3の実施形態の撮像装置と同じ処理であるため説明を省略する。
次に、本発明の特徴である撮像装置700の衝撃検知時に行なわれる処理について説明する。
衝撃検知部107が撮像装置700に対する衝撃を検知した場合は、衝撃検知部107は、検知トリガーを衝撃前後画像処理部503へ送る。検知トリガーを受信した衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知時点より過去の画像を、画像バッファ記憶部502より取得して内部蓄積書込部109に送信する。内部蓄積書込部109は、送られてくる画像を内部蓄積部110に書込む。内部蓄積部110は、その画像の蓄積を行う。
【0049】
衝撃前後画像処理部503は、この画像取得と送信を繰り返すが、取得する画像については、過去の時点から現在に向かって順に取得する。よって、衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知以前から最新画像を連続的に取得して内部蓄積部110に蓄積し続けることができる。
【0050】
つまり、衝撃検知部107が衝撃を検知すると、マスク処理が施された画像はネットワーク106へ配信されつつ、かつ、マスク処理が施されていない、衝撃検知前後の画像はネットワークは配信せずに、内部蓄積部110に蓄積されることを特徴とする。
【0051】
本実施形態の撮像装置700において、衝撃検知前後に行なわれる画像処理は、図6で説明した第3の実施形態の撮像装置500で行われる処理と同様であるので、図示を省略して、相違するステップの処理のみを説明する。
【0052】
本実施形態の撮像装置700においては、図6のS603で行なわれる処理が異なる。
本実施形態においては、図6のS603に対応する工程で、「衝撃前後画像処理部503は、衝撃検知以前から最新画像を連続的に取得して内部蓄積部110に蓄積し続ける」、処理を行う。前述のフローを実行することにより、本実施形態の撮像装置700においては、ネットワークへ配信せずに衝撃検知時より過去の画像から最新の現在画像までを順番に内部蓄積部110に蓄積することができる。
【0053】
(第5の実施形態)
前述した第1〜第4の実施形態では、衝撃を検知した場合、マスク処理を施さない画像を暗号化せずにネットワーク上に配信もしくは内部蓄積部に蓄積したが、本発明はこれに限らない。図1、図3、図5及び図7において、それぞれ図示しない暗号化部をさらに具備するようにしてもよい。暗号化部は、画像のネットワーク配信もしくは内部蓄積を行う前までに、画像に暗号化処理を行うようにする。
【0054】
これにより、例えば、管理者がネットワークから配信されてきた画像を閲覧した場合に、画像は暗号化されているため、プライバシーが保護される効果がある。さらに、例えば、管理者が衝撃検知発生時刻付近の映像を見ようとしてネットワーク上から内部蓄積部にアクセスした場合、内部蓄積部のマスク処理を施していない画像は暗号化されているため、その画像がネットワーク上を流れてもプライバシーは保護される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0055】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行して制御する処理である。
【符号の説明】
【0056】
100 撮像装置、101 撮像部、102 マスク処理部、103 マスク処理切替部、104 エンコード部、105 画像配信部、106 ネットワーク、107 衝撃検知部、108 第2マスク処理切替部、109 内部蓄積書込部、110 内部蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、
撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替手段と、
ネットワークに画像を配信する画像配信手段とを具備する撮像装置であって、
前記マスク処理切替手段は、前記衝撃検知手段が検知をした場合に、前記マスク処理に関する切り替えを行って前記画像配信手段に画像を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、
撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替手段と、
内部蓄積部に画像の書き込みを行う内部蓄積書込手段と、
前記内部蓄積書込手段によって書き込まれる画像を蓄積する内部蓄積部とを具備する撮像装置であって、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、前記マスク処理切替手段は、マスク処理に関する切り替えを行って前記内部蓄積部に画像を記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、
撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、衝撃を検知する前後の画像を処理する衝撃前後画像処理手段と、
ネットワークに画像を配信する画像配信手段とを具備する撮像装置であって、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、前記衝撃前後画像処理手段は衝撃を検知する以前からの画像を前記配信手段に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
撮像対象物を撮像して生成した映像を入力する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理手段と、
撮像装置に対する衝撃を検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、衝撃を検知する前後の画像を処理する衝撃前後画像処理手段と、
内部蓄積部に画像の書込みを行う内部蓄積書込手段と、
前記内部蓄積書込手段によって書き込まれる内部蓄積部とを具備する撮像装置であって、
前記衝撃検知手段が検知をした場合に、前記衝撃前後画像処理手段は衝撃を検知する以前からの画像を前記内部蓄積部に記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記画像を暗号化する暗号化処理手段をさらに具備し、
前記暗号化処理手段は、画像のネットワーク配信もしくは内部蓄積を行うまでに、画像に暗号化処理することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像対象物を撮像手段で撮像して生成した映像を入力する撮像工程と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理工程と、
前記撮像手段に対する衝撃を検知する衝撃検知工程と、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替工程と、
ネットワークに画像を配信する画像配信工程とを具備する撮像方法であって、
前記マスク処理切替工程は、前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、前記マスク処理に関する切り替えを行って前記画像配信工程に画像を出力することを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
撮像対象物を撮像手段で撮像して生成した映像を入力する撮像工程と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理工程と、
前記撮像手段に対する衝撃を検知する衝撃検知工程と、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替工程と、
内部蓄積部に画像の書き込みを行う内部蓄積書込工程とを具備する撮像方法であって、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、前記マスク処理切替工程は、マスク処理に関する切り替えを行って前記内部蓄積部に画像を記録することを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
撮像対象物を撮像手段で撮像して生成した映像を入力する撮像工程と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理工程と、
前記撮像手段に対する衝撃を検知する衝撃検知工程と、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、衝撃を検知する前後の画像を処理する衝撃前後画像処理工程と、
ネットワークに画像を配信する画像配信工程とを具備する撮像方法であって、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、前記衝撃前後画像処理工程は衝撃を検知する以前からの画像を前記配信工程に出力することを特徴とする撮像方法。
【請求項9】
撮像対象物を撮像手段で撮像して生成した映像を入力する撮像工程と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理工程と、
前記撮像手段に対する衝撃を検知する衝撃検知工程と、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、衝撃を検知する前後の画像を処理する衝撃前後画像処理工程と、
内部蓄積部に画像の書込みを行う内部蓄積書込工程とを具備する撮像方法であって、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、前記衝撃前後画像処理工程は衝撃を検知する以前からの画像を前記内部蓄積部に記録することを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
前記画像を暗号化する暗号化処理工程をさらに具備し、
前記暗号化処理工程は、画像のネットワーク配信もしくは内部蓄積を行うまでに、画像に暗号化処理することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の撮像方法。
【請求項11】
撮像対象物を撮像手段で撮像して生成した映像を入力する撮像工程と、
前記撮像手段が撮像した撮像対象物をマスキングするマスク処理工程と、
前記撮像手段に対する衝撃を検知する衝撃検知工程と、
前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、マスク処理に関する切り替えを行うマスク処理切替工程と、
ネットワークに画像を配信する画像配信工程とをコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記マスク処理切替工程は、前記衝撃検知工程において衝撃を検知した場合に、前記マスク処理に関する切り替えを行って前記画像配信工程に画像を出力するようコンピュータを制御することを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110512(P2013−110512A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252791(P2011−252791)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】