説明

撮像装置用照明装置

【課題】外部画像処理装置を使用せず簡単な構成で発光制御を行うことができるようにした撮像装置用照明装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1から映像信号を取得する映像取得部3に、映像信号から各々の信号を分離する映像信号分離部4と、この映像信号分離部4で分離した垂直同期信号を抽出する垂直同期抽出部5と、発光後から次の映像信号の垂直同期信号までの発光待機時間T2を決定する発光待機時間調整部6と、発光時間T3を調整し照明駆動回路8にトリガー信号として送る発光時間調整部7と、被写体10を照らす照明発光部9とを接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用撮像装置やその組合せ試験に使用する撮像装置用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置用照明装置は、室内や夜間の映像を撮影するため常時点灯させたり、照明をタイミング良く発光するために撮像装置に電源を供給する電源部に、照明発光待機時間調整のためのスイッチか被写体通過を知らせる外部トリガー信号を必要としていた。外部画像処理装置に外部トリガー信号を入力し映像と同期をとって照明を発光させており、また、撮像装置の垂直同期信号間隔に合わせるための待機時間および発光時間を制御する上で外部トリガーや外部画像処理装置等が不可欠であった(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10-048708号公報
【特許文献2】特開2002-344775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像装置用照明装置は、照明を発光させるための発光待機時間および発光時間を制御するために、外部トリガーや外部画像処理装置等を利用していたため、装置全体の構成が複雑になっていた。
【0005】
本発明の目的は、外部画像処理装置を使用せず簡単な構成で発光制御を行うことができるようにした撮像装置用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、撮像装置の映像に同期して発光までの発光待機時間を設定すると共に照明の発光時間を決定して発光する照明発光部を有する撮像装置用照明装置において、撮像装置から映像信号を取得する映像取得部と、この映像取得部で取得した映像信号から垂直同期信号を抽出する垂直同期抽出部と、この垂直同期抽出部で抽出した垂直同期信号に基づいて上記照明発光部の発光までの発光待機時間を設定する発光待機時間調整部と、この発光待機時間調整部からの出力に基づいて上記照明発光部の発光時間を決定する発光時間調整部とを設けたことを特徴とする。
【0007】
また請求項2に記載の本発明は、請求項1記載のものにおいて、上記発光待機時間調整部は、発光までの発光待機時間を調整可能に構成し、上記発光時間調整部は、発光時間を調整可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による撮像装置用照明装置は、従来のような発光タイミング外部装置や外部画像処理装置等を使用せず、映像取得部により取り込んだ撮像装置からの映像信号に基づく垂直同期信号を用いて、簡単な構成で照明発光部の発光制御をタイミング良く行うことができる。従って、このような撮像装置用照明装置を用いた工業用撮像装置全体やその組合せ試験における構成を簡略化することができる。
【0009】
また請求項2に記載の本発明による撮像装置用照明装置は、発光待機時間調整部での発光待機時間および発光時間調整部での発光時間をそれぞれ調整可能に構成しているため、撮像装置としてCCD、NTSCなどから選んだり、また照明発光部としてLED照明、ストロボ照明、蛍光照明などから選定しても、発光待機時間および発光時間を最適に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による撮像装置用照明装置を示すブロック構成図である。
撮像装置1には、撮像装置1に電源を供給する撮像装置電源供給部2と、撮像装置1から映像信号を取得する映像取得部3とが接続されおり、この映像取得部3には、映像信号から各々の信号を分離する映像信号分離部4と、この映像信号分離部4で分離した垂直同期信号を抽出する垂直同期抽出部5と、発光後から次の映像信号の垂直同期信号までの発光タイミングを決定する発光待機時間調整部6と、発光時間を調整し照明駆動回路8にトリガー信号として送る発光時間調整部7と、照明を発光させるための照明駆動部8と、被写体10を照らす照明発光部9とが接続されている。
【0011】
次に、上述した撮像装置用照明装置の動作を説明する。
撮像装置1には図示を省略したスイッチを介して撮像装置電源供給部2から電源を供給し、撮像装置1からの映像信号を映像取得部3に取り込んだ後、映像信号分離部4は、映像信号から垂直同期信号、水平同期信号、カラー成分信号等の各信号を分離する。その後、垂直同期抽出部5は各々に分離された信号の中から図2に示した垂直同期信号11のみを抽出する。
【0012】
発光待機時間調整部6は、垂直同期抽出部5で抽出された垂直同期信号11を基準として、発光後から次の映像信号の垂直同期信号までの発光タイミングを決定する。これは図2に示した垂直同期信号パルス11aの立ち下がり時間を基準とし、垂直同期信号パルス11aの立ち下がり時間から発光待機時間T2を算出して行う。発光待機時間T2の調整は、図1に示した発光時間調整部7で例えばボリュームの抵抗分圧にて行い、この電圧の差を判定手段によって判定して調整を行う。
【0013】
電源立ち上げ時において、映像取得部3から垂直同期信号11を基準とした発光待機時間調整部6からの発光待機時間T2をもらうことで、発光時間T3の立ち上げとし発光を開始する。この発光時間T3を調整し照明駆動部8にトリガー信号として送る発光時間調整部7は、RC回路の定数値を変更する回路の組合わせにて発光時間T3を調整可能に構成している。
【0014】
垂直同期抽出部5にて抽出された垂直同期信号T1は、撮像装置1の種類、CCD、NTSCにより垂直同期信号から次の垂直同期信号までの時間つまり垂直同期信号間時間T1が異なるため、発光待機時間調整部6にて調整可能に構成している。この発光待機時間調整部6は、発光時間調整部7と関係があるため、両者の関係を考慮しながら調整が必要となる。何故なら、発光時間は照明発光部9の種類により発光時間が異なるからである。照明発光部9の種類には、LED照明、ストロボ照明、蛍光照明等があり、それぞれ照明が発光し明るさが最適になるための時間に差がある。このことから、次の数式1が成り立ち、基準となる垂直同期信号T1が決定し、照明が発光し明るさが最適になるための時間と発光時間T3が決まることで発光待機時間T2が決定する。
【0015】
(数1) T1=T2+T3
【0016】
上述した発光待機時間調整部6の回路構成については、映像信号を連続的に入力するため、垂直同期信号を基準とした制御方式を採用している。垂直同期信号の立ち下がりを基準とし、入力された信号を読み取り、読み取った立下り時間時間から発光待機時間T2を開始をする。発光待機時間T2の調整は、上述したようにボリュームの抵抗分圧方式にて調整ができる。これは、二つの制御基準電圧において一つは待機時間制御基準電圧値を固定とし、もう一方の電圧を可変することにより、その差を読み取り発光待機時間T2を決定する。電圧の可変は、抵抗にて分圧し、その電圧の差を読み取りその電圧をディレイ時間に変換することでボリューム可変が可能である。
【0017】
ところで、撮像装置1が不良の場合、垂直同期信号11が発生しないため照明発光部9での発光は生じない。
【0018】
以上説明したように本発明による撮像装置用照明装置は、撮像装置電源供給部2から照明発光部9までが実現し、従来のような発光タイミング外部装置や外部画像処理装置等を使用せず、映像取得部3により取り込んだ撮像装置1からの映像信号に基づく垂直同期信号を用いて、簡単な構成で照明発光部9の発光制御をタイミング良く行うことができる。しかも、発光待機時間調整部6での発光待機時間T2および発光時間調整部7での発光時間T3をそれぞれ調整可能に構成しているため、撮像装置1としてCCD、NTSCなどから選んだり、また照明発光部9としてLED照明、ストロボ照明、蛍光照明などから選定しても、発光待機時間T2および発光時間T3を最適に設定しながら、一台の撮像装置用照明装置を用いて様々な組合せ試験を簡単に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、上述した撮像装置用照明装置に限らずその他の構成の撮像装置用照明装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置用照明装置を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示した撮像装置用照明装置による要部処理を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0021】
1 撮像装置
2 撮像装置電源供給部
3 映像取得部
4 映像信号分離部
5 垂直同期抽出部
6 発光待機時間調整部
7 発光時間調整部
8 照明駆動部
9 照明発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の映像に同期して発光までの発光待機時間を設定すると共に照明の発光時間を決定して発光する照明発光部を有する撮像装置用照明装置において、撮像装置から映像信号を取得する映像取得部と、この映像取得部で取得した映像信号から垂直同期信号を抽出する垂直同期抽出部と、この垂直同期抽出部で抽出した垂直同期信号に基づいて上記照明発光部の発光までの発光待機時間を設定する発光待機時間調整部と、この発光待機時間調整部からの出力に基づいて上記照明発光部の発光時間を決定する発光時間調整部とを設けたことを特徴とする撮像装置用照明装置。
【請求項2】
請求項1記載のものにおいて、上記発光待機時間調整部は、発光までの発光待機時間を調整可能に構成し、上記発光時間調整部は、発光時間を調整可能に構成したことを特徴とする撮像装置用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−5641(P2006−5641A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179709(P2004−179709)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】