説明

撮像装置

【課題】連写速度の向上を図ることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】連写撮影モード時に、タイミングジェネレータ114の制御タイミングに従って、1つの記録用画像信号をAフィールド、Bフィールド、およびCフィールドの3つに分割して順次に転送する撮像素子1014と、露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111で算出された結果から、シャッタ、絞り、アンプゲインをそれぞれ制御し、かつ、露出制御装置113は、連写撮影モードにおいては、CPU109と協同で、タイミングジェネレータ114の撮像素子1014の分割転送制御タイミングを、所定の分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する露出制御装置113とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子で撮像した静止画や動画像を記録し、再生するデジタルカメラ等の撮像装置が実用に供されている。
このような撮像装置おいては、撮影モードとして、単写撮影モード、連写撮影モード等の各種撮影モードを有する。
単写撮影モードでは、シャッタボタンを押下すると、押下する度に1コマずつ撮影を行う。
連写撮影モードでは、シャッタボタンを押下し続けている間、連続して撮影を行う。
【0003】
この種の撮像装置として、たとえば第1から第4の光学装置が提案されている。
【0004】
第1の撮像装置は、連写手段が連続撮影する場合、測定手段は連続撮影中において、動作パラメータである露出値の更新動作を省略することで、連写速度を高速化しようとした電子カメラである。
【0005】
第2の撮像装置は、暗電流ノイズデータ取り込み時に、連写ボタンが押された場合には、暗電流ノイズデータの取り込みを後回しにすることで、シャッタチャンスを逃さないようにするものである(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
第3の撮像装置は、連写モードに適した露出制御モードを適用することで、オートフォーカス(AF)動作時間を短縮可能な電子カメラである。
【0007】
第4の撮像装置は、超高速連写モードを有し、超高速連写モードの設定時には、撮像素子の一部の画素からのみ画像データを読み出すことで、画像データの読み出し時間を短縮し、超高速連続撮影を可能にする電子スチルカメラである。
【特許文献1】特開2000−224466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の撮像装置によれば、連写撮影モードにおいて、基本的に撮像素子により露光(撮影)、被写体の画像データを画像信号処理部に転送、露光(測光)、露光条件等の動作パラメータの演算処理、露光(撮影)、被写体の画像データの転送、露光(測光)、動作パラメータの演算処理を行うといった処理を繰り返すことになる。
または、動作パラメータを固定して撮像を繰り返す。
【0009】
しかし、このような撮像装置によれば、露光(撮像)、被写体の画像データを画像信号処理部に転送した後に、露光(測光)、露光条件等の動作パラメータの演算処理を行うといった処理を繰り返すことになることから、連写速度の高速化には限界があるという不利益があった。
また、また、動作パラメータを固定して撮像を繰り返す連写の場合には、連写中に被写体輝度が変化した場合、適正露出による撮像ができないという不利益があった。
【0010】
本発明の目的は、連写速度の向上を図ることが可能な撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の第1の観点は、撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、撮像して得られた記録用の画像信号を転送する第1の手段と、前記記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を前記記録用の画像信号の転送と並行して行う第2の手段とを有する。
【0012】
本発明の第2の観点は、撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、撮像して得られる記録用の画像信号を分割して転送する第1の手段と、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を他の分割された記録用の画像信号の転送と並行して行う第2の手段とを有する。
【0013】
好適には、前記第1の手段で分割して転送された画像信号を合成して1の画像として記録する手段を、さらに有する。
【0014】
好適には、連写撮影モードを有し、前記連写撮影モード時に、前記第1の手段は、撮像して得られる記録用の画像信号を分割して転送し、前記第2の手段は、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算と他の分割された記録用の画像信号の転送とを並行して行う。
【0015】
好適には、前記画像信号は、直前に撮像された記録用画像信号に基づいて算出された撮影上の動作パラメータが適用された撮像により得られる。
【0016】
好適には、前記第2の手段は、最初に分割転送される被分割記録用画像信号を基に前記撮影上の動作パラメータを算出する。
【0017】
好適には、最初に転送される画像信号が有効エリアの画像信号を含み、前記第2の手段は、前記有効エリアの画像信号から撮影上の動作パラメータを算出する。
ここで有効エリアとは、たとえば分割転送のために複数に分割したエリアのうち、たとえば画像の中央部分に位置するフィールド等をいい、この場合は、転送は順番ではなく、最初に有効エリアを含むフィールドとなる。
【0018】
好適には、前記撮影上の動作パラメータには、少なくとも露出値、およびホワイトバランス調整値のいずれかを含む。
【0019】
本発明の第3の観点は、撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られる記録用の画像信号を転送する撮像手段と、記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算手段と、前記撮像手段の転送を制御し、当該転送タイミングに基づいて、前記演算手段による記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を記録用の画像信号の転送と並行して行うように制御する制御手段とを有する。
【0020】
本発明の第4の観点は、撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送可能な撮像手段と、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算手段と、前記撮像手段の分割転送を制御し、当該分割転送タイミングに基づいて、前記演算手段による所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する制御手段とを有する。
【0021】
好適には、連写撮影モードを有し、前記連写撮影モード時に、前記撮像手段は、撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送し、前記制御手段は、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する。
【0022】
本発明の第5の観点は、撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、絞りと、シャッタと、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られる記録用の画像信号を転送する撮像素子とを含む撮像手段と、記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータとして少なくとも絞り値とシャッタ値に基づいて露光値を算出する第1の演算手段と、前記撮像手段の転送を制御し、当該転送タイミングに基づいて、前記第1の演算手段による記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を記録用の画像信号の転送と並行して行うように制御する制御手段とを有する。
【0023】
本発明の第6の観点は、撮像して得られた画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、絞りと、シャッタと、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送可能な撮像素子とを含む撮像手段と、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータとして少なくとも絞り値とシャッタ値に基づいて露光値を算出する第1の演算手段と、前記撮像手段の分割転送を制御し、当該分割転送タイミングに基づいて、前記第1の演算手段による所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する制御手段とを有する。
【0024】
好適には、前記撮像手段により転送された分割された各画像信号ごとに輝度データを算出する第2の算出手段を有し、前記第1の演算手段は、前記輝度データに応じた差分値を適用して前記露光値を算出する。
【0025】
好適には、モニタモードを有し、前記撮像手段は、前記モニタモード時には、撮像した画像信号の分割転送を行わない。
【0026】
ここで、分割して転送とは、撮像手段で分割して読み出し、転送すること、並びに演算のために所定の画像信号を分割して転送すること、の双方の意味を含む。
また、ここで有効エリアとは、たとえば分割転送のために複数に分割したエリアのうち、たとえば画像の中央部分に位置するフィールド等をいい、この場合は、転送は順番ではなく、最初に有効エリアを含むフィールドとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、連写速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る撮像装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
本実施形態においては、撮像装置として、静止画を撮像可能なデジタルカメラを例に説明する。
【0030】
本実施形態の撮像装置100は、撮影モードして通常撮影動作を行う単写撮影モードと、連写撮影モードと、モニタモードとを有する。これらのモードは、図示していない操作スイッチ等により切り替える。
本実施形態では、連写撮影モードにおいて、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られた記録用の1つの画像信号を分割して転送し、かつ、所定の分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行う。
本実施形態においては、後で詳述するように、1つの記録用画像信号をAフィールド、Bフィールド、およびCフィールドの3つに分割して転送する。
そして、最初に分割転送される被分割記録用画像信号、すなわちAフィールドのデータを基に撮影上の動作パラメータを算出する。
たとえば、本実施形態においては、分割したBフィールドの転送中にメモリからのデータ読み出しおよびAフィールドのデータを基に撮影上の動作パラメータとしての露出演算を行い、Cフィールドの転送中にシャッタの設定を行う。
動作パラメータには、たとえば露出値、およびホワイトバランス調整値を含む。
また、本実施形態においては、最初に転送される画像信号が有効エリアの画像信号を含む場合は、有効エリアの画像信号から撮影上の動作パラメータを算出することも可能である。
ここで有効エリアとは、たとえば分割転送のために複数に分割したエリアのうち、たとえば画像の中央部分に位置するフィールド等をいい、この場合は、転送は順番ではなく、最初に有効エリアを含むフィールドとなる。
また、モニタモードでは、撮像した画像信号の分割転送を行わない。
【0031】
本実施形態において、分割して転送とは、撮像手段で分割して読み出し、転送すること、並びに演算のために所定の画像信号を分割して転送すること、の双方の意味を含む。
また、ここで有効エリアとは、たとえば分割転送のために複数に分割したエリアのうち、たとえば画像の中央部分に位置するフィールド等をいい、この場合は、転送は順番ではなく、最初に有効エリアを含むフィールドとなる。
【0032】
以下、図1の撮像装置の具体的な構成および各部の機能について説明する。
【0033】
図1の撮像装置100は、撮像手段としての撮像部101、相関二重サンプリング回路(以下、CDSという)102、アナログゲインアンプ103、アナログ/デジタル(A/D)変換回路104、デジタルゲインアンプ105、第2の演算手段としての積算値演算回路106、画像処理回路107、メモリ(RAM)108、制御手段の一部を含むCPU109、第1の演算手段としての露出演算回路110、ホワイトバランス(WB)演算回路111、オートフォーカス(AF)演算回路112、制御手段の一部を含む露出制御装置113、タイミングジェネレータ114、メカニカルシャッタ(以下、メカシャッタという)駆動用モータドライバ115、絞り駆動用モータドライバ116、AF駆動用モータドライバ117、メッカシャッタ駆動用モータ118、絞り駆動用モータ119、およびAF駆動用モータ120を有している。
【0034】
撮像部101は、自動フォーカス調整のためにモータドライバ117およびモータ120により駆動される撮像レンズ1011、モータドライバ116およびモータ119により駆動される絞り1012、モータドライバ115およびモータ115により駆動されるメカシャッタ1013、並びに、たとえばCCDからなる撮像素子1014を有している。
なお、撮像部101は、電子シャッタの機能も有している。
【0035】
撮像素子1014は、撮像レンズ1011、絞り1012、およびメカシャッタ1013を介して入射した被写体像を光電変換する。
撮像素子1014は、記録画像撮像時(たとえば連写撮影モード時あるいは単写撮影モード時)には、露出制御装置113により制御されるタイミングジェネレータ114の制御タイミングに従って、図2に示すように、1つの記録用画像信号をAフィールド、Bフィールド、およびCフィールドの3つに分割して転送する。
図2の例では、撮像素子1014は、1752画素×2344画素の一画面(画像信号)を垂直方向に3分割した形態で順次に転送するように制御される。すなわち、584画素×2344画素を1フィールドとして、第1フィールド(Aフィールド)、第2フィールド(Bフィールド)、第3フィールド(Cフィールド)として順番にCDS回路102に転送する。
各フィールドにおいては、図2に示すように、色の3原色のRの画素数、Grの画素数、Gbの画素数、およびBの画素数は、1172×292である。
また、撮像素子1014は、図3に示すように、第1フィールド(Aフィールド)、第2フィールド(Bフィールド)、第3フィールド(Cフィールド)に分割する場合であっても、図3に示すように、中央の第2フィールド(Bフィールド)が有効エリアで、上下の第1フィールド(Aフィールド)および第3フィールド(Cフィールド)が有効エリアでない場合には、上述したように、第1フィールド(Aフィールド)、第2フィールド(Bフィールド)、第3フィールド(Cフィールド)として順番にCDS回路102に転送するのでなく、有効エリアの第2フィールド(Bフィールド)を先に(優先的に)に転送する。
【0036】
また、撮像素子1104は、モニタモード時には、露出制御装置113により制御されるタイミングジェネレータ114の制御タイミングに従って、図2に示すように、垂直方向を1/6に間引いて292画素×2344画素の1つのモニタ(スルー)用画像信号を転送する。
【0037】
CDS回路102は、各撮影モードに応じて撮像素子1014から転送された画像信号における画素からの信号レベルとリセットレベルの差を減算し、画素ごとの固定ばらつきを除去してアナログゲインアンプ103に出力する。
【0038】
アナログゲインアンプ103は、CDS回路102による画像信号をアナログ処理により増幅し、A/D変換回路104に出力する。
アナログゲインアンプ103は、各色ごとにアンプゲインを変えることにより、ホワイトバランス(WB)調節も行う。
【0039】
A/D変換回路104は、アナログゲインアンプ103で増幅処理を受けた画像信号をデジタル信号に変換してデジタルゲインアンプ105に出力する。
【0040】
デジタルゲインアンプ105は、デジタル処理によりデジタル画像信号を増幅し、積算値演算回路106に出力する。
デジタルゲインアンプ105は、各色ごとにアンプゲインを変えることにより、ホワイトバランス(WB)調節も行う。
【0041】
積算値演算回路106は、入力される撮像部101の撮像素子1014から転送された画像データをブロックごとに積算し、CPU109からの指示により、モニタリング時(スルー画像出力時)と、キャプチャ時(記録用データ出力時)とで積算ブロックを変化させる。
積算値演算回路106は、演算処理により得られた積算値と各色の画素数データに基づいてモニタリング時には間引き処理を受けた画像信号に対して、キャプチャ時にはAフィールド、Bフィールド、Cフィールドに分割されて転送された記録用の各被分割画像信号ごとに輝度データYを下記式に基づいて算出し、算出した輝度データを露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111に出力し、また、画像処理回路107に出力する。
【0042】
(数1)
Y=0.299(R積算値/R画素数)
+0.587(Gr積算値/Gr画素数+Gb積算値/Gb画素数)
+0.114(B積算値/B画素数)
【0043】
画像処理回路107は、CPU109からの指示により、リニアマトリクス変換、ガンマ変換、エッジ強調、フィルタリング処理等の画像処理を行い、メモリ108に出力する。
画像処理回路107は、フィルタリング処理によりAF演算用のデータを生成し、AF演算回路112に供給する。
【0044】
メモリ108は、画像処理回路107にて処理された画像データを一時的に保存する。また、図示していないが、このメモリ108の保存データを取り出し、メモリカード等の記録、LCD等の表示装置への表示等が行われる。
【0045】
CPU109は、各種デバイスの制御、状態の管理等を行う。
CPU109は、連写撮影モードにおいては、露出制御装置113により制御されるタイミングジェネレータ114の撮像素子1014の分割転送制御に協同して、所定の分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように露出演算回路110、ホワイトバランス(WB)演算回路111の制御を行う。
また、CPU109は、AF演算回路112の制御を行う。
【0046】
露出演算回路110は、CPU109の制御に従って積算値演算回路106において算出されたデータ(輝度データY)を基に設定すべきシャッタ、絞り、アンプゲイン(アナログおよびデジタルのアンプゲイン)を算出し、露出制御装置113に出力する。
【0047】
露出演算回路110は、たとえば図4に示すような、輝度データと測光値(露光値)を求めるときに用いる差分値との対応テーブルを有し、このテーブルを参照等して測光値(露光値)を求める。
図4のテーブルは輝度データが8ビットのデジタルデータで得られる場合の例で、輝度データにより、差分値がー2.6から+3.0の範囲で29段階に設定されている。
【0048】
具体的には、まず、積算値演算回路107による輝度データYから図4のテーブルを参照して差分値データを得る。
次に、測光値(BV)を、以下の式により算出する。ここで、前回の絞り値をAv、前回のシャッタ値をTv、前回の感度をSv、差分値をDvとする。
【0049】
(数2)
Bv=Av+Tv−Sv+Dv
【0050】
なお、前回の絞り値Av、前回のシャッタ値Tv、前回の感度Svは、輝度データ(差分値)を得る際の露光条件である。
【0051】
次に、求めた測光値Bvから以下の式を満たす次回の絞り値Av、次回のシャッタ値Tv、次回の感度Svを算出する。
【0052】
(数3)
Bv=Av+Tv−Sv
【0053】
ただし、
Tv=log2(1/T)、Tはシャッタスピード(秒)、
Av=log2(Fno2) 、Fnoは絞りのF値、
Av=log2(0.3×ISO感度)である。
【0054】
ホワイトバランス(WB)演算回路111は、CPU109の制御に従って積算値演算回路106で得られたR,Gr,Gb,Bの各積算値を基に、ホワイトバランス(WB)用のゲインを算出し、露出制御装置113に出力する。
【0055】
AF演算回路112は、CPU109の制御に従って積算値演算回路106で得られたAF用データを基に、AF演算を行い、撮像レンズ1011の駆動を制御するための信号をモータドライバ117に出力する。
【0056】
露出制御装置113は、露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111で算出された結果から、シャッタ、絞り、アンプゲインをそれぞれ制御する。
露出制御装置113は、連写撮影モードにおいては、CPU109と協同で、タイミングジェネレータ114の撮像素子1014の分割転送制御タイミングを、所定の分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する。
【0057】
タイミングジェネレータ114は、露出制御装置113の制御に従って撮像素子1014を駆動するパルスを生成し、撮像素子1014に出力する。
タイミングジェネレータ114は、撮像素子1014の露光時間(電子シャッタ)をも制御する。
【0058】
次に、上記構成による連写撮影モードの動作を図5(A)から(I)に関連付けて説明する。
【0059】
撮像部101において、自動フォーカス調整のためにモータドライバ117およびモータ120により駆動される撮像レンズ1011、モータドライバ116およびモータ119により駆動される絞り1012、モータドライバ115およびモータ115により駆動されるメカシャッタ1013が駆動制御されて、撮像素子1014において、撮像レンズ1011、絞り1012、およびメカシャッタ1013を介して入射した被写体像が光電変換される。
【0060】
図5(A)〜(H)に示すように、撮像素子(CCD)1014は、モニタリング用の垂直方向1/6方向間引きで駆動され、電子シャッタが制御されて撮像素子(CCD)1014の露光が行われて1/6間引きの画像信号の転送が行われる。
1/6間引きの画像信号は、CDS回路102、アナログゲインアンプ103で増幅され、A/D変換回路104でデジタル信号に変換され、さらにデジタルゲインアンプ105で増幅作用を受けて積算値演算回路106に入力される。
【0061】
積算値演算回路106においては、演算処理により得られた積算値と各色の画素数データに基づいて1/6間引きの画像信号の輝度データYが算出され、算出した輝度データを露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111に出力され、また、画像処理回路107に出力される。
露出演算回路110では、CPU109の制御に従って積算値演算回路106において算出されたデータ(輝度データY)を基に設定すべきシャッタ、絞り、アンプゲイン(アナログおよびデジタルのアンプゲイン)が算出され、露出制御装置113に出力される。
ホワイトバランス(WB)演算回路111において、CPU109の制御に従って積算値演算回路106で得られた積算値を基に、ホワイトバランス(WB)用のゲインが算出され、露出制御装置113に出力される。
【0062】
露出制御装置113においては、露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111で算出された結果から、シャッタ、絞り、アンプゲインの各制御が行われる。
【0063】
記録用の撮像開始の指示があった場合、記録用の電子シャッタに切り替え、その露光終了のタイミングで、メカシャッタ1013が閉状態に制御され、CPU109により積算値演算回路106に対して積算ブロックの切り替え信号が出される。
【0064】
ここでタイミングジェネレータ114による制御により、Aフィールドの画像信号の転送が行われる。
Aフィールドの画像信号は、CDS回路102、アナログゲインアンプ103で増幅され、A/D変換回路104でデジタル信号に変換され、さらにデジタルゲインアンプ105で増幅作用を受けて積算値演算回路106に入力される。
Aフィールドの画像信号の転送終了後、引き続き、Bフィールド、さらにはCフィールドの画像信号の転送が行われる。
B、Cフィールドの画像信号は、CDS回路102、アナログゲインアンプ103で増幅され、A/D変換回路104でデジタル信号に変換され、さらにデジタルゲインアンプ105で増幅作用を受けて積算値演算回路106に入力される。
【0065】
積算値演算回路106においては、演算処理により得られた積算値と各色の画素数データに基づいてAフィールドの画像信号の輝度データYが算出され、算出した輝度データを露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111に出力され、また、画像処理回路107に出力される。
露出演算回路110では、CPU109の制御に従って積算値演算回路106において算出されたデータ(輝度データY)を基に設定すべきシャッタ、絞り、アンプゲイン(アナログおよびデジタルのアンプゲイン)が算出され、露出制御装置113に出力される。
ホワイトバランス(WB)演算回路111において、CPU109の制御に従って積算値演算回路106で得られた積算値を基に、ホワイトバランス(WB)用のゲインが算出され、露出制御装置113に出力される。
【0066】
露出制御装置113においては、露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111で算出された結果から、シャッタ、絞り、アンプゲインの各制御が行われる。
【0067】
以上の動作においては、図5(F)から(H)に示すように、露出演算回路110でAフィールドのデータで算出した露出パラメータ(シャッタ値等)をCフィールドの転送終了直前で設定し、Cフィールドの次のVD期間でメカシャッタ1013を開状態に制御して、次のVD期間ですぐに露光するように制御される。
これの一連の動作により、露光量等の動作パラメータを更新しつつ、連写速度の高速化が実現されている。
【0068】
以上の動作が連写撮影モードで撮像される連続する複数画像に対して同様に繰り返される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、連写撮影モード時に、露出制御装置113により制御されるタイミングジェネレータ114の制御タイミングに従って、1つの記録用画像信号をAフィールド、Bフィールド、およびCフィールドの3つに分割して順次に転送する撮像素子1014と、露出演算回路110およびホワイトバランス演算回路111で算出された結果から、シャッタ、絞り、アンプゲインをそれぞれ制御し、かつ、露出制御装置113は、連写撮影モードにおいては、CPU109と協同で、タイミングジェネレータ114の撮像素子1014の分割転送制御タイミングを、所定の分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する露出制御装置113とを有することから、連写速度の向上を図ることができる。
一般に、スルー用の画像信号から露出演算を行うカメラにおいて、連写中に、AEロックをしない場合は、連写の間にスルー用の画像信号に切り替え、そのスルー用画像信号を基に演算を行う。
この場合、最低でも連写の間に、測光用露光に1V、測光用画像転送に1V、露出演算+パラメータ設定に1V、記録用露光に1Vの、計4V期間のスルー用の画像信号の出力が必要となる(メカシャッタ使用時は前記4Vの前にメカシャッタ開用に1V必要で計5Vである)。
これに対して、本発明によれば、連写の間のスルー用の画像信号の出力は、記録用の露光時間が最低1V(メカシャッタ使用時は2V)ですむことから、AEロックをしない連写において、連写速度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】撮像素子のモニタリング時およびキャプチャ時(連写撮影モード時の3フィールド読み出し)動作を説明するための図である。
【図3】有効エリアがあるときの転送方法を説明するための図である。
【図4】露出演算回路において輝度データと測光値(露光値)を求めるときに用いる差分ちであるとの対応テーブルを示す図である。
【図5】本実施形態における連写撮影モードの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0071】
100…撮像装置、101…像部、1011…撮像レンズ、1012…絞り、1013…メカニカルシャッタ、1014…撮像素子、102…相関二重サンプリング回路(CDS)、103…アナログゲインアンプ、104…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、105…デジタルゲインアンプ、106…第2の演算手段としての積算値演算回路、107…画像処理回路、108…メモリ(RAM)、109…制御手段の一部を含むCPU、110…第1の演算手段としての露出演算回路、111…ホワイトバランス(WB)演算回路、112…オートフォーカス(AF)演算回路、113…制御手段の一部を含む露出制御装置、114…タイミングジェネレータ、115…メカニカルシャッタ(メカシャッタ)駆動用モータドライバ、116…絞り駆動用モータドライバ、117…AF駆動用モータドライバ、118…メッカシャッタ駆動用モータ、119…絞り駆動用モータ、120…AF駆動用モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
撮像して得られた記録用の画像信号を転送する第1の手段と、
前記記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を前記記録用の画像信号の転送と並行して行う第2の手段と
を有する撮像装置。
【請求項2】
撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
撮像して得られる記録用の画像信号を分割して転送する第1の手段と、
所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を他の分割された記録用の画像信号の転送と並行して行う第2の手段と
を有する撮像装置。
【請求項3】
前記第1の手段で分割して転送された画像信号を合成して1の画像として記録する手段を、さらに有する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
連写撮影モードを有し、
前記連写撮影モード時に、
前記第1の手段は、撮像して得られる記録用の画像信号を分割して転送し、
前記第2の手段は、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算と他の分割された記録用の画像信号の転送とを並行して行う
請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像信号は、直前に撮像された記録用画像信号に基づいて算出された撮影上の動作パラメータが適用された撮像により得られる
請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の手段は、最初に分割転送される被分割記録用画像信号を基に前記撮影上の動作パラメータを算出する
請求項2乃至5のうちのいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項7】
最初に転送される画像信号が有効エリアの画像信号を含み、
前記第2の手段は、前記有効エリアの画像信号から撮影上の動作パラメータを算出する
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影上の動作パラメータには、少なくとも露出値、およびホワイトバランス調整値のいずれかを含む
請求項1乃至7のうちのいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られる記録用の画像信号を転送する撮像手段と、
記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算手段と、
前記撮像手段の転送を制御し、当該転送タイミングに基づいて、前記演算手段による記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を記録用の画像信号の転送と並行して行うように制御する制御手段と
を有する撮像装置。
【請求項10】
撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送可能な撮像手段と、
所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算手段と、
前記撮像手段の分割転送を制御し、当該分割転送タイミングに基づいて、前記演算手段による所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する制御手段と
を有する撮像装置。
【請求項11】
連写撮影モードを有し、
前記連写撮影モード時に、
前記撮像手段は、撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送し、
前記制御手段は、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮像して得られる画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
絞りと、シャッタと、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られる記録用の画像信号を転送する撮像素子とを含む撮像手段と、
記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータとして少なくとも絞り値とシャッタ値に基づいて露光値を算出する第1の演算手段と、
前記撮像手段の転送を制御し、当該転送タイミングに基づいて、前記第1の演算手段による記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算を記録用の画像信号の転送と並行して行うように制御する制御手段と
を有する撮像装置。
【請求項13】
撮像して得られた画像信号を1の画像として記録可能な撮像装置であって、
絞りと、シャッタと、撮影上の動作パラメータに応じて撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送可能な撮像素子とを含む撮像手段と、
所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータとして少なくとも絞り値とシャッタ値に基づいて露光値を算出する第1の演算手段と、
前記撮像手段の分割転送を制御し、当該分割転送タイミングに基づいて、前記第1の演算手段による所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と、他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する制御手段と
を有する撮像装置。
【請求項14】
前記撮像手段により転送された分割された各画像信号ごとに輝度データを算出する第2の算出手段を有し、
前記第1の演算手段は、前記輝度データに応じた差分値を適用して前記露光値を算出する
請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
連写撮影モードを有し、
前記連写撮影モード時に、
前記撮像手段は、撮像して得られた記録用の画像信号を分割して転送し、
前記制御手段は、所定の前記分割された記録用の画像信号に基づいた撮影上の動作パラメータを算出する演算処理と他の分割された記録用の画像信号の転送処理とを並行して行うように制御する
請求項13または14に記載の撮像装置。
【請求項16】
モニタモードを有し、
前記撮像手段は、前記モニタモード時には、撮像した画像信号の分割転送を行わない
請求項13乃至15のうちのいずれか一に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−129076(P2006−129076A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314698(P2004−314698)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】