説明

撮像装置

【課題】 低照度下においても撮像素子からファインダ表示用及びAF調整用の画像信号を得ることができるようにする。
【解決手段】 撮像素子4から垂直方向に隣接する2画素の情報を加算して読み出すフィールドモードと上記2画素を加算することなく全画素を独立して読み出すフレームモードとを選択的に行うことにより、静止画を撮像するように成された撮像装置において、静止画撮像の前に行われるファインダ表示及びAF調整時には必らずフィールドモードでの読み出しを行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は垂直方向の全ての画素を独立に読み出すフレームモードと垂直方向の隣接2画素を混合して読み出すフィールドモードとの両モードに対応可能なインターライン型CCD等の撮像素子を用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子スチルカメラのような静止画撮像装置においては、インターライン型CCD等を用いて垂直方向の全ての画素を独立に読み出すフレームモードと垂直方向の隣接2画素を混合して読み出すフィールドモードとの両モードを行うことができる。この両モードの内特にフレームモードは垂直の解像度が高く、高画質を望む使用者のニーズに対応しているため、静止画撮像装置においては必須のモードとなっている。
【0003】
一方、このような静止画撮像装置において、そのファインダとして光学部材を用いた光学ファインダが従来より多く用いられていたが、近年液晶表示装置などを用いたEVFの性能が向上し、静止画撮像装置のファインダとしても使われるようになってきた。
【0004】
また上記静止画撮像装置において使用する撮像素子の画素数が増大するに従い、そのオートフォーカス(AF)性能もより高度なレベルを要求され、フォーカスレンズの調整変動単位がより微小になっている。そのため合焦判定用の信号として撮像素子自体の出力信号を用いることが必須となってきている。
【0005】
以上のことから静止画撮像装置においても、静止画像を生成する前に撮像素子を読み出して、その読み出し出力をEVF用及びAF用に利用する必要性が非常に高くなってきた。
このような状況からフレーム及びフィールドモードによる撮像が可能でかつ撮像出力を用いたEVF及びAFに対応可能な撮像装置の従来例を以下に説明する。
図17は従来のデジタル電子カメラのブロック図である。
図17において、1は撮像素子に光学像を結ぶための光学レンズで、不図示の焦点調整用フォーカスレンズを含む。2は絞り機能とシャッター機能を兼ねる絞り兼用メカシャッターである。3は光学レンズ1と絞り兼用メカシャッター2のメカ系各部の駆動回路である。4は光学レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するCDD等の撮像素子、5は撮像素子4を動作させるために必要なタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路(以降TGと言う)である。6はTG5からの信号を撮像素子駆動可能なレベルに増幅する撮像素子駆動回路である。7は撮像素子4の出力ノイズ除去のためのCDS回路や増幅回路を備えた前置処理回路である。8はA/D変換器である。9は撮像信号処理回路である。10は記録媒体で例えばPCMCIA規格のメモリーカードやハードディスクなどである。11は記録媒体10に信号を記録するためのインターフェース回路である。12はメカ及び操作部、撮像信号処理部等を制御するCPUを用いたシステムコントローラ(シスコン)である。13はカメラを外部から制御するための操作部、14はファインダとして用いる表示装置である。
【0006】
図18は動作を説明するためのタイミング図、図19は撮像素子4の色フィルター配列を示す図である。この色フィルタはR、G、Bの各フィルタが図示のように配列されている。以下従来例について図17〜19を用いて説明する。
【0007】
撮影者が操作部13を操作することにより撮影動作を開始すると、シスコン12の制御によりメカ系駆動回路3を駆動して各回路に電源を供給する。次に絞り兼用メカシャッター2を不図示の測光手段により設定された絞り径(図18ではF5.6)に開いて撮像素

子4の露光を開始する。そして上記測光手段により設定された露光時間分だけ光電荷が蓄積されるように、図18の電子シャッター用パルス(3)と読み出しパルス(4)とをTG5から撮像素子駆動回路6を介して撮像素子4に供給する。これにより、撮像素子4から図18(6)のようにODDフィールド出力とEVENフィールド出力とが交互に出力される。この場合、図19に示すように、両フィールドから同じ色信号成分が出力される。このようにして読み出された図18のfield2〜4の信号は、前置処理回路7、A/D変換器8を介して撮像信号処理回路9に加えられることにより、ファインダ出力用の信号及びAF制御用の信号に変換される。変換後の信号は、各々表示装置14及びシステムコントローラ12に送られる。表示装置14では撮影中の被写体を表示し、またシステムコントローラ12では上記AF用の信号をもとに光学レンズ1の合焦点位置を検出する。合焦点位置の検出方法については従来より種々の手段が公知であるためここでは説明を省略する。
【0008】
図18に示すfield4のタイミングでは、電子シャッター用パルス(3)と読み出しパルス(4)によりメカシャッター2による露光時間が決定され、field4の後メカシャッターは閉状態となる。このように電子シャッターとメカシャッター2を併用した後、field4で露光された信号をfield5、6で読み出すことにより、同時刻に全画素を露光した時間ずれのない2フィールドの信号をフレーム信号として読み出すことができる。このようにして撮像素子4から読み出された信号は前置処理回路7、A/D変換器8を介して撮像信号処理回路9に加えられることにより、所定の信号フォーマットに変換され、記録媒体I/F11を介して記録媒体10に記録される。
【0009】
上述した上記従来例では、静止画記録に際して垂直解像度が高くなるフレーム読み出しを行なっているが、この場合にファインダ出力及びAFのための撮像出力読み出しにおいてもフレーム読み出しを行なうようにしている。このようにすることにより、静止画記録時とファインダ出力時及びAF時とでは撮像素子4の感度を同一とし、必要な露出量を同じレベルにすることができる。そのため、両モードの切換時に露出制御をやり直したり、絞りの経を変える必要がなく、その変更に要する時間のロスをなくすことができる。
【0010】
【特許文献1】特開平7−245730号公報
【特許文献2】特開平5−91417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記従来例で示すようにファインダ出力時あるいはAF時にフレームモードで読み出す場合、次のような問題点が生じる。
(1)フレームモードではフィールドモードに比べて感度が半減する。感度が低い場合は、その分だけファインダ及びAFが必要とする照度は高くなり、ストロボを用いなくてはならないような低照度下ではファインダやAFが正常に動作しない。
(2)従来例に示す動作では、ファインダ出力時及びAF時に1フィールドごとに得られる信号は図19に示すように1ラインづつ垂直方向にずれてしまう。そのため、垂直ライン数が1フィールド分しかないファインダに出力する際には、補間処理などを行なわないと映像が1フィールドごとに垂直にずれてしまい、観察者に不快感を与える見ずらい画像となってしまう。
【0012】
そこで、本発明の目的は、低照度下においても被写体を観察したりあるいは焦点調整を正しく行うことのできる撮像装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撮像装置は、撮像素子から垂直方向に隣接する2画素の情報を加算して読み出す第1のモードと上記2画素を加算せずに全画素の情報をそれぞれ読み出す第2のモードとを選択的に行うと共に、上記撮像素子からファインダ用画像を得る第3のモードとレンズの焦点調整を行う第4のモードとの少くとも1つのモードを行うように成された撮像装置において、上記第3、第4のモードの少くとも1つのモードを行うときは上記第1のモードで撮像を行うように制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、フレーム静止画の撮像記録においてもファインダへ出力する際及び/又はAF動作中にはフィールド読み出しすることで感度を略2倍にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態の動作シーケンスを説明するためのタイミングチャート、図2はフレーム読み出しする際に、図3はフィールド読み出しする際に撮像素子4を駆動するための各垂直転送パルスの波形図である。
また、図4はファインダ出力時及びAFの露出制御における絞り径とシャッタースピードとを決定するためのプログラム線図である。図5はAFロック後の露出制御における絞り径とシャッタースピードとを決定するためのプログラム線図である。図6は本露光の露出制御における絞り径とシャッタースピードとを決定するためのプログラム線図である。
さらに図7〜10は本実施の形態における一部の動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。また図11は撮像素子4の色フィルタ配列の1例を示すイメージ図で、読み出し時の加算画素の説明図でもある。尚、この例では補色フィルタを用いた場合を示している。電子カメラの構成は図17と同一のものが用いられる。
【0016】
以下、本実施の形態を図1〜11を用いて説明する。
図1のT1 に示すように、まず絞り兼用メカシャッター2を閉じた状態のまま撮像素子4(本実施の形態ではインタライン型CCD)の出力を読み出し、その出力レベルを基準の黒レベルとする。この黒レベルは撮像素子4の暗電流むらの除去のための基準信号としたり、露光制御用検出信号を演算する際に撮像出力から差し引いて黒レベルの変動を吸収して、より精度良く露光量の検出を行なうために用いる。この場合黒レベルを利用する目的としての補正項目が撮像素子4の光電変換部に依存するのであれば、読み出しパルスを出力して光電変換部の暗電流分の電荷も読み出し、垂直転送部に依存するのみであれば読み出パルスを出力しないようにする。
【0017】
次に図1のT2 に示すように、図4のAFプログラム線図に依存して露出制御を行なう。基本的には絞りを開放寄りにしてAFを行なうのが理想である。そのため、先ず開放絞りのF2.5(AV2.6)で高速シャッターにより露光を行ない、そのときの撮像素子4の出力レベルと理想的な輝度レベルとを比較し、そのレベル比に応じて露光量を変えていくようにする。
【0018】
この動作を図7、図8のフローチャートを参照して以下に説明する。
先ず、図7のステップS1、S2により、EV値13.1(絞り開放F2.5、シャッタースピード1/1400)で露光を行ない、撮像素子4を読み出す。この読み出しは図3に示す垂直転送パルスV1 〜V4 により行なわれる。つまり図11に示すように、垂直方向の隣接2画素が混合されて読み出されるフィールド読み出しが行われ、かつODDフィールドとEVENフィールドとで同じ画素同士が混合されるようにまったく同一の垂直転送パルスV1 〜V4 がTG5より供給される。
【0019】
このようなノンインターレースのフィールドモードによる読み出しを行なうことにより次の効果がある。
(1)フレームモードに比べ感度を良くすることができる。
(2)図11のような補色フィルタ配列でも図19のような原色フィルタ配列でも、一回の読み出し信号によりカラー映像信号が生成できる。このため特に高価なメモリを用いなくともリアルタイムで動画像を得ることができる。
【0020】
(3)垂直ライン数の少ない液晶ディスプレイに表示した時の画質妨害が少ない。
(4)AF用の信号として用いる場合、各フィールド画像に位相ずれがないため精度の良い高速AFが可能となる。またシャッタースピードは図1のaに示すように、電子シャッタ用のパルスVsubを用いて光電変換部の電荷をサブストレートから捨ててクリアすることにより露光を開始し、光電変換部から垂直蓄積部への読み出しをもって露光終了と決めている。
【0021】
上記露光量に対応した信号が撮像素子4から出力され前置処理回路7、A/D変換器8等を介してデジタル化された後、撮像信号処理回路9に加えられる。ここでは、画面上の所定領域における輝度信号積分値が求められる。これをシステムコントローラ12で演算し、その結果によりメカ系駆動回路3を介して絞り兼用メカシャッター2の絞り径及びタイミング発生回路からの電子シャッター用バルスのタイミングを制御する。そしてステップS3で輝度レベルと基準信号xとを比較し、輝度レベルが基準信号xよりも小さければ絞り開放のままとし、大きければ、ステップS4で絞りをF5.6、シャッタースピード1/1400として再度露光を行なう。なお、絞り兼用のメカシャッター部材はその切換えを行なった後絞りが安定するまでに数10msに待たなくてはならない。このため各絞り換え後は安定までの待機時間を設ける。
【0022】
次に再度露光した結果の撮像出力輝度信号と基準レベルxとをステップS5で比較して輝度信号のレベルが小さければそのままの絞り径で図8のステップS7に移行し、x<輝度レベルであればステップS6で絞りをF16とした後、図8のステップ7に移行する。ステップS7では前回の露光時の輝度信号レベルをもとに露光時間を決定して再露光を行なう。次にステップS8により、ステップS7での露光時の出力信号をもとに
|X−輝度レベル|<Y
の演算を行ない、YESであれば適正露光になっていると判断して図のステップS13に移行し、AF動作をスタートさせる。また、NOであれば、ステップS9により、
新露光時間=(旧露光時間×(X÷輝度レベル))
の演算を行なって、輝度レベルと基準レベルとを一致させるようにシャッタースピードをコントロールして露出制御を行なう。
【0023】
次にステップS10によりステップS9で導出された露光時間が図4に示すプログラム線図内にあるか否かを確認し、範囲内にあればステップS11により新露光時間で再露光を行い、再度レベルの比較を行なう。またプログラム線図範囲外であればステップS12により絞りを変更して露光時間を再演算してから再露光を行なう。
【0024】
なお、図4に示すようにプログラム線図はヒステリシスを有し、例えば絞りF5.6では露出量としてEV12.6までシャッタースピードで制御した後、それでもまだ暗ければ絞りをF2.5に変える。但し、F2.5ではEV12.6以上となっても絞り値を大きくすることなく、EV13.6以上となって初めて絞り径を変えることとする。このようにすることにより頻繁に絞りの設定が変わることなく露光量の調整が完了する。特に本実施の形態のように絞り兼用のシャッター部材の制御においてはその絞り値が安定するまでに時間がかかるため、上記のように絞りの変化が頻繁に起こらないような設定を行なうことは重要である。
【0025】
また上記実施の形態では、一画面分の撮像出力から生成した輝度信号をもとに演算を行なっているが、これを数回分の撮像出力の輝度信号の平均レベルとしても良い。このようにすることにより、画面内に突然目的の被写体以外のものが飛び込んできた時にもその影響を最小限にして、露出調整及びAF調整を適正に行うことが可能となる。
なお、図1のT1 の次のT2 の期間は図4のAFプログラム線図に依存して露光量を決定する。
【0026】
さて上記動作によりAF動作可能な露光レベルが得られたので次に合焦点検出のためのAF動作を開始する。
まず図9のステップS13でAF制御を開始する。その制御方法については従来より種々の方法が公知であるためここでは説明を省略する。ステップS14でAF制御中に所定の周期で合焦(つまりAF制御終了)かを確認し、非合焦であればステップS15で輝度レベルと基準レベルとの比較を行なう。この際両レベルの差が所定値よりも小さければAF可能ということでステップS13に戻って引き続きAF動作を継続し、大きければAF不可能と判断してステップS16〜ステップS20により適正露光に設定し直した後、AF制御を再スタートさせる。ただし、ステップS15で用いられる所定値Zは前記所定値Yに比べて十分大きな値とする。
【0027】
これは、AF動作可能となってからは、途中で露光量が変わることが合焦点ポイント検出のためには弊害となることから、焦点レンズのスキャンが始まったらスキャンが一通り終了するまで露光レベルを固定としたほうが良い結果が得られるためである。固定してしまうことで、撮像範囲の変化等により輝度レベルが変動してもAF用合焦点検出値に影響がない場合には素早く正確なAF制御が可能となる。
【0028】
またステップS20で用いられる所定値YはステップS8の所定値Yと同じ値として、調整の開始/終了の対応レベルにヒステリシスを与えるようにする。このようにすることで、露光量調整再始動は大きく光源光量が変わってまったくAF不能なレベルになった場合にのみ実施され、一度露光量再調整が始まったら精度良く適正露光量とすることが可能となる。
【0029】
続いて図1のT3 のタイミングにおける動作について説明する。T2 の終了時点でAFロックとなった後T3 では図5の絞り込み後プログラム線図に依存して露出制御を行なう。なお、この場合にも読み出しはノンインターレースフィールドモードで行なうことで、前記効果の内、(1)〜(3)の効果を得ることができる。以下10図を用いてT3 の期間の動作を説明する。
先ずステップS21により直前の露光量及びその際の輝度レベルをもとに、図5の絞り込みプログラム線図を踏まえて絞り及び露光時間の設定を行なう。
【0030】
次にステップS22でその設定により露光された撮像素子4の出力の輝度レベルと基準値Xとの差を導出し、そのレベルを所定値Yと比較する。差がY以上であれば適正露光となっていないと判断され、再度その値をもとに露出制御を変えるためにステップS21に戻る。差がY未満であれば適正露光として判断してステップS23に進み、操作部にある不図示のレリーズボタンの第2レリーズのスイッチSW2の押圧を確認する。第2レリーズが押されていなければ再度露出確認を行なうためにステップS21に戻り、押されていたならばステップS24の本露光へと移行する。このように本発明例では、第2レリーズボタンの押圧時期に依らず、本露光の前には上記の絞りこみの後適正レベル確認を最低一回は行なうようにする。
【0031】
上記のようにして図1のT4 〜T5 の本露光タイミングに移行していく。本露光では図1に示すように、電子シャッターとメカシャッターとできまる時間cの間に露光され、T5 の期間にメカシャッターが完全に閉じ切った後、読み出し信号1と読み出し信号2とで順に画素信号をフレーム読み出していく。この際の撮像素子4を駆動する垂直転送パルスV1 〜V4 は例えば図2に示すような波形となる。もちろん図3に示すようにODDフィールドとEVENフィールドとで同一の波形により駆動するようにしてもかまわない。上記のように第2レリーズの押圧後直ちに本露光撮影を行なう(すなわち押圧後に露光調整を行わない)ことで押圧後本露光に至るまでの時間を極力短くすることができ、第2レリーズからのタイムレリーズラグを非常に少なくすることができる。
【0032】
本露光の際の露出制御は図6のプログラム線図によって決定するが、図6は本露光対応なのでフレーム読み出しとなるため、感度がフィールドモードの1/2という設定になっている。そのため露出量はフィールドモードの場合の2倍で適正露光となる。
【0033】
さて上記露出制御にあたって使用した図4〜6の各プログラム線図及びその適用ルールには次のような特徴がある。
(1)図4のプログラム線図は、図6の本露光プログラム線図や図5の絞り込みプログラム線図に比べ、開放絞りで撮影可能となる明るさの範囲が広い。
(2)図4のプログラム線図は、絞りの切り換え設定数を図6、図5のプログラム線図に比べ少なくしている。つまり図4では絞り設定は3系統だが、図6、図5では5系統になっている。
【0034】
(3)図4では各絞り間で明るさをオーバーラップしてカバーしている範囲が図5に比べ多い。
(4)図4の各絞り毎の最低TV値は図5の同一絞りの最低TV値よりも所定量大きいことを特徴としている。
【0035】
(5)図4のプログラム線図による露光から図5のプログラム線図による露光に移る際、図4で得られた露出量を実現できる絞りが2種類あった場合には、絞り径の小さい絞りからスタートする。
(6)図6の本露光用のプログラム線図は、図5の絞りこみ後プログラム線図に対してちょうどフィールド読み出しとフレーム読み出しの感度分だけシャッタースピードをシフトしたものとする。
つまり、同じ絞りではEV1段分だけ図6の方が最大露出量ともに小さくなる。(図5でF2.5の場合シャッタースピードは1/30〜1/500だが、図6ではF2.5だと1/15〜1/250である。)本実施の形態では、フレームとフィールドとの感度比を1:2としているためこのような設定となる。感度比が異なる場合には、その比に応じて本露光プログラム線図を変える。
【0036】
上記のようにプログラム線図を構成することにより次の効果が得られる。
先ず基本的なこととしてプログラム線図をもとにして露出制御を行なうことにより、絶対露光量が容易に検出できるため、適正露出制御の絞りとシャッタースピードが計算値により即時に求まり、高速に最適露光とすることが可能となる。これはカムコーダのアイリス方式に比べ静止画撮影の場合またはストロボ等別光源を用いた撮影の場合に特に有効である。
【0037】
さらに上記(1)〜(6)の各項目毎に対応する効果を次に示す。
(1)AF動作中に開放絞りで露光する頻度が多くなり、深度の浅い状態で露光されるためより精度良くAF動作を行なうことができる。
(2)、(3)AF動作中に絞りが切り換わる頻度が少なくなり、切換えの待ち時間が少なくなるためトータルでの時間節約となる。
(4)、(5)AF調整中の絞り設定に対し、AFロック後の絞り設定がより開放側に行かないようにすることができる。
その結果、フォーカス調整時の位置から絞りをより開くことがないため、合焦点状態を劣化させずに絞りこみ撮影及び静止画撮影を行うことができる。
(6)絞り込み後の露光における絞り設定と本露光時の絞り設定とを同一とすることができるため、第2レリーズ押圧後に絞り設定を変える必要がなく、時間節約ができるとともに絞り切り換えによる誤差が生じることが無い。そのため、精度のより正確な露出制御を行うことができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態においては絞り設定切換中には出力画像の画質が劣化してしまう。この問題点を解決するために本実施の形態においては、図12に示すように、メモリ15を備えて絞り設定切換前の画像データをこのメモリ15に蓄積するようにしている。そして絞り切換中はメモリ15に蓄積された画像データを表示装置14に出力する。
上記メモリ15の出力期間は、絞り設定の終了予定時間を見込んで設定しても良いし、または撮像素子4の出力信号の輝度レベルが適正レベルになったことを確認した後、メモリ15の出力を終了しても良い。また本実施の形態の制御負荷が相対的に大きく、シスコン12内の制御用のCPUにとって過負荷であれば、図1のT2 の終わり、すなわちAFロック後からメモリ15から出力しても良い。これはAF調整中は絞り切換の影響の他に、焦点未調整のための画質劣化も重なっているため、いずれにしても画質の品位が十分で無いためである。
【0039】
(第3の実施の形態)
上記第1、第2の実施の形態ではシャッター兼用絞りを用いていたがこれは無論別体の専用絞り、専用シャッターを用いても良い。本実施の形態によれば、より幕速の速い高速シャッターと精度の高い絞りを用いることが可能となる。
【0040】
(第4の実施の形態)
また第1の実施の形態においては、図4のプログラム線図の各絞り毎の最低TV値を図5の同一絞りの最低TV値よりも所定量大きくする構成としたが、絞り径の小さい例えば図4のF16の絞りでの最長シャッタースピードをより大きくしたプログラム線図を用いても良い。これは、絞り径の十分小さいF16〜F8では、被写界深度が十分深いため、F16でフォーカス調整してF8で撮影しても画質の劣化は目立たないためである。
本実施の形態によれば、図13に示すように絞りF16での最低露出量をEV14.8とすることができ、ヒステリシスのマージンを十分にとることができるため、絞りの設定が変わる頻度をより少なくすることができる。
【0041】
(第5の実施の形態)
上記各実施の形態において、露出レベル調整中及びAF調整中に輝度信号の大きな変化があった場合、その輝度信号の変化が短期間で元のレベルに戻るような場合は、この急激変化が起きた期間の出力信号は無視して露出調整及びAF調整を行うようにしても良い。
図14〜16は本実施の形態を実現するためのフローチャートの一例である。
図14のステップS7〜S10、S12は図8のステップS7〜S11と実質的に同じである。図14ではステップS8で基準値Xと出力信号輝度レベルとの差の絶対値が所定値Yよりも大きい場合には、まずステップS25で変数Nに1を加算する。なおNにはあらかじめ初期値0が設定されている。
【0042】
続いてステップS26でNと定数Aとの大小を比較し、Nが小さければ、短期間の異常値ということで前回と露出量を変えずにステップS7で再露光を行なう。一方Nが大きければ実際の被写体条件が変わったと認識してステップS9で露光時間を計算し直し、N=0とした後、第1の実施の形態と同様にステップS9、S10を経てステップS7に戻る。
またステップS8で輝度レベルが所定範囲内に入っていればステップS27でN=0とした後、次ぎのシーケンス(図10のステップS21)に移行する。以上の動作により、画面内に短期間非被写体が入り込んできた場合でも、その影響を無くした露光設定が可能となる。
【0043】
また、図15のステップS13〜S20は図9のステップS13〜S20と同じである。
図15では、ステップS15で基準値Xと出力信号輝度レベルとの差の絶対値が所定値Zよりも大きい場合には、まずステップS28で変数Nに1を加算する。なおNにはあらかじめ初期値0が設定されている。続いてステップS29でNと定数Aとの大小を比較し、Nが小さければ短期間の異常値ということで前回と露出量を変えずにステップS30で再露光を行ない、再度ステップS15で輝度レベルの大小を判定する。一方Nが大きければ実際の被写体条件が変わったと認識してステップS16で露光時間を計算し直し、N=0とした後、ステップS13〜S20を経てステップS13へ戻る。
【0044】
この図15の動作によれば、輝度レベルの異常を検出しAF制御を抜けた場合にも、その以上値が短期間で終了してもとの値に戻るようであれば、特にその間のデータを無視するのみで露出制御も変えることなく、引き続きAF動作を行うように構成されている。そのため、目的としている被写体以外のものが突然画面内に飛び込んできてもその影響を受けることなくAF調整を行うことが可能となる。
【0045】
図16のステップS21〜S24は図10のステップS21〜S24と同じである。ただしステップS21において変数Yに初期値Y0が設定されていることをその前のステップS31で明記した。
図16ではステップS22で基準値Xと出力信号輝度レベルとの差の絶対値が所定値Yよりも小さい場合には露出レベルは適正になっていると考えられ、ステップS36で変数Yに対し正の定数aを加算する。このように判定レベルにヒステリシスを持たせることで以後のステップS22の判定でNoとなる頻度が減り、頻繁に露出レベルの変更を行なって見苦しい画像になることが防止される。
【0046】
一方、ステップS22で基準値Xと出力信号輝度レベルとの差の絶対値が所定値Yよりも大きい場合には、まずステップS32で変数Nに1を加算する。なおNにはあらかじめ初期値0が設定されている。続いてステップS33でNと定数Aとの大小を比較し、Nが小さければ短期間の異常値ということでステップS34で前回と露出量を変えずに再露光を行ない、再度ステップS22で輝度レベルの大小を判定する。一方Nが大きければ、実際の被写体条件が変わったと認識し、露出制御を変えるための動作に移行するが、その際、本実施の形態では、変数Yがそれまでの動作でY=Y0+aとなっていることがありうるのでステップS35によりY=Y0に戻しておく。Y0に戻した後、再度ステップS21に戻り、露出レベルの再設定を行なう。
この図16の動作によれば、画面内に突然目的の被写体以外のものが飛び込んできた時にもその影響を受けることなく露出調整を適正に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態による動作を示すタイミングチャートである。
【図2】本発明の第1の実施の形態による動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態による動作を示すタイミングチャートである。
【図4】第1の実施の形態に用いられるプログラム線図である。
【図5】第1の実施の形態に用いられるプログラム線図である。
【図6】第1の実施の形態に用いられるプログラム線図である。
【図7】第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明で用いられる撮像素子の色フィルタ配列を示す構成図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態で用いられるプログラム線図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第5の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第5の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図17】従来及び本発明の第1の実施の形態による撮像装置のブロック図である。
【図18】従来の撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】従来の撮像装置で用いられる色フィルタ配列を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 光学レンズ
2 絞り兼用シャッター
4 撮像素子
9 撮像信号処理回路
12 システムコントローラ
13 操作部
14 表示装置
15 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子から垂直方向に隣接する2画素の情報を加算して読み出す第1のモードと上記2画素を加算せずに全画素の情報をそれぞれ読み出す第2のモードとを選択的に行うと共に、上記撮像素子からファインダ用画像を得る第3のモードとレンズの焦点調整を行う第4のモードとの少くとも1つのモードを行うように成された撮像装置において、
上記第3、第4のモードの少くとも1つのモードを行うときは上記第1のモードで撮像を行うように制御する制御手段を設けたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−217668(P2006−217668A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138820(P2006−138820)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【分割の表示】特願2004−303008(P2004−303008)の分割
【原出願日】平成7年12月27日(1995.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】