説明

撮像装置

【課題】撮影した画像を自動的に被写体に配信する撮像装置において、事前に配信先候補のリストを作成することなく、撮影した被写体の周囲の状態から配信する場合、配信先候補が膨大になる問題があった。
【解決手段】撮影に使用した撮像装置の前にいるべき被写体に対し、撮像機器との相対的な位置を利用する。つまり、画像撮影時に被写体との距離、及び角度等を計測し、これらの計測結果にしたがって、通信出力や通信方向を設定する。これにより、顔情報を要求する通信範囲を限定され、顔認証の処理回数を削減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影する撮像装置に係わるものであり、特に撮影した画像を該撮像装置の外部へ送信して共有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話の普及によって、誰でもいつでも気軽に写真撮影を行えるようになった。またデジタル方式の写真撮影ではフィルムも現像も不要なため、金銭的な負担をほとんど気にせずに気軽に撮影を行うことができる。しかし、一緒に撮影した人や、被写体になった人に対して配ることは、変わらず行われている。デジタルでの撮影では、デジタルデータのまま容易に配布する手段として、記録メディアでの配布や電子メールなどを用いた配布が広く行われているが、記録メディアでの配布では物理的な物の手渡しという問題があり、電子メールなどでの配布では配布先を指定する手間が必要であった。
【0003】
そこで自動的に、簡単に、確実に対象に対して撮影した画像を配布する手段が求められるようになった。ここの要求に対し、先行技術文献として以下の2つの技術がすでに開示されている。
【0004】
特許文献1には、位置情報を解析して、同じグループに属する人物を特定した上で、撮影時に同じグループとして登録された人に対し画像を配信する仕組みが提案されている。撮影端末及び被写体端末は、位置測定装置との間で通信を行い、それぞれの位置情報を取得する。撮影装置及び被写体端末は、取得した位置情報を、逐次、中継局に送信する。位置測定装置には、例えばGPS(Global Positioning System)などがある。位置情報は、中継局からグループ化装置へ送られ、位置情報の変化から撮影端末と被写体端末を持ち歩いている人は、友人や親子などの関係がある人物か否かを判断する基準とされる。関係がある人物であると判断された場合には、撮影装置で撮影された画像データは、被写体端末で指定されている場所に送信される。特許文献1では、受信端末に対して送信するようになっている。これにより、撮影装置で撮影された写真は、撮影装置を所有する人と一緒に行動する(関係の有る)人にのみ自動的に配信される。
【0005】
また特許文献2には、画像認識技術を用いて被写体の顔情報を認識し、事前にあるグループに登録されているカメラ同士で撮影画像のやり取りを行うこと方法が提案されている。特許文献2では、カメラはあらかじめグルーピングされており、あるカメラで撮影した画像を、ネットワークを介して他のユーザのカメラに対して配信する仕組みが開示されている。またこの時に、顔認証で画像データ内に他のユーザが写っているかを確認してから配信する仕組みについても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−182428号公報
【特許文献2】特開2006−166408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の配信方法では、位置関係に着目しグループ分けを行い写真配信している。しかし、位置情報を取得するためのGPSは室内やトンネルやビル街などでは使用できないためグループ化ができない場合がある。また位置情報の解析からグループ化をするため、ある程度の移動情報が蓄積されるまではグループ化は行えない。
【0008】
特許文献2に記載の配信方法では、あらかじめグループ化された人の中から顔認証によって画像に写った人物に対して自動的に画像を配信している。しかし、例えば修学旅行など撮影時など、多数の人物が被写体になる可能性がある撮影する場合には、配布先も多数事前登録しておかなければならず、どのカメラで撮影されるかわからない場合には全てのカメラに全員を登録する必要があった。また観光地など現地で知り合った人を撮影するなど、急な撮影に対して自動的に画像の配布を行うことができなかった。また多くの人を登録し顔情報を受取り顔認証を行うことで、カメラ内で処理する顔認証回数が膨大なものとなり、バッテリー駆動と限られた処理能力しかない携帯機器であるカメラでは処理しきれなくなる恐れがあった。
【0009】
そこで、本出願では、撮影した画像をより簡単に配布することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願では、撮影に使用した機器の前にいるべき被写体に対し、撮影に使用した機器との相対的な位置を算出し、それを利用する。撮影時の被写体と撮影機器の関係から、顔情報を要求する通信範囲を限定する。通信範囲を限定することで、顔認証の処理回数を、顔認証の前の時点で削減する。
【発明の効果】
【0011】
撮影時に、ネットワークを構築することで事前登録を不要としながら、自動的に撮影した画像を配布できる。この時に、撮影時の状況から無線通信範囲を限定することで、最小限の通信接続数と最小限顔認証処理でつなぐべき相手への送信が可能となる。これにより、消費電力と認証処理能力を削減することが可能となり、小型化がもとめられる携帯機器をより小さくすることが可能となる。これらにより、より簡単に撮影した画像の配布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の撮像装置の構成図
【図2】本実施の形態の受信装置の構成図
【図3】本実施の形態の撮像装置が画像を撮影する場合のフローチャート
【図4】本実施の形態の受信装置が顔情報要求通知を受信した場合のフローチャート
【図5】本実施の形態の撮像装置が顔情報を受信した場合のフローチャート
【図6】本実施の形態の受信装置が画像データを受信した場合のフローチャート
【図7】本実施の形態の撮像装置等が画像配布を行う場合の処理の概略を示す図
【図8】撮像装置が、無線の出力制御、指向制御をしない場合の無線範囲を示す図
【図9】撮像装置が、無線の出力制御をした場合の無線範囲を示す図
【図10】撮像装置が、無線の出力制御、指向制御をした場合の無線範囲を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施の形態の撮像装置100を図1に示す。図1は、カメラとしての撮影機能の他に、無線通信機能を有した撮像装置100である。撮像装置100は、全体制御部101、レンズ102、撮像素子103、画像処理部104、画像メモリ105、表示部106、被写体距離センサ部107、被写体距離算出部108、画角算出部109、出力強度制御部110、出力角度制御部111、無線通信部112、画像記録部131、撮影操作部132から成り立っている。
【0014】
全体制御部101が撮像装置100の全体の制御を担当している。撮影操作部132において撮像装置100の操作者の指示を受け、レンズ102を通して集めた光を撮像素子103で数値化する。その数値を元に画像処理部104にて画像データに変換される。画像データは、画像メモリ105に蓄えられ、表示部106にて撮影結果として利用者に提示される。また画像記録部131に記録することができる。
【0015】
撮像素子103において撮影された時の、被写体までの距離は、被写体距離センサ部107によって計測され、被写体距離算出部108において数値化される。数値化された被写体距離から、出力強度制御部110において無線通信の電波出力量が決定される。
【0016】
撮像素子103において撮影された時の、画角は画角算出部109において数値化され、出力角度制御部111において無線通信の電波出力角度が決定される。無線通信部112は電波出力量と電波出力角度によって通信を行う。また画像認識部113は、撮像装置100内にある画像データ及び/もしくは無線通信部112で繋がった別の機器から受け取った画像データを比較し、その結果を判断する機能を有する。
【0017】
図2は、保存された顔情報を送信すると共に、受信した画像データを表示・蓄積することができる受信装置200である。受信装置200は、無線通信部201、所有者顔情報202、表示部203、記憶部204から成り立っている。本受信装置200は、撮像装置100で画像を撮影する場合に、被写体となる人物が持っているとする。
【0018】
受信装置200は、撮像装置100から受信装置200の使用者の顔情報を要求されると、無線通信部201を通して、受信装置200の使用者の顔情報を登録した所有者顔情報202から顔情報を、撮影通知を送ってきた撮像装置100に対し無線通信部201を使用して送信する。また、撮像装置100から送られてきた画像データを無線通信部201で受信した場合、表示部203に表示すると共に、記憶部204に蓄積保存する。
【0019】
図3に撮影者が撮像装置100を使用して受信装置200を持った被写体を撮影するまでの撮像装置100の動作を説明する。
【0020】
撮影者指示受付部132が、撮影者より撮像装置100の撮影指示を受取る(ステップS300)。この時に撮影者が撮像装置100を操作することになるが、この方法として撮像装置100に付けられたシャッターボタンを押下したり、タイマーによる撮影設定を行ったり、リモコンによる操作を行ったりしてもよい。これらのなんらかの操作によって、撮像装置100は撮影者の撮影意思を受取り、内部の機能に対して動作の指示を行っていく。
【0021】
撮影指示受付部132において、撮影指示を受取った場合、レンズ102が被写体をとらえた後、撮像素子103に対して撮影の支持がなされ、撮影が行われる(ステップS301)。撮像素子103は、レンズ102を通して外部からの光を集め、光を数値化することでセンサである。一般的にCCDやCMOSと呼ばれている。
【0022】
撮像素子103において光を数値化したデータは、画像処理部104において画像化される。画像化されたデータを、静止画であればBMPやGIFやJPEG、動画であればMPEGやAVIやモーションJPEGなどの形式で画像データ化される。画像データは画像メモリ105に記録される(ステップS302)。
【0023】
撮影と同時に、撮影装置100から被写体までの距離を被写体距離センサ部107で計測する(ステップS303)。被写体をはっきりと撮影するためにレンズ102を動かして、フォーカスをあわせる機能が知られている。オートフォーカス機能と呼ばれ、撮像装置から赤外線などの光信号を出し戻ってくるまでの時間で計測するパッシブ方式、撮像素子で捕らえた映像からコントラストを確認し適切なコントラストに持っていくことでフォーカスをあわせるコントラスト方式、レンズで屈折させた光を撮像素子で捉えズレを計測する位相差検知方式、などが広く知られている。オートフォーカス機能は被写体までの距離情報として扱うことができ、被写体距離算出部108において被写体距離情報としてメートルなどの数値に変換される(ステップS304)。
【0024】
この被写体距離情報は、撮像装置100と被写体との距離情報であると同時に、撮像装置100と被写体の持つ受信装置200の距離と等価もしくは非常に類似した距離である。よってこの被写体距離情報と同じ距離にまで電波が届くように無線通信の出力を制御すると被写体のもつ受信装置200まで電波が届くことになる。逆に、画像に写った範囲外に受信装置200とは別の受信装置があった場合電波は届かない。この制御を行うのが出力強度制御部110である(ステップS305)。
【0025】
また撮影時の画角が画角算出部109において算出される(ステップS306)。画角とは、カメラで撮影される写真に写される光景の範囲を角度で表したものであり視野角とも呼ばれる。一般に、ゆがみのないレンズを使用して、画角(θ)を決定するには、以下の式が使用される。
【0026】
【数1】

【0027】
ここで、hは撮像素子103の水平の寸法、vは撮像素子103の垂直の寸法、fは実効焦点距離を現している。実効焦点距離とはレンズ102と撮像素子103の間の距離である。ゆがみのあるレンズや特殊なレンズがレンズ102に採用されている場合、レンズのゆがみが式1に加わることとなる。この場合には、画角算出部109はゆがみを考慮した計算式を用意しなければならない。
【0028】
被写体がカメラと向き合う角度は、画角算出部109によって算出された画角よりも小さく撮影中心部より内側になる。またこれは撮像装置100と被写体が持つ受信装置200との間でもいえる。よって、この画角の範囲に電波が届くように無線通信の角度を制御すると被写体のもつ受信装置200まで電波が届くことになる。逆に、画像に写った範囲外に受信装置200とは別の受信装置があった場合電波は届かない。この制御を行うのが出力角度制御部111である(ステップS307)。
【0029】
ステップS307までの処理により、撮像装置100で被写体を撮影する処理は終了となる。これ以降は、撮影した画像データを表示及び配布するための処理となる。
【0030】
画像メモリ105に保存された画像データは、表示部106に表示される(ステップS308)。表示部106は有機ELや液晶を用いた小型表示画面であるが、他の映像表示装置でもよい。この表示部106に画像データを映像として表示することで、撮像装置100を操作し、撮影した結果を撮影者が知ることができる。
【0031】
また画像メモリ105に保存された画像データは、画像記録部131に保存される(ステップS309)。この画像記録部131は、フラッシュメモリーカード・ハードディスクドライブ・テープメディア・光ディスクメディアなどであっても構わない。また撮像装置100に内蔵された形状でも構わないし、取り外しができる形状であっても構わない。
【0032】
つづいて、画像を受信装置200に配信する準備を行う。すでに出力強度制御部110
と出力角度制御部111で制御された出力強度と出力角度で、受信装置200に対して無線通信部112を使用した無線通信で顔情報を要求する。制御された出力強度と出力角度の範囲に複数の受信装置がある場合には、その全ての受信機器に対して要求する(ステップS310)。本実施の形態における、無線通信部112は、数メートル〜十数メートルの範囲で通信が可能な無線通信手段を想定している。撮像装置100は画像の撮影者が所持し、受信装置200はその画像に収まっている人が所有しているため、たとえばスナップ写真の撮影であれば数メートルの範囲で通信できれば十分であるといえる。一般的にはBluetoothやIEEE802.11などの無線通信手段や、赤外線による短距離通信(IrDA)、ミリ波を使用したWirelessHDなどが知られているが、本実施の形態ではその通信手段の種類を限定するものではない。
【0033】
次に、撮像装置100が発信した顔情報要求通知を、受信装置200が受取ってからの受信装置200の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
撮像装置100の無線通信部112から発信された顔情報要求通知は、被写体が持つ受信装置200のある所まで届く。この無線電波を受信装置200では無線通信部201で受信する(ステップS400)。無線通信部201は、無線通信部112と同じく数メートル〜十数メートルの範囲で通信が可能な無線通信手段を想定している。無線通信部112からの通信を受け取る必要があるため、無線通信部112と無線通信部201は同一の方式か、互換性がある方式である必要があるが、本実施の形態ではその通信手段の種類を限定するものではない。
【0035】
顔情報要求通知を受取ったあと、所有者顔情報203に保存された、受信装置200の所有者の顔情報が、撮影通知を送ってきた撮像装置100に対して送信される(ステップS401)。
【0036】
本実施の形態を実現するためには、受信装置200にあらかじめ、受信装置200の所有者の顔情報を登録しておく必要がある。この登録作業については、事前(図3の処理を実施する前)に行っておく必要がある。受信装置200の購入時などに、店舗や自宅などで登録するとよい。個人を特定・認証する技術を使用する場合、個人を特定する情報を入力しなければならないという手間がかかることは周知である。本実施の形態においても、この手間を省略することはできていない。しかし登録すべきなのは、受信装置200に受信装置200の所有者の顔情報であり、撮像装置100に受信装置200の所有者の顔情報を登録するわけではない。これは、撮像装置100は一個人を撮影するものではなく、不特定多数を撮影するわけではない。撮像装置100に事前に全て登録しておくことは、特許文献2と同じく、撮影対象を限定する処理に他ならず、また大人数を登録する必要があるためより多くの手間がかかってしまうためである。それに比べ受信装置200は「所有者自身の顔」のみを登録しておけばよく、負担はより少なくなる。
【0037】
ただし、受信装置200を複数人で共有して使用する場合も考えられる。たとえば家族間での共有である。この場合、受信装置200に顔情報を複数登録できるようにしておき、そのときそのとき、利用者を変更できるようにしておいてもよい。受信装置200は一台の装置であり、これを複数人同時に所持することは不可能であるため問題ない。なお、本実施の形態は、受信装置200へ登録する方法については限定するものではない。
【0038】
次に、受信装置200が発信した顔情報を、撮像装置100が受取ってからの動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
受信装置200の無線通信部201より送信された顔情報は、撮像装置100の無線通信部112にて受信される(ステップS500)。撮像装置100は、受取った顔情報と撮影し画像メモリ105にある画像データに含まれる顔情報を比較し同一人物であるかを画像認識部113で確認する(ステップS501)。比較を行うためには、まず画像データ内にある顔を見つけださなければならないが、この方法については、AdaBoost法やHaar型の特徴量検出法など多数の手法が広く知られていると共に、実際に使用されている。本実施の形態において検出方法について限定するものではない。顔領域の検出手法などは、文献P.Viola,M.Jones, “Rapid object Detection using a Boosted Cascade of Simple Features”, In Proc.IEEE Conf.on Computer Vision and Pattern Recognition,Kauai,USA,2001に詳しいので、詳細はここでは省略する。
【0040】
検出された領域は、顔の領域を抽出した画像であったり、顔の特徴的な点を数値かしたものであったり、形式については、後に顔照合を行う画像認識部113で使用する照合方法に最適なデータ形状を顔情報として表現する。本実施の形態はデータ形状を限定するものではない。複数の人物が画像に写っているため複数の人物の顔が見つかる場合、一人だけではなくその全ての人の顔情報を作成する。
【0041】
画像認識部113で実施される照合方法は、パターン認識と呼ばれる分野において様々な方式が提案されている。特開2003−271958号公報などに、様々な文献に記載されているため、本実施の形態では記載を省略するが、照合の結果、受信装置200から受取った顔情報と画像データ内に写っている人が同一人物であるか否かを判断できるものとする。
【0042】
画像データに複数の人物が写っているために、複数の顔情報が見つかっている場合には、その複数の顔情報に対して比較を行う。比較の結果、一つでも一致する顔があった場合には、同一人物の顔であると判断する(ステップS502)。
【0043】
画像認識部113において、同一人物の顔があると判断された場合、画像メモリ105にあるその人物が写った画像データを、無線通信部112を使用して、その人物が所有する受信装置200へ送信する(ステップS503)。
【0044】
次に、撮像装置100が発信した画像データを、受信装置200が受取ってからの受信装置200の動作を図6のフローチャートを用いて説明する。受信装置200は撮像装置100が送信してきた画像データを、無線通信部201を用いて受信する(ステップS600)。
【0045】
そして受信した画像データは記憶部204に蓄積保存される(ステップS601)。この記憶部204は、フラッシュメモリーカード・ハードディスクドライブ・テープメディア・光ディスクメディアなどであっても構わない。また受信装置200に内蔵された形状でも構わないし、取り外しができる形状であっても構わない。
【0046】
さらに画像データは表示部203に映像として表示される(ステップS602)。この表示部203は、有機ELや液晶を用いた小型表示画面である。この表示部に表示されることで被写体は自らが写った画像を確認することができる。
【0047】
これにより撮影者によって撮影された画像が、被写体の保有する受信装置200に自動的に配信が完了する。撮影通知を受け取った受信装置200のうち撮影した画像データ内に写った人物が所有する受信装置200には配信されないため、プライバシーを保護することが可能となる。
【0048】
このように、撮像装置100、受信装置200は通信で接続されながら密接に関係しあい動作することになる。図7に図3から図6までのフローチャートの関係をまとめて示す。
【0049】
撮像装置100で図3の処理が行われた後、通信機能によって顔情報要求通知が撮像装置100から受信装置200に届けられ、受信装置200で図4の処理が行われる。図4の処理が終了後、顔情報が受信装置200から撮像装置100へ届けられ、撮像装置100で図5の処理が行われる。図5の処理によって同一人物との判断がなされると、撮像装置100から受信装置200へ画像データが届けられ、受信装置200で図6の処理が実施される。
【0050】
なお、本実施例では、撮像装置100一台に対し、受信装置200も一台の接続関係で説明を行ったが、受信装置200が複数台あってもかまわない。この場合には、撮像装置100は複数の顔情報を受け取ることになるが、それぞれの顔情報ごとに図5の処理を実施し、画像データ内の顔と顔情報が同一人物であると判断できた場合には、同一人物の顔情報が保持されている受信装置200に対し画像データを送信する必要がある。複数の人物が写っている画像データで、複数の受信装置200から受け取った顔情報が同一人物であると判断できた場合には、複数の受信装置200へ画像データを送る必要がある。
【0051】
このような配信において、配信に使用する無線通信の範囲と角度を制御することによって、あらかじめ顔情報要求通知を送信する受信装置を減らすことが可能となる。これにより撮像装置100で行う顔照合にかかる照合回数を減らすことができる。この状況を図8〜10を用いて説明する。
【0052】
図8に、撮影装置100が撮影した瞬間の周囲の人の状況と、撮影範囲と通信可能範囲を示す。周囲には、人物A〜Eまでの人物と、各人物の顔情報が登録された受信装置A〜Eが存在している。撮影範囲には人物Aと人物Bがいる。仮にこの状態で電波出力強度と電波出力角度を制御せずに、顔情報要求通知を無線通信部112より発信してしまうと、受信装置A〜Eまで5台の受信機に届いてしまい、5台から顔情報が届いてしまう。よって画像に写った2人と受取った5人の顔情報を比較しなければならない。
図9に、図8の状態で、出力強度制御部110を使用して、電波出力強度を被写体までの距離に届くように制御した場合の図を示す。この図では、出力角度制御部111による角度制御は行っていない。
【0053】
電波出力強度を絞り込むことによって、通信範囲が狭くなっている。これにより、撮影範囲より遠い所にある受信装置Eには顔情報要求通知は届かない。顔情報要求通知を受取るのは4台となっていることから、受信装置200には顔情報が4つ届く。よって画像に写った2人と受取った4人の顔情報を比較すればよいため、比較回数を減らすことができる。
【0054】
図10に、図9の状態で、さらに出力角度制御部111による角度制御を行った場合を示す。撮影範囲のみに通信が確立されるため、顔情報要求通知を受取るのは受信装置AとBのみである。よって画像に写った2人と顔情報を受取った2人を比較すればよくなるため、図8の状態に比べてさらに少ない回数ですむ。
【0055】
また図10の状態で、漏れた電波によって受信機Cにまで通信が確立され、被写体Cの顔情報も受信装置100に届いたとしても、撮影範囲に入っておらず画像データ内に被写体は写っていないため、顔照合が一致せず画像が誤って配布されることはない。被写体Dと被写体Eも画像データに写っておらず、撮像装置100が撮影した画像は不要であるため、配信されないし、顔情報送信などの処理すら行う必要はない。
【0056】
なお、本実施の形態では、画像データを撮影し配布する役割を果たすのが撮像装置、画像データを受け取るのが受信装置として、別々の装置として記載した。実環境においては、お互いに自分用の撮像装置を持っておき、友人などを撮影したときに、その友人の持つ装置に対して画像データを送信し、逆に撮影してもらった場合には、写真を受信する端末であることが考えられる。よって撮像装置と受信装置を明確に分けるのではなく、撮像装置にもなり受信装置にもなる撮像装置であってもよい。
【0057】
なお、本実施の形態では、撮像装置と受信装置という機能別の機器、及び、双方の機能を持つ撮像装置について説明した。しかし本実施の形態に記載していない、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)やパソコンなどの他の電子機器に対して同様の機能を提供してもかまわない。また単体もしくは複数のデバイスやLSIやソフトウェアで動作するモジュールとして提供してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる撮像装置は、被写体が持つ受信装置に対して画像データを自動的に配信する場合に、撮影時の情報を利用して、通信範囲を故意に限定することで、あきらかに配信対象ではない受信装置を通信対象から除くことができ、配信処理の効率化を行うと共に、あきらに配信対象ではない受信装置が、受取らない画像のために無用に動作することを防ぐことができる。特に観光地などの、被写体以外の人物が撮像装置の周囲にいる場合に有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 撮像装置
101 全体制御部
102 レンズ
103 撮像素子
104 画像処理部
105 画像メモリ
106,203 表示部
107 被写体距離センサ部
108 被写体距離算出部
109 画角算出部
110 出力強度制御部
111 出力角度制御部
112,201 無線通信部
113 画像認識部
131 画像記録部
132 撮影操作部
200 受信装置
202 所有者顔情報
204 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換して画像を撮影する撮像装置であって、
前記入射光を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像部と、
前記撮像部への入射光の焦点を調整するレンズ部と、
前記撮像部が出力する画像データを撮影した際の、焦点の情報及び前記撮像部の撮像素子の大きさから、被写体の位置(該装置と前記被写体との位置関係)を算出する被写体位置算出部と、
前記被写体の位置に基づいて、前記撮像部で撮影した画像データを、無線で該装置の外部へ送信する通信制御部と、
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記被写体の位置に基づいて、外部へ送出する無線の送信出力を調整することを特徴とする、
する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記被写体の位置に基づいて、外部へ送出する無線の指向性を調整することを調整することを特徴とする通信制御部であることを特徴とする請求項1ないし2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9900(P2011−9900A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149452(P2009−149452)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】