撮像装置
【課題】筐体の設計自由度の低減を招くことなく、光学素子の周囲での封止性能の確保を容易なものとしつつ小型化の妨げのなることなく適切な光学性能を得ることのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】光学素子（４０）を保持する鏡筒３０と、撮像素子５２と駆動基板（５１）とを有する受光回路部５０と、を備える撮像装置１０である。光学的に位置決めされた撮像素子５２と光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により鏡筒３０と受光回路部５０とを結合する溶着構造を備え、溶着構造は、鏡筒側当接部５４ｄを鏡筒３０の鏡筒当接箇所（３２ａ）に宛がうとともに受光側当接部５４ｆを受光回路部５０の受光当接箇所（５１ａ）に宛がう中間保持部材５４と、鏡筒当接箇所または鏡筒側当接部５４ｄが軟化された後に硬化された鏡筒側溶着部と、受光当接箇所または受光側当接部５４ｆが軟化された受光側溶着部と、を有する。
【解決手段】光学素子（４０）を保持する鏡筒３０と、撮像素子５２と駆動基板（５１）とを有する受光回路部５０と、を備える撮像装置１０である。光学的に位置決めされた撮像素子５２と光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により鏡筒３０と受光回路部５０とを結合する溶着構造を備え、溶着構造は、鏡筒側当接部５４ｄを鏡筒３０の鏡筒当接箇所（３２ａ）に宛がうとともに受光側当接部５４ｆを受光回路部５０の受光当接箇所（５１ａ）に宛がう中間保持部材５４と、鏡筒当接箇所または鏡筒側当接部５４ｄが軟化された後に硬化された鏡筒側溶着部と、受光当接箇所または受光側当接部５４ｆが軟化された受光側溶着部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等や、画像読取装置のような画像（画像データ）を取り込む装置に用いられる撮像装置に関し、特に、車載カメラに好適な撮像装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、撮像用のレンズ等の光学素子と、ＣＣＤ（Ｃｈａｒｇｅ Ｃｏｕｐｌｅｄ Ｄｅｖｉｃｅ）やＣＭＯＳ（Ｃｏｍｐｌｅｍｅｎｔａｒｙ Ｍｅｔａｌ Ｏｘｉｄｅ Ｓｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒ）等の撮像素子と、を有する撮像装置が、車載カメラやデジタルカメラ、デジタルビデオ等に広く適用されている。撮像装置は、一般に、光学素子（レンズ）の結像位置が撮像素子（その受光面）上となるように位置決めした状態で、筐体に収められて構成されている。
【０００３】
この位置決め固定の方法として、レンズを保持するレンズ保持部が、撮像素子を有する基板に接合されたフレーム部（特許文献１では鏡筒４と記載されている）の内周面のねじに螺合されるように構成された撮像装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。この従来の撮像装置では、レンズ保持部とフレーム部とを相対的に回転させてレンズと撮像素子との撮影光軸方向での間隔を調整し、そのレンズと撮像素子との位置決め（ピント調整）が為された状態でレンズ保持部とフレーム部とを溶着することにより、より強固に位置決め固定することができるので、より安定した光学性能を得ることができる。
【０００４】
また、撮像装置では、取付基台に設けたＶ溝に円筒状のレンズを嵌合して固定するとともに、その取付基台の凹部に設けた筒状部材の３つの凸部の先端部に固体撮像素子のパッケージを押し当てて、当該先端部とパッケージにおける接触箇所とを溶融させつつレンズに対する固体撮像素子の調整を行い、位置決めが為された状態で溶融箇所を固化させることにより、より強固に位置決め固定するものが提案されている（例えば、特許文献２参照）。この撮像装置では、撮影光軸方向での間隔の他に、撮影光軸に直交する方向での位置関係や撮影光軸方向に対する相対的な傾斜を調整することができるので、より高い調整精度を得るとともに、より安定した光学性能を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、特許文献１の撮像装置では、レンズを保持するレンズ保持部と、基板に接合されたフレーム部と、を溶融して固定するものであることから、位置決めしたレンズと撮像素子との位置関係が溶融に起因して崩れてしまう虞がある。
【０００６】
また、特許文献２の撮像装置でも、レンズが固定される取付基台の凹部に固定された筒状部材と、固定撮像素子（そのパッケージ）と、を溶融して固定するものであることから、位置決めしたレンズと固定撮像素子との位置関係が溶融に起因して崩れてしまう虞がある。
【０００７】
このため、上記した従来の撮像装置では、いずれも、調整精度が低下した状態で位置決め固定されて、適切な光学性能を得ることができなくなる虞がある。
【０００８】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、より高い調整精度で光学的に位置決め固定することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１に記載の撮像装置は、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有することを特徴とする。
【００１０】
請求項２に記載の撮像装置は、請求項１に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることを特徴とする。
【００１１】
請求項３に記載の撮像装置は、請求項１または請求項２に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることを特徴とする。
【００１２】
請求項４に記載の撮像装置は、請求項３に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することを特徴とする。
【００１３】
請求項５に記載の撮像装置は、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の撮像装置であって、さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることを特徴とする。
【００１４】
請求項６に記載の撮像装置は、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置であって、前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることを特徴とする。
【００１５】
請求項７に記載の撮像装置は、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置であって、前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることを特徴とする。
【００１６】
請求項８に記載の車載カメラは、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする。
【００１７】
請求項９に記載の位置決め固定方法は、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有することを特徴とする。
【００１８】
請求項１０に記載の位置決め固定方法は、請求項９に記載の位置決め固定方法であって、前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１に記載の撮像装置では、鏡筒と受光回路部とを結合する溶着構造において、中間保持部材を用いていることから、軟化（溶融）による中間保持部材または鏡筒当接箇所および受光当接箇所の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒および受光回路部に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材が変位（移動）することで吸収させることができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と受光回路部とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００２０】
また、本発明の撮像装置では、固定した鏡筒と受光回路部とを溶着により結合するものであることから、より強固に位置決め固定することができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱にも耐えることができ、安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。
【００２１】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることとすると、より強固に位置決め固定することができる。
【００２２】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることとすると、超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをより狭小な範囲に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部と鏡筒当接箇所とを固定することができるとともに、受光側当接部と受光当接箇所とを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【００２３】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することとすると、超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをさらに狭小な範囲（略一点）に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部と鏡筒当接箇所とを固定することができるとともに、受光側当接部と受光当接箇所とを固定することができる。
【００２４】
また、中間保持部材において、鏡筒側当接部を鏡筒当接箇所に点接触させることができるとともに、受光側当接部を受光当接箇所に点接触させることができることから、超音波溶着工法の際に中間保持部材に付与する押圧力の方向の自由度を向上させることができるとともに、超音波溶着工法を行う観点からの鏡筒のレイアウトの自由度を向上させることができ、かつ超音波溶着工法を行うための工具（装置）のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【００２５】
上記した構成に加えて、さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることとすると、光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持しつつより強固に鏡筒と受光回路部とを結合することができる。
【００２６】
上記した構成に加えて、前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることとすると、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と駆動基板とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００２７】
上記した構成に加えて、前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることとすると、鏡筒と撮像素子との結合のための部材を減らすことができることから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
【００２８】
上記した構成の撮像装置を用いる車載カメラでは、より高い調整精度で光学的に位置決め固定されて適切な光学性能を得ることができるものとすることができることから、適切に運転者による視認を支援することができる。
【００２９】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有する位置決め固定方法では、第３工程および第４工程により、鏡筒当接箇所または鏡筒側当接部と受光当接箇所または受光側当接部とを同時に軟化させつつ押圧した後に同時に硬化させることから、その軟化による中間保持部材または鏡筒当接箇所および受光当接箇所の形状変化の影響を、鏡筒および受光回路部に対して接近する方向（押圧方向）へと当該中間保持部材を変位（移動）させることで吸収することができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と受光回路部とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００３０】
上記した構成に加えて、前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することとすると、より強固に位置決め固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明に係る撮像装置１０の外観形状を模式的に示す斜視図である。
【図２】図１の撮像装置１０を、撮影光軸Ｏを含む面で破断して示す説明図である。
【図３】取付壁部１１の構成を説明するための模式的な断面図である。
【図４】鏡筒３０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図５】鏡筒３０の構成を説明するために、その後端側（内縁突起部３９側）から見た模式的な斜視図である。
【図６】図５のＩ−Ｉ線に沿って得られた模式的な断面図である。
【図７】撮像光学系２０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図８】撮像光学系２０の構成を説明するために、鏡筒３０の後端側（内縁突起部３９側）から見た模式的な斜視図である。
【図９】受光回路部５０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図１０】中間保持部材５４の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図１１】ホーン５５で中間保持部材５４を吸着保持した様子を模式的な側面で示す説明図である。
【図１２】超音波溶着工法において、相対的に固定された基板５１と鏡筒３０とに対して、中間保持部材５４を宛がう様子を説明するために部分的に拡大して示す模式的な断面図である。
【図１３】中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法において、超音波振動と押圧力とを付与する様子を説明するための図１２と同様の断面図である。
【図１４】中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法により、基板５１と鏡筒３０とを位置決め固定した様子を説明するための図１２と同様の断面図である。
【図１５】撮像装置１０の暫定的な組付けの様子を説明するために、各部材に分解して示す模式的な断面図である。
【図１６】撮像装置１０の位置決め固定の様子を説明するための模式的な断面図である。
【図１７】超音波溶着工法により基板５１が鏡筒３０に結合された様子を示す模式的な斜視図である。
【図１８】超音波溶着工法により基板５１が鏡筒３０に結合された様子を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図１９】位置決め固定された撮像装置１０を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２０】位置決め固定された撮像装置１０を部分的に破断して示す模式的な側面図である。
【図２１】位置決め固定された撮像装置１０を示す模式的な斜視図である。
【図２２】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２３】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図１９と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２４】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２０と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。
【図２５】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２１と同様の模式的な斜視図である。
【図２６】実施例３に係る撮像装置１０３の溶着構造に用いる中間保持部材５４３の構成を説明するための図１０と同様の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００３２】
以下に、本願発明に係る撮像装置の発明の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例１】
【００３３】
本発明に係る撮像装置の一例としての実施例１の撮像装置１０を、図１から図２１を用いて説明する。
【００３４】
撮像装置１０は、図１および図２に示すように、取付壁部１１に、撮像光学系２０（図１では、その後述する対物レンズ（レンズ４１）および抜止部材２２の前端部のみが露見している）と、受光回路部５０と、が取り付けられて構成されている。
【００３５】
取付壁部１１は、少なくとも撮像光学系２０の対物レンズ（この例ではレンズ４１）すなわち鏡筒３０の一端部の撮影光軸Ｏに直交する方向（以下では、径方向ともいう）で見た周囲を取り囲む外表面Ｓを形成するものであり、撮像装置１０の所望の箇所への取り付けを可能とするものである。この取付壁部１１は、実施例１では、撮影光軸Ｏ方向から見た正面形状が矩形状であって全体に直方体形状を呈し、筐体１２の前側（被写体側）部分（前側筐体部）を構成するものとされている。このため、取付壁部１１は、筐体１２の後側を構成する後側筐体部１３への取り付けが可能とされている。この取付壁部１１は、図示は略すが、封止部材（例えば、Ｏリングや平パッキン等）を介在させた状態で、後端面１１ａを後側筐体部１３の前端面１３ａに付き合わされてネジ止め等で結合されることにより、互いの結合箇所における防水機能や防塵機能（以下、封止性能という）を有する筐体１２を形成する。この取付壁部１１の撮影光軸Ｏ方向で見た大きさ寸法は、後述するように鏡筒３０の縮径部３２（図４等参照）との位置関係により設定されている。
【００３６】
取付壁部１１には、図３に示すように、撮像光学系２０の後述する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ方向での挿通が可能とされた円柱状の挿通孔１１ｂが設けられている。この挿通孔１１ｂでは、撮影光軸Ｏ方向で見た後側（後側筐体部１３側）に、内周壁面から内方へと突出する環状を呈し、その突出端部が撮影光軸Ｏ方向の後側（後側筐体部１３側）へと延在する内方突出部１１ｃが設けられている。
【００３７】
この内方突出部１１ｃでは、前側（被写体側）の内壁面が撮影光軸Ｏを中心とする滑らかな円周面である位置決め面１１ｄとされている。この位置決め面１１ｄは、鏡筒３０の後述する位置決め部３５（図５等参照）と嵌合（内接）可能な内径寸法とされている。また、内方突出部１１ｃでは、位置決め面１１ｄと隣接する後側（後側筐体部１３側）の内壁面が、撮影光軸Ｏを中心としつつ位置決め面１１ｄよりも小さな内径寸法とされており、撮影光軸Ｏを取り巻くようにネジ溝１１ｅが設けられている。このネジ溝１１ｅは、鏡筒３０の後述するネジ溝３６（図５等参照）と螺合可能とされている。挿通孔１１ｂでは、内方突出部１１ｃが設けられることにより、前側（被写体側）が相対的に径寸法（径方向で見た撮影光軸Ｏを基準とする内径寸法）の大きい拡孔部１１ｆとされ、かつ後側（後側筐体部１３側）が拡孔部１１ｆよりも径寸法の小さな縮孔部１１ｇとされている。すなわち、挿通孔１１ｂは、内方突出部１１ｃが設けられることにより、取付壁部１１において、前側（被写体側）から見て同心状の２つの円形状を呈する段付きの貫通孔を形成している。この挿通孔１１ｂは、取付壁部１１において、位置決め面１１ｄにより後述する径方向位置決め部を形成し、かつ内方突出部１１ｃの前側面１１ｈとネジ溝１１ｅとの協働により後述する撮影光軸方向位置決め部を形成するように設定されている。この前側面１１ｈは、撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面とされている。
【００３８】
後側筐体部１３は、図１および図２に示すように、一端開放の箱形状を呈し、取付壁部１１との協働により、撮像光学系２０および受光回路部５０（撮像素子５２）を収容する筐体１２を形成する。この後側筐体部１３は、取付壁部１１の後端面１１ａの後方において、撮像光学系２０と、その鏡筒３０に結合された受光回路部５０と、を収容可能な大きさ寸法（深さ寸法）とされている。これは、後述するように、撮影光軸Ｏ方向で見た取付壁部１１における大きさ寸法が鏡筒３０の縮径部３２との位置関係により制限されていることによる。
【００３９】
後側筐体部１３には、後端側に、撮像装置１０を含む筐体１２を所望の場所に取り付けるための２つの取付突起１３ｂが設けられている。実施例１では、両取付突起１３ｂは、図示は略すがネジ穴が設けられたボス部とされている。また、後側筐体部１３には、後述する受光回路部５０（後述する電子部品５３）へと電力を供給したり、受光回路部５０に実装される後述する撮像素子５２で取得した画像データを伝送したりするための電線（ワイヤーハーネス）１４が設けられている。この電線１４は、外部との封止性能を有した状態で受光回路部５０への接続を可能とされている。この封止性能を有する構成としては、後側筐体部１３に接続穴（図示せず）を設け、そこに電線１４を挿通するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、電線１４（その被覆部材）を後側筐体部１３と一体的に形成することがあげられる。なお、この電線１４は、取付壁部１１に後側筐体部１３を取り付けない場合には、受光回路部５０に直接接続する。この後側筐体部１３との結合が可能とされた取付壁部１１に撮像光学系２０が取り付けられる。
【００４０】
この撮像光学系２０は、鏡筒３０に光学素子群４０が保持されて構成されている。この鏡筒３０は、光学素子群４０を内方で保持すべく筒状を呈し、図４から図６に示すように、外観形状が、前側（被写体側）となる一端側が相対的に径寸法（径方向で見た撮影光軸Ｏを基準とする外径寸法）の大きい拡径部３１とされ、かつ後側となる他端側が拡径部３１よりも径寸法の小さな縮径部３２とされている。この拡径部３１は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの拡孔部１１ｆへの挿通が可能であり、かつ当該挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇへと挿通することのできない外径寸法とされている。また、縮径部３２は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇへの挿通が可能な外径寸法とされている。
【００４１】
この鏡筒３０では、拡径部３１の外周面にネジ溝３３と、拡径部３１と縮径部３２との外径寸法の差異により形成された撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面３４と、縮径部３２の外周面において直交面３４の隣接位置に設けられた位置決め部３５と、縮径部３２の外周面において位置決め部３５の隣接位置に設けられた鏡筒側ネジ溝としてのネジ溝３６と、縮径部３２の外周面で撮影光軸Ｏ周りに点在する複数の平坦面部３７と、が設けられている。
【００４２】
ネジ溝３３は、後述する抜止部材２２に設けられたネジ溝２２ａ（図７等参照）と螺合可能とされている。直交面３４は、鏡筒３０の拡径部３１を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの拡孔部１１ｆ内に位置させると、その挿通孔１１ｂの前側面１１ｈと面当接可能な位置関係とされている。
【００４３】
位置決め部３５は、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させると、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）の位置決め面１１ｄに内接可能な面形状とされている（図２等参照）。すなわち、位置決め部３５は、位置決め面１１ｄと当接することにより、取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において、鏡筒３０の径方向での位置決めをすることができる。このため、この位置決め部３５と取付壁部１１の位置決め面１１ｄとは、取付壁部１１に対する鏡筒３０（撮像光学系２０）の径方向での位置決めを行う径方向位置決め部として機能する。特に、実施例１では、位置決め部３５と位置決め面１１ｄとが、撮影光軸Ｏを中心とし当該撮影光軸Ｏ方向に延在する曲面で当接する構成であることから、径方向位置決め部により、取付壁部１１（挿通孔１１ｂ）における中心軸線と、鏡筒３０（保持孔３８）における中心軸線と、を一致させることができる。
【００４４】
ネジ溝３６は、取付壁部１１の内方突出部１１ｃのネジ溝１１ｅに螺合可能とされている。このため、鏡筒３０は、その縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させて、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅにネジ溝３６を螺合させることにより、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、取付壁部１１に取り付けることができる。このとき、鏡筒３０を相対的に回動させると、ネジ溝１１ｅとネジ溝３６との作用により、鏡筒３０が取付壁部１１に対して後側（受光回路部５０が装着される他端側）へと移動し、鏡筒３０の直交面３４と取付壁部１１の挿通孔１１ｂの前側面１１ｈとが圧接し、撮影光軸Ｏ方向での相対的な位置を決めて鏡筒３０と取付壁部１１とを固定することができる。このため、鏡筒３０の直交面３４と取付壁部１１の挿通孔１１ｂの前側面１１ｈとは、取付壁部１１に対する鏡筒３０（撮像光学系２０）の撮影光軸Ｏ方向での位置決めを行う撮影光軸方向位置決め部として機能する。また、取付壁部１１の挿通孔１１ｂのネジ溝１１ｅは、上述した径方向位置決め部の位置決め面１１ｄと協働して、鏡筒３０の一端部（この例では直交面３４）を撮影光軸Ｏ方向で取付壁部１１（この例では前側面１１ｈ）に押圧しつつ取付壁部１１に鏡筒３０を固定する螺合固定手段として機能する。
【００４５】
複数の平坦面部３７は、縮径部３２の外周面において、撮影光軸Ｏ方向でネジ溝３６に隣接して設けられており、撮影光軸Ｏ方向で見て、所定の長さ寸法で延在されているとともに鏡筒３０の後端（他端）部との間に所定の間隔を置くものとされている。この所定の長さ寸法とは、上述したように鏡筒３０を取付壁部１１に固定する際に、当該鏡筒３０を相対的に回転させるために、鏡筒３０の狭持を容易なものとする観点で設定されている。このため、平坦面部３７は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂに対して鏡筒３０を内縁突起部３９側（他端側）から挿入し、挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、の螺合量を調整する際、鏡筒３０の狭持のための接触が可能とされた保持部として機能する。また、後端部との間の所定の間隔とは、後述する中間保持部材５４（その鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（図１０参照））の溶着による固定を可能とする長さ寸法を確保できることをいう。このため、縮径部３２では、撮影光軸Ｏ方向で見て各平坦面部３７よりも後端側に位置する外周面部３２ａが、後述する中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａとの対向面（鏡筒当接箇所）となる。実施例１では、平坦面部３７は、縮径部３２の周方向で見て等しい間隔で４箇所に設けられており、径方向（撮影光軸Ｏに直交する方向）からの狭持を容易とすべく径方向で対を為している。
【００４６】
この鏡筒３０では、光学素子群４０の保持ために、中心位置を撮影光軸Ｏ方向に沿って貫通する保持孔３８が設けられている。この保持孔３８は、前側（被写体側）の後述する光学素子群４０としてのレンズ４１の嵌合が可能な大内径部３８ａと、そこと隣接し大内径部３８ａよりも小さな内径寸法の中内径部３８ｂと、そこと隣接し中内径部３８ｂよりも小さな内径寸法の小内径部３８ｃと、を有する。この大内径部３８ａでは、中内径部３８ｂ側に撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面３８ｄが設けられており、この直交面３８ｄには、後述するレンズ４１の後面を支持すべく中内径部３８ｂと等しい内径寸法とされた環状を呈する環状突起部３８ｅが設けられている。小内径部３８ｃの後側（後述する撮像素子５２側）すなわち鏡筒３０の後端（他端）には、嵌合された後述する光学素子群４０としてのレンズ４７の脱落を防止するための内縁突起部３９が設けられている。この鏡筒３０の保持孔３８に光学素子群４０が収容される。
【００４７】
光学素子群４０は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも１つ以上の光学素子を有し、撮像装置１０（撮像光学系２０）において求められる光学性能に応じて適宜構成される。この光学素子群４０は、図７および図８に示すように、実施例１では、被写体（物体）側から順に、レンズ４１、レンズ４２、レンズ４３、絞り４４、レンズ４５、レンズ４６およびレンズ４７を有する。レンズ４１は、鏡筒３０の保持孔３８の大内径部３８ａに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ４２、レンズ４３および絞り４４は、鏡筒３０の保持孔３８の中内径部３８ｂに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ４６およびレンズ４７は、鏡筒３０の保持孔３８の小内径部３８ｃに嵌合可能な外径寸法とされている。この光学素子群４０は、大内径部３８ａ側の開口から、レンズ４７、レンズ４６、レンズ４５、絞り４４、レンズ４３、レンズ４２およびレンズ４１の順に、鏡筒３０の保持孔３８へと挿入される。ここで、実施例１では、レンズ４２の次にレンズ４１を保持孔３８へと挿入する際、先ず、保持孔３８の大内径部３８ａの直交面３８ｄにおいて、環状突起部３８ｅを取り巻くようにＯリング２１を配置し、そのＯリング２１および環状突起部３８ｅに後面を宛がいつつ当該後面が直交面３８ｄと対向するように、レンズ４１を保持孔３８へと挿入する。
【００４８】
この保持孔３８に挿入された光学素子群４０は、抜止部材２２により、大内径部３８ａ側の開口から脱落することが防止される。この抜止部材２２は、鏡筒３０の拡径部３１の外周面を取り巻くことが可能な大きさ寸法とされた筒状を呈し、前端部（被写体側の端部）がレンズ４１の前面の周縁部（有効エリアの外側位置）に外方（前側）から当接可能な径寸法とされている。抜止部材２２の内周面の後端側には、鏡筒３０の拡径部３１に設けられたネジ溝３３と螺合可能なネジ溝２２ａが設けられている。この抜止部材２２は、保持孔３８に光学素子群４０が適切に挿入された状態において、拡径部３１を覆うようにネジ溝２２ａがネジ溝３３に螺合されることにより、レンズ４１を鏡筒３０の後側（後述する撮像素子５２側）へと押圧する。このため、光学素子群４０は、鏡筒３０の保持孔３８において内縁突起部３９側へと押圧され、レンズ４７が内縁突起部３９へと押し当てられて、当該保持孔３８内で撮影光軸Ｏ方向に位置決めされる。これにより、光学素子群４０が、鏡筒３０内において撮影光軸Ｏ上で適切な位置に整列されることとなり、所望の光学性能を有する撮像光学系２０が組み付けられる。このとき、レンズ４１の後面と保持孔３８の大内径部３８ａの直交面３８ｄとの間に配置されたＯリング２１が、適切に圧縮される、すなわちレンズ４１の後面に圧接されるとともに直交面３８ｄに圧接される。このため、撮像光学系２０では、適切に圧縮されたＯリング２１により、レンズ４１の周囲から鏡筒３０の内方（保持孔３８の中内径部３８ｂおよび小内径部３８ｃ）への水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。このように、撮像光学系２０では、鏡筒３０により封止的に光学素子群４０（その対物レンズとなるレンズ４１）が保持され、所望の光学性能を有している。なお、実施例１では、光学素子群４０（鏡筒３０）の中心軸位置となる各レンズ４１〜４７（絞り４４を含む）の回転対称軸（撮像素子５２で取得される画像における中心位置）を、撮像光学系２０の撮影光軸Ｏとしている。この撮像光学系２０の光学素子群４０の結像位置に、受光回路部５０が配置される。
【００４９】
受光回路部５０は、図９に示すように、基板５１に撮像素子５２と電子部品５３とが実装されて構成されている。撮像素子５２は、ＣＣＤイメージセンサやＣＭＯＳイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮像光学系２０（光学素子群４０）を通して受光面５２ａ上に結像された被写体像を電気信号（画像データ）に変換して出力する。電子部品５３は、撮像素子５２における動作の制御や撮像素子５２から出力された電気信号に基づく被写体像に対応したデジタル画像の生成等を行う電子回路を構成すべく基板５１に実装されている。このため、基板５１は、撮像素子５２の駆動制御する駆動基板として機能する。この受光回路部５０は、撮像光学系２０を通過した光を受光することで、当該撮像光学系２０により結像された被写体像の画像を生成する。
【００５０】
この受光回路部５０は、溶着構造により鏡筒３０に結合される（図２等参照）。この溶着構造は、実施例１では、中間保持部材５４を用いる超音波溶着工法により形成されている（図２、図１７および図１８等参照）。この中間保持部材５４は、撮像光学系２０（光学素子群４０）の結像位置を撮像素子５２の受光面５２ａ上とすべく、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するための溶着構造を構成する。
【００５１】
中間保持部材５４は、図１０に示すように、熱可塑性の部材から形成され、細長い直方体の部材が屈曲されて全体にＬ字状を呈しており、鏡筒側壁部５４ａと基板側壁部５４ｂとを有する。この中間保持部材５４では、鏡筒側壁部５４ａの取付壁面５４ｃ（屈曲されたされた側とは反対側の面）に鏡筒側当接部５４ｄが設けられ、基板側壁部５４ｂの取付壁面５４ｅに受光側当接部５４ｆが設けられている。この鏡筒側当接部５４ｄは、平坦な取付壁面５４ｃから突出された方形状を呈し、受光側当接部５４ｆは、平坦な取付壁面５４ｅから突出された方形状を呈する。この鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆは、実施例１では、鏡筒側壁部５４ａおよび基板側壁部５４ｂと一体成形により形成されている。中間保持部材５４では、超音波溶着工法の際、鏡筒側壁部５４ａの取付壁面５４ｃが、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに対向される鏡筒側対向面を形成し、その外周面部３２ａに鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）が当接される。また、中間保持部材５４では、超音波溶着工法の際、基板側壁部５４ｂの取付壁面５４ｅが、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に対向される受光側対向面を形成し、その表面５１ａに受光側当接部５４ｆ（その先端面）が当接される。このため、実施例１では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａが鏡筒当接箇所として機能し、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）が受光当接箇所として機能する。
【００５２】
この中間保持部材５４は、図１１に示すように、ホーン５５により吸着保持可能とされている。このホーン５５は、後述する超音波溶着のために用いられる伝達部材であり、実施例１では、長尺な棒状部材の先端（５５ａ、５５ｂ）が二股に分岐された形状を呈している。ホーン５５は、一方の先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇ（屈曲されたされた側の面）に面当接可能とされ、かつ他方の先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接可能とされている。
【００５３】
また、ホーン５５の内方には、貫通孔からなる吸引孔５６が設けられている。この吸引孔５６は、先端面５５ａおよび先端面５５ｂへ向けて延在するとともに後端へ向けて延在してホーン５５の外形形状に倣う形状の貫通孔とされている。この吸引孔５６は、先端側の一端がホーン５５の先端面５５ａを開放する吸着口５６ａを形成し、先端側の他端がホーン５５の先端面５５ｂを開放する吸着口５６ｂを形成している。また、吸引孔５６には、後端近傍にホーン５５における後端側の外周面を開放する吸引口５６ｃが設けられている。
【００５４】
このホーン５５では、先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇに面当接され、かつ先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接された状態で、図示を略す吸引機構で吸引口５６ｃから吸引孔５６（その内方空間）を真空引きすることにより、中間保持部材５４を吸着保持することができる。また、ホーン５５では、先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇに面当接可能であり、かつ先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接可能であることから、中間保持部材５４を押圧することが可能とされている。
【００５５】
次に、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との結合について説明する。実施例１の撮像装置１０では、光学素子群４０と撮像素子５２との相対的な位置関係の変化を防止するために、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との結合に、中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法を採用している。
【００５６】
この超音波溶着工法では、用いる中間保持部材５４を、後述するように位置決めされた鏡筒３０（その鏡筒当接箇所）と受光回路部５０（その受光当接箇所）の位置関係に応じた大きさ寸法に設定する。この位置関係に応じた大きさ寸法とは、鏡筒３０と受光回路部５０とが位置決め固定された状態において、鏡筒側壁部５４ａを鏡筒３０の鏡筒当接箇所（実施例１では縮径部３２の外周面部３２ａ）に対向させつつ、基板側壁部５４ｂを受光回路部５０の受光当接箇所（実施例１では基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面））に対向させることが可能であることをいう。なお、図示の例では、超音波溶着される前後で、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆが軟化（溶融）された後に硬化されることにより、その高さ寸法（突出方向で見た厚さ寸法）が低減しているが、この軟化（溶融）された後に硬化されることによる中間保持部材５４の変形の態様を理解容易のために強調して示しており、実際の超音波溶着の際の態様とは必ずしも一致するものではない。
【００５７】
超音波溶着工法では、図１２に示すように、位置決め固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して、鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がう（当接させる）とともに、基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆ（その先端面）を基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がって（当接させて）、鏡筒３０と受光回路部５０とを架け渡すように中間保持部材５４を配置する。この中間保持部材５４は、実施例１では、ホーン５５により吸着保持して配置する。その後、図１３に示すように、鏡筒３０および受光回路部５０の相対的な位置関係を固定しつつ、中間保持部材５４に当接されたホーン５５に振動子５７を当接させる。この振動子５７は、圧電素子（ピエゾ素子）等から構成され、図示を略す発振器から出力された電気信号（例えば、交流の電圧）を機械的な超音波振動（振動エネルギー）に変換するものである。また、ホーン５５は、振動子５７の超音波振動（振動エネルギー）を中間保持部材５４に伝達するものである。この鏡筒３０および受光回路部５０の相対的な位置関係を固定した状態で、ホーン５５を介して振動子５７からの超音波振動を中間保持部材５４に伝達しつつ、その中間保持部材５４を鏡筒３０および受光回路部５０に向けて押圧することにより、鏡筒３０への当接箇所となる鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と、受光回路部５０への当接箇所となる受光側当接部５４ｆ（その先端面）と、を同時に軟化（溶融）させる（図１４参照）（第３工程）。この押圧は、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の外周面部３２ａに圧接させるとともに、受光側当接部５４ｆ（その先端面）を受光回路部５０の基板５１（その表面５１ａ）に圧接させるように行う。その押圧方向は、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）への当接箇所の中心位置へと向かう方向に近いものであることが望ましい。
【００５８】
その後、その位置関係が相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０への押圧状態を維持したままで超音波振動の供給を停止することにより、図１４に示すように、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）における軟化（溶融）した個所を硬化させることができ、その鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに固着させることができるとともに、受光側当接部５４ｆ（その先端面）における軟化（溶融）した個所を硬化させることができ、その受光側当接部５４ｆ（その先端面）を受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に固着させることができる（第４工程）。このとき、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）および受光側当接部５４ｆ（その先端面）では、同一のホーン５５（振動子５７）から超音波振動が与えられていることから、その超音波振動の供給の停止も同時となるので、それぞれの硬化すなわち外周面部３２ａへの固着と表面５１ａへの固着とを同時なものとすることができる。その鏡筒側当接部５４ｄにおいて軟化（溶融）された箇所は、当該鏡筒側当接部５４ｄと、鏡筒当接箇所となる鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａと、を固定する鏡筒側溶着部として機能する。また、受光側当接部５４ｆにおいて軟化（溶融）された箇所は、当該受光側当接部５４ｆと、受光当接箇所となる受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）と、を固定する受光側溶着部として機能する。
【００５９】
この鏡筒３０および受光回路部５０を位置決め固定しつつそれらを架け渡すように宛がわれた中間保持部材５４に超音波振動と押圧力とを付与することにより、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と受光側当接部５４ｆ（その先端面）とを同時に軟化（溶融）させ、その後にその軟化（溶融）した箇所を同時に硬化させて、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを中間保持部材５４を介して溶着により固定するのが、超音波溶着工法である。この超音波溶着工法では、軟化（溶融）させた箇所を硬化させた後に、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との位置決め固定を解除しても、それらの位置関係には殆ど変化が生じない。これは、超音波溶着工法では、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆすなわち中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することができることによる。また、超音波溶着工法では、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆにおける軟化（溶融）する箇所（鏡筒側溶着部および受光側溶着部）を、その当接面に沿う極めて薄いものとすることができるので、軟化（溶融）による形状変化の影響自体を小さくすることができることにもよる。ここで、本願発明の超音波溶着工法で言う同時とは、軟化（溶融）による中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することを可能とするもの、換言すると押圧による中間保持部材５４の移動の態様を、軟化（溶融）状態である鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と受光側当接部５４ｆ（その先端面）とで等しいものとすることができるもの、であれば、厳密な意味での時間差は許容するものである。このことから、実施例１では、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）および受光側当接部５４ｆ（その先端面）に対して、同一のホーン５５（振動子５７）から超音波振動を与える構成とされていたが、上述した観点から同時に軟化（溶融）させるとともに同時に硬化させることができるものであれば、個別に超音波振動を供給（停止）するものであってもよく、実施例１に限定されるものではない。
【００６０】
撮像装置１０では、鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定に先立って、図１５に示すように、上述したように組み付けられた撮像光学系２０（図７および図８参照）と取付壁部１１とを固定する。この固定では、取付壁部１１の前側面１１ｈ上に封止部材の一例としてのＯリング２３を配置し、鏡筒３０の内縁突起部３９側（他端側）を挿入先端方向として、鏡筒３０の直交面３４をＯリング２３に宛がうように、取付壁部１１の拡孔部１１ｆ側から挿通孔１１ｂへと鏡筒３０を挿入する（矢印Ａ１参照）。その鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させて、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅにネジ溝３６を螺合させる。この挿通されて取付壁部１１の裏面側に位置する鏡筒３０の縮径部３２の平坦面部３７を径方向で狭持し、鏡筒３０を取付壁部１１に対して撮影光軸Ｏ回りに回動させて、取付壁部１１の前側面１１ｈと鏡筒３０の直交面３４とを圧接させる。これにより、鏡筒３０と取付壁部１１とを、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、前側面１１ｈと直交面３４とが介在するＯリング２３を適切に圧縮しつつ撮影光軸Ｏ方向での相対的な位置を決めて、固定することができる（図１６参照）。このとき、鏡筒３０の後端部（他端部）には、受光回路部５０（撮像素子５２）が設けられていないことから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の回動操作（固定作業）が容易なものとされている。特に、実施例１では、後述するように第１空間Ｐ１（図１６参照）が設けられる構成であることから、鏡筒３０の取付壁部１１への締め付け固定の際に当該鏡筒３０の縮径部３２の外方位置には他の構成部材が存在しない（第２空間が形成されている）こととなるので、上記した回動操作（固定作業）がより容易なものとされている。
【００６１】
なお、この平坦面部３７の狭持による鏡筒３０の回動は、作業者の手で行うものであっても、作業者が使用する工具で行うものであってもよく、また機械により行うものであってもよい。これにより、取付壁部１１の外表面Ｓ側（対物レンズとなるレンズ４１が露出された側）からの、取付壁部１１と鏡筒３０（撮像光学系２０）との間での水や塵埃等の侵入が防止され、十分な封止性能を有した状態で、鏡筒３０と取付壁部１１とを固定することができる（図１６参照）。この取付壁部１１に封止的に固定された鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定について、以下で説明する。
【００６２】
ここで、取付壁部１１は、図１６に示すように、鏡筒３０（撮像光学系２０）が固定された状態において、その撮像光学系２０の鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａへの中間保持部材５４の取り付けが可能な構成とされている。換言すると、取付壁部１１は、挿通孔１１ｂに撮像光学系２０が挿通された状態において、撮影光軸Ｏ方向で見て、撮像光学系２０の鏡筒３０の縮径部３２の外周面上で各平坦面部３７よりも後端側の領域（外周面部３２ａ）に到達することのない大きさ寸法、すなわち外周面部３２ａを横切りつつ撮影光軸Ｏ方向に直交する面と干渉することのない大きさ寸法とされている。このため、撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないものとされている。よって、実施例１の撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置に、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくは基板５１を結合する（溶着構造を構成する）ための第１空間Ｐ１が形成されている。なお、この第１空間Ｐ１は、撮像装置１０の位置決め固定の作業のための空間であることから、位置決め固定が完了した後は確保されている必要はない。
【００６３】
先ず、位置決めのために、鏡筒３０が封止的に固定された取付壁部１１を、調整装置６０としての筐体保持部６１で固定的に保持する。その筐体保持部６１に保持された状態の鏡筒３０の後端側（他端側）であって、撮影光軸Ｏ上に撮像素子５２（その受光面５２ａ）が位置するように受光回路部５０（その基板５１）を配置し、その基板５１を調整装置６０としての撮像素子保持部６２で保持する。この撮像素子保持部６２は、筐体保持部６１に保持された取付壁部１１に固定された鏡筒３０（光学素子群４０）に対して、撮影光軸Ｏ回りの任意の回転姿勢で、受光回路部５０の基板５１を保持可能とされている。また、撮像素子保持部６２は、少なくとも取付壁部１１を介して筐体保持部６１に保持された鏡筒３０の軸線（撮影光軸Ｏ）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の傾きの調整を可能とするとともに、鏡筒３０に対する撮影光軸Ｏ方向での撮像素子５２（受光面５２ａ）の位置（間隔）の調整を可能とするように、受光回路部５０の基板５１を保持可能である。
【００６４】
筐体保持部６１で固定保持した取付壁部１１に対して、その上下左右方向と、撮像素子５２で取得した画像における上下左右方向と、が一致し、かつその撮像光学系２０（光学素子群４０）の撮影光軸Ｏが撮像素子５２で取得した画像における中心に位置するように、受光回路部５０の基板５１を撮像素子保持部６２で保持する。
【００６５】
この撮像素子保持部６２（調整装置６０）に保持された受光回路部５０（その電子部品５３）に電力を供給するとともに、受光回路部５０（その撮像素子５２）からの画像をモニタ７０に表示可能な状態とする。そして、撮像装置１０の撮影光軸Ｏ上で所定の距離に被写体（図示せず）を配置して、撮像光学系２０で結像させるとともに、その被写体像を受光した撮像素子５２からの電気信号（画像データ）に基づく画像をモニタ７０に映し出す。
【００６６】
この調整装置６０では、上述したように、筐体保持部６１と撮像素子保持部６２との作用により、鏡筒３０に対して、その軸線（撮影光軸Ｏ）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の傾きの調整が可能であり、鏡筒３０に対する撮影光軸Ｏ方向での撮像素子５２（受光面５２ａ）の位置（間隔）の調整が可能とされていることから、取得した画像における上下左右方向が取付壁部１１の上下左右方向と一致した状態を維持したまま撮影光軸Ｏに対して受光面５２ａを直交させる状態とすることができ、その状態を維持したまま撮影光軸Ｏ方向へと撮像素子５２（受光面５２ａ）を移動させることができるので、撮像光学系２０の結像位置を受光面５２ａ上とするいわゆるピント調整を行うことができる。
【００６７】
ピント調整は、筐体保持部６１に保持された取付壁部１１の鏡筒３０に対して、撮像素子保持部６２を介して撮像素子５２の傾きおよび位置を適宜変化させて、モニタ７０に映し出された画像（被写体像）が適切な状態であるか否かで判断する。このピント調整は、作業者が画像を目視により確認しながら行うものであっても、画像解析により自動的に行う（調整装置６０にそれらの機能を搭載する）ものであってもよい。これにより、光学素子群４０に対して撮像素子５２が光学的に位置決めされた状態で鏡筒３０と受光回路部５０とを相対的に固定することができる（第１工程）。
【００６８】
ピント調整が完了すると、中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法により、受光回路部５０を鏡筒３０に結合する（図２、図１７および図１８等参照）。この超音波溶着工法において、実施例１では、４つの中間保持部材５４を、縮径部３２の周方向で見て等しい間隔で４箇所に設ける（図１７参照）。詳細には、筐体保持部６１および撮像素子保持部６２による固定保持を維持した状態、すなわち鏡筒３０と基板５１との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４を、鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡すように配置（二点鎖線で示す中間保持部材５４参照）する（第２工程）。実施例１では、各中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）は、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる（図１２参照）。また、各中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆ（その先端面）は、撮像素子５２を取り囲むように基板５１の表面５１ａに宛がわれる（図１２参照）。
【００６９】
この鏡筒３０が固定された取付壁部１１の筐体保持部６１による固定的な保持を維持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の基板５１（受光回路部５０）の撮像素子保持部６２による固定的な保持を維持し、かつ各中間保持部材５４を鏡筒３０と基板５１とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法（第３、第４工程）を行う。すると、鏡筒３０と基板５１とは、図１７および図１８に示すように、筐体保持部６１および撮像素子保持部６２による固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４を介して互いに結合される。このため、各中間保持部材５４は、上述した鏡筒側溶着部および受光側溶着部との協働により、鏡筒３０と基板５１（撮像素子５２）との相対的な位置関係を維持しつつ溶着により結合することを可能とする溶着構造を形成している。なお、ここでいう位置関係の維持とは、光学的に撮像素子５２（その受光面５２ａ）において適切な画像の取得が可能である状態を維持するものであれば、厳密な意味での移動は許容するものである。
【００７０】
実施例１では、上述した各中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法の後に、充填接着工法を行う。この充填接着工法では、図１９、図２０および図２１に示すように、各中間保持部材５４を介して互いに結合された鏡筒３０と基板５１との間を充填するように、接着剤を塗布（注入）して充填接着層である接着層Ｃを形成する。実施例１では、接着層Ｃを形成するために、遮光性を有する熱硬化型の接着剤を採用している。この接着層Ｃは、鏡筒３０の他端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設けられており、基板５１の表面５１ａにおいて、少なくとも撮像素子５２の受光面５２ａの有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないように当該撮像素子５２を取り囲むものとされている。このため、接着層Ｃは、実施例１では、各中間保持部材５４の内側（取付壁面５４ｃおよび取付壁面５４ｅが面する側）と鏡筒３０（その後端）と基板５１（表面５１ａ）とに囲まれた空間を充填するように、第１空間Ｐ１（図１６参照）を利用して各中間保持部材５４の内側に接着剤が塗布（注入）されて形成されている（図１９および図２０参照）。この溶着構造により結合された鏡筒３０と基板５１との間に、環状の接着層Ｃを形成した状態の撮像装置１０を、第１空間Ｐ１（図１６参照）を利用して図示を略すオーブンで適宜加熱することにより、接着層Ｃを硬化させる、いわゆる充填接着工法を行う。このとき、接着層Ｃでは、硬化時に収縮しようとするが、鏡筒３０と基板５１とは、上述した各中間保持部材５４を用いた溶着構造により互いに位置決めされた状態で結合されていることから、鏡筒３０と基板５１との位置関係が変化することはない。これにより、鏡筒３０と基板５１とは、撮像素子５２を取り囲むように環状を呈し遮光性を有する接着層Ｃにより、溶着構造による相対的な位置関係が維持されつつ結合されることとなる。このため、環状の接着層Ｃは、溶着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒３０と基板５１とを、その結合強度を高める補強接着層としての互いの間を充填して結合する充填接着構造を形成している。
【００７１】
このように取付壁部１１に固定された鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）が位置決めされた状態で、当該鏡筒３０と受光回路部５０（その基板５１）とが固定されることにより、撮像装置１０が形成される。この撮像装置１０では、Ｏリング２３により、取付壁部１１の外表面Ｓ側（対物レンズとなるレンズ４１が露出された側）からの、取付壁部１１と鏡筒３０（撮像光学系２０）との間での水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有しているとともに、適切な光学性能を有している。
【００７２】
実施例１では、このように位置決め固定された撮像装置１０は、図１および図２に示すように、その取付壁部１１に後側筐体部１３を封止的に結合することにより、筐体１２により取付壁部１１の裏面側における外方からの撮像光学系２０および受光回路部５０への防水機能および防塵機能を得ることができる。このため、撮像装置１０は、後側筐体部１３の両取付突起１３ｂを介して所望の箇所に取り付けることが可能であって、全体に小さな構成であるにも拘らず高い光学性能を有しかつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。このことから、この後側筐体部１３が結合されて筐体１２に取り囲まれた撮像装置１０は、例えば、車載カメラとして好適である。
【００７３】
このように、本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを溶着により結合する溶着構造において、撮像光学系２０を保持する鏡筒３０および撮像素子５２が実装された基板５１とは別の中間保持部材５４を用いるとともに、その鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを軟化（溶融）させた後に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成していることから、従来技術のようにその鏡筒（３０）および受光回路部（５０）自体を溶融する必要がないので、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係が、溶着することに起因して崩れることを防止しつつ固定することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７４】
また、本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを結合する溶着構造において、中間保持部材５４を用いて鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを同時に軟化（溶融）させた後に同時に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成する超音波溶着工法を採用していることから、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆすなわち中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４が変位（移動）することで吸収させることができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒３０と基板５１とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７５】
さらに、本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）を相対的な位置関係を固定し、その固定された鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを掛け渡すように中間保持部材５４を宛がって、その鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを同時に軟化（溶融）させた後に同時に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成する超音波溶着による位置決め固定を行うものであることから、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを軟化（溶融）させることによる中間保持部材５４の形状変化の影響を、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと当該中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒３０と基板５１とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７６】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを溶着により結合するものであることから、接着剤を用いて結合することに比較して、より強固に位置決め固定することができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱にも耐えることができ、安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。また、たとえ温度変化等の影響により接着剤における結合強度が弱まるような環境下であっても、鏡筒３０と基板５１との位置関係を維持することができるので、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。
【００７７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる鏡筒側当接部５４ｄと、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれる受光側当接部５４ｆと、が、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈していることから、振動子５７からホーン５５を介して伝達される超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをより狭小な範囲に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部５４ｄと外周面部３２ａとを固定することができるとともに、受光側当接部５４ｆと表面５１ａとを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【００７８】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法において、４つの中間保持部材５４が撮影光軸Ｏに直交する面で見て当該撮影光軸Ｏを中心とする互いに直交する４方向に配置されていることから、たとえ各中間保持部材５４における鏡筒側溶着部および受光側溶着部の硬化に起因して鏡筒３０に対して基板５１を径方向へと移動させる力が作用したとしても、４つの中間保持部材５４の配置関係により当該力を互いに相殺することができるので、超音波溶着工法の際に鏡筒３０と基板５１との位置関係が変化することをより確実に防止することができる。
【００７９】
本発明の撮像装置１０では、溶着構造において、鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄが鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるとともに、基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆが基板５１の表面５１ａに宛がわれたＬ字状の中間保持部材５４により、鏡筒３０と基板５１とが架け渡されているので、鏡筒３０と基板５１とをより強固に結合することができる。このため、たとえ温度変化等の影響により接着層Ｃにおける結合強度が弱まってしまった場合であっても、鏡筒３０と基板５１との位置関係を維持することができるので、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性を得ることができる。
【００８０】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを結合する構造において、溶着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒３０と基板５１との間を接着層Ｃで充填する充填接着工法を採用している（補強接着層を形成している）ことから、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着および接着により鏡筒３０と基板５１とを互いにより強固に結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００８１】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と基板５１（受光回路部５０の撮像素子５２）とを結合する際、先ず超音波溶着工法を行ってから充填接着工法を行うので、光学的に位置決めされた撮像素子５２（基板５１）と光学素子群４０（鏡筒３０）との位置関係を維持しつつより強固に鏡筒３０と基板５１とを結合することができる。
【００８２】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０と基板５１との間が、遮光性を有する接着層Ｃにより塞がれていることから、鏡筒３０の外方から撮像素子５２の受光面５２ａへの異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒３０の外方からの光が撮像素子５２の受光面５２ａに入射することを確実に防止することができるので、より鮮明な画像を得ることができる。
【００８３】
本発明の撮像装置１０では、取得した画像における上下左右方向が取付壁部１１の上下左右方向と一致した状態であって撮像光学系２０とのピント調整が為された状態で、取付壁部１１に固定された鏡筒３０と基板５１すなわち撮像素子５２とを溶着構造により結合することができる。このため、取付壁部１１として、外観形状から上下左右方向を特定できる形状を採用することができるので、取付壁部１１すなわち筐体の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【００８４】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）に、溶着構造により受光回路部５０（基板５１）を結合（位置決め固定）するものであることから、取付壁部１１の外観形状を考慮しつつ鏡筒３０（光学素子群４０）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の光学的な位置決めされた状態で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを溶着構造で結合することができるので、適切な光学性能を得ることができる。
【００８５】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）を取付壁部１１に固定した状態で、その取付壁部１１の上下左右方向と取得した画像における上下左右方向とを一致させつつピント調整を行うことができることから、光学素子群４０の各部材における公差の影響をなくすことができ、適切な光学性能を得ることができる。
【００８６】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂに挿通した状態において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面における平坦面部３７よりも後端（外周面部３２ａ）が露見している、すなわち第１空間Ｐ１が形成されていることから、中間保持部材５４を用いて溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくは基板５１を結合する（溶着構造を構成する）ことを容易なものとすることができる。
【００８７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）を取付壁部１１に固定した状態において、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇの位置決め面１１ｄと、鏡筒３０の縮径部３２の位置決め部３５と、の当接により、取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において鏡筒３０が径方向で位置決めされているとともに、取付壁部１１（挿通孔１１ｂ）の中心軸線と鏡筒３０（保持孔３８）の中心軸線とが一致されていることから、その鏡筒３０に適切に保持された光学素子群４０に対して撮像素子５２（その受光面５２ａ）を光学的に位置決めすることにより、より適切な光学性能を得ることができる。
【００８８】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇの位置決め面１１ｄと鏡筒３０の縮径部３２の位置決め部３５とにより径方向位置決め部を形成し、それとは別に取付壁部１１と鏡筒３０との固定のための固定手段としての取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６とを設けていることから、より高い精度で取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において鏡筒３０を径方向に位置決めすることができるとともに、より適切に取付壁部１１と鏡筒３０とを固定することができる。
【００８９】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合する鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、鏡筒３０と取付壁部１１とが固定されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱や温度条件の差異にも耐えることができ、安定した画像特性を得ることができる。
【００９０】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合される鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、互いに固定される取付壁部１１と鏡筒３０との間でＯリング２３が圧縮されていることから、より確実な封止性能を得ることができる。
【００９１】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０に平坦面部３７が設けられていることから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ回りの回転操作、すなわち鏡筒３０の取付壁部１１への固定を容易に行うことができる。
【００９２】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０を取付壁部１１に固定する際、その鏡筒３０の後端部（他端部）には、受光回路部５０（撮像素子５２）が設けられていないことから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の回動操作（固定作業）を容易なものとすることができる。
【００９３】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との間を封止するＯリング２３が、撮影光軸Ｏ方向に直交する鏡筒３０の直交面３４と、撮影光軸Ｏ方向に直交する取付壁部１１の前側面１１ｈと、の間に配置されていることから、たとえ取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内で鏡筒３０が径方向のいずれかに偏っている場合であっても、その偏りの影響を受けることなく取付壁部１１と鏡筒３０との間でＯリング２３が適切に圧縮されるので、適切に封止性能を得ることができる。
【００９４】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に後側筐体部１３を封止的に結合することにより、筐体１２内に収容された鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）および撮像素子５２（受光回路部５０）を、全方位に対する防水性能および防塵性能を有するものとすることができる。
【００９５】
本発明の撮像装置１０では、光学素子群４０が取付壁部１１とは別体の鏡筒３０に保持されているとともに、その鏡筒３０に受光回路部５０（撮像素子５２）が固定されていることから、例えば、外気温や日光の照射により外表面Ｓを形成する取付壁部１１が変形してしまった場合であっても、光学的に位置決めされた光学素子群４０と撮像素子５２（その受光面５２ａ）との位置関係に影響が及ぶことを防止することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
【００９６】
本発明の撮像装置１０では、光学素子群４０が取付壁部１１とは別体の鏡筒３０に保持されていることから、取付壁部や筐体の外観形状を変更した場合であっても、高い光学性能の維持を容易なものとすることができるとともに、その外観形状の設計自由度を高めることができる。これは、以下のことによる。光学素子群４０では、所定の光学性能を得るためには極めて高い精度で位置決めした状態でレンズ等の光学素子を保持する必要がある。このことは、実施例１のように、複数の光学素子が用いられている場合に特に重要となる。このため、例えば、筐体で直接光学素子を保持する構成とし、この筐体を樹脂成形で形成するものとすると、筐体の外観形状を変更する度に、光学素子を保持する箇所における高い精度の確保のために極めて高い精度の金型を作成する必要があり、高い光学性能の維持は容易なものではない。また、筐体で直接光学素子を保持する構成とし、例えば、この筐体を樹脂成形するものとすると、形状に応じて種々の偏肉や金型内での樹脂の流れの不均一等の影響の有無（大きさ）が変わるので、筐体（光学素子を保持する箇所）の精度を確保するために筐体自体の外観形状に制約が生じてしまう。これに対して、本発明に係る撮像装置１０では、鏡筒３０自体は変更することなく（鏡筒３０を共通化する）、取付壁部における鏡筒３０との固定のための構成箇所のみを共通のものとすればよいことから、取付壁部の外観形状の変更が光学素子群４０の保持状態すなわち光学性能に影響を及ぼすことはなく、逆に光学性能の観点から取付壁部の外観形状の設計変更に影響を及ぼすこともない。
【００９７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と基板５１（受光回路部５０の撮像素子５２）とが取付壁部１１に封止的に位置決め固定されて構成されていることから、この取付壁部１１を所望の箇所、例えば、電子機器や建物の壁面の一部を構成するように取り付けることで、容易に所望の場所において封止性能を有する監視カメラとして利用することができる。
【００９８】
本発明の撮像装置１０では、溶着構造による受光回路部５０（基板５１）と鏡筒３０との結合に先立って、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂに挿通し、その縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅに縮径部３２のネジ溝３６を螺合させることにより、取付壁部１１と鏡筒３０とを封止的に固定することができる。このため、撮影光軸Ｏ方向での固定器具の挿通を可能とすべく撮像素子が設けられた基板の一部を切り欠く必要がないので、撮像装置１０の小型化に大きく寄与することができる。
【００９９】
したがって、本発明の撮像装置１０では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを位置決め固定することができる。
【０１００】
なお、上記した実施例１では、各中間保持部材５４において、鏡筒側当接部５４ｄと受光側当接部５４ｆとが、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈するものとされていたが、鏡筒側当接部は、超音波溶着工法のために鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるものであり、かつ受光側当接部は、超音波溶着工法のために受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれるものであれば、取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ自体であってもよく、それらから突出された他の形状を呈していてもよく、上記した実施例１に限定されるものではない。
【実施例２】
【０１０１】
次に、本発明の実施例２に係る撮像装置１０２について説明する。この実施例２は、受光回路部５０２（基板５１）と鏡筒３０とを結合する溶着構造が、実施例１とは異なる例である。この実施例２の撮像装置１０２は、基本的な構成は上記した実施例１の撮像装置１０と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図２２は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図２３は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図１９と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図２４は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２０と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。図２５は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２１と同様の模式的な斜視図である。
【０１０２】
実施例２に係る撮像装置１０２では、図２２から図２５に示すように、溶着により鏡筒３０に対して受光回路部５０２を結合する溶着構造において、鏡筒３０に対して撮像素子５２２を直接結合する構成としている。その受光回路部５０２では、撮影光軸Ｏ方向から見た撮像素子５２２の大きさ寸法が基板５１と略等しいものとされている。
【０１０３】
この撮像装置１０２では、実施例１と同様に、鏡筒３０に対する受光回路部５０２（その基板５１に実装された撮像素子５２２）の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系２０と取付壁部１１とを固定し（図１５参照）、調整装置６０（図１６参照）を用いて鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）と撮像素子５２２とを光学的に位置決めする（ピント調整を行う）（第１工程）。
【０１０４】
その後、鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４を、鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）とを架け渡すように配置する（図１６参照）（第２工程）。実施例２では、各中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）は、実施例１と同様に、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる。また、各中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂは、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域と対向されるとともに、その受光側当接部５４ｆ（その先端面）は、受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域に宛がわれる。このため、実施例２では、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域が受光当接箇所として機能する。
【０１０５】
この後、鏡筒３０が固定された取付壁部１１を固定的に保持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の撮像素子５２２（受光回路部５０２）を固定的に保持し、かつ各中間保持部材５４を鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法を行う（図１３等参照）（第３、第４工程）。これにより、鏡筒３０と撮像素子５２２とは、固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４を介して互いに結合される。
【０１０６】
実施例２では、上述した各中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法の後に、実施例１と同様に、熱硬化型の接着剤により接着層Ｃを形成して充填接着工法を行う。この接着層Ｃは、鏡筒３０の後端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設け、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおいて、少なくともその有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないものとされている。
【０１０７】
実施例２の撮像装置１０２では、基本的に実施例１の撮像装置１０と同様の構成であることから、基本的に実施例１と同様の効果を得ることができる。
【０１０８】
それに加えて、実施例２の撮像装置１０２では、鏡筒３０と撮像素子５２２との結合のための部材を減らすことができる（基板５１を介していない）ことから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
【０１０９】
また、実施例２の撮像装置１０２では、実施例１の構成に比較して、鏡筒３０（光学素子群４０）や基板５１に対して大きなサイズの撮像素子５２２を用いることができるので、より綺麗な画像を得ることができる。
【０１１０】
さらに、実施例２の撮像装置１０２では、実施例１の構成に比較して、撮像素子５２２に対して鏡筒３０（光学素子群４０）や基板５１等を小さな大きさ寸法とすることができるので、撮像装置１０２の小型化に大きく寄与することができる。
【０１１１】
したがって、実施例２の撮像装置１０２では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２２（その受光面５２２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０２（撮像素子５２２）とを位置決め固定することができる。
【０１１２】
なお、上記した実施例２では、各中間保持部材５４において、鏡筒側当接部５４ｄと受光側当接部５４ｆとが、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈するものとされていたが、鏡筒側当接部は、超音波溶着工法のために鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるものであり、かつ受光側当接部は、超音波溶着工法のために受光回路部５０２の撮像素子５２２の受光面５２２ａに宛がわれるものであれば、取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ自体であってもよく、それらから突出された他の形状を呈していてもよく、上記した実施例２に限定されるものではない。
【実施例３】
【０１１３】
次に、本発明の実施例３に係る撮像装置１０３について説明する。この実施例３は、受光回路部５０（基板５１）と鏡筒３０とを結合する溶着構造が、実施例１とは異なる例である。この実施例３の撮像装置１０３は、基本的な構成は上記した実施例１の撮像装置１０と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図２６は、実施例３に係る撮像装置１０３の溶着構造に用いる中間保持部材５４３の構成を説明するための図１０と同様の模式的な斜視図である。
【０１１４】
実施例３に係る撮像装置１０３では、図２６に示すように、超音波溶着工法のためすなわち溶着構造を形成するために中間保持部材５４３を用いる。この中間保持部材５４３は、実施例１の中間保持部材５４と同様に、撮像光学系２０（光学素子群４０）の結像位置を撮像素子５２の受光面５２ａ上とすべく、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するための溶着構造を構成するものである。中間保持部材５４３は、基本的な構成は、実施例１の中間保持部材５４と同様であり、その中間保持部材５４との差異は、鏡筒側当接部５４３ｄと受光側当接部５４３ｆとが、平坦面（取付壁面５４３ｃまたは取付壁面５４３ｅ）から突出された半球形状を呈するものとされていることにある。
【０１１５】
実施例３に係る撮像装置１０３では、実施例１と同様に、鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系２０と取付壁部１１とを固定し（図１５参照）、調整装置６０（図１６参照）を用いて鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）と撮像素子５２とを光学的に位置決めする（ピント調整を行う）（第１工程）。
【０１１６】
その後、鏡筒３０と撮像素子５２（受光回路部５０）との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４３を、鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡すように配置する（図１６参照）（第２工程）。実施例３では、各中間保持部材５４３の鏡筒側壁部５４３ａの鏡筒側当接部５４３ｄ（その先端部）は、実施例１の鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と同様に、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる（図１６等参照）。また、各中間保持部材５４３の基板側壁部５４３ｂの受光側当接部５４３ｆ（その先端部）は、実施例１の受光側当接部５４ｆ（その先端部）と同様に、基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がわれる（図１６等参照）。
【０１１７】
この後、鏡筒３０が固定された取付壁部１１を固定的に保持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の基板５１（受光回路部５０）を固定的に保持し、かつ各中間保持部材５４３を鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４３を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法を行う（図１３参照）（第３、第４工程）。これにより、鏡筒３０と基板５１とは、固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４３を介して互いに結合される（図１４および図１７等参照）。
【０１１８】
実施例３では、上述した各中間保持部材５４３を用いた超音波溶着工法の後に、実施例１と同様に、熱硬化型の接着剤により接着層Ｃを形成して充填接着工法を行う（図１９等参照）。この接着層Ｃは、鏡筒３０の後端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設け、基板５１の表面５１ａ上において、少なくとも撮像素子５２の受光面５２ａの有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないように当該撮像素子５２を取り囲むものとされている。
【０１１９】
実施例３の撮像装置１０３では、基本的に実施例１の撮像装置１０と同様の構成であることから、基本的に実施例１と同様の効果を得ることができる。
【０１２０】
それに加えて、実施例３の撮像装置１０３では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４３において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる鏡筒側当接部５４３ｄと、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれる受光側当接部５４３ｆと、が、平坦面（取付壁面５４３ｃまたは取付壁面５４３ｅ）から突出された半球形状を呈していることから、振動子５７からホーン５５を介して伝達される超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをさらに狭小な範囲（略一点）に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部５４３ｄと外周面部３２ａとを固定することができるとともに、受光側当接部５４３ｆと表面５１ａとを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【０１２１】
また、実施例３の撮像装置１０３では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４３において、鏡筒側当接部５４３ｄを外周面部３２ａに点接触させることができるとともに、受光側当接部５４３ｆを表面５１ａに点接触させることができることから、超音波溶着工法の際に各中間保持部材５４３に付与する押圧力の方向の自由度を向上させることができる。換言すると、各中間保持部材５４３に付与する押圧力の方向が、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）への当接箇所の中心位置へと向かう方向に対して傾斜されているものであっても、超音波溶着工法を行う観点から当該各中間保持部材５４３を鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に適切に圧接させることができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。また、超音波溶着工法を行う観点からの取付壁部１１および鏡筒３０のレイアウトの自由度を向上させることができ、かつ超音波溶着工法を行うための工具（装置）のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【０１２２】
したがって、実施例３の撮像装置１０３では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを位置決め固定することができる。
【０１２３】
なお、上記した実施例３では、各中間保持部材５４３の基板側壁部５４３ｂの受光側当接部５４３ｆ（その先端部）が、基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がわれていたが、実施例２のように撮像素子（５２２）の受光面（５２２ａ）における有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域に宛がわれるものであってもよく、上記した実施例３に限定されるものではない。
【０１２４】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としての撮像装置１０、撮像装置１０２および撮像装置１０３について説明したが、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有する撮像装置であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２５】
また、上記した各実施例では、溶着構造の形成のために中間保持部材５４（５４３）を用いた超音波溶着工法を採用していたが、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄ（５４３ｄ）および受光側当接部５４ｆ（５４３ｆ）すなわち中間保持部材５４（５４３）の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４が変位（移動）することで吸収することにより位置関係を許容範囲内で維持することができれば、他の溶着方法を採用して形成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。ここでいう許容範囲とは、位置ずれした撮像素子５２（その受光面５２ａ）において適切な画像を取得することが可能であることを言い、例えば、撮像素子５２（その受光面５２ａ）に生じる撮影光軸Ｏ方向の位置ずれ量が光学素子群４０における焦点深度内であることを言う。
【０１２６】
さらに、上記した各実施例では、受光回路部５０（５０２）と鏡筒３０とを結合する構造が、溶着構造と充填接着構造とにより形成されていたが、溶着構造により十分な結合強度が得られれば、充填接着構造（接着層Ｃ）を設けなくてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２７】
上記した各実施例では、超音波溶着工法においてＬ字状の各中間保持部材５４（５４３）を用いていたが、超音波溶着工法で用いる中間保持部材は、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａへの鏡筒側当接部（５４ｄ等）を形成することができるとともに、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２２の受光面５２２ａ）への受光側当接部（５４ｆ等）を形成することができるものであれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２８】
上記した各実施例では、溶着構造に用いる中間保持部材として、鏡筒３０（その縮径部３２の外周面部３２ａ）に対向される鏡筒側対向面（取付壁面５４ｃ）と、受光回路部５０、５０２（その基板５１の表面５１ａもしくは撮像素子５２２の受光面５２２ａ）に対向される受光側対向面（取付壁面５４ｅ）と、が直交するものとされていたが、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するものであれば、例えば、長尺な板状部材の同一面における両端位置に鏡筒側対向面と受光側対向面とを形成するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、受光側対向面は、受光側当接部（５４ｆ等）を介して基板５１もしくは撮像素子５２（５２２）の側面に当接（溶着）すればよい。
【０１２９】
上記した各実施例では、超音波溶着工法において、各中間保持部材５４（５４３）の鏡筒側当接部（５４ｄ等）および受光側当接部（５４ｆ等）のみを軟化（溶融）させるものとしていたが、光学機能（電気回路としての機能）が失われない範囲であれば、それらが当接される鏡筒当接箇所（上記した各実施例では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａ）や受光当接箇所（上記した各実施例では、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａまたは撮像素子５２２の受光面５２２ａ）を軟化（溶融）させてもよく、鏡筒側当接部（５４ｄ等）および受光側当接部（５４ｆ等）と鏡筒当接箇所および受光当接箇所とを併せて軟化（溶融）させてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。このように宛がわれる双方を軟化（溶融）させる構成とすると、より強固に位置決め固定することができる。なお、超音波溶着工法では、それらの軟化（溶融）する箇所を、その当接面に沿う極めて薄いものとすることができるので、鏡筒当接箇所や受光当接箇所を軟化（溶融）させた場合であっても、鏡筒３０や受光回路部５０（基板５１または撮像素子５２２）における光学的な性能に影響が及ぶことを防止することができる。
【０１３０】
上記した各実施例では、充填接着工法における接着層Ｃの形成のために熱硬化型の接着剤を用いていたが、超音波溶着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、紫外線硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３１】
上記した各実施例では、充填接着構造における接着層Ｃ（補強接着層）が、鏡筒３０と基板５１（撮像素子５２２）との間で各中間保持部材５４の内側を通過して環状を呈するものとされていたが、各中間保持部材５４の外側を取り巻くものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、接着層Ｃの形成のための接着剤の塗布（注入）作業を容易なものとすることができる。また、補強接着層は、溶着構造により鏡筒３０と受光回路部５０（５０２）との位置決め固定された結合強度を高めるべく補強するものであれば、撮影光軸Ｏ回り方向で見て部分的に設けるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３２】
上記した各実施例では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないもの（第１空間Ｐ１が形成されているもの）とされていたが、撮像装置１０の位置決め固定の作業を可能とする、すなわち超音波溶着工法のための中間保持部材の配置や、充填接着工法のための接着剤の塗布（注入）や、紫外線硬化型の接着剤を用いた際の紫外線の照射等を可能とするものであれば、例えば、撮影光軸Ｏ回りの角度で見て一部の角度領域のみが開放されているものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。すなわち、第１空間Ｐ１は、撮影光軸Ｏ回りで見て全周に渡って形成されている必要はない。
【０１３３】
上記した各実施例では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合される鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、鏡筒３０と取付壁部１１とが固定されていたが、小型化の妨げとなることなく光学素子から撮像素子に至る封止性能の確保を容易なものとする観点からは、鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により取付壁部に対して撮影光軸Ｏ方向に鏡筒（その一端部）を押圧させて固定するものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３４】
上記した各実施例では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面に４つの平坦面部３７が形成されていたが、取付壁部１１に対する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ回りの回転操作、すなわち鏡筒３０の取付壁部１１への固定することを容易なものとすべく鏡筒３０の保持を容易とする保持部が形成されていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３５】
上記した各実施例では、光学素子群４０がレンズ４１、レンズ４２、レンズ４３、絞り４４、レンズ４５、レンズ４６およびレンズ４７により構成されていたが、画像取得のために任意の位置に結像させるものであって少なくとも１つ以上の光学素子を有するものであり、上述した構成の鏡筒３０に保持されているものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３６】
以上、本発明の撮像装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【０１３７】
１０、１０２、１０３ 撮像装置
３０ 鏡筒
３２ａ （鏡筒当接箇所としての）外周面部
４０ 光学素子群
５０、５０２ 受光回路部
５１ （駆動基板としての）基板
５１ａ （受光当接箇所としての）表面
５２、５２２ 撮像素子
５２２ａ （受光当接箇所としての）受光面
５４、５４３ 中間保持部材
５４ｃ、５４３ｃ （鏡筒側対向面としての）取付壁面
５４ｄ、５４３ｄ 鏡筒側当接部
５４ｅ、５４３ｅ （受光側対向面としての）取付壁面
５４ｆ、５４３ｆ 受光側当接部
Ｃ （補強接着層としての）接着層
【先行技術文献】
【特許文献】
【０１３８】
【特許文献１】特開２００５−１０１７１１号公報
【特許文献２】特開２００５−２１７５００号公報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等や、画像読取装置のような画像（画像データ）を取り込む装置に用いられる撮像装置に関し、特に、車載カメラに好適な撮像装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、撮像用のレンズ等の光学素子と、ＣＣＤ（Ｃｈａｒｇｅ Ｃｏｕｐｌｅｄ Ｄｅｖｉｃｅ）やＣＭＯＳ（Ｃｏｍｐｌｅｍｅｎｔａｒｙ Ｍｅｔａｌ Ｏｘｉｄｅ Ｓｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒ）等の撮像素子と、を有する撮像装置が、車載カメラやデジタルカメラ、デジタルビデオ等に広く適用されている。撮像装置は、一般に、光学素子（レンズ）の結像位置が撮像素子（その受光面）上となるように位置決めした状態で、筐体に収められて構成されている。
【０００３】
この位置決め固定の方法として、レンズを保持するレンズ保持部が、撮像素子を有する基板に接合されたフレーム部（特許文献１では鏡筒４と記載されている）の内周面のねじに螺合されるように構成された撮像装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。この従来の撮像装置では、レンズ保持部とフレーム部とを相対的に回転させてレンズと撮像素子との撮影光軸方向での間隔を調整し、そのレンズと撮像素子との位置決め（ピント調整）が為された状態でレンズ保持部とフレーム部とを溶着することにより、より強固に位置決め固定することができるので、より安定した光学性能を得ることができる。
【０００４】
また、撮像装置では、取付基台に設けたＶ溝に円筒状のレンズを嵌合して固定するとともに、その取付基台の凹部に設けた筒状部材の３つの凸部の先端部に固体撮像素子のパッケージを押し当てて、当該先端部とパッケージにおける接触箇所とを溶融させつつレンズに対する固体撮像素子の調整を行い、位置決めが為された状態で溶融箇所を固化させることにより、より強固に位置決め固定するものが提案されている（例えば、特許文献２参照）。この撮像装置では、撮影光軸方向での間隔の他に、撮影光軸に直交する方向での位置関係や撮影光軸方向に対する相対的な傾斜を調整することができるので、より高い調整精度を得るとともに、より安定した光学性能を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、特許文献１の撮像装置では、レンズを保持するレンズ保持部と、基板に接合されたフレーム部と、を溶融して固定するものであることから、位置決めしたレンズと撮像素子との位置関係が溶融に起因して崩れてしまう虞がある。
【０００６】
また、特許文献２の撮像装置でも、レンズが固定される取付基台の凹部に固定された筒状部材と、固定撮像素子（そのパッケージ）と、を溶融して固定するものであることから、位置決めしたレンズと固定撮像素子との位置関係が溶融に起因して崩れてしまう虞がある。
【０００７】
このため、上記した従来の撮像装置では、いずれも、調整精度が低下した状態で位置決め固定されて、適切な光学性能を得ることができなくなる虞がある。
【０００８】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、より高い調整精度で光学的に位置決め固定することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１に記載の撮像装置は、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有することを特徴とする。
【００１０】
請求項２に記載の撮像装置は、請求項１に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることを特徴とする。
【００１１】
請求項３に記載の撮像装置は、請求項１または請求項２に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることを特徴とする。
【００１２】
請求項４に記載の撮像装置は、請求項３に記載の撮像装置であって、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することを特徴とする。
【００１３】
請求項５に記載の撮像装置は、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の撮像装置であって、さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることを特徴とする。
【００１４】
請求項６に記載の撮像装置は、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置であって、前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることを特徴とする。
【００１５】
請求項７に記載の撮像装置は、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置であって、前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることを特徴とする。
【００１６】
請求項８に記載の車載カメラは、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする。
【００１７】
請求項９に記載の位置決め固定方法は、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有することを特徴とする。
【００１８】
請求項１０に記載の位置決め固定方法は、請求項９に記載の位置決め固定方法であって、前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１に記載の撮像装置では、鏡筒と受光回路部とを結合する溶着構造において、中間保持部材を用いていることから、軟化（溶融）による中間保持部材または鏡筒当接箇所および受光当接箇所の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒および受光回路部に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材が変位（移動）することで吸収させることができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と受光回路部とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００２０】
また、本発明の撮像装置では、固定した鏡筒と受光回路部とを溶着により結合するものであることから、より強固に位置決め固定することができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱にも耐えることができ、安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。
【００２１】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることとすると、より強固に位置決め固定することができる。
【００２２】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることとすると、超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをより狭小な範囲に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部と鏡筒当接箇所とを固定することができるとともに、受光側当接部と受光当接箇所とを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【００２３】
上記した構成に加えて、前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することとすると、超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをさらに狭小な範囲（略一点）に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部と鏡筒当接箇所とを固定することができるとともに、受光側当接部と受光当接箇所とを固定することができる。
【００２４】
また、中間保持部材において、鏡筒側当接部を鏡筒当接箇所に点接触させることができるとともに、受光側当接部を受光当接箇所に点接触させることができることから、超音波溶着工法の際に中間保持部材に付与する押圧力の方向の自由度を向上させることができるとともに、超音波溶着工法を行う観点からの鏡筒のレイアウトの自由度を向上させることができ、かつ超音波溶着工法を行うための工具（装置）のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【００２５】
上記した構成に加えて、さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることとすると、光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持しつつより強固に鏡筒と受光回路部とを結合することができる。
【００２６】
上記した構成に加えて、前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることとすると、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と駆動基板とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００２７】
上記した構成に加えて、前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることとすると、鏡筒と撮像素子との結合のための部材を減らすことができることから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
【００２８】
上記した構成の撮像装置を用いる車載カメラでは、より高い調整精度で光学的に位置決め固定されて適切な光学性能を得ることができるものとすることができることから、適切に運転者による視認を支援することができる。
【００２９】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有する位置決め固定方法では、第３工程および第４工程により、鏡筒当接箇所または鏡筒側当接部と受光当接箇所または受光側当接部とを同時に軟化させつつ押圧した後に同時に硬化させることから、その軟化による中間保持部材または鏡筒当接箇所および受光当接箇所の形状変化の影響を、鏡筒および受光回路部に対して接近する方向（押圧方向）へと当該中間保持部材を変位（移動）させることで吸収することができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒と受光回路部とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００３０】
上記した構成に加えて、前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することとすると、より強固に位置決め固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明に係る撮像装置１０の外観形状を模式的に示す斜視図である。
【図２】図１の撮像装置１０を、撮影光軸Ｏを含む面で破断して示す説明図である。
【図３】取付壁部１１の構成を説明するための模式的な断面図である。
【図４】鏡筒３０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図５】鏡筒３０の構成を説明するために、その後端側（内縁突起部３９側）から見た模式的な斜視図である。
【図６】図５のＩ−Ｉ線に沿って得られた模式的な断面図である。
【図７】撮像光学系２０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図８】撮像光学系２０の構成を説明するために、鏡筒３０の後端側（内縁突起部３９側）から見た模式的な斜視図である。
【図９】受光回路部５０の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図１０】中間保持部材５４の構成を説明するための模式的な斜視図である。
【図１１】ホーン５５で中間保持部材５４を吸着保持した様子を模式的な側面で示す説明図である。
【図１２】超音波溶着工法において、相対的に固定された基板５１と鏡筒３０とに対して、中間保持部材５４を宛がう様子を説明するために部分的に拡大して示す模式的な断面図である。
【図１３】中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法において、超音波振動と押圧力とを付与する様子を説明するための図１２と同様の断面図である。
【図１４】中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法により、基板５１と鏡筒３０とを位置決め固定した様子を説明するための図１２と同様の断面図である。
【図１５】撮像装置１０の暫定的な組付けの様子を説明するために、各部材に分解して示す模式的な断面図である。
【図１６】撮像装置１０の位置決め固定の様子を説明するための模式的な断面図である。
【図１７】超音波溶着工法により基板５１が鏡筒３０に結合された様子を示す模式的な斜視図である。
【図１８】超音波溶着工法により基板５１が鏡筒３０に結合された様子を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図１９】位置決め固定された撮像装置１０を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２０】位置決め固定された撮像装置１０を部分的に破断して示す模式的な側面図である。
【図２１】位置決め固定された撮像装置１０を示す模式的な斜視図である。
【図２２】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２３】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図１９と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
【図２４】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２０と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。
【図２５】実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２１と同様の模式的な斜視図である。
【図２６】実施例３に係る撮像装置１０３の溶着構造に用いる中間保持部材５４３の構成を説明するための図１０と同様の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００３２】
以下に、本願発明に係る撮像装置の発明の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例１】
【００３３】
本発明に係る撮像装置の一例としての実施例１の撮像装置１０を、図１から図２１を用いて説明する。
【００３４】
撮像装置１０は、図１および図２に示すように、取付壁部１１に、撮像光学系２０（図１では、その後述する対物レンズ（レンズ４１）および抜止部材２２の前端部のみが露見している）と、受光回路部５０と、が取り付けられて構成されている。
【００３５】
取付壁部１１は、少なくとも撮像光学系２０の対物レンズ（この例ではレンズ４１）すなわち鏡筒３０の一端部の撮影光軸Ｏに直交する方向（以下では、径方向ともいう）で見た周囲を取り囲む外表面Ｓを形成するものであり、撮像装置１０の所望の箇所への取り付けを可能とするものである。この取付壁部１１は、実施例１では、撮影光軸Ｏ方向から見た正面形状が矩形状であって全体に直方体形状を呈し、筐体１２の前側（被写体側）部分（前側筐体部）を構成するものとされている。このため、取付壁部１１は、筐体１２の後側を構成する後側筐体部１３への取り付けが可能とされている。この取付壁部１１は、図示は略すが、封止部材（例えば、Ｏリングや平パッキン等）を介在させた状態で、後端面１１ａを後側筐体部１３の前端面１３ａに付き合わされてネジ止め等で結合されることにより、互いの結合箇所における防水機能や防塵機能（以下、封止性能という）を有する筐体１２を形成する。この取付壁部１１の撮影光軸Ｏ方向で見た大きさ寸法は、後述するように鏡筒３０の縮径部３２（図４等参照）との位置関係により設定されている。
【００３６】
取付壁部１１には、図３に示すように、撮像光学系２０の後述する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ方向での挿通が可能とされた円柱状の挿通孔１１ｂが設けられている。この挿通孔１１ｂでは、撮影光軸Ｏ方向で見た後側（後側筐体部１３側）に、内周壁面から内方へと突出する環状を呈し、その突出端部が撮影光軸Ｏ方向の後側（後側筐体部１３側）へと延在する内方突出部１１ｃが設けられている。
【００３７】
この内方突出部１１ｃでは、前側（被写体側）の内壁面が撮影光軸Ｏを中心とする滑らかな円周面である位置決め面１１ｄとされている。この位置決め面１１ｄは、鏡筒３０の後述する位置決め部３５（図５等参照）と嵌合（内接）可能な内径寸法とされている。また、内方突出部１１ｃでは、位置決め面１１ｄと隣接する後側（後側筐体部１３側）の内壁面が、撮影光軸Ｏを中心としつつ位置決め面１１ｄよりも小さな内径寸法とされており、撮影光軸Ｏを取り巻くようにネジ溝１１ｅが設けられている。このネジ溝１１ｅは、鏡筒３０の後述するネジ溝３６（図５等参照）と螺合可能とされている。挿通孔１１ｂでは、内方突出部１１ｃが設けられることにより、前側（被写体側）が相対的に径寸法（径方向で見た撮影光軸Ｏを基準とする内径寸法）の大きい拡孔部１１ｆとされ、かつ後側（後側筐体部１３側）が拡孔部１１ｆよりも径寸法の小さな縮孔部１１ｇとされている。すなわち、挿通孔１１ｂは、内方突出部１１ｃが設けられることにより、取付壁部１１において、前側（被写体側）から見て同心状の２つの円形状を呈する段付きの貫通孔を形成している。この挿通孔１１ｂは、取付壁部１１において、位置決め面１１ｄにより後述する径方向位置決め部を形成し、かつ内方突出部１１ｃの前側面１１ｈとネジ溝１１ｅとの協働により後述する撮影光軸方向位置決め部を形成するように設定されている。この前側面１１ｈは、撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面とされている。
【００３８】
後側筐体部１３は、図１および図２に示すように、一端開放の箱形状を呈し、取付壁部１１との協働により、撮像光学系２０および受光回路部５０（撮像素子５２）を収容する筐体１２を形成する。この後側筐体部１３は、取付壁部１１の後端面１１ａの後方において、撮像光学系２０と、その鏡筒３０に結合された受光回路部５０と、を収容可能な大きさ寸法（深さ寸法）とされている。これは、後述するように、撮影光軸Ｏ方向で見た取付壁部１１における大きさ寸法が鏡筒３０の縮径部３２との位置関係により制限されていることによる。
【００３９】
後側筐体部１３には、後端側に、撮像装置１０を含む筐体１２を所望の場所に取り付けるための２つの取付突起１３ｂが設けられている。実施例１では、両取付突起１３ｂは、図示は略すがネジ穴が設けられたボス部とされている。また、後側筐体部１３には、後述する受光回路部５０（後述する電子部品５３）へと電力を供給したり、受光回路部５０に実装される後述する撮像素子５２で取得した画像データを伝送したりするための電線（ワイヤーハーネス）１４が設けられている。この電線１４は、外部との封止性能を有した状態で受光回路部５０への接続を可能とされている。この封止性能を有する構成としては、後側筐体部１３に接続穴（図示せず）を設け、そこに電線１４を挿通するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、電線１４（その被覆部材）を後側筐体部１３と一体的に形成することがあげられる。なお、この電線１４は、取付壁部１１に後側筐体部１３を取り付けない場合には、受光回路部５０に直接接続する。この後側筐体部１３との結合が可能とされた取付壁部１１に撮像光学系２０が取り付けられる。
【００４０】
この撮像光学系２０は、鏡筒３０に光学素子群４０が保持されて構成されている。この鏡筒３０は、光学素子群４０を内方で保持すべく筒状を呈し、図４から図６に示すように、外観形状が、前側（被写体側）となる一端側が相対的に径寸法（径方向で見た撮影光軸Ｏを基準とする外径寸法）の大きい拡径部３１とされ、かつ後側となる他端側が拡径部３１よりも径寸法の小さな縮径部３２とされている。この拡径部３１は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの拡孔部１１ｆへの挿通が可能であり、かつ当該挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇへと挿通することのできない外径寸法とされている。また、縮径部３２は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇへの挿通が可能な外径寸法とされている。
【００４１】
この鏡筒３０では、拡径部３１の外周面にネジ溝３３と、拡径部３１と縮径部３２との外径寸法の差異により形成された撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面３４と、縮径部３２の外周面において直交面３４の隣接位置に設けられた位置決め部３５と、縮径部３２の外周面において位置決め部３５の隣接位置に設けられた鏡筒側ネジ溝としてのネジ溝３６と、縮径部３２の外周面で撮影光軸Ｏ周りに点在する複数の平坦面部３７と、が設けられている。
【００４２】
ネジ溝３３は、後述する抜止部材２２に設けられたネジ溝２２ａ（図７等参照）と螺合可能とされている。直交面３４は、鏡筒３０の拡径部３１を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの拡孔部１１ｆ内に位置させると、その挿通孔１１ｂの前側面１１ｈと面当接可能な位置関係とされている。
【００４３】
位置決め部３５は、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させると、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）の位置決め面１１ｄに内接可能な面形状とされている（図２等参照）。すなわち、位置決め部３５は、位置決め面１１ｄと当接することにより、取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において、鏡筒３０の径方向での位置決めをすることができる。このため、この位置決め部３５と取付壁部１１の位置決め面１１ｄとは、取付壁部１１に対する鏡筒３０（撮像光学系２０）の径方向での位置決めを行う径方向位置決め部として機能する。特に、実施例１では、位置決め部３５と位置決め面１１ｄとが、撮影光軸Ｏを中心とし当該撮影光軸Ｏ方向に延在する曲面で当接する構成であることから、径方向位置決め部により、取付壁部１１（挿通孔１１ｂ）における中心軸線と、鏡筒３０（保持孔３８）における中心軸線と、を一致させることができる。
【００４４】
ネジ溝３６は、取付壁部１１の内方突出部１１ｃのネジ溝１１ｅに螺合可能とされている。このため、鏡筒３０は、その縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させて、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅにネジ溝３６を螺合させることにより、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、取付壁部１１に取り付けることができる。このとき、鏡筒３０を相対的に回動させると、ネジ溝１１ｅとネジ溝３６との作用により、鏡筒３０が取付壁部１１に対して後側（受光回路部５０が装着される他端側）へと移動し、鏡筒３０の直交面３４と取付壁部１１の挿通孔１１ｂの前側面１１ｈとが圧接し、撮影光軸Ｏ方向での相対的な位置を決めて鏡筒３０と取付壁部１１とを固定することができる。このため、鏡筒３０の直交面３４と取付壁部１１の挿通孔１１ｂの前側面１１ｈとは、取付壁部１１に対する鏡筒３０（撮像光学系２０）の撮影光軸Ｏ方向での位置決めを行う撮影光軸方向位置決め部として機能する。また、取付壁部１１の挿通孔１１ｂのネジ溝１１ｅは、上述した径方向位置決め部の位置決め面１１ｄと協働して、鏡筒３０の一端部（この例では直交面３４）を撮影光軸Ｏ方向で取付壁部１１（この例では前側面１１ｈ）に押圧しつつ取付壁部１１に鏡筒３０を固定する螺合固定手段として機能する。
【００４５】
複数の平坦面部３７は、縮径部３２の外周面において、撮影光軸Ｏ方向でネジ溝３６に隣接して設けられており、撮影光軸Ｏ方向で見て、所定の長さ寸法で延在されているとともに鏡筒３０の後端（他端）部との間に所定の間隔を置くものとされている。この所定の長さ寸法とは、上述したように鏡筒３０を取付壁部１１に固定する際に、当該鏡筒３０を相対的に回転させるために、鏡筒３０の狭持を容易なものとする観点で設定されている。このため、平坦面部３７は、取付壁部１１の挿通孔１１ｂに対して鏡筒３０を内縁突起部３９側（他端側）から挿入し、挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、の螺合量を調整する際、鏡筒３０の狭持のための接触が可能とされた保持部として機能する。また、後端部との間の所定の間隔とは、後述する中間保持部材５４（その鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（図１０参照））の溶着による固定を可能とする長さ寸法を確保できることをいう。このため、縮径部３２では、撮影光軸Ｏ方向で見て各平坦面部３７よりも後端側に位置する外周面部３２ａが、後述する中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａとの対向面（鏡筒当接箇所）となる。実施例１では、平坦面部３７は、縮径部３２の周方向で見て等しい間隔で４箇所に設けられており、径方向（撮影光軸Ｏに直交する方向）からの狭持を容易とすべく径方向で対を為している。
【００４６】
この鏡筒３０では、光学素子群４０の保持ために、中心位置を撮影光軸Ｏ方向に沿って貫通する保持孔３８が設けられている。この保持孔３８は、前側（被写体側）の後述する光学素子群４０としてのレンズ４１の嵌合が可能な大内径部３８ａと、そこと隣接し大内径部３８ａよりも小さな内径寸法の中内径部３８ｂと、そこと隣接し中内径部３８ｂよりも小さな内径寸法の小内径部３８ｃと、を有する。この大内径部３８ａでは、中内径部３８ｂ側に撮影光軸Ｏ方向に直交する直交面３８ｄが設けられており、この直交面３８ｄには、後述するレンズ４１の後面を支持すべく中内径部３８ｂと等しい内径寸法とされた環状を呈する環状突起部３８ｅが設けられている。小内径部３８ｃの後側（後述する撮像素子５２側）すなわち鏡筒３０の後端（他端）には、嵌合された後述する光学素子群４０としてのレンズ４７の脱落を防止するための内縁突起部３９が設けられている。この鏡筒３０の保持孔３８に光学素子群４０が収容される。
【００４７】
光学素子群４０は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも１つ以上の光学素子を有し、撮像装置１０（撮像光学系２０）において求められる光学性能に応じて適宜構成される。この光学素子群４０は、図７および図８に示すように、実施例１では、被写体（物体）側から順に、レンズ４１、レンズ４２、レンズ４３、絞り４４、レンズ４５、レンズ４６およびレンズ４７を有する。レンズ４１は、鏡筒３０の保持孔３８の大内径部３８ａに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ４２、レンズ４３および絞り４４は、鏡筒３０の保持孔３８の中内径部３８ｂに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ４６およびレンズ４７は、鏡筒３０の保持孔３８の小内径部３８ｃに嵌合可能な外径寸法とされている。この光学素子群４０は、大内径部３８ａ側の開口から、レンズ４７、レンズ４６、レンズ４５、絞り４４、レンズ４３、レンズ４２およびレンズ４１の順に、鏡筒３０の保持孔３８へと挿入される。ここで、実施例１では、レンズ４２の次にレンズ４１を保持孔３８へと挿入する際、先ず、保持孔３８の大内径部３８ａの直交面３８ｄにおいて、環状突起部３８ｅを取り巻くようにＯリング２１を配置し、そのＯリング２１および環状突起部３８ｅに後面を宛がいつつ当該後面が直交面３８ｄと対向するように、レンズ４１を保持孔３８へと挿入する。
【００４８】
この保持孔３８に挿入された光学素子群４０は、抜止部材２２により、大内径部３８ａ側の開口から脱落することが防止される。この抜止部材２２は、鏡筒３０の拡径部３１の外周面を取り巻くことが可能な大きさ寸法とされた筒状を呈し、前端部（被写体側の端部）がレンズ４１の前面の周縁部（有効エリアの外側位置）に外方（前側）から当接可能な径寸法とされている。抜止部材２２の内周面の後端側には、鏡筒３０の拡径部３１に設けられたネジ溝３３と螺合可能なネジ溝２２ａが設けられている。この抜止部材２２は、保持孔３８に光学素子群４０が適切に挿入された状態において、拡径部３１を覆うようにネジ溝２２ａがネジ溝３３に螺合されることにより、レンズ４１を鏡筒３０の後側（後述する撮像素子５２側）へと押圧する。このため、光学素子群４０は、鏡筒３０の保持孔３８において内縁突起部３９側へと押圧され、レンズ４７が内縁突起部３９へと押し当てられて、当該保持孔３８内で撮影光軸Ｏ方向に位置決めされる。これにより、光学素子群４０が、鏡筒３０内において撮影光軸Ｏ上で適切な位置に整列されることとなり、所望の光学性能を有する撮像光学系２０が組み付けられる。このとき、レンズ４１の後面と保持孔３８の大内径部３８ａの直交面３８ｄとの間に配置されたＯリング２１が、適切に圧縮される、すなわちレンズ４１の後面に圧接されるとともに直交面３８ｄに圧接される。このため、撮像光学系２０では、適切に圧縮されたＯリング２１により、レンズ４１の周囲から鏡筒３０の内方（保持孔３８の中内径部３８ｂおよび小内径部３８ｃ）への水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。このように、撮像光学系２０では、鏡筒３０により封止的に光学素子群４０（その対物レンズとなるレンズ４１）が保持され、所望の光学性能を有している。なお、実施例１では、光学素子群４０（鏡筒３０）の中心軸位置となる各レンズ４１〜４７（絞り４４を含む）の回転対称軸（撮像素子５２で取得される画像における中心位置）を、撮像光学系２０の撮影光軸Ｏとしている。この撮像光学系２０の光学素子群４０の結像位置に、受光回路部５０が配置される。
【００４９】
受光回路部５０は、図９に示すように、基板５１に撮像素子５２と電子部品５３とが実装されて構成されている。撮像素子５２は、ＣＣＤイメージセンサやＣＭＯＳイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮像光学系２０（光学素子群４０）を通して受光面５２ａ上に結像された被写体像を電気信号（画像データ）に変換して出力する。電子部品５３は、撮像素子５２における動作の制御や撮像素子５２から出力された電気信号に基づく被写体像に対応したデジタル画像の生成等を行う電子回路を構成すべく基板５１に実装されている。このため、基板５１は、撮像素子５２の駆動制御する駆動基板として機能する。この受光回路部５０は、撮像光学系２０を通過した光を受光することで、当該撮像光学系２０により結像された被写体像の画像を生成する。
【００５０】
この受光回路部５０は、溶着構造により鏡筒３０に結合される（図２等参照）。この溶着構造は、実施例１では、中間保持部材５４を用いる超音波溶着工法により形成されている（図２、図１７および図１８等参照）。この中間保持部材５４は、撮像光学系２０（光学素子群４０）の結像位置を撮像素子５２の受光面５２ａ上とすべく、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するための溶着構造を構成する。
【００５１】
中間保持部材５４は、図１０に示すように、熱可塑性の部材から形成され、細長い直方体の部材が屈曲されて全体にＬ字状を呈しており、鏡筒側壁部５４ａと基板側壁部５４ｂとを有する。この中間保持部材５４では、鏡筒側壁部５４ａの取付壁面５４ｃ（屈曲されたされた側とは反対側の面）に鏡筒側当接部５４ｄが設けられ、基板側壁部５４ｂの取付壁面５４ｅに受光側当接部５４ｆが設けられている。この鏡筒側当接部５４ｄは、平坦な取付壁面５４ｃから突出された方形状を呈し、受光側当接部５４ｆは、平坦な取付壁面５４ｅから突出された方形状を呈する。この鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆは、実施例１では、鏡筒側壁部５４ａおよび基板側壁部５４ｂと一体成形により形成されている。中間保持部材５４では、超音波溶着工法の際、鏡筒側壁部５４ａの取付壁面５４ｃが、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに対向される鏡筒側対向面を形成し、その外周面部３２ａに鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）が当接される。また、中間保持部材５４では、超音波溶着工法の際、基板側壁部５４ｂの取付壁面５４ｅが、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に対向される受光側対向面を形成し、その表面５１ａに受光側当接部５４ｆ（その先端面）が当接される。このため、実施例１では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａが鏡筒当接箇所として機能し、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）が受光当接箇所として機能する。
【００５２】
この中間保持部材５４は、図１１に示すように、ホーン５５により吸着保持可能とされている。このホーン５５は、後述する超音波溶着のために用いられる伝達部材であり、実施例１では、長尺な棒状部材の先端（５５ａ、５５ｂ）が二股に分岐された形状を呈している。ホーン５５は、一方の先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇ（屈曲されたされた側の面）に面当接可能とされ、かつ他方の先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接可能とされている。
【００５３】
また、ホーン５５の内方には、貫通孔からなる吸引孔５６が設けられている。この吸引孔５６は、先端面５５ａおよび先端面５５ｂへ向けて延在するとともに後端へ向けて延在してホーン５５の外形形状に倣う形状の貫通孔とされている。この吸引孔５６は、先端側の一端がホーン５５の先端面５５ａを開放する吸着口５６ａを形成し、先端側の他端がホーン５５の先端面５５ｂを開放する吸着口５６ｂを形成している。また、吸引孔５６には、後端近傍にホーン５５における後端側の外周面を開放する吸引口５６ｃが設けられている。
【００５４】
このホーン５５では、先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇに面当接され、かつ先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接された状態で、図示を略す吸引機構で吸引口５６ｃから吸引孔５６（その内方空間）を真空引きすることにより、中間保持部材５４を吸着保持することができる。また、ホーン５５では、先端面５５ａが中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの保持側壁面５４ｇに面当接可能であり、かつ先端面５５ｂが中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの保持側壁面５４ｈに面当接可能であることから、中間保持部材５４を押圧することが可能とされている。
【００５５】
次に、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との結合について説明する。実施例１の撮像装置１０では、光学素子群４０と撮像素子５２との相対的な位置関係の変化を防止するために、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との結合に、中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法を採用している。
【００５６】
この超音波溶着工法では、用いる中間保持部材５４を、後述するように位置決めされた鏡筒３０（その鏡筒当接箇所）と受光回路部５０（その受光当接箇所）の位置関係に応じた大きさ寸法に設定する。この位置関係に応じた大きさ寸法とは、鏡筒３０と受光回路部５０とが位置決め固定された状態において、鏡筒側壁部５４ａを鏡筒３０の鏡筒当接箇所（実施例１では縮径部３２の外周面部３２ａ）に対向させつつ、基板側壁部５４ｂを受光回路部５０の受光当接箇所（実施例１では基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面））に対向させることが可能であることをいう。なお、図示の例では、超音波溶着される前後で、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆが軟化（溶融）された後に硬化されることにより、その高さ寸法（突出方向で見た厚さ寸法）が低減しているが、この軟化（溶融）された後に硬化されることによる中間保持部材５４の変形の態様を理解容易のために強調して示しており、実際の超音波溶着の際の態様とは必ずしも一致するものではない。
【００５７】
超音波溶着工法では、図１２に示すように、位置決め固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して、鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がう（当接させる）とともに、基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆ（その先端面）を基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がって（当接させて）、鏡筒３０と受光回路部５０とを架け渡すように中間保持部材５４を配置する。この中間保持部材５４は、実施例１では、ホーン５５により吸着保持して配置する。その後、図１３に示すように、鏡筒３０および受光回路部５０の相対的な位置関係を固定しつつ、中間保持部材５４に当接されたホーン５５に振動子５７を当接させる。この振動子５７は、圧電素子（ピエゾ素子）等から構成され、図示を略す発振器から出力された電気信号（例えば、交流の電圧）を機械的な超音波振動（振動エネルギー）に変換するものである。また、ホーン５５は、振動子５７の超音波振動（振動エネルギー）を中間保持部材５４に伝達するものである。この鏡筒３０および受光回路部５０の相対的な位置関係を固定した状態で、ホーン５５を介して振動子５７からの超音波振動を中間保持部材５４に伝達しつつ、その中間保持部材５４を鏡筒３０および受光回路部５０に向けて押圧することにより、鏡筒３０への当接箇所となる鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と、受光回路部５０への当接箇所となる受光側当接部５４ｆ（その先端面）と、を同時に軟化（溶融）させる（図１４参照）（第３工程）。この押圧は、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の外周面部３２ａに圧接させるとともに、受光側当接部５４ｆ（その先端面）を受光回路部５０の基板５１（その表面５１ａ）に圧接させるように行う。その押圧方向は、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）への当接箇所の中心位置へと向かう方向に近いものであることが望ましい。
【００５８】
その後、その位置関係が相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０への押圧状態を維持したままで超音波振動の供給を停止することにより、図１４に示すように、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）における軟化（溶融）した個所を硬化させることができ、その鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）を鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに固着させることができるとともに、受光側当接部５４ｆ（その先端面）における軟化（溶融）した個所を硬化させることができ、その受光側当接部５４ｆ（その先端面）を受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に固着させることができる（第４工程）。このとき、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）および受光側当接部５４ｆ（その先端面）では、同一のホーン５５（振動子５７）から超音波振動が与えられていることから、その超音波振動の供給の停止も同時となるので、それぞれの硬化すなわち外周面部３２ａへの固着と表面５１ａへの固着とを同時なものとすることができる。その鏡筒側当接部５４ｄにおいて軟化（溶融）された箇所は、当該鏡筒側当接部５４ｄと、鏡筒当接箇所となる鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａと、を固定する鏡筒側溶着部として機能する。また、受光側当接部５４ｆにおいて軟化（溶融）された箇所は、当該受光側当接部５４ｆと、受光当接箇所となる受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）と、を固定する受光側溶着部として機能する。
【００５９】
この鏡筒３０および受光回路部５０を位置決め固定しつつそれらを架け渡すように宛がわれた中間保持部材５４に超音波振動と押圧力とを付与することにより、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と受光側当接部５４ｆ（その先端面）とを同時に軟化（溶融）させ、その後にその軟化（溶融）した箇所を同時に硬化させて、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを中間保持部材５４を介して溶着により固定するのが、超音波溶着工法である。この超音波溶着工法では、軟化（溶融）させた箇所を硬化させた後に、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）との位置決め固定を解除しても、それらの位置関係には殆ど変化が生じない。これは、超音波溶着工法では、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆすなわち中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することができることによる。また、超音波溶着工法では、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆにおける軟化（溶融）する箇所（鏡筒側溶着部および受光側溶着部）を、その当接面に沿う極めて薄いものとすることができるので、軟化（溶融）による形状変化の影響自体を小さくすることができることにもよる。ここで、本願発明の超音波溶着工法で言う同時とは、軟化（溶融）による中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することを可能とするもの、換言すると押圧による中間保持部材５４の移動の態様を、軟化（溶融）状態である鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と受光側当接部５４ｆ（その先端面）とで等しいものとすることができるもの、であれば、厳密な意味での時間差は許容するものである。このことから、実施例１では、鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）および受光側当接部５４ｆ（その先端面）に対して、同一のホーン５５（振動子５７）から超音波振動を与える構成とされていたが、上述した観点から同時に軟化（溶融）させるとともに同時に硬化させることができるものであれば、個別に超音波振動を供給（停止）するものであってもよく、実施例１に限定されるものではない。
【００６０】
撮像装置１０では、鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定に先立って、図１５に示すように、上述したように組み付けられた撮像光学系２０（図７および図８参照）と取付壁部１１とを固定する。この固定では、取付壁部１１の前側面１１ｈ上に封止部材の一例としてのＯリング２３を配置し、鏡筒３０の内縁突起部３９側（他端側）を挿入先端方向として、鏡筒３０の直交面３４をＯリング２３に宛がうように、取付壁部１１の拡孔部１１ｆ側から挿通孔１１ｂへと鏡筒３０を挿入する（矢印Ａ１参照）。その鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇ内に位置させて、その縮孔部１１ｇ（内方突出部１１ｃ）のネジ溝１１ｅにネジ溝３６を螺合させる。この挿通されて取付壁部１１の裏面側に位置する鏡筒３０の縮径部３２の平坦面部３７を径方向で狭持し、鏡筒３０を取付壁部１１に対して撮影光軸Ｏ回りに回動させて、取付壁部１１の前側面１１ｈと鏡筒３０の直交面３４とを圧接させる。これにより、鏡筒３０と取付壁部１１とを、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、前側面１１ｈと直交面３４とが介在するＯリング２３を適切に圧縮しつつ撮影光軸Ｏ方向での相対的な位置を決めて、固定することができる（図１６参照）。このとき、鏡筒３０の後端部（他端部）には、受光回路部５０（撮像素子５２）が設けられていないことから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の回動操作（固定作業）が容易なものとされている。特に、実施例１では、後述するように第１空間Ｐ１（図１６参照）が設けられる構成であることから、鏡筒３０の取付壁部１１への締め付け固定の際に当該鏡筒３０の縮径部３２の外方位置には他の構成部材が存在しない（第２空間が形成されている）こととなるので、上記した回動操作（固定作業）がより容易なものとされている。
【００６１】
なお、この平坦面部３７の狭持による鏡筒３０の回動は、作業者の手で行うものであっても、作業者が使用する工具で行うものであってもよく、また機械により行うものであってもよい。これにより、取付壁部１１の外表面Ｓ側（対物レンズとなるレンズ４１が露出された側）からの、取付壁部１１と鏡筒３０（撮像光学系２０）との間での水や塵埃等の侵入が防止され、十分な封止性能を有した状態で、鏡筒３０と取付壁部１１とを固定することができる（図１６参照）。この取付壁部１１に封止的に固定された鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定について、以下で説明する。
【００６２】
ここで、取付壁部１１は、図１６に示すように、鏡筒３０（撮像光学系２０）が固定された状態において、その撮像光学系２０の鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａへの中間保持部材５４の取り付けが可能な構成とされている。換言すると、取付壁部１１は、挿通孔１１ｂに撮像光学系２０が挿通された状態において、撮影光軸Ｏ方向で見て、撮像光学系２０の鏡筒３０の縮径部３２の外周面上で各平坦面部３７よりも後端側の領域（外周面部３２ａ）に到達することのない大きさ寸法、すなわち外周面部３２ａを横切りつつ撮影光軸Ｏ方向に直交する面と干渉することのない大きさ寸法とされている。このため、撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないものとされている。よって、実施例１の撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置に、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくは基板５１を結合する（溶着構造を構成する）ための第１空間Ｐ１が形成されている。なお、この第１空間Ｐ１は、撮像装置１０の位置決め固定の作業のための空間であることから、位置決め固定が完了した後は確保されている必要はない。
【００６３】
先ず、位置決めのために、鏡筒３０が封止的に固定された取付壁部１１を、調整装置６０としての筐体保持部６１で固定的に保持する。その筐体保持部６１に保持された状態の鏡筒３０の後端側（他端側）であって、撮影光軸Ｏ上に撮像素子５２（その受光面５２ａ）が位置するように受光回路部５０（その基板５１）を配置し、その基板５１を調整装置６０としての撮像素子保持部６２で保持する。この撮像素子保持部６２は、筐体保持部６１に保持された取付壁部１１に固定された鏡筒３０（光学素子群４０）に対して、撮影光軸Ｏ回りの任意の回転姿勢で、受光回路部５０の基板５１を保持可能とされている。また、撮像素子保持部６２は、少なくとも取付壁部１１を介して筐体保持部６１に保持された鏡筒３０の軸線（撮影光軸Ｏ）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の傾きの調整を可能とするとともに、鏡筒３０に対する撮影光軸Ｏ方向での撮像素子５２（受光面５２ａ）の位置（間隔）の調整を可能とするように、受光回路部５０の基板５１を保持可能である。
【００６４】
筐体保持部６１で固定保持した取付壁部１１に対して、その上下左右方向と、撮像素子５２で取得した画像における上下左右方向と、が一致し、かつその撮像光学系２０（光学素子群４０）の撮影光軸Ｏが撮像素子５２で取得した画像における中心に位置するように、受光回路部５０の基板５１を撮像素子保持部６２で保持する。
【００６５】
この撮像素子保持部６２（調整装置６０）に保持された受光回路部５０（その電子部品５３）に電力を供給するとともに、受光回路部５０（その撮像素子５２）からの画像をモニタ７０に表示可能な状態とする。そして、撮像装置１０の撮影光軸Ｏ上で所定の距離に被写体（図示せず）を配置して、撮像光学系２０で結像させるとともに、その被写体像を受光した撮像素子５２からの電気信号（画像データ）に基づく画像をモニタ７０に映し出す。
【００６６】
この調整装置６０では、上述したように、筐体保持部６１と撮像素子保持部６２との作用により、鏡筒３０に対して、その軸線（撮影光軸Ｏ）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の傾きの調整が可能であり、鏡筒３０に対する撮影光軸Ｏ方向での撮像素子５２（受光面５２ａ）の位置（間隔）の調整が可能とされていることから、取得した画像における上下左右方向が取付壁部１１の上下左右方向と一致した状態を維持したまま撮影光軸Ｏに対して受光面５２ａを直交させる状態とすることができ、その状態を維持したまま撮影光軸Ｏ方向へと撮像素子５２（受光面５２ａ）を移動させることができるので、撮像光学系２０の結像位置を受光面５２ａ上とするいわゆるピント調整を行うことができる。
【００６７】
ピント調整は、筐体保持部６１に保持された取付壁部１１の鏡筒３０に対して、撮像素子保持部６２を介して撮像素子５２の傾きおよび位置を適宜変化させて、モニタ７０に映し出された画像（被写体像）が適切な状態であるか否かで判断する。このピント調整は、作業者が画像を目視により確認しながら行うものであっても、画像解析により自動的に行う（調整装置６０にそれらの機能を搭載する）ものであってもよい。これにより、光学素子群４０に対して撮像素子５２が光学的に位置決めされた状態で鏡筒３０と受光回路部５０とを相対的に固定することができる（第１工程）。
【００６８】
ピント調整が完了すると、中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法により、受光回路部５０を鏡筒３０に結合する（図２、図１７および図１８等参照）。この超音波溶着工法において、実施例１では、４つの中間保持部材５４を、縮径部３２の周方向で見て等しい間隔で４箇所に設ける（図１７参照）。詳細には、筐体保持部６１および撮像素子保持部６２による固定保持を維持した状態、すなわち鏡筒３０と基板５１との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４を、鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡すように配置（二点鎖線で示す中間保持部材５４参照）する（第２工程）。実施例１では、各中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）は、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる（図１２参照）。また、各中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆ（その先端面）は、撮像素子５２を取り囲むように基板５１の表面５１ａに宛がわれる（図１２参照）。
【００６９】
この鏡筒３０が固定された取付壁部１１の筐体保持部６１による固定的な保持を維持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の基板５１（受光回路部５０）の撮像素子保持部６２による固定的な保持を維持し、かつ各中間保持部材５４を鏡筒３０と基板５１とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法（第３、第４工程）を行う。すると、鏡筒３０と基板５１とは、図１７および図１８に示すように、筐体保持部６１および撮像素子保持部６２による固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４を介して互いに結合される。このため、各中間保持部材５４は、上述した鏡筒側溶着部および受光側溶着部との協働により、鏡筒３０と基板５１（撮像素子５２）との相対的な位置関係を維持しつつ溶着により結合することを可能とする溶着構造を形成している。なお、ここでいう位置関係の維持とは、光学的に撮像素子５２（その受光面５２ａ）において適切な画像の取得が可能である状態を維持するものであれば、厳密な意味での移動は許容するものである。
【００７０】
実施例１では、上述した各中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法の後に、充填接着工法を行う。この充填接着工法では、図１９、図２０および図２１に示すように、各中間保持部材５４を介して互いに結合された鏡筒３０と基板５１との間を充填するように、接着剤を塗布（注入）して充填接着層である接着層Ｃを形成する。実施例１では、接着層Ｃを形成するために、遮光性を有する熱硬化型の接着剤を採用している。この接着層Ｃは、鏡筒３０の他端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設けられており、基板５１の表面５１ａにおいて、少なくとも撮像素子５２の受光面５２ａの有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないように当該撮像素子５２を取り囲むものとされている。このため、接着層Ｃは、実施例１では、各中間保持部材５４の内側（取付壁面５４ｃおよび取付壁面５４ｅが面する側）と鏡筒３０（その後端）と基板５１（表面５１ａ）とに囲まれた空間を充填するように、第１空間Ｐ１（図１６参照）を利用して各中間保持部材５４の内側に接着剤が塗布（注入）されて形成されている（図１９および図２０参照）。この溶着構造により結合された鏡筒３０と基板５１との間に、環状の接着層Ｃを形成した状態の撮像装置１０を、第１空間Ｐ１（図１６参照）を利用して図示を略すオーブンで適宜加熱することにより、接着層Ｃを硬化させる、いわゆる充填接着工法を行う。このとき、接着層Ｃでは、硬化時に収縮しようとするが、鏡筒３０と基板５１とは、上述した各中間保持部材５４を用いた溶着構造により互いに位置決めされた状態で結合されていることから、鏡筒３０と基板５１との位置関係が変化することはない。これにより、鏡筒３０と基板５１とは、撮像素子５２を取り囲むように環状を呈し遮光性を有する接着層Ｃにより、溶着構造による相対的な位置関係が維持されつつ結合されることとなる。このため、環状の接着層Ｃは、溶着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒３０と基板５１とを、その結合強度を高める補強接着層としての互いの間を充填して結合する充填接着構造を形成している。
【００７１】
このように取付壁部１１に固定された鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）が位置決めされた状態で、当該鏡筒３０と受光回路部５０（その基板５１）とが固定されることにより、撮像装置１０が形成される。この撮像装置１０では、Ｏリング２３により、取付壁部１１の外表面Ｓ側（対物レンズとなるレンズ４１が露出された側）からの、取付壁部１１と鏡筒３０（撮像光学系２０）との間での水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有しているとともに、適切な光学性能を有している。
【００７２】
実施例１では、このように位置決め固定された撮像装置１０は、図１および図２に示すように、その取付壁部１１に後側筐体部１３を封止的に結合することにより、筐体１２により取付壁部１１の裏面側における外方からの撮像光学系２０および受光回路部５０への防水機能および防塵機能を得ることができる。このため、撮像装置１０は、後側筐体部１３の両取付突起１３ｂを介して所望の箇所に取り付けることが可能であって、全体に小さな構成であるにも拘らず高い光学性能を有しかつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。このことから、この後側筐体部１３が結合されて筐体１２に取り囲まれた撮像装置１０は、例えば、車載カメラとして好適である。
【００７３】
このように、本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを溶着により結合する溶着構造において、撮像光学系２０を保持する鏡筒３０および撮像素子５２が実装された基板５１とは別の中間保持部材５４を用いるとともに、その鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを軟化（溶融）させた後に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成していることから、従来技術のようにその鏡筒（３０）および受光回路部（５０）自体を溶融する必要がないので、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係が、溶着することに起因して崩れることを防止しつつ固定することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７４】
また、本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを結合する溶着構造において、中間保持部材５４を用いて鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを同時に軟化（溶融）させた後に同時に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成する超音波溶着工法を採用していることから、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆすなわち中間保持部材５４の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４が変位（移動）することで吸収させることができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒３０と基板５１とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７５】
さらに、本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）を相対的な位置関係を固定し、その固定された鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを掛け渡すように中間保持部材５４を宛がって、その鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを同時に軟化（溶融）させた後に同時に硬化させて鏡筒側溶着部および受光側溶着部を形成する超音波溶着による位置決め固定を行うものであることから、鏡筒側当接部５４ｄおよび受光側当接部５４ｆを軟化（溶融）させることによる中間保持部材５４の形状変化の影響を、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に対して接近する方向（押圧方向）へと当該中間保持部材５４を変位（移動）させることで吸収することができるので、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着により鏡筒３０と基板５１とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００７６】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを溶着により結合するものであることから、接着剤を用いて結合することに比較して、より強固に位置決め固定することができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱にも耐えることができ、安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。また、たとえ温度変化等の影響により接着剤における結合強度が弱まるような環境下であっても、鏡筒３０と基板５１との位置関係を維持することができるので、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性（光学性能）を得ることができる。
【００７７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる鏡筒側当接部５４ｄと、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれる受光側当接部５４ｆと、が、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈していることから、振動子５７からホーン５５を介して伝達される超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをより狭小な範囲に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部５４ｄと外周面部３２ａとを固定することができるとともに、受光側当接部５４ｆと表面５１ａとを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【００７８】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法において、４つの中間保持部材５４が撮影光軸Ｏに直交する面で見て当該撮影光軸Ｏを中心とする互いに直交する４方向に配置されていることから、たとえ各中間保持部材５４における鏡筒側溶着部および受光側溶着部の硬化に起因して鏡筒３０に対して基板５１を径方向へと移動させる力が作用したとしても、４つの中間保持部材５４の配置関係により当該力を互いに相殺することができるので、超音波溶着工法の際に鏡筒３０と基板５１との位置関係が変化することをより確実に防止することができる。
【００７９】
本発明の撮像装置１０では、溶着構造において、鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄが鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるとともに、基板側壁部５４ｂの受光側当接部５４ｆが基板５１の表面５１ａに宛がわれたＬ字状の中間保持部材５４により、鏡筒３０と基板５１とが架け渡されているので、鏡筒３０と基板５１とをより強固に結合することができる。このため、たとえ温度変化等の影響により接着層Ｃにおける結合強度が弱まってしまった場合であっても、鏡筒３０と基板５１との位置関係を維持することができるので、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性を得ることができる。
【００８０】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）とを結合する構造において、溶着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒３０と基板５１との間を接着層Ｃで充填する充填接着工法を採用している（補強接着層を形成している）ことから、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま溶着および接着により鏡筒３０と基板５１とを互いにより強固に結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
【００８１】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と基板５１（受光回路部５０の撮像素子５２）とを結合する際、先ず超音波溶着工法を行ってから充填接着工法を行うので、光学的に位置決めされた撮像素子５２（基板５１）と光学素子群４０（鏡筒３０）との位置関係を維持しつつより強固に鏡筒３０と基板５１とを結合することができる。
【００８２】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０と基板５１との間が、遮光性を有する接着層Ｃにより塞がれていることから、鏡筒３０の外方から撮像素子５２の受光面５２ａへの異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒３０の外方からの光が撮像素子５２の受光面５２ａに入射することを確実に防止することができるので、より鮮明な画像を得ることができる。
【００８３】
本発明の撮像装置１０では、取得した画像における上下左右方向が取付壁部１１の上下左右方向と一致した状態であって撮像光学系２０とのピント調整が為された状態で、取付壁部１１に固定された鏡筒３０と基板５１すなわち撮像素子５２とを溶着構造により結合することができる。このため、取付壁部１１として、外観形状から上下左右方向を特定できる形状を採用することができるので、取付壁部１１すなわち筐体の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【００８４】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に固定した鏡筒３０（撮像光学系２０）に、溶着構造により受光回路部５０（基板５１）を結合（位置決め固定）するものであることから、取付壁部１１の外観形状を考慮しつつ鏡筒３０（光学素子群４０）に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の光学的な位置決めされた状態で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを溶着構造で結合することができるので、適切な光学性能を得ることができる。
【００８５】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）を取付壁部１１に固定した状態で、その取付壁部１１の上下左右方向と取得した画像における上下左右方向とを一致させつつピント調整を行うことができることから、光学素子群４０の各部材における公差の影響をなくすことができ、適切な光学性能を得ることができる。
【００８６】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂに挿通した状態において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面における平坦面部３７よりも後端（外周面部３２ａ）が露見している、すなわち第１空間Ｐ１が形成されていることから、中間保持部材５４を用いて溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくは基板５１を結合する（溶着構造を構成する）ことを容易なものとすることができる。
【００８７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）を取付壁部１１に固定した状態において、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇの位置決め面１１ｄと、鏡筒３０の縮径部３２の位置決め部３５と、の当接により、取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において鏡筒３０が径方向で位置決めされているとともに、取付壁部１１（挿通孔１１ｂ）の中心軸線と鏡筒３０（保持孔３８）の中心軸線とが一致されていることから、その鏡筒３０に適切に保持された光学素子群４０に対して撮像素子５２（その受光面５２ａ）を光学的に位置決めすることにより、より適切な光学性能を得ることができる。
【００８８】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の挿通孔１１ｂの縮孔部１１ｇの位置決め面１１ｄと鏡筒３０の縮径部３２の位置決め部３５とにより径方向位置決め部を形成し、それとは別に取付壁部１１と鏡筒３０との固定のための固定手段としての取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６とを設けていることから、より高い精度で取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内において鏡筒３０を径方向に位置決めすることができるとともに、より適切に取付壁部１１と鏡筒３０とを固定することができる。
【００８９】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合する鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、鏡筒３０と取付壁部１１とが固定されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱や温度条件の差異にも耐えることができ、安定した画像特性を得ることができる。
【００９０】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合される鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、互いに固定される取付壁部１１と鏡筒３０との間でＯリング２３が圧縮されていることから、より確実な封止性能を得ることができる。
【００９１】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０に平坦面部３７が設けられていることから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ回りの回転操作、すなわち鏡筒３０の取付壁部１１への固定を容易に行うことができる。
【００９２】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０を取付壁部１１に固定する際、その鏡筒３０の後端部（他端部）には、受光回路部５０（撮像素子５２）が設けられていないことから、取付壁部１１に対する鏡筒３０の回動操作（固定作業）を容易なものとすることができる。
【００９３】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１と鏡筒３０との間を封止するＯリング２３が、撮影光軸Ｏ方向に直交する鏡筒３０の直交面３４と、撮影光軸Ｏ方向に直交する取付壁部１１の前側面１１ｈと、の間に配置されていることから、たとえ取付壁部１１の挿通孔１１ｂ内で鏡筒３０が径方向のいずれかに偏っている場合であっても、その偏りの影響を受けることなく取付壁部１１と鏡筒３０との間でＯリング２３が適切に圧縮されるので、適切に封止性能を得ることができる。
【００９４】
本発明の撮像装置１０では、取付壁部１１に後側筐体部１３を封止的に結合することにより、筐体１２内に収容された鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）および撮像素子５２（受光回路部５０）を、全方位に対する防水性能および防塵性能を有するものとすることができる。
【００９５】
本発明の撮像装置１０では、光学素子群４０が取付壁部１１とは別体の鏡筒３０に保持されているとともに、その鏡筒３０に受光回路部５０（撮像素子５２）が固定されていることから、例えば、外気温や日光の照射により外表面Ｓを形成する取付壁部１１が変形してしまった場合であっても、光学的に位置決めされた光学素子群４０と撮像素子５２（その受光面５２ａ）との位置関係に影響が及ぶことを防止することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
【００９６】
本発明の撮像装置１０では、光学素子群４０が取付壁部１１とは別体の鏡筒３０に保持されていることから、取付壁部や筐体の外観形状を変更した場合であっても、高い光学性能の維持を容易なものとすることができるとともに、その外観形状の設計自由度を高めることができる。これは、以下のことによる。光学素子群４０では、所定の光学性能を得るためには極めて高い精度で位置決めした状態でレンズ等の光学素子を保持する必要がある。このことは、実施例１のように、複数の光学素子が用いられている場合に特に重要となる。このため、例えば、筐体で直接光学素子を保持する構成とし、この筐体を樹脂成形で形成するものとすると、筐体の外観形状を変更する度に、光学素子を保持する箇所における高い精度の確保のために極めて高い精度の金型を作成する必要があり、高い光学性能の維持は容易なものではない。また、筐体で直接光学素子を保持する構成とし、例えば、この筐体を樹脂成形するものとすると、形状に応じて種々の偏肉や金型内での樹脂の流れの不均一等の影響の有無（大きさ）が変わるので、筐体（光学素子を保持する箇所）の精度を確保するために筐体自体の外観形状に制約が生じてしまう。これに対して、本発明に係る撮像装置１０では、鏡筒３０自体は変更することなく（鏡筒３０を共通化する）、取付壁部における鏡筒３０との固定のための構成箇所のみを共通のものとすればよいことから、取付壁部の外観形状の変更が光学素子群４０の保持状態すなわち光学性能に影響を及ぼすことはなく、逆に光学性能の観点から取付壁部の外観形状の設計変更に影響を及ぼすこともない。
【００９７】
本発明の撮像装置１０では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と基板５１（受光回路部５０の撮像素子５２）とが取付壁部１１に封止的に位置決め固定されて構成されていることから、この取付壁部１１を所望の箇所、例えば、電子機器や建物の壁面の一部を構成するように取り付けることで、容易に所望の場所において封止性能を有する監視カメラとして利用することができる。
【００９８】
本発明の撮像装置１０では、溶着構造による受光回路部５０（基板５１）と鏡筒３０との結合に先立って、鏡筒３０の縮径部３２を取付壁部１１の挿通孔１１ｂに挿通し、その縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅに縮径部３２のネジ溝３６を螺合させることにより、取付壁部１１と鏡筒３０とを封止的に固定することができる。このため、撮影光軸Ｏ方向での固定器具の挿通を可能とすべく撮像素子が設けられた基板の一部を切り欠く必要がないので、撮像装置１０の小型化に大きく寄与することができる。
【００９９】
したがって、本発明の撮像装置１０では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを位置決め固定することができる。
【０１００】
なお、上記した実施例１では、各中間保持部材５４において、鏡筒側当接部５４ｄと受光側当接部５４ｆとが、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈するものとされていたが、鏡筒側当接部は、超音波溶着工法のために鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるものであり、かつ受光側当接部は、超音波溶着工法のために受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれるものであれば、取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ自体であってもよく、それらから突出された他の形状を呈していてもよく、上記した実施例１に限定されるものではない。
【実施例２】
【０１０１】
次に、本発明の実施例２に係る撮像装置１０２について説明する。この実施例２は、受光回路部５０２（基板５１）と鏡筒３０とを結合する溶着構造が、実施例１とは異なる例である。この実施例２の撮像装置１０２は、基本的な構成は上記した実施例１の撮像装置１０と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図２２は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図２３は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図１９と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図２４は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２０と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。図２５は、実施例２に係る撮像装置１０２の構成を説明するための図２１と同様の模式的な斜視図である。
【０１０２】
実施例２に係る撮像装置１０２では、図２２から図２５に示すように、溶着により鏡筒３０に対して受光回路部５０２を結合する溶着構造において、鏡筒３０に対して撮像素子５２２を直接結合する構成としている。その受光回路部５０２では、撮影光軸Ｏ方向から見た撮像素子５２２の大きさ寸法が基板５１と略等しいものとされている。
【０１０３】
この撮像装置１０２では、実施例１と同様に、鏡筒３０に対する受光回路部５０２（その基板５１に実装された撮像素子５２２）の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系２０と取付壁部１１とを固定し（図１５参照）、調整装置６０（図１６参照）を用いて鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）と撮像素子５２２とを光学的に位置決めする（ピント調整を行う）（第１工程）。
【０１０４】
その後、鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４を、鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）とを架け渡すように配置する（図１６参照）（第２工程）。実施例２では、各中間保持部材５４の鏡筒側壁部５４ａの鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）は、実施例１と同様に、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる。また、各中間保持部材５４の基板側壁部５４ｂは、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域と対向されるとともに、その受光側当接部５４ｆ（その先端面）は、受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域に宛がわれる。このため、実施例２では、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおける有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域が受光当接箇所として機能する。
【０１０５】
この後、鏡筒３０が固定された取付壁部１１を固定的に保持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の撮像素子５２２（受光回路部５０２）を固定的に保持し、かつ各中間保持部材５４を鏡筒３０と撮像素子５２２（受光回路部５０２）とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法を行う（図１３等参照）（第３、第４工程）。これにより、鏡筒３０と撮像素子５２２とは、固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４を介して互いに結合される。
【０１０６】
実施例２では、上述した各中間保持部材５４を用いた超音波溶着工法の後に、実施例１と同様に、熱硬化型の接着剤により接着層Ｃを形成して充填接着工法を行う。この接着層Ｃは、鏡筒３０の後端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設け、撮像素子５２２の受光面５２２ａにおいて、少なくともその有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないものとされている。
【０１０７】
実施例２の撮像装置１０２では、基本的に実施例１の撮像装置１０と同様の構成であることから、基本的に実施例１と同様の効果を得ることができる。
【０１０８】
それに加えて、実施例２の撮像装置１０２では、鏡筒３０と撮像素子５２２との結合のための部材を減らすことができる（基板５１を介していない）ことから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
【０１０９】
また、実施例２の撮像装置１０２では、実施例１の構成に比較して、鏡筒３０（光学素子群４０）や基板５１に対して大きなサイズの撮像素子５２２を用いることができるので、より綺麗な画像を得ることができる。
【０１１０】
さらに、実施例２の撮像装置１０２では、実施例１の構成に比較して、撮像素子５２２に対して鏡筒３０（光学素子群４０）や基板５１等を小さな大きさ寸法とすることができるので、撮像装置１０２の小型化に大きく寄与することができる。
【０１１１】
したがって、実施例２の撮像装置１０２では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２２（その受光面５２２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０２（撮像素子５２２）とを位置決め固定することができる。
【０１１２】
なお、上記した実施例２では、各中間保持部材５４において、鏡筒側当接部５４ｄと受光側当接部５４ｆとが、平坦面（取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ）から突出された方形状を呈するものとされていたが、鏡筒側当接部は、超音波溶着工法のために鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれるものであり、かつ受光側当接部は、超音波溶着工法のために受光回路部５０２の撮像素子５２２の受光面５２２ａに宛がわれるものであれば、取付壁面５４ｃまたは取付壁面５４ｅ自体であってもよく、それらから突出された他の形状を呈していてもよく、上記した実施例２に限定されるものではない。
【実施例３】
【０１１３】
次に、本発明の実施例３に係る撮像装置１０３について説明する。この実施例３は、受光回路部５０（基板５１）と鏡筒３０とを結合する溶着構造が、実施例１とは異なる例である。この実施例３の撮像装置１０３は、基本的な構成は上記した実施例１の撮像装置１０と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図２６は、実施例３に係る撮像装置１０３の溶着構造に用いる中間保持部材５４３の構成を説明するための図１０と同様の模式的な斜視図である。
【０１１４】
実施例３に係る撮像装置１０３では、図２６に示すように、超音波溶着工法のためすなわち溶着構造を形成するために中間保持部材５４３を用いる。この中間保持部材５４３は、実施例１の中間保持部材５４と同様に、撮像光学系２０（光学素子群４０）の結像位置を撮像素子５２の受光面５２ａ上とすべく、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するための溶着構造を構成するものである。中間保持部材５４３は、基本的な構成は、実施例１の中間保持部材５４と同様であり、その中間保持部材５４との差異は、鏡筒側当接部５４３ｄと受光側当接部５４３ｆとが、平坦面（取付壁面５４３ｃまたは取付壁面５４３ｅ）から突出された半球形状を呈するものとされていることにある。
【０１１５】
実施例３に係る撮像装置１０３では、実施例１と同様に、鏡筒３０に対する受光回路部５０（その基板５１に実装された撮像素子５２）の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系２０と取付壁部１１とを固定し（図１５参照）、調整装置６０（図１６参照）を用いて鏡筒３０（そこに保持された光学素子群４０）と撮像素子５２とを光学的に位置決めする（ピント調整を行う）（第１工程）。
【０１１６】
その後、鏡筒３０と撮像素子５２（受光回路部５０）との相対的な位置関係を維持した状態で、ホーン５５で吸着保持した各中間保持部材５４３を、鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡すように配置する（図１６参照）（第２工程）。実施例３では、各中間保持部材５４３の鏡筒側壁部５４３ａの鏡筒側当接部５４３ｄ（その先端部）は、実施例１の鏡筒側当接部５４ｄ（その先端面）と同様に、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる（図１６等参照）。また、各中間保持部材５４３の基板側壁部５４３ｂの受光側当接部５４３ｆ（その先端部）は、実施例１の受光側当接部５４ｆ（その先端部）と同様に、基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がわれる（図１６等参照）。
【０１１７】
この後、鏡筒３０が固定された取付壁部１１を固定的に保持するとともに、その鏡筒３０（光学素子群４０）に対して光学的に位置決めされた状態の基板５１（受光回路部５０）を固定的に保持し、かつ各中間保持部材５４３を鏡筒３０と基板５１（受光回路部５０）とを架け渡して当接させた状態で、その各中間保持部材５４３を吸着保持するホーン５５を介して振動子５７で超音波振動と押圧力とを付与することにより、上述した超音波溶着工法を行う（図１３参照）（第３、第４工程）。これにより、鏡筒３０と基板５１とは、固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、溶着により各中間保持部材５４３を介して互いに結合される（図１４および図１７等参照）。
【０１１８】
実施例３では、上述した各中間保持部材５４３を用いた超音波溶着工法の後に、実施例１と同様に、熱硬化型の接着剤により接着層Ｃを形成して充填接着工法を行う（図１９等参照）。この接着層Ｃは、鏡筒３０の後端（内縁突起部３９の外方位置）の外縁部に沿って環状に設け、基板５１の表面５１ａ上において、少なくとも撮像素子５２の受光面５２ａの有効エリア（実効的な受光領域）に干渉しないように当該撮像素子５２を取り囲むものとされている。
【０１１９】
実施例３の撮像装置１０３では、基本的に実施例１の撮像装置１０と同様の構成であることから、基本的に実施例１と同様の効果を得ることができる。
【０１２０】
それに加えて、実施例３の撮像装置１０３では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４３において、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａに宛がわれる鏡筒側当接部５４３ｄと、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａに宛がわれる受光側当接部５４３ｆと、が、平坦面（取付壁面５４３ｃまたは取付壁面５４３ｅ）から突出された半球形状を呈していることから、振動子５７からホーン５５を介して伝達される超音波振動および押圧による溶着のためのエネルギーをさらに狭小な範囲（略一点）に集中させることができるので、より確実に、鏡筒側当接部５４３ｄと外周面部３２ａとを固定することができるとともに、受光側当接部５４３ｆと表面５１ａとを固定することができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。
【０１２１】
また、実施例３の撮像装置１０３では、鏡筒３０（撮像光学系２０）と受光回路部５０（基板５１）との結合のための超音波溶着工法で用いる各中間保持部材５４３において、鏡筒側当接部５４３ｄを外周面部３２ａに点接触させることができるとともに、受光側当接部５４３ｆを表面５１ａに点接触させることができることから、超音波溶着工法の際に各中間保持部材５４３に付与する押圧力の方向の自由度を向上させることができる。換言すると、各中間保持部材５４３に付与する押圧力の方向が、鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）への当接箇所の中心位置へと向かう方向に対して傾斜されているものであっても、超音波溶着工法を行う観点から当該各中間保持部材５４３を鏡筒３０および受光回路部５０（基板５１）に適切に圧接させることができる。このため、より安定した光学性能を得ることができる。また、超音波溶着工法を行う観点からの取付壁部１１および鏡筒３０のレイアウトの自由度を向上させることができ、かつ超音波溶着工法を行うための工具（装置）のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【０１２２】
したがって、実施例３の撮像装置１０３では、光学的に位置決めされた光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置関係を維持した高い調整精度で、鏡筒３０と受光回路部５０（基板５１）とを位置決め固定することができる。
【０１２３】
なお、上記した実施例３では、各中間保持部材５４３の基板側壁部５４３ｂの受光側当接部５４３ｆ（その先端部）が、基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２が実装された側の面）に宛がわれていたが、実施例２のように撮像素子（５２２）の受光面（５２２ａ）における有効エリア（実効的な受光領域）以外の領域に宛がわれるものであってもよく、上記した実施例３に限定されるものではない。
【０１２４】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としての撮像装置１０、撮像装置１０２および撮像装置１０３について説明したが、少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有する撮像装置であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２５】
また、上記した各実施例では、溶着構造の形成のために中間保持部材５４（５４３）を用いた超音波溶着工法を採用していたが、軟化（溶融）による鏡筒側当接部５４ｄ（５４３ｄ）および受光側当接部５４ｆ（５４３ｆ）すなわち中間保持部材５４（５４３）の形状変化の影響を、相対的に固定された鏡筒３０および受光回路部５０に対して接近する方向（押圧方向）へと中間保持部材５４が変位（移動）することで吸収することにより位置関係を許容範囲内で維持することができれば、他の溶着方法を採用して形成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。ここでいう許容範囲とは、位置ずれした撮像素子５２（その受光面５２ａ）において適切な画像を取得することが可能であることを言い、例えば、撮像素子５２（その受光面５２ａ）に生じる撮影光軸Ｏ方向の位置ずれ量が光学素子群４０における焦点深度内であることを言う。
【０１２６】
さらに、上記した各実施例では、受光回路部５０（５０２）と鏡筒３０とを結合する構造が、溶着構造と充填接着構造とにより形成されていたが、溶着構造により十分な結合強度が得られれば、充填接着構造（接着層Ｃ）を設けなくてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２７】
上記した各実施例では、超音波溶着工法においてＬ字状の各中間保持部材５４（５４３）を用いていたが、超音波溶着工法で用いる中間保持部材は、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａへの鏡筒側当接部（５４ｄ等）を形成することができるとともに、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａ（撮像素子５２２の受光面５２２ａ）への受光側当接部（５４ｆ等）を形成することができるものであれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１２８】
上記した各実施例では、溶着構造に用いる中間保持部材として、鏡筒３０（その縮径部３２の外周面部３２ａ）に対向される鏡筒側対向面（取付壁面５４ｃ）と、受光回路部５０、５０２（その基板５１の表面５１ａもしくは撮像素子５２２の受光面５２２ａ）に対向される受光側対向面（取付壁面５４ｅ）と、が直交するものとされていたが、光学素子群４０に対する撮像素子５２（その受光面５２ａ）の位置が光学的に位置決めされた状態（位置関係）を維持したまま、溶着により鏡筒３０に対して撮像素子５２もしくはそれが実装された基板５１を結合するものであれば、例えば、長尺な板状部材の同一面における両端位置に鏡筒側対向面と受光側対向面とを形成するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、受光側対向面は、受光側当接部（５４ｆ等）を介して基板５１もしくは撮像素子５２（５２２）の側面に当接（溶着）すればよい。
【０１２９】
上記した各実施例では、超音波溶着工法において、各中間保持部材５４（５４３）の鏡筒側当接部（５４ｄ等）および受光側当接部（５４ｆ等）のみを軟化（溶融）させるものとしていたが、光学機能（電気回路としての機能）が失われない範囲であれば、それらが当接される鏡筒当接箇所（上記した各実施例では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面部３２ａ）や受光当接箇所（上記した各実施例では、受光回路部５０の基板５１の表面５１ａまたは撮像素子５２２の受光面５２２ａ）を軟化（溶融）させてもよく、鏡筒側当接部（５４ｄ等）および受光側当接部（５４ｆ等）と鏡筒当接箇所および受光当接箇所とを併せて軟化（溶融）させてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。このように宛がわれる双方を軟化（溶融）させる構成とすると、より強固に位置決め固定することができる。なお、超音波溶着工法では、それらの軟化（溶融）する箇所を、その当接面に沿う極めて薄いものとすることができるので、鏡筒当接箇所や受光当接箇所を軟化（溶融）させた場合であっても、鏡筒３０や受光回路部５０（基板５１または撮像素子５２２）における光学的な性能に影響が及ぶことを防止することができる。
【０１３０】
上記した各実施例では、充填接着工法における接着層Ｃの形成のために熱硬化型の接着剤を用いていたが、超音波溶着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、紫外線硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３１】
上記した各実施例では、充填接着構造における接着層Ｃ（補強接着層）が、鏡筒３０と基板５１（撮像素子５２２）との間で各中間保持部材５４の内側を通過して環状を呈するものとされていたが、各中間保持部材５４の外側を取り巻くものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、接着層Ｃの形成のための接着剤の塗布（注入）作業を容易なものとすることができる。また、補強接着層は、溶着構造により鏡筒３０と受光回路部５０（５０２）との位置決め固定された結合強度を高めるべく補強するものであれば、撮影光軸Ｏ回り方向で見て部分的に設けるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３２】
上記した各実施例では、取付壁部１１と鏡筒３０との固定状態において、縮径部３２の外周面部３２ａを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないもの（第１空間Ｐ１が形成されているもの）とされていたが、撮像装置１０の位置決め固定の作業を可能とする、すなわち超音波溶着工法のための中間保持部材の配置や、充填接着工法のための接着剤の塗布（注入）や、紫外線硬化型の接着剤を用いた際の紫外線の照射等を可能とするものであれば、例えば、撮影光軸Ｏ回りの角度で見て一部の角度領域のみが開放されているものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。すなわち、第１空間Ｐ１は、撮影光軸Ｏ回りで見て全周に渡って形成されている必要はない。
【０１３３】
上記した各実施例では、取付壁部１１の縮孔部１１ｇのネジ溝１１ｅと、鏡筒３０の縮径部３２のネジ溝３６と、で螺合される鏡筒３０の取付壁部１１に対する締め付けにより、鏡筒３０と取付壁部１１とが固定されていたが、小型化の妨げとなることなく光学素子から撮像素子に至る封止性能の確保を容易なものとする観点からは、鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により取付壁部に対して撮影光軸Ｏ方向に鏡筒（その一端部）を押圧させて固定するものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３４】
上記した各実施例では、鏡筒３０の縮径部３２の外周面に４つの平坦面部３７が形成されていたが、取付壁部１１に対する鏡筒３０の撮影光軸Ｏ回りの回転操作、すなわち鏡筒３０の取付壁部１１への固定することを容易なものとすべく鏡筒３０の保持を容易とする保持部が形成されていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３５】
上記した各実施例では、光学素子群４０がレンズ４１、レンズ４２、レンズ４３、絞り４４、レンズ４５、レンズ４６およびレンズ４７により構成されていたが、画像取得のために任意の位置に結像させるものであって少なくとも１つ以上の光学素子を有するものであり、上述した構成の鏡筒３０に保持されているものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【０１３６】
以上、本発明の撮像装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【０１３７】
１０、１０２、１０３ 撮像装置
３０ 鏡筒
３２ａ （鏡筒当接箇所としての）外周面部
４０ 光学素子群
５０、５０２ 受光回路部
５１ （駆動基板としての）基板
５１ａ （受光当接箇所としての）表面
５２、５２２ 撮像素子
５２２ａ （受光当接箇所としての）受光面
５４、５４３ 中間保持部材
５４ｃ、５４３ｃ （鏡筒側対向面としての）取付壁面
５４ｄ、５４３ｄ 鏡筒側当接部
５４ｅ、５４３ｅ （受光側対向面としての）取付壁面
５４ｆ、５４３ｆ 受光側当接部
Ｃ （補強接着層としての）接着層
【先行技術文献】
【特許文献】
【０１３８】
【特許文献１】特開２００５−１０１７１１号公報
【特許文献２】特開２００５−２１７５００号公報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、
光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、
該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項２】
前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、
前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることを特徴とする請求項１に記載の撮像装置。
【請求項３】
前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の撮像装置。
【請求項４】
前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することを特徴とする請求項３に記載の撮像装置。
【請求項５】
請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の撮像装置であって、
さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項６】
前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置。
【請求項７】
前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置。
【請求項８】
請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする車載カメラ。
【請求項９】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、
前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、
中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、
前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、
前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有することを特徴とする位置決め固定方法。
【請求項１０】
前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、
前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することを特徴とする請求項９に記載の位置決め固定方法。
【請求項１】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置であって、
光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ溶着により前記鏡筒と前記受光回路部とを結合する溶着構造を備え、
該溶着構造は、前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がわれる鏡筒側当接部および前記受光回路部の受光当接箇所に宛がわれる受光側当接部が設けられた中間保持部材と、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて前記鏡筒当接箇所と前記鏡筒側当接部とを固定する鏡筒側溶着部と、前記受光当接箇所または前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて前記受光当接箇所と前記受光側当接部とを固定する受光側溶着部と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項２】
前記鏡筒側溶着部は、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部が軟化された後に硬化されて形成され、
前記受光側溶着部は、前記受光当接箇所および前記受光側当接部が軟化された後に硬化されて形成されていることを特徴とする請求項１に記載の撮像装置。
【請求項３】
前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、前記鏡筒当接箇所に対向される鏡筒側対向面または前記受光当接箇所に対向される受光側対向面から突出された凸状を呈していることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の撮像装置。
【請求項４】
前記鏡筒側当接部および前記受光側当接部は、球状を呈することを特徴とする請求項３に記載の撮像装置。
【請求項５】
請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の撮像装置であって、
さらに、前記溶着構造が形成された後に、前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように設けられた補強接着層を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項６】
前記受光当接箇所は、前記駆動基板に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置。
【請求項７】
前記受光当接箇所は、前記撮像素子に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の撮像装置。
【請求項８】
請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする車載カメラ。
【請求項９】
少なくとも１つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
少なくとも前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と該撮像素子の動作のための駆動基板とを有する受光回路部と、を備える撮像装置における前記鏡筒と前記受光回路部との位置決め固定方法であって、
前記撮像素子と前記光学素子とを光学的に位置決めした状態で、前記鏡筒と前記受光回路部とを相対的に固定する第１工程と、
中間保持部材の鏡筒側当接部を前記鏡筒の鏡筒当接箇所に宛がうとともに前記中間保持部材の受光側当接部を前記受光回路部の受光当接箇所に宛がうことで前記鏡筒と前記受光回路部とを架け渡すように前記中間保持部材を設ける第２工程と、
前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に前記受光当接箇所または前記受光側当接部を軟化させ、かつ前記中間保持部材を前記鏡筒と前記受光回路部とに押圧する第３工程と、
前記鏡筒と前記受光回路部との相対的な固定を維持した状態で、軟化させた前記鏡筒当接箇所または前記鏡筒側当接部を硬化させて鏡筒側溶着部を形成すると同時に、軟化させた前記受光当接箇所または前記受光側当接部を硬化させて受光側溶着部を形成する第４工程と、を有することを特徴とする位置決め固定方法。
【請求項１０】
前記第３工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を軟化させると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を軟化させ、
前記第４工程では、前記鏡筒当接箇所および前記鏡筒側当接部を硬化させて前記鏡筒側溶着部を形成すると同時に、前記受光当接箇所および前記受光側当接部を硬化させて前記受光側溶着部を形成することを特徴とする請求項９に記載の位置決め固定方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【公開番号】特開２０１２−１１４６７５（Ｐ２０１２−１１４６７５Ａ）
【公開日】平成２４年６月１４日（２０１２．６．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２６１９３１（Ｐ２０１０−２６１９３１）
【出願日】平成２２年１１月２５日（２０１０．１１．２５）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年６月１４日（２０１２．６．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月２５日（２０１０．１１．２５）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
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