説明

撮像装置

【課題】自然な画像を表示可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ100では、撮像部110が、被写体を撮像して画像データを出力する。撮影モード設定部130aは、画像データに基づいて、複数の撮影モードの中のいずれか1つの撮影モードを自動的に選択して設定する。切り出し領域決定部130bは、設定された撮影モードに応じて、画像データの切り出し領域を決定する。切り出し部122aは、決定された切り出し領域の画像データを、切り出し画像データとして切り出して出力する。表示用画像データ作成部122bは、切り出し画像データの画角を所定の画角に設定することによって、表示用画像データを出力する。表示部123は、表示用画像データに基づいて画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラでは、夜景モードを搭載していることが多い。デジタルカメラに夜景モードが搭載されている場合、夜景モードでは、人物モードや風景モード等のような他のモードと比較して、画角の小さな画像データが、連続的に切り出される。そして、ここで連続的に切り出された画像データが互いに比較され、手ぶれ量が演算される。すると、この手ぶれ量に基づいて、撮影領域が自動的に補正される。これにより、手ぶれの影響を排除した画像が、モニタに表示される。なお、動画モードの場合に、静止画モードより画角の小さな画像を表示する技術が、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−229690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなデジタルカメラにおいて、シーンを自動判別するモード(シーン自動判別モード)に夜景モードが含まれることを想定した場合、撮影中に、夜景モードから他のモードへの切り換えや、他のモードから夜景モードへの切り換えが、自動的に実行されるおそれがある。このように、撮影中に夜景モードと他のモードとが交互に自動的に切り替えられると、液晶モニタ上の画像の画角が変化して、ユーザに不自然な感覚を与えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、自然な画像を表示可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
撮像装置は、撮像部と、撮影モード設定部と、切り出し領域決定部と、切り出し部と、表示用画像データ作成部と、表示部とを、備えている。撮像部は、被写体を撮像して画像データを出力する。撮影モード設定部は、画像データに基づいて、複数の撮影モードの中のいずれか1つの撮影モードを自動的に選択して設定する。切り出し領域決定部は、撮影モード設定部により設定された撮影モードに応じて、画像データの切り出し領域を決定する。切り出し部は、切り出し領域決定部により決定された切り出し領域の画像データを、切り出し画像データとして切り出して出力する。表示用画像データ作成部は、切り出し画像データの画角を所定の画角に設定することによって、表示用画像データを出力する。表示部は、表示用画像データに基づいて画像を表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自然な画像を表示可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るデジタルカメラの正面図。
【図2】本実施形態に係るデジタルカメラの背面図。
【図3】本実施形態に係るデジタルカメラのブロック図。
【図4】本実施形態に係る撮影モード中のデジタルカメラの処理の流れを示すフローチャート。
【図5】他の実施形態に係るデジタルカメラのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
なお、以下の実施形態では、撮像装置の一例として、デジタルカメラを例に挙げて説明する。また、以下の説明では、デジタルカメラの通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)を基準として、被写体に向かう方向を「前方」、被写体から離れる方向を「後方」、鉛直上方を「上方」、鉛直下方を「下方」、被写体に正対した状態における右向きを「右方」、被写体に正対した状態における左向きを「左方」と、定義する。
〔1.実施形態〕
以下、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るデジタルカメラ100(撮像装置の一例)について説明する。デジタルカメラ100は、動画及び静止画を撮像可能な撮像装置である。
〔1−1.デジタルカメラの構成〕
図1に示すように、デジタルカメラ100は、その正面に光学系110を収納するレンズ鏡筒及びフラッシュ160を備える。デジタルカメラ100は、その上面に静止画レリーズ釦201、ズームレバー202、電源釦203、及びシーン切換ダイヤル209等から構成される操作ユニット150を、備える。
【0011】
図2に示すように、デジタルカメラ100は、その背面に液晶モニタ123、中央釦204、十字釦205、動画レリーズ釦206、及びモード切換スイッチ207等から構成される操作ユニット150を、備える。
【0012】
図3に示すように、デジタルカメラ100は、光学系110、CCDイメージセンサ120、AFE(アナログ・フロント・エンド)121、画像処理部122、バッファメモリ124、液晶モニタ123、コントローラ130、カードスロット141、メモリカード140、フラッシュメモリ142、操作ユニット150及びフラッシュ160を備える。
【0013】
光学系110は、被写体像を形成する。光学系110は、フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113及びシャッタ114を有する。他の実施形態として、光学系110は、光学式手ぶれ補正レンズOIS(Optical Image Stabilizer)を含むものであってもよい。また、光学系110に含まれるレンズは、何枚のレンズから構成されるものであってもよいし、何群のレンズから構成されるものであってもよい。
【0014】
フォーカスレンズ111は、被写体のフォーカス状態を調節するレンズである。ズームレンズ112は、被写体の画角を調節するレンズである。絞り113は、CCDイメージセンサ120に入射する光量を調節する。シャッタ114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113及びシャッタ114それぞれは、DCモータ又はステッピングモータ等の駆動ユニットにより、コントローラ130から発行される制御信号に従って駆動される。
【0015】
CCDイメージセンサ120は、光学系110により形成された被写体像を撮像する撮像素子である。CCDイメージセンサ120は、被写体像を写すフレーム(コマ)の画像データを生成する。
【0016】
AFE(Analog Front End)121は、CCDイメージセンサ120により生成された画像データに対して、各種処理を施す。具体的には、AFE121は、相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるA/Dコンバータの入力レンジ幅への増幅、A/DコンバータによるA/D変換等の処理を施す。
【0017】
画像処理部122は、AFE121により各種処理が施された画像データに対して、各種処理を施す。画像処理部122は、画像データに対して、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、縮小処理、拡大処理等の処理を、施す。このような処理を画像データに対して実行することによって、画像処理部122は、スルー画像及び記録画像を生成する。本実施形態では、画像処理部122は、プログラムを実行するマイクロコンピュータである。しかしながら、他の実施形態では、画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路であってもよい。また、画像処理部122は、コントローラ130等と一体的に構成されるものであってもよい。
【0018】
画像処理部122は、コントローラ130からの命令に基づいて、切り出し部122aの処理、及び表示用画像データ作成部122bの処理を、実行する。また、縮小画像を作成する必要がある場合には、画像処理部122は、コントローラ130からの命令に基づいて、縮小画像データ作成部122cの処理を、実行する。切り出し部122aの処理、表示用画像データ作成部122bの処理、及び縮小画像データ作成部122cの処理の詳細については、後述される。
【0019】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。コントローラ130は、ROM及びCPU等により構成される。ROMには、ファイル制御、オートフォーカス制御(AF制御)、自動露出制御(AE制御)、フラッシュ160の発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムが、格納されている。
【0020】
コントローラ130は、ROMに格納されているプログラムをCPUにより実行することにより、撮影モード設定部130a、及び切り出し領域決定部130bを制御する。撮影モード設定部130a、及び切り出し領域決定部130bの動作の詳細については、後述される。
【0021】
コントローラ130は、画像処理部122により各種処理が施された画像データを、静止画データ又は動画データとして、メモリカード140及びフラッシュメモリ142(以下、メモリカード140等)に記録する。コントローラ130は、本実施形態では、プログラムを実行するマイクロコンピュータであるが、他の実施形態では、ハードワイヤードな電子回路であってもよい。コントローラ130は、画像処理部122等と一体的に構成されるものであってもよい。
【0022】
液晶モニタ123は、スルー画像及び記録画像等の画像を、表示する。スルー画像及び記録画像は、画像処理部122により生成される。スルー画像は、デジタルカメラ100が撮影モードに設定されている間に一定の時間間隔で連続的に生成される一連の画像である。詳細には、一連の画像に対応する一連の画像データは、一定の時間間隔でCCDイメージセンサ120により生成される。ユーザは、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影することができる。
【0023】
記録画像は、メモリカード140等に記録されている静止画データ又は動画データを、デコード(伸張)することにより得られる画像である。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードに設定されている時に、液晶モニタ123上に表示される。他の実施形態では、液晶モニタ123の代わりに、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等のような、画像を表示可能な任意のディスプレイが、使用されてもよい。
【0024】
バッファメモリ124は、画像処理部122及びコントローラ130のワークメモリとして機能する揮発性の記憶媒体である。本実施形態では、バッファメモリ124は、DRAMである。
【0025】
フラッシュメモリ142は、デジタルカメラ100の内部メモリである。フラッシュメモリ142は、不揮発性の記録媒体である。フラッシュメモリ142は、図示しないカスタマイズ項目登録領域及び現在値保持領域を、有する。
【0026】
カードスロット141には、メモリカード140が着脱可能に挿入される。カードスロット141は、メモリカード140と電気的及び機械的に接続される。
【0027】
メモリカード140は、デジタルカメラ100の外部メモリである。メモリカード140は、不揮発性の記録媒体である。
【0028】
操作ユニット150は、ユーザから操作を受け付ける操作インターフェースである。操作ユニット150は、デジタルカメラ100の外装に配置される操作釦や操作ダイヤル等の総称である。操作ユニット150は、静止画レリーズ釦201、動画レリーズ釦206、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205、及びモード切換スイッチ207を、含む。操作ユニット150は、ユーザによる操作を受け付けると、直ちに操作の内容に対応する信号を、コントローラ130に送信する。
【0029】
静止画レリーズ釦201は、静止画記録のタイミングを指示するための押下式スイッチである。動画レリーズ釦206は、動画記録の開始/終了のタイミングを指示するための押下式スイッチである。コントローラ130は、レリーズ釦201,206が押下されたタイミングに合わせて静止画データ又は動画データの生成を画像処理部122等に指示し、メモリカード140等内に格納する。
【0030】
ズームレバー202は、画角を広角端と望遠端との間で調節するためのレバーである。コントローラ130は、ズームレバー202に対するユーザの操作に応じて、ズームレンズ112を駆動する。
【0031】
電源釦203は、デジタルカメラ100の各部への電力供給のONとOFFとを切り替えるためのスライド式スイッチである。
【0032】
中央釦204及び十字釦205は、押下式スイッチである。ユーザは、中央釦204及び十字釦205を操作することにより、液晶モニタ123に様々な設定画面(図示しない設定メニュー画面及びクイック設定メニュー画面を含む)を、表示することができる。この設定画面において、ユーザは、様々な撮影条件及び再生条件に関する設定項目の値を、設定することができる。
【0033】
モード切換スイッチ207は、デジタルカメラ100を撮影モード及び再生モードに切り替えるためのスライド式スイッチである。
【0034】
シーン切換ダイヤル209は、シーンモードを切り換えるダイヤルである。シーンモードとは、撮影状況に応じて設定されるモードの総称である。撮影状況に影響を与える要因には、各被写体や撮影環境等が含まれる。シーン切換ダイヤル209の切り換えによって、複数のシーンモードの中のいずれか1つのシーンモードが設定される。
【0035】
複数のシーンモードには、例えば、風景モード、人物モード、夜景モード、手振れ対策可能な夜景モード、及びシーン自動判別モード等が、含まれる。手振れ対策可能な夜景モード(手持ち夜景モード)とは、デジタルカメラ100をユーザが三脚などの固定器具を使わずに、周辺の光量が少ない状態で撮影する場合に適したモードである。
【0036】
ここで、シーン自動判別モードが選択された場合、例えば、風景モード、人物モード、夜景モード、及び手持ち夜景モードの中のいずれか1つのモードが、画像データに基づいて、自動的に設定される。
〔1−2.撮影モードにおける動作〕
以下では、図4を参照して、撮影モードにおける動作について説明する。
【0037】
ユーザが電源釦203を操作してデジタルカメラ100の電源を入れると、コントローラ130は、モード切換スイッチ207の設定を参照する(S401)。詳細には、コントローラ130は、モード切換スイッチ207の設定が撮影モードであるか再生モードであるかを、判断する。そして、モード切換スイッチ207が再生モードに設定されていた場合(S401でNo)、コントローラ130は、撮影モードに関する処理を終了する。
モード切換スイッチ207が撮影モードに設定されていた場合(S401でYes)、コントローラ130は、操作ユニット150で設定されたシーンモードを、参照する(S402)。詳細には、コントローラ130は、シーンモードがシーン自動判別モードであるか否かを、判断する。
【0038】
ここで、シーンモードの説明を行っておく。シーンモードは、デジタルカメラ100に登録されている複数のシーンモードの中から選択される。例えば、ユーザが操作ユニット150を操作してシーン自動判別モード以外を選択した場合は、ここで選択されたシーンモードが、コントローラ130に認識される。より具体的には、風景モード、人物モード、夜景モード、及び手持ち夜景モード等の中のいずれか1つのシーンモードが、ユーザにより選択され、コントローラ130に認識される。一方で、ユーザが操作ユニット150を操作してシーン自動判別モードを選択した場合は、風景モード、人物モード、夜景モード、及び手持ち夜景モード等の中かのいずれか1つのシーンモードが、コントローラ130によって自動的に選択される。
【0039】
シーンモードがシーン自動判別モードであった場合(S402でYes)、コントローラ130は、CCDイメージセンサ120により生成された画像データ(センサ画像データ)を認識する(S406)。そして、コントローラ130は、センサ画像データに基づいて、シーンの自動判別を行う(S407)。この自動判別の結果、コントローラ130は、現在の状況に適合したシーンモードを、複数のシーンモード、例えば、風景モード、人物モード、夜景モード、及び手持ち夜景モードの中から自動的に選択し、設定する。
【0040】
続いて、画像処理部122は、センサ画像データを部分的に切り出す処理を、実行する(S408)。例えば、コントローラ130は、手持ち夜景モードに設定された画角に対応する切り出し領域を、設定する。すると、画像処理部122は、この切り出し領域の画像データを切り出す処理を、実行し、この切り出し領域の画像データを、切り出し画像データとして出力する。その後、画像処理部122は、コントローラ130からの命令に基づいて、切り出し画像データを、所定の大きさ例えば所定の解像度(画素数)に縮小し、表示用の画像データを作成する。すると、この表示用の画像データに基づいて、スルー画像が液晶モニタ123に表示される(S409)。
【0041】
例えば、センサ画像データがRAWデータである場合、センサ画像データから切り出された切り出し画像データは、センサ画像データより大きさは小さいものの、RAWデータである。このように、画像データをRAWデータで取り扱うことによって、画質の劣化を最小限に抑えることができる。そして、このRAWデータである切り出し画像データを、縮小することによって、画面解像度に対応した大きさの表示用の画像データが、生成される。
【0042】
ここで、ユーザにより静止画レリーズ釦201が押下されていた場合は、コントローラ130は、静止画レリーズ釦201の押下状態を検出する(S410)。すると、画像処理部122は、コントローラ130からの命令に基づいて、切り出された画像データを用いて、記録用の画像データを作成する(S411)。すると、コントローラ130は、記録用の画像データを記録部例えばメモリカード140に記録する処理を、実行する(S412)。その後、コントローラ130は、再び、モード切換スイッチ207によって設定されるモード(撮影モード、再生モード)を参照する処理を、実行する(S401)。上記の一連の動作は、ユーザが、モード切換スイッチ207を再生モードに変更するか(S401でNo)、電源を落とすまで、繰り返し実行される。
【0043】
上述したような処理(「S402でYes」である場合の処理)、例えばシーンモードがシーン自動判別モードに設定された場合、センサ画像データが部分的に切り出される(S408を参照)。すなわち、シーン自動判別モードでは、自動判別されたシーンモードが手持ち夜景モードであるかそうでないかに関らず、手持ち夜景モードの画角を基準として、センサ画像データが、切り出し画像データとして、切り出される。そして、この切り出し画像データを用いることによって、常に同じ画角のスルー画像が液晶モニタ123に表示される。
【0044】
これにより、シーン自動判別モードにおいて、シーンモードが自動的に切り換えられたとしても、画像を、常に一定の画角で、液晶モニタ123に表示することができる。すなわち、シーン自動判別モードにおいて、例えば「手持ち夜景モード→手持ち夜景モード以外→手持ち夜景モード→手持ち夜景モード以外」のように、シーンモードが切り換わったとしても、ユーザに対してちらつき感を与えることのない自然な画像を、液晶モニタ123に表示することができる。
【0045】
なお、センサ画像データから切り出し画像データを切り出す処理は、上記のように実行されるが、その他の処理は、各シーンモードの設定に基づいて実行される。
【0046】
一方で、シーンモードがシーン自動判別モード以外に設定されていた場合(S402でNo)、コントローラ130は、センサ画像データを認識する(S403)。続いて、コントローラ130は、現在のシーンモードが手持ち夜景モードであるかどうかを判別する(S404)。
【0047】
現在のシーンモードが手持ち夜景モードに設定されていた場合(S404でYes)、ステップ408(S408)と同様に、画像処理部122は、センサ画像データを部分的に切り出す処理を、実行する(S405)。例えば、画像処理部122は、コントローラ130によって設定された切り出し領域におけるセンサ画像データを、切り出し画像データとして出力する。その後、画像処理部122は、コントローラ130からの命令に基づいて、切り出し画像データを、所定の大きさ例えば所定の解像度(画素数)に縮小し、表示用の画像データを作成する。すると、この表示用の画像データに基づいて、スルー画像が液晶モニタ123に表示される(S409)。
【0048】
現在のシーンモードが手持ち夜景モード以外に設定されていた場合(S404でNo)、画像処理部122は、センサ画像データを用いて表示用の画像データを作成する。この場合、コントローラ130は、画像データの切り出し処理を実行しない。このようにして、表示用の画像データが作成されると、この表示用の画像データを用いて、スルー画像が液晶モニタ123に表示される(S409)。
【0049】
なお、シーンモードがシーン自動判別モード以外である場合(S402でNo)、ステップ410(S410)からステップ412(S412)までの処理は、上記と同様に実行される。そして、ステップ412(S412)の処理が終了すると、ステップ401(S401)の処理が、再び実行される。また、上記の一連の動作は、ユーザが、モード切換スイッチ207を再生モードに変更するか(S401でNo)、電源を落とすまで、繰り返し実行される。
【0050】
上述したような処理(「S402でNo」である場合の処理)では、シーンモードが手持ち夜景モードの場合(「S404でYes」を参照)、センサ画像データが部分的に切り出される(S405を参照)。これに対して、シーンモードが手持ち夜景モード以外の場合(「S404でNo」を参照)、センサ画像データが切り出されない。このため、シーンモードが手持ち夜景モードである場合と、シーンモードがその他のモードである場合とでは、表示用の画像データの画角が異なる。すなわち、同一の被写体が撮影されたとしても、シーンモードが手持ち夜景モードであるか否かによって、スルー画像に違いが生じる。この違いは、記録画像にも同様に生じる。しかしながら、この場合(S402でNoの場合)、上記の場合(S402でYesの場合)のようにシーンモードが自動的に切り換わることがないので、ユーザに対してちらつき感を与えることはない。
〔1−3.特徴〕
上記の実施形態では、シーンモードが手持ち夜景モードである場合、露光中の切り出し位置が変更され、センサ画像データに対して、全体領域よりも小さい領域において、画像データの切り出しが、実行される。また、各画像データの切り出しは、表示用の画像データ及び記録用の画像データを作成する前に、実行される。これにより、光量が少なく長時間の露光が必要である際に発生するノイズを、低減することができる。
【0051】
また、上記の実施形態では、シーンモードがシーン自動判別モードである場合、自動判別されたシーンモードが手持ち夜景モードであるかそうでないかに関らず、手持ち夜景モードの画角を基準として、センサ画像データが、切り出し画像データとして、切り出される。そして、この切り出し画像データを用いて、表示用の画像データを生成することによって、常に自然なスルー画像を、液晶モニタ123に表示することができる。
【0052】
さらに、上記の実施形態では、シーンモードが手動で設定される場合、シーンモードが一旦設定されると、シーンモードが自動的に切り換わることはない。このため、静止画レリーズ釦が押下されていない状態において、上記の一連の動作が、所定の時間間隔、例えば1/30秒に1回実行されていたとしても、ユーザに対してちらつき感を感じさせることのない自然なスルー画像を、液晶モニタ123に表示することができる。
〔2.他の実施形態〕
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0053】
他の実施形態としては、一例として、以下のような実施形態が考えられる。
【0054】
上記の実施形態では、シーンの自動判別の結果(S407)、シーンが手持ち夜景となった場合、ステップ409(S409)において、切り出された画像データを用いて、画像処理部122にて表示用の画像を作成し、液晶モニタ123に表示している。これに代えて、ここでは、切り出された画像データの周囲にダミー画像データを付加し、ダミー画像データが付加された切り出し画像データに基づいて、画像処理部122にて表示用の画像を作成し、液晶モニタ123に表示するようにしてもよい。このような処理を実行しても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、上記の実施形態では、センサ画像データに基づいて、シーンの自動判別が行われた後(S407)、ステップ408(S408)において、手持ち夜景モードに設定された画角に対応する切り出し領域に基づいて、切り出し画像データが切り出されている。これに代えて、ここでは、ステップ407(S407)の後に、センサ画像データを縮小する処理を、コントローラ130に実行させることによって、縮小画像データを出力するようにしてもよい。この処理は、図5に示す縮小画像データ作成部122cにおいて実行される。縮小画像データ作成部122cは、ROMに格納されているプログラムに基づいて、コントローラ130によって制御される。
【0056】
この場合、ステップ408(S408)において、コントローラ130は、手持ち夜景モードに設定された画角に対応する、縮小画像データの切り出し領域を、設定する。次に、コントローラ130は、この切り出し領域の縮小画像データを、切り出し画像データとして出力する。このような処理を実行しても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
上記の他の実施形態とは別に、次のような実施形態を採用してもよい。
【0058】
上記の実施形態では、センサ画像データに対して切り出しを行っている。しかしながら、切り出しを行う画像データは、センサ画像データそのものに限らず、センサ画像データに関連する別の画像データでもよい。例えば、センサ画像データに対して、情報量の間引きや、重ね合わせ等の加工処理を加えたものでもよい。また、画像処理部122を介して生成された表示用の画像や記録用画像に対して切り出し処理を、行ってもよい。
【0059】
上記の実施形態では、シーン自動判別モードにおいて、シーンモードが手持ち夜景モード以外に設定された場合では、手持ち夜景モードと同じ切り出し処理が、センサ画像データに対して常に行われている。すなわち、上記の実施形態では、センサ画像データに基づいて、表示用の画像データと記録用の画像データとが、同じ画角で切り出されている。このような切り出し処理を実行する理由は、液晶モニタ123を通してユーザに報知する表示の画角と、記録された画像の画角との整合性をとるためである。しかしながら、この整合性が不用である場合には、表示用の画像データ及び記録用の画像データのいずれか一方の画像データに対してのみ、切り出し処理を行ってもよい。例えば、ちらつきを抑えることだけを目的とした場合、表示用の画像データのみに対して常時切り出しを行うようにしてもよい。
【0060】
上記の実施形態では、実際にメモリカード140に保存される記録用の画像データは、イメージセンサ120で生成されたセンサ画像データ、又はこのセンサ画像データから切り出しを行った切り出し画像データに基づいて、画像処理部122で作成される。記録用の画像データは、例えば、YC画像データである。なお、記録用の画像データは、必ずしもYC画像データである必要はなく、センサ画像データや切り出し画像データに関連した他の画像データであってもよい。例えば、記録用の画像データは、記録効率を高めるためにJPEG形式に圧縮された画像データでもよい。また、記録用の画像データは、センサ画像データそのものや、切り出し画像データそのものであってもよい。
【0061】
上記の実施形態では、撮影モードでの通常の動作、及び静止画レリーズ釦201が押下された際に、静止画の生成を目的とした切り出し処理が、実行されている。しかしながら、切り出し処理の対象は、静止画だけに限らず、例えば、動画であってもよい。例えば、動画の記録中にシーンの自動判別が行われる場合に、動画データの常時切り出しを実行してもよい。
【0062】
上記の実施形態では、切り出し画像データを所定の大きさに縮小することによって、表示用の画像データが作成される場合の例を示したが、切り出し画像データを所定の大きさに拡大することによって、表示用の画像データが作成されるようにしてもよい。例えば、図4のS408においてセンサ画像データから切り出された切り出し画像データの解像度が、表示用の画像データの解像度より小さい場合、S409において、画像処理部122が、不足する画素データを、切り出し画像データの画素データに基づいて、補間する。これにより、切り出し画像データの解像度が所定の解像度に拡大される。このようにして、画面解像度に対応した大きさの表示用の画像データが、生成される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、撮像装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100 デジタルカメラ
110 光学系
122 画像処理部
122a 切り出し部
122b 表示用画像データ作成部
123c 縮小画像データ作成部
123 液晶モニタ
130 コントローラ
130a 撮影モード設定部
130b 切り出し領域決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを出力する撮像部と、
前記画像データに基づいて、複数の撮影状況モードの中のいずれか1つの撮影状況モードを自動的に選択して設定する撮影状況モード設定部と、
前記撮影状況モード設定部により設定された前記撮影状況モードに応じて、前記画像データの切り出し領域を決定する切り出し領域決定部と、
前記切り出し領域決定部により決定された前記切り出し領域の画像データを、切り出し画像データとして切り出して出力する切り出し部と、
前記切り出し画像データを所定の大きさに設定することによって、表示用画像データを出力する表示用画像データ作成部と、
前記表示用画像データに基づいて画像を表示する表示部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記撮影状況モード設定部は、前記画像データに基づいて、少なくとも1つが所定の画角を有する複数の撮影状況モードにおいて、いずれか1つの撮影状況モードを自動的に選択して設定し、
前記切り出し領域決定部は、前記所定の画角に対応する前記画像データの領域を、前記画像データの切り出し領域として決定する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示用画像データ作成部は、前記切り出し画像データを所定の大きさに縮小又は拡大することによって、表示用画像データを出力する、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像データに対して縮小処理を行うことによって縮小画像データを出力する縮小画像データ作成部、
をさらに備え、
前記切り出し領域決定部は、前記撮影状況モード設定部により設定された前記撮影状況モードに応じて、前記縮小画像データの切り出し領域を決定し、
前記切り出し部は、前記画像切り出し領域決定部により決定された前記切り出し領域の縮小画像データを、切り出し画像データとして切り出して出力する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示用画像データ作成部は、前記切り出し画像データに対して縮小処理及び拡大処理の少なくともいずれか一方の処理を実行することによって、前記表示用画像データを出力する、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示用画像データ作成部は、前記切り出し画像データの大きさを維持し、前記切り出し画像データの周囲にダミー画像データを付加することによって、前記表示用画像データを出力する、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−165350(P2012−165350A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83489(P2011−83489)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】