撮像装置
【課題】付着塵埃を除去するために光学部材を振動させる場合の振動周波数を、適切な範囲に保つことの出来る撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、前記光学部材を振動させる振動手段と、前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【解決手段】本発明の撮像装置は、撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、前記光学部材を振動させる振動手段と、前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置、例えばレンズ交換式デジタル一眼レフカメラにおいて、撮像素子の撮像面側に配置された光学部材に付着した塵埃が撮影画像に写り込むという問題がある。このため、光学部材を、例えば圧電素子を用いて振動させることにより、付着した塵埃を除去する技術がある。
そして、その際、圧電素子の振動周波数を変化させて光学部材の振動状態をモニタリングし、光学部材を共振させる圧電素子の振動周波数を検出し、その周波数で圧電素子を振動させているものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−17461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光学部材の最大共振が強すぎると、撮像装置において不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、付着塵埃を除去するために光学部材を振動させる場合の振動周波数を、適切な範囲に保つことの出来る撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、前記光学部材を振動させる振動手段と、前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、を備えること、を特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、付着塵埃を除去するために光学部材を振動させる場合の振動周波数を、適切な範囲に保つことの出来る撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る一実施形態であるカメラを概念的に示す図である。
【図2】撮像ユニットの分解斜視図である。
【図3】振動クリーニング機構の制御系のブロック構成図である。
【図4】振動クリーニング機構の作動フローチャートである。
【図5】クリーニング動作時における加振周波数に対する共振強度の変化率を示すグラフである。
【図6】クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度とその予測値を示すグラフである。
【図7】第1実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【図8】第2実施形態における、クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度の変化を示すグラフである。
【図9】図8におけるA部拡大図である。
【図10】第2実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【図11】第2実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態であるカメラ1を概念的に示す図である。
なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、適宜XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、通常の撮影位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、通常の撮影位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、通常の撮影位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0010】
カメラ1は、カメラ本体10と、このカメラ本体10に対して着脱可能なレンズ鏡筒100と、によって構成されたレンズ交換式のカメラである。
カメラ本体10は、その内部に、ミラーユニット11,ファインダスクリーン12,ペンタプリズム13,測光素子14,接眼光学系15,シャッター16,固定ミラー17,AF検出素子18,撮像ユニット20,表示装置19,制御装置30等を備えている。
【0011】
ミラーユニット11は、中心付近がハーフミラーとして構成されたメインミラー11aと、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位の背面側に配設されたサブミラー11bとを備えている。
メインミラー11aは、レンズ鏡筒100の光学系101によって集光された被写体像の光路をファインダスクリーン12に向けて屈曲させる位置と、被写体光の撮像ユニット20への入射を妨げない図1中に二点鎖線で示す退避位置との間で、揺動可能に設けられている。
【0012】
サブミラー11bは、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位の裏面側に、回動可能に配設されている。サブミラー11bは、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位を透過した被写体像の光路を、固定ミラー17に向けて屈曲させる。
【0013】
ファインダスクリーン12は、メインミラー11aにより反射された被写体像を結像させるスクリーンであり、メインミラー11aとペンタプリズム13との間に配置されている。
ペンタプリズム13は、断面形状が五角形のプリズムであって、カメラ本体10を横位置に構えた状態の上部に配設されている。ペンタプリズム13は、ファインダスクリーン12に結像した像を正立像として接眼光学系15へと導く。
【0014】
測光素子14は、被写体像光の光量を測定し、その測光情報を制御装置30に出力する。
接眼光学系15は、ペンタプリズム13により正立像となった被写体像を、拡大観察するための光学系であり、ペンタプリズム13の背面側(撮影者側)に配置されている。
シャッター16は、ミラーユニット11と撮像ユニット20との間に配設され、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像ユニット20における後述する撮像素子21に結像する被写体像光の露光時間を制御する。
【0015】
固定ミラー17は、ミラーユニット11におけるサブミラー11bによって反射された被写体像光をさらに反射させてAF検出素子18へと導く。
AF検出素子18は、サブミラー11bおよび固定ミラー17を介して入射する被写体光に基づき、被写体像の結像状態(レンズ鏡筒100における光学系101の焦点調節状態)を検出し、その検出情報を制御装置30に出力する。
【0016】
図2は、撮像ユニット20の分解斜視図である。図2に示すように、撮像ユニット20は、たとえばCCD(Charge−Coupled Device)等の撮像素子21、および光学的ローパスフィルタ(Optical Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)22(第1LPF22−1と第2LPF22−2とを含む)、等を備えている。
撮像素子21は、その受光面に入射するレンズ鏡筒100の光学系101によって集光された被写体像光を画像信号に変換し、その画像情報を制御装置30に出力する。
第2LPF22−2は、撮像素子21の受光面に入射する被写体像光から高周波成分を取り除く。
また、撮像ユニット20は、第2LPF22−2を振動させてその表面に付着した塵埃を除去する振動クリーニング機構50(図2参照)を備えている。この振動クリーニング機構50を含む撮像ユニット20の構成およびその作動制御内容等については、後に詳述する。
【0017】
図1に戻り、表示装置19は、カメラ本体10の外側の背面側(撮影者側)に設けられた液晶等の表示パネルを備えている。表示装置19は、表示パネルに撮影画像や、露光時間等の撮影に関する情報等を表示する。
制御装置30は、CPU等を備えて構成され、前述した当該カメラ本体10の各構成要素およびカメラ本体10に装着されたレンズ鏡筒100を統括的に制御する。
【0018】
そして、カメラ1は、制御装置30によって制御され、撮影時において下記のように作用する。
カメラ本体10が備える図示しないシャッターボタンが押圧操作(レリーズ操作)されると、ミラーユニット11におけるメインミラー11aが退避位置に移動する。シャッター16は、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像ユニット20における撮像素子21に被写体像光を所定時間露光させる。撮像素子21は、被写体像光を電気信号に変換して撮像する。撮像素子21によって撮像された撮像データは、図示しない記録部に記録される。これによって、撮影が行われる。この撮影時において、制御装置30は、測光素子14による測光情報に基づいてシャッター16の開放時間およびレンズ鏡筒100の光学系101における図示しない絞りの開口径を制御駆動して露光を制御する。また、オートフォーカス作動時には、AF検出素子18からの測距情報に基づいてレンズ鏡筒100における光学系101をAF操作する図示しないアクチュエータを制御駆動する。表示装置19は、前述したように、種々の設定情報,撮影情報,撮影画像および設定操作画面等を表示パネルに表示する。
【0019】
図2を参照して、撮像ユニット20について詳細に説明する。撮像ユニット20は、前述した撮像素子21と光学LPF22(第1LPF22−1と第2LPF22−2とを含む)とが、固定用ベース板23に装着されており、その固定用ベース板23を介してカメラ本体10に固定されるように構成されている。また、撮像ユニット20は、前述したように、第2LPF22−2を振動させて、その表面に付着した塵埃を除去する振動クリーニング機構50を備えている。
【0020】
撮像素子21は、所定縦横比の矩形の板状であって、撮像基板21aに実装されている。撮像基板21aは、撮像素子21が光電変換した画像信号を受信してカメラ本体10における制御装置30の図示しない画像処理回路に送出する。
撮像素子21は、防塵ゴム24と第1LPF22−1とを挟んでその前面側に位置する第1保持枠26を、複数の固定ネジ41によって固定用ベース板23に固定することにより、基板21aを介して固定用ベース板23に共締め固定されている。撮像素子21は、その長軸をX軸と平行として(すなわち横長として)配設されている。
【0021】
防塵ゴム24と第1LPF22−1は、固定用ベース板23に締結される第1保持枠26によって撮像素子21の前面ガラスに押圧されて、当該撮像素子21に装着されている。
防塵ゴム24は、撮像素子21と対応する矩形の枠状であって、第1LPF22−1と撮像素子21の前面ガラスに密着し、両者の間への塵埃の侵入を阻止する。
第1LPF22−1は、分光及びフィルタリング特性を持った積層の光学部材である。
第1保持枠26は、撮像素子21の受光面と対応する部分が開口する矩形の枠状の部材である。第1保持枠26の外周面には、後述する固定枠40が係合する係合突起26aが突設されている。
【0022】
第1保持枠26の前面側には、シート付防塵部材27と、第2保持枠28と、第2LPF22−2と、防振スポンジ29とが、固定枠40によって装着されている。
シート付防塵部材27は、第1LPF22−1と第2LPF22−2との間に介在し、両者の間を防塵する。
第2保持枠28は、LPF22の光軸に対して垂直な平面の位置を規定するための部材である。
【0023】
第2LPF22−2は、前述したように、撮像素子21の受光面に入射する被写体像光から高周波成分を取り除くフィルタである。
また、第2LPF22−2の外周には、後述する振動クリーニング機構50における振動体51が取り付けられている。振動体51は、圧電素子51aと、当該圧電素子51aに接続されたフレキシブルプリント基板51bとにより構成されている。圧電素子51aは、第2LPF22−2の一方の辺縁に沿って接着されている。圧電素子51aには、後述する圧電素子駆動回路54(図3参照)から交流の駆動電圧がフレキシブルプリント基板51bを介して印加され、これによって所定の周波数で伸縮し、第2LPF22−2を振動させる。
【0024】
防振スポンジ29は、第2LPF22−2と固定枠40との間に介装され、第2LPF22−2の振動の固定枠40への伝達を防ぐ。
固定枠40は、第1保持枠26と対応する枠状であって、周囲に第1保持枠26の外周に嵌合可能なバネ縁部40aが立設されており、そのバネ縁部40aに係合孔40bが形成されている。固定枠40は、バネ縁部40aが第1保持枠26の外周に嵌り、その係合孔40bに第1保持枠26の係合突起26aが嵌入することで、第1保持枠26に脱落不能に装着される。これにより、第1保持枠26と固定枠40との間に、シート付防塵部材27、第2LPF22−2および防振スポンジ29が装着される。
【0025】
つぎに、前述した図2に加えて図3および図4を参照して、振動クリーニング機構50の構成・作用およびその制御について説明する。図3は、振動クリーニング機構50の制御系のブロック構成図である。図4は、振動クリーニング機構50の作動フローチャートである。
振動クリーニング機構50は、撮像ユニット20に装着された振動体51と、振動制御回路52と、設定情報記憶メモリ53と、圧電素子駆動回路54と、電流センサ55と、電源部56と、操作部57と、表示部58とを備えている。
【0026】
なお、本実施形態においては、振動制御回路52,設定情報記憶メモリ53および圧電素子駆動回路54は、カメラ本体10における制御装置30内に構成されている。また、電源部56は、カメラ本体10における図示しない電源と共通であり、操作部57はカメラ本体10における操作部材(図1には示さない)である。さらに、表示部58は、カメラ本体10における表示装置19である。
【0027】
振動体51は、前述したように、第2LPF22−2に接着された圧電素子51aと、当該圧電素子51aと接続されたフレキシブルプリント基板51bとにより構成されている。
圧電素子51aは、前述したように、第2LPF22−2に対して、一方の辺縁(本実施形態ではY軸)に沿って、電圧の印加による変位方向をX軸方向として設けられている。これにより、圧電素子51aは、交流電圧が印加されるとX軸方向に所定の周波数で伸縮し、第2LPF22−2をX軸方向に振動駆動する。
【0028】
振動制御回路52は、圧電素子駆動回路54に対して駆動信号を送信して、振動体51(圧電素子51a)の駆動を制御する。すなわち、振動制御回路52は、当該振動クリーニング機構50全体の作動を司る。
設定情報記憶メモリ53は、使用者が選択・決定した当該振動クリーニング機構50の駆動パターンや、駆動させるタイミング等の設定を記憶する。
【0029】
圧電素子駆動回路54は、振動制御回路52より信号受信すると、設定された周波数の交流電圧を振動体51の圧電素子51aにフレキシブルプリント基板51bを介して印加する。
電流センサ55は、圧電素子駆動回路54から振動体51に流れる電流(圧電素子51aの消費電流)を検出し、制御情報として振動制御回路52に出力する。
電源部56は、振動制御回路52の制御電流と、振動体51の駆動電流とを供給する。
【0030】
操作部57は、前述したように、カメラ本体10におけるレリーズボタンやダイヤル等によって操作部材によって構成される。
表示部58は、前述したように、カメラ本体10における表示装置19が利用され、振動クリーニング機構50に対して行う制御項目の設定メニューや、当該振動クリーニング機構50の状態等を表示する。
【0031】
そして、振動クリーニング機構50は、振動制御回路52が、操作部57の操作に応じて、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定に基づいて圧電素子駆動回路54に制御信号を送信し、所定の周波数の交流電圧を振動体51(圧電素子51a)に印加して、第2LPF22−2を振動させる(以下、これをクリーニング動作と呼ぶ)。振動体51に供給する交流電圧の周波数は、第2LPF22−2が共振して所定の次数の定在波を生ずる周波数(以下、共振周波数と呼ぶ)に設定されている。本実施形態では、第2LPF22−2の全面を平均的に振動させるために(一つの次数の定在波の共振では振動しない部位が生ずる)、複数の次数(たとえば2次〜5次等)の定在波を生じさせるように、共振周波数は複数設定されている。以下、これらの共振周波数による個々のクリーニング動作を、振動モードと呼ぶ。
【0032】
つぎに、振動制御回路52が行う振動クリーニング機構50の全体的な作動制御を、図4に示すフローチャートに沿って説明する。なお、以下の説明および図4中において、「ステップ」を「S」とも略記する。
【0033】
操作部57によって電源(カメラ本体10の電源ダイヤル)がONされると(S401)、当該振動クリーニング機構50に通電されて回路が作動開始する(S402)。
振動制御回路52は、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定を参照して、電源ON時においてクリーニング動作を行うか否かを判断する(S403)。
ステップ403においてクリーニング動作を行う設定と判断された場合(Yes)には、所定のクリーニング動作を行う(S404)。なお、クリーニング動作の詳細については、後述する。
一方、ステップ403においてクリーニング動作を行わない設定と判断された場合(No)には、ステップ404をスキップする。
【0034】
ステップ403またはステップ404以降、カメラ1(図1参照)は、撮影待機状態となる。この撮影待機中において、使用者によって表示部58に表示されたメニューから操作部57を介して手動によってクリーニング動作が指示されると(S405)、指示された所定のクリーニング動作を行う(S406)。
また、撮影待機中は、電源(カメラ本体10の電源ダイヤル)のOFF操作を判断し続ける(S407)。
ステップ407において電源OFFが判断される(Yes)と、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定を参照して、電源OFF時においてクリーニング動作を行うか否かを判断する(S408)。
【0035】
ステップ408においてクリーニング動作を行う設定と判断された場合(Yes)には、所定のクリーニング動作を行い(S409)、回路動作を終了する(S410)。
一方、ステップ408においてクリーニング動作を行わない設定と判断された場合(No)には、ステップ409をスキップして回路作動を終了する(S410)。
【0036】
(第1実施形態)
つぎに、本発明の第1実施形態にかかる、上記の振動クリーニング機構50におけるクリーニング動作制御について説明する。図5は、クリーニング動作時において、振動体51に加える周波数に対する共振強度の変化率を示すグラフである。図6は、予測値に基づく共振強度の上限規制を説明するクリーニング動作時における動作時間に対する共振強度とその予測値を示すグラフである。図7は、クリーニング動作のフローチャートである。
【0037】
振動クリーニング機構50におけるクリーニング動作は、前述したように、振動体51によって第2LPF22−2を所定の次数の定在波を生ずるように共振させて行う。
ここで、振動制御回路52は、定められた一定の共振周波数を振動体51に印加するのではなく、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定情報に基づいて、設定された共振周波数の近傍の所定範囲内で周波数を変化させて、電圧を振動体51に印加する。つまり、周波数を微少間隔で変化させ、各周波数で所定時間ずつ電圧を振動体51に印加する。その際、第2LPF22−2の共振強度を検知し、周波数とその共振強度とに基づいて共振強度の変化率を逐次観察し、その変化率の変化から共振ピーク周波数を判定する。そして、この判定した共振ピーク周波数で、クリーニング動作を所定時間継続する。
【0038】
なお、本実施形態では、第2LPF22−2に共振が生ずると圧電素子51aの消費電流値が上昇することに着目し、共振強度の検知は、振動体51(圧電素子51a)の消費電流によって行う。
つまり、図3に示す電流センサ55によって検知された振動体51(圧電素子51a)に流れる電流値を、共振強度の指標として制御を行う。具体的には、共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率は、振動体51に加える周波数の変化に対する消費電流値の変化率を用いる。
【0039】
共振ピーク周波数の判定は、振動制御回路52が、周波数が異なる連続する2回の加振による共振強度の差から、周波数の変化に対する共振強度の変化率を算出し、この算出した変化率の変化状況を解析することで行う。
すなわち、周波数を微少間隔で変化させて共振強度を検知する際に、前回の振動体51への印加周波数およびそれに対する共振強度と、今回の印加周波数およびそれに対する共振強度と、から周波数(の差)に対する共振強度の変化率を算出し、これを繰り返すことで周波数に対する共振強度の変化率の変化を観察する。そして、図5に示すように、共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなってやがて略「0」を示した周波数を共振ピーク周波数とする。以下、これを共振ピーク判定と呼ぶ。
【0040】
これは、周波数に対する共振強度の変化率(曲線に対する接線の傾きに対応)は、周波数が共振ピーク周波数に近づくに従って次第に大きくなって最後に急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなって、共振強度のピーク(すなわち共振ピーク周波数)では、「0」となることに依拠している。
なお、実際には周波数を間欠的に変化させるために必ずしも「0」にはならない可能性もあり、予め定めた閾値(図5に示す)以下になった場合も略「0」と判断する。
【0041】
本実施形態では、このように共振強度のピークが、略「0」となる周波数で、第2LPF22−2の振動を、一定時間継続させる。
これにより、撮像ユニット20の個体差(構成要素の寸法のバラツキや組立精度のバラツキに起因する)によって共振ピーク周波数に差異があっても、確実に共振状態として塵埃除去作用を行うことができる。
【0042】
さらに、振動制御回路52は、上記クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値に基づいて共振強度の上限規制を行う。
すなわち、通常、撮像ユニット20において、圧電素子51aにおいて発生する共振強度は、所定範囲内に収まるように設計されているが、例えばネジ41の緩み等により、共振強度が所定範囲より上昇してしまうことがある。この場合、この状況を放置すると、撮像ユニット20に故障等発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、共振強度の変化率が急激に大きくなる際に、その共振強度が、その予測値が予め設定された共振強度の上限値(第1の閾値)を上回る場合(図6)には、クリーニング動作を中止する。
【0043】
これにより、実際の共振強度を、撮像ユニット20を破壊させる上限に近く、かつそれを超えることのない値にまで上昇させることができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、高いクリーニング効果を得ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、前述したように、第2LPF22−2を複数の振動モードでクリーニング動作させる。このため、上記のクリーニング動作を各振動モード毎に行う。たとえば、2次,3次,4次および5次の定在波について、それぞれ(都合4回)クリーニング動作を行う。
【0045】
ここで、振動制御回路52が参照する設定情報記憶メモリ53に記憶された振動駆動に係る設定値は、以下のようなものである。
1.振動モードの数(たとえば、2次振動モード〜5次振動モード)
2.駆動電圧:Vp−p(たとえば40V)
3.周波数帯域:fmin〜fmax(たとえば、3次振動モードの場合では、30〜35kHz)
4.周波数変化方向(低→高または高→低、たとえば、3次振動モードの場合では、30→35kHzまたは35→30kHzの何れか)
5.周波数電圧印加時間(たとえば、350ms)
6.上限電流値:limit(たとえば500mA)
7.クリーニング動作における周波数のステップ間隔:fstep(たとえば、100Hz)
8.クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、0.25ms)
9.総作動時間:T(たとえば、1500ms)
【0046】
つぎに、振動制御回路52が行うクリーニング動作の作動制御を、図7に示すフローチャートに沿ってステップ毎に説明する。なお、以下の説明および図7中において、「ステップ」を「S」とも略記する。
【0047】
[ステップ71]
第2LPF22−2(振動体51)を振動させるための設定値および設定情報を、記憶しているメモリより呼び出して、読み込む。
【0048】
[ステップ72]
データ格納用の変数初期化
1)周波数関連の変数:f0,f,f′
2)電流関数の変数:i0,i1,i
3)共振変化率の変数:a0,a
4)時間変数:t1
【0049】
[ステップ73]
周波数帯域をf=fmin(fmax)の周波数電圧を印加する。
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流を計測し共振状態を観察する。
【0050】
[ステップ74]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が、予め設定された経過時間T0に到達していないか判断する。ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS75へ、到達していると判断された場合(No)にはS77へと進む。
なお、このステップ74は、周波数がfminまたはfmaxに至っているか否かを判断する構成としても良い。
【0051】
[ステップ75]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)の消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
[ステップ76]
i−ilimit≦0 つまり、測定された電流値が上限値に達していないかを判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS78へ、到達していると判断された場合(No)にはS77へと進む。
【0052】
[ステップ77]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。異常動作とされるのは以下の通り。
1)検出電流値上限Over
2)波形未検出のまま駆動時間終了。つまり、共振ピークが見つからなかったことを意味する。
振動クリーニング機構50に何らかの不具合が発生している可能性があるため、ユーザーに対して故障の警告を発信する。
【0053】
[ステップ78]
現在の電流値及び周波数と1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
なお、このステップ78では、時間当たりの電流値の変化率を見ても良い。
【0054】
[ステップ79]
変化率から予測される電流値i1が、上限値を越えていないか判断する。
i1−ilimit≦0
ここで、越えていないと判断された場合(Yes)にはS80へと進み、越えていると判断された場合(No)にはS77へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0055】
[ステップ80]
現在の変化率の2倍の値と、一つ前の変化率とを比較する。
2×a−a0≦0
このステップ80では、変化率に大きな差があるか否かを見ている。つまり、前述した共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率が不連続に極めて小さくなった部位(すなわち共振ピーク周波数に近づいている)か否かを判定するものである。なお、現在の変化率に対する倍数は、2倍に限らず適宜設定可能である。
ここで、現在の変化率の2倍の値が一つ前の変化率越えていると判断された場合(Yes)にはS82へ、越えていないと判断された場合(No)にはS81へと進む。
【0056】
[ステップ81]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入。
このステップ81は、共振ピークを探索する動作を繰り返すためにデータを更新する。
【0057】
[ステップ82]
周波数f0の電圧を印加する。
ステップ82は、検知された共振ピーク周波数(f0)に固定して、クリーニング動作を行う。
【0058】
[ステップ83]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していると判断された場合(Yes)にはクリーニング動作を終了する。到達していないと判断された場合(No)には、ステップ82に戻り周波数f0の電圧を印加する詳細クリーニング動作を継続する。つまり、経過時間T0が経過するまで周波数f0による詳細クリーニング動作を継続する。
【0059】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)撮像ユニット20における振動クリーニング機構50は、所定範囲内で周波数を微少間隔で変化させて電圧を振動体51に印加すると共に第2LPF22−2の共振強度を検知し、周波数に対する共振強度の変化率から共振ピーク判定を行って、この判定した共振ピーク周波数でクリーニング動作を所定時間継続する。共振ピーク判定は、周波数が異なる連続する2回の加振による共振強度の差から、周波数の変化に対する共振強度の変化率を算出し、共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなって略「0」を示した周波数を共振ピーク周波数とする。
これにより、撮像ユニット20の個体差(構成要素の寸法のバラツキや組立精度のバラツキに起因する)によって共振ピーク周波数に差異があっても、最適な共振状態によって塵埃除去作用を行うことができる。
【0060】
(2)振動クリーニング機構50は、クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値が予め設定された共振強度の上限値を上回る場合には、クリーニング動作を中止する。これにより共振強度の上限値を実際に破壊に至る共振強度の近くに設定することができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、振動クリーニング機構50における振動性能を十分に機能させて高いクリーニング効果を得ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度の変化を示すグラフである。図9は、図8におけるA部拡大図である。
第2実施形態は、図8における共振変化率の変化ポイントを境にして、駆動パターン(印加電圧における周波数の変化間隔や周波数毎の印加時間)を、周波数の変化間隔が粗く周波数毎の印加時間が短い探索クリーニング動作と、周波数の変化間隔を細かく周波数毎の印加時間が長い詳細クリーニング動作と、で切り替えて行う。なお、その他、装置の構成及びその他の動作については第1実施形態と同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
【0062】
共振変化率の変化ポイントは、前述の共振周波数判定において説明した、周波数の変化に対する共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなった所(近傍)の周波数に設定する。
【0063】
つまり、周波数を低い側から高い側に変化させてクリーニング動作する場合では、周波数がパターン切替ポイントより低い周波数領域では、共振ピーク周波数から離れているものとして、周波数の変化間隔を粗く、周波数毎の印加時間は短くする(以下、このクリーニング動作を探索クリーニング動作と呼ぶ)。そして、周波数がパターン切替ポイントを越える(高くなる)と、共振ピークに近いものとして周波数の変化間隔を細かく、周波数毎の印加時間も長くする(以下、詳細クリーニング動作と呼ぶ)。
これにより、共振ピーク周波数から離れている周波数領域では探索クリーニング動作で迅速に共振ピークを探り、共振ピーク周波数近傍では詳細クリーニング動作として塵埃除去作用を効率良く行うことができる。
【0064】
そして、第1実施形態と同様に、振動制御回路52は、上記クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値に基づいて共振強度の上限規制を行う。すなわち、第1実施形態の図6に示すように、その予測値が予め設定された共振強度の上限値を上回る場合には、クリーニング動作を中止する。
【0065】
これにより、実際の共振強度によるフィードバック制御ではないために共振強度が上限値を上回る虞は極めて小さく、従って、共振強度の上限値を実際に破壊に至る共振強度と略同等に設定することができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、高いクリーニング効果を得ることができる。
【0066】
第2実施形態で、振動制御回路52が参照する設定情報記憶メモリ53に記憶された振動駆動に係る設定値は、第1実施形態で説明した設定値と同様であるが、探索クリーニング動作及び詳細クリーニング動作のそれぞれについて周波数のステップ間隔及び1ステップ当たりの時間を含む。
すなわち、以下を含む。
7−1.探索クリーニング動作における周波数のステップ間隔:fstep(たとえば、100Hz)
8−1.探索クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、0.25ms)
7−2.詳細クリーニング動作における周波数ステップ:fstep(たとえば、5.0Hz)
8−2.詳細クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、2.0ms)
【0067】
つぎに、振動制御回路52が行うクリーニング動作の作動制御を、図10、図11に示すフローチャートに沿ってステップ毎に説明する。
【0068】
[ステップ101]
第2LPF22−2(振動体51)を振動させるための設定値および設定情報を、記憶しているメモリより呼び出して、読み込む。
【0069】
[ステップ102]
データ格納用の変数初期化
1)周波数関連の変数:f0,f,f′
2)電流関数の変数:i0,i1,i
3)共振変化率の変数:a0,a
4)時間変数:t1
【0070】
[ステップ103]
周波数帯域を探索パターンでf=fmin(fmax)の周波数電圧を印加する。
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流を計測し共振状態を観察する。
【0071】
[ステップ104]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が、予め設定された経過時間T0に到達していないか判断する。ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS905へ、到達していると判断された場合(No)にはS107へと進む。
なお、このステップ104は、周波数がfminまたはfmaxに至っているか否かを判断する構成としても良い。
【0072】
[ステップ105]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)の消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
[ステップ106]
i−ilimit≦0 つまり、測定された電流値が上限値に達していないかを判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS108へ、到達していると判断された場合(No)にはS107へと進む。
【0073】
[ステップ77]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。異常動作とされるのは以下の通り。
1)検出電流値上限Over
2)波形未検出のまま駆動時間終了。つまり、共振ピークが見つからなかったことを意味する。
振動クリーニング機構50に何らかの不具合が発生している可能性があるため、ユーザーに対して故障の警告を発信する。
【0074】
[ステップ108]
現在の電流値及び周波数と1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
なお、このステップ108では、時間当たりの電流値の変化率を見ても良い。
【0075】
[ステップ109]
変化率から予測される電流値が、上限値を越えていないか判断する。
i−ilimit≦0
ここで、越えていないと判断された場合(Yes)にはS110へと進み、越えていると判断された場合(No)にはS107へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0076】
[ステップ110]
現在の変化率の2倍の値と、一つ前の変化率とを比較する。
2×a−a0≦0
このステップ110では、変化率に大きな差があるか否かを見ている。つまり、前述した共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率が不連続に極めて小さくなった部位(すなわち共振ピーク周波数に近づいている)か否かを判定するものである。なお、現在の変化率に対する倍数は、2倍に限らず適宜設定可能である。
ここで、現在の変化率の2倍の値が一つ前の変化率越えていると判断された場合(Yes)にはS112へ、越えていないと判断された場合(No)にはS111へと進む。
【0077】
[ステップ111]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入。
このステップ111は、探索クリーニング動作を繰り返すためにデータを更新する。
【0078】
[ステップ112]
f′にfの値を代入。
このステップ112は、詳細クリーニング動作の開始周波数の設定である。
【0079】
[ステップ113]
詳細パターン制御用パラメータを読み込む。
【0080】
[ステップ114]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS115へ、到達していると判断された場合(No)にはS118へと進む。
【0081】
[ステップ115]
周波数帯域を詳細パターンでf′+fstepの周波数電圧を印加する。
【0082】
[ステップ116]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
【0083】
[ステップ117]
測定された消費電流iの上限値ilimitへの到達を判断する。
i−ilimit≦0
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS119へ、到達していると判断された場合(No)にはS118へと進む。
【0084】
[ステップ118]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。
【0085】
[ステップ119]
現在の電流値及び周波数と、1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
【0086】
[ステップ120]
変化率から予測される電流値が、上限値を越えないか判断する。
i1−ilimit≦0
ここで、越えないと判断された場合(Yes)にはS121へと進み、越えると判断された場合(No)にはS118へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0087】
[ステップ121]
前後の共振変化率の値が0に近い値(閾値は任意)であるかを判断する。
a−a0≒0
ここで、近いと判断された場合(Yes)には、ここが共振ピーク周波数であるとしてS124へ進む。この≒の判断基準は、要求精度に応じて適宜設定する。
一方、近くないと判断された場合(No)には、ステップ110において真の共振ピーク周波数への接近を検出していたか否かを検証するS122へと進む。
なお、真の共振ピーク周波数とは、振動クリーニング機構50における第2LPF22−2がその板面と直交する方向に振動する共振ピーク周波数を言う。これとは異なる方向(たとえば捻れ方向)等の振動の共振ピーク周波数を捕らえると、誤検知になる。
【0088】
[ステップ122]
現在の共振変化率の値が、過去の値を越えているかを判断する。cは係数であって適宜設定可能であり、たとえば1.2に設定する。
a−c×a0>0
ここで、越えていると判断された場合(Yes)にはS101へ、越えていないと判断された場合(No)にはS123へと進む。
このステップ122において、現在の共振変化率の値が過去の値を越えていなければ、真の共振ピーク周波数に接近してなかったとする。
【0089】
[ステップ123]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入する。
このステップ123は、探索クリーニング動作を繰り返すためにデータを更新するものである。
【0090】
[ステップ125]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していると判断された場合(Yes)にはS126へ進む。到達していないと判断された場合(No)には、ステップ124に戻り周波数f0の電圧を印加する詳細クリーニング動作を継続する。つまり、経過時間T0が経過するまで周波数f0による詳細クリーニング動作を継続する。
【0091】
[ステップ126]
次のモードへ移行する。
このようにして設定された全てのモードおよび回数のクリーニング動作が完了した後、クリーニング動作を終了する。
【0092】
以上、第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
(1)振動クリーニング機構50は、クリーニング動作に際し、パターン切替ポイントを境界として、駆動パターンを、周波数の変化間隔が粗く周波数毎の印加時間が短い探索クリーニング動作と、周波数の変化間隔が細かく周波数毎の印加時間が長い詳細クリーニング動作とに、駆動パターンを切り替える。パターン切替ポイントは、周波数の変化に対する共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなった所(近傍)の周波数に設定する。これにより、探索クリーニング動作によって迅速に共振のピークを探り、共振ピーク近傍では詳細クリーニング動作として塵埃除去作用を効率良く行うことができる。その結果、クリーニング動作を短時間で行うことができ、クリーニング動作が迅速な撮影を阻害することを抑制できる。
【0093】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0094】
(1)本実施形態では、第2LPF22−2における共振の検知を、振動体51(圧電素子51a)の消費電流によって行っている。しかし、第2LPF22−2の共振を検知するための指標は、振動体51に流れる電流値に限るものではない。たとえば、振動体51に印加された電圧値の変化や、第2LPF22−2の表面における振動による加速度を光学的に検知してこれらを指標としても良い。
【0095】
(2)本実施形態は、第2LPF22−2を振動クリーニング機構50が振動させて、第2LPF22−2の表面に付着した塵埃を除去する。しかし、振動させて付着した塵埃を除去する部材は光学LPFに限るものではなく、他の機能のフィルタや、塵埃防止専用の光学部材であっても良い。
【0096】
(3)上述の実施形態では、撮像装置としてレンズ交換式のカメラを例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。レンズ交換式に比べると、光学部材に対する外部からの塵埃付着の可能性は低いが、本発明は、レンズ鏡筒の交換ができない、いわゆるコンパクトカメラにも適用可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0097】
1:カメラ、10:カメラ本体、20:撮像ユニット、21:撮像素子、22:光学LPF、50:振動クリーニング機構、51:振動体、51a:圧電素子、52:振動制御回路、53:設定情報記憶メモリ、54:圧電素子駆動回路、55:電流センサ、56:電源部、57:操作部、58:表示部、100:レンズ鏡筒、101:光学系
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置、例えばレンズ交換式デジタル一眼レフカメラにおいて、撮像素子の撮像面側に配置された光学部材に付着した塵埃が撮影画像に写り込むという問題がある。このため、光学部材を、例えば圧電素子を用いて振動させることにより、付着した塵埃を除去する技術がある。
そして、その際、圧電素子の振動周波数を変化させて光学部材の振動状態をモニタリングし、光学部材を共振させる圧電素子の振動周波数を検出し、その周波数で圧電素子を振動させているものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−17461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光学部材の最大共振が強すぎると、撮像装置において不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、付着塵埃を除去するために光学部材を振動させる場合の振動周波数を、適切な範囲に保つことの出来る撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、前記光学部材を振動させる振動手段と、前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、を備えること、を特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、付着塵埃を除去するために光学部材を振動させる場合の振動周波数を、適切な範囲に保つことの出来る撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る一実施形態であるカメラを概念的に示す図である。
【図2】撮像ユニットの分解斜視図である。
【図3】振動クリーニング機構の制御系のブロック構成図である。
【図4】振動クリーニング機構の作動フローチャートである。
【図5】クリーニング動作時における加振周波数に対する共振強度の変化率を示すグラフである。
【図6】クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度とその予測値を示すグラフである。
【図7】第1実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【図8】第2実施形態における、クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度の変化を示すグラフである。
【図9】図8におけるA部拡大図である。
【図10】第2実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【図11】第2実施形態におけるクリーニング動作のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態であるカメラ1を概念的に示す図である。
なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、適宜XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、通常の撮影位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、通常の撮影位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、通常の撮影位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0010】
カメラ1は、カメラ本体10と、このカメラ本体10に対して着脱可能なレンズ鏡筒100と、によって構成されたレンズ交換式のカメラである。
カメラ本体10は、その内部に、ミラーユニット11,ファインダスクリーン12,ペンタプリズム13,測光素子14,接眼光学系15,シャッター16,固定ミラー17,AF検出素子18,撮像ユニット20,表示装置19,制御装置30等を備えている。
【0011】
ミラーユニット11は、中心付近がハーフミラーとして構成されたメインミラー11aと、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位の背面側に配設されたサブミラー11bとを備えている。
メインミラー11aは、レンズ鏡筒100の光学系101によって集光された被写体像の光路をファインダスクリーン12に向けて屈曲させる位置と、被写体光の撮像ユニット20への入射を妨げない図1中に二点鎖線で示す退避位置との間で、揺動可能に設けられている。
【0012】
サブミラー11bは、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位の裏面側に、回動可能に配設されている。サブミラー11bは、メインミラー11aにおけるハーフミラー部位を透過した被写体像の光路を、固定ミラー17に向けて屈曲させる。
【0013】
ファインダスクリーン12は、メインミラー11aにより反射された被写体像を結像させるスクリーンであり、メインミラー11aとペンタプリズム13との間に配置されている。
ペンタプリズム13は、断面形状が五角形のプリズムであって、カメラ本体10を横位置に構えた状態の上部に配設されている。ペンタプリズム13は、ファインダスクリーン12に結像した像を正立像として接眼光学系15へと導く。
【0014】
測光素子14は、被写体像光の光量を測定し、その測光情報を制御装置30に出力する。
接眼光学系15は、ペンタプリズム13により正立像となった被写体像を、拡大観察するための光学系であり、ペンタプリズム13の背面側(撮影者側)に配置されている。
シャッター16は、ミラーユニット11と撮像ユニット20との間に配設され、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像ユニット20における後述する撮像素子21に結像する被写体像光の露光時間を制御する。
【0015】
固定ミラー17は、ミラーユニット11におけるサブミラー11bによって反射された被写体像光をさらに反射させてAF検出素子18へと導く。
AF検出素子18は、サブミラー11bおよび固定ミラー17を介して入射する被写体光に基づき、被写体像の結像状態(レンズ鏡筒100における光学系101の焦点調節状態)を検出し、その検出情報を制御装置30に出力する。
【0016】
図2は、撮像ユニット20の分解斜視図である。図2に示すように、撮像ユニット20は、たとえばCCD(Charge−Coupled Device)等の撮像素子21、および光学的ローパスフィルタ(Optical Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)22(第1LPF22−1と第2LPF22−2とを含む)、等を備えている。
撮像素子21は、その受光面に入射するレンズ鏡筒100の光学系101によって集光された被写体像光を画像信号に変換し、その画像情報を制御装置30に出力する。
第2LPF22−2は、撮像素子21の受光面に入射する被写体像光から高周波成分を取り除く。
また、撮像ユニット20は、第2LPF22−2を振動させてその表面に付着した塵埃を除去する振動クリーニング機構50(図2参照)を備えている。この振動クリーニング機構50を含む撮像ユニット20の構成およびその作動制御内容等については、後に詳述する。
【0017】
図1に戻り、表示装置19は、カメラ本体10の外側の背面側(撮影者側)に設けられた液晶等の表示パネルを備えている。表示装置19は、表示パネルに撮影画像や、露光時間等の撮影に関する情報等を表示する。
制御装置30は、CPU等を備えて構成され、前述した当該カメラ本体10の各構成要素およびカメラ本体10に装着されたレンズ鏡筒100を統括的に制御する。
【0018】
そして、カメラ1は、制御装置30によって制御され、撮影時において下記のように作用する。
カメラ本体10が備える図示しないシャッターボタンが押圧操作(レリーズ操作)されると、ミラーユニット11におけるメインミラー11aが退避位置に移動する。シャッター16は、レリーズ操作に応じて開閉し、撮像ユニット20における撮像素子21に被写体像光を所定時間露光させる。撮像素子21は、被写体像光を電気信号に変換して撮像する。撮像素子21によって撮像された撮像データは、図示しない記録部に記録される。これによって、撮影が行われる。この撮影時において、制御装置30は、測光素子14による測光情報に基づいてシャッター16の開放時間およびレンズ鏡筒100の光学系101における図示しない絞りの開口径を制御駆動して露光を制御する。また、オートフォーカス作動時には、AF検出素子18からの測距情報に基づいてレンズ鏡筒100における光学系101をAF操作する図示しないアクチュエータを制御駆動する。表示装置19は、前述したように、種々の設定情報,撮影情報,撮影画像および設定操作画面等を表示パネルに表示する。
【0019】
図2を参照して、撮像ユニット20について詳細に説明する。撮像ユニット20は、前述した撮像素子21と光学LPF22(第1LPF22−1と第2LPF22−2とを含む)とが、固定用ベース板23に装着されており、その固定用ベース板23を介してカメラ本体10に固定されるように構成されている。また、撮像ユニット20は、前述したように、第2LPF22−2を振動させて、その表面に付着した塵埃を除去する振動クリーニング機構50を備えている。
【0020】
撮像素子21は、所定縦横比の矩形の板状であって、撮像基板21aに実装されている。撮像基板21aは、撮像素子21が光電変換した画像信号を受信してカメラ本体10における制御装置30の図示しない画像処理回路に送出する。
撮像素子21は、防塵ゴム24と第1LPF22−1とを挟んでその前面側に位置する第1保持枠26を、複数の固定ネジ41によって固定用ベース板23に固定することにより、基板21aを介して固定用ベース板23に共締め固定されている。撮像素子21は、その長軸をX軸と平行として(すなわち横長として)配設されている。
【0021】
防塵ゴム24と第1LPF22−1は、固定用ベース板23に締結される第1保持枠26によって撮像素子21の前面ガラスに押圧されて、当該撮像素子21に装着されている。
防塵ゴム24は、撮像素子21と対応する矩形の枠状であって、第1LPF22−1と撮像素子21の前面ガラスに密着し、両者の間への塵埃の侵入を阻止する。
第1LPF22−1は、分光及びフィルタリング特性を持った積層の光学部材である。
第1保持枠26は、撮像素子21の受光面と対応する部分が開口する矩形の枠状の部材である。第1保持枠26の外周面には、後述する固定枠40が係合する係合突起26aが突設されている。
【0022】
第1保持枠26の前面側には、シート付防塵部材27と、第2保持枠28と、第2LPF22−2と、防振スポンジ29とが、固定枠40によって装着されている。
シート付防塵部材27は、第1LPF22−1と第2LPF22−2との間に介在し、両者の間を防塵する。
第2保持枠28は、LPF22の光軸に対して垂直な平面の位置を規定するための部材である。
【0023】
第2LPF22−2は、前述したように、撮像素子21の受光面に入射する被写体像光から高周波成分を取り除くフィルタである。
また、第2LPF22−2の外周には、後述する振動クリーニング機構50における振動体51が取り付けられている。振動体51は、圧電素子51aと、当該圧電素子51aに接続されたフレキシブルプリント基板51bとにより構成されている。圧電素子51aは、第2LPF22−2の一方の辺縁に沿って接着されている。圧電素子51aには、後述する圧電素子駆動回路54(図3参照)から交流の駆動電圧がフレキシブルプリント基板51bを介して印加され、これによって所定の周波数で伸縮し、第2LPF22−2を振動させる。
【0024】
防振スポンジ29は、第2LPF22−2と固定枠40との間に介装され、第2LPF22−2の振動の固定枠40への伝達を防ぐ。
固定枠40は、第1保持枠26と対応する枠状であって、周囲に第1保持枠26の外周に嵌合可能なバネ縁部40aが立設されており、そのバネ縁部40aに係合孔40bが形成されている。固定枠40は、バネ縁部40aが第1保持枠26の外周に嵌り、その係合孔40bに第1保持枠26の係合突起26aが嵌入することで、第1保持枠26に脱落不能に装着される。これにより、第1保持枠26と固定枠40との間に、シート付防塵部材27、第2LPF22−2および防振スポンジ29が装着される。
【0025】
つぎに、前述した図2に加えて図3および図4を参照して、振動クリーニング機構50の構成・作用およびその制御について説明する。図3は、振動クリーニング機構50の制御系のブロック構成図である。図4は、振動クリーニング機構50の作動フローチャートである。
振動クリーニング機構50は、撮像ユニット20に装着された振動体51と、振動制御回路52と、設定情報記憶メモリ53と、圧電素子駆動回路54と、電流センサ55と、電源部56と、操作部57と、表示部58とを備えている。
【0026】
なお、本実施形態においては、振動制御回路52,設定情報記憶メモリ53および圧電素子駆動回路54は、カメラ本体10における制御装置30内に構成されている。また、電源部56は、カメラ本体10における図示しない電源と共通であり、操作部57はカメラ本体10における操作部材(図1には示さない)である。さらに、表示部58は、カメラ本体10における表示装置19である。
【0027】
振動体51は、前述したように、第2LPF22−2に接着された圧電素子51aと、当該圧電素子51aと接続されたフレキシブルプリント基板51bとにより構成されている。
圧電素子51aは、前述したように、第2LPF22−2に対して、一方の辺縁(本実施形態ではY軸)に沿って、電圧の印加による変位方向をX軸方向として設けられている。これにより、圧電素子51aは、交流電圧が印加されるとX軸方向に所定の周波数で伸縮し、第2LPF22−2をX軸方向に振動駆動する。
【0028】
振動制御回路52は、圧電素子駆動回路54に対して駆動信号を送信して、振動体51(圧電素子51a)の駆動を制御する。すなわち、振動制御回路52は、当該振動クリーニング機構50全体の作動を司る。
設定情報記憶メモリ53は、使用者が選択・決定した当該振動クリーニング機構50の駆動パターンや、駆動させるタイミング等の設定を記憶する。
【0029】
圧電素子駆動回路54は、振動制御回路52より信号受信すると、設定された周波数の交流電圧を振動体51の圧電素子51aにフレキシブルプリント基板51bを介して印加する。
電流センサ55は、圧電素子駆動回路54から振動体51に流れる電流(圧電素子51aの消費電流)を検出し、制御情報として振動制御回路52に出力する。
電源部56は、振動制御回路52の制御電流と、振動体51の駆動電流とを供給する。
【0030】
操作部57は、前述したように、カメラ本体10におけるレリーズボタンやダイヤル等によって操作部材によって構成される。
表示部58は、前述したように、カメラ本体10における表示装置19が利用され、振動クリーニング機構50に対して行う制御項目の設定メニューや、当該振動クリーニング機構50の状態等を表示する。
【0031】
そして、振動クリーニング機構50は、振動制御回路52が、操作部57の操作に応じて、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定に基づいて圧電素子駆動回路54に制御信号を送信し、所定の周波数の交流電圧を振動体51(圧電素子51a)に印加して、第2LPF22−2を振動させる(以下、これをクリーニング動作と呼ぶ)。振動体51に供給する交流電圧の周波数は、第2LPF22−2が共振して所定の次数の定在波を生ずる周波数(以下、共振周波数と呼ぶ)に設定されている。本実施形態では、第2LPF22−2の全面を平均的に振動させるために(一つの次数の定在波の共振では振動しない部位が生ずる)、複数の次数(たとえば2次〜5次等)の定在波を生じさせるように、共振周波数は複数設定されている。以下、これらの共振周波数による個々のクリーニング動作を、振動モードと呼ぶ。
【0032】
つぎに、振動制御回路52が行う振動クリーニング機構50の全体的な作動制御を、図4に示すフローチャートに沿って説明する。なお、以下の説明および図4中において、「ステップ」を「S」とも略記する。
【0033】
操作部57によって電源(カメラ本体10の電源ダイヤル)がONされると(S401)、当該振動クリーニング機構50に通電されて回路が作動開始する(S402)。
振動制御回路52は、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定を参照して、電源ON時においてクリーニング動作を行うか否かを判断する(S403)。
ステップ403においてクリーニング動作を行う設定と判断された場合(Yes)には、所定のクリーニング動作を行う(S404)。なお、クリーニング動作の詳細については、後述する。
一方、ステップ403においてクリーニング動作を行わない設定と判断された場合(No)には、ステップ404をスキップする。
【0034】
ステップ403またはステップ404以降、カメラ1(図1参照)は、撮影待機状態となる。この撮影待機中において、使用者によって表示部58に表示されたメニューから操作部57を介して手動によってクリーニング動作が指示されると(S405)、指示された所定のクリーニング動作を行う(S406)。
また、撮影待機中は、電源(カメラ本体10の電源ダイヤル)のOFF操作を判断し続ける(S407)。
ステップ407において電源OFFが判断される(Yes)と、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定を参照して、電源OFF時においてクリーニング動作を行うか否かを判断する(S408)。
【0035】
ステップ408においてクリーニング動作を行う設定と判断された場合(Yes)には、所定のクリーニング動作を行い(S409)、回路動作を終了する(S410)。
一方、ステップ408においてクリーニング動作を行わない設定と判断された場合(No)には、ステップ409をスキップして回路作動を終了する(S410)。
【0036】
(第1実施形態)
つぎに、本発明の第1実施形態にかかる、上記の振動クリーニング機構50におけるクリーニング動作制御について説明する。図5は、クリーニング動作時において、振動体51に加える周波数に対する共振強度の変化率を示すグラフである。図6は、予測値に基づく共振強度の上限規制を説明するクリーニング動作時における動作時間に対する共振強度とその予測値を示すグラフである。図7は、クリーニング動作のフローチャートである。
【0037】
振動クリーニング機構50におけるクリーニング動作は、前述したように、振動体51によって第2LPF22−2を所定の次数の定在波を生ずるように共振させて行う。
ここで、振動制御回路52は、定められた一定の共振周波数を振動体51に印加するのではなく、設定情報記憶メモリ53に記憶された設定情報に基づいて、設定された共振周波数の近傍の所定範囲内で周波数を変化させて、電圧を振動体51に印加する。つまり、周波数を微少間隔で変化させ、各周波数で所定時間ずつ電圧を振動体51に印加する。その際、第2LPF22−2の共振強度を検知し、周波数とその共振強度とに基づいて共振強度の変化率を逐次観察し、その変化率の変化から共振ピーク周波数を判定する。そして、この判定した共振ピーク周波数で、クリーニング動作を所定時間継続する。
【0038】
なお、本実施形態では、第2LPF22−2に共振が生ずると圧電素子51aの消費電流値が上昇することに着目し、共振強度の検知は、振動体51(圧電素子51a)の消費電流によって行う。
つまり、図3に示す電流センサ55によって検知された振動体51(圧電素子51a)に流れる電流値を、共振強度の指標として制御を行う。具体的には、共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率は、振動体51に加える周波数の変化に対する消費電流値の変化率を用いる。
【0039】
共振ピーク周波数の判定は、振動制御回路52が、周波数が異なる連続する2回の加振による共振強度の差から、周波数の変化に対する共振強度の変化率を算出し、この算出した変化率の変化状況を解析することで行う。
すなわち、周波数を微少間隔で変化させて共振強度を検知する際に、前回の振動体51への印加周波数およびそれに対する共振強度と、今回の印加周波数およびそれに対する共振強度と、から周波数(の差)に対する共振強度の変化率を算出し、これを繰り返すことで周波数に対する共振強度の変化率の変化を観察する。そして、図5に示すように、共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなってやがて略「0」を示した周波数を共振ピーク周波数とする。以下、これを共振ピーク判定と呼ぶ。
【0040】
これは、周波数に対する共振強度の変化率(曲線に対する接線の傾きに対応)は、周波数が共振ピーク周波数に近づくに従って次第に大きくなって最後に急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなって、共振強度のピーク(すなわち共振ピーク周波数)では、「0」となることに依拠している。
なお、実際には周波数を間欠的に変化させるために必ずしも「0」にはならない可能性もあり、予め定めた閾値(図5に示す)以下になった場合も略「0」と判断する。
【0041】
本実施形態では、このように共振強度のピークが、略「0」となる周波数で、第2LPF22−2の振動を、一定時間継続させる。
これにより、撮像ユニット20の個体差(構成要素の寸法のバラツキや組立精度のバラツキに起因する)によって共振ピーク周波数に差異があっても、確実に共振状態として塵埃除去作用を行うことができる。
【0042】
さらに、振動制御回路52は、上記クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値に基づいて共振強度の上限規制を行う。
すなわち、通常、撮像ユニット20において、圧電素子51aにおいて発生する共振強度は、所定範囲内に収まるように設計されているが、例えばネジ41の緩み等により、共振強度が所定範囲より上昇してしまうことがある。この場合、この状況を放置すると、撮像ユニット20に故障等発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、共振強度の変化率が急激に大きくなる際に、その共振強度が、その予測値が予め設定された共振強度の上限値(第1の閾値)を上回る場合(図6)には、クリーニング動作を中止する。
【0043】
これにより、実際の共振強度を、撮像ユニット20を破壊させる上限に近く、かつそれを超えることのない値にまで上昇させることができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、高いクリーニング効果を得ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、前述したように、第2LPF22−2を複数の振動モードでクリーニング動作させる。このため、上記のクリーニング動作を各振動モード毎に行う。たとえば、2次,3次,4次および5次の定在波について、それぞれ(都合4回)クリーニング動作を行う。
【0045】
ここで、振動制御回路52が参照する設定情報記憶メモリ53に記憶された振動駆動に係る設定値は、以下のようなものである。
1.振動モードの数(たとえば、2次振動モード〜5次振動モード)
2.駆動電圧:Vp−p(たとえば40V)
3.周波数帯域:fmin〜fmax(たとえば、3次振動モードの場合では、30〜35kHz)
4.周波数変化方向(低→高または高→低、たとえば、3次振動モードの場合では、30→35kHzまたは35→30kHzの何れか)
5.周波数電圧印加時間(たとえば、350ms)
6.上限電流値:limit(たとえば500mA)
7.クリーニング動作における周波数のステップ間隔:fstep(たとえば、100Hz)
8.クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、0.25ms)
9.総作動時間:T(たとえば、1500ms)
【0046】
つぎに、振動制御回路52が行うクリーニング動作の作動制御を、図7に示すフローチャートに沿ってステップ毎に説明する。なお、以下の説明および図7中において、「ステップ」を「S」とも略記する。
【0047】
[ステップ71]
第2LPF22−2(振動体51)を振動させるための設定値および設定情報を、記憶しているメモリより呼び出して、読み込む。
【0048】
[ステップ72]
データ格納用の変数初期化
1)周波数関連の変数:f0,f,f′
2)電流関数の変数:i0,i1,i
3)共振変化率の変数:a0,a
4)時間変数:t1
【0049】
[ステップ73]
周波数帯域をf=fmin(fmax)の周波数電圧を印加する。
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流を計測し共振状態を観察する。
【0050】
[ステップ74]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が、予め設定された経過時間T0に到達していないか判断する。ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS75へ、到達していると判断された場合(No)にはS77へと進む。
なお、このステップ74は、周波数がfminまたはfmaxに至っているか否かを判断する構成としても良い。
【0051】
[ステップ75]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)の消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
[ステップ76]
i−ilimit≦0 つまり、測定された電流値が上限値に達していないかを判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS78へ、到達していると判断された場合(No)にはS77へと進む。
【0052】
[ステップ77]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。異常動作とされるのは以下の通り。
1)検出電流値上限Over
2)波形未検出のまま駆動時間終了。つまり、共振ピークが見つからなかったことを意味する。
振動クリーニング機構50に何らかの不具合が発生している可能性があるため、ユーザーに対して故障の警告を発信する。
【0053】
[ステップ78]
現在の電流値及び周波数と1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
なお、このステップ78では、時間当たりの電流値の変化率を見ても良い。
【0054】
[ステップ79]
変化率から予測される電流値i1が、上限値を越えていないか判断する。
i1−ilimit≦0
ここで、越えていないと判断された場合(Yes)にはS80へと進み、越えていると判断された場合(No)にはS77へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0055】
[ステップ80]
現在の変化率の2倍の値と、一つ前の変化率とを比較する。
2×a−a0≦0
このステップ80では、変化率に大きな差があるか否かを見ている。つまり、前述した共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率が不連続に極めて小さくなった部位(すなわち共振ピーク周波数に近づいている)か否かを判定するものである。なお、現在の変化率に対する倍数は、2倍に限らず適宜設定可能である。
ここで、現在の変化率の2倍の値が一つ前の変化率越えていると判断された場合(Yes)にはS82へ、越えていないと判断された場合(No)にはS81へと進む。
【0056】
[ステップ81]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入。
このステップ81は、共振ピークを探索する動作を繰り返すためにデータを更新する。
【0057】
[ステップ82]
周波数f0の電圧を印加する。
ステップ82は、検知された共振ピーク周波数(f0)に固定して、クリーニング動作を行う。
【0058】
[ステップ83]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していると判断された場合(Yes)にはクリーニング動作を終了する。到達していないと判断された場合(No)には、ステップ82に戻り周波数f0の電圧を印加する詳細クリーニング動作を継続する。つまり、経過時間T0が経過するまで周波数f0による詳細クリーニング動作を継続する。
【0059】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)撮像ユニット20における振動クリーニング機構50は、所定範囲内で周波数を微少間隔で変化させて電圧を振動体51に印加すると共に第2LPF22−2の共振強度を検知し、周波数に対する共振強度の変化率から共振ピーク判定を行って、この判定した共振ピーク周波数でクリーニング動作を所定時間継続する。共振ピーク判定は、周波数が異なる連続する2回の加振による共振強度の差から、周波数の変化に対する共振強度の変化率を算出し、共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなって略「0」を示した周波数を共振ピーク周波数とする。
これにより、撮像ユニット20の個体差(構成要素の寸法のバラツキや組立精度のバラツキに起因する)によって共振ピーク周波数に差異があっても、最適な共振状態によって塵埃除去作用を行うことができる。
【0060】
(2)振動クリーニング機構50は、クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値が予め設定された共振強度の上限値を上回る場合には、クリーニング動作を中止する。これにより共振強度の上限値を実際に破壊に至る共振強度の近くに設定することができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、振動クリーニング機構50における振動性能を十分に機能させて高いクリーニング効果を得ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、クリーニング動作時における動作時間に対する共振強度の変化を示すグラフである。図9は、図8におけるA部拡大図である。
第2実施形態は、図8における共振変化率の変化ポイントを境にして、駆動パターン(印加電圧における周波数の変化間隔や周波数毎の印加時間)を、周波数の変化間隔が粗く周波数毎の印加時間が短い探索クリーニング動作と、周波数の変化間隔を細かく周波数毎の印加時間が長い詳細クリーニング動作と、で切り替えて行う。なお、その他、装置の構成及びその他の動作については第1実施形態と同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
【0062】
共振変化率の変化ポイントは、前述の共振周波数判定において説明した、周波数の変化に対する共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなった所(近傍)の周波数に設定する。
【0063】
つまり、周波数を低い側から高い側に変化させてクリーニング動作する場合では、周波数がパターン切替ポイントより低い周波数領域では、共振ピーク周波数から離れているものとして、周波数の変化間隔を粗く、周波数毎の印加時間は短くする(以下、このクリーニング動作を探索クリーニング動作と呼ぶ)。そして、周波数がパターン切替ポイントを越える(高くなる)と、共振ピークに近いものとして周波数の変化間隔を細かく、周波数毎の印加時間も長くする(以下、詳細クリーニング動作と呼ぶ)。
これにより、共振ピーク周波数から離れている周波数領域では探索クリーニング動作で迅速に共振ピークを探り、共振ピーク周波数近傍では詳細クリーニング動作として塵埃除去作用を効率良く行うことができる。
【0064】
そして、第1実施形態と同様に、振動制御回路52は、上記クリーニング動作に際し、その時印加している周波数の次に印加する周波数における共振強度を予測して、その予測値に基づいて共振強度の上限規制を行う。すなわち、第1実施形態の図6に示すように、その予測値が予め設定された共振強度の上限値を上回る場合には、クリーニング動作を中止する。
【0065】
これにより、実際の共振強度によるフィードバック制御ではないために共振強度が上限値を上回る虞は極めて小さく、従って、共振強度の上限値を実際に破壊に至る共振強度と略同等に設定することができる。その結果、破壊を的確に防ぎつつ、高いクリーニング効果を得ることができる。
【0066】
第2実施形態で、振動制御回路52が参照する設定情報記憶メモリ53に記憶された振動駆動に係る設定値は、第1実施形態で説明した設定値と同様であるが、探索クリーニング動作及び詳細クリーニング動作のそれぞれについて周波数のステップ間隔及び1ステップ当たりの時間を含む。
すなわち、以下を含む。
7−1.探索クリーニング動作における周波数のステップ間隔:fstep(たとえば、100Hz)
8−1.探索クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、0.25ms)
7−2.詳細クリーニング動作における周波数ステップ:fstep(たとえば、5.0Hz)
8−2.詳細クリーニング動作における1ステップ当たりの時間(たとえば、2.0ms)
【0067】
つぎに、振動制御回路52が行うクリーニング動作の作動制御を、図10、図11に示すフローチャートに沿ってステップ毎に説明する。
【0068】
[ステップ101]
第2LPF22−2(振動体51)を振動させるための設定値および設定情報を、記憶しているメモリより呼び出して、読み込む。
【0069】
[ステップ102]
データ格納用の変数初期化
1)周波数関連の変数:f0,f,f′
2)電流関数の変数:i0,i1,i
3)共振変化率の変数:a0,a
4)時間変数:t1
【0070】
[ステップ103]
周波数帯域を探索パターンでf=fmin(fmax)の周波数電圧を印加する。
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流を計測し共振状態を観察する。
【0071】
[ステップ104]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が、予め設定された経過時間T0に到達していないか判断する。ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS905へ、到達していると判断された場合(No)にはS107へと進む。
なお、このステップ104は、周波数がfminまたはfmaxに至っているか否かを判断する構成としても良い。
【0072】
[ステップ105]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)の消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
[ステップ106]
i−ilimit≦0 つまり、測定された電流値が上限値に達していないかを判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS108へ、到達していると判断された場合(No)にはS107へと進む。
【0073】
[ステップ77]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。異常動作とされるのは以下の通り。
1)検出電流値上限Over
2)波形未検出のまま駆動時間終了。つまり、共振ピークが見つからなかったことを意味する。
振動クリーニング機構50に何らかの不具合が発生している可能性があるため、ユーザーに対して故障の警告を発信する。
【0074】
[ステップ108]
現在の電流値及び周波数と1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
なお、このステップ108では、時間当たりの電流値の変化率を見ても良い。
【0075】
[ステップ109]
変化率から予測される電流値が、上限値を越えていないか判断する。
i−ilimit≦0
ここで、越えていないと判断された場合(Yes)にはS110へと進み、越えていると判断された場合(No)にはS107へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0076】
[ステップ110]
現在の変化率の2倍の値と、一つ前の変化率とを比較する。
2×a−a0≦0
このステップ110では、変化率に大きな差があるか否かを見ている。つまり、前述した共振ピーク周波数の判定における共振強度の変化率が不連続に極めて小さくなった部位(すなわち共振ピーク周波数に近づいている)か否かを判定するものである。なお、現在の変化率に対する倍数は、2倍に限らず適宜設定可能である。
ここで、現在の変化率の2倍の値が一つ前の変化率越えていると判断された場合(Yes)にはS112へ、越えていないと判断された場合(No)にはS111へと進む。
【0077】
[ステップ111]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入。
このステップ111は、探索クリーニング動作を繰り返すためにデータを更新する。
【0078】
[ステップ112]
f′にfの値を代入。
このステップ112は、詳細クリーニング動作の開始周波数の設定である。
【0079】
[ステップ113]
詳細パターン制御用パラメータを読み込む。
【0080】
[ステップ114]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS115へ、到達していると判断された場合(No)にはS118へと進む。
【0081】
[ステップ115]
周波数帯域を詳細パターンでf′+fstepの周波数電圧を印加する。
【0082】
[ステップ116]
振動クリーニング機構50における振動体51(圧電素子51a)に流れる消費電流iを測定し、同時にfの値を保管する。
【0083】
[ステップ117]
測定された消費電流iの上限値ilimitへの到達を判断する。
i−ilimit≦0
ここで、到達していないと判断された場合(Yes)にはS119へ、到達していると判断された場合(No)にはS118へと進む。
【0084】
[ステップ118]
異常動作検出のためクリーニング動作終了。
【0085】
[ステップ119]
現在の電流値及び周波数と、1つ前の該当データを比較して変化率:aを算出する。
a=(i−i0)/(f−f0)
この変化率:aに基づいて次に周波数を印加したときの電流値:i1を算出する。
i1=i+a×fstep
【0086】
[ステップ120]
変化率から予測される電流値が、上限値を越えないか判断する。
i1−ilimit≦0
ここで、越えないと判断された場合(Yes)にはS121へと進み、越えると判断された場合(No)にはS118へと進んでクリーニング動作を終了する。
【0087】
[ステップ121]
前後の共振変化率の値が0に近い値(閾値は任意)であるかを判断する。
a−a0≒0
ここで、近いと判断された場合(Yes)には、ここが共振ピーク周波数であるとしてS124へ進む。この≒の判断基準は、要求精度に応じて適宜設定する。
一方、近くないと判断された場合(No)には、ステップ110において真の共振ピーク周波数への接近を検出していたか否かを検証するS122へと進む。
なお、真の共振ピーク周波数とは、振動クリーニング機構50における第2LPF22−2がその板面と直交する方向に振動する共振ピーク周波数を言う。これとは異なる方向(たとえば捻れ方向)等の振動の共振ピーク周波数を捕らえると、誤検知になる。
【0088】
[ステップ122]
現在の共振変化率の値が、過去の値を越えているかを判断する。cは係数であって適宜設定可能であり、たとえば1.2に設定する。
a−c×a0>0
ここで、越えていると判断された場合(Yes)にはS101へ、越えていないと判断された場合(No)にはS123へと進む。
このステップ122において、現在の共振変化率の値が過去の値を越えていなければ、真の共振ピーク周波数に接近してなかったとする。
【0089】
[ステップ123]
a0=a,i0=i,f0=fの値を代入する。
このステップ123は、探索クリーニング動作を繰り返すためにデータを更新するものである。
【0090】
[ステップ125]
クリーニング動作開始からの現在の時間t1が予め設定された経過時間T0への到達を判断する。
ここで、到達していると判断された場合(Yes)にはS126へ進む。到達していないと判断された場合(No)には、ステップ124に戻り周波数f0の電圧を印加する詳細クリーニング動作を継続する。つまり、経過時間T0が経過するまで周波数f0による詳細クリーニング動作を継続する。
【0091】
[ステップ126]
次のモードへ移行する。
このようにして設定された全てのモードおよび回数のクリーニング動作が完了した後、クリーニング動作を終了する。
【0092】
以上、第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
(1)振動クリーニング機構50は、クリーニング動作に際し、パターン切替ポイントを境界として、駆動パターンを、周波数の変化間隔が粗く周波数毎の印加時間が短い探索クリーニング動作と、周波数の変化間隔が細かく周波数毎の印加時間が長い詳細クリーニング動作とに、駆動パターンを切り替える。パターン切替ポイントは、周波数の変化に対する共振強度の変化率が急激に大きくなった後、不連続に極めて小さくなった所(近傍)の周波数に設定する。これにより、探索クリーニング動作によって迅速に共振のピークを探り、共振ピーク近傍では詳細クリーニング動作として塵埃除去作用を効率良く行うことができる。その結果、クリーニング動作を短時間で行うことができ、クリーニング動作が迅速な撮影を阻害することを抑制できる。
【0093】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0094】
(1)本実施形態では、第2LPF22−2における共振の検知を、振動体51(圧電素子51a)の消費電流によって行っている。しかし、第2LPF22−2の共振を検知するための指標は、振動体51に流れる電流値に限るものではない。たとえば、振動体51に印加された電圧値の変化や、第2LPF22−2の表面における振動による加速度を光学的に検知してこれらを指標としても良い。
【0095】
(2)本実施形態は、第2LPF22−2を振動クリーニング機構50が振動させて、第2LPF22−2の表面に付着した塵埃を除去する。しかし、振動させて付着した塵埃を除去する部材は光学LPFに限るものではなく、他の機能のフィルタや、塵埃防止専用の光学部材であっても良い。
【0096】
(3)上述の実施形態では、撮像装置としてレンズ交換式のカメラを例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。レンズ交換式に比べると、光学部材に対する外部からの塵埃付着の可能性は低いが、本発明は、レンズ鏡筒の交換ができない、いわゆるコンパクトカメラにも適用可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0097】
1:カメラ、10:カメラ本体、20:撮像ユニット、21:撮像素子、22:光学LPF、50:振動クリーニング機構、51:振動体、51a:圧電素子、52:振動制御回路、53:設定情報記憶メモリ、54:圧電素子駆動回路、55:電流センサ、56:電源部、57:操作部、58:表示部、100:レンズ鏡筒、101:光学系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、
前記光学部材を振動させる振動手段と、
前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、
前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、
を備えること、を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記振動手段に流れる電流を測定する電流センサを備え、
前記状態量は、前記電流センサにより検出された前記振動手段に流れる電流値であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、前記状態量の変化率が第2の閾値以下になった際において前記光学部材に加えられている振動の周波数を印加し続けること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、前記振動手段を、第1の制御パラメータに基づき振動周波数を段階的に変化させて振動させ、
前記変化率が徐々に増加した後、不連続に減少した時点で、前記第1の制御パラメータと異なる第2の制御パラメータに切り替え、該第2の制御パラメータに基づき振動周波数を段階的に変化させて振動させること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記第1の制御パラメータ及び前記第2の制御パラメータは、前記振動手段の振動周波数の値を段階的に変化させる場合の変化の割合を含み、
該変化の割合は、前記第1の制御パラメータで制御している場合よりも、前記第2の制御パラメータで制御している場合のほうが小さいこと、
を特徴とする撮像装置。
【請求項1】
撮像面の被写体側に配置されるとともに、結像光学系を通った光を透光する光学部材と、
前記光学部材を振動させる振動手段と、
前記振動手段により振動させられた前記光学部材の共振状態を示す状態量を検出する検出手段と、を備え、
前記光学部材に加える振動の周波数を段階的に増加させ、現在の状態量と前回の状態量とから状態量の変化率を算出し、該変化率を用いて次回の状態量の予測値を求め、該予測値が第1の閾値を超えた場合に、前記振動手段による前記光学部材の振動を停止させる制御手段と、
を備えること、を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記振動手段に流れる電流を測定する電流センサを備え、
前記状態量は、前記電流センサにより検出された前記振動手段に流れる電流値であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、前記状態量の変化率が第2の閾値以下になった際において前記光学部材に加えられている振動の周波数を印加し続けること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、前記振動手段を、第1の制御パラメータに基づき振動周波数を段階的に変化させて振動させ、
前記変化率が徐々に増加した後、不連続に減少した時点で、前記第1の制御パラメータと異なる第2の制御パラメータに切り替え、該第2の制御パラメータに基づき振動周波数を段階的に変化させて振動させること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記第1の制御パラメータ及び前記第2の制御パラメータは、前記振動手段の振動周波数の値を段階的に変化させる場合の変化の割合を含み、
該変化の割合は、前記第1の制御パラメータで制御している場合よりも、前記第2の制御パラメータで制御している場合のほうが小さいこと、
を特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−204958(P2012−204958A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65890(P2011−65890)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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