説明

撮像装置

【課題】操作を煩雑にすることなく、画像データの記録形式に関する機能設定を行うことが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、ダイレクトキー13と、撮像により得られた画像データの記録形式に関する機能設定を行うために使用される。記録形式は、操作キーを2回以上操作することによって、JPEG形式とRAW形式の少なくとも一方に設定される。ダイレクトキー13を1回押下すると、画像データを圧縮ファイル形式とRAW形式の両方で記録する。記録の後、自動的に、記録形式は操作キーが押下される前の記録形式に戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に機能設定を簡単に行える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、メニューキーなどを使って撮像により得られた画像データの画像処理や記録に関する機能設定を行う撮像装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−186607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置において、機能設定は、メニューキーなどを複数回操作することにより行われるため、操作が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、操作を煩雑にすることなく、画像データの記録形式に関する機能設定を行うことが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、ダイレクトボタンを含み、撮像により得られた画像データを圧縮ファイル形式とRAW形式の少なくとも一方の記録形式で記録するよう設定するために2回以上操作される操作部と、操作部の操作に対応して画像データの記録形式の設定を行う制御部とを備え、制御部は、ダイレクトボタンの1回の押下に対応して、画像データを圧縮ファイル形式とRAW形式の両方で記録するよう設定し、レリーズボタンの1回の全押しに対して圧縮ファイル形式とRAW形式の両方で記録した後、ダイレクトボタンが押下される前の記録形式に戻すことを特徴としている。
【0007】
操作部は例えば、画像データの記録画素数、画像データを記録部に記録する際の圧縮率のうち少なくとも1つを設定する際に操作されるように構成されてもよい。
【0008】
また操作部は、撮像時にシャッタ速度または絞り値のうち少なくともいずれかを設定する際に操作されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作を煩雑にすることなく、画像データの記録形式に関する機能設定を行うことが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】撮像装置の正面側から見た斜視図である。
【図3】撮像装置の背面側から見た斜視図である。
【図4】ダイレクトキーが押下される前の第2表示部における表示内容を示す図である。
【図5】ダイレクトキーが押下される前の光学ファインダ内の露光条件表示領域における表示内容を示す図である。
【図6】ダイレクトキーが押下された後の第2表示部における表示内容を示す図である。
【図7】ダイレクトキーが押下された後の光学ファインダ内の露光条件表示領域における表示内容を示す図である。
【図8】ダイレクトキーが押下されて記録形式が変更される流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラである。
【0012】
撮像装置1の撮像に関する部分は、操作部10、制御部30、撮影部50、記録部70、及び表示部90を備える(図1参照)。操作部10は、メニューキー11、方向及び決定キー12、ダイレクトキー13、及びレリーズボタン14を有する(図1〜図3参照)。撮影部50は、絞りを含むレンズ51、シャッタ52、及びCCDなどの撮像素子53を有する。情報表示部90は、光学ファインダ91、及び第1、第2表示部92a、92bを有する。
【0013】
被写体像は、レンズ51を介した光学像として、撮像素子53で撮像される。撮像された画像は、第1表示部92aに表示され、撮像された画像のデータは記録部70に記録される。撮像時の露光条件(シャッタ速度、絞り値、撮像素子53の露光感度)は、使用者による操作部10の設定と、使用者による設定状態に基づく制御部30の演算との少なくとも一方によって決定される。
【0014】
使用者が操作キーとしてのメニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより、撮像により得られた画像データの画像処理または記録に関連する機能設定が行われる。具体的には、画像データの記録形式(JPEG、TIFF、及びRAW)、記録サイズ(記録画素数)、画像データを記録部70に記録する際の圧縮率、撮像素子53の露光感度、シャープネス、コントラストなどが使用者の操作によって設定される。
【0015】
メニューキー11や方向及び決定キー12を操作することによる機能設定は、これらのキーを2回以上操作する必要がある。
【0016】
また、使用者がメニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより、後述するダイレクトキー13を押下することにより機能設定された状態の解除方法が設定される。具体的には、ダイレクトキー13を一度押下することにより、記録形式がRAW形式とJPEG形式の両方で記録されるように設定されるが、この記録形式が1回の撮像動作で解除されて設定前の記録形式に戻される第1パターンと、再度ダイレクトキー13が押下されるまで設定前の記録形式に戻されない第2パターンとのいずれかが設定される。
【0017】
ダイレクトキー13は、撮像装置1を保持した状態で左手親指などによって押下できるように、撮像装置1の前面で且つ前面から見てレンズ51を取り付けるための突出部(レンズマウント部)の右側面に配置される。ダイレクトキー13の1回の押下により、メニューキー11や方向及び決定キー12を操作することによる機能設定が行われた状態(画像データの記録方式が設定された状態)に関わらず、画像データがRAW形式とJPEG形式(他の圧縮ファイル形式でもよい)の両方で記録されるように撮像装置1の機能設定が行われる。すなわち、ダイレクトキー13が押下されると、ダイレクトキー13が押下される前に予めメニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより設定された画像データの記録方式に関わらず、画像データの記録方式がRAW形式とJPEG形式の両方に機能設定される。
【0018】
ダイレクトキー13により機能設定(記録形式の設定)された撮像装置1の状態は、第1パターンが設定されている場合は、レリーズボタン14の全押しによる撮像が行われる前にダイレクトキー13が再度押下されるか、レリーズボタン14の全押しによる撮像が1回行われるか、撮像装置1の電源がオフ状態にされて再度電源がオン状態にされると、ダイレクトキー13の押下により機能設定される前の状態(記録形式)に戻され、第2パターンが設定されている場合は、ダイレクトキー13が再度押下されるか、撮像装置1の電源がオフ状態にされて再度電源がオン状態にされると、ダイレクトキー13の押下により機能設定される前の状態(記録形式)に戻される。
【0019】
これにより、特定の記録形式への変更操作が、ダイレクトキー13を押下する操作だけで行えるため、メニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより記録形式を変更する操作に比べて簡単且つ迅速に行える。特に、RAW形式は、撮像素子53の各画素信号を圧縮処理せずに記録する形式なので、圧縮ファイル形式であるJPEG形式に比べてファイルサイズが大きいため、記録形式の変更操作の解除(設定前の状態に戻すこと)を忘れた場合、記録部70の記録容量を不必要に消費することになるが、本実施形態では、第1パターンに設定されている場合は1回の撮像動作で設定前の記録形式に戻すことが出来るため、このような問題は生じない。
【0020】
被写体像の、レンズ51を介した光学像は、光学ファインダ91によって光学的に観察可能である。
【0021】
レリーズボタン14は、半押しすることにより測光スイッチ(不図示)がオン状態にされAEセンサ(不図示)による測光やAFセンサ(不図示)による測距及び合焦動作が行われる。
【0022】
レリーズボタン14は、全押しすることによりレリーズスイッチ(不図示)がオン状態にされ撮像が行われる。撮像により得られた画像データに対応する画像は、第1表示部92aに表示され、画像データは記録部70に記録される。
【0023】
制御部30は、撮像に関する各部の制御、特に、操作部10の操作に対応して、撮像により得られた画像データの画像処理または記録に関連する機能設定を行う。また、制御部30に接続された(又は内蔵された)ROMなどのメモリに、ダイレクトキー13の押下により行われる機能設定の内容(記録形式がRAW形式とJPEG形式の両方で行われること)が記録される。
【0024】
光学ファインダ91は、使用者の一方の目でのぞき込んで被写体像のレンズ51を介した光学像や、使用者が設定するか測光により算出された露光条件を観察するファインダである。光学ファインダ91は、光学像を表示する領域(不図示)と、シャッタ速度などの露光条件を表示する露光条件表示領域91aを有する(図5、図7参照)。露光条件表示領域91aは、記録可能枚数を示す第1枚数表示領域91a1、シャッタ速度を示す第1シャッタ速度表示領域91a2、及び絞り値を示す第1絞り値表示領域91a3を有する。
【0025】
第1表示部92aは、撮像装置1の背面に配置された表示装置で、撮像により得られた画像を表示する他、記録形式など機能設定に関する情報表示を行う。情報表示を見ながら使用者はメニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより、撮像装置1の機能設定を行うことが可能になる。
【0026】
第2表示部92bは、撮像装置1の上面に配置された表示装置で、露光条件やホワイトバランスなどの画像処理や記録に関する機能設定状態を表示する。第2表示部92bは、記録可能枚数を示す第2枚数表示領域92b1、シャッタ速度を示す第2シャッタ速度表示領域92b2、及び絞り値を示す第2絞り値表示領域92b3を有する(図4、図6参照)。
【0027】
ダイレクトキー13が押下された場合など、記録形式がRAWとJPEGに設定されると、第1枚数表示領域91a1、第2枚数表示領域92b1は、記録部70の空き容量に基づく残り記録可能枚数と、記録形式がRAW形式とJPEG形式の両方であることを示すRAW+マーク(RAWマークは白抜き四角で囲まれる)とを表示する(図6、図7参照)。
【0028】
記録形式がRAW形式に設定されると、第1枚数表示領域91a1、第2枚数表示領域92b1は、記録部70の空き容量に基づく残り記録可能枚数と、記録形式がRAWであることを示すRAWマーク(RAWマークは白抜き四角で囲まれる)とを表示する(不図示)。
【0029】
記録形式がJPEG形式またはTIFF形式に設定されると、第1枚数表示領域91a1、第2枚数表示領域92b1は、記録部70の空き容量に基づく残り記録可能枚数を表示する(図4、図5参照)。
【0030】
これにより、ダイレクトキー13の押下により設定される後の状態が第1枚数表示領域91a1、第2枚数表示領域92b1に表示されるので、ファイルサイズが大きく、残り記録可能枚数を確認する必要性がJPEGなどに比べて高いRAW形式を記録形式として選択した場合に、記録形式と記録可能枚数とを視覚的に認識することが可能になる。
【0031】
次に、ダイレクトキー13が押下されて記録形式が変更される流れを図8のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
ステップS11の撮像待機状態から説明を始める。撮像待機状態とは、撮像装置1の電源がオン状態にされ、撮像動作が可能な状態にされていることをいう。ステップS12で、ダイレクトキー13が押下されると、ステップS13で、制御部30により撮像装置1の画像データの記録形式が、ダイレクトキー13が押下される前に予めメニューキー11や方向及び決定キー12を操作することにより設定された画像データの記録方式に関わらず、RAW形式とJPEG形式の両方で記録するように、機能設定が行われる。
【0033】
ステップS14で、ダイレクトキー13が再度押下されたか否かが判断される。された場合は、ステップS11に戻され、されていない場合はステップS15に進められる。
【0034】
ステップS15で、レリーズボタン14が全押しされると、ステップS16で、撮像動作が行われ、画像処理され、画像処理された画像が第1表示部92aに表示され、RAW形式とJPEG形式の2つの画像データファイルが記録部70に記録される。撮像装置1が連続撮影モードに設定されている場合は、レリーズボタン14が全押しされている間、ステップS16の撮像動作が繰り返し行われる。
【0035】
ステップS17で、撮像装置1が第1パターンに設定されているか否かが判断される。設定されている場合はステップS19に進められ、設定されていない場合はステップS18に進められる。
【0036】
ステップS18で、ダイレクトキー13が押下されたか否かが判断される。押下された場合はステップS19に進められ、押下されていない場合はステップS15に戻される。
【0037】
ステップS19で、記録形式がステップS12でダイレクトキー13が押下される前(設定前)の状態に戻される。
【0038】
咄嗟に撮影状況変化や使用者の作画意図変化が起きた場合、使用者が撮影後に任意に加工可能なRAW形式による記録形式と撮像後に迅速に再生可能な記録形式(JPEG形式など)の両者が好ましいと考え、本実施形態では、ダイレクトキー13の押下により記録形式がRAW形式とJPEG形式の両方で記録するように機能設定される形態を説明したが、他の形式(例えばRAW形式だけ)であってもよい。また、ダイレクトキー13による押下によって変更(機能設定)されるのが、他の機能設定項目であってもよい。例えば、携帯電話にメール送信するために、ファイル形式や画素数などを送信先の携帯電話の仕様に合わせた機能設定や、特定のホワイトバランスゲインを使ったホワイトバランス調整などが挙げられる。
【0039】
また、ダイレクトキー13の押下により行われる機能設定の内容は、予め用意した機能設定の内容(記録形式をRAW形式などに変更すること)に限らず、使用者がメニューキー11や、方向及び決定キー12などを操作することにより、他の機能設定に変更可能であってもよい。この場合、制御部30に接続された(又は内蔵された)RAMなどのメモリに、ダイレクトキー13の押下により行われる機能設定の内容が記録され、他の機能設定に変更されると、機能設定の内容が書き換えられる。
【符号の説明】
【0040】
1 撮像装置
10 操作部
11 メニューキー
12 方向及び決定キー
13 ダイレクトキー
14 レリーズボタン
30 制御部
70 記録部
90 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイレクトボタンを含み、撮像により得られた画像データを圧縮ファイル形式とRAW形式の少なくとも一方の記録形式で記録するよう設定するために2回以上操作される操作部と、
前記操作部の操作に対応して前記画像データの記録形式の設定を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記ダイレクトボタンの1回の押下に対応して、前記画像データを圧縮ファイル形式とRAW形式の両方で記録するよう設定し、レリーズボタンの1回の全押しに対して圧縮ファイル形式とRAW形式の両方で記録した後、前記ダイレクトボタンが押下される前の記録形式に戻すことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記画像データの記録画素数、前記画像データを記録部に記録する際の圧縮率のうち少なくとも1つを設定する際に操作されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記操作部は、撮像時にシャッタ速度または絞り値のうち少なくともいずれかを設定する際に操作されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−80590(P2012−80590A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4123(P2012−4123)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2011−104527(P2011−104527)の分割
【原出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】