説明

撮像装置

【課題】 開閉蓋の位置によらず、表示部を傷つけない撮像装置を提供すること。
【解決手段】 開閉蓋が回動して開いた状態の開き角度をα、開閉蓋と表示部が接触した際の表示部の開き角度をβとした場合に、α−βを所定角以下にし、さらに開閉蓋を2色成形で形成し、先端を弾性部材で構成することで、開閉蓋の位置によらず、表示部を傷つけない撮像装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開閉蓋を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルビデオやデジタルカメラなどの撮像装置においては、ヒンジ機構を有し開閉する表示部を有する場合は、表示部を収納する際、表示部に接触部品がないよう配慮して設計が行われなければならない。これは表示部へ接触することにより表示部に傷が発生することを防ぐためである。ここで、記録メディアや接続端子をゴミや埃から守る開閉蓋を開状態にした際に表示部に接触する位置へ開閉蓋を配置する際、表示部へ傷がつかないよう注意して設計することが求められている。
【0003】
(図6の説明)
図6は従来の撮像装置の開閉蓋が開状態で表示部を収納した外観図である。ここで、200は撮像装置、110は開閉蓋、111は表示部、111aは液晶パネル、111bは筐体外縁である。図6で示した通り、開閉蓋110を開状態で表示部111を収納した際、開閉蓋110は筐体外縁111bに接触している。
【0004】
また、以下に示す特許文献1には、表示部が回転した際、ディスクカバーと筐体外縁が接触する例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−80011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6で示した従来の撮像装置においては、開閉蓋110が開状態では液晶パネル111aが傷つくことはないが、筐体外縁111bは傷つき、また、撮像装置本体の小型化により、開閉蓋110が筐体外縁111bに接触する位置に配置不可能となり、液晶パネル111aに接触する位置に配置せざるを得ないこともありえる。
【0007】
よって本発明の目的は、開閉蓋の位置によらず、表示部を傷つけない撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、開閉可能な表示部と可搬式の記録メディアを装着可能な記録部と回動する蓋を有する撮像装置において、
前記蓋の回動軸は前記表示部の開閉軸と平行であり、前記蓋が回動して開いた状態の開き角度をα、開閉蓋と表示部が接触した際の表示部の開き角度をβとした場合に、α−βが所定角以下であり、
かつ、前記蓋は2色成形で構成されており、少なくとも表示部との当接部が弾性部材で構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の特徴とするところは、前記所定角α−βは、α−β<90°の関係が成り立つことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の他の特徴とするところは、前記蓋の稜線には面取り形状が施されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の他の特徴とするところは、前記蓋の開き角度を決定する開き当接部は剛性部材で構成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の他の特徴とするところは、前記記録メディアは前記蓋の開き角度と略同一を成す角度に配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、開閉蓋が回動して開いた状態の開き角度をα、開閉蓋と表示部が接触した際の表示部の開き角度をβとした場合に、α−βを所定角以下にし、さらに開閉蓋を2色成形で形成し、先端を弾性部材で構成することで、開閉蓋の位置によらず、表示部を傷つけない撮像装置の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2a】本発明の実施例に係る撮像装置の表示部が開いた状態で開閉蓋が閉状態の外観を説明する図である。
【図2b】本発明の実施例に係る撮像装置の表示部が開いた状態で開閉蓋が開状態の外観を説明する図である。
【図3a】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が閉状態の断面を説明する図である。
【図3b】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が開状態の断面を説明する図である。
【図4】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が開いた状態で表示部を収納した際の外観を説明する図である。
【図5a】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の外観を説明する斜視図である。
【図5b】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の外観を説明する別の斜視図である。
【図5c】本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の2色成形の構成を説明する分解図である。
【図6】従来の撮像装置の開閉蓋が開状態で表示部を収納した外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(図1の説明)
図1は本発明の実施例に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。図1に示すように、撮像装置100は、レンズ21、撮像素子22、カメラ信号処理部23、モニタ24、記録メディア15、電源回路26、電池10、制御マイコン28、操作キー29を備える。撮像装置の原理としては、レンズ21を通ってきた光が撮像素子22によって電気信号に変えられ、カメラ信号処理部23によってデジタル処理される。そして像を記録メディア15に記録し、モニタ24に表示する構成となっている。また、撮影者はモニタ24に表示される像を確認しつつ操作キー29を操作する。この操作キー29の操作内容を示すデータは、制御マイコン28により具体的な処理内容を示すコマンドにブレークダウンされた後、各部に供給される。
【0017】
(図2aの説明)
図2aは本発明の実施例に係る撮像装置の表示部が開いた状態で開閉蓋が閉状態の外観を説明する図である。図2aに示す通り、撮像装置100は表示部11を有し、表示部11を収納した際に表示部11が接触する収納面14に開閉蓋12が設けられている。
【0018】
(図2bの説明)
図2bは本発明の実施例に係る撮像装置の表示部が開いた状態で開閉蓋が開状態の外観を説明する図である。図2bに示す通り、撮像装置100は記録メディア15を有し、開閉蓋12は記録メディア15へのゴミや埃の侵入を防ぐ役割を果たしている。なお、蓋の開閉機構に関しては後述するが、蓋の回動軸は表示部の開閉軸と平行である。
【0019】
(図3a、図3bの説明)
図3aは本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が閉状態の断面を説明する図であり、図3bは本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が開状態の断面を説明する図である。開閉蓋12は回転中心12aを有し、回転中心12aを中心に回転することで蓋の開閉を行うことができる。また開閉蓋12は開当接部12bを有し、開状態の際は開当接部12bが撮像装置本体に設けられたストッパー16に当接することで蓋の開動作が止まり規制される。この時の開閉蓋の開き角度をαとするが、開き角度αに関しては後述する。
【0020】
また、本撮像装置100の記録メディア15は開閉蓋の開き角度αとほぼ同一角度α´に配設されており、開閉蓋12が開状態においては記録メディア15を挿入する際に開閉蓋12が挿入方向を示す役割となり、記録メディア15の挿入の操作性が向上する。
【0021】
(図4の説明)
図4は本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋が開いた状態で表示部を収納した際の外観を説明する図である。
【0022】
ここで、100は撮像装置、11は表示部、12は開閉蓋である。
【0023】
図4に示すように、撮像装置100の開閉蓋12が開いた状態で表示部11を収納すると開閉蓋12と表示部11が接触する。ここで、図4で示した通り、開閉蓋12の開き角度をα、開閉蓋12と表示部11が接触した際の表示部の開き角度をβ、開閉蓋12と表示部11の成す角をγとする。開閉蓋12が開いた状態で、
γ<90°・・・(1)
に設定することで、表示部11を収納すると、表示部11が開閉蓋12を閉じる方向へ押すこととなり、ほとんど抵抗なく開閉蓋12は閉じられることとなる。なお、本実施例ではγを約65°に設定している。ここで三角形の外角の定理より
γ=α−β・・・(2)
が成り立つので、(1)、(2)より以下の式が成り立つ。
【0024】
α−β<90°
この場合、前述した通り、開閉蓋12が開いた状態で表示部11を収納すると、表示部11が開閉蓋12を閉じる方向へ押すこととなり、ほとんど抵抗なく開閉蓋12は閉じられる。よって開閉蓋12が開いた状態で表示部11を収納しても開閉蓋12により表示部11が傷つけられることなく、表示部11への傷防止となる。なお、本実施例ではα=約70°、β=約5°に設定している。
【0025】
(図5a、図5b、図5cの説明)
図5aは本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の外観を説明する斜視図であり、図5bは本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の外観を説明する別の斜視図であり、図5cは本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋の2色成形の構成を説明する分解図である。
【0026】
ここで、12は開閉蓋、12bは開当接部、12cは表示部当接部、12dは回転軸1、12eは不図示の検出スイッチ当接部、12fはクリック爪部、12gは不図示の反転バネ当接部、12hは回転軸2、12Aは弾性部材で構成される弾性部、12Bは剛性部材で構成される剛性部である。
【0027】
図5a、図5bに示すように、表示部当接部12cには面取りが施されている。これにより、図4に示した通り、表示部11が表示当接部12cに当接した際、表示部11へ応力が分散され、表示部11に傷がつきにくくなる。
【0028】
また、図5cで示した通り、本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋12は、弾性部12Aと剛性部12Bを有する2色成形で形成されている。ここで、表示部当接部12cは弾性部材で形成されているので、開閉蓋12が開いた状態で表示部11を収納しても表示部当接部12cにより表示部11が傷つけられることなく、表示部11への傷防止となる。
【0029】
図3bで示した通り、開当接部12bが撮像装置本体に設けられたストッパー16に当接することで蓋の開動作が止まり開閉蓋12の開き角度が決定する。ここで、本発明の実施例に係る撮像装置の開閉蓋12に関しては、図5cで示した通り、開当接部12bは剛性部材で形成されているので、開閉蓋12の開き角度は変動することなく固定され、開閉蓋12が開いた状態で表示部11を収納する際、確実に開閉蓋12が閉じられることとなる。
【符号の説明】
【0030】
100‥‥撮像装置
10‥‥電池
11‥‥表示部
12‥‥開閉蓋
12a・・・・回転中心
12b・・・・開当接部
12c・・・・表示部当接部
12d・・・・回転軸1
12e・・・・検出スイッチ当接部
12f・・・・クリック爪部
12g・・・・反転バネ当接部
12h・・・・回転軸2
12A・・・・弾性部
12B・・・・剛性部
14・・・・収納面
15・・・・記録メディア
16・・・・ストッパー
21・・・・レンズ
22・・・・撮像素子
23・・・・カメラ信号処理部
24・・・・モニタ
26・・・・電源
28・・・・制御マイコン
29・・・・操作キー
200‥‥撮像装置
110‥‥開閉蓋
111‥‥表示部
111a・・・・液晶パネル
111b・・・・筐体外縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な表示部と可搬式の記録メディアを装着可能な記録部と回動する蓋を有する撮像装置において、
前記蓋の回動軸は前記表示部の開閉軸と平行であり、前記蓋が回動して開いた状態の開き角度をα、開閉蓋と表示部が接触した際の表示部の開き角度をβとした場合に、α−βが所定角以下であり、
かつ、前記蓋は2色成形で構成されており、少なくとも表示部との当接部が弾性部材で構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定角α−βは、α−β<90°の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記蓋の稜線には面取り形状が施されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記蓋の開き角度を決定する開き当接部を有し、前記開き当接部は剛性部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記記録メディアは前記蓋の開き角度と同一を成す角度に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−105019(P2013−105019A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248639(P2011−248639)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】