説明

撮像装置

【課題】適切な回転方向の手振れ補正を行える撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(100)は、光学系(110)と、光学系を介して結像された像を撮像し、画像データを生成する撮像素子(140)と、自装置の回転方向の振れを検出する検出部(250)と、撮像素子により生成された画像データの領域中の所定の切り出し領域のデータを切り出す切り出し部(160、180)と、切り出した画像データを記録媒体(200)に記録する記録部(180、190)とを備える。切り出し部は、所定の条件(例えば、光学系の焦点距離や撮像装置の動きの量)に応じて回転中心位置を決定し、回転中心位置を中心として、検出部により検出された回転方向の振れの前記撮像素子上で結像された像への影響を低減させるように、切り出し領域を回転させ、当該回転後の切り出し領域から画像データを切り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特に、手振れ補正機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転方向の手振れの影響を低減できる電子カメラを開示する。具体的には、特許文献1に開示された電子カメラは、撮像素子により撮像された画像(撮像画像)全体から一部を切り出して得られる画像の画像データを記憶媒体に記録する。特に、この電子カメラは、撮像画像の切り出し位置を、電子カメラの回転方向の手振れを打ち消す方向に回転させ、これにより、回転方向の手振れの影響を低減した画像データを記憶媒体に記録できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−94877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電子カメラでは、回転手振れ補正のための回転の中心位置が、予め想定した1種類の回転手振れに対応して設定されている。その結果、予め想定した1種類の回転手振れによる影響しか低減することができず、種々の回転手振れによる影響を除去するこができない。
【0005】
本発明は、より適切に回転手振れ補正を実現できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様において、撮像装置は、光学系と、光学系を介して結像された像を撮像し、画像データを生成する撮像素子と、自装置の回転方向の振れを検出する検出部と、撮像素子により生成された画像データの領域中の所定の切り出し領域のデータを切り出す切り出し部と、切り出した画像データを記録媒体に記録する記録部とを備える。切り出し部は、所定の条件(例えば、光学系の焦点距離や撮像装置の動きの量)に応じて回転中心位置を決定し、回転中心位置を中心として、検出部により検出された回転方向の振れの前記撮像素子上で結像された像への影響を低減させるように、切り出し領域を回転させ、当該回転後の切り出し領域から画像データを切り出す。
【発明の効果】
【0007】
上記態様の撮像装置によれば、所定の条件(例えば、光学系の焦点距離や、撮像装置の動きの量)に応じて、回転手振れ補正におけるより適切な回転中心を算出するため、より適切な回転手振れ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デジタルビデオカメラの電気的構成を示すブロック図
【図2】回転手振れ補正を説明するための図
【図3】回転中心位置の決定動作を説明するためのフローチャート
【図4】光学系の焦点距離に応じて変化する回転中心位置を説明するための図
【図5】光学系の焦点距離に応じて回転中心位置を変更する理由を説明するための図
【図6】撮像画像の切り出し位置の決定動作を説明するためのフローチャート
【図7】手振れの方向の種類を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下では、一実施形態として、本発明の思想をデジタルビデオカメラに適用した例を説明する。
【0010】
1.実施の形態1
1−1.概要
本実施形態のデジタルビデオカメラは手振れ補正機能を有する。手振れ補正機能とは、自装置の振れが撮像画像に与える影響を低減する機能である。
【0011】
デジタルビデオカメラは、図7に示すヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の手振れを補正できる。デジタルビデオカメラは、ヨー方向の手振れとピッチ方向の手振れを光学的に補正する。
【0012】
特に、デジタルビデオカメラは、ロール方向(光軸を中心とした回転についての回転方向)の手振れ補正について、撮像画像の切り出し位置をロール方向の手振れを打ち消す方向に回転(移動)させることにより、ロール方向の手振れを電子的に補正する。デジタルビデオカメラは、自装置の焦点距離に応じて、撮像画像の切り出し位置を回転させる回転中心の位置を決定する。これにより、デジタルビデオカメラは、回転手振れ補正におけるより適切な回転中心を算出でき、より適切な回転手振れ補正を行うことができる。
【0013】
1−2.構成
本実施の形態のデジタルビデオカメラの電気的構成について図1を用いて説明する。図1は、デジタルビデオカメラの構成を示すブロック図である。デジタルビデオカメラ100は、1又は複数のレンズからなる光学系110により形成された被写体像をCMOSイメージセンサ140で撮像する。CMOSイメージセンサ140で生成された画像データは、画像処理部160により各種の処理が施され、メモリカード200に格納される。以下、デジタルビデオカメラ100のより詳細な構成を説明する。
【0014】
光学系110は、ズームレンズ、手振れ補正レンズ、フォーカスレンズ、及び絞りにより構成される。ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより、被写体像の拡大、縮小を実現できる。すなわち、ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより焦点距離を変化させ、画角を調整できる。フォーカスレンズを光軸に沿って移動させることにより、被写体像のフォーカス状態を調整することができる。手振れ補正レンズは、光学系110の光軸に垂直な面内で移動可能である。手振れ補正レンズをデジタルビデオカメラ100の振れを打ち消す方向に移動させることで、デジタルビデオカメラ100の振れが撮像画像に与える影響を低減できる。絞りは、使用者の設定に応じて若しくは自動で、その開口部の大きさを変更して、絞りを透過する光の量を調整する。
【0015】
光学系110はさらに、ズームレンズを駆動するズームアクチュエータや、手振れ補正レンズを駆動する手振れ補正アクチュエータや、フォーカスレンズを駆動するフォーカスアクチュエータや、絞りを駆動する絞りアクチュエータを含む。
【0016】
レンズ駆動部120は、光学系110に含まれる各種レンズ及び絞りを駆動する。例えば、レンズ駆動部120は、光学系110に含まれるズームアクチュエータや、フォーカスアクチュエータや、手振れ補正アクチュエータや、絞りアクチュエータを制御する。
【0017】
CMOSイメージセンサ140は、光学系110で形成された被写体像を撮像して、画像データを生成する。CMOSイメージセンサ140は、露光、転送、電子シャッタなどの各種動作を行う。
【0018】
A/Dコンバータ150は、CMOSイメージセンサ140で生成されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換する。
【0019】
画像処理部160は、CMOSイメージセンサ140で生成された画像データに対して各種処理を施して、表示モニタ220に表示するための画像データを生成したり、メモリカード200に格納するための画像データを生成したりする。例えば、画像処理部160は、CMOSイメージセンサ140で生成された画像データに対して、ガンマ補正、ホワイトバランス補正、傷補正などの各種処理を行う。また、画像処理部160は、CMOSイメージセンサ140で生成された画像データを、H.264規格やMPEG2規格に準拠した圧縮形式等により圧縮する。画像処理部160は、DSPやマイコンなどで実現可能である。
【0020】
コントローラ180は、デジタルビデオカメラ全体を制御する制御手段である。コントローラ180は、1つまたは複数の半導体素子などで実現可能である。コントローラ180は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。コントローラ180は、マイコンなどで実現できる。
【0021】
バッファ170は、画像処理部160及びコントローラ180のワークメモリとして機能する。バッファ170は、例えば、DRAM、強誘電体メモリなどで実現できる。
【0022】
カードスロット190は、メモリカード200を装着可能である。カードスロット190は、機械的及び電気的にメモリカード200と接続可能である。メモリカード200は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどを内部に含み、画像処理部160で生成された画像ファイル等のデータを格納可能である。
【0023】
内部メモリ240は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどで構成される。内部メモリ240は、デジタルビデオカメラ100全体を制御するための制御プログラム等を記憶している。
【0024】
操作部材210は、使用者からの操作を受け付けるユーザーインターフェースの総称である。操作部材210は、例えば、使用者からの操作を受け付ける、十字キー、決定釦、タッチパネルを含む。
【0025】
表示モニタ220は、CMOSイメージセンサ140で生成した画像データが示す画像(スルー画像)や、メモリカード200から読み出した画像データが示す画像を表示可能である。また、表示モニタ220は、デジタルビデオカメラ100の各種設定を行うための各種メニュー画面等も表示可能である。
【0026】
ジャイロセンサ250は、デジタルビデオカメラ100の角速度を検出するセンサである。ジャイロセンサ250は、図7に示すように、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向(光学系110の光軸を中心とした周方向)の角速度を検出できる。ジャイロセンサ250は、検出した角速度情報をコントローラ180に通知する。コントローラ180は、ジャイロセンサ250から取得した角速度情報に対して積分処理等を施すことにより、所定の時間にデジタルビデオカメラ100が回転した角度情報を算出することができる。
【0027】
1−3.用語の対応
光学系110は光学系の一例である。CMOSイメージセンサ140は撮像素子の一例である。ジャイロセンサ250は検出部の一例である。画像処理部160とコントローラ180からなる構成は切り出し部の一例である。コントローラ180及びカードスロット190からなる構成またはコントローラ180は記録部の一例である。
【0028】
1−4.回転手振れ補正動作
本実施の形態のデジタルビデオカメラ100は、自装置の振れがCMOSイメージセンサ140上に形成された像に与えた回転方向(ロール方向)の手振れ(以下「回転手振れ」という)の影響を低減できる。すなわち、デジタルビデオカメラ100は、回転方向(ロール方向)の手振れを補正する機能(以下「回転手振れ補正機能」という)を有する。
【0029】
回転手振れ補正の具体的な方法について、図2を用いて説明する。図2は、回転手振れ補正を説明するための模式図である。図2(a)は、撮影者と被写体との関係を説明するための図である。図2(b)は、図2(a)の関係において撮影された画像を示す模式図である。なお、以下では、正常な使用状態での画像撮影時に撮影者により保持されるデジタルビデオカメラ100の姿勢を「正常撮影姿勢」という。デジタルビデオカメラ100の正常撮影姿勢とは、CMOSイメージセンサ140の水平方向及び垂直方向が空間上の水平方向及び鉛直方向とそれぞれ一致するような姿勢である。
【0030】
図2(a)に示すように、デジタルビデオカメラ100の正常撮影姿勢から反時計回り方向にθ°振れた状態で、撮影者により画像が撮影されたとする。この場合、CMOSイメージセンサ140上では、図2(b)に示すように、被写体が時計回り方向にθ°傾いた状態の画像が撮像される。図2(b)において、領域Aは、正常撮影姿勢で画像が撮影されたときに設定される切り出し領域であり、領域Bは、正常撮影姿勢から反時計回り方向にθ°振れた状態で画像が撮影されたときに設定される切り出し領域である。すなわち、デジタルビデオカメラ100は、回転手振れ補正では、回転がないときの切り出し領域Aを、回転中心Pを中心として時計回り方向にθ°回転させた領域Bを、切り出し領域として設定する。そして、領域Bの画像データを切り出す。これにより、被写体が傾いていない画像データが切り出される。このように、回転手振れ補正により回転方向の振れが低減された画像を生成することができる。以下、デジタルビデオカメラ100における回転手振れ補正動作の詳細について説明する。
【0031】
1−4−1.回転中心の算出動作
上述したように、回転手振れ補正においては、回転中心を中心として、デジタルビデオカメラ100の回転方向の振れを打ち消す方向に画像データの切り出し領域を回転させる。特に、本実施形態では、回転手振れ補正における回転中心の位置を所定の条件に応じて設定する。以下、切り出し領域の回転中心の位置の設定方法について図3〜図5を用いて説明する。
【0032】
図3は、回転手振れ補正における回転中心の算出動作を説明するためのフローチャートである。使用者は、操作部材210のうちのモード選択ダイヤルを操作することで、デジタルビデオカメラ100を撮影モードに設定できる。デジタルビデオカメラ100が撮影モードに設定されると(S100)、コントローラ180は、操作部材210のうちのズームレバーを介して行われる画角(焦点距離)の変更指示を監視している。使用者によるズームレバー操作による画角(焦点距離)の変更指示を受けると、コントローラ180は、その指示に応じて、レンズ駆動部120を制御してズームレンズを駆動する。コントローラ180は、駆動後のズームレンズの焦点距離に関する情報(焦点距離情報)を内部のRAMに記憶する(S110)。その後、コントローラ180は、記憶している焦点距離情報に基づいて、回転手振れ補正のための回転中心位置を決定する(S120)。内部メモリ240は焦点距離と回転中心位置とを対応づけた対応テーブルを格納しており、コントローラ18はこのテーブルを参照して、焦点距離情報に基づいて、回転手振れ補正のための回転中心位置を決定することができる。焦点距離と回転中心位置との関係については後述する。その後、コントローラ180は、回転手振れ補正において設定可能な回転角度の最大量である最大回転角度を決定する(S130)。最大回転角度を決定するのは、回転中心の位置によって、切り出し領域を回転できる量が異なるからである。例えば、撮像画像の中心位置に回転中心を設定する場合の方が、撮像画像の中心位置から離れた位置に回転中心を設定する場合よりも、切り出し領域の回転可能量を大きくとることができる。
【0033】
次に、図4を参照して、焦点距離と回転中心位置との関係について説明する。デジタルビデオカメラ100は、光学系110の焦点距離の変動に応じて回転中心位置を変化させる。すなわち、光学系110の焦点距離に応じて、回転中心の撮像画像の中心位置からのシフト量を調整する。具体的には、デジタルビデオカメラ100は、焦点距離が広角寄りである場合の方が、焦点距離が望遠寄りである場合よりも、回転手振れ補正のための回転中心Pを撮像画像のより下側にシフトさせるように回転中心位置を設定する。図4(a)は、焦点距離が比較的小さい場合すなわち画角が広角よりにある場合の回転中心位置を説明した図であり、図4(b)は、焦点距離が比較的大きい場合すなわち画角が望遠よりにある場合の回転中心位置を説明した図である。図4に示すように、焦点距離が比較的小さい場合(広角の場合)の回転中心位置の位置P1の方が、焦点距離が比較的大きい場合の回転中心位置の位置P2よりも、より撮像画像の下側に設定されている。すなわち、焦点距離がより小さくなるほど(すなわち、より広角になるほど)、回転中心位置は画像の中心位置からより離れた位置に設定される。以下このように設定する理由を説明する。
【0034】
歩きながらの撮影する場合には、焦点距離が広角よりの状態で撮像されている場合が多い。この場合、デジタルビデオカメラ100において、使用者の肘を回転中心とした振れ(図5に示す振れA)が、撮像画像に影響を与えやすいと考えられる。一方、焦点距離が望遠寄りの状態で画像が撮像されている場合、使用者が動いていない状態、すなわち、静止した状態で被写体を撮影しているような場合が多い。この場合には、使用者の手首を回転中心とした振れ(図5に示す振れB)が撮像画像に影響を与えやすいと考えられる。このような点から、設定された焦点距離によって、撮像画像に実際に与えられる回転振れの回転中心が異なると考えられる。そこで、本実施形態のデジタルビデオカメラ100では、焦点距離が広角寄りの場合の回転中心の位置を、焦点距離が望遠寄りの場合の回転中心の位置よりも、画像の中心位置からより離れた位置にシフトする。具体的には、焦点距離がより広角になるほど、回転中心の位置を撮像画像の中心位置からより下方の位置に設定する。これにより、回転手振れ補正において、回転振れの影響をより効果的に低減できる。
【0035】
1−4−2.撮像画像の切り出し
次に、上述した方法で決定した回転中心の位置情報、及び最大回転角度情報に基づいて、どのように撮像画像の切り出し位置を決定するかについて図6を用いて説明する。図6は、撮像画像の切り出し位置の決定動作を説明するためのフローチャートである。
【0036】
使用者は、操作部材210のうちのモード選択ダイヤルを操作することで、デジタルビデオカメラ100を撮影モードに設定できる。デジタルビデオカメラ100が撮影モードに設定されると(S200)、コントローラ180は、ジャイロセンサ250からロール方向の角速度情報を取得する(S210)。そして、コントローラ180は、取得したロール方向の角速度情報を積分することで、ロール方向の振れについて角度情報を算出する(S220)。なお、算出した角度情報が示す角度は、前述のステップS130で決定した最大回転角度と比較され、算出した角度情報が示す角度が最大回転角度を超える場合、角度情報が示す値を最大回転角度に設定される。コントローラ180は、前述のステップ120で決定した回転中心位置を中心として、ステップS220で算出した角度情報が示す角度だけ、画像データの切り出し領域Aを回転させる(S230)。回転させた領域から画像を切り出す(S240)。デジタルビデオカメラ100は、切り出した画像データをメモリカード200に記録する。デジタルビデオカメラ100は、ステップS210〜ステップS240までの処理を映像信号の更新頻度に合わせて繰り返す。なお、デジタルビデオカメラ100は、60(HZ)で映像信号を更新するので、ステップS210〜ステップS240の処理も60(HZ)で実行する。
【0037】
1−5.まとめ
本実施形態のデジタルビデオカメラ100は、光学系110と、光学系を介して結像された像を撮像し、画像データを生成する撮像素子CMOSイメージセンサ140と、自装置の回転方向の振れを検出するジャイロセンサ250と、CMOSイメージセンサ140により生成された画像データの領域中の所定の切り出し領域のデータを切り出す、画像処理部160及びコントローラ180からなる構成(切り出し部)と、切り出した画像データをメモリカード200に記録する、コントローラ180及びカードスロット190からなる構成(記録部)とを備える。画像処理部160及びコントローラ180からなる構成(切り出し部)は、所定の条件(本例では、光学系110の焦点距離)に応じて回転中心位置を決定し、回転中心Pの位置を中心として、ジャイロセンサ250により検出された回転方向の振れのCMOSイメージセンサ140上で結像された像への影響を低減させるように、切り出し領域を回転させ、当該回転後の切り出し領域から画像データを切り出す。
【0038】
以上のように、本実施の形態のデジタルビデオカメラ100は、光学系110の焦点距離に応じて、回転手振れ補正のための回転中心Pの位置を変更する。これにより、焦点距離に応じた回転手振れの特性を考慮した回転手振れ補正を実現できる。具体的には、広角寄りでは、肘を中心とした回転手振れが撮像画像に大きく影響すると考えられるのに対し、望遠寄りでは、手首を中心とした回転手振れが撮像画像に大きく影響すると考えられる。そこで、デジタルビデオカメラ100は、このような焦点距離によって異なる回転手振れの特性を考慮した回転手振れ補正を実現できる。
【0039】
2.他の実施の形態
以上、本発明の一実施の形態として実施の形態1を説明した。しかし、実施形態はこれには限定されない。他の実施の形態を以下まとめて説明する。
【0040】
実施の形態1では、焦点距離に応じて、回転手振れ補正のための回転中心の位置を変更したが、回転中心を他の物理量に基づき変更してもよい。
【0041】
例えば、デジタルビデオカメラ100の動きの量に応じて回転中心の位置(シフト量)を変更してもよい。デジタルビデオカメラ100の動き(振動)の量が大きい場合、使用者がデジタルビデオカメラ100を保持して移動している(歩いている、または、走っている)と考えられる。この場合、デジタルビデオカメラ100において、使用者の肘を回転中心とした振れ(図5に示す振れA)が、撮像画像に影響を与えやすいと考えられる。一方、使用者が移動していない場合は、使用者の手首を回転中心とした振れ(図5に示す振れB)が撮像画像に影響を与えやすいと考えられる。そこで、デジタルビデオカメラ100の動きの量がより大きいほど、回転中心の位置を撮像画像の中心位置から、より下方に(遠くに)シフトさせるようにしてもよい。デジタルビデオカメラ100の動き(振動)の量は、ジャイロセンサからの出力に基づきを検出することができる。または、画像から動きベクトルを検出することによっても、デジタルビデオカメラ100の動き(振動)の量を検出できる。そして、コントローラ180は、検出した動き(振動)の量に応じて、回転中心の位置を変更する。このような構成によっても、回転手振れ補正において、回転振れの影響をより効果的に低減できる。
【0042】
または、撮影モード(シーンモード)に応じて、回転手振れ補正のための回転中心の位置を変化させてもよい。撮影モードとしてマクロモードが選択されて画像が撮影されている場合、使用者は動いていないと想定できる。このため、マクロモードが設定されている場合、回転手振れ補正のための回転中心の位置は撮像画像の中心に設定されてもよい(たとえ、焦点距離が広角であったとしても)。
【0043】
また、実施の形態1では、回転手振れ補正のための回転中心の位置を、画像の垂直方向に変化させたが、水平方向に変化させてもよい。例えば、使用者が右手でデジタルビデオカメラ100を保持して画像を撮像する場合、回転手振れ補正のための回転中心の位置を、撮像画像の水平方向の中心からシフトさせてもよい。使用者が右手でデジタルビデオカメラ100を保持している場合、回転手振れの要因となる使用者の手振れが、撮像画像の左右方向の中心よりも右側で発生しやすいと考えられるからである。
【0044】
実施の形態1では、撮像手段として、CMOSイメージセンサ140を例示したが、撮像手段はこれに限定されない。例えば、撮像手段を、CCDイメージセンサやNMOSイメージセンサで構成してもよい。
【0045】
画像処理部160とコントローラ180とは、1つの半導体チップで構成してもよく、別々の半導体チップで構成してもよい。
【0046】
また、デジタルビデオカメラ100は、ロール方向の手振れを、ジャイロセンサ250を介して検出することとした。しかしながら、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、撮像画像に基づいて算出できる回転方向の動きベクトル情報等を用いて検出してもよい。要するに、デジタルビデオカメラ100の振れが撮像素子上に結像される像に与えた回転方向の影響を検出できれば、任意の手段、方法が利用できる。
【0047】
また、デジタルビデオカメラ100は、ステップS210〜ステップS240までの処理を60(HZ)の周波数で実行した。しかしながら、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、ステップS230、S240の処理を映像信号の更新頻度と同等の周波数で実行し、ステップS210、ステップS220の処理をジャイロセンサ250の検出周波数(例えば、4kHZ)で実行するような構成であってもよい。
【0048】
実施の形態1では、画像処理部160で生成された画像ファイル等のデータは、メモリカード200に記録されたが、メモリカード200以外の記録媒体に記録されてもよい。例えば、画像処理部160で生成された画像ファイル等のデータは、デジタルビデオカメラ100に内蔵される記録媒体(ハードディスクや半導体メモリ)に記録されてもよい。
【0049】
実施の形態1では、撮像装置の一例としてデジタルビデオカメラを用いたが、上記の思想は、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付携帯電話、カメラ機能付スマートフォン等、種々の撮像装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、デジタルビデオカメラや、デジタルスチルカメラや、カメラ機能付携帯電話や、カメラ機能付スマートフォン等の撮像装置に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
100 デジタルビデオカメラ
110 光学系
120 レンズ駆動部
140 CMOSイメージセンサ
150 A/Dコンバータ
160 画像処理部
170 バッファ
180 コントローラ
190 カードスロット
200 メモリカード
210 操作部材
220 表示モニタ
240 内部メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系と、
前記光学系を介して結像された像を撮像し、画像データを生成する撮像素子と、
自装置の回転方向の振れを検出する検出部と、
前記撮像素子により生成された画像データの領域中の所定の切り出し領域のデータを切り出す切り出し部と、
前記切り出した画像データを記録媒体に記録する記録部とを備え、
前記切り出し部は、所定の条件に応じて回転中心位置を決定し、前記回転中心位置を中心として、前記検出部により検出された回転方向の振れの前記撮像素子上で結像された像への影響を低減させるように、前記切り出し領域を回転させ、当該回転後の切り出し領域から画像データを切り出す、
撮像装置。
【請求項2】
前記光学系はズームレンズを含み、前記所定の条件は前記光学系の焦点距離である、
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記切出部は、前記光学系の焦点距離が小さい程、前記回転中心を、前記撮像素子により生成された画像データが示す画像の中心位置から、より離れた位置に設定する、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置の動きの量を検出する動き検出部をさらに備え、
前記所定の条件は、前記撮像装置の動きの量である、
請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記切出部は、前記撮像装置の動きの量が大きい程、前記回転中心を、前記撮像素子により生成された画像データが示す画像の中心位置からより離れた位置に設定する、
請求項2に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−17165(P2013−17165A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131302(P2012−131302)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】