説明

撮像装置

【課題】 動作電源の供給が不意に切断されても、安全に終了処理をすることができる撮像装置に関する。
【解決手段】 撮像レンズと、被写体像に応じて画像信号を出力する撮像素子と、画像信号から画像データを生成する画像処理部と、画像データを記録するデータ記録部と、撮像素子および各部の動作を制御する制御部と、第1電源と、予備電源である第2電源と、第1電源または第2電源から供給される電圧から複数の電圧を生成して出力する電源回路と、撮像装置の所定の変化を検知する検知手段と、第1電源から電源回路へ電圧が供給されているときに、検知手段が所定の変化を検知したとき、電源回路への電圧供給元を第1電源から第2電源に切り替える電源切替手段と、電源回路への電圧供給元を第2電源に切り替えたとき、所定の終了動作を行う終了処理手段と、を有してなる撮像装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものであって、詳しくは、動作電源の供給が不意に切断されても、安全に終了処理をすることができる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にデジタルカメラに代表される撮像装置は、動作電源に電池を用いる。電池は本体の内部に設けられた収納部に収納される。これらの電池は乾電池や充電池など種々のものを用いることができる。デジタルカメラの本体に設けられた電池の収納部には、電池が脱落しないように、収納部内に電池を固定する固定爪を備えている。また、電池の収納部は、電池が脱落しないように、デジタルカメラの筐体の一部からなる蓋を備えている。
【0003】
デジタルカメラの動作中に、何等かの要因によって電池が外れた場合、動作電源を不意に喪失することになり、デジタルカメラは予期せぬ状態で停止することになる。ここで、「予期せぬ状態」とは、例えば、レンズ鏡胴が競り出たままで収納されない状態や、撮影処理で行われる画像データ処理の途中の状態をいう。このような予期せぬ状態でデジタルカメラの動作が停止することは、デジタルカメラの故障の要因になり得るため、好ましくない。
【0004】
また、レンズユニットと本体ユニットとを双方向通信インターフェースで結合し、また、レンズユニットと本体ユニットを自在に組み合わせて構成することができるデジタルカメラにおいては、本体ユニット側に電池収納部が設けられている。よって、当該デジタルカメラの動作中に、レンズユニットが本体ユニットと分離すると、上記と同様の予期せぬ状態での停止となり、好ましくない。
【0005】
そこで、動作中に電源が外れそうになったことを検出したときに、予期せぬ状態で停止させることなく、事前に動作を強制終了させる装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1記載の装置によれば、動作電源が無くなる前に、画像データの書き込み途中のデータを廃棄して、既に保存されている画像データを保護するなどの所定の動作をさせることで、余計なデータを記録することなく、電源が復旧したときの動作開始状態を正常なものにすることができる。
【0006】
しかし、特許文献1の装置は、動作電源がいきなり外れてしまったとき、すなわち、強制終了に係る一連の処理を行うこともできない状態に至ったときには、上記のような保護処理をすることができないので、予期せぬ状態での停止をせざるを得ない。また、動作電源が外れそうなことを検出しても、強制終了によって、処理途中の画像データが消滅するなどの不具合が誘発される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、不意に動作電源の供給が断たれても、安全に終了処理をすることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像装置は、撮像レンズと、撮像レンズを介して受光面に結像された被写体像に応じて画像信号を出力する撮像素子と、画像信号に対して所定の信号処理を施し画像データを生成する画像処理部と、画像データを記録するデータ記録部と、撮像素子および各部の動作を制御する制御部と、を備えた撮像装置に関するものであって、撮像装置の平常動作時の電源である第1電源と、第1電源よりも電源容量の小さい予備電源である第2電源と、第1電源または第2電源から供給される電圧から複数の電圧を生成して出力する電源回路と、撮像装置の所定の変化を検知する検知手段と、第1電源から電源回路へ電圧が供給されているときに、検知手段が所定の変化を検知したとき、電源回路への電圧供給元を第1電源から第2電源に切り替える電源切替手段と、電源切替手段が電源回路への電圧供給元を第2電源に切り替えたとき、電源回路から供給される電圧により所定の終了動作を行う終了処理手段と、を有してなることを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
発明によれば、動作電源の予期せぬ切断が生じても、処理中の画像データを保護し、また、レンズ鏡胴を安全な位置に退避させる終了処理を実行する撮像装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る撮像装置の例を示す外観図である。
【図2】上記撮像装置の例を示す機能ブロック図である
【図3】上記撮像装置が有する電源切替部と検知部の例を示す回路図である。
【図4】上記撮像装置が実行する終了処理の例を示すフローチャートである。
【図5】上記撮像処理の別の例を示す外観図である。
【図6】上記撮像装置の別の例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について図面を用いながら説明する。図1は、本発明に係る撮像装置の実施例であるデジタルカメラの外観を示している。図1(a)は正面図、図1(b)は背面図、図3(c)は上面図の例である。図1(a)に示すように、デジタルカメラ10のカメラボティCBの正面には、撮像レンズ(フォーカスレンズを含む)を含む鏡胴ユニット1と、測距用レンズを含む測距ユニット2と、ストロボ発光部3と、リモコン受光部4が配置されている。カメラボディCBの一方の側面部には、メモリカード装填室および電池収納部の蓋5が設けられている。
【0012】
また、図1(b)に示すように、本実施例に係るデジタルカメラ10のカメラボディCBの背面には、操作キー6と、撮像レンズによって図示しない撮像素子に結像された被写体像を画像データとして表示するLCDモニタ7と、電源スイッチ8と、ズームボタン9と、が配置されている。
【0013】
また、図1(c)に示すように、本実施例に係るデジタルカメラ10のカメラボディCBの上面には、レリーズボタンであるSW1と、デジタルカメラ10の動作モードを切り換えるダイアルSW2が配置されている。デジタルカメラ10が有する動作モードには、撮影モードと再生モードがあり、撮影モードには、オートフォーカス撮影モード、マニュアルフォーカス(MF)撮影モードなどがある。
【0014】
次に、本発明に係る撮像装置の機能ブロックの例について図2を用いて説明する。本実施例に係るデジタルカメラ10の各種動作(処理)は、CPUであるプロセッサ104によって制御される。プロセッサ104は、第1撮像信号処理104−1、第2撮像信号処理ブロック104−2、CPU(中央処理ユニット)ブロック104−3、ローカルSRAM(SRAM:スタティックランダムアクセスメモリ)104−4、USB(ユニバーサルシリアルバス)ブロック104−5、シリアルブロック104−6、JPEGコーディック(CODEC)ブロック104−7、リサイズ(RESIZE)ブロック104−8、画像信号表示ブロック104−9、およびメモリカードコントローラブロック104−10を有してなる。これら各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0015】
プロセッサ104の外部には、RAW画像データ、YUV画像データおよびJPEG画像データを保存するためのSRAM(シンクロナスランダムアクセスメモリ)103、RAM107、不揮発性メモリである内蔵メモリ120および制御プログラムが格納されたROM109が配置されており、これらはバスラインを介してプロセッサ104に接続されている。
【0016】
鏡胴ユニット1は、ズーム(ZOOM)レンズ1−1aを有するズーム光学系1−1、フォーカス(FOCUS)レンズ1−2aを有するフォーカス光学系1−2、絞り1−3aを有する絞りユニット1−3およびメカニカルシャッタ(メカシャッタ)1−4aを有するメカシャッタユニット1−4、を備えている。ズーム光学系1−1、フォーカス光学系1−2、絞りユニット1−3およびメカシャッタユニット1−4はそれぞれズーム(ZOOM)モータ1−1b、フォーカスレンズ移動手段としてのフォーカス(FOCUS)モータ1−2b、絞りモータ1−3bおよびメカシャッタモータ1−4bによって駆動される。これらズームモータ1−1b、フォーカスモータ1−2b、絞りモータ1−3bおよびメカシャッタモータ1−4bの各モータはモータドライバ1−5によって駆動され、モータドライバ1−5はプロセッサ104のCPUブロック104−3によって動作が制御される。
【0017】
鏡胴ユニット1のズームレンズ1−1aおよびフォーカスレンズ1−2aは、撮像素子であるCCD101の撮像面上に被写体像を結像するための撮像レンズを構成する。CCD101は、被写体像を電気的な画像信号に変換してF/E−IC(フロントエンドIC)102に向けて出力する。
【0018】
F/E−IC102は、CDS(相関2重サンプリング部)102−1、AGC(自動利得制御部)102−2およびA/D(アナログ−デジタル)変換部102−3を有してなる。F/E−IC102は、CCD101から入力された画像信号に対して、所定の処理を施して、デジタル画像信号に変換する。変換されたデジタル画像信号は、プロセッサ104の第1撮像信号処理ブロック104−1に入力される。このデジタル画像信号はRAW画像データとも呼ばれる。
【0019】
これらの信号処理動作は、第1撮像信号処理ブロック104−1から出力されるVD信号(垂直駆動信号)とHD信号(水平駆動信号)に応じて行われる。TG(タイミングジェネレータ)102−4は、VD信号とHD信号に応じて上記の信号処理動作が行われるように制御をする。第1の撮像信号処理ブロック104−1は、CCD101からF/E−IC102を経由して入力されたデジタル画像信号に対して、ホワイトバランス調整およびγ調整等の信号処理を行う。また、上述したように、第1撮像信号処理ブロック104−1は、F/E−IC102の信号処理動作を制御するTG102−4に対して、VD信号およびHD信号を出力する。
【0020】
プロセッサ104のCPUブロック104−3は、音声記録回路115−1による音声記録動作を制御する。音声記録回路115−1は、マイクロホン(マイク)115−3で変換されマイクロホンアンプ(マイクAMP)115−2によって増幅した音声信号を、CPUブロック104−3の指令に応じて記録する。
【0021】
また、CPUブロック104−3は、音声再生回路116−1の動作も制御する。音声再生回路116−1は、CPUブロック104−3の指令により、適宜なるメモリに記録されている音声信号をオーディオアンプ(オーディオAMP)116−2で増幅してスピーカー116−3に入力し、スピーカー116−3から音声を再生出力する。
【0022】
また、CPUブロック104−3は、ストロボ回路114を制御して動作させることによってストロボ発光部3から照明光を発光させる。また、CPUブロック104−3は、被写体距離を測定する測距ユニット2の動作も制御する。
【0023】
さらに、CPUブロック104−3は、プロセッサ104の外部に配置されたサブCPU(SUB−CPU)108にも結合されている。サブCPU108には、リモコン受光部4、操作キー6およびブザー113、が結合されている。サブCPU108はリモコン受光部4を介して受光したリモコン信号をCPUブロック104−3に伝達する。また、操作キー6にて行われた操作に応じた信号をCPUブロック104−3に伝達する。
【0024】
USBブロック104−5は、USBコネクタ122に結合される。シリアルブロック104−6は、シリアルドライバ回路123−1を介してRS−232Cコネクタ123−2に結合される。
【0025】
画像信号表示ブロック104−9は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ7に結合され、また、画像信号表示ブロック104−9は、ビデオアンプ(AMP)118を介してビデオジャック119にも結合される。
【0026】
メモリカードコントローラブロック104−10は、メモリカードスロット121のカード接点に結合されている。メモリカードがこのメモリカードスロット121に装填されると、メモリカードの接点に接触して電気的に接続され、装填されたメモリカードに画像ファイルを記憶する。
【0027】
また、サブCPU108には、電源切替部141と検知部142が結合されている。電源切替部141は、サブCPU108からの指示によって、電源回路140に供給する電圧の供給源を第1電源143か、または第2電源144のいずれかとするように、切り替える構成を有してなる。検知部142は、後述する「所定の変化」を検知してサブCPU108に通知する構成を有してなる。電源回路140は、第1電源143または、第2電源144からの供給電圧を用いて、デジタルカメラ10の動作に必要な各種の電圧を生成し、デジタルカメラ10が有する各構成に出力する。
【0028】
第1電源143は、デジタルカメラ10が平常動作状態にあるときに使用される電源であって、充電池や乾電池が用いられる。第2電源144は、第1電源143よりも電源容量が小さい予備の電源であって、後述する「所定の終了動作」に必要な電源容量を備えればよい。第2電源144は、小型のボタン型電池、第1電源143によって充電される充電池、または、大容量のコンデンサを用いて構成することができるものである。
【0029】
次に、上述のように構成されたデジタルカメラ10の動作について説明する。以下に説明をする各種の動作は、ROM109に記憶されている制御プログラムを、プロセッサ104が実行し、上記各種のハードウェア資源と制御プログラムが協働することで実現される。
【0030】
電源スイッチ8が操作されると、第1電源143から供給される電圧を用いて電源回路140からデジタルカメラ10の各部に動作電圧が供給される。これによって、デジタルカメラ10の動作が開始する。動作状態で操作キー6に含まれるモードダイヤルSW2が撮影モードに設定されると、サブCPU108を経由してCPUブロック104−3が、モードダイヤルSW2の設定を検知する。
【0031】
この検知に続いて、CPUブロック104−3がモータドライバ1−5を制御し、鏡胴ユニット1を撮像可能な位置に移動させる。動作電圧が供給されることで、撮像素子であるCCD101、F/E−IC102およびLCDモニタ7等の各部に電源が投入されて動作開始状態となる。動作開始状態になると、ライブビューモードでの動作が開始される。
【0032】
CCD101の受光面に結像された被写体像は、電気信号(画像信号)として出力される。この電気信号は、R(赤)・G(緑)・B(青)のアナログ信号である。このRGBアナログ信号がCDS102−1に入力されて、AGC102−2を介してA/D変換器102−3においてデジタル信号に変換される。変換されたRGBデジタル信号は、プロセッサ104内の第2撮像信号処理ブロック104−2が具備するYUV変換手段によってフィルタリング処理等の適切な処理が行われてYUV画像データに変換される。
【0033】
変換されたYUV画像データは、フレームメモリとしてのSRAM103に記録される。記録されたYUV画像データは、CPUブロック104−3により読み出され、画像信号表示ブロック104−9を介してビデオアンプ118およびビデオコネクタ119を介して外部表示装置(テレビジョン等)に出力されて表示される。あるいは、LCDドライバ117を介してLCDモニタ7へ出力されて表示される。
【0034】
レリーズスイッチSW1が押下されれば、CCD101の受光面に結像された被写体像からF/E−IC102においてデジタル信号に変換されたRAW画像データを、第2撮像信号処理ブロック104−2によってYUV画像データに変換し、JPEGコーディックブロック104−7において、JPEG形式に変換する一連の処理が実行される。変換されたJPEG画像データは、メモリカードスロット121を介してメモリカードに記録される。
【0035】
上記の動作中に第1電源からの電源供給が止まると、デジタルカメラ10は所定の終了処理を行う。例えば、電池蓋5が開けられて、収納されている電池(第1電源143)が図示しない固定爪から外されたとき、検知部142がそれを検知する。すなわち、検知部142は、第1電源143が正常な位置で固定されている状態から外れた状態への変化を検知するように構成されている。この場合、固定爪の変化が「所定の変化」となる。
【0036】
ここで、電源切替部141および検知部142の具体的な構成の例について、図3の回路図を用いて説明する。図3において、電源切替部141は、トランジスタ141−1によって構成されている。トランジスタ141−1のエミッタには第2電源142が接続している。トランジスタ141−1のベースには、サブCPU108からの信号線が接続されている。
【0037】
また、図3において、検知部142はスイッチ142−1によって構成されている。このスイッチ142−1が例えば、電池の固定爪の状態と連動し、電池が正常位置で固定されているとき、スイッチ142−1の接点は閉じており、固定爪が外れたとき、スイッチ142−1の接点が開放されるように構成されている。
【0038】
電池の固定爪が正常位置で固定されているとき、スイッチ142−1を介して、サブCPU108への入力は電源電圧が入力され「H」状態(ハイレベル)になっている。このとき、トランジスタ141−1のベース入力は「H」となり、トランジスタ141−1はオフ状態となる。よって、電池の固定爪が正常位置で固定されているとき、すなわち、通常の動作状態においては、第1電源143から電源回路140に対して動作電源が供給される。
【0039】
ここで、電池の固定爪が外されたとき、スイッチ142−1が開放されるので、サブCPU108への入力は「L」(ローレベル)となり、トランジスタ141−1へのベース入力も「L」になる。そうすると、トランジスタ141−1はオン状態となって、第2電源144からの供給電圧がトランジスタ141−1を通過して電源回路140へ供給されるようになる。
【0040】
このように検知部142によって所定の変化を検知することで、動作電源を第1電源143から第2電源144へ切り替えることができる。
【0041】
次に、検知部142が所定の変化を検知することによって実行される処理の流れについて、図4のフローチャートを用いて説明する。図4において各ステップをS10、S20、・・・のように表記する。検知部142が前述のように所定の変化を検知するまで処理をループする(S10のNo)。検知部142が所定の変化を検知したとき(S10のYes)、電源切替処理(S20)が行われる。電源切替処理(S20)は、前述したとおり、サブCPU108が検知部142からの入力の変化に応じて、電源切替部141に対する出力を変化させることで実行される処理である。
【0042】
電源切替処理(S20)によって、第2電源144からの電源供給が開始されると(S30)、終了処理(S40)が実行される。終了処理(S40)は、デジタルカメラ10が「安定した状態」で動作を停止することができるように、電源切替処理(S20)が行われたときの処理状態によって、最適な終了動作を行う処理である。
【0043】
例えば、デジタルカメラ10がライブビューを表示しており、撮影処理は行われていない状態、または、デジタルカメラ10のレリーズSW2が押下されて撮影処理が実行され、RAW画像データが第1撮像信号処理ブロック104−1に入力されている途中状態で実行される終了処理(S40)は、撮像レンズをレンズ鏡胴1とともに本体に収納する処理となる。
【0044】
例えば、デジタルカメラ10のレリーズSW2が押下されて撮影処理が実行され、第1撮像信号処理ブロック104−1に入力されたRAW画像データが、第2撮像信号処理ブロック104−2におけるYUV変換処理が途中状態で実行される終了処理(S40)は、RAW画像データを内蔵メモリ120に保存し、撮像レンズをレンズ鏡胴1とともに本体に収納する処理となる。
【0045】
例えば、デジタルカメラ10のレリーズSW2が押下されて撮影処理が実行され、第2撮像信号処理ブロック104−2においてYUV変換処理が終了し、JPEGコーディックブロック104−7においてJPEG変換処理が途中状態で実行される終了処理(S40)は、当該YUV画像データを内蔵メモリ120に保存し、撮像レンズをレンズ鏡胴1とともに本体に収納する処理となる。
【0046】
例えば、デジタルカメラ10のレリーズSW2が押下されて撮影処理が実行され、第2撮像信号処理ブロック104−2においてYUV変換処理が終了し、JPEGコーディックブロック104−7においてJPEG変換処理が終了したが、メモリカードへの記録が途中状態で実行される終了処理(S40)は、当該JPEG画像データを内蔵メモリ120に保存し、撮像レンズをレンズ鏡胴1とともに本体に収納する処理となる。
【0047】
このように、本実施例に係るデジタルカメラ10によれば、平常動作時の電源である第1電源143が、不意に取り外されたときに、第2電源144への切り替えを行うことで、安全な終了処理を行うことができる。また、第2電源144による終了処理は、第1電源143からの電圧供給が止まったときに、デジタルカメラ10が実行している処理に応じて適宜行うことできる。これによって、処理中の画像データを保護し、かつ、レンズ鏡胴を安全な位置に退避させることができる。
【0048】
次に、本発明に係る撮像装置の別の実施形態について、先に説明した実施形態とは異なる部分を中心に説明する。図5は、本実施例に係るデジタルカメラ100の外観を示している。図5においてデジタルカメラ100は、レンズ鏡胴1aを備えたレンズユニット200と、シャッタースイッチSW1aを備えた本体ユニット300と、を有してなる。デジタルカメラ100は、図5(b)に示すように、レンズユニット200と本体ユニット300を分離させて、異なるレンズユニット200を本体ユニット300に装着することができる構造を有してなる。デジタルカメラ100は、レンズユニット200と本体ユニット300を結合させた状態において(図5(a))、撮像装置として動作する。
【0049】
本体ユニット300は、前面に、側面と前面の筐体を一体として形成されるグリップ部40を有している。このグリップ部40の内部には収納室が形成され、デジタルカメラ100の通常時の動作電源となる第1電源である電池が収納される。また、この収納室には、第1電源の他に、シャッタースイッチSW1aの操作によって、撮影処理を実行するための制御回路や、撮像された画像を処理する処理回路、処理された画像を記録保存する記録媒体、電源回路、ストロボ制御回路、これらを構成する回路部品を搭載する回路基板等が収納されている。
【0050】
本体ユニット300のグリップ部40の前面には、本体ユニット300とレンズユニット200の結合状態を解除するロック解除ボタン401が配置されている。ロック解除ボタン401をスライドさせることで、図5(b)に示すように、レンズユニット200を本体ユニット300から取り外すことができる。
【0051】
次に、本実施例に係るデジタルカメラ100の内部構成について図6の機能ブロック図を用いて説明する。図6において、レンズユニット200は、フォーカスレンズを備えたレンズ群207と、レンズ群207を介して受光した被写体像を光信号から電気信号に変換して出力する撮像素子208と、撮像素子208から出力される信号(アナログ画像データ)をデジタル画像データに変換して信号増幅をするAFE(アナログフロントエンド)209と、変換されたデジタル画像データに対してYUVデータへの変換処理、JPEG形式の圧縮処理、RAW画像データの生成処理などの所定の画像処理を行ういわゆる画像エンジンであるCPU203と、を有している。
【0052】
また、レンズユニット200は、本体ユニット300と電気的に接続するユニット間インターフェースを構成するジョイントコネクター216と、このジョイントコネクター216を介して画像データを本体ユニット300に送信するための双方向バス223、制御信号221、シリアルインターフェース信号222、SDIO信号224、をそれぞれ授受する信号ラインを有している。
【0053】
また、レンズユニット200は、レンズ群207の鏡筒の繰り出しと収納に用いるモータ210を制御するモータドライバ211を有している。このモータドライバ211は、本体ユニット300から受信した制御信号221によって制御される。この機構によって、デジタルカメラ100の電源が切断されたとき鏡筒を収納し、また、図示しないボタンの押下によって変倍動作をするなどの種々の動作制御を行うことができる。
【0054】
また、レンズユニット200は、本体ユニット300が備える第1電源325から供給される電力220から、レンズユニット200の動作に必要な各種電力を生成させる電源回路であるDC−DCコンバータ201と、本体ユニット300から供給された電力220を検知して、このDC−DCコンバータを制御するサブCPU202と、レンズユニット200の外部に装着可能なテレコンバータレンズ及びワイドコンバータレンズを検出する検出回路213を備えている。
【0055】
サブCPU202には、電源切替部225と検知部226が結合されている。電源切替部225は、サブCPU202からの指示によって、電源回路であるDC−DCコンバータ201への供給電圧を第2電源227からの電圧に切り替える構成を有してなる。
【0056】
検知部226は、本体ユニット300の第1電源325から供給される電源が切断される状態になったことを検知する。例えば前述したロック解除ボタン401が操作されてレンズユニット200が本体ユニット300から分離したことを検知し、サブCPU202に通知する構成を有してなる。
【0057】
第1電源325は、デジタルカメラ100が平常動作状態にあるときに使用される電源であって、充電池や乾電池が用いられる。第2電源227は、第1電源325よりも電源容量が小さい予備の電源であって、「所定の終了動作」の実行に必要な電源容量を備えればよい。第2電源227は、小型のボタン型電池、第1電源325によって充電される充電池、または、大容量のコンデンサを用いて構成することができるものである。
【0058】
また、レンズユニット200は、デジタルカメラ100の傾きを検出するジャイロセンサ206と、デジタルカメラ100に加わる加速度を検出する加速度センサ212と、ジャイロセンサ206が検出した傾きと加速度センサ212が検出した加速度によってレンズ群207を駆動するコイル205と、コイル205の駆動量を検出するホール素子204を備えている。これら、ジャイロセンサ206、加速度センサ212、コイル205、ホール素子204によって手ぶれの防止機能を発揮することができる。
【0059】
また、レンズユニット200には、画像処理及び動作制御処理を行うソフトウェアがフラッシュロム(FlashROM)214(以下「ROM214」という。)に記憶されている。このソフトウェアがDDR−SDRAM215(以下「RAM215」という。)をワークエリアとして使用し、所定の処理を実行し、CPU203によってレンズユニット200の各機構の動作及び処理の制御が行われるように構成されている。
【0060】
また本体ユニット300は、レンズユニット200と電気的に接続するユニット間インターフェースを構成するジョイントコネクター301と、このジョイントコネクター301を介してレンズユニット200から受信する画像データをいわゆる画像エンジンであるCPU308に転送する双方向バス323と、双方向バス323を介して受信した画像データに対して、YUVデータへの変換処理、JPEG形式の圧縮処理、JPEG形式からの展開処理、RAWデータの生成処理などを適宜行ういわゆる画像エンジンであるCPU308と、レンズユニット200の制御信号ライン221に接続する制御信号ライン321と、レンズユニット200のシリアルインターフェース信号ライン222に接続するシリアルインターフェース信号ライン322と、レンズユニット200のSDIO信号ライン224と接続するSDIO信号ライン324を備えている。
【0061】
また、本体ユニット300は、所定の押下操作などによって当該デジタルカメラ100の撮影動作を開始するスイッチであるフォーカス&レリーズSW311と、本体ユニット300において設定するデジタルカメラ100の動作モードなどの選択設定に用いる十字キーなどで構成されるスイッチ306と、スイッチ306の入力を検知して所定の設定処理などを行い、かつ、第1電源325から供給される電力をDC−DCコンバータ303を用いて電源制御し、また、レンズユニット200へ電力を供給するためのスイッチである電源スイッチ302も制御するサブCPU305を備えている。
【0062】
また、本体ユニット300には、画像処理及び動作制御処理を行うソフトウェアがフラッシュロム(FlashROM)319(以下「ROM319」という。)に記憶されている。このソフトウェアがDDR−SDRAM315(以下「RAM315」という。)をワークエリアとして使用して、CPU308が各機構の動作及び処理の制御が行われるように構成されている。
【0063】
ROM214及びROM319に記録されているソフトウェアによって、デジタルカメラ100が備える各機構の動作及び処理が制御される。
【0064】
また、本体ユニット300は、音声コーディック316と、この音声コーディック316に音声信号を入力するマイク318と、音声コーディック316から音を出力するスピーカー317と、USBインターフェースコネクタ314と、AV出力用コネクタ313、HDMI信号の出力インターフェース312と、撮像された画像ファイルを保存する着脱可能な記憶手段であるSDメモリ315と、本体ユニット300に外部ストロボを装着するときの接続回路を兼ねているストロボ307と、レリーズSW311の操作によってフォーカシング動作時に被写体像をモニタリング表示させ、撮影動作をしたときには撮影した画像データを表示する表示手段であるLCD310及びEVF309を備えている。
【0065】
本実施例に係るデジタルカメラ100において、ロック解除ボタン401が操作されて本体ユニット300とレンズユニット200が分離されたときに実行される終了処理は、デジタルカメラ100の処理状態に応じて異なるものとなる。
【0066】
例えば、第1電源から供給される電力がレンズユニット200に供給されず、第2電源227からの動作電圧が供給される状態になり、終了処理が実行されるときに、例えば、デジタルカメラ100がライブビューを表示しており、撮影処理は行われていない状態、または、デジタルカメラ100のレリーズSW311が押下されて撮影処理が実行され、RAW画像データがレンズユニット200のCPU203に入力されている途中状態であれば、撮像レンズ207をレンズ鏡胴に収納する処理となる。
【0067】
また、例えば、終了処理が実行されるときに、デジタルカメラ100のレリーズSW311が押下され撮影処理が実行されていて、RAW画像データがレンズユニット200のCPU203に入力されたがYUV変換処理が途中状態であれば、RAW画像データをレンズユニット200のフラッシュROM214に保存して、撮像レンズ207をレンズ鏡胴に収納する処理となる。
【0068】
また、例えば、終了処理が実行されるときに、デジタルカメラ100のレリーズSW311が押下され撮影処理が実行されていて、YUV変換処理が終了し、本体ユニット300にYUV画像データを転送している途中状態であれば、当該YUV画像データをレンズユニット200のフラッシュROM214に保存して、撮像レンズ207をレンズ鏡胴に収納する処理となる。
【0069】
以上のように、本実施例に係るデジタルカメラ100によれば、平常動作状態から、レンズユニット200と本体ユニット300が不意に分離されたときに、レンズユニット200が備える第2電源277に、動作電源を切り替えて、この第2電源277からの供給電圧を用いて、分離されたときに行っていた処理状態に応じた終了処理を行うことができる。これによって、処理中の画像データを保護し、かつ、レンズ鏡胴を安全な位置に退避させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 デジタルカメラ
140 電源回路
141 電源切替部
142 検知部
143 第1電源
144 第2電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2003−092696号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズと、前記撮像レンズを介して受光面に結像された被写体像に応じて画像信号を出力する撮像素子と、前記画像信号に対して所定の信号処理を施し画像データを生成する画像処理部と、前記画像データを記録するデータ記録部と、前記撮像素子および前記各部の動作を制御する制御部と、を備えた撮像装置であって、
前記撮像装置の平常動作時の電源である第1電源と、
前記第1電源よりも電源容量の小さい予備電源である第2電源と、
前記第1電源または前記第2電源から供給される電圧から複数の電圧を生成して出力する電源回路と、
前記撮像装置の所定の変化を検知する検知手段と、
前記第1電源から前記電源回路へ前記電圧が供給されているときに、前記検知手段が前記所定の変化を検知したとき、前記電源回路への電圧供給元を前記第1電源から前記第2電源に切り替える電源切替手段と、
前記電源切替手段が前記電源回路への電圧供給元を前記第2電源に切り替えたとき、前記電源回路から供給される電圧により所定の終了動作を行う終了処理手段と、を有してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定の変化は、
前記第1電源から前記電源回路へ供給される電圧が所定の値以下になったときであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記終了動作は、前記撮像レンズの収納動作であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記終了動作は、前記画像データのデータ記録部への記録動作であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記終了動作は、前記画像処理部における信号処理が途中の画像データを、処理状態を示す情報とともに前記データ記録部へ記録する動作であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2電源の容量に応じて、前記終了処理において実行されるデータ保護処理とレンズ収納処理の順序、または、データ保護処理に含まれる各種データ保護処理を安全に終了させる順序を判定する終了順序判定手段を有し、
前記終了処理手段は、前記終了順序判定手段により判定された順序に応じて終了処理を実行する請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像レンズと、前記撮像レンズを介して受光面に結像された被写体像に応じて画像信号を出力する撮像素子と、前記画像信号に対して所定の信号処理を施す第1画像処理部と、を備えたレンズユニットと、
前記レンズユニットと双方交通信インターフェースを介して接続され、前記画像信号に対して所定の信号処理を施す第2画像処理部と、前記画像データを記録するデータ記録部と、を備えた本体ユニットと、
を有してなる撮像装置であって、
前記本体ユニットは、
前記撮像装置の平常動作時の電源である第1電源と、
前記第1電源から供給される電圧から複数の電圧を生成して前記レンズユニットに出力する第1電源回路と、を有し、
前記レンズユニットは、
前記第1電源よりも電源容量の小さい予備電源である第2電源と、
前記第1電源または前記第2電源から供給される電圧から複数の電圧を生成して出力する第2電源回路と、
前記撮像装置の所定の変化を検知する検知手段と、
前記第1電源から前記電源回路へ前記電圧が供給されているときに、前記検知手段が前記所定の変化を検知したとき、前記電源回路への電圧供給元を前記第1電源から前記第2電源に切り替える電源切替手段と、
前記電源切替手段が前記電源回路への電圧供給元を前記第2電源に切り替えたとき、前記第2電源回路から供給される電圧により所定の終了動作を行う終了処理手段と、を有してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記レンズユニットは、前記第2電源の容量に応じて、前記終了処理において実行されるデータ保護処理とレンズ収納処理の順序、または、データ保護処理に含まれる各種データ保護処理を安全に終了させる順序を判定する終了順序判定手段を有し、
終了順序判定手段を有し、
前記終了処理手段は、前記終了順序判定手段により判定された順序に応じて終了処理を実行する請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2電源は、前記第1電源によって充電される充電池である請求項1乃至8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2電源は、前記第1電源によって充電されるコンデンサである請求項1乃至8のいずれかに記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38607(P2013−38607A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173310(P2011−173310)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】