説明

撮像装置

【課題】より適切に、焦点検出領域を選択可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置1は、撮像領域50に存在する顔の位置及びサイズを検出する顔検出部25,42と、前記撮像領域50内において位相差により焦点検出可能な複数の焦点検出領域51を有するオートフォーカス焦点検出部24と、前記顔検出部25,42において検出された顔の位置とサイズに応じて、前記複数の焦点検出領域51のうちのいずれの焦点検出領域で焦点検出するかを決定可能な制御部40と、を備え、前記顔検出部25,42は、前記顔のサイズを前記制御部40に出力し、前記制御部40は、該顔の位置に対応し、前記顔のサイズに応じて大きさを設定した検出範囲a1,a2,a3内の焦点検出領域から、焦点検出を行う焦点検出領域51aを決定し、それを用いて焦点調節を行うこと、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像領域内にある顔の中心位置や顔幅等を抽出する顔検出の技術がある。そして、この顔検出結果に基づいて、顔の中心位置から所定範囲の領域内で、コントラスト方式により焦点検出を行う撮像装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−107335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一眼レフタイプのカメラにおいては、位相差方式により焦点検出が行われることが多い。この場合、例えば、顔が小さく、上述の所定範囲内に焦点検出領域がない場合、オートフォーカス用の焦点検出を行う焦点検出領域を選択することができない。また、顔が大きく、所定範囲が大きい場合、複数の焦点検出領域を選択してしまう。
【0005】
本発明の課題は、より適切に、焦点検出領域を選択可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、撮像領域(50)に存在する顔の位置及びサイズを検出する顔検出部(25,42)と、前記撮像領域(50)内において位相差により焦点検出可能な複数の焦点検出領域(51)を有するオートフォーカス焦点検出部(24)と、前記顔検出部(25,42)において検出された顔の位置とサイズに応じて、前記複数の焦点検出領域(51)のうちのいずれの焦点検出領域で焦点検出するかを決定可能な制御部(40)と、を備え、前記顔検出部(25,42)は、前記顔のサイズを前記制御部(40)に出力し、前記制御部(40)は、該顔の位置に対応し、前記顔のサイズに応じて大きさを設定した検出範囲(a1,a2,a3)内の焦点検出領域から、焦点検出を行う焦点検出領域(51a)を決定し、それを用いて焦点調節を行うこと、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置(1)であって、前記制御部(40)は、前記顔のサイズが大きいほど、前記検出範囲の大きさを縮小すること、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の撮像装置(1)であって、前記顔のサイズが小さいほど、前記検出範囲の大きさを拡大すること、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の撮像装置(1)であって、前記検出範囲は、前記撮像領域(50)における前記顔の大きさよりも拡大可能であること、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の撮像装置(1)であって、前記顔のサイズが閾値より小さい場合は、隣接する前記焦点検出領域(51)間の間隔が大きいほど、前記拡大率を大きくすること、を特徴とする撮像装置(1)である。
【0007】
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より適切に、焦点検出領域を選択可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のカメラの概略構成を説明する図である。
【図2】制御部と測光センサを示すブロック図である。
【図3】撮像領域内の複数の焦点検出領域を示す図である。
【図4】顔が小さい場合の、顔検出結果に基づく、焦点検出領域選定範囲と、焦点検出領域との関係を示す図である。
【図5】顔が小さい場合の、焦点検出領域選定範囲の拡大を説明する図である。
【図6】顔が大きい場合の、焦点検出領域選定範囲の縮小を説明する図である。
【図7】顔マクロより出力された顔幅の1/2に乗じる係数と顔幅との関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図9】図8のステップのカメラにおける測光処理を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップのオートエリアAF用顔検出演算のフローチャートを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(カメラの基本構成)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態のカメラ1の概略構成を説明する図である。
本実施形態のカメラ1は、カメラ本体20と、当該カメラ本体20に着脱可能な撮影レンズ10と、によって構成された、いわゆるデジタル一眼レフカメラである。
撮影レンズ10は、鏡筒内部に、結像光学系を構成する複数のレンズ群と、絞り11とを備えている。複数のレンズ群のうち、図示するレンズ群L1は、光軸OA方向に移動して結像位置を調節可能な焦点調節レンズである。
【0011】
カメラ本体20は、撮像素子21と、クイックリターンミラー22と、サブミラー23と、ファインダー光学系30と、測距素子24と、測光センサ25と、制御部40と、備えている。
【0012】
撮像素子21は、被写体光を電気信号に変換するCCDやCMOS等の光電変換素子であって、赤(R)、緑(G)及び青(B)の各画素が所定の配列パターンで配列されている。撮像素子21は、撮影レンズ10の結像光学系による結像面の画像情報を電気信号に変換して撮像し、各画素に対応する色情報や輝度情報に応じた画像信号を制御部40に出力する。
【0013】
クイックリターンミラー(メインミラー)22は、撮影レンズ10の結像光学系から撮像素子21に至る光路中に介在する作用位置と、光路中に介在しない退避位置との間を移動可能に設けられている。クイックリターンミラー22は、作用位置において、入射光束をファインダー光学系30(拡散スクリーン26)へと反射する。
また、クイックリターンミラー22の一部には、入射光束の一部を透過する半透過領域が形成されている。
サブミラー23は、クイックリターンミラー22の背面側に設けられている。サブミラー23は、クイックリターンミラー22の半透過領域を透過した入射光束を測距素子24に向けて反射させる。
【0014】
ファインダー光学系30は、拡散スクリーン26と、コンデンサレンズ27と、ペンタプリズム28と、接眼レンズ29と、により構成されている。
拡散スクリーン26は、撮像素子21と光学的に等価な位置に設けられており、クイックリターンミラー22によって導かれた入射光束が結像する。
ペンタプリズム28及び接眼レンズ29は、この拡散スクリーン26上に結像してコンデンサレンズ27を通った被写体像を、正立像として撮影者が視認し得るようになっている。
【0015】
測光センサ25も、撮像素子21と同様に、被写体光を電気信号に変換するCCDやCMOS等の光電変換素子であって、赤(R)、緑(G)及び青(B)の各画素が所定の配列パターンで配列されている。測光センサ25は、被写界を分割して測光し、それぞれの測光値を制御部40に出力可能な構造になっている。
【0016】
制御部40は、カメラ1の各制御を行う部分である。
図2は、制御部40と測光センサ25を示すブロック図である。制御部40は、マイコン41と、画像処理IC(ASIC)42とを備える。
マイコン41は、測光センサ25及びASIC42とシリアル通信を行い、それらを制御する。
ASIC42は、測光センサ25からの測光結果に基づき、測光演算、顔検出を含むシーン認識等を行う。
【0017】
図1に戻り、測距素子24は、サブミラー23を介して入射する被写体光に基づき、被写体像の結像状態を検出し、その検出情報を制御部40のマイコン41に出力する。
測距素子24は、撮像領域50の所定位置に設定された複数の焦点検出領域に対応してそれぞれ配置されたセンサユニットを備えている。図3は、焦点検出領域が51点の場合の配置の一例を示すものである。
【0018】
(カメラの基本動作)
図1、図2に戻り、カメラ1の基本動作について説明する。
撮影レンズ10を通り絞り11を通った光はクイックリターンミラー22に導かれる。クリックリターンミラー22で分光された光の一方はサブミラー23に導かれ測距素子24に入射する。
もう一方の光は拡散スクリーン26に投影され、コンデンサレンズ27を通りペンタプリズム28に導かれ、ファインダーである接眼レンズ29へと進む。
また、ペンタプリズム28により測光光学素子である三角プリズム32を通った像は、測光レンズ31を通って測光センサ25に結像される。
制御部40は、カメラ1のシーケンス制御を行うマイコン41からシリアル通信を介して測光センサ25を駆動する。
【0019】
測光センサ25はマイコン41からの命令に従い蓄積動作を行い、測光センサ25内部でA/D変換された測光情報をASIC42に出力する。
ASIC42は測光センサ25の出力を受信し、測光や顔検出の処理を行う。
ASIC42で顔検出は、公知の顔検出マクロ等を用いて行われ、顔情報、例えば顔の位置、顔幅、傾き及び信頼度(例えば1〜9で表された、顔であることの確からしさの程度)等が検出される。
【0020】
そして、ASIC42は、カメラ1が自動選択AF(オートエリアAF)の場合には、検出された顔の位置座標を中心として、検出された顔幅に対応する焦点検出領域選定範囲を算出する。さらに、ASIC42は、その焦点検出領域選定範囲内にある焦点検出領域を選定し、上記顔情報とともにシリアル通信を介してマイコン41に送信する。
【0021】
図3に示す実線Aは、撮像領域50内の実際の顔のサイズである。そして、点線aは、顔検出により検出された顔幅の1/2を半径とする円であり、その内部が焦点検出領域選定範囲となる。
【0022】
ASIC42は、この焦点検出領域選定範囲内に位置する焦点検出領域51aを選択し、マイコン41にこの位置情報を送信する。なお、この焦点検出領域51aの選択方法については後述する。
【0023】
マイコン41は、測距素子24を、焦点検出領域51aにおいて焦点検出を行うように制御する。測距素子24は、焦点検出顔領域51aに配置されたセンサユニットにより、位相差を用いて合焦状態を判断する。合焦状態は測距素子24よりマイコン41に伝達され、マイコン41は合焦レンズL1を駆動して合焦させる。
【0024】
そして、図示しないレリーズボタンが押下されると、クイックリターンミラー22は上部に跳ね上がり、被写体光はシャッター33を介して撮像素子21に導かれ、合焦した撮影画像が得られる。
また、ライブビュー時は、背面のライブビュー表示スイッチ(図示せず)を操作することでクイックターンミラー22が上がり撮像素子21に導かれスルー画像が得られる。
【0025】
上述のように、ASIC42において顔検出を行い、マイコン41は、顔の位置に対応する焦点検出領域の情報を測距素子24に伝達する。測距素子24はその位置の焦点検出領域で測距を行う。
【0026】
(顔検出と焦点検出領域の選択)
ASIC42で行う顔検出は、上述のように、公知の顔検出マクロ等で行われ、上述のように、顔の位置、顔幅、傾き等が検出される。
なお、一般に顔検出マクロで出力される出力顔幅(図4(a)の点線aの円の直径)は、実際の顔Aの顔幅((図4(a)の実線Aの楕円の短径)より小さい。これは、通常、顔検出マクロは、コントラストAFでの使用対応であるからである。
【0027】
この、出力顔幅を一辺とする正方形を描くと、図4(a)の正方形Sのようになる。この正方形Sの中に位置する焦点検出領域を選択する方法も考えられる。しかし、この場合、顔が傾くと、図4(b)のようになり、図4(a)では選択される焦点検出領域が、図4(b)では選択範囲からずれて選択できない場合が生じる。すなわち、顔の向きや角度によっては検出精度が異なることになる。
また、四角形の場合には、顔が傾いた場合に境界線が斜めの線になるため、領域に入るか入らないかの演算が複雑になり、演算負荷が大きくなる。
【0028】
そこで、本実施形態では、半径を出力顔幅の1/2とした、図4の点線aで示す円を考える。そして、この円の内部を焦点検出領域選定範囲とし、この焦点検出領域選定範囲に入る焦点検出領域を、焦点検出の対象として選定する。
しかし、ここで、一律に円の半径を出力顔幅の1/2とすると、以下に示す問題が生じる。
【0029】
(顔が小さい場合)
それは、顔が小さいときには、顔の大きさに比べて焦点検出領域の中心点間の間隔が大きいため、出力顔幅の1/2を半径とする範囲a1に焦点検出領域のいずれも顔領域に入らない場合が生じるということである(図5参照)。
【0030】
そこで、撮像領域において顔が小さい場合は、図5の符号a2で示す点線の円のように、出力顔幅の1/2を半径とする範囲a1よりも焦点検出領域選定範囲を拡大する。
すなわち、出力顔幅の1/2としていた半径に、1以上の係数を乗算して、領域を拡大する。図示するように、焦点検出領域選定範囲は、範囲a1から範囲a2に拡大され、焦点検出領域を選択できる可能性が高くなる。
これにより、顔が小さく、焦点検出領域間に顔がある場合の検出がより確実に行われる。
なお、焦点検出領域選定範囲の拡大は、検出される焦点検出領域のセンサの一部が顔の範囲内にある限り、実際の顔の大きさよりも大きくすることもできる。
また、顔が小さい場合は、隣接する焦点検出領域51間の間隔が大きいほど、拡大率を大きくしてもよい。それは、焦点検出領域51の間隔が広いと、焦点検出領域選定範囲に焦点検出領域が入る可能性が低くなるからである。
【0031】
(顔が大きい場合)
顔が大きい場合には図6に示すように、焦点検出領域選定範囲を、出力顔幅の1/2を半径とする範囲a1とした場合は、複数の焦点検出領域が選択される。
【0032】
ここで、顔の中で焦点検出に適する部分は、目や鼻、口などの高コントラストの領域あり、これらは比較的、顔の中央部に存在する。
そこで、撮像領域において顔が大きい場合は、図6の符号a3で示す点線の円のように、出力顔幅の1/2を半径とする範囲a1よりも焦点検出領域選定範囲を縮小する。
【0033】
図7は、上述のように、顔の大きさに応じて、焦点検出領域選定範囲を拡大、縮小する場合に、顔検出により求められた出力顔幅の1/2を半径に対して乗じる係数(KaoRatio)を説明する図である。
この係数は、顔幅により比例した係数とし、顔幅(KaoSize)に上限と下限を設けクリップ処理を行う。
具体的には以下のようになる。
【0034】
1)顔幅(KaoSize)が、第1閾値(kaoSizeL)以下の場合、係数を、1より大きい第1係数(KaoRatioH)(図7では一例として、係数を1.2とする)とする(図7のb1)。
KaoSize≦kaoSizeL → KaoRatio=KaoRatioH (式1)
【0035】
2)顔幅(KaoSize)が、第1閾値(kaoSizeL)より大きく、第2閾値(kaoSizeH)より小さい場合、係数(KaoRatio)を、第1係数(KaoRatioH)から、1より小さい第2係数(KaoRatioL)(図7では一例として、係数を0.8とする)まで比例して小さくなる係数とする(図7のb2)。
KaoSizeL<KaoSize<KaoSizeH
→KaoRatio=(KaoretioH-KaoRatioL)/(KaoSizeH-KaoSize)×
(KaoSize-KaoSizeH)+KaoRatioL (式2)
【0036】
3)顔幅(KaoSize)が、第2閾値(kaoSizeH)以上の場合、係数を、第2係数(KaoRatioL)とする(図7のb3)。
KaoSizeH≦KaoSize → KaoRatioL (式3)
【0037】
図8は、本実施形態の全体的な流れを示すフローチャートである。
まず、図示しないレリーズ釦が半押しされると(ステップ11)、測光(ステップ12)、AFの演算(ステップ13)が行われる。
半押し中、ステップ11からステップ13の処理は繰り返し行われる(ステップ14、NO)。
半押し解除後(ステップ11,NO)、所定時間経過した場合(ステップ21,YES)は電源SWがOFFとなる。
レリーズ釦が半押しから全押しされると(ステップ14,YES)、クイックリターンミラー22のミラーアップ動作が行われ(ステップ15)、撮像素子21の初期化が行われた後(ステップ16)、本撮影が行われる(ステップ17)。本撮影ではシャッター33のシャター幕がマグネットで保持状態となり、先幕、後幕が所定時間で走行し、撮像素子21に露光される。
本撮影が終了するとクイックリターンミラー22が下がる(ステップ18)。
撮影された画像はASIC42の画処理回路により演算・記録される(ステップ19,20)。
【0038】
図9は図8のステップ12のカメラ1における測光処理を示すフローチャートである。
まず、測光センサ25は、測光を行うための蓄積を行う(ステップ21)。測光用の蓄積では被写界の最大輝度が目標出力レベルとなるような蓄積を行う。これは最大輝度からダイナミックレンジの範囲の輝度値を用いるためである。
次いで、測光センサ25は、蓄積データの有効性判定を行う(ステップ22)。測光演算するに値しないデータの場合(ステップ23,NO)は有効性なしとして再蓄積が行われる。
有効性がある場合(ステップ23,YES)はASIC41において測光演算が行われる(ステップ24)。
次に、測光センサ25において、顔検出用の蓄積が行われる(ステップ25)。これは顔の輝度が適正レベルになるように行う蓄積である。これらの蓄積制御の説明は省略する。
そして、ASIC41において顔検出を行う(ステップ26)。顔検出はテンプレートマッチング方式のもので顔位置、顔サイズ、信頼度など情報が得られる。
次いで、カメラ1が自動選択AF(オートエリアAF)の場合にオートエリア演算を行う(ステップ27)。
【0039】
図10は図9のステップ27のオートエリアAF用顔検出演算のフローチャートを説明するフローチャートである。オートエリアAF用顔検出演算は、顔検出の結果を焦点検出顔領域51に対応付ける処理である。
まず顔検出の信頼度を、公知の方法により時系列の履歴や顔位置や顔サイズなどから算出する(ステップ31)。
【0040】
次に、複数顔があった場合の絞込みを行う(ステップ32)。より信頼性の高いものを優先顔領域とするためである。
そして、顔中心から焦点検出領域51の距離を算出する(ステップ33)。このときに上述したように検出された顔幅に応じた係数を上式1,2,3のいずれかより求め、半径を出力顔幅の1/2×係数となる焦点検出領域選定範囲に存在する焦点検出領域を焦点検出用の焦点検出顔領域とする。
上記から焦点検出顔領域をもとに顔検出AF対応マスクを作成する(ステップ34)。顔検出AF対応マスクとは焦点検出領域が51点の場合51bit分の0または1のフラグ情報として焦点検出顔領域を1としてそれ以外を0とする。
以上のように、オートフォーカスを行う際に随時、信頼度や顔検出AF対応マスクを参照し、レンズ駆動を行い、焦点調整が行われる。
【0041】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)焦点検出領域の多点化に伴い、焦点検出領域の間隔は狭まっている。しかし、焦点距離の短いレンズで主要被写体である人物を撮影する場合、撮像領域内における人物の顔は小さくなる。このような場合、顔領域に対応する焦点検出領域選定範囲に焦点検出領域が含まれない可能性がある。
しかし、本実施形態によると、顔が小さい場合に、焦点検出領域選定範囲を拡大するので、顔領域と判断された領域内に焦点検出領域が含まれない可能性が低くなる。
【0042】
(2)顔が大きい場合、顔領域に対応する焦点検出領域選定範囲が広く、複数の焦点検出領域が検出される可能性がある。しかし、本実施形態では顔が大きい場合、顔領域に対応する焦点検出領域選定範囲を縮小するので、焦点検出領域を絞りこむことが出来る。
(3)顔内部における焦点検出に適する目、鼻、口のある部分は、比較的顔の中央部に存在する。本実施形態では、焦点検出領域選定範囲の縮小は、半径を小さくすることによりに行う。したがって、より焦点検出に適する焦点検出領域を選択することができる。
【0043】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)例えば、本実施形態では、焦点検出領域が撮像領域内に51ある例について説明したが、これに限定されず、それ以上でもそれ以下でもよい。また、焦点検出領域の配置も、図3等で示す配置に限定されず、異なる配置であってもよい。
(2)本実施形態では、出力顔幅の1/2の半径に乗じる係数を、0.8〜1.2の場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、係数の幅は、例えば0.7〜1.1や0.9〜1.1等、異なる範囲であっても良い。
【0044】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0045】
1:カメラ、20:カメラ本体、24:測距素子、25:測光センサ、40:制御部、41:マイコン、42:ASIC、50:撮像領域、51:焦点検出領域、L1:合焦レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域に存在する顔の位置及びサイズを検出する顔検出部と、
前記撮像領域内において位相差により焦点検出可能な複数の焦点検出領域を有するオートフォーカス焦点検出部と、
前記顔検出部において検出された顔の位置とサイズに応じて、前記複数の焦点検出領域のうちのいずれの焦点検出領域で焦点検出するかを決定可能な制御部と、を備え、
前記顔検出部は、前記顔のサイズを前記制御部に出力し、
前記制御部は、
該顔の位置に対応し、前記顔のサイズに応じて大きさを設定した検出範囲内の焦点検出領域から、焦点検出を行う焦点検出領域を決定し、それを用いて焦点調節を行うこと、
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記制御部は、
前記顔のサイズが大きいほど、前記検出範囲の大きさを縮小すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記顔のサイズが小さいほど、前記検出範囲の大きさを拡大すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置であって、
前記検出範囲は、前記撮像領域における前記顔の大きさよりも拡大可能であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記顔のサイズが閾値より小さい場合は、隣接する前記焦点検出領域間の間隔が大きいほど、前記拡大率を大きくすること、
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−40995(P2013−40995A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176158(P2011−176158)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】