説明

撮像装置

【課題】無線送受信部で発生した熱の撮像素子や制御系素子への影響を回避して撮影画像の劣化を回避しつつ安定した制御を行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、レンズ部112を通過した被写体像を光電変換する撮像素子と、撮像素子から出力される画像信号に対して画像処理を施す画像処理部と、撮像素子、及び画像処理部を制御する制御部101と、撮像素子、画像処理部、及び制御部101に電源を供給する電源部と、画像処理部、制御部101、及び電源部が実装される基板302と、無線により画像データを送受信する無線送受信部109と、を備える。電源部は、撮像素子、画像処理部、及び制御部101に比べて熱に対しての保証温度が高く、無線送受信部109は、基板302に実装された電源部の実装領域を覆うように基板302の実装面に対して平行に対向配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送受信部を有する撮像装置に関し、例えばデジタルビデオカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線送受信部を有する撮像装置では、無線送受信部で発生した熱がCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子に伝達されると、撮像画像の画質が劣化する。このため、撮像素子と無線送受信部とを離して配置することで、無線送受信部で発生した熱による撮像画像の劣化を回避する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−79931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、撮像素子については無線送受信部で発生した熱の影響を回避することができるが、画像処理部や制御部等の熱の影響を受けやすい制御系の素子については考慮されていない。このため、基板に実装された画像処理部や制御部等の制御系の素子に無線送受信部で発生した熱が伝達されると、安定した制御ができなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、無線送受信部で発生した熱の撮像素子や制御系素子への影響を回避して撮影画像の劣化を回避しつつ安定した制御を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子から出力される画像信号に対して画像処理を施す画像処理部と、前記撮像素子、及び前記画像処理部を制御する制御部と、前記撮像素子、前記画像処理部、及び前記制御部に電源を供給する電源部と、前記画像処理部、前記制御部、及び前記電源部が実装される基板と、無線により画像データを送受信する無線送受信部と、を備え、前記電源部は、前記撮像素子、前記画像処理部、及び前記制御部よりも耐熱性が高く、前記無線送受信部は、前記無線送受信部と前記電源部との距離が前記無線送受信部と前記撮像素子との距離、前記無線送受信部と前記画像処理部との距離および前記無線送受信部と前記制御部との距離よりも短くなるように、前記基板の実装面に対して対向配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線送受信部で発生した熱の撮像素子や制御系素子への影響を回避して撮影画像の劣化を回避しつつ安定した制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラの制御系を示すブロック図である。
【図2】デジタルビデオカメラを撮影者側(後部側)から見た外観斜視図である。
【図3】デジタルビデオカメラの画像表示部を開いた状態を示す外観斜視図である。
【図4】メイン基板の斜視図である。
【図5】メイン基板とレンズ部との配置例を示す斜視図である。
【図6】メイン基板に無線送受信部を接続した状態を示す斜視図である。
【図7】メイン基板と画像表示部との位置関係を説明するための斜視図である。
【図8】無線送受信ON/OFFスイッチの入力操作無効処理のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラの制御系を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のデジタルビデオカメラは、レンズ部112を通過した被写体像が例えばCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子104に結像されて光電変換される。撮像素子104で光電変換された被写体像は、撮像素子104からアナログ画像信号としてA/D変換部105に出力される。
【0012】
A/D変換部105は、入力されたアナログ画像信号に対してA/D変換処理を施し、得られたデジタル画像信号を画像処理部106に出力する。また、A/D変換部105は、例えば録画モードの場合は、得られたデジタル画像信号を画像表示部108に逐次出力し、画像表示部108を電子ビューファインダもしくはLCD等のモニタとして機能させることが可能である。
【0013】
画像処理部106は、入力されたデジタル画像信号に対して各種画像処理や、拡大縮小処理を施す。また、画像処理部106は、録画処理を行う場合は、各種処理が施されたデジタル画像信号を例えば不図示のRAMに順次蓄積する。そして、画像処理部106は、蓄積して得られた画像群の動画データを、撮像時の撮影時間やフレームレートなどからなるフレームレート情報と共に、AVCHDフォーマットの動画データに符号化する。
【0014】
また、画像処理部106は、制御部101の制御により記録媒体107に記録されている符号化された動画データを読み出し、復号化して画像表示部108に出力する。さらに画像処理部106は、動画データとROM102に記憶されているGUIデータとに各種画像処理や拡大縮小処理を施した後、合成して画像表示部108に出力する。
【0015】
操作入力部103は、ユーザによって操作入力されると、入力された操作内容を制御部101に伝送する。操作入力部103としては、例えば、モード切替スイッチ201、トリガースイッチ202、電源ON/OFFスイッチ203、無線送受信ON/OFFスイッチ204等がある。
【0016】
無線送受信部109は、無線送信を行う場合は、記録媒体107に記憶された動画像データや静止画像データ、或いは撮像画像データに対して無線送信するための処理を施し、処理後の画像データをアンテナから送信する。また、無線送受信部109は、無線受信を行う場合は、アンテナを介して受信した画像データに対して所定の処理を施し、画像表示部108に出力する。このとき、無線送受信部109は、発熱量が大きくなり、高温となる。
【0017】
電源部110は、バッテリ111や外部電源供給部209から給電される電源を所定の電圧に変換して各ブロックへ供給する。
【0018】
制御部101は、カメラ全体の制御を司る。制御部101は、例えばROM102に記憶されている制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0019】
ここで、制御部101、及び画像処理部106は、その特性上、熱に対しての保証温度が低く、保証温度を超えると制御が不安定になりやすい。また、撮像素子104は、その特性上、保証温度を超えると撮像画質が劣化しやすい。
【0020】
図2はデジタルビデオカメラを撮影者側(後部側)から見た外観斜視図、図3はデジタルビデオカメラの画像表示部108を開いた状態を示す外観斜視図である。
【0021】
図2及び図3に示すように、デジタルビデオカメラのカメラ本体100の撮影者側から見て右側の側面部には、グリップベルト205が取り付けられ、左側の側面部には、画像表示部108がヒンジ206を介して開閉可能に支持されている。画像表示部108は、閉じ状態でカメラ本体100の撮影者側から見て左側の側面部に収納される。
【0022】
また、カメラ本体100の上面部には、モード切替スイッチ201及び電源ON/OFFスイッチ203が設けられ、カメラ本体100の後面部には、トリガースイッチ202、外部電源供給部209、及びバッテリ111が設けられる。
【0023】
図4はメイン基板302の斜視図、図5はメイン基板302とレンズ部112との配置例を示す斜視図、図6はメイン基板302に無線送受信部109を接続した状態を示す斜視図である。図7は、メイン基板302と画像表示部108との位置関係を説明するための斜視図である。
【0024】
図4に示すように、メイン基板302には、制御部101、画像処理部106、及び電源部110を構成する電源インダクタ群301等が実装されている。メイン基板302をカメラ本体100に配置するとき、メイン基板302は、図4における左側がカメラ本体100の後面部となるように、配置される。したがって、電源インダクタ群301は、電源となる外部電源供給部209及びバッテリ111の近傍に実装され、電源からの配線を短くすることができる。
【0025】
電源インダクタ群301は、その特性上、熱に対しての保証温度が撮像素子104、制御部101、及び画像処理部106に比べて高い。すなわち、電源部110を構成する電源インダクタ群301は、撮像素子104、制御部101、及び画像処理部106よりも耐熱性が高い。さらに、電源インダクタ群301は、仮に保証温度を超えても、制御不能になることはない。
【0026】
メイン基板302は、図5及び図7に示すように、撮影者側から見てレンズ部112の左側部に配置され、画像表示部108の収納面と略平行に配置される。これにより、メイン基板302で発生した熱が撮影者が把持するグリップベルト205側の側面部に伝わり難くなっている。また、メイン基板302は、レンズ部112側を向く面が実装面とされており、中央部に制御部101が実装され、前端側(レンズ部112側)に画像処理部106が実装され、後端側に電源インダクタ群301が実装されている。
【0027】
また、メイン基板302には、コネクタ303,304が実装され、コネクタ303は、電源インダクタ群301と制御部101との間に配置され、コネクタ304は、電源インダクタ群301の下部に配置されている。レンズ部112の後端側には、撮像素子104が実装された素子基板307がメイン基板302と直交するように配置されている。
【0028】
そして、バッテリ111や外部電源供給部209から不図示のフレキシブル基板及びコネクタ303を介してメイン基板302に電力が供給される。メイン基板302に供給された電力は、電源インダクタ群301を含む電源部110によって所定の電圧に変換された後、各ブロックに供給される。また、無線送受信部109への電力供給は、図6に示すように、コネクタ304からフレキシブル基板310を介してなされる。
【0029】
ここで、無線送受信部109は、メイン基板302に実装された電源インダクタ群301に近接した状態で電源インダクタ群301の実装領域を覆うようにメイン基板302の実装面に対して略平行に対向配置される。これにより、無線送受信部109と電源インダクタ群301との距離が、無線送受信部109と制御部101との距離、無線送受信部109と画像処理部106との距離および無線送受信部109と撮像素子104との距離よりも短くなる。すなわち、メイン基板302に実装されている部品のうち、熱に対しての保証温度が高い電源インダクタ群301が無線送受信部109の発熱による影響を最も受けることになる。
【0030】
ところで、本実施形態では、モード切替スイッチ201により撮影モードと再生モードとの切り替えが可能であるが、撮影モードでは、電源インダクタ群301の発熱量が大きくなる。このため、撮影モードで無線送受信ON/OFFスイッチ204がONされていると、電源インダクタ群301及び無線送受信部109の発熱の影響を無線送受信部109と離して配置した撮像素子104、制御部101及び画像処理部106が受ける可能性がある。
【0031】
そこで、本実施形態では、撮影モード時には、無線送受信ON/OFFスイッチ204の入力操作を無効にしている。
【0032】
具体的には、図8に示すように、ステップS401で、制御部101は、モード切替スイッチ201からの信号に基づき、撮影モードか否かを判断する。そして、制御部101は、撮影モードの場合は、ステップS402に進んで、無線送受信ON/OFFスイッチ204の入力操作を無効にし、撮影モードでない場合は、ステップS403に進んで、無線送受信ON/OFFスイッチ204の入力操作を有効にする。
【0033】
これにより、電源インダクタ群301の発熱量が最も大きくなる撮影モードでは、無線送受信部109は作動しない制御となる。なお、撮影モードの場合は、無線送受信部109自体の作動を停止するように制御してもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、無線送受信部109と電源インダクタ群301との距離が、無線送受信部109と制御部101との距離、無線送受信部109と画像処理部106との距離および無線送受信部109と撮像素子104との距離よりも短くなる。電源インダクタ群301の耐熱性は、撮像素子104もしくは制御部101、画像処理部106を構成する部品の耐熱性よりも高い。したがって、電源インダクタ群301が無線送受信部109の発熱による影響を受けたとしても、ビデオカメラが動作不能な状態に陥ることがない。また、撮像素子104や制御部101や画像処理部106等の制御系素子が無線送受信部109で発生した熱の影響を低減することができ、撮影画像の劣化を回避しつつ安定した制御を行うことができる。
【0035】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
100 カメラ本体
101 制御部
106 画像処理部
107 撮像素子
108 画像表示部
109 無線送受信部
110 電源部
112 レンズ部
302 メイン基板
307 素子基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子から出力される画像信号に対して画像処理を施す画像処理部と、
前記撮像素子、及び前記画像処理部を制御する制御部と、
前記撮像素子、前記画像処理部、及び前記制御部に電源を供給する電源部と、
前記画像処理部、前記制御部、及び前記電源部が実装される基板と、
無線により画像データを送受信する無線送受信部と、を備え、
前記電源部は、前記撮像素子、前記画像処理部、及び前記制御部よりも耐熱性が高く、
前記無線送受信部は、前記無線送受信部と前記電源部との距離が前記無線送受信部と前記撮像素子との距離、前記無線送受信部と前記画像処理部との距離および前記無線送受信部と前記制御部との距離よりも短くなるように、前記基板の実装面に対して対向配置されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子が実装される素子基板を備え、
前記素子基板は前記基板に対して直交するように配置され、前記無線送受信部は、前記基板に実装された前記電源部の実装領域を覆うように、前記基板の実装面に対して平行に対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子に前記被写体像を結像させるレンズ部と、
撮影者側から見て前記撮像装置の左側の側面部に開閉可能に支持される画像表示部と、を備え、
前記基板は、前記レンズ部と前記左側の側面部との間で、前記左側の側面部に対して平行に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影モードと再生モードとを切り替えるモード切替スイッチを備え、
前記制御部は、前記モード切替スイッチからの信号に基づき、撮影モードか否かを判断し、撮影モードであると判断した場合は、前記無線送受信部が作動しないように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、撮影モードであると判断した場合は、前記無線送受信部をON/OFFする無線送受信ON/OFFスイッチの入力操作を無効にすることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−5323(P2013−5323A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136219(P2011−136219)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】