説明

撮影検査装置

【課題】被検査物を元来の状態に保ったまま搬送しながら検査を行うことができる撮影検査装置を提供する。
【解決手段】所定間隔を開けて配置されている一対の搬送ローラー371,372に帯状の被検査物を掛けて移動させながら、前記被検査物の前記間隔を通りかかる部分を保持手段で下から保持しながら上から映像を撮って検査する撮影検査装置において、前記保持手段として、案内ローラー392が、前記間隔を通りかかる前記被検査物を下から当てると共に、前記被検査物の移動に従って回転することができるように配置構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影検査装置に関し、特に、フレキシブルプリント基板など、帯状の被検査物の映像を撮って検査する撮影検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造完了後のフレキシブルプリント基板は、格納や搬送などの作業がしやすいように、ロール状に巻かれるが、回路のプリント異常やひび、傷などがある不良品を検出するために撮影検査装置を通過させる必要がある。
【0003】
図1は、このようなロール状に巻かれる帯状の被検査物の映像を撮って検査する従来の撮影検査装置1の構成を示す斜視図であり、この撮影検査装置1は、所定間隔を開けて配置されている一対の搬送ローラー16、16に帯状の被検査物21を掛けて、ロール16からロール16へと被検査物21の受け渡しを行うことによってロール状に巻かれる状態からベルト状に展開させて移動させながら、被検査物の前記間隔を通りかかる部分を撮影手段15で上から映像を撮り、そしてコンピュータプログラムで撮影した映像を検査するように構成されている。
【0004】
コンピュータプログラムを使用する検査作業は非常に高い精度が望まれるため、ロール16、16の間隔を通りかかるフレキシブルプリント基板が自重で曲がり過ぎると、不良品の判定に間違いが生じるので、撮影手段15の映像を撮影する部分が平面に置かれるように、下から平面で支持する保持台19が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾専利申請第95112709
【特許文献2】台湾専利申請第90212497
【特許文献3】台湾専利申請第93215128
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、保持台19が平面で被検査物21を支持するこの従来の撮影検査装置は、被検査物21を支持する平面がガラス材を使用するので、その表面が完全なる平面でないため、やはり不良品の判定に間違いが生じやすい。そして、表面が完全なる平面でない保持台19が被検査物21に当接するため、摩擦する範囲が広いだけでなく、この不完成平面との摩擦によって被検査物21が磨耗するリスクも高くなる。更に、被検査物21を支持する平面の周縁は90°の鋭角に形成されているため、この鋭角が被検査物21に接触して傷を付けることもある。
【0007】
従って、本発明は、上記問題点を解消して被検査物21を元来の状態に保ったまま搬送しながら検査を行うことができる撮影検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、所定間隔を開けて配置されている一対の搬送ローラーに帯状の被検査物を掛けて移動させながら、前記被検査物の前記間隔を通りかかる部分を保持手段で下から保持しながら上から映像を撮って検査する撮影検査装置において、前記保持手段として、案内ローラーが前記間隔を通りかかる前記被検査物を下から当てると共に、前記被検査物の移動に従って回転することができるように配置構成されていることを特徴とする撮影検査装置を提供する。
【0009】
上記撮影検査装置の具体的な構成については、例えば、支持フレームと、前記支持フレームに、所定間隔を開けるように支持されている一対の搬送ローラーと、前記支持フレームに、前記間隔中に回転可能に、且つ、前記一対の搬送ローラーに掛けられて搬送される帯状の被検査物の前記間隔中を通りかかる部分を下から当てて保持することができるように支持されている一対の案内ローラーと、前記支持フレームに、前記被検査物の映像を前記間隔の上から撮って検査することができるように取付けられている検査手段とを備えるように構成することができる。
【0010】
上記本発明の撮影検査装置において、前記支持フレームには、更に、取付け板が移動可能に設置されており、前記一対の案内ローラーは、前記検査手段の直下にあるように、該検査手段と共に該取付け板の面上に平行に並んで取付けられるように構成することが好ましい。
【0011】
更に、上記本発明の撮影検査装置において、前記一対の案内ローラーは、位置調整のために、前記取付け板に上下移動可能に設置されるように構成することが好ましい。
【0012】
また、上記本発明の撮影検査装置において、前記取付け板には、更に、ローラー取付け台がそれに上下移動可能に設置されており、前記一対の案内ローラーは、両端とも軸受けを介して前記ローラー取付け台に回転可能に保持されるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、本発明は平面で被検査物を支持する方法を採用せず、一対の搬送ローラーの間に配置されている回転可能な案内ローラーで被検査物を下から当てて保持するので、摩擦による損害も、鋭角による傷つけも、虞れがなく特に、ローラー間の距離が短い一対の案内ローラーが使用される場合、被検査物の自重による垂れや曲がりが殆どないので、平面に近い映像を撮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の撮影検査装置1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の撮影検査装置の全体的構成を示す斜視図である。
【図3】同撮影検査装置における案内ローラーが支持フレームに取付けられている部分を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の撮影検査装置の全体的構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
以下は図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
【0016】
図2及び図3は本発明の第1の好ましい実施形態を示している。
まず、図2はこの実施形態の撮影検査装置の全体的構成を示す斜視図である。図示のように、この実施形態の撮影検査装置は、支持フレーム31と、支持フレーム31に所定間隔を開けるように支持されている第1と第2の搬送ローラー371、372と、前記第1と第2の搬送ローラー371、372の間に位置するように、支持フレーム31に回転可能に取付けられている一対の案内ローラー392、392と、支持フレーム31に支持されている検査手段36とを備えている。
【0017】
そして、図3は案内ローラー392、392が支持フレーム31から伸び出すように取付けられている部分を示す断面図である。
【0018】
図示をもっと詳しくみると、支持フレーム31は板状体に形成されたメインフレーム311を有し、該メインフレーム311の一側面には、第1と第2の搬送ローラー371、372及び案内ローラー392、392の並ぶ方向と平行に左右延伸する左右移動レール312が固定されている。左右移動レール312には、左右駆動モータ315の駆動により左右移動レール312に沿って往復動することができる上下駆動手段32が取付けられている。上下駆動手段32は、上下駆動モータ321と、上下駆動モータ321により上下駆動される取付け板322とを備えている。
【0019】
第1の搬送ローラー371は、メインフレーム311に取付けられており、回転駆動モータ374により駆動されて時計方向に回転することが出来る。第1の搬送ローラー371が回転することによって、第1と第2の搬送ローラー371、372に掛けられている帯状の被検査物4は、第2の搬送ローラー372から第1の搬送ローラー371へと連続的に搬送される。
【0020】
また、第1の搬送ローラー371の隣りには、押さえローラー383が取付けられている。押さえローラー383は第1の搬送ローラー371に掛けられて移動されている被検査物4を押さえて第1の搬送ローラー371に保持し、被検査物4の搬送を安定化するものである。
【0021】
一対の案内ローラー392、392は、取付け板322に、第1と第2の搬送ローラー371、372により搬送される帯状の被検査物4の前記間隔中を通りかかる部分を、下から当てて保持すると共に、帯状の被検査物4の移動に従って回転できるように配置構成されている。
【0022】
検査手段36は、取付け板322に、一対の案内ローラー392、392の直上からそのカメラを案内ローラー392、392の間に向けることができるように固定されている。
【0023】
更に、図2及び図3に示すように、案内ローラー392、392は案内長孔394を有するローラー取付け台391を介して取付け板322に取付けられている。そして、ローラー取付け台391は、案内長孔394を挿通して取付け板322にねじ込む位置付けピン393によって、取付け板322に上下移動可能に設置されている。これによって、案内ローラー392、392は案内長孔394により規定される範囲内に、取付け板322に対して位置調整することができる。
【0024】
取付け板322が上昇し、一対の案内ローラー392、392がそれらの間にある被検査物4を第1と第2の搬送ローラー371、372の周面頂点より少し高い位置まで持ち上げると、被検査物4の該一対の案内ローラー392、392の周面頂点の間にある部分にテンションが掛かって、その自重による垂れや曲がりが殆どなくなり、即ち平面に非常に近い状態になるので、検査手段36は平面に近い映像を撮ることができる。そして取付け板322が左右に移動して他の位置に移すと、案内ローラー392、392が第1と第2の搬送ローラー371、372の間の他の部分を持ち上げることによって、該他の部分にテンションを掛からせて検査手段36に撮影させることができる。
【実施例2】
【0025】
続いて、図4を参照して、本発明のもう一つの好ましい実施形態について説明する。
【0026】
図4に示すように、本発明の第2の好ましい実施形態は、図2に示す第1の好ましい実施形態とほぼ同じ構成を有しており、ただ案内ローラー392、392が取付けられているローラー取付け台391の構成が第1の好ましい実施形態と異なっている。
【0027】
この第2の実施形態において、案内ローラー392、392が取付けられているローラー取付け台391は、取付け板322に取付けられている部分に隣設されている第1の軸受け396と、第1のローラー軸受け396から一対の案内ローラー392、392の延伸方向と平行に延伸している延伸部397と、延伸部397の先端に設けられている第2の軸受け398とを有している。一対の案内ローラー392、392は、両端がそれぞれ第1と第2の軸受け396、398を介して、ローラー取付け台391に回転可能に保持されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上記構成によれば、本発明は平面で被検査物を支持する方法を採用せず、一対の搬送ローラーの間に配置されている回転可能な案内ローラーで被検査物を下から当てて保持するので、摩擦による損害も、鋭角による傷つけも、虞れがなく特に、ローラー間の距離が短い一対の案内ローラーが使用される場合、被検査物の自重による垂れや曲がりが殆どないので、平面に近い映像を撮ることができ、例えばフレキシブルプリント基板など、帯状の被検査物の表面検査に応用することができる。
【符号の説明】
【0029】
31 支持フレーム
311 メインフレーム
312 左右移動レール
315 左右駆動モータ
32 上下駆動手段
321 上下駆動モータ
322 取付け板
36 検査手段
371 第1の搬送ローラー
372 第2の搬送ローラー
383 押さえローラー
391 ローラー取付け台
392、392 案内ローラー
393 位置付けピン
394 案内長孔
396 第1の軸受け
397 延伸部
398 第2の軸受け
4 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を開けて配置されている一対の搬送ローラーに帯状の被検査物を掛けて移動させながら、前記被検査物の前記間隔を通りかかる部分を保持手段で下から保持しながら上から映像を撮って検査する撮影検査装置において、
前記保持手段として、案内ローラーが、前記間隔を通りかかる前記被検査物を下から当てると共に、前記被検査物の移動に従って回転することができるように配置構成されていることを特徴とする撮影検査装置。
【請求項2】
支持フレームと、
前記支持フレームに、所定間隔を開けるように支持されている一対の搬送ローラーと、
前記支持フレームに、前記間隔中に回転可能に、且つ、前記一対の搬送ローラーに掛けられて搬送される帯状の被検査物の前記間隔中を通りかかる部分を下から当てて保持することができるように支持されている一対の案内ローラーと、
前記支持フレームに、前記被検査物の映像を前記間隔の上から撮って検査することができるように取付けられている検査手段とを備えていることを特徴とする撮影検査装置。
【請求項3】
前記支持フレームには、更に、取付け板が移動可能に設置されており、
前記一対の案内ローラーは、前記検査手段の直下にあるように、該検査手段と共に該取付け板の面上に平行に並んで取付けられていることを特徴とする請求項2に記載の撮影検査装置。
【請求項4】
前記一対の案内ローラーは、位置調整のために、前記取付け板に上下移動可能に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の撮影検査装置。
【請求項5】
前記取付け板に、更に、ローラー取付け台がそれに上下移動可能に設置されており、
前記一対の案内ローラーは、両端とも軸受けを介して前記ローラー取付け台に回転可能に保持されていることを特徴とする請求項4に記載の撮影検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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