説明

撮影用照明装置の補助装置

【課題】
バウンス撮影を実現できる照明装置の持ち運びの不便さを解消すること。
【解決手段】
補助装置3は、カメラ1に対して着脱自在であるカメラ側着脱部31と、フラッシュ2に対して着脱自在であるフラッシュ側着脱部32と、カメラ側着脱部31に対するフラッシュ側着脱部32の姿勢を変える空洞部31c、球体33、ロッド34と、を備える。こうした構成により、補助装置3は、カメラ1及びフラッシュ2に対して着脱自在になる。また、補助装置3は、カメラ1に対してフラッシュ2を少なくとも揺動又は回動させる機能、すなわちカメラ1に対するフラッシュ2の姿勢を変えるバウンス機能を有する。補助装置3自体がバウンス機能を有すると、フラッシュ2にバウンス機構を設ける必要がなくなる。このため、フラッシュ2が高さ方向に大型化することもなくなり、長さをコンパクトにできるので、フラッシュ2の持ち運びが楽になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に取り付けられる照明装置のための補助装置に関し、照明装置の照射角度を自在に調節するバウンス機能を備えた補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真撮影の際に、自然光で光量が足りない場合や、影を消したい場合や、明暗を調節したい場合など、には撮影用照明装置(本明細書では単に「照明装置」ともいう)、所謂フラッシュ、が用いられる。照明装置の光源としては主にキセノン放電管が用いられる。
【0003】
照明装置を使用したライティング方法としては、照明装置の照射方向を被写体方向に向けて被写体を直接光で照明する方法と、照明装置の照射方向を被写体方向とは別の方向に向けて被写体外の反射面等の反射光で間接的に照明する方法(バウンス発光、バウンス撮影という)とがある。
【0004】
カメラに内蔵される照明装置は、被写体の方向に直接向けて照射するようにカメラ本体に予め取り付けられる。このため、カメラに内蔵される照明装置を用いてバウンス撮影することは難しい。そもそも、カメラにおいては照明装置以外の構成部分の機能が優先され又カメラ本体のデザインの制約を受けることから、カメラに内蔵される照明装置は小型化されている。このため、カメラに内蔵される照明装置は光量が低く、バウンス撮影には向かない。
【0005】
一方、カメラに外付けされる照明装置は形状や大きさが様々である。カメラに外付けされる様々な照明装置の中には、照射方向を機械的に調節するバウンス機構を備えるものもある。一般にバウンス撮影の際にはこうしたバウンス機構を備えた外付けの照明装置が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
照明装置はキセノン放電管の他に、キセノン放電管に電力を供給するための電池とコンデンサーを有する。照明装置で大きな光量を得るためにはキセノン放電管に瞬時に大電流を供給する必要があり、そのためには大容量のコンデンサーが必要である。また、コンデンサーを充電するスピード及び発光回数は電池とコンデンサーの容量の兼ね合いによって決定される。大容量のコンデンサーを急速充電するためには大容量の電池が必要である。大きな光量を短時間で発光するためには、大型のコンデンサーと電池が必要になる。
【0007】
照明装置が大型のコンデンサーと電池に加えてバウンス機構を備えるとなると、照明装置自体の大型化は避けられない。特に照明装置が高さ方向に長くなる場合が多い。照明装置はケースに収納されて持ち運ばれるのであるが、照明装置が長くなるに伴いケースも長くなる。長いケースは持ち運びが不便である。
【0008】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、バウンス撮影を実現できる照明装置の持ち運びの不便さを解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明は、
撮影装置に対して着脱自在である撮影装置側着脱部と、
照明装置に対して着脱自在である照明装置側着脱部と、
前記撮影装置側着脱部に対する前記照明装置側着脱部の姿勢を変える照明姿勢調節機構と、を備えたこと
を特徴とする。
【0010】
第1発明を図1、図2を参照して説明する。
補助装置3は、カメラ1(撮影装置)に対して着脱自在であるカメラ側着脱部31(撮影装置側着脱部)と、フラッシュ2(照明装置)に対して着脱自在であるフラッシュ側着脱部32(照明装置側着脱部)と、カメラ側着脱部31に対するフラッシュ側着脱部32の姿勢を変える空洞部31c、球体33、ロッド34(以上、照明姿勢調節機構)と、を備える。こうした構成により、補助装置3は、カメラ1及びフラッシュ2に対して着脱自在になる。また、補助装置3は、カメラ1に対してフラッシュ2を少なくとも揺動又は回動させる機能、すなわちカメラ1に対するフラッシュ2の姿勢を変えるバウンス機能を有する。
【0011】
第1発明では、補助装置3自体がバウンス機構に相当する。このため、フラッシュ2にバウンス機構を設ける必要がなくなり、フラッシュ2が高さ方向に大型化することもなくなる。フラッシュ2の持ち運びの際にはケースにフラッシュ2を収納し、ケースの空スペースに補助装置を収納すれば良い。結果として、バウンス機構を備えたフラッシュ2のケースと比較して、ケース自体の長さをコンパクトにできるので、フラッシュ2の持ち運びが楽になる。
【0012】
第2発明は、第1発明において、
撮影装置の電気回路と照明装置の電気回路とを電気的に接続する通電部を備えたこと
を特徴とする。
【0013】
第2発明を図1、図2を参照して説明する。
補助装置3は、カメラ1(撮影装置)の電気回路とフラッシュ2(照明装置)の電気回路とを電気的に接続する配線37(通電部)を備える。こうした構成により、補助装置3は、カメラ1のシャッター操作に応じてカメラ1の電気回路に発生する発光トリガ信号をフラッシュ2の電気回路に送信する。
【0014】
第3発明は、第2発明において、
前記通電部は、前記撮影装置側着脱部に形成されて撮影装置の電気回路の端末に接続される第1の端末と、前記照明装置側着脱部に形成されて照明装置の電気回路の端末に接続される第2の端末と、を有すること
を特徴とする。
【0015】
第3発明を図1、図2を参照して説明する。
補助装置3の配線37は、カメラ側着脱部31(撮影装置側着脱部)に形成されてカメラ1(撮影装置)の電気回路の端末に接続される端末37a(第1の端末)と、フラッシュ側着脱部32(照明装置側着脱部)に形成されてフラッシュ2(照明装置)の電気回路の端末に接続される端末37b(第2の端末)と、を有する。こうした構成により、カメラ1及びフラッシュ2への補助装置3の機械的な装着に応じて、カメラ1の電気回路とフラッシュの電気回路が配線37を介して電気的に接続される。
【0016】
第4発明は、第1〜第3発明において、
前記照明姿勢調節機構は、前記照明装置側着脱部を、予め設定された複数の所定姿勢の何れかで停止させること
を特徴とする。
【0017】
第4発明を図4を参照して説明する。
カメラ側着脱部51の凹部51dに設けられるバネ58、ボール59と球体53の凹部53aは位置決め機構、所謂ディテント機構を形成する。ディテント機構(照明姿勢調節機構)は、フラッシュ側着脱部52(照明装置側着脱部)を、予め設定された複数の所定姿勢の何れかで停止させる。ディテント機構によってフラッシュを特定の姿勢で保持することができる。
【0018】
第5発明は、第1〜第4発明において、
前記照明姿勢調節機構は、前記撮影装置側着脱部に対して前記照明装置側着脱部を揺動自在にすること
を特徴とする。
【0019】
第6発明は、第1〜第4発明において、
前記照明姿勢調節機構は、前記撮影装置側着脱部に対して前記照明装置側着脱部を回動自在にすること
を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)はフラッシュが補助装置を介してカメラに取り付けられた様子を示す正面図。(b)はフラッシュが補助装置を介してカメラに取り付けられた様子を示す側面図。
【図2】(a)は補助装置の正面図。(b)は補助装置の側面図。(c)は(b)のA−A断面で補助装置を示す図。
【図3】(a)は補助装置の正面図。(b)は補助装置の側面図。(c)は(a)のB−B断面で補助装置を示す図。
【図4】(a)は補助装置の正面図。(b)は(a)のC−C断面で補助装置を示す図。(c)は(b)のD−D断面で補助装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
なお、各実施形態では撮影装置を写真撮影用のカメラとし、照明装置をフラッシュとして説明する。
【0022】
図1(a)はフラッシュが補助装置を介してカメラに取り付けられた様子を示す正面図である。図1(b)はフラッシュが補助装置を介してカメラに取り付けられた様子を示す側面図である。なお、本発明の補助装置は上下を特定するものではないが、本明細書中では説明の便宜上、フラッシュ側を上と定義し、カメラ側を下と定義する。
【0023】
図1(a)、(b)で示されるように、補助装置3はカメラ1とフラッシュ2との間に介在する。補助装置3は、カメラ1及びフラッシュ2に対して着脱自在であり、また、カメラ1に対してフラッシュ2を少なくとも前後方向に揺動させる機能又は左右方向に揺動させる機能又は回動させる機能、すなわちカメラ1に対するフラッシュ2の姿勢を変えるバウンス機能を有する。バウンス機能はどのような構造で実現しても構わない。以下、バウンス機能を実現する補助装置の構造の一例を、図2〜図4を参照して説明する。なお、図2〜図4は補助装置を模式化して示している。
【0024】
[実施例1]
図2(a)〜(c)は第1の実施形態に係る補助装置の構造を説明するための模式図である。図2(a)は補助装置の正面図であり、図2(b)は補助装置の側面図であり、図2(c)は図2(b)のA−A断面で補助装置を示す図である。
第1の実施形態に係る補助装置3は、カメラ1とフラッシュに対して着脱自在であり、カメラ1に対してフラッシュ2を前後方向に傾斜する様に揺動可能にし且つ回動可能にするものである。
【0025】
補助装置3は、大きくは、カメラ1に対して着脱自在であるカメラ側着脱部31と、フラッシュ2に対して着脱自在であるフラッシュ側着脱部32と、カメラ側着脱部31に対するフラッシュ側着脱部32の姿勢を変える照明姿勢調節機構31c、33、34と、を備える。
【0026】
カメラ側着脱部31は補助装置3の下部に配置される。カメラ側着脱部31の下部にはカメラ1との連結部31aが形成され、上部には前後方向に伸長する切欠き31bが形成され、内部には切欠き31bに連通する球状の空洞31cが形成される。連結部31aが図示しないカメラ1の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、カメラ側着脱部31がカメラ1に装着される。
【0027】
フラッシュ側着脱部32は補助装置3の上部に配置される。フラッシュ側着脱部32の上部にはフラッシュ2との連結部32aが形成され、下部にはロッド34の上端が接続される。連結部32aが図示しないフラッシュ2の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、フラッシュ側着脱部32がフラッシュ2に装着される。フラッシュ側着脱部32は、カメラ側着脱部31を基準にして前後方向に傾斜するように揺動可能であり、またロッド34の軸を中心にして回動可能である。
【0028】
球体33はカメラ側着脱部31の空洞31cの内部に配置される。球体33の上部にはロッド34の下端が接続される。球体33は、フラッシュ側着脱部32が前後方向へ揺動するに応じて空洞31cの内部で前後方向に回動する。また、球体33は、フラッシュ側着脱部32がロッド34の軸を中心にして回動するに応じて空洞31cの内部でフラッシュ側着脱部32と同方向に回動する。
【0029】
ロッド34はカメラ側着脱部31の切欠き31bに挿通され、フラッシュ側着脱部32と球体33とを連結する。
【0030】
ネジ35はカメラ側着脱部31の側面から空洞31cに貫通する孔に螺入される。ネジ35の頭部はカメラ側着脱部31の外側に配置され、ネジ先はカメラ側着脱部31の空洞31cに配置される。ネジ35のネジ先には当接部材35aが設けられ、当接部35aは球体33に当接する。ネジ35が締められるに応じて、当接部材35aは球体33を空洞31cの内壁面に押圧して固定する。また、ネジ35が緩められるに応じて、当接部材35aは球体33の固定を解除する。
【0031】
なお、球体33を中心にしたネジ35の反対側に同じ様なネジ構造を設け、球体33を2本のネジで相対する方向から締め付けて固定するようにしても良い。
【0032】
カメラ側着脱部31、球体33、ロッド34、フラッシュ側着脱部32のそれぞれには互いに連通する孔が形成されており、その孔に配線37が挿通される。配線37の一方の端末37aはカメラ側着脱部31の連結部31aに配置され、他方の端末37bはフラッシュ側着脱部32の連結部32aに配置される。配線37は、カメラ1のシャッター操作に応じてカメラ1の電気回路に発生する発光トリガ信号をフラッシュ2の電気回路に送信する。
【0033】
次に補助装置3の着脱操作について説明する。
カメラ1及びフラッシュ2への補助装置3の装着は次の様にして行う。フラッシュ側着脱部32の連結部32aをフラッシュ2の連結部に装着する。装着に応じて、配線37の端末37bはフラッシュ2の電気回路の端末に接続される。続いて、カメラ側着脱部31の連結部31aをカメラ1の連結部に装着する。装着に応じて、配線37の端末37aはカメラ1の電気回路の端末に接続される。以上の装着操作によって、カメラ1とフラッシュ2とが補助装置を介して機械的に接続され、また、カメラ1の電気回路とフラッシュ2の電気回路とが配線17を介して電気的に接続される。
【0034】
ここでは補助装置3をフラッシュ2に装着した後にカメラ1に装着する方法を説明したが、逆に補助装置3をカメラ1に装着した後にフラッシュ2に装着しても結果は同じである。
【0035】
カメラ1及びフラッシュ2からの補助装置3の分離は次の様にして行う。カメラ側着脱部31の連結部31aとカメラ1の連結部とを分離する。両者の分離に応じて、配線37の端末37aとカメラ1の電気回路の端末は分離される。続いて、フラッシュ側着脱部32の連結部32aとフラッシュ2の連結部とを分離する。両者の分離に応じて、配線37の端末37bとフラッシュ2の電気回路の端末は分離される。
【0036】
ここでは補助装置3をカメラ1から分離した後にフラッシュ2から分離する方法を説明したが、逆に補助装置3をフラッシュ2から分離した後にカメラ1から分離しても結果は同じである。
【0037】
次に補助装置3を用いたフラッシュ2の姿勢調整操作について説明する。
ネジ35が締められて球体33が固定されている場合は、ネジ35を緩めて球体33の固定状態を解除する。そして、フラッシュ側着脱部32に装着されたフラッシュ2を前後方向に所望の傾斜角度だけ揺動させる。または、フラッシュ側着脱部32に装着されたフラッシュ2を所望の回動角度だけ回動させる。勿論、揺動、回動の一方のみでなく、揺動及び回動の両者を行ってもよい。こうしてフラッシュ2の姿勢を調整したならば、ネジ35を締めて球体33を固定する。以上の姿勢調整操作によって、カメラ1の撮影方向に対してフラッシュ2の照射方向を変化させることができる。
【0038】
第1の実施形態によれば、次の様な効果を得られる。
第1の実施形態では、補助装置3自体がバウンス機構に相当する。このため、フラッシュ2にバウンス機構を設ける必要がなくなり、フラッシュ2が高さ方向に大型化することもなくなる。フラッシュ2の持ち運びの際にはケースにフラッシュ2を収納し、ケースの空スペースに補助装置を収納すれば良い。結果として、バウンス機構を備えたフラッシュ2のケースと比較して、ケース自体の長さをコンパクトにできるので、フラッシュ2の持ち運びが楽になる。
【0039】
また、補助装置を種々のフラッシュ2間で使い回せる。すると、個々のフラッシュ2にバウンス機構を設ける必要がなくなるので、フラッシュ2の製造コストを抑えることができる。
【0040】
[実施例2]
図3(a)〜(c)は第2の実施形態に係る補助装置の構造を説明するための模式図である。図3(a)は補助装置の正面図であり、図3(b)は補助装置の側面図であり、図3(c)は図3(b)のB−B断面で補助装置を示す図である。
【0041】
第2の実施形態に係る補助装置3は、カメラ1とフラッシュに対して着脱自在であり、カメラ1に対してフラッシュ2を前後左右方向に傾斜する様に揺動可能にし且つ回動可能にするものである。
【0042】
補助装置3は、大きくは、カメラ1に対して着脱自在であるカメラ側着脱部41と、フラッシュ2に対して着脱自在であるフラッシュ側着脱部42と、カメラ側着脱部41に対するフラッシュ側着脱部42の姿勢を変える照明姿勢調節機構41c、43、44と、を備える。
【0043】
カメラ側着脱部41は補助装置3の下部に配置される。カメラ側着脱部41の下部にはカメラ1との連結部41aが形成され、上部及び四方の側面には前後・左右方向に伸長する切欠き41bが形成され、内部には切欠き41bに連通する球状の空洞41cが形成され、背面には2つのボス41d、41dが形成される。切欠き41aはロッド44が前後・左右方向に少なくとも90°傾斜できるように形成されている。連結部41aが図示しないカメラ1の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、カメラ側着脱部41がカメラ1に装着される。
【0044】
フラッシュ側着脱部42は補助装置3の上部に配置される。フラッシュ側着脱部42の上部にはフラッシュ2との連結部42aが形成され、下部にはロッド44の上端が接続される。連結部42aが図示しないフラッシュ2の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、フラッシュ側着脱部42がフラッシュ2に装着される。フラッシュ側着脱部42は、カメラ側着脱部41を基準にして前後方向及び左右方向に傾斜するように揺動可能であり、またロッド44の軸を中心にして回動可能である。
【0045】
球体43はカメラ側着脱部41の空洞41cの内部に配置される。球体43の上部にはロッド44の下端が接続される。球体43は、フラッシュ側着脱部42が前後方向へ揺動するに応じて空洞31cの内部で前後方向に回動し、左右方向へ揺動するに応じて空洞31cの内部で左右方向に回動する。また、球体43は、フラッシュ側着脱部42がロッド44の軸を中心にして回動するに応じて空洞41cの内部でフラッシュ側着脱部42と同方向に回動する。
【0046】
ロッド44はカメラ側着脱部41の切欠き41bに挿通され、フラッシュ側着脱部42と球体43とを連結する。
【0047】
ベルト45は球体13の前後左右を把持するように巻かれる。ベルト45の両端部はカメラ側着脱部41の2つのボス41d、41dの間に配置される。その両端部にはネジ46が螺入される孔が形成されており、各孔には相対する方向のねじ山が螺刻される。
【0048】
ネジ46は回動自在な状態でカメラ側着脱部41の2つのボス41d、41dに設けられる。またネジ46はボス41d、41dの間に配置されたベルト46の両端部に螺入される。ネジ46が一方向に回転されるに応じて、ベルト45の両端が互いに近づき、ベルト45が球体33を締め付けて固定する。また、ネジ46が他方向に回転されるに応じて、ベルト45の両端が互いに離れ、ベルト45が球体33の締め付けを緩めて固定を解除する。
【0049】
カメラ側着脱部41、球体43、ロッド44、フラッシュ側着脱部42のそれぞれには互いに連通する孔が形成されており、その孔に配線47が挿通される。配線47の一方の端末47aはカメラ側着脱部41の連結部41aに配置され、他方の端末47bはフラッシュ側着脱部42の連結部42aに配置される。配線47は、カメラ1のシャッター操作に応じてカメラ1の電気回路に発生する発光トリガ信号をフラッシュ2の電気回路に送信する。
【0050】
補助装置3の着脱操作は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0051】
次に補助装置3を用いたフラッシュ2の姿勢調整操作について説明する。
ベルト45が締められて球体43が固定されている場合は、ネジ46を固定解除方向に回転させてベルト45の締め付けを緩めて球体43の固定状態を解除する。そして、フラッシュ側着脱部42に装着されたフラッシュ2を前後方向に所望の傾斜角度だけ揺動させる。または、フラッシュ側着脱部42に装着されたフラッシュ2を左右方向に所望の傾斜角度だけ揺動させる。または、フラッシュ側着脱部42に装着されたフラッシュ2を所望の回動角度だけ回動させる。勿論、揺動、回動の一方のみでなく、揺動及び回動の両者を行ってもよい。こうしてフラッシュ2の姿勢を調整したならば、ネジ46を固定方向に回転させてベルト45を締め付けて球体43を固定する。以上の姿勢調整操作によって、カメラ1の撮影方向に対してフラッシュ2の照射方向を変化させることができる。
【0052】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、フラッシュ2の持ち運びが楽になりまたフラッシュ2の製造コストを抑えることができる、という効果を得られる。
【0053】
さらに、第2の実施形態によれば、フラッシュ2を左右方向に傾けることができる。このことによって以下のような効果が得られる。
【0054】
被写体を特定の方向から接写するとき、フラッシュ2を左右方向に傾ける場合と傾けない場合とでは影の方向が異なる。つまり、フラッシュ2を左右方向に傾けることができると、ライティングの手法が増えることになる。
【0055】
また、カメラ1を特定位置に配置して撮影したいにも関わらず、その位置の上部に障害物があるとフラッシュ2が障害物と接触してカメラ1をうまく配置できない。こうした場合にフラッシュ2を左右方向に傾ければ、フラッシュ2と障害物との接触を避けることができ、カメラ1を特定位置に配置することが可能となる。
【0056】
[実施例3]
図4(a)〜(c)は第3の実施形態に係る補助装置の構造を説明するための模式図である。図4(a)は補助装置の正面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C断面で補助装置を示す図であり、図4(c)は図4(b)のD−D断面で補助装置を示す図である。
【0057】
第3の実施形態に係る補助装置3は、カメラ1とフラッシュに対して着脱自在であり、カメラ1に対してフラッシュ2を前後方向に傾斜する様に揺動可能にし且つ回動可能にするものである。さらに、予め複数の傾斜姿勢が設定されており、何れかの傾斜姿勢でフラッシュ2を保持するものである。
【0058】
補助装置3は、大きくは、カメラ1に対して着脱自在であるカメラ側着脱部51と、フラッシュ2に対して着脱自在であるフラッシュ側着脱部52と、カメラ側着脱部51に対するフラッシュ側着脱部52の姿勢を変える照明姿勢調節機構51c、53、54と、を備える。
【0059】
カメラ側着脱部51は補助装置3の下部に配置される。カメラ側着脱部51の下部にはカメラ1との連結部51aが形成され、上部には前後方向に伸長する切欠き51bが形成され、内部には切欠き51bに連通する球状の空洞51cが形成される。連結部51aが図示しないカメラ1の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、カメラ側着脱部51がカメラ1に装着される。また、空洞51cの内壁面には、後述する球体53の回動方向に沿って複数の凹部51dが形成される。各凹部51dの底部にはバネ58が設けられ、バネ58の上にはボール59が設けられる。ボール59に対してバネ58方向への力が作用すると、ボール59はバネ58を縮めて凹部51dの内部に収まる。
【0060】
フラッシュ側着脱部52は補助装置3の上部に配置される。フラッシュ側着脱部52の上部にはフラッシュ2との連結部52aが形成され、下部にはロッド54の上端が接続される。連結部52aが図示しないフラッシュ2の連結部に嵌合されるかまたは螺合されることによって、フラッシュ側着脱部52がフラッシュ2に装着される。フラッシュ側着脱部52は、カメラ側着脱部51を基準にして前後方向に傾斜するように揺動可能である。
【0061】
球体53はカメラ側着脱部51の空洞51cの内部に配置される。球体53の上部にはロッド54の下端が接続される。球体53には貫通する孔が形成され、その孔にネジ55が挿通される。球体53の外周面には回動方向に沿って複数の凹部53aが形成される。球体53は、フラッシュ側着脱部52が前後方向へ揺動するに応じて空洞51cの内部で前後方向に回動する。
【0062】
ロッド54はカメラ側着脱部51の切欠き51bに挿通され、フラッシュ側着脱部52と球体53とを連結する。
【0063】
ネジ55はカメラ側着脱部51の側面の孔から挿通され、カメラ側着脱部51及び球体53を貫通する。ネジ55のネジ先にはボルト56がはめられる。ネジ55は球体53の回動軸である。
【0064】
カメラ側着脱部51、球体53、ロッド54、フラッシュ側着脱部52のそれぞれには互いに連通する孔が形成されており、その孔に配線57が挿通される。配線57の一方の端末57aはカメラ側着脱部51の連結部51aに配置され、他方の端末57bはフラッシュ側着脱部52の連結部52aに配置される。配線57は、カメラ1のシャッター操作に応じてカメラ1の電気回路に発生する発光トリガ信号をフラッシュ2の電気回路に送信する。
【0065】
補助装置3の着脱操作は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0066】
次に補助装置3を用いたフラッシュ2の姿勢調整操作について説明する。
カメラ側着脱部51の凹部51dに設けられるバネ58、ボール59と球体53の凹部53aは位置決め機構、所謂ディテント機構を形成する。バネ58によってボール59には外側に押圧力が加えられており、ボール59が球体53の凹部53aに嵌まると球体53は一定の固定力を受ける。但し、球体53にある程度の回動力が作用すると、ボール59が球体53の外周面によって凹部51dの内部に押し込まれるので、球体53は回動可能となる。
【0067】
フラッシュ側着脱部42に装着されたフラッシュ2を前後方向にある程度の力を加えれば、ディテント機構による球体53の固定が解除され、フラッシュ2を揺動させることができる。そして、ボール59が球体53の凹部53aに嵌まる何れかの姿勢でフラッシュ2の揺動を停止させればよい。以上の姿勢調整操作によって、カメラ1の撮影方向に対してフラッシュ2の照射方向を変化させることができる。
【0068】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、フラッシュ2の持ち運びが楽になりまたフラッシュ2の製造コストを抑えることができる、という効果を得られる。
【0069】
さらに、第3の実施形態によれば、ディテント機構によってフラッシュ2を特定の傾斜姿勢で保持することができる。
【0070】
なお、第3の実施形態では、球体53の代わりに円柱体を使用し、円柱体の中心にネジ55が挿通される構造にしても良い。
【0071】
また、第3の実施形態では、球体53の回動軸をネジ55とし、その回動軸を中心にしてディテント機構を形成してフラッシュ2を前後方向の特定の傾斜姿勢で保持するようにしたが、球体53の回動軸をロッド54とし、その回動軸を中心にしてディテント機構を形成してフラッシュ2を水平方向の特定の回動姿勢で保持するようにすることも可能である。
【0072】
また、各実施形態の構成を適宜組み合わせ又は交換することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…カメラ、
2…フラッシュ、
3…補助装置、
31、41、51…カメラ側着脱部、
31a、41a、51a…空洞部、
32、42、53…フラッシュ側着脱部、
33、43、53…球体、
34、44、54…ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置に対して着脱自在である撮影装置側着脱部と、
照明装置に対して着脱自在である照明装置側着脱部と、
前記撮影装置側着脱部に対する前記照明装置側着脱部の姿勢を変える照明姿勢調節機構と、を備えたこと
を特徴とする撮影用照明装置の補助装置。
【請求項2】
撮影装置の電気回路と照明装置の電気回路とを電気的に接続する通電部を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の撮影用照明装置の補助装置。
【請求項3】
前記通電部は、前記撮影装置側着脱部に形成されて撮影装置の電気回路の端末に接続される第1の端末と、前記照明装置側着脱部に形成されて照明装置の電気回路の端末に接続される第2の端末と、を有すること
を特徴とする請求項2に記載の撮影用照明装置の補助装置。
【請求項4】
前記照明姿勢調節機構は、前記照明装置側着脱部を、予め設定された複数の所定姿勢の何れかで停止させること
を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の撮影用照明装置の補助装置。
【請求項5】
前記照明姿勢調節機構は、前記撮影装置側着脱部に対して前記照明装置側着脱部を揺動自在にすること
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影用照明装置の補助装置。
【請求項6】
前記照明姿勢調節機構は、前記撮影装置側着脱部に対して前記照明装置側着脱部を回動自在にすること
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影用照明装置の補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−228045(P2011−228045A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95047(P2010−95047)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(502412020)株式会社芝川製作所 (6)
【Fターム(参考)】