説明

撮影装置

【課題】 従来のカメラでは、画像データに付加される著作権情報の入力作業や書換作業に手間がかかった。
【解決手段】 入力文字表示欄44,47(図4(d),(e))に入力された撮影者名および著作権者名の著作権情報は、デジタルカメラ1に入力される。また、撮影手段によって作成された画像ファイルは、デジタルカメラ1に入力された著作権情報が付加される設定となっているときには、著作権情報が付加情報として画像ファイルのヘッダに付加され、改ざん検出のための情報検証用データが付加される設定となっているときには、情報検証用データが付加情報として画像ファイルのヘッダに付加された後、メモリカード22に記憶される。また、著作権情報や情報検証用データの画像ファイルへの付加設定状態は、液晶モニタ5に同時に表示される(図3(b)参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権に関する著作権情報が画像ファイルに付加される撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような撮影装置としては、例えば、特許文献1に開示されたカメラがある。このカメラを用いた撮影によって画像データが得られると、著作権に関する情報が格納されているバックアップメモリから情報が読み込まれ、読み込まれた著作権に関する情報が画像データに付加される。著作権に関する情報は、著作権者を特定する情報や著作物であることを示す情報からなる。著作権に関する情報は、パソコン(パーソナルコンピュータ)などの他の機器において入力されたり書き換えられた記憶媒体を介してカメラに取り込まれる。または、カメラに接続されたパソコンから直接カメラ内のバックアップメモリに対して入力や追記され、変更もしくは削除される。
【0003】
また、特許文献2には、撮影著作権者や編集著作権者などの情報をExif(Exchangeable Image File)フォーマットの付加情報として画像データに添付することができるカメラが開示されている。画像データに添付される付加情報は、パソコンによって予め付加情報が記録された記憶媒体をカメラ本体に装着することでカメラ本体に読み込まれ、この読み込まれた付加情報が画像データに添付されることで、Exifファイルが作成される。
【特許文献1】特開平11−284945号公報(段落[0020]〜[0031])
【特許文献2】特開2007−81727号公報(段落[0053]〜[0055])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されるような上記従来のカメラでは、画像データに添付される著作権情報の入力や書き換えなどは、着脱自在な記憶媒体を介して、またはカメラ本体に接続されたパソコンから行われる構成となっており、画像データに添付される著作権情報の入力や書き換えなどをカメラ本体だけで行うことができない。このため、従来、画像データに添付される著作権情報の入力作業や書換作業に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
被写体像を撮影し、この被写体像の画像データを含む画像ファイルを作成する撮影手段と、
この撮影手段によって撮影された画像ファイルを記憶する記憶手段と、
撮影装置に入力された著作権に関する著作権情報を記憶する著作権情報記憶手段と、
著作権情報を画像ファイルに付加するか否かを設定する著作権情報設定手段と、
改ざん検出のための情報検証用データを画像ファイルに付加するか否かを設定する報検証用データ設定手段と、
著作権情報設定手段によって著作権情報を付加する設定となっている際には、撮影手段によって作成された画像ファイルに著作権情報を付加し、情報検証用データ設定手段によって情報検証用データを付加する設定となっている際には、撮影手段によって作成された画像ファイルに情報検証用データを付加した後に、この画像ファイルを記憶手段に記憶させる情報付加手段と、
著作権情報設定手段による設定および情報検証用データ設定手段による設定を同時に表示部に表示する表示制御手段と
を備えて撮影装置を構成した。
【0006】
この構成によれば、著作権に関する著作権情報は撮影装置に入力される。また、撮影手段によって作成された画像ファイルは、撮影装置に入力された著作権情報が著作権情報設定手段によって付加される設定となっているときには著作権情報が付加され、改ざん検出のための情報検証用データが情報検証用データ設定手段によって付加される設定となっているときには情報検証用データが付加された後、記憶手段に記憶される。このため、著作権情報の入力や画像ファイルへの付加を撮影装置において行うことが可能となり、従来の撮影装置のように、著作権に関する情報の入力作業、付加作業および書換作業などに手間がかかってしまうということがなくなる。また、著作権情報設定手段による著作権情報の画像ファイルへの付加設定状態および情報検証用データ設定手段による情報検証用データの画像ファイルへの付加設定状態は、表示部に同時に表示される。このため、著作権情報および情報検証用データが画像ファイルへ付加されるか否かの設定作業や確認作業は、表示部における一つの画面で容易に行えるようになる。
【0007】
また、本発明は、請求項1に記載の撮影装置において、
著作権情報設定手段によって画像ファイルに著作権情報を付加するように設定された際に、情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、設定状態が情報検証用データを付加しない設定となっている場合は、情報検証用データを付加する設定とする情報設定手段を具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、著作権情報設定手段によって著作権情報が画像ファイルに付加されるように設定され、かつ、情報検証用データ設定手段によって情報検証用データが画像ファイルに付加されない設定状態が検出されると、情報設定手段により、情報検証用データが自動的に画像データに付加されるように設定される。このため、著作権情報が付加された画像ファイルに対しては、情報検証用データを用いた改ざん判定が必ず行われるようになり、改ざん判定の設定を忘れてしまうことが確実に防止されるようになる。
【0009】
また、本発明は、請求項1に記載の撮影装置において、
表示制御手段が、著作権情報設定手段によって画像ファイルに著作権情報を付加するように設定された際に、情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、設定状態が情報検証用データを付加しない設定となっている場合は、情報検証用データ設定手段による情報検証用データの付加設定を表示部に警告表示することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、著作権情報設定手段によって著作権情報が画像ファイルに付加されるように設定され、かつ、情報検証用データ設定手段によって情報検証用データが画像ファイルに付加されない設定状態が検出されると、表示制御手段により、情報検証用データの画像ファイルへの付加設定が表示部に警告表示される。このため、著作権情報が付加された画像ファイルに対しては、情報検証用データの付加設定が促されるようになる。従って、著作権情報が付加された画像ファイルの改ざん判定の設定を忘れてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による撮影装置によれば、上記のように、著作権情報の入力や画像ファイルへの付加を撮影装置本体において行うことが可能となり、著作権に関する情報の入力作業、付加作業および書換作業などに手間がかかってしまうということがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明による撮影装置を実施するための最良の形態について、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態によるデジタルカメラ1の外観を示す背面図である。
【0014】
デジタルカメラ1の本体背面の中央上方には、撮影される被写体が視認される光学ファインダ2が設けられている。光学ファインダ2の上方のペンタ部1Aには、閃光装置を取り付けるためのホットシュー3が設けられている。また、光学ファインダ2の右方には、撮影モードや露出モードの設定などを行うためのコマンドダイアル4が設けられている。また、光学ファインダ2の下方には、撮影に関する種々の情報や撮影画像を表示する表示部を構成する液晶モニタ5が設けられている。
【0015】
液晶モニタ5の右側には、環状に形成されたマルチセレクタ6が設けられており、その内側には、マルチセレクタ6の操作によって選択された所定の項目の決定などの際に操作される入力ボタン7が設けられている。また、マルチセレクタ6の下方には、マルチセレクタ6および入力ボタン7による操作内容の確定などの際に操作されるOKボタン8が設けられている。
【0016】
また、液晶モニタ5の左側には、上から順に、撮影された画像の画像データの削除などの際に操作される削除ボタン9、デジタルカメラ1の各種設定を行うメニュー画面の表示などの際に操作されるメニューボタン10、液晶モニタ5に表示させる撮影画像の縮小表示やサムネイル表示などの際に操作される縮小/サムネイルボタン11、および撮影画像の拡大表示などの際に操作される拡大ボタン12が設けられている。
【0017】
上記のマルチセレクタ6、入力ボタン7、OKボタン8、削除ボタン9およびメニューボタン10は、撮影者名や著作権者名といった著作権に関する情報(以下、著作権情報と記す)を入力する著作権情報入力手段を構成している。
【0018】
図2は、デジタルカメラ1の内部構成の概略を示すブロック図である。
【0019】
不揮発性メモリ13には、CPU(中央演算処理装置)14が種々の処理を行う際の制御プログラムが格納されており、CPU14は、バッファメモリ15を一時記憶作業領域として制御プログラムに従った種々の制御を行う。
【0020】
デジタルカメラ1の正面に設けられた光学レンズ16を介して導かれた光は、撮像素子17の受光面17aに被写体像を投影する。図示しないシャッターボタンが半押しされると、CPU14は、オートフォーカス機能を作動させ、光学レンズ16の位置を同図に矢示する方向に移動して、撮像素子17の受光面17a上に投影される被写体像の焦点を自動調節する。撮像素子17は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなる。撮像素子17の受光面17a上に結像した被写体像はアナログの撮像信号に変換され、この撮像信号は、A/D変換部18においてデジタル信号に変換される。画像処理部19は、デジタル信号に変換された撮像信号をバス20を介して取り込み、ホワイトバランス処理やガンマ補正、圧縮処理などの画像処理を行って、撮影された画像の画像データを生成する。CPU14,光学レンズ16,撮像素子17,A/D変換部18および画像処理部19は、被写体像を撮影し、この被写体像の画像データを含む画像ファイルをExif規格に従ったExifファイル・フォーマットで作成する撮影手段を構成している。
【0021】
画像処理部19により生成された画像ファイルは、CPU14によりバス20を介してバッファメモリ15に一時的に格納されると共に、記録再生部21を介して、図示しないカードスロットに着脱自在に取り付けられるメモリカード22に記録される。記録再生部21は、CPU14の制御に基づいて、画像ファイルをメモリカード22に記録し、また、メモリカード22に記録された画像ファイルを読み出す。メモリカード22は、撮影手段によって撮影された画像ファイルを記憶する記憶手段を構成していると共に、著作権情報入力手段によってデジタルカメラ1に入力された著作権情報を記憶する著作権情報記憶手段を構成している。CPU14は、記録再生部21によってメモリカード22から読み出された画像ファイルに基づいて、液晶モニタ5に撮影画像を再生表示させる。また、操作部23は、上述したコマンドダイアル4、マルチセレクタ6、および各種ボタン7〜12などからなり、バス20に接続されている。
【0022】
CPU14は、著作権情報を画像ファイルに付加するか否かを設定する著作権情報設定手段を構成していると共に、改ざん検出のための情報検証用データを画像ファイルに付加するか否かを設定する情報検証用データ設定手段を構成している。また、CPU14は、著作権情報設定手段によって著作権情報を付加する設定となっている際には、撮影手段によってExifファイル・フォーマットで作成された画像ファイルのヘッダに著作権情報を付加し、情報検証用データ設定手段によって情報検証用データを付加する設定となっている際には、撮影手段によって作成された画像ファイルのヘッダに情報検証用データを付加した後に、この画像ファイルをメモリカード22に記憶させる情報付加手段を構成している。また、CPU14は、著作権情報設定手段によって画像ファイルに著作権情報を付加するように設定された際に、情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、設定状態が情報検証用データを付加しない設定となっている場合は、情報検証用データを付加する設定とする情報設定手段を構成している。また、CPU14は、著作権情報設定手段による設定および情報検証用データ設定手段による設定を同時に液晶モニタ5に表示する表示制御手段を構成している。
【0023】
図3(a),(b)は、液晶モニタ5に表示されるメニュー画面を示す図である。
【0024】
液晶モニタ5へのメニュー画面の呼出しはメニューボタン10の操作によって行われ、メニュー画面に表示される各設定項目の選択はマルチセレクタ6の操作によって行われる。マルチセレクタ6の操作により選択される項目は強調表示(ハイライト表示)され、この状態でOKボタン8が操作されることにより、強調表示されているメニュー項目に応じた種々の設定画面が呼出されて表示される。
【0025】
最初に、メニュー画面が表示されていない状態でメニューボタン10が操作されると、「再生メニュー」,「撮影メニュー」,「カスタムメニュー」,「セットアップメニュー」といった大項目からなる図示しない大項目選択画面が表示される。この大項目選択画面が表示されている状態から、デジタルカメラ1のメンテナンスや初期設定に関する「セットアップメニュー」が選択されると、同図(a)に示すセットアップメニュー画面が表示される。セットアップメニュー画面では、著作権情報/情報検証用データ設定メニュー31を含む複数のメニュー項目が表示される。なお、同図(a)において「著作権情報/情報検証用データ」以外のメニュー項目の図示は省略してある。
【0026】
セットアップメニュー画面における複数の設定項目の中から上記の著作権情報/情報検証用データ設定メニュー31が選択されると、同図(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面が表示される。この画面では、著作権情報の画像データへの付加をするかしないかを設定する著作権情報付加メニュー32、撮影者名の入力を行う撮影者名入力メニュー33、著作権者名の入力を行う著作権者名入力メニュー34、および情報検証用データの画像データへの付加をするかしないか、すなわち画像データの改ざんを後日判定可能な状態にするか否かを設定する情報検証用データ付加メニュー35が表示される。
【0027】
図4(c),(d),(e),(f)は、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面において各メニュー項目が選択されたときに液晶モニタ5に表示される画面を示す図である。
【0028】
著作権情報/情報検証用データ設定画面において、最上欄の著作権情報付加メニュー32が選択されると、図4(c)に示す著作権情報付加設定画面が液晶モニタ5に表示される。この著作権情報付加設定画面において、マルチセレクタ6の操作により“する”の設定項目41または“しない”の設定項目42のいずれかの項目が選択されると、選択されたいずれか一方の項目が同図(c)に斜線で示すように強調表示される。いずれかの項目が強調表示された状態でOKボタン8が操作されると、著作権情報である撮影者名および著作権者名を画像データに付加するか否かの設定が完了する。また、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面において、最下欄の情報検証用データ付加メニュー35が選択されると、図4(f)に示す情報検証用データ付加設定画面が液晶モニタ5に表示される。この情報検証用データ付加設定画面においても、マルチセレクタ6の操作により“する”の設定項目49または“しない”の設定項目50のいずれかの項目が選択されると、選択されたいずれか一方の項目が同図(f)に斜線で示すように強調表示される。いずれかの項目が強調表示された状態でOKボタン8が操作されると、情報検証用データを画像データに付加するか否かの設定が完了する。
【0029】
著作権情報付加設定画面および情報検証用データ付加設定画面で設定された内容は、図3(a)に示すセットアップメニュー画面における著作権情報/情報検証用データ設定メニュー31の右方に“ON”または“OFF”で表示されると共に、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面における著作権情報付加メニュー32および情報検証用データ付加メニュー35の右方に“ON”または“OFF”で表示される。図4(c)および図4(f)に示す例では、著作権情報の付加および情報検証用データの付加は共に“する”に設定されており、著作権情報/情報検証用データ設定メニュー31の右方には“ON/ON”、著作権情報付加メニュー32の右方および情報検証用データ付加メニュー35の右方には、それぞれ“ON”が表示されている。
【0030】
また、本実施形態では、図4(c)に示す著作権情報付加設定画面で著作権情報の付加の設定が“する”に設定されると、同図(f)に示す情報検証用データの付加の設定が“しない”に設定されている場合、情報設定手段により、情報検証用データの付加の設定が自動的に“する”に設定されて、情報検証用データが画像データに付加される構成になっている。
【0031】
また、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面で撮影者名入力メニュー33が選択されると、図4(d)に示す撮影者名入力画面が液晶モニタ5に表示される。撮影者名入力画面では、上段に、記号および英数字などからなる文字選択欄43、中段に、入力された文字が表示される入力文字表示欄44、下段に、文字入力の操作に用いられる操作部23を説明する操作部説明欄45が表示される。文字選択欄43には、選択中の文字を指し示す図示しないカーソルが表示されており、このカーソルの移動は、操作部説明欄45の左方に示すように、縮小/サムネイルボタン(S)11を押しながらマルチセレクタ6を操作することで行う。また、カーソルで選択した文字の入力は、操作部説明欄45の中央に示すように、入力ボタン(E)7を操作することで行い、入力された文字は、入力文字表示欄44に表示される。また、一度入力された文字の削除は、削除ボタン9を操作することで行う。また、文字入力が終了して撮影者名を確定させる場合には、操作部説明欄45の右方に示すように、OKボタン8を操作することで行う。撮影者名入力画面において入力された撮影者名は、図3(b)に示す撮影者名入力メニュー33の下の撮影者名表示欄33aに表示される。上記に示す例では、入力文字表示欄44に表示される“Photographer, Taro Yamada”が撮影者名として入力され、この撮影者名が撮影者名表示欄33aに表示されている。
【0032】
また、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面で著作権者名入力メニュー34が選択されると、図4(e)に示す著作権者名入力画面が液晶モニタ5に表示される。著作権者名入力画面においても、撮影者名入力画面と同様、上段に文字選択欄46、中段に入力文字表示欄47、下段に操作部説明欄48が表示され、マルチセレクタ6およびボタン7〜10の操作により文字入力が行われる。著作権者名入力画面において入力された著作権者名は、図3(b)に示す著作権者名入力メニュー34の下の著作権者名表示欄34aに表示される。上記に示す例では、入力文字表示欄47に表示される“Copyright, Hanako Yamada, 2008, All rights reserved”が著作権者名として入力され、この著作権者名が著作権者名表示欄34aに表示されている。
【0033】
本実施形態では、図4(c)に示す著作権情報付加設定画面で著作権情報の付加が行われる設定がされて、撮影が行われると、撮影日時や撮影場所などの撮影情報と共に、同図(d),(e)に示す各入力画面で入力された撮影者名および著作権者名といった著作権情報が、デジタルカメラ1で撮影された撮影画像のExifファイルのヘッダに付加情報として付加される。
【0034】
また、同図(f)に示す情報検証用データ付加設定画面で情報検証用データの付加が行われる設定がされると、Exif規格の画像ファイルのヘッダに情報検証用データが撮影時に付加され、この画像ファイルは、外部のパソコンに取り込まれた上で改ざん判定、すなわち画像真正性検証が行われる。改ざん判定は、パソコンにインストールされた画像真正性検証ソフトウェアにより行われ、撮影時に付加された情報検証用データがその後変更されずに撮影時の状態を保っているかどうかが判定されて行われる。その判定結果は、パソコンの操作画面に、デジタルカメラ1から取り込まれた、情報検証用データが付加された画像ファイル毎に、そのヘッダに付加された付加情報(情報部)に対する改ざんの有無、および画像データ(画像部)に対する改ざんの有無として、それぞれ表示される。
【0035】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、上述したように、撮影者名入力画面の入力文字表示欄44(図4(d)参照)に入力された撮影者名および著作権者名入力画面の入力文字表示欄47(図4(e)参照)に入力された著作権者名の著作権情報は、デジタルカメラ1に入力される。また、撮影手段によって作成された画像ファイルは、デジタルカメラ1に入力された著作権情報が著作権情報設定手段によって付加される設定となっているときには、情報付加手段によってこれらの著作権情報が付加情報として画像ファイルのヘッダに付加され、改ざん検出のための情報検証用データが情報検証用データ設定手段によって付加される設定となっているときには、情報付加手段によって情報検証用データが付加情報として画像ファイルのヘッダに付加された後、メモリカード22に記憶される。このため、著作権情報の入力や画像ファイルへの付加をデジタルカメラ1において行うことが可能となり、従来のデジタルカメラのように、著作権情報の入力作業、付加作業および書換作業などをパソコンを介して行い、手間がかかってしまうということがなくなる。また、著作権情報設定手段による著作権情報の画像ファイルへの付加設定状態や、情報検証用データ設定手段による情報検証用データの画像ファイルへの付加設定状態は、図3(b)に示すように液晶モニタ5に同時に表示される。このため、著作権情報および情報検証用データが画像ファイルへ付加されるか否かの設定作業や確認作業は、液晶モニタ5における一つの画面で容易に行えるようになる。また、著作権情報付加の設定や設定内容の確認と、情報検証用データ付加の設定や設定内容の確認とが密接に関連付けられるため、著作権の保護を容易かつ効果的に実現することが可能になる。
【0036】
また、本実施形態では、著作権情報設定手段によって図4(c)に示す著作権情報付加の設定が“する”にされ、かつ、情報検証用データ設定手段によって図4(f)に示す情報検証用データ付加の設定が“しない”にされている設定状態が検出されると、情報設定手段により、情報検証用データが自動的に画像データに付加されるように、情報検証用データ付加の設定が“する”に設定される。このため、著作権情報が付加された画像ファイルに対しては、情報検証用データを用いた改ざん判定が必ず行われるようになり、改ざん判定の設定を忘れてしまうことが確実に防止されるようになる。
【0037】
なお、上記実施形態では、メニューボタン10の操作によって液晶モニタ5に表示される大項目選択画面の中から、「セットアップメニュー」を選択して図3(a)に示すセットアップメニュー画面を表示させた上で、さらに、このセットアップメニュー画面の中から著作権情報/情報検証用データ設定メニュー31を選択して、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面を表示させることで、著作権情報の入力などが可能となる場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、メニューボタン10の操作によって上記のような各メニュー画面を階層的に表示させることなく、直接、図3(b)に示す著作権情報/情報検証用データ設定画面を液晶モニタ5に表示させる以下に示すような構成とすることも可能である。
【0038】
図5は、図示しない情報表示ボタンの操作によって、液晶モニタ5に情報画面が表示されている状態を示す図である。情報画面は、デジタルカメラ1に現在設定されている情報が液晶モニタ5に表示させられた画面であり、同図に示すように、情報表示欄61および情報選択欄62で構成されている。情報選択欄62に表示される項目の中から、マルチセレクタ6およびOKボタン8などの操作によって選択された所望の項目の設定内容が、情報表示欄61に表示される。同図に示す例では、設定されているシャッタースピード(1/250)および絞り値(F5.6)が情報表示欄61に表示されている。また、情報表示欄61に表示させることができる項目として、「AF」、「ISO AUTO」、「コピーライト」などの項目が情報選択欄62に示されている。「AF」、「ISO AUTO」が選択されると、それぞれ、オートフォーカス機能の設定内容、ISO感度設定が情報表示欄61に表示される。また、「コピーライト」が選択されると、上述した著作権情報/情報検証用データ設定画面(図3(b)参照)が呼び出されて、液晶モニタ5に表示される。
【0039】
上記の構成によれば、既に液晶モニタ5に情報画面を表示させている場合には、メニュー画面において深い階層に設けられている著作権情報/情報検証用データ設定画面を、わざわざメニュー画面の大項目選択画面から複数回の操作によって表示させなくても、情報画面から直接呼び出すことが可能になり、著作権情報の入力や設定に手間がかからなくなる。
【0040】
また、上記実施形態では、情報設定手段によって画像ファイルに撮影者名や著作権者名などの著作権情報(図4(d),(e)参照)を付加するように設定されると、情報検証用データが自動的に画像データに付加される設定になる場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、著作権情報設定手段によって画像ファイルに著作権情報を付加するように設定された際に、表示制御手段が、情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、設定状態が情報検証用データを付加しない設定となっている場合には、情報検証用データ設定手段による情報検証用データの付加設定を液晶モニタ5に警告表示する構成とすることも可能である。
【0041】
上記の構成によれば、著作権情報設定手段によって著作権情報が画像ファイルに付加されるように設定され、かつ、情報検証用データ設定手段によって情報検証用データが画像ファイルに付加されない設定状態が検出されると、表示制御手段により、情報検証用データの画像ファイルへの付加設定が液晶モニタ5に警告表示される。このため、著作権情報が付加された画像ファイルに対しては、情報検証用データの付加設定が促されるようになる。従って、著作権情報が付加された画像ファイルの改ざん判定の設定を忘れてしまうことを防止できる。
【0042】
また、上記実施形態では、設定状態が情報検証用データを付加しない設定となっているときに、情報付加手段によって撮影者名および著作権者名などの著作権情報が画像ファイルに付加されると、情報検証用データが自動的に画像ファイルに付加される場合を説明したが、情報検証用データが自動的に画像ファイルに付加されない構成としてもよい。この構成によれば、使用者の好みに応じた設定が可能となり、設定の自由度が増して広範の使用者に適したものとすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記実施形態においては、本発明による撮影装置をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、著作権に関する著作権情報が動画像データに添付されるデジタルビデオカメラや、カメラ付き携帯電話機などの種々の撮影装置に本発明を適用することも可能である。このような撮影装置に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態によるデジタルカメラの外観を示す背面図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの内部構成の概略を示すブロック図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラの液晶モニタに表示されるメニュー画面を示す図である。
【図4】図3に示すメニュー画面において各メニュー項目が選択されたときにデジタルカメラの液晶モニタに表示される画面を示す図である。
【図5】本発明の変形例によるデジタルカメラの液晶モニタに表示された情報画面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1…デジタルカメラ
5…液晶モニタ
6…マルチセレクタ
7…入力ボタン
8…OKボタン
9…削除ボタン
10…メニューボタン
13…不揮発性メモリ
14…CPU
17…撮像素子
19…画像処理部
22…メモリカード
31…著作権情報/情報検証用データ設定メニュー
32…著作権情報付加メニュー
33…撮影者名入力メニュー
33a…撮影者名表示欄
34…著作権者名入力メニュー
34a…著作権者名表示欄
35…情報検証用データ付加メニュー
43,46…文字選択欄
44,47…入力文字表示欄
45,48…操作部表示欄
61…情報表示欄
62…情報選択欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮影し、この被写体像の画像データを含む画像ファイルを作成する撮影手段と、
この撮影手段によって撮影された画像ファイルを記憶する記憶手段と、
撮影装置に入力された著作権に関する著作権情報を記憶する著作権情報記憶手段と、
前記著作権情報を前記画像ファイルに付加するか否かを設定する著作権情報設定手段と、
改ざん検出のための情報検証用データを前記画像ファイルに付加するか否かを設定する情報検証用データ設定手段と、
前記著作権情報設定手段によって著作権情報を付加する設定となっている際には、前記撮影手段によって作成された画像ファイルに前記著作権情報を付加し、前記情報検証用データ設定手段によって前記情報検証用データを付加する設定となっている際には、前記撮影手段によって作成された画像ファイルに前記情報検証用データを付加した後に、この画像ファイルを前記記憶手段に記憶させる情報付加手段と、
前記著作権情報設定手段による設定および前記情報検証用データ設定手段による設定を同時に表示部に表示する表示制御手段と
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記著作権情報設定手段によって前記画像ファイルに前記著作権情報を付加するように設定された際に、前記情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、前記設定状態が前記情報検証用データを付加しない設定となっている場合は、前記情報検証用データを付加する設定とする情報設定手段を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記表示制御手段は、前記著作権情報設定手段によって前記画像ファイルに著作権情報を付加するように設定された際に、前記情報検証用データ設定手段による設定状態を検出し、前記設定状態が前記情報検証用データを付加しない設定となっている場合は、前記情報検証用データ設定手段による前記情報検証用データの付加設定を前記表示部に警告表示することを特徴とする撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−28513(P2010−28513A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188253(P2008−188253)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】