説明

撮影装置

【課題】設定操作を容易にした撮影装置を提供する。
【解決手段】デジタルスチルカメラは、動作条件を設定する動作条件設定部51と、使用者による撮影指示が受け付けられることに応じて設定された動作条件に従って撮影し、画像データを記憶する撮影制御部57と、を備え、動作条件設定部51は、撮影制御部57により所定の撮影条件で撮影される場合、撮影指示が受け付けられた時点に設定されている動作条件を変更する変更部67を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影装置に関し、特に動作条件を変更して撮影可能な撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラで代表される撮影装置は、撮影した画像に日時を関連付けて記憶するものがある。ところが、画像を選択する場合に、日時順に並べて表示することはできるが、他の分類方法、例えば、撮影した場所ごとに分類できれば便利である。
【0003】
特開2005−38414号公報には、電子カメラのモードをフォルダ作成モードに設定し、レリーズボタンを押下すると、記録メディアの記録領域にフォルダが新規作成されるとともに、その新規作成されたフォルダのアイコン画像を作成する電子カメラが記載されている。しかしながら、従来の電子カメラは、画像をフォルダに分類して記憶するために、電子カメラのモードをフォルダ作成モードに設定する操作が必要となり、操作が煩雑になるといった問題がある。
【特許文献1】特開2005−38414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、設定操作を容易にした撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、撮影装置は、動作条件を設定する動作条件設定手段と、使用者による撮影指示が受け付けられることに応じて設定された動作条件に従って撮影し、画像データを記憶する撮影制御手段と、を備え、動作条件設定手段は、撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、撮影指示が受け付けられた時点に設定されている動作条件を変更する変更手段を含む。
【0006】
この局面に従えば、所定の撮影条件で撮影される場合、使用者による撮影指示が受け付けられた時点に設定されている動作条件が変更される。その結果、設定操作を容易にした撮影装置を提供することができる。
【0007】
好ましくは、フォーカスレンズを含むレンズ群と、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を決定するオートフォーカス手段と、をさらに備え、変更手段は、フォーカスレンズが移動可能な範囲のいずれにおいても被写体に対して合焦しない場合、所定の撮影条件と判断する。
【0008】
この局面に従えば、フォーカスレンズが移動可能な範囲のいずれにおいてもレンズ群が合焦状態とならない場合に、所定の撮影条件と判断される。このため、使用者は、レンズ群が合焦状態とならない位置に存在する対象物を被写体として撮影指示を入力すればよい。
【0009】
好ましくは、フォーカスレンズを含むレンズ群と、レンズ群が合焦状態となるフォーカスレンズの位置を決定するオートフォーカス手段と、レンズ群を透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサを、さらに備え、オートフォーカス手段は、イメージセンサから出力される画像データの少なくとも一部から第1の評価値を算出する第1評価値算出手段を含み、フォーカスレンズが移動可能な範囲内にある複数の位置において第1評価値算出手段によりそれぞれ算出される複数の第1の評価値に基づいて、フォーカスレンズの位置を決定し、変更手段は、複数の第1の評価値に基づいて、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置をオートフォーカス手段が決定することが可能か否かを判断する。
【0010】
好ましくは、変更手段は、複数の第1の評価値のうちに極値が存在しない場合に、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置をオートフォーカス手段が決定することが不可能と判断する。
【0011】
この局面に従えば、複数の第1の評価値のうちに極値が存在しない場合に、レンズ群が合焦状態とならないと判断する。このため、使用者は、レンズ群が合焦状態とならない位置に存在する対象物を被写体として撮影指示を入力すればよい。
【0012】
好ましくは、変更手段は、複数の第1の評価値の最大値が所定の値以下の場合に、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置をオートフォーカス手段が決定することが不可能と判断する。
【0013】
この局面に従えば、使用者は、コントラストの少ない対象物を被写体として撮影指示を入力すればよい。
【0014】
好ましくは、レンズと、レンズを透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサと、設定された撮影モードに従って露出を決定する露出決定手段と、をさらに備え、露出決定手段は、イメージセンサから出力される画像データの少なくとも一部から第2の評価値を算出する第2評価値算出手段を含み、評価値算出手段により算出される第2の評価値に基づいて、露出を決定し、変更手段は、第2の評価値に基づいて、所定の撮影条件か否かを判断する。
【0015】
好ましくは、露出決定手段は、露出を決定するための複数の撮影モードのうちから動作条件により定められた撮影モードで露出を決定し、変更手段は、動作条件により定められた撮影モードを、予め定められた撮影モードに変更する。
【0016】
この局面に従えば、露出を決定するための複数の撮影モードのうちから1つを選択する操作を容易にすることができる。
【0017】
好ましくは、レンズと、レンズを透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサと、をさらに備え、変更手段は、撮影指示が受け付けられた時点でイメージセンサが出力する画像データが所定の特徴を有する場合に、所定の撮影条件と判断する。
【0018】
好ましくは、撮影制御手段は、画像データを、撮影指示が受け付けられた時点で撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、画像データに代えて、動作条件が変更されたことを示す画像データを記憶する。
【0019】
この局面に従えば、撮影指示が受け付けられた時点で所定の撮影条件で撮影される場合、画像データに代えて、動作条件が変更されたことを示す画像データが記憶される。このため、記憶された複数の画像データを、動作条件が変更されたことを示す画像データで、分類することができる。
【0020】
好ましくは、記憶領域を複数に分割可能な記憶手段をさらに備え、撮影制御手段は、画像データを、記憶手段に含まれる複数の記憶領域のうち動作条件で定められた記憶領域に記憶し、変更手段は、記憶手段に新たな記憶領域を設定し、動作条件により定められた記憶領域を、新たな記憶領域に変更する。
【0021】
この局面に従えば、新たな記憶領域が設定され、動作条件により定められた記憶領域が新たに設定された記憶領域に変更されるので、画像データを所定の撮影条件で撮影指示を入力する前後で異なる記憶領域に記憶させることができる。
【0022】
好ましくは、撮影制御手段は、撮影指示が受け付けられた時点で撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、イメージセンサが出力する画像データを記憶しない。
【0023】
この局面に従えば、撮影指示が受け付けられた時点で所定の撮影条件で撮影され、イメージセンサが出力する画像データが記憶されないので、不要な画像データが記憶されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルスチルカメラの構成の概略の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における制御部が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】動作条件変更処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図5】動作条件変更処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態における制御部が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図8】第3の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0026】
本実施の形態においては、撮影装置の一例としてデジタルスチルカメラを説明する。なお、撮影装置は、デジタルスチルカメラに限られず、被写体を撮影する機能を有していれば、例えば、ビデオカメラ、携帯電話機、音楽プレーヤ等であってもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルスチルカメラの構成の概略の一例を示すブロック図である。図1を参照して、デジタルスチルカメラ1は、デジタルスチルカメラ1の全体を制御する制御部11と、フォーカスレンズ13Fおよびズームレンズ13Zを含む複数のレンズで構成されるレンズ群13と、シャッタ14と、レンズ群13およびシャッタ14を駆動するレンズ駆動部15と、手振れ補正ユニット17と、イメージセンサ19と、コーデック(CODEC)21と、画像処理する信号処理回路22と、液晶表示装置(LCD)23と、制御部11が実行するためのプログラム等を記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)25と、制御部11の作業領域として用いられるSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)27と、メモリカード29Aが装着されるカードインターフェース(I/F)29と、ジャイロセンサ33と、使用者の操作を受け付ける操作部35と、デジタルスチルカメラ1の全体に電力を供給するバッテリ41と、を含む。
【0028】
レンズ群13は、デジタルスチルカメラ1本体の前面に設けられ、LCD23は、レンズ群13が設けられる面とは反対のデジタルスチルカメラ1の背面に設けられる。レンズ群13は、レンズ駆動部15により制御される。レンズ駆動部15は、制御部11により制御され、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fを移動させるとともに、レンズ群13に設けられた絞り機構(図示省略)の絞りを調整する。レンズ群13は、ズーム倍率を変更、調整するために設けられたズームレンズ13Zを有する。
【0029】
イメージセンサ19は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子であり、その結像面がレンズ群13の光軸に対して垂直となる。イメージセンサ19は、レンズ群13を介して結像面に結像する被写体の光学画像を光電変換し、画像データを制御部11に出力する。制御部11は、イメージセンサ19から出力される画像データを受け付け、画像データをSDRAM27に記憶する。ここでの画像データは、例えば、1画素がR(赤)G(緑)B(青)で構成されるビットマップ形式のデータである。なお、イメージセンサ19は、CMOSイメージセンサに限定されるものではなく、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。なお、本実施例では、イメージセンサ19からの出力は、アナログ/デジタル変換器(図示省略)によってデジタルの画像データに変換されている。
【0030】
シャッタ14は、レンズ群13とイメージセンサ19との間に設けられ、レンズ駆動部15により制御される。レンズ駆動部15は、シャッタ14の開閉を制御することにより、シャッタ速度を調整する。レンズ駆動部15は、使用者が操作部35の備えるシャッタボタン35Aを半押し状態にする場合、または、動画像の撮影を開始するボタンを押下する場合、シャッタ14を開放し、所定の時間間隔で1フレームの画像データを出力する。フレームとは、動画像を構成する単位であり、1フレームは1枚の画像を意味する。また、フレームはフィールドに置き換えることができる。所定の時間間隔とは、例えばフレームレートが30FPSであれば、1/30秒である。
【0031】
制御部11は、使用者が操作部35の備えるシャッタボタン35Aを半押し状態にすることに応じて、レンズ駆動部15にレンズ群13のフォーカスレンズ13Fを移動させるとともに、イメージセンサ19から出力される画像データに基づいて、レンズ群13の焦点を合わせるオートフォーカス処理を実行するとともに、露出を決定する。露出は、シャッタ14を開放する時間を定めるシャッタ速度と、レンズ群13に設けられた絞り機構の絞り量とを含む。
【0032】
なお、本実施の形態においては、イメージセンサ19から出力される画像データに基づいて、レンズ群13の焦点を合わせるオートフォーカス処理を実行する例を示すが、赤外線などを用いて、被写体までの距離を測距し、フォーカスレンズ13Fの位置を定めるようにしてもよい。また、本実施の形態においては、イメージセンサ19から出力される画像データに基づいて、露出を決定するようにしたが、レンズ群13を透過する光量を測量するために、イメージセンサ19とは別にセンサを設けるようにし、別のセンサで測量された光量から露出を決定するようにしてもよい。
【0033】
イメージセンサ19は、制御部11により制御され、光電変換する時間が制御される。具体的には、制御部11は、イメージセンサ19に光電変換を開始させる場合、レンズ駆動部15にシャッタ14を開放させる。これにより、レンズを透過した光がイメージセンサ19に結像するので、イメージセンサ19が光電変換を開始する。制御部11は、シャッタ速度により定まる露光時間が経過すると、レンズ駆動部15にシャッタ14と閉じさせ、イメージセンサ19に画像データを出力させる。なお、イメージセンサ19が備える電子シャッタ機能を用い、シャッタ14を開放して、LCD23にイメージセンサ19から出力される画像データをスルー画像として表示させることができる。イメージセンサ19が備える電子シャッタ機能を用いると、追って記憶される画像データを得るための露光時間終了時からイメージセンサ19が画像データの出力が完了するまでの間のみシャッタ14を閉じるようにすることができる。
【0034】
信号処理回路22は、SDRAM27に記憶された画像データを読み出し、画像データに対して種々の信号処理を施し、輝度信号と色差信号とで表される表色系のYUV形式に変換する。信号処理回路22は、YUV形式の画像データをSDRAM27に記憶する。
【0035】
制御部11は、SDRAM27に記憶されたYUV形式の画像データからRGB信号を生成し、LCD23に出力する。これにより、LCD23にイメージセンサ19が被写体を撮像して出力する画像が表示される。なお、LCD23に代えて、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイを用いてもよい。
【0036】
コーデック21は、制御部11により制御され、SDRAM27に記憶されたYUV形式の画像データを読出し、画像データを圧縮符号化する。ここでは、コーデック21は、画像データをJPEG方式で圧縮符号化する。
【0037】
制御部11は、コーデック21により圧縮符号化された画像データを、メモリカード29Aに記憶する。メモリカード29Aは、記憶領域を複数のフォルダに分割することが可能であり、制御部11は、メモリカード29Aが有する複数の記憶領域のうち予め定められた記憶領域に画像データを記憶する。
【0038】
ジャイロセンサ33は、デジタルスチルカメラ1の本体が回転する際の角速度を検出する。ここでは、水平方向をX軸、垂直方向をY軸、レンズの光軸をZ軸とすると、ジャイロセンサ33は、Y軸を中心とする回転方向(ヨー方向)の角速度と、X軸を中心とする回転方向(ピッチ方向)の角速度を検出し、ヨー方向およびピッチ方向それぞれの角速度を制御部11に出力する。制御部11においては、ヨー方向の角速度からX軸方向の本体の移動量を算出し、ピッチ方向の角速度からY軸方向の本体の移動量を算出する。
【0039】
手振れ補正ユニット17は、イメージセンサ19を移動させ、イメージセンサ19の結像面に結像した光学画像のぶれを最小にする。このため、手振れ補正ユニット17は、イメージセンサ19の結像面に平行で互いに交わる2方向にイメージセンサ19を移動させるために、2方向それぞれに対応する駆動部を含む。ここでは、2方向を、互いに直角に交わる水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)としている。イメージセンサ19の結像面は、レンズ群13の光軸に垂直な面である。手振れ補正ユニット17によって、イメージセンサ19の結像面に平行で互いに交わる2方向にイメージセンサ19が移動するので、手振れしても同一被写体を露光中、振れなく撮像することができる。
【0040】
カードI/F29は、不揮発性メモリを備えたメモリカード29Aが装着される。制御部11は、カードI/F29を介して、メモリカード29Aにアクセス可能であり、SDRAM27に記憶された符号化データをメモリカード29Aに記憶する。
【0041】
図2は、第1の実施の形態における制御部が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図5に示す機能は、制御部11がEEPROM25に記憶された撮影プログラムを実行することにより、制御部11に実現される。なお、制御部11に代えて、図2に示した機能を回路で実現するようにしてもよい。
【0042】
図2を参照して、制御部11は、動作条件を設定する動作条件設定部51と、撮影条件を決定する撮影条件決定部53と、使用者の操作を受け付ける操作受付部55と、被写体を撮像し、画像データを記憶する撮影制御部57と、を含む。
【0043】
動作条件設定部51は、動作条件を設定する。動作条件設定部51は、LCD23に動作条件を設定するための設定画面を表示し、使用者が操作部35に入力する動作条件を設定する操作を受け付ける。動作条件は、撮影制御部57が被写体を撮影し、画像データを記憶するまでの処理を実行するための条件である。動作条件は、露出を決定する処理を実行するための露出決定条件、手振れ補正処理を実行するための手振れ補正条件、画像データを記憶するための記憶条件と、を含む。動作条件設定部51は、設定された動作条件を、撮影条件決定部53および撮影制御部57に出力する。
【0044】
記憶条件は、メモリカード29Aが備える複数の記憶領域のいずれかの指定を含む。露出決定条件は、予め準備された複数の撮影モードのいずれかの指定を含む。ここでは、撮影モードは、シャッタ速度を優先して絞り量を定めるシャッタ速度優先露出決定モードと、絞り量を優先してシャッタ速度を定める絞り量優先露出決定モードと、を含む。複数のシャッタ速度にそれぞれ対応する複数のシャッタ速度優先露出決定モードを定めることができ、複数の絞り量にそれぞれ対応する複数の絞り量優先露出決定モードを定めることができる。
【0045】
なお、動作条件は、これらに限定されることなく、被写体を撮影してから画像データを記憶する一連の処理を実行するための少なくとも一部の処理を実行するための条件であればよい。例えば、動作条件は、記憶される画像データの画素数を定める値であてもよいし、画像データを圧縮する圧縮符号化処理に用いられる圧縮率を定める値であってもよい。
【0046】
また、動作条件設定部51は、使用者が操作部35に入力するデフォルトの動作条件を設定する操作を受け付け、デフォルトの動作条件をSDRAM27に記憶する。
【0047】
操作受付部55は、使用者が操作部35に入力する操作を受け付ける。使用者が操作部35に入力する操作は、上記動作条件を設定する操作の他、撮影準備を指示する操作と、撮影指示を入力する操作を含む。操作受付部55は、操作部35が備えるシャッタボタン35Aが半押しされると、撮影準備を指示する操作を受け付ける。操作受付部55は、シャッタボタン35Aが半押しされている間、準備指示を撮影条件決定部53および撮影制御部57に出力する。操作受付部55は、操作部35が備えるシャッタボタン35Aが全押しされると、撮影を指示する操作を受け付ける。操作受付部55は、シャッタボタン35Aが全押しされると、撮影指示を動作条件設定部51および撮影制御部57に出力する。
【0048】
撮影制御部57は、レンズ駆動部15、イメージセンサ19および手振れ補正ユニット17を制御する。撮影制御部57は、操作受付部55から準備指示が入力される間、後述するオートフォーカス部61からレンズ位置が入力される。撮影制御部57は、操作受付部55から準備指示が入力される間、オートフォーカス部61から入力されるレンズ位置に基づいて、レンズ駆動部15を制御して、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置を移動させるとともに、イメージセンサ19に所定時間間隔で画像データを出力させ、イメージセンサ19から画像データを取得するごとに、画像データを撮影条件決定部53に出力する。
【0049】
また、撮影制御部57は、操作受付部55から撮影指示が入力されると、後述する自動露出決定部65から入力されるシャッタ速度と絞り値との組が入力される。撮影制御部57は、操作受付部55から撮影指示が入力されると、レンズ駆動部15を制御して、レンズ群13の絞り値を設定させ、シャッタ速度により定まる開閉時間だけシャッタ14を開放させる。その後、イメージセンサ19から出力される画像データを、メモリカード29Aに記憶する。メモリカード29Aは、記憶領域が複数のフォルダに分割されているが、撮影制御部57は、動作条件設定部51から入力される記憶条件によって定められた記憶領域に画像データを記憶する。
【0050】
撮影条件決定部53は、動作条件設定部51から入力される動作条件に従って、操作受付部55から準備指示が入力される間、撮影条件を決定する。撮影条件は、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置と、シャッタ速度、および絞り値を含む。撮影条件決定部53は、オートフォーカス部61と、自動露出決定部65と、を含む。オートフォーカス部61は、動作条件設定部51から入力される動作条件に従って、操作受付部55から準備指示が入力される間、撮影制御部57から入力される画像データに基づいてレンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置を決定する。
【0051】
オートフォーカス部61は、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置ごとに得られる画像データそれぞれのAF評価値を算出し、AF評価値を山登り法によって解析することにより、被写体に対して合焦するフォーカスレンズ13Fの位置を決定する。具体的には、オートフォーカス部61は、撮影制御部57にレンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置を、それが移動可能な範囲内で移動させる指示を出力し、撮影制御部57から出力される画像データを取得する。
【0052】
オートフォーカス部61は、評価値算出部63を含む。評価値算出部63は、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置ごとに得られる画像データに基づいてAF評価値を算出する。AF評価値は、画像データの先鋭度を示す値であり、例えば画像データの高域成分の値である。評価値算出部63は、操作受付部55から準備指示が入力される間に、撮影制御部57から入力される画像データに基づいてAF評価値を算出する。評価値算出部63は、画像データ中の予め定められた領域に含まれる画素の値からAF評価値を算出する。例えば、AF評価値は、隣接する画素の画素値の差分を用いることができる。先鋭度を算出するフィルターを用いて、AF評価値を算出するようにしてもよい。また、評価値算出部63は、画像データ中の複数の領域各々で先鋭度を算出し、算出された複数の先鋭度を重み付け平均した値をAF評価値としてもよい。評価値算出部63は、算出されたAF評価値を、動作条件設定部51に出力する。
【0053】
オートフォーカス部61は、評価値算出部63により算出されるAF評価値が、しきい値以上の極値となるとき、被写体に対して合焦させることが可能であると判断し、その時のフォーカスレンズ13Fの位置を合焦位置として決定する。オートフォーカス部61は、操作受付部55から準備指示が入力される間に、合焦位置を決定しない場合、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置として予め定められた位置を、撮影制御部57に出力する。
【0054】
自動露出決定部65は、動作条件設定部51から入力される動作条件に従って、撮影制御部57から入力される画像データに基づいて露出を決定する。自動露出決定部65は、露出を決定する場合、決定したシャッタ速度と絞り量との組を、操作受付部55から撮影指示が入力されると、撮影制御部57に出力する。自動露出決定部65は、操作受付部55から準備指示が入力される間に露出を決定できない場合、操作受付部55から撮影指示が入力されると、予め定められたシャッタ速度と絞り量との組を撮影制御部57に出力する。
【0055】
自動露出決定部65は、AE評価値に対して、シャッタ速度と絞り量との関係を定めたテーブルを準備しておき、画像データ中の予め定められたAE評価値を算出し、算出されたAE評価値に対応するシャッタ速度と絞り量との組を決定する。AE評価値は、画像データの明るさを示す尺度であり、例えば、画像データ中の複数の領域の輝度値を重み付け平均した値をAE評価値とすることができる。自動露出決定部65は、算出されたAE評価値を、動作条件設定部51に出力する。
【0056】
シャッタ速度と絞り量との関係を定めたテーブルは、1つのAE評価値に対して、シャッタ速度と絞り量との組を複数定める。複数の組のうちからいずれを選択するかは、動作条件に含まれる撮影モードによって定まる。ここでは、撮影モードは、シャッタ速度を優先して絞り量を定めるシャッタ速度優先露出決定モードと、絞り量を優先してシャッタ速度を定める絞り量優先露出決定モードとを含む。
【0057】
動作条件設定部51は、変更部67を含む。変更部67は、オートフォーカス部61からAF評価値が入力され、自動露出決定部65からAE評価値が入力される。変更部67は、操作受付部55から撮影指示が入力される時点で、撮影条件決定部53により所定の撮影条件が決定されると、その時点で設定されている動作条件を変更する。
【0058】
変更部67は、オートフォーカス部61から入力されるAF評価値のうちにしきい値TA1を超える極値となるAF評価値が存在しない場合、または、自動露出決定部65から入力されるAE評価値が、しきい値TB1以下またはしきい値TB2以上の場合、撮影条件決定部53により所定の撮影条件が決定されると判断する。ただし、TB2は、TB1よりもAE評価値が明るいことを示す。
【0059】
変更部67は、操作受付部55から準備指示が入力される間にオートフォーカス部61から入力されるAF評価値のうちにしきい値TA1を超える極値となるAF評価値が存在しないと、操作受付部55から撮影指示が入力される時点で判断する場合、その時点で設定されている動作条件を変更する。オートフォーカス部61から入力されるAF評価値のうちに極値となるAF評価値が存在しない場合は、イメージセンサ19から出力される画像データがコントラストの少ない画像であり、例えば、白い壁など均一な色の被写体を撮影した場合である。また、オートフォーカス部61から入力されるAF評価値のうちに極値となるAF評価値が存在するが、極値となるAF評価値がしきい値TA1以下の場合は、レンズ群13が焦点を合わせることのできる距離の範囲外に、被写体が存在する場合である。例えば、レンズ群13の近くに手を置いて撮影した場合である。
【0060】
また、変更部67は、操作受付部55から準備指示が入力される間に自動露出決定部65から入力されるAE評価値が、操作受付部55から撮影指示が入力される時点でしきい値TB1以下の場合、その時点で設定されている動作条件を変更する。自動露出決定部65から入力されるAE評価値しきい値TB1以下の場合は、イメージセンサ19から出力される画像データが暗い画像である。例えば、レンズ群13を手で覆って撮影した場合である。
【0061】
さらに、変更部67は、操作受付部55から準備指示が入力される間に自動露出決定部65から入力されるAE評価値が、操作受付部55から撮影指示が入力される時点でしきい値TB2以上の場合、その時点で設定されている動作条件を変更する。自動露出決定部65から入力されるAE評価値しきい値TB2以上の場合は、イメージセンサ19から出力される画像データが明るい画像である。例えば、太陽を被写体にして撮影した場合である。
【0062】
変更部67は、動作条件のうち記憶条件を変更する場合、メモリカード29Aに新たな記憶領域を設定し、記憶条件を、新たに設定された記憶領域の指定に変更する。また、変更部67は、動作条件のうち露出決定条件および手振れ補正条を変更する場合、SDRAM27に記憶されたデフォルトの露出決定条件および手振れ補正条件に変更する。
【0063】
図3は、第1の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。第1の実施の形態における撮影処理は、デジタルスチルカメラ1が備える制御部11が、EEPROM25に記憶された撮影プログラムを実行することにより、制御部11により実行される処理である。図3を参照して、制御部11は、撮影準備指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。撮影準備指示を受け付けたならば処理をステップS02に進めるが、そうでなければ処理をステップS15に進める。使用者が操作部35が備えるシャッタボタン35Aを半押しすると、撮影準備指示を受け付ける。ステップS01においては、使用者がシャッタボタン35Aを半押ししている間、撮影準備指示を受け付け、処理をステップS02に進める。
【0064】
ステップS02においては、AF評価値を算出する。レンズ群13のフォーカスレンズ13Fを移動させ、フォーカスレンズ13Fの位置ごとのAF評価値を算出する。そして、極値となるAF評価値が存在するか否かを判断する(ステップS03)。極値となるAF評価値が存在しないならば処理をステップS08に進めるが、存在すれば処理をステップS04に進める。極値となるAF評価値が存在しない場合は、被写体に対して合焦するフォーカスレンズ13Fの位置を決定することができない距離に存在する対象物を被写体として撮影した場合、若しくはAF評価を用いてフォーカスレンズ13Fの位置を決定することができない場合と判断できる。
【0065】
ステップS04においては、極値となるAF評価値がしきい値TA1以下か否かを判断する。極値となるAF評価値がしきい値TA1以下ならば処理をステップS08に進め、そうでなければ処理をステップS05に進める。極値となるAF評価値がしきい値TA1以下の場合、画像データがコントラストが小さく、均一な色の対象物を被写体として撮影した場合と判断できる。
【0066】
ステップS05においては、AE評価値を算出する。そして、AE評価値がしきい値TB1以下か否かを判断する(ステップS06)。AE評価値がしきい値TB1以下ならば処理をステップS08に進め、そうでなければ処理をステップS07に進める。AE評価値がしきい値TB1以下の場合、暗い対象物を被写体として撮影した場合と判断できる。
【0067】
ステップS07においては、AE評価値がしきい値TB2以上か否かを判断する。AE評価値がしきい値TB2以上ならば処理をステップS08に進め、そうでなければ処理をステップS09に進める。AE評価値がしきい値TB2以上の場合、明るい対象物を被写体として撮影した場合と判断できる。
【0068】
ステップS08においてはフラグを「1」に設定し、処理をステップS10に進める。一方、ステップS09においては、フラグを「0」に設定し、処理をステップS10に進める。フラグは、動作条件を変更するか否かを示す値であり、動作条件を変更する場合に「1」に設定され、変更しない場合に「0」に設定される。
【0069】
ステップS10においては、撮影指示を受け付けたか否かを判断する。撮影指示を受け付けたならば処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。使用者が操作部35が備えるシャッタボタン35Aを全押しすると、撮影指示を受け付ける。
【0070】
ステップS11においては、フラグが「1」に設定されているか否かを判断する。フラグが「1」に設定されているならば処理をステップS12に進め、そうでなければ処理をステップS13に進める。ステップS12においては動作条件変更処理を実行し、処理をステップS15に進める。動作条件変更処理の詳細は、後述する。
【0071】
ステップS13においては、撮影し、処理をステップS14に進める。具体的には、イメージセンサ19を露光し、イメージセンサが出力する画像データを取得する。ステップS14においては、取得された画像データをメモリカード29Aの動作条件により定まる記憶領域に記憶し、処理をステップS15に進める。
【0072】
ステップS15においては、メイン電源がOFFに切り換えられたか否かを判断する。メイン電源がOFFに切り換えられたならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。
【0073】
図4は、動作条件変更処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。動作条件変更処理は、図3のステップS12において実行される処理である。図4を参照して、制御部11は、SDRAM27に記憶された動作条件の内、露出決定条件および手振れ補正条件を変更する(ステップS21)。次ぎに、メモリカード29Aに新たなフォルダを作成する(ステップS22)。さらに、記憶先を、ステップS22で作成された新たなフォルダに設定し、処理を撮影処理に戻す。
【0074】
<変形例>
上述したデジタルスチルカメラ1においては、変更部67は、動作条件の記憶条件を変更する場合、メモリカード29Aに新たなフォルダを設定し、画像データの記憶先を新たなフォルダに設定するようにした。変形例におけるデジタルスチルカメラ1においては、変更部67が、記憶条件を変更することなく、メモリカード29Aに、動作条件が変更されたことを示す画像データを記憶する。
【0075】
撮影制御部57は、撮影によりイメージセンサ19から出力される画像データに、日時情報を付加して、メモリカード29Aに記憶する。撮影制御部57は、変更部67は、操作受付部55から撮影指示が入力される時点で、撮影条件決定部53により所定の撮影条件が決定されると判断する場合、撮影制御部57に、撮影された画像データをメモリカード29Aに記憶させないようにして、日時情報を付加した変更通知画像データをメモリカード29Aの記憶条件で指定された記憶領域に記憶する。このため、撮影条件決定部53により所定の撮影条件が決定される場合、換言すれば、コントラストの少ない画像を撮影した場合、手をレンズ群13に近づけて撮影した場合、レンズ群13を手で覆って撮影した場合、太陽を被写体にして撮影した場合に、変更通知画像データがメモリカード29Aに記憶される。変更通知画像データは、EEPROM25に予め記憶された画像データである。例えば「動作モードが変更されました」のメッセージを含んでもよい。
【0076】
このため、メモリカード29Aに記憶される複数の画像データを日時順に配列すれば、変更通知画像データがメモリカード29Aに記憶される前に撮影された画像データと、変更通知画像データがメモリカード29Aに記憶される前に撮影された画像データとに、変更通知画像データで分割することができる。
【0077】
図5は、動作条件変更処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。変形例における動作条件変更処理は、図3のステップS12において実行される処理である。図5を参照して、制御部11は、SDRAM27に記憶された動作条件の内、露出決定条件および手振れ補正条件を変更する(ステップS21)。次に、メモリカード29Aに変更通知画像データを記憶し(ステップS22A)、処理を撮影処理に戻す。
【0078】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態においては、特定の撮影条件を、AF評価値およびAE評価値を用いて検出するようにした。第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1は、被写体までの距離を計測する測距センサと、レンズ群13を透過する光の量を計測する光量センサと、を設けるようにし、被写体までの距離およびレンズ群13を透過する光量に基づいて、所定の撮影条件を判断するようにしたものである。
【0079】
以下、第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1について、第1の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1と異なる点を主に説明する。第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1は、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置を、測距センサで計測した被写体までの距離から決定し、露出を、光量センサで計測した光量から決定する。 図6は、第2の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6を参照して、制御部11は、撮影準備指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。撮影準備指示を受け付けたならば処理をステップS31に進めるが、そうでなければ処理をステップS15に進める。使用者が操作部35が備えるシャッタボタン35Aを半押しすると、撮影準備指示を受け付ける。ステップS01においては、使用者がシャッタボタン35Aを半押ししている間、撮影準備指示を受け付け、処理をステップS31に進める。
【0080】
ステップS31においては、測距センサで被写体までの距離Lを計測する。次のステップS32においては、光量センサでレンズ群13を透過する光量を計測する。次のステップS33においては、ステップS31において計測された距離Lだけ離れた被写体に合焦するフォーカスレンズFの位置を決定することが可能か否かを判断する。距離Lだけ離れた被写体に合焦するフォーカスレンズFの位置を決定することが不可能ならば処理をステップS08に進めるが、被写体に合焦するフォーカスレンズFの位置を決定することが可能ならば処理をステップS34に進める。
【0081】
ステップS34においては、ステップS32において計測された光量が、しきい値TC1以下か否かを判断する。光量がしきい値TC1以下ならば処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS35に進める。ステップS35においては、ステップS32において計測された光量が、しきい値TC2以上か否かを判断する。計測された光量が、しきい値TC2以上ならば処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS09に進める。
【0082】
ステップS08〜ステップS15の処理は、図6に示した処理と同じである。したがって、ここでは説明を繰り返さない。
【0083】
<第3の実施の形態>
上述した第1の実施の形態においては、所定の撮影条件を、AF評価値およびAE評価値を用いて検出するようにした。第3の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1は、所定の撮影条件を、撮影してイメージセンサ19が出力する画像データに基づいて検出するようにしたものである。
【0084】
以下、第3の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1について、第1の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1と異なる点を主に説明する。図7は、第3の実施の形態における制御部11が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図7に示す機能は、制御部11がEEPROM25に記憶された撮影プログラムを実行することにより、制御部11に実現される。なお、制御部11に代えて、図7に示した機能を回路で実現するようにしてもよい。
【0085】
図7を参照して、図2に示した制御部11の機能と異なる点は、撮影制御部57および動作条件設定部51が、撮影制御部57Aおよび動作条件設定部51Aにそれぞれ変更された点である。その他の機能は、図7に示した機能と同じなのでここでは説明を繰り返さない。撮影制御部57Aは、操作受付部55から準備指示が入力される間の動作は、第1の実施の形態における撮影制御部57と同じである。撮影制御部57Aは、操作受付部55から撮影指示が入力されると、自動露出決定部65から入力されるシャッタ速度と絞り値との組が入力される。撮影制御部57Aは、操作受付部55から撮影指示が入力されると、レンズ駆動部15を制御して、レンズ群13の絞り値を設定させ、シャッタ速度により定まる開閉時間だけシャッタ14を開放させる。その後、イメージセンサ19から出力される画像データを、メモリカード29Aに記憶するとともに、動作条件設定部51Aに出力する。メモリカード29Aは、記憶領域が複数のフォルダに分割されているが、撮影制御部57Aは、動作条件設定部51Aから入力される記憶条件によって定められた記憶領域に画像データを記憶する。
【0086】
動作条件設定部51Aは、画像解析部69および変更部67を含む。動作条件設定部51Aは、第1の実施の形態における動作条件設定部51と同様に、使用者が操作部35に入力する動作条件を設定する操作を受け付け、設定するとともに、使用者が操作部35に入力するデフォルトの動作条件を設定する操作を受け付け、デフォルトの動作条件をSDRAM27に記憶する。
【0087】
画像解析部69は、操作受付部55から撮影指示が入力される時点で、撮影制御部57Aから入力される画像データを解析し、所定の撮影条件で撮影されたか否かを判断する。画像解析部69は、作受付部55から撮影指示が入力される時点で、撮影制御部57Aから入力される画像データが、コントラストの少ない画像である場合、暗い画像である場合、明るい画像である場合、予め定められた画像を含む場合に、所定の撮影条件で撮影されたと判断する。
【0088】
具体的には、画像解析部69は、画像データがコントラストの少ない画像か否かを、画像データの先鋭度を算出することにより判断する。画像データを隣接する画素の画素値の差分をとった微分画像データを生成し、微分画像データ中に所定のしきい値以上の値の画素数を評価値とする。そして、評価値が所定数以下ならばコントラストの少ない画像と判断する。また、画像データを先鋭度を算出するフィルターを用いて、微分画像データを生成するようにしてもよい。画像解析部69が、コントラストの少ない画像を判断する画像データは、白色の壁など均一な色の対象物を被写体とする撮影条件である。
【0089】
また、画像解析部69は、画像データが明るい画像であるか否かを、画像データの輝度値(明度)の最大値をしきい値TD1と比較することにより判断する。画像データの輝度値(明度)の最大値がしきい値TD1以下の場合に、所定の撮影条件で撮影されたと判断する。画像データの輝度値(明度)の最大値がしきい値TD1以下の場合は、レンズ群13を手で覆って撮影した場合など、暗い対象物を被写体とする撮影条件である。
【0090】
また、画像解析部69は、画像データが暗い画像であるか否かを、画像データの輝度値(明度)の最小値をしきい値TD2と比較することにより判断する。画像データの輝度値(明度)の最小値がしきい値TD2以上の場合に、所定の撮影条件で撮影されたと判断する。画像データの輝度値(明度)の最小値がしきい値TD2以上の場合は、太陽など明るい対象物を被写体とする撮影条件である。しきい値TD2は、しきい値TD1よりも大きい。ここでは、輝度値が大きいほど、明るいことを示す。
【0091】
画像解析部69は、画像データが予め定められた画像を含むか否かを、画像データを、予め定められたパターン画像を用いてパターンマッチングすることにより判断する。画像データ中にパターン画像と形状が類似する部分が存在すれば、所定の撮影条件で撮影されたと判断する。パターン画像は、例えば、人の手の形状の画像とすることができる。例えば、5本指を立てた手の形状の画像をパターン画像することができる。また、指を立てる本数を予め定めた手の形状の画像をパターン画像とすることができる。画像データが予め定められた画像を含む場合、5本指を立てた手を被写体とする撮影条件である。なお、パターン画像は、手の形状に限らず、使用者が携帯する物の形状であればよい。また、デジタルスチルカメラ1で予め撮影した画像をパターン画像として登録しておくようにもよい。
【0092】
画像解析部69は、所定の撮影条件で撮影されたと判断する場合、変更部67Aに変更指示を出力する。変更部67Aは、画像解析部69から変更指示が入力されると、その時点で設定されている動作条件を変更する。変更部67Aは、動作条件のうち記憶条件を変更する場合、メモリカード29Aに新たな記憶領域を設定し、記憶条件を、新たに設定された記憶領域の指定に変更する。また、変更部67Aは、SDRAM27に記憶された動作条件の内、露出決定条件および手振れ補正条件を変更する。
【0093】
図8は、第3の実施の形態における撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8を参照して、制御部11は、撮影準備指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS51)。撮影準備指示を受け付けたならば処理をステップS52に進めるが、そうでなければ処理をステップS66に進める。使用者が操作部35が備えるシャッタボタン35Aを半押しすると、撮影準備指示を受け付ける。ステップS51においては、使用者がシャッタボタン35Aを半押ししている間、撮影準備指示を受け付け、処理をステップS52に進める。
【0094】
ステップS52においては、オートフォーカス処理を実行し、レンズ群13のフォーカスレンズ13Fの位置を決定する。次のステップS53においては、自動露出決定処理を実行し、レンズ群13の絞り量と、シャッタ14の開放時間を定めるシャッタ速度とを決定する。
【0095】
ステップS54においては、撮影指示を受け付けたか否かを判断する。撮影指示を受け付けたならば処理をステップS55に進めるが、そうでなければ処理をステップS51に戻す。使用者が操作部35が備えるシャッタボタン35Aを全押しすると、撮影指示を受け付ける。
【0096】
ステップS55においては、撮影し、画像データを取得する。そして、取得された画像データがコントラストの少ない画像か否かを判断する(ステップS56)。コントラストの少ない画像ならば処理をステップS60に進めるが、そうでなければ処理をステップS57に進める。ステップS57においては、ステップS55において取得された画像データの輝度の最大値が、しきい値TD1以下か否かを判断する。画像データの輝度の最大値がしきい値TD1以下ならば処理をステップS60に進めるが、そうでなければ処理をステップS58に進める。ステップS58においては、ステップS55において取得された画像データの輝度の最小値が、しきい値TD2以上か否かを判断する。画像データの輝度の最大値がしきい値TD2以上ならば処理をステップS60に進めるが、そうでなければ処理をステップS69に進める。
【0097】
ステップS59においては、ステップS55において取得された画像データがパターン画像を含むか否かを判断する。画像データをパターン画像を用いてパターンマッチングし、パターン画像に類似する画像が画像データから抽出されたならば画像データがパターン画像を含むと判断する。画像データがパターン画像を含むならば処理をステップS60に進めるが、そうでなければ処理をステップS61に進める。
【0098】
ステップS60においてはフラグを「1」に設定し、処理をステップS62に進める。一方、ステップS61においては、フラグを「0」に設定し、処理をステップS62に進める。フラグは、動作条件を変更するか否かを示す値であり、動作条件を変更する場合に「1」に設定され、変更しない場合に「0」に設定される。
【0099】
ステップS62〜ステップS66の処理は、図3に示したステップS11〜ステップS15の処理とそれぞれ同じである。したがって、ここでは説明を繰り返さない。
【0100】
なお、本実施の形態においては、動作条件をSDRAM27に記憶するようにしたが、不揮発性メモリを別途設けるようにし、動作条件を不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。この場合、電源をOFFにしても、デフォルトの動作条件や、変更後の動作条件を保持することができる。
【0101】
また、所定の撮影条件を満たすか否かを、図3に示した撮影処理ではステップS03、S04、S06、S07において、図6に示した撮影処理ではステップS33、S34、S35において、図8に示した撮影処理ではステップS56、S57、S59において、それぞれ判断するようにした。所定の撮影条件を満たすか否かを判断するステップの順番を限定するものではない。また、所定の撮影条件を満たすか否かを判断するステップは、少なくとも1つあればよい。
【0102】
なお、上述した実施の形態においては撮影装置の一例としてデジタルスチルカメラ1を説明したが、図3〜図5、図6、または図8に示した撮影処理を実行するための撮像方法およびその撮像方法をコンピュータに実行させるための撮像プログラムとして発明を捉えることができるのはいうまでもない。
【0103】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0104】
<付記>
(1) 前記設定された撮影モードに従って露出を決定する露出決定手段をさらに備え、
前記露出決定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの少なくとも一部から第2の評価値を算出する第2評価値算出手段を含み、前記評価値算出手段により算出される第2の評価値に基づいて、露出を決定し、
前記変更手段は、さらに、前記第2の評価値に基づいて、前記所定の撮影条件か否かを判断する、請求項3〜5のいずれかに記載の撮影装置。
(2) 前記変更手段は、前記第2の評価値が所定の値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、(1)に記載の撮影装置。
(3) 前記変更手段は、前記第2の評価値が所定の値以上の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、(1)に記載の撮影装置。
(4) 被写体までの距離を計測する測距手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記計測された距離が所定の値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項2に記載の撮影装置。
(5) 前記変更手段は、前記第2の評価値が所定の値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項6に記載の撮影装置。
(6) 前記変更手段は、前記第2の評価値が所定の値以上の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項6に記載の撮影装置。
(7) レンズと、
前記レンズを透過する光の量を検出する光量検出手段と、
前記設定された撮影モードに従って、前記検出された光の量に基づいて露出を決定する露出決定手段と、をさらに備え、
前記変更手段は、前記検出された光量に基づいて、前記所定の撮影条件か否かを判断する、請求項1に記載の撮影装置。
(8) 前記変更手段は、前記検出された光量が所定の値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項(7)に記載の撮影装置。
(9) 前記変更手段は、前記検出された光量が所定の値以上の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項(7)に記載の撮影装置。
(10) 前記動作条件設定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの明度の範囲が第1のしきい値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項8に記載の撮影装置。
(11) 前記動作条件設定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの明度の最大値が第2のしきい値以下の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項8または(10)に記載の撮影装置。
(12) 前記動作条件設定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの明度の最小値が第3のしきい値以上の場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項8、(10)または(11)のいずれかに記載の撮影装置。
(13) 前記動作条件設定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データが所定の形状の画像を含む場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項8、(10)〜(12)のいずれかに記載の撮影装置。
【符号の説明】
【0105】
1 デジタルスチルカメラ、11 制御部、13 レンズ群、13F フォーカスレンズ、13Z ズームレンズ、14 シャッタ、15 レンズ駆動部、17 手振れ補正ユニット、19 イメージセンサ、21 コーデック、22 信号処理回路、23 LCD、25 EEPROM、27 SDRAM、29 カードI/F、29A メモリカード、33 ジャイロセンサ、35 操作部、35A シャッタボタン、41 バッテリ、51,51A 動作条件設定部、53 撮影条件決定部、55 操作受付部、57,57A 撮影制御部、61 オートフォーカス部、63 評価値算出部、65 自動露出決定部、67,67A 変更部、69 画像解析部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作条件を設定する動作条件設定手段と、
使用者による撮影指示が受け付けられることに応じて前記設定された動作条件に従って撮影し、画像データを記憶する撮影制御手段と、を備え、
前記動作条件設定手段は、前記撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、撮影指示が受け付けられた時点に設定されている動作条件を変更する変更手段を含む、撮影装置。
【請求項2】
フォーカスレンズを含むレンズ群と、
被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を決定するオートフォーカス手段と、をさらに備え、
前記変更手段は、前記フォーカスレンズが移動可能な範囲のいずれにおいても被写体に対して合焦しない場合、前記所定の撮影条件と判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
フォーカスレンズを含むレンズ群と、
前記レンズ群が合焦状態となるフォーカスレンズの位置を決定するオートフォーカス手段と、
前記レンズ群を透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサを、さらに備え、
前記オートフォーカス手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの少なくとも一部から第1の評価値を算出する第1評価値算出手段を含み、前記フォーカスレンズが移動可能な範囲内にある複数の位置において前記第1評価値算出手段によりそれぞれ算出される複数の第1の評価値に基づいて、前記フォーカスレンズの位置を決定し、
前記変更手段は、前記複数の第1の評価値に基づいて、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を前記オートフォーカス手段が決定することが可能か否かを判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記複数の第1の評価値のうちに極値が存在しない場合に、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を前記オートフォーカス手段が決定することが不可能と判断する、請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記複数の第1の評価値の最大値が所定の値以下の場合に、被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を前記オートフォーカス手段が決定することが不可能と判断する、請求項3または4に記載の撮影装置。
【請求項6】
レンズと、
前記レンズを透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサと、
前記設定された撮影モードに従って露出を決定する露出決定手段と、をさらに備え、
前記露出決定手段は、前記イメージセンサから出力される画像データの少なくとも一部から第2の評価値を算出する第2評価値算出手段を含み、前記評価値算出手段により算出される第2の評価値に基づいて、露出を決定し、
前記変更手段は、前記第2の評価値に基づいて、前記所定の撮影条件か否かを判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記露出決定手段は、前記露出を決定するための複数の撮影モードのうちから前記動作条件により定められた撮影モードで露出を決定し、
前記変更手段は、前記動作条件により定められた撮影モードを、予め定められた撮影モードに変更する、請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
レンズと、
前記レンズを透過した光を光電変換した画像データを出力するイメージセンサと、をさらに備え、
前記変更手段は、前記撮影指示が受け付けられた時点で前記イメージセンサが出力する画像データが所定の特徴を有する場合に、前記所定の撮影条件と判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記撮影制御手段は、前記画像データを、撮影指示が受け付けられた時点で前記撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、前記画像データに代えて、前記動作条件が変更されたことを示す画像データを記憶する、請求項1〜8のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項10】
記憶領域を複数に分割可能な記憶手段をさらに備え、
前記撮影制御手段は、前記画像データを、前記記憶手段に含まれる複数の記憶領域のうち前記動作条件で定められた記憶領域に記憶し、
前記変更手段は、前記記憶手段に新たな記憶領域を設定し、前記動作条件により定められた記憶領域を、前記新たな記憶領域に変更する、請求項1〜8のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項11】
前記撮影制御手段は、撮影指示が受け付けられた時点で前記撮影制御手段により所定の撮影条件で撮影される場合、前記イメージセンサが出力する画像データを記憶しない、請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−216948(P2012−216948A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80029(P2011−80029)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】