説明

撮影設定調整システム、情報処理装置、およびその制御方法、並びに制御プログラム

【課題】同一の撮影パラメータを用いて撮影を行った際、容易に撮影パラメータの調整ができるようにする。
【解決手段】マスタースタジオ100の撮像装置102で所定のカラーチャート104を撮像した結果得られたマスターチャート画像データと撮像装置に設定された撮影パラメータをマスター撮影パラメータとして個別スタジオ110および120に送る。個別スタジオでは、マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとして撮像装置112および123に設定し、所定のカラーチャート114および124を撮像装置で撮影してチャート画像データを得て、マスターチャート画像データとチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて個別スタジオの撮影パラメータを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに遠隔にある撮影スタジオにおいて、同質の画像を撮影できるように撮像装置の撮影条件の調整を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記念写真を撮影する際には、撮影スタジオにおいては、複数台のデジタルカメラによって被写体を撮影した結果得られた画像データを用いて、記念写真を印刷するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−259124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記念写真を撮影する際には、撮影シーン毎(例えば、結婚式、七五三)に基準となる撮影パラメータ(シャッタースピード、絞り値、ISO値、色変換マトリクスなど)をセンターで作成する。そして、撮影パラメータを各撮影スタジオに配信して、撮影シーン毎の色味の品質を一定に保つようにしている。
【0005】
ところが、各撮影スタジオが、センターから配信された同一の撮影パラメータを用いても、撮影機材、光源、および室内の状態などの外的環境の相違いから、撮影スタジオ毎に撮影された画像データの色味が異なってしまう場合がある。
【0006】
このため、従来、全ての撮影スタジオにおいて画像データを同一の色味にするためには、専門知識を有する技術スタッフが撮影パラメータの調整を手動で行う必要がある。従って、撮影スタジオ毎に技術スタッフを配置しなければならず、撮影スタジオにとってはコスト削減が困難であるという課題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、同一の撮影パラメータを用いて撮影を行った際、容易に撮影パラメータの調整ができる撮影設定調整システム、情報処理装置、およびその制御方法、並びに制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明による撮影設定調整システムは、マスター撮影処理装置と少なくとも1つのサブ撮影処理装置とが接続され、前記マスター撮影処理装置で得られた撮影情報に応じて前記サブ撮影処理装置における撮影設定を調整するための撮影設定調整システムであって、前記マスター撮影処理装置は、当該マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データを得る画像取得手段と、前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータを取得してマスター撮影パラメータとする撮影パラメータ取得手段と、前記マスターチャート画像データおよび前記マスター撮影パラメータを前記撮影情報として前記サブ撮影処理装置に配信する撮影情報配信手段とを有し、前記サブ撮影処理装置は、前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとして前記サブ撮影処理装置に備えられたサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定手段と、前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得るサブ画像取得手段と、前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明による情報処理装置は、マスター撮影処理装置から送られた撮影情報に応じて撮影設定を調整するための情報処理装置であって、前記撮影情報には前記マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データと、前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータであるマスター撮影パラメータとが含まれており、前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとしてサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定手段と、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得る画像取得手段と、前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による情報処理装置は、撮像装置における撮影パラメータである露出パラメータを調整する情報処理装置であって、前記撮像装置によって撮影された所定のグレーを含むカラーチャートを撮影した結果である撮影画像を表示部に表示するとともに、前記撮影画像を得る際に用いられた露出パラメータを前記表示部に表示する表示制御手段と、前記露出パラメータの調整が指定されるとともに、前記撮影画像における露出調整位置が指定されると、当該露出調整位置を中心とする所定の領域においてその平均輝度を算出する輝度算出手段と、前記平均輝度と所定の露出における輝度との差分に応じて露出補正量を決定する露出調整決定手段と、前記露出補正量に応じて前記露出パラメータを調整するパラメータ調整手段とを有し、前記表示制御手段は、調整後の露出パラメータに応じて前記撮影画像を補正して前記表示部に再表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影スタジオに専門知識を備える技術スタッフがいない場合であっても、撮影スタジオ毎に撮像装置の撮影パラメータを簡単に調整することができる。これによって、複数の撮影スタジオにおいて色味が統一されて、品質基準を維持することができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、撮像装置で撮影した所定のグレーを含むカラーチャート画像を情報処理装置に表示して、露出調整後の画像を確認しながら、適正な露出の画像を得るための露出パラメータを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態による撮影設定調整システムの一例についてその構成を示す図である。
【図2】図1に示す撮影設定調整システムにおいてマスタースタジオで用いられる情報処理装置を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示す撮影設定調整システムにおいて個別スタジオで用いられる個別スタジオ情報処理装置を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示すマスタースタジオにおけるマスター撮影情報配信の処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示すUI部に表示されるマスター撮影情報配信画面の一例を示す図である。
【図6】図3に示す個別スタジオで行われる調整撮影処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】調整項目が露出調整である際の図3に示す調整撮影制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示す露出調整における適正露出判定を説明するための図であり、(a)は図1に示すマスタースタジオで撮影されたカラーチャート画像データを示す図、(b)は図1に示す個別スタジオで撮影されたカラーチャート画像データを示す図である。
【図9】調整項目がコントラスト調整である際の図3に示す調整撮影制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】調整項目が色味調整である際の図3に示す調整撮影制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態による撮影設定調整システムの一例についてその構成を示す図である。
【図12】図11に示す撮像装置および情報処理装置のハード構成を説明するための図である。
【図13】図11に示す撮影設定調整システムにおける露出パラメータ調整の事前準備を説明するためのフローチャートである。
【図14】図12に示す撮像装置が撮影指示を受けた際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図12に示す撮像装置が撮影パラメータを受けた際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】図12に示す情報処理装置の表示部に表示されるGUI画面の一例を示す図である。
【図17】図12に示す情報処理装置において操作者から撮影指示を受けた際の処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図12に示す情報処理装置における露出調整位置指定の際の処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】図12に示す情報処理装置において露出パラメータが個別に入力され際の処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】図18で説明した露出判定における露出調整段数および重み付けを説明するための図であって、(a)は露出調整位置指定において平均輝度値に応じて露出調整量を求める際に用いられる表を示す図、(b)は露出調整量から露出調整段数を求める際に用いられる表を示す図、(c)は露出調整量から絞り変更量を求める際に用いられる表を示す図、(d)は露出調整量からISOスピードの変更量を求める際に用いられる表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による撮影設定調整システムの一例について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(第1の実施形態)
ここでは、複数の店舗(撮影スタジオ)を有する写真館において、どの店舗で撮影しても同一の色味の撮影結果(画像データ)を得るための撮影設定調整システムについて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態による撮影設定調整システムの一例についてその構成を示す図である。
【0017】
マスタースタジオ100は、全ての撮影スタジオ(個別スタジオともいう)で使用する撮影シーン(例えば、結婚式又は七五三)毎に適した撮影パラメータを決定するスタジオである。なお、このマスタースタジオ100も撮影スタジオである。
【0018】
マスタースタジオ100において、撮像装置102(マスター撮像装置)は、情報処理装置103(マスター撮影処理装置)に対して、シャッタースピード、絞り値、ISO値、および色変換マトリクスなどを撮影パラメータとして出力する。そして、撮像装置102は、例えば、被写体105を撮影した結果得られた画像データを情報処理装置103に出力する。また、撮像装置102は装着レンズおよびストロボなどの外部光源に関する情報(撮影機材情報)を出力することができる。
【0019】
なお、カラーチャート104は、複数の無彩色のパッチからなるグレーチャートを含む規定のカラーチャートである。
【0020】
個別スタジオ110および120の各々は、顧客に対して写真撮影のサービスを提供するスタジオ写真館のスタジオである。個別スタジオ110および120には、それぞれ撮像装置112および122(サブ撮像装置)、カラーチャート114および124、そして、個別スタジオ情報処理装置111および121(サブ撮影処理装置)が備えられている。
【0021】
なお、図示の例では、2つの個別スタジオ110および120のみが示されているが、実際には複数の個別スタジオが存在し、各個別スタジオは同一の構成となっている。従って、以下の説明では、個別スタジオ110に注目して説明を行う。
【0022】
個別スタジオ110において、個別スタジオ情報処理装置111は、マスタースタジオ100において決定された撮影パラメータ、撮影機材情報、およびカラーチャート104を撮影した画像データ(サブチャート画像データ)を収集する。また、個別スタジオ情報処理装置111は、撮像装置112に対して撮影パラメータ(サブ撮影パラメータ)を設定し、リモート撮影を指示する。さらに、個別スタジオ情報処理装置111は、撮像装置112による撮影の結果得られた画像データを取得する。
【0023】
個別スタジオ110で用いられるカラーチャート114は、輝度および色味をマスタースタジオ100のカラーチャート104に合わせるために使用される。このカラーチャート114はマスタースタジオ100で用いられるカラーチャート104と同一のものである。
【0024】
また、撮像装置112、撮像装置112に装着されるレンズおよびストロボなどの外部光源は、露出および発色の特性を合わせるため、マスタースタジオ100で用いられる製品と同一の製品を使用することが望ましい。
【0025】
図2は、図1に示す撮影設定調整システムにおいてマスタースタジオ100で用いられる情報処理装置103を説明するためのブロック図である。
【0026】
情報処理装置103はユーザインタフェース(UI)部201を有しており、このUI部201は、撮影スタッフに対してマスター撮影情報配信処理の開始を指示するユーザインターフェースを提供する。
【0027】
ここで、マスター撮影情報配信処理とは、情報処理装置103が現在の撮影パラメータとカラーチャート撮影画像および撮影機材情報とを撮像装置102から収集して、個別スタジオ110および120に配信する処理である。
【0028】
リモート制御部205は、撮像装置102と論理接続され、撮影パラメータの収集、リモート撮影指示、および撮影画像データ(例えば、カラーチャート撮影画像データ)の取得を行う。
【0029】
撮影パラメータ保存部202は、リモート制御部205が取得した撮影パラメータを保存する。撮影画像保存部203は、リモート制御部205が取得したカラーチャート撮影画像データを保存する。
【0030】
撮影機材情報保存部207は、リモート制御部205が収集した撮像装置に関する情報、レンズ情報、および外部光源情報などの撮影機材情報を保存する。配信制御部204は、UI部201からマスター撮影情報配信処理の開始指示を受ける。
【0031】
マスター撮影情報配信処理開始指示を受けると、配信制御部204はリモート制御部205を介してカラーチャートのリモート撮影を行う。そして、配信制御部204は撮影シーンに適した撮影パラメータと、当該撮影パラメータで撮影したカラーチャート画像データと、撮影機材情報とを収集してマスター撮影情報を作成する。そして、配信制御部204はスタジオ間通信制御部206を介して個別スタジオ110および120にマスター撮影情報を配信する。
【0032】
図3は、図1に示す撮影設定調整システムにおいて個別スタジオで用いられる個別スタジオ情報処理装置を説明するためのブロック図である。
【0033】
なお、ここでは、個別スタジオ110で用いられる個別スタジオ情報処理装置111が示されているが、個別スタジオ120で用いられる個別スタジオ情報処理装置121も個別スタジオ情報処理装置111と同様の構成を有している。
【0034】
個別スタジオ情報処理装置111はスタジオ間通信制御部314を有している。スタジオ間通信制御部314は、マスタースタジオ100のスタジオ間通信制御部206から配信されたマスター撮影情報を取得する。そして、マスター撮影情報のうち、撮影パラメータはマスター撮影パラメータ保存部312で保存される。マスター撮影情報のうち、カラーチャート画像は、マスターチャート画像保存部313で保存される。マスター撮影情報のうち、撮影機材情報はマスター撮影機材情報保存部323で保存される。
【0035】
スタジオ間通信制御部314は取得済みのマスター撮影情報を、UI部319に通知する。これによって、UI部319は撮影シーン毎のマスター撮影情報取得状況を画面表示する。また、UI部319は、個別スタジオ110のスタッフに対して、調整撮影処理の開始を指示するためのユーザインタフェースを提供する。
【0036】
ここで、調整撮影処理とは、マスター撮影パラメータを初期値(初期サブ撮影パラメータ)から変更しながらカラーチャート114の撮影を繰り返し、マスターチャート画像データの輝度、コントラスト、および色味に近づくように調整する処理である。
【0037】
この調整撮影処理は、同一の撮影パラメータで撮影した結果得られた画像データでも、マスタースタジオ100と個別スタジオ110又は120との撮影環境の相違によって画像データの色味が異なってしまうという問題を解決するために行う処理である。この調整撮影処理は撮影シーン毎に行う必要があり、顧客を対象とした商用撮影の前に実施される。
【0038】
リモート制御部315は、撮像装置112と論理接続され、撮像装置112に対して撮影パラメータの設定を行うとともに、撮像装置112から撮影機材情報の取得を行って、リモート撮影指示および撮影画像データの取得を行う。
【0039】
警告表示制御部320は、調整撮影制御部321から通知を受けて、UI部319に警告を表示する。撮影パラメータ制御部318は、リモート制御部315を介して撮像装置112の撮影パラメータを設定する。調整撮影の際には、撮影パラメータ制御部318はマスター撮影パラメータ保存部312からマスター撮影パラメータを取得して、撮像装置112に初期値として設定する。その後、撮影パラメータ制御部318は調整撮影制御部321の指示を受けて撮像装置の撮影パラメータを変更する。
【0040】
撮影画像保存部316は、撮像装置112による撮影の結果得られた撮影画像データをリモート制御部315から受け取って保存する。撮影機材情報保存部322は、リモート制御部315が収集した撮像装置112に関する情報(撮像装置情報)、装着レンズ情報、および外部光源情報などの撮影機材情報を保存する。
【0041】
比較部317は、マスターチャート画像保存部313に保存されたマスターチャート画像データと、撮影画像保存部316に保存されたカラーチャート画像データとを比較して、その差分情報(単に差分ともいう)を調整撮影制御部321に送る。具体的には、比較部317は、指定されたパッチの輝度および色相・彩度を比較するが、その比較すべき項目について、比較部317は調整撮影制御部321から指示を受ける。
【0042】
さらに、比較部317は、マスター撮影機材情報保存部323と撮影機材情報保存部322とから情報を収集して、カメラ機種(撮像装置機種)、レンズ機種、および外部光源の機材がマスタースタジオで用いられたものと同等であるか否かについて比較する。
【0043】
調整撮影制御部321は、UI部319から調整撮影処理の開始指示を受けると、以下の手順で調整撮影処理を行う。
【0044】
調整撮影制御部321は、リモート制御部315を介して撮像装置112に対してリモート撮影を指示して、撮像装置112によってカラーチャート114を撮影する。続いて、調整撮影制御部321は撮像装置112から取得した今回撮影のカラーチャート画像データとマスターチャート画像データとを比較部317によって比較して、次の撮影の際の撮影パラメータを決定する。
【0045】
調整撮影制御部321は、撮影パラメータを撮影パラメータ制御部318に対して指示して、撮像装置112における撮影パラメータを変更する。このようにして、撮影パラメータを変更しつつリモート撮影を繰り返し行う。最終的にマスターチャート画像データに最も近い撮影パラメータを検出すると、調整撮影制御部321は当該撮影パラメータを撮影パラメータ保存部324に該当シーンの個別スタジオ専用撮影パラメータとして保存し、調整撮影処理を完了する。
【0046】
図4は、図1に示すマスタースタジオ100におけるマスター撮影情報配信の処理を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ここで、図2および図4を参照して、マスタースタジオ100におけるマスター撮影情報配信の際の動作について説明する。
【0048】
まず、ステップS401において、マスタースタジオ100では撮影シーンに合わせた撮影パラメータの決定が行われる。ステップS401は、マスタースタジオ100において、撮影に関する専門知識を有する技術スタッフが行うものである。ここでは、撮像装置102の撮影パラメータを変更しつつ、撮影シーンに適した被写体105の撮影を繰り返して、ある撮影シーン(例えば、白いドレスを着た花嫁のポートレート)を撮影する際に最も好適とみなされる撮影パラメータが決定される。
【0049】
続いて、ユーザ(つまり、マスタースタジオ100のスタッフ)が前述のマスター撮影情報配信処理開始指示を行う(ステップS402)。ここでは、所定の位置にカラーチャート104を設置して、情報処理装置103のUI部201から、スタッフがマスター撮影情報配信処理開始指示を行う。UI部201はマスター撮影情報配信処理開始指示を受けると、配信制御部204に対して、マスター撮影情報配信処理の実行を依頼する。
【0050】
ここで、マスター撮影情報配信の手法について説明すると、マスター撮影情報は、ある撮影シーンに特化したものであるため、UI部201において、撮影シーンを一意に示す名称を選択又は命名することができる。
【0051】
図5は、図2に示すUI部201に表示されるマスター撮影情報配信画面の一例を示す図である。
【0052】
図5において、マスター撮影情報配信画面500は、マスター撮影情報配信を指示するための画面である。マスター撮影情報配信画面500には、カメラ情報501、撮影シーン名記入欄502、および開始ボタン503が表示される。
【0053】
カメラ情報501には、情報処理装置103が接続された撮像装置102に関する情報、撮像装置102で収集可能な撮影機材情報、および撮影パラメータが表示される。撮影シーン名記入欄502は、配信するマスター撮影情報に、ユーザが任意の名称を付与するためのテキスト入力エリアである。撮影パラメータおよび撮影シーン名の記入に問題がなければ、開始ボタン503を押下すると、UI部201に対してマスター撮影情報配信処理の開始を指示することができる。
【0054】
再び、図2および図4を参照して、配信制御部204は、リモート制御部205を介して、撮像装置102から現在の撮影パラメータと撮影機材情報(撮像装置の機種、装着レンズの機種、およびストロボなどの外部光源機種など)を取得する(ステップS403)。ここで、撮影パラメータはシャッタースピード、絞り値、ISO値、および色変換マトリクスなどである。そして、配信制御部204は取得した撮影パラメータを、撮影パラメータ保存部202に保存するとともに、撮影機材情報を撮影機材情報保存部207に保存する。
【0055】
次に、配信制御部204は、リモート制御部205を介して、撮像装置102に対してリモート撮影を指示する。撮像装置102は、予め設置されたカラーチャート104を撮影する(ステップS404)。撮像装置102による撮影の結果得られた画像データはリモート制御部205で取得されて、撮影画像保存部203に保存される(ステップS405)。
【0056】
続いて、配信制御部204は、撮影パラメータ保存部202、撮影画像保存部203、および撮影機材情報保存部207から、保存された情報を取得してマスター撮影情報を作成する。そして、スタジオ間通信制御部206を介して個別スタジオ110および120に配信し(ステップS406)、マスター撮影配信情報処理を終了する。
【0057】
次に、図1に示す個別スタジオの各々における調整撮影実行の際の動作について説明する。なお、ここでは、個別スタジオ110における調整撮影実行について説明するが、個別スタジオ120においても同様にして調整撮影が実行される。
【0058】
図6は、図2に示す個別スタジオで行われる調整撮影処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
図3および図6を参照して、個別スタジオ110においては、マスター撮影情報が配信されると、スタジオ間通信制御部314がマスター撮影情報を取得する。そして、スタジオ間通信制御部314は、マスター撮影情報のうち撮影パラメータをマスター撮影パラメータ保存部312に保持する(ステップS601)。また、スタジオ間通信制御部314は、マスター撮影情報のうち撮影機材情報をマスター撮影機材情報保存部323で保持する。
【0060】
続いて、スタジオ間通信制御部314は、マスター撮影情報のうちカラーチャート撮影画像データをマスターチャート画像保存部313に保持する(ステップS602)。
【0061】
次に、個別スタジオ110において、スタッフがUI部319から調整撮影処理の開始を指示する(ステップS603)。なお、当該スタッフは撮影に関する専門知識を有する必要はない。ここでは、スタッフは所定の位置にカラーチャート114を設置して、UI部319で調整撮影処理の開始を指示する。UI部319は、調整撮影処理の開始を指示されると、調整撮影制御部321に調整撮影処理を依頼する。
【0062】
調整撮影制御部321は、マスター撮影機材情報保存部323に保存されたマスタースタジオ100の撮影機材情報と、撮影機材情報保存部322に保存され撮影機材情報とで、同一の撮影機材が使われている否かを比較部317に依頼する(ステップS604)。なお、撮影機材情報保存部322に保存され撮影機材情報とは、撮像装置112から収集した撮影機材情報である。
【0063】
比較の結果、撮影機材が異なると(ステップS604において、NO)、調整撮影制御部321は警告表示制御部320にその旨通知する。これによって、警告表示制御部320は、UI部319によって撮影機材がマスタースタジオのものと異なることを喚起するための警告を表示する(ステップS605)。
【0064】
なお、調整撮影制御部321は、撮影パラメータ制御部318に対して、撮像装置112の初回撮影パラメータの設定を依頼する。撮影パラメータ制御部318は、マスター撮影パラメータ保存部312から撮影パラメータ(マスター撮影パラメータ)を取得して、リモート制御部315を介して撮像装置112に当該撮影パラメータを設定する。
【0065】
比較の結果、撮影機材が同一であると判定されると(ステップS604において、YES)、処理はステップS606に移行する。なお、ステップS605の処理が行われた後、処理はステップS606に移行する。
【0066】
図6に示すステップS606〜S609の処理は、調整撮影処理における調整項目毎に行われる。図示の例では、調整項目として、露出調整、コントラスト調整、および色味調整がある。
【0067】
まず、調整撮影制御部321はリモート制御部315を介して撮像装置112に対してリモート撮影を指示する(ステップS606)。これによって、撮像装置112によってカラーチャート114が撮影されて、リモート制御部315がその撮影画像データを取得して、撮影画像保存部316に保持する。
【0068】
続いて、調整撮影制御部321は比較部317に、調整項目について、マスターチャート画像保存部313に保持されたマスターチャート画像データと、撮影画像保存部316に保持されたカラーチャート撮影画像データとの比較を依頼する(ステップS607)。
【0069】
そして、比較の結果を受けて、調整撮影制御部321は次の撮影の撮影パラメータを決定し、撮影パラメータ制御部318に撮像装置112の撮影パラメータ変更を依頼する(ステップS608)。
【0070】
続いて、調整撮影制御部321は予め定められた終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS609)。終了条件が満たされないと(ステップS609において、NO)、調整撮影制御部321はステップS606の処理に戻る。
【0071】
一方、終了条件が満たされると(ステップS609において、YES)、つまり、全ての調整項目について最も適正な撮影パラメータを検出すると、調整撮影制御部321は調整撮影処理を終了する。
【0072】
このようにして、調整撮影制御部321はステップS606〜S609の処理を繰り返して、調整項目毎に最も適正な撮影パラメータを検出する。調整撮影処理が終了した際、撮像装置112の撮影パラメータは個別スタジオ専用撮影パラメータ保存部224に保存される。
【0073】
次に、図3に示す調整撮影制御部321における調整項目毎の処理について説明する。
【0074】
図7は、調整項目が露出調整である際の図3に示す調整撮影制御部321の処理を説明するためのフローチャートである。
【0075】
露出調整処理が開始されると、調整撮影制御部321は、マスター撮影パラメータを初期値として撮像装置112に設定して、カラーチャート114の撮影を行ったか否かを確認する(ステップS701:自スタジオ未撮影)。未撮影であると(ステップS701において、YES)、調整撮影制御部321は初回撮影を実行する(ステップS702)。
【0076】
続いて、調整撮影制御部321は、比較部317に依頼して、平均輝度のグレーパッチ(グレー部分ともいう)について、マスターチャートと自スタジオ撮影のカラーチャートにおける輝度値の差分を求める(ステップS703)。なお、撮影済みであれば(ステップS701において、NO)、調整撮影制御部321はステップS703の処理を実行する。
【0077】
図8は、図7に示す露出調整における適正露出判定を説明するための図である。そして、図8(a)は図1に示すマスタースタジオ100で撮影されたカラーチャート画像データ(マスターチャート画像データ)を示す図であり、図8(b)は図1に示す個別スタジオ110で撮影されたカラーチャート画像データを示す図である。
【0078】
ここでは、カラーチャートとして、例えば、グレタグマクベス社のColor Checkerなどの全ての色相を満遍なく網羅して、平均輝度のグレーパッチを含むグレー3階調以上を有するカラーチャートが用いられる。
【0079】
カラーチャート画像データ810および830はそれぞれグレーパッチ811および831を有している。グレーパッチ811および831において、パッチD1〜D5はそれぞれ異なる階調を有し、パッチD1が最も輝度が高い。そして、パッチD5が最も輝度が低い。パッチD3は、パッチD1の輝度とパッチD5の輝度との平均輝度であり、コントラスト設定の影響を受けにくい。図示の例では、露出決定の後にコントラスト値が決定されるため、パッチD3が露出判定に用いられる。
【0080】
図3に示す調整撮影制御部321から露出調整の比較を依頼されると、比較部317は、マスターチャート画像データおよび自スタジオにおいて撮影したカラーチャート画像データからパッチD3を検出する。
【0081】
なお、カラーパッチを検出する手法は、例えば、特開2007−81680号公報に記載されており、予めカラーパッチの座標を登録するか又は同一の色領域における配列を色値で検出する。
【0082】
比較部317は、マスターチャート画像データのカラーパッチD3および自スタジオ撮影のカラーチャート画像データのカラーパッチD3の輝度値を画像データから検出して、これら輝度値の差分を求める。調整撮影制御部321は、露出関連パラメータを変えて撮影した際の輝度値の差分が前回の露出関連パラメータ値で撮影した際の差分よりも大きくなると、前回撮影の際の露出関連パラメータ値が適正であると判定する。
【0083】
再び図3および図7を参照して、調整撮影制御部321は露出関連パラメータを変更しつつ比較部317から差分を得て、前述のように輝度値の差分が異なるか否かについては判定する(ステップS704)。差分が異ならないと(ステップS704において、NO)、調整撮影制御部321は露出調整処理を終了する。
【0084】
一方、差分が異なると(S704でYES)、つまり、輝度が異なると、調整撮影制御部321は自スタジオ撮影のカラーチャート画像データの輝度がマスターチャート画像データの輝度に近づくように、露出関連撮影パラメータを1段変更する(S705)。ここでは、例えば、絞り値を増減させることによって露出の増減を行う。
【0085】
つまり、調整撮影制御部321は撮影パラメータ制御部318に対して、絞り値を1段変更するように依頼する。これによって、撮影パラメータ制御部318は、リモート制御部315を介して撮像装置112の絞り値を変更する。
【0086】
上述のようにして、露出関連撮影パラメータを変更した後、調整撮影制御部321は再びカラーチャート114のリモート撮影を行う(ステップS706)。そして、撮影の結果得られたカラーチャート画像データは撮影画像保存部316に保存される。その後、調整撮影制御部321は、再び比較部317によって、パッチD3のグレーについてマスターチャート画像データおよび自スタジオ撮影のカラーチャート画像データにおける輝度値の差分を求める。
【0087】
前述のようにして、調整撮影制御部321は、露出関連パラメータを変えて撮影した際の輝度値の差分が前回の露出関連パラメータ値で撮影した際の差分よりも小さくなったか否かを判定する(ステップS707)。つまり、調整撮影制御部321は自スタジオ撮影のカラーチャート画像データの輝度がマスターチャート画像データの輝度に近づいたか否かを判定することになる。
【0088】
輝度値の差分が前回の差分以上となると(ステップS707において、NO)、調整撮影制御部321は前回の絞り値を自スタジオにおける絞り値として決定する(ステップS708)。一方、輝度値の差分が前回の差分よりも小さくなると(S707でYES)、調整撮影制御部321は自スタジオのカラーチャート画像データが更にマスターチャート画像データの輝度に近づくように露出関連撮影パラメータを1段変更する(ステップS709)。そして、調整撮影制御部321はステップS706に戻って処理を続行する。
【0089】
図9は、調整項目がコントラスト調整である際の図3に示す調整撮影制御部321の処理を説明するためのフローチャートである。
【0090】
図3および図9を参照して、コントラスト調整が開始されると、調整撮影制御部321は、比較部317に依頼して、グレーパッチの各々についてその輝度値の差分を求める(ステップS901)。
【0091】
適正なコントラストを判定する際には、まず比較部317は、図8(a)に示すマスターチャート画像データ810の各グレーパッチ811と、自スタジオのカラーチャート画像830の各グレーパッチ831の輝度値を画像データから取得する。そして、比較部317はこれら輝度値の差分を求める。そして、調整撮影制御部321は各グレーパッチの輝度値の差分に応じてコントラスト値の変更が必要であるか否かを判断する。
【0092】
例えば、マスターチャート画像データ810と比べて、自スタジオのカラーチャート画像データ830のパッチD1およびD2の輝度が低く、パッチD4およびD5の輝度が高いとする。この場合、マスターチャート画像データ810に自スタジオの撮影画像データ830を近づけるには、コントラスト値を上げる(高くする)必要がある。
【0093】
また、グレーチャート各色の輝度値の合計の差分(グレー差分)を求め、コントラスト値を変えて撮影した際の輝度値の合計の差分が、前回のコントラスト値で撮影した時より大きければ、前回撮影の際のコントラスト値の方が適正であると判定することができる。
【0094】
調整撮影制御部321は撮影パラメータ制御部318に対して、絞り値を1段変更するように依頼する。これによって、撮影パラメータ制御部318は、リモート制御部315を介して撮像装置112の絞り値を変更する。
【0095】
上述のようにして、調整撮影制御部321は比較部317から比較結果を受けて、コントラストの変更が必要であるか否かについて判定する(ステップS902)。コントラストの変更が必要でないと判定すると(ステップ902において、NO)、調整撮影制御部321はコントラスト調整処理を終了する。
【0096】
一方、コントラストの変更が必要であれば(S902でYES)、調整撮影制御部321はコントラスト値を1段変更する(S903)。これにより、自スタジオのカラーチャート画像データ830がマスターチャート画像データ810のグレーパッチ811の各グレーパッチの輝度に近づくようになる。
【0097】
調整撮影制御部321は撮影パラメータ制御部318に対して、コントラス値を1段変更するように依頼する。これによって、撮影パラメータ制御部318は、リモート制御部315を介して撮像装置112のコントラスト値を変更する。
【0098】
コントラスト値を変更した後、調整撮影制御部321は再びカラーチャート114のリモート撮影を行う(ステップS904)。そして、撮影の結果得られたカラーチャート画像データは撮影画像保存部316に保存される。その後、調整撮影制御部321は再び比較部317によって、パッチD3のグレーについてマスターチャート画像データおよび自スタジオ撮影のカラーチャートデータについてグレーパッチおける輝度値の差分を求める。
【0099】
調整撮影制御部321は、グレーパッチ811の輝度値の合計とグレーパッチ831の輝度値の合計との差分が前回の差分よりも小さくなったか否かを判定する(ステップS905)。つまり、調整撮影制御部321は自スタジオ撮影のカラーチャート画像データの輝度がマスターチャート画像データの輝度(つまり、露光量)に近づいたか否かを判定することになる。
【0100】
輝度値の合計の差分が前回の差分以上となると(ステップS905において、NO)、調整撮影制御部321は前回のコントラスト値を自スタジオにおけるコントラスト値として決定する(ステップS906)。一方、輝度値の合計の差分が前回の差分よりも小さくなると(ステップS905において、YES)、調整撮影制御部321はコントラスト値を1段変更する(ステップS907)。これにより、自スタジオのカラーチャート画像データの輝度値の合計が更にマスターチャート画像データの輝度値の合計に近づくようになる。そして、調整撮影制御部321はステップS904に戻って処理を続行する。
【0101】
図10は、調整項目が色味調整である際の図3に示す調整撮影制御部321の処理を説明するためのフローチャートである。
【0102】
図3および図10を参照して、色味調整が開始されると、調整撮影制御部321は撮影画像保存部316に保存されているカラーチャート画像データのグレーパッチを用いてホワイトバランスを調整する(ステップS1001)。なお、画像データに応じてホワイトバランスを調整する手法は周知であるので説明を省略する。
【0103】
適正な色味を判定する際には、まず、比較部317が図8(a)に示すマスターチャート画像データ810のカラーパッチ813の各色と、図8(b)に示す自スタジオのカラーチャート画像データ830のカラーパッチ833の各色の色相・彩度を取得する。そして、比較部317は各色毎に色相および彩度の差分(色差分ともいう)を求める。
【0104】
ここで、色相および彩度の差分を合計した値を、色値ズレ量とすると、調整撮影制御部321は色値ズレ量が最も大きい色が優先して調整するべき色であると判定する。そして、色値ズレ量が最も大きい色から順に、マスターチャート画像データの色値に近付くように、調整撮影制御部3210は撮影パラメータの「色合い」および「色の濃さ」を修正する。そして、調整撮影制御部3210は色値ズレ量が最も小さくなるまで撮影パラメータの変更と撮影とを繰り返して、マスターチャート画像データ810の色味に自スタジオのカラーチャート画像データ830の色味を近づける。
【0105】
なお、撮像装置112においてその色変換マトリクスを変更できる場合には、色合い・色の濃さを変更する前に色変換マトリクスを調整するようにしてもよい。また、全ての色の色値ズレ量を合計した合計値を、色値ズレ量合計値として保持して、調整撮影制御部221は調整色に関して適正な色味となる撮影パラメータを判断する際に用いる。
【0106】
ホワイトバランスの調整を行った後、調整撮影制御部321は比較部317に依頼して、カラーパッチ833の各色について、色値ズレ量を算出する。そして、調整撮影制御部321はカラーパッチにおいて最も色値ズレ量が大きい色を、以後調整撮影を行う際の調整色として選択する(ステップS1002)。ただし、既に調整色として用いた色については除外する。
【0107】
続いて、調整撮影制御部321は、前述したようにして、リモート撮影を指示して、撮像装置112がカラーチャート114を撮影する(ステップS1003)。
【0108】
そして、調整撮影制御部321は比較部317によって前回の撮影パラメータで撮影した際の色値ズレ量の合計と、今回の撮影パラメータで撮影した際の色値ズレ量の合計とを比較する(ステップS1004)。調整撮影制御部321は今回の色値ズレ量の合計が前回の色値ズレ量の合計よりも小さいか否かを判定する。今回の色値ズレ量の合計が前回の色値ズレ量の合計以上であると(ステップS1004において、NO)、調整撮影制御部321は前回の色の濃さおよび色合い値が今回の調整色に関して最も適正な色味となる撮影パラメータであると判定する(ステップS1005)。そして、撮像装置112に当該撮影パラメータを再設定する。
【0109】
続いて、調整撮影制御部321は全カラーパッチについて色味調整を実施したか否かを判定する(ステップS1006)。つまり、調整撮影制御部321はまだ選択していない調整色があるか否かについて判定する。全カラーパッチについて色味調整を実施していないと(ステップS1006において、NO)、調整撮影制御部321はステップS1002の処理に戻って、調整色の選択を行う。一方、全カラーパッチについて色味調整を実施していると(ステップS1006において、YES)、調整撮影制御部321は色味調整を終了する。
【0110】
今回の色値ズレ量の合計が前回の色値ズレ量の合計よりも小さい場合には(ステップS1004において、YES)、調整撮影制御部321は今回の撮影パラメータ(色合いおよび色の濃さ)が前回までの撮影パラメータよりも好適であるとする。そして、さらに好適な撮影パラメータがあるか否かを調査するため、調整撮影制御部321は選択した調整色に関してその色値ズレ量が前回の色値ズレ量も小さいか否かを判定する(ステップS1007)。
【0111】
調整色の色値ズレ量が前回の色値ズレ量以上であると(S1007でNO)、色値ズレ量の合計が前回の合計より小さい場合であっても、調整撮影制御部321は当該調整色に関してはその適正撮影パラメータは前回の色合いおよび色の濃さであるとする。そして、ステップS1005の処理に進む。
【0112】
調整色の色値ズレ量が前回の色値ズレ量よりも小さいと(S1007でYES)、選択した調整色に関してさらに好適な撮影パラメータを見つかる可能性があるため、調整撮影制御部321は色値ズレ量の合計を更新して保存する(ステップS1008)。
【0113】
次に、調整撮影制御部321は色値ズレ量のうち彩度値および色相値のズレ量を比較して、彩度値が色相値よりも大きくずれているか否かについて判定する(ステップS1009)。つまり、調整撮影制御部321は、彩度のズレ量から色相のズレ量を減算した結果(差分)が予め定められた閾値以上であるか否かを判定することになる。彩度値が色相値よりも大きくずれていないと(ステップS1009において、NO)、つまり、彩度値と色相値とのズレ量が予め定められた閾値未満であると、調整撮影制御部321は色相が近付く方向に色の濃さを修正する(ステップS1010)。
【0114】
一方、彩度値が色相値より大きくずれていると(ステップS1009において、YES)、つまり、彩度値と色相値とのズレ量が予め定められた閾値以上であると、調整撮影制御部321は彩度が近付く方向に色合いを修正する(ステップS1011)。そして、調整撮影制御部321はステップS1003の処理に戻って、処理を続行する。
【0115】
上述のようにして、個別スタジオの撮影環境専用にカスタマイズした撮影シーンに特化した撮影パラメータを得ることができる。この撮影パラメータは、個別スタジオ専用の撮影パラメータ保存部324に格納されて、商用撮影時の際に必要に応じて読み出される。
【0116】
上述の第1の実施形態では、色味調整の際に、全てのカラーパッチ833について一度だけ好適な撮影パラメータを探索しているが、精度を上げるために、次の手法を用いるようにしてもよい。
【0117】
例えば、図10に示すステップS1002においては、カラーパッチのうち最も色値ズレ量が大きい色を、調整撮影を行う際の調整色として選択するが、この際、既に調整色として用いた色についても選択の対象とする。そして、ステップS1004における処理では、色値ズレ量の合計を用いずに色値ズレ量の二乗の合計を用いる。このようにすると、色値ズレ量が突出したカラーパッチを減らして全体が平均化されるため調整の精度を上げることができる。
【0118】
ステップS1008においては、カラーパッチの各色について、色値ズレ量を求めて色値ズレ量の二乗の合計が保存される。ステップS1006において、全カラーパッチについて調整色選択実施したか否かについて判定するのではなく、色値ズレ量の二乗の合計が、所定の閾値として設定した値より小さくなるまでを判定する。又は、規定の回数だけ色味調整を行ったか否かを判定するようにしてもよい。
【0119】
このようにして、第1の実施形態では、撮影スタジオに専門知識を備える技術スタッフがいない場合であっても、撮影スタジオ毎に撮像装置の撮影パラメータを簡単に調整することができる。よって、数の撮影スタジオにおいて色味が統一されて、品質基準を維持することができることになる。
【0120】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態による撮影設定調整システムの一例について説明する。
【0121】
図11は、本発明の第2の実施形態による撮影設定調整システム1100の一例についてその構成を示す図である。
【0122】
図示の撮影設定調整システム1100は、撮像装置1120を有しており、この撮像装置1120には露出パラメータ調整装置が備えられている。撮影設定調整システム1100は、パーソナルコンピュータ(PC)からなる情報処理装置1110を有し、この情報処理装置1110は撮像装置1120に接続されている。さらに、撮影設定調整システム1100は撮影パラメータを調整する際に撮影される被写体である所定のカラーチャート1140、被写体を照明する照明装置1130、1131、および1132を有している。
【0123】
図示の撮像装置1120は、自機に設定されたシャッタースピード、絞り、ISOスピード、および色変換マトリクスなどの撮影パラメータと撮影した画像データを情報処理装置1110に送信する機能を備えている。さらに、撮像装置1120は、情報処理装置1110から撮影パラメータを受信して自機の撮影パラメータとして設定する機能を備えるとともに、情報処理装置1110からのリモート撮影指示を受信して撮影を実行する機能を備えている。
【0124】
情報処理装置1110は、撮像装置1120に対して撮影パラメータを送信する機能およびリモート撮影を指示する機能を備える。また、情報処理装置1110は撮像装置1120に設定された撮影パラメータおよび画像データを受信する機能を有している。
【0125】
図12は、図11に示す撮像装置1120および情報処理装置1110のハード構成を説明するための図である。
【0126】
情報処理装置1110はCPU(中央処理装置)1210を有しており、CPU1210は、メモリ1240に格納された制御プログラムに応じて、後述する処理の制御を行う。メモリ1240は、例えば、RAM、ROM、およびハードディスクからなる記憶装置であり、前述の制御プログラムの他、各種パラメータおよび入力画像データなどが格納される。
【0127】
通信部1260はネットワーク又は公衆回線を介して撮像装置1120とデータ(画像データなど)の送受を行う。そして、メモリ1240に格納されたプログラム、データ、および処理結果は、通信部1260によって撮像装置1120と入出力される。
【0128】
操作部1230は、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスを有しており、ユーザ(操作者)は操作部1230によって情報処理装置1110に各種指示を入力する。例えば、画像の入力、露出パラメータ調整の開始、又は露出パラメータを調整した結果である撮影パラメータを撮像装置1120に送信する指示は、操作部1230から情報処理装置1110に入力される。
【0129】
表示部1250は、例えば、カラーディスプレイ装置などのユーザインターフェースであり、ここには、入力画像および露出パラメータなどの設定値が表示される。
【0130】
画像処理部1220は、操作部1230からの指示に応じて、表示部1250に表示された表示画像について、露出パラメータ調整結果に基づいて所定の画像処理を行って表示部2150に表示する。
【0131】
撮像装置1120は、撮像素子1251を有しており、この撮像素子1251は光学像を電気信号(アナログ信号)に変換して出力する。このアナログ信号はA/D変換器1261によってデジタル信号(画像信号)に変換されて、画像処理部1221およびメモリ1241に与えられる。画像処理部1221は、A/D変換器1261からの出力又はメモリ1241に格納された画像データに対してホワイトバランス処理を行うとともに、所定の画素補間処理および色変換処理を行う。さらに、画像処理部1221は撮影の結果得られた画像データを用いて所定の演算処理を行う。
【0132】
撮像装置1120はコントローラ1211を有しており、このコントローラ1211は撮像装置1120全体の動作を制御する。そして、コントローラ1211はメモリ1241および通信部1262が接続されている。
【0133】
メモリ1241は、撮影の結果得られた静止画像データを格納するためのものであり、所定枚数の静止画像データを格納するための十分な容量を備えている。そして、複数枚の静止画像データを連続して得る連写撮影の際にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ1241に対して行うことができる。また、メモリ1241はコントローラ1211の作業領域としても用いられる。前述のように、A/D変換器1261の出力は画像処理部1221を介して又は直接メモリ1241に書き込まれる。
【0134】
通信部1262は、RS232C、USB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、又は無線通信等の各種通信機能を有し、撮像装置1120を他の機器、例えば、情報処理装置1110と接続する。そして、通信部1262によって、撮像装置1120は情報処理装置1110又はプリンタ等の周辺機器(図示せず)との間で画像データおよび撮影パラメータの設定値を転送することができる。
【0135】
図13は、図11に示す撮影設定調整システム1100における露出パラメータ調整の事前準備を説明するためのフローチャートである。
【0136】
露出パラメータの調整を行う際には、事前に操作者は、所定のグレーを含むカラーチャート(図示せず)を所定の位置に設置する(ステップS1310)。そして、操作者は撮像装置1120と情報処理装置1110とを接続して、(ステップS1320)、事前準備を終了する。
【0137】
図14は、図12に示す撮像装置1120が撮影指示を受けた際の動作を説明するためのフローチャートである。また、図15は、図12に示す撮像装置1120が撮影パラメータを受けた際の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図14および図15に示す処理は、メモリ1241に格納されたプログラムに応じてコントローラ1211が実行する。
【0138】
図12および図14を参照して、撮像装置1120の電源が投入されると、コントローラ1211はフラグおよび制御変数などを初期化する。そして、後述する撮影指示が1262を介して情報処理装置1110からコントローラ1211に通知されると(ステップS1410)、コントローラ1211は距離データなどに基づいて撮影レンズのフォーカシングレンズを駆動して被写体に焦点を合わせる。
【0139】
さらに、コントローラ1211は測光データに従ってシャッター(図示せず)を開放し撮像素子1251を露光する(ステップS1420)。コントローラ1211は撮像素子1251の露光終了を待ち、撮像素子1251から電荷信号(電気信号)を読み出す。この電気信号はA/D変換器1261を介して、画像処理部1221に与えられ、画像処理部1221はデジタル信号(画像信号)に対してデジタル露出補正、ホワイトバランス補正、および色処理などを行って画像データとする。そして、この画像データはメモリ1241に書き込まれる(ステップS1430)。コントローラ1211はメモリ1241に格納された画像データを、通信部1262を介して情報処理装置1110に送信する(ステップS1450)。
【0140】
続いて、図12および図15を参照して、コントローラ1211は通信部1262を介して情報処理装置1110から撮影パラメータを受信する(ステップS1510)。そして、コントローラ1211は撮影パラメータを受信すると、メモリ1241に保持されている撮影パラメータを、当該受信した撮影パラメータで更新する(ステップS1520)。
【0141】
図16は、図12に示す情報処理装置1110の表示部1250に表示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)画面の一例を示す図である。
【0142】
図12および図16を参照して、情報処理装置1110が撮像装置1120に接続されると、CPU1210は撮像装置1120が接続されたことを検知して、所定のプログラムを起動する。そして、CPU1210は表示部1250に図16に示す操作画面(GUI画面)1600を表示する。操作画面1600には、画像表示領域1610(色空間平面)と露出パラメータ制御領域1601とが表示される。図16に示す例では、露出パラメータ制御領域1601には、各露出パラメータについて、調整対象1620、撮影パラメータ名1630、撮影時のパラメータ値1640、および露出調整後のパラメータ値1650が表示される。また、露出調整位置指定ボタン1660も表示される。
【0143】
さらに、操作画面1600には、撮影指示ボタン1680および撮影パラメータ送信ボタン1670が表示される。これら撮影指示ボタン1680および撮影パラメータ送信ボタン1670は、情報処理装置1110が撮像装置1120と接続されている場合にのみ押下可能である。そして、遠隔操作によって撮像装置1120から画像データを受信する場合および撮影パラメータを撮像装置1120に送信する場合に押下げられる。
【0144】
図17は、図12に示す情報処理装置1110において操作者から撮影指示を受けた際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0145】
図12および図17を参照して、いま、図16に示す撮影指示ボタン1680を操作者が押下げると、CPU1210は通信部1260を介して撮像装置1120に撮影指示を送信する(ステップS1710)。そして、前述したように、撮像装置1120から画像データを受信する(ステップS1720)。
【0146】
画像データを受信すると、CPU1210は表示部1250に当該画像データに係る画像を表示する(ステップS1730)。さらに、CPU1210は、受信した画像データに含まれる撮影パラメータから露出パラメータを抽出し、この露出パラメータを、図16に示す撮影時のパラメータ値1640のカラムに表示する(ステップS1740)。
【0147】
露出パラメータを調整する際には、撮像装置1120における撮影パラメータのうち露出パラメータの設定値が適正でない場合に、調整対象の露出パラメータを任意に指定して調整が行われる。
【0148】
まず、操作者は図16に示す調整対象1620のチェックボックス1621にチェックを入れる。これによって、調整対象の露出パラメータが決定される(ステップS1750)。そして、操作者はチェックした露出パラメータについて、調整対象1620のテキスト入力欄1622に調整の重み付けを指定して(ステップS1760)、露出パラメータの調整が終了する。
【0149】
ここで、重み付けとは、露出調整に用いる露出パラメータ毎に変更量の割合を指定することをいう。図16に示す例では、露出パラメータとして絞り(Aperture)、ISOスピード(ISO Speed)が調整対象パラメータとされ、絞りの重み付けが”2”、ISOスピードの重み付けが”1”となっている。
【0150】
なお、露出調整前に操作者が任意の調整対象パラメータおよび重み付けを行うようにしてもよく、撮影スタジオにおいて標準の調整対象パラメータとその重み付けとを予め準備するようにしてもよい。
【0151】
図18は、図12に示す情報処理装置1110における露出調整位置指定の際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0152】
図12および図18を参照して、上述のようにして指定(設定)が完了した後、操作者が露出調整位置指定ボタン1660を押下げると、CPU1210は露出調整位置を指定するモードとする。そして、操作者は操作部1230のポインティングデバイスを用いて図16に示す画像表示領域1610において、所定のグレーを撮影した部分を指定する(ステップS1810:露出調整位置指定)。
【0153】
なお、撮影方法によって所定のグレーの位置が分かっている場合には、操作者による位置指定は省略することも可能である。
【0154】
上記のグレー指定に応じて、CPU1210は指定位置周辺画素(所定の領域の画素)の平均輝度値を求める(ステップS1820)。続いて、CPU1210は平均輝度値に基づいて露出判定を行って、当該露出における輝度と適正露出(所定の露出)時の輝度との差分から露出調整段数を求める(ステップS1830)。
【0155】
次に、CPU1210は露出調整可能であるか否かについて判定する(ステップS1840)。つまり、CPU1210は露出調整段数が調整可能な範囲を超えているか否かについて判定することになる。露出調整段数が調整可能な範囲を超えていると(ステップS1840において、NO)、CPU1210は露出調整不能である旨表示部1250に表示して(ステップS1850)、処理を終了する。
【0156】
一方、露出調整段数が調整可能な範囲であると(S1840でYES)、CPU1210は露出パラメータ調整の重み付けに応じて、調整対象である各露出パラメータについて露出調整段数を割り振って、露出変更段数を決定する(ステップS1860)。なお、露出調整段数および露出調整の重み付けについては後述する。
【0157】
続いて、CPU1210は、変更後の露出パラメータの値を、図16に示す露出パラメータ制御領域1601の露出調整後のパラメータ値1650に表示する(ステップS1870)。さらに、CPU1210は決定した露出調整段数(露出変更段数)に応じて、図16に示す画像表示領域1610に表示された表示画像をデジタル露出補正して再表示して(ステップS1880)、処理を終了する。
【0158】
図19は、図12に示す情報処理装置1110において露出パラメータが個別に入力され際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0159】
前述のようにして、表示画像が再表示された際に、操作者は露出が適正でないと判断すると、図16に示す露出パラメータ制御領域1601の露出調整後のパラメータ値1650において露出パラメータの値を手入力する(ステップS1910)。CPU1210は入力された露出パラメータ値に応じて、画像表示領域1610の表示画像をデジタル露出補正して再表示して(ステップS1920)、処理を終了する。
【0160】
そして、操作者が図16に示す撮影パラメータ送信ボタン1670を押下げると、CPU1210は調整後の各露出パラメータ値を撮影パラメータとして撮像装置1120に送信する。
【0161】
図20は図18で説明した露出判定における露出調整段数および重み付けを説明するための図である。そして、図20(a)は露出調整位置指定において平均輝度値に応じて露出調整量を求める際に用いられる表を示す図であり、図20(b)は、露出調整量から露出調整段数を求める際に用いられる表を示す図である。また、図20(c)は露出調整量から絞り変更量を求める際に用いられる表を示す図であり、図20(d)は露出調整量からISOスピードの変更量を求める際に用いられる表を示す図である。
【0162】
図20を参照して、一般に、反射率18%のグレーを適正露出で撮影すると、その撮影画像の輝度値は0〜256の中間である128付近の値になることが知られている。ここでは、例えば、反射率18%のグレーを所定のグレーとして、所定のグレーを適正露出で撮影した際に得られた画像の輝度値を適正露出の輝度値とする。
【0163】
また、撮像装置1120で設定可能な露出幅1/3段で±2段分、合計13回撮影して実測した輝度値をその露出設定における輝度値とした。そして、隣合う実測輝度値の中間で上限および下限の輝度値を決めて、図20(a)に示す露出調整量(単に調整量ともいう)。
【0164】
図20(a)から、指定位置周辺画素の輝度値が”114”〜”130”の場合、調整量は”0”である。つまり、適正露出である。同様に、輝度値が”69”〜”83”の場合には、調整量は3(+1段)となる。
【0165】
図20(a)に示す例では、一般的な撮像装置の露出設定単位に合わせて1/3段単位としたが、1/2段又は1/9段などの単位で露出設定を行うことのできる撮像装置においては、当該単位で、図20(a)と同様な表が作成される。
【0166】
また、図11に示す照明装置1130、1131、および1132の場合には、0.1段単位で調整が可能な照明装置もあるので、照明装置1灯で撮影する場合には、この調整にも応用することができる。
【0167】
さらに、上述の例では各露出設定における輝度値の実測値を用いたが、実測値に基づいて最小自乗法により近似曲線を求めて、この近似曲線によって各露出設定における輝度値の中心を求めるようにしてもよい。
【0168】
露出調整量から露出補正段数を求める際には、例えば、指定された位置周辺画素の平均輝度値が”70”である場合には、図20(a)から露出調整量は”3”となる。図20(b)において、適正露出(露出補正=0)のINDEXは”7”であるので、図20(b)において、”7+3=10”で示されるINDEX10における露出補正段数=+1が求める露出補正段数となる。そして、図16に示す画像表示領域1610に表示された画像に露出調整段数(露出補正段数ともいう)によってデジタル露出補正を行うと、適正露出で撮影した画像が模擬表示されることになる。
【0169】
露出調整量から絞り変更量を求める際には、露出調整段数(つまり、露出補正量)を求める場合と同様にして、例えば、指定された位置周辺画素の平均輝度値が”70”である場合、図20(a)から、露出調整量は”3”となる。
【0170】
例えば、図18に示すステップS1760において、露出パラメータ制御領域1601における調整対象露出パラメータの重み付けを絞り”2”、ISOスピードを”1”に設定したとする。この場合、露出調整量”3”を絞りとISOスピードで分配するために、絞りの調整量は3×2÷(2+1)=2となる。
【0171】
撮影時における絞り設定値が図20(c)に示すF11であると、INDEX=10となる。よって、絞りの調整量”2”をINDEXに加算して、図20(c)に示すINDEX=10+2=12の絞りF14が求める絞り値となる。
【0172】
露出調整量からISOスピードの変更量を求める際には、図20(c)で説明したようにして、ISOスピードの変更量が求められる。例えば、撮影時におけるISOスピードが”400”、図20(a)において露出調整量が”3”、重み付けが絞りで”2”、ISOスピードで”1”であるとすると、図20(d)から求めるISOスピードは500となる。
【0173】
ところで、調整対象の露出パラメータの重み付け設定の合計値では、露出調整量の値を割り切れない場合には、端数は重み付けの強い露出パラメータから順に割り振るようにする。例えば、撮影時の絞り値F11、ISOスピード400で、調整対象露出パラメータの重み付けが絞り”2”、ISOスピード”1”、そして、露出調整量が”2”である場合には、絞り値は調整されて絞りF14となるが、ISOスピードは変わらず400となる。
【0174】
上述のように、適正露出±2段程度の輝度値を予め定めて、撮影した所定のグレーの輝度値を比較することによって適正露出調整段数を容易に求めることができる。
【0175】
このようにして、第2の実施形態によれば、使用頻度等によって照明装置の発光量が変化しても、容易に露出調整を行うことができ、調整の難しい多灯照明の個別調整頻度を少なくすることができる。そして、操作者は露出調整後の画像を確認しつつ、適正な露出の画像を得るための露出パラメータを容易に得ることができる。
【0176】
上述の説明から明らかなように、図2において、リモート制御部205および配信制御部204が画像取得手段および撮影パラメータ取得手段として機能する。また、配信制御部204およびスタジオ間通信制御部206が撮影情報配信手段として機能する。
【0177】
また、図3において、スタジオ間通信制御部314、マスター撮影パラメータ保存部312、撮影パラメータ制御部318、およびリモート制御部315が撮影パラメータ設定手段として機能する。さらに、調整撮影制御部321、リモート制御部315、および撮影画像保存部316がサブ画像取得手段として機能する。そして、比較部317および調整撮影制御部321が撮影パラメータ変更手段として機能する。加えて、調整撮影制御部321、警告表示制御部320、およびUI部319が警告手段として機能する。
【0178】
さらに、図12において、CPU1210および画像処理部1220が表示制御手段として機能し、CPU1210が輝度算出手段、露出調整決定手段、およびパラメータ調整手段として機能する。そして、CPU1210および通信部1260が送信手段として機能し、CPU1210および表示部1250が警告手段として機能する。
【0179】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0180】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を、マスター撮影処理装置、サブ撮影処理装置、又は情報処理装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有する制御プログラムを、マスター撮影処理装置、サブ撮影処理装置、又は情報処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0181】
この際、制御方法及び制御プログラムの各々は、少なくとも画像取得ステップ、撮影パラメータ取得ステップ、撮影情報配信ステップ、撮影パラメータ設定ステップ、サブ画像取得ステップ、および撮影パラメータ変更ステップを有している。また、制御方法及び制御プログラムの各々は、少なくとも表示制御ステップ、輝度算出ステップ、露出調整決定ステップ、パラメータ調整ステップ、再表示制御ステップを有するようにしてもよい。
【0182】
なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0183】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0184】
100 マスタースタジオ
102,112,122 撮像装置
103,111,121 情報処理装置
104,114,124 カラーチャート
110,120 個別スタジオ
204 配信制御部
205,315 リモート制御部
320 警告表示制御部
321 調整撮影制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター撮影処理装置と少なくとも1つのサブ撮影処理装置とが接続され、前記マスター撮影処理装置で得られた撮影情報に応じて前記サブ撮影処理装置における撮影設定を調整するための撮影設定調整システムであって、
前記マスター撮影処理装置は、当該マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データを得る画像取得手段と、
前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータを取得してマスター撮影パラメータとする撮影パラメータ取得手段と、
前記マスターチャート画像データおよび前記マスター撮影パラメータを前記撮影情報として前記サブ撮影処理装置に配信する撮影情報配信手段とを有し、
前記サブ撮影処理装置は、
前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとして前記サブ撮影処理装置に備えられたサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定手段と、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得るサブ画像取得手段と、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更手段とを有することを特徴とする撮影設定調整システム。
【請求項2】
前記サブ画像取得手段は前記パラメータ変更手段によって前記サブ撮影パラメータが変更されると、前記サブチャート画像データを取得し、
前記撮影パラメータ変更手段は、前記マスターチャート画像データのグレー部分と前記サブチャート画像データのグレー部分と比較して、前記マスターチャート画像のグレー部分と前記サブチャート画像データのグレー部分とのグレー差分が最小となった際における露光量を示す前記サブ撮影パラメータを前記サブ撮影処理装置の撮影パラメータと決定することを特徴とする請求項1に記載の撮影設定調整システム。
【請求項3】
前記撮影パラメータ変更手段は、前記露光量となるコントラストの前記サブ撮影パラメータを前記サブ撮影処理装置の撮影パラメータと決定することを特徴とする請求項2に記載の撮影設定調整システム。
【請求項4】
前記撮影パラメータ変更手段は、前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとの間において各色の色相および彩度を比較し、その色差分が最も大きい色について、当該色差分が予め規定された閾値未満となるように前記サブ撮影パラメータを変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮影設定調整システム。
【請求項5】
前記マスター撮影パラメータには、少なくともシャッタースピード、絞り値、ISO値、および色変換マトリクスが含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮影設定調整システム。
【請求項6】
前記マスター撮影パラメータには、さらに前記マスター撮像装置の撮像装置機種およびレンズ機種が含まれており、
前記サブ撮影処理装置は、前記マスター撮影パラメータに含まれる撮像装置機種およびレンズ機種の少なくとも1つが前記サブ撮像装置の撮像装置機種およびレンズ機種と異なると警告を発する警告手段を有することを特徴とする請求項5に記載の撮影設定調整システム。
【請求項7】
マスター撮影処理装置と少なくとも1つのサブ撮影処理装置とが接続され、前記マスター撮影処理装置で得られた撮影情報に応じて前記サブ撮影処理装置における撮影設定を調整するための制御方法であって、
前記マスター撮影処理装置が当該マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データを得る画像取得ステップと、
前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータを取得してマスター撮影パラメータとする撮影パラメータ取得ステップと、
前記マスターチャート画像データおよび前記マスター撮影パラメータを前記撮影情報として前記サブ撮影処理装置に配信する撮影情報配信ステップとを行い、
前記サブ撮影処理装置が、前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとして前記サブ撮影処理装置に備えられたサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定ステップと、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得るサブ画像取得ステップと、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更ステップとを行うことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
マスター撮影処理装置と少なくとも1つのサブ撮影処理装置とが接続され、前記マスター撮影処理装置で得られた撮影情報に応じて前記サブ撮影処理装置における撮影設定を調整するための制御プログラムであって、
前記マスター撮影処理装置が備えるコンピュータに、
当該マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データを得る画像取得ステップと、
前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータを取得してマスター撮影パラメータとする撮影パラメータ取得ステップと、
前記マスターチャート画像データおよび前記マスター撮影パラメータを前記撮影情報として前記サブ撮影処理装置に配信する撮影情報配信ステップとを実行させ、
前記サブ撮影処理装置が備えるコンピュータに、
前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとして前記サブ撮影処理装置に備えられたサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定ステップと、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得るサブ画像取得ステップと、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項9】
マスター撮影処理装置から送られた撮影情報に応じて撮影設定を調整するための情報処理装置であって、
前記撮影情報には前記マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データと、前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータであるマスター撮影パラメータとが含まれており、
前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとしてサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定手段と、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得る画像取得手段と、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
マスター撮影処理装置から送られた撮影情報に応じて撮影設定を調整するための情報処理装置で用いられる制御方法であって、
前記撮影情報には前記マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データと、前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータであるマスター撮影パラメータとが含まれており、
前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとしてサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定ステップと、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得る画像取得ステップと、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
マスター撮影処理装置から送られた撮影情報に応じて撮影設定を調整するための情報処理装置で用いられる制御プログラムであって、
前記情報処理装置が備えるコンピュータに、
前記撮影情報には前記マスター撮影処理装置に備えられたマスター撮像装置で予め定められたカラーチャートを撮像してマスターチャート画像データと、前記マスター撮像装置に設定された撮影パラメータであるマスター撮影パラメータとが含まれており、
前記撮影情報を受信して前記マスター撮影パラメータを初期サブ撮影パラメータとしてサブ撮像装置に設定する撮影パラメータ設定ステップと、
前記予め定められたカラーチャートを前記サブ撮像装置で撮影してサブチャート画像データを得る画像取得ステップと、
前記マスターチャート画像データと前記サブチャート画像データとを比較して、その比較結果に応じて前記サブ撮影パラメータを変更する撮影パラメータ変更ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
撮像装置における撮影パラメータである露出パラメータを調整する情報処理装置であって、
前記撮像装置によって撮影された所定のグレーを含むカラーチャートを撮影した結果である撮影画像を表示部に表示するとともに、前記撮影画像を得る際に用いられた露出パラメータを前記表示部に表示する表示制御手段と、
前記露出パラメータの調整が指定されるとともに、前記撮影画像における露出調整位置が指定されると、当該露出調整位置を中心とする所定の領域においてその平均輝度を算出する輝度算出手段と、
前記平均輝度と所定の露出における輝度との差分に応じて露出補正量を決定する露出調整決定手段と、
前記露出補正量に応じて前記露出パラメータを調整するパラメータ調整手段とを有し、
前記表示制御手段は、調整後の露出パラメータに応じて前記撮影画像を補正して前記表示部に再表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
前記パラメータ調整手段は、前記露出補正量を、調整が指定された前記露出パラメータの各々に予め指定された重み付けに応じて割り振ることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記パラメータ調整手段で調整された前記露出パラメータを前記撮像装置に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項12又は13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記差分が前記撮像装置で調整可能な範囲を超えていると、警告を発する警告手段を有することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
撮像装置における撮影パラメータである露出パラメータを調整する情報処理装置で用いられる制御方法であって、
前記撮像装置によって撮影された所定のグレーを含むカラーチャートを撮影した結果である撮影画像を表示部に表示するとともに、前記撮影画像を得る際に用いられた露出パラメータを前記表示部に表示する表示制御ステップと、
前記露出パラメータの調整が指定されるとともに、前記撮影画像における露出調整位置が指定されると、当該露出調整位置を中心とする所定の領域においてその平均輝度を算出する輝度算出ステップと、
前記平均輝度と所定の露出における輝度との差分に応じて露出補正量を決定する露出調整決定ステップと、
前記露出補正量に応じて前記露出パラメータを調整するパラメータ調整ステップと、
調整後の露出パラメータに応じて前記撮影画像を補正して前記表示部に再表示する再表示制御ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項17】
撮像装置における撮影パラメータである露出パラメータを調整する情報処理装置で用いられる制御プログラムであって、
前記情報処理装置が備えるコンピュータに、
前記撮像装置によって撮影された所定のグレーを含むカラーチャートを撮影した結果である撮影画像を表示部に表示するとともに、前記撮影画像を得る際に用いられた露出パラメータを前記表示部に表示する表示制御ステップと、
前記露出パラメータの調整が指定されるとともに、前記撮影画像における露出調整位置が指定されると、当該露出調整位置を中心とする所定の領域においてその平均輝度を算出する輝度算出ステップと、
前記平均輝度と所定の露出における輝度との差分に応じて露出補正量を決定する露出調整決定ステップと、
前記露出補正量に応じて前記露出パラメータを調整するパラメータ調整ステップと、
調整後の露出パラメータに応じて前記撮影画像を補正して前記表示部に再表示する再表示制御ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【図8】
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【図11】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−195760(P2012−195760A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58044(P2011−58044)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】