説明

操作パネルおよびこれを用いた電子機器

【課題】厚みを薄く、操作における入力と表示色の切り替えを連動させ、光を良好に拡散させることが可能な操作パネルおよび電子機器を提供する。
【解決手段】光源20と、第1の波長領域の光を透過させつつ第2の波長領域の光をカットする第1表示部41、および第2の波長領域の光を透過させつつ第1の波長領域の光をカットする第2表示部42とを有する透明部材40と、透明部材40の他方の面側から入力される圧力によって検出信号を出力する入力検出手段60と、入力検出手段60からの検出信号に基づいて、光源20を制御する制御手段70と、を具備し、制御手段70は、第1の波長領域の光および第2の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように光源を制御して、電子機器において次に検出信号が検知された場合に実行される異なる機能に関しての表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルおよびこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作モードの設定に応じてバックライトの照明色を切り替え、キートップが有する表示板の何れか一方の表示を視認させる技術内容について開示されている。この特許文献1には、透明な表示板に赤色の塗料にて「A」の表示を形成し、さらに別な表示板に緑色の塗料にて「あ」の表示を形成し、それらが重ねられて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−277013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1に開示されている構成では、「A」の表示が存在する表示板と、「あ」の表示が存在する表示板とが重ねて設けられている。そのため、全体の厚みが増し、薄型化が難しいものとなっている。
【0005】
また、特許文献1に開示されている構成では、予め所望する色のバックライトを点灯させた後に、その色での表示に基づいて、キーによって所定の入力がなされるものである。そのため、キーの入力と、表示色の切り替えとが連動している、とは言い難い。さらに、特許文献1に開示されている構成では、光を拡散させる光拡散板が設けられているものの、具体的にどのようにして、光を拡散させるのかについては明らかにされていない。
【0006】
本発明は上述のような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、厚みを薄くすること可能とすることと、操作における入力と表示色の切り替えを連動させるようにすることと、光を良好に拡散させることのうち少なくとも一つを達成することができる操作パネルおよびこれを用いた電子機器を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の操作パネルは、少なくとも第1の波長領域の光および第2の波長領域の光を出射可能な光源と、第1の波長領域の光を透過させつつ第2の波長領域の光をカットする着色がなされている第1表示部、および第2の波長領域の光を透過させつつ第1の波長領域の光をカットする着色がなされている第2表示部とを有する透明部材と、透明部材の一方の面側に配置されると共に、透明部材の他方の面側からの入力を検出する入力検出手段と、入力検出手段からの検出信号に基づいて、光源を制御する制御手段と、を具備し、制御手段は、制御手段は、第1の波長領域の光および第2の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように光源を制御して、操作パネルが組み込まれる電子機器において次に検出信号が検知された場合に実行される異なる機能に関しての表示を行う、ものである。
【0008】
このように構成する場合には、第1表示部と第2表示部とが、同じ透明部材に設けられている。このため、第1表示部と第2表示部とが重ならない構成となるため、操作パネルの全体の厚みを薄くすることが可能となる。また、使用者が透明部材の他方の面側を押し込むと、その押し込みにより、入力検出手段は検出信号を制御手段に送信し、制御手段は、第1の波長領域の光および第2の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように光源を制御する。また、この押し込みに対応して、操作パネルが組み込まれる電子機器において実行される異なる機能に関しての表示がなされる。それにより、電子機器が実行する機能と操作パネルでの表示の切り替えとを連動させることが可能となる。また、操作パネルを押し込んだ使用者にとっては、次に操作パネルを押し込んだ場合には、電子機器において異なる機能が実行されることを認識可能となり、使用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0009】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、透明部材には、第1表示部と第2表示部とが重なる重なり部分が設けられていて、この重なり部分は第1の波長領域の光および第2の波長領域の光の双方を透過させることが可能であることが好ましい。
【0010】
このように構成する場合には、重なり部分では、第1の波長領域の光および第2の波長領域の光を透過可能となっている。このため、第1表示部と第2表示部では、重なり部分によって表示が途切れてしまうのを防止可能となり、双方の表示を使用者は認識可能となる。それによって、限られた透明部材のスペースを有効活用することが可能となり、操作パネルの省スペース化に寄与可能となる。
【0011】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、光源には、第1の波長領域の光を出射する第1光源と、第2の波長領域の光を出射する第2光源と、が設けられていて、透明部材と第1光源および第2光源の間には、第1光源と第2光源からそれぞれ出射される光を透明部材に向かって導く導光部材が設けられていて、導光部材のうち透明部材と対向する対向面とは反対側の裏面には、光を透明部材側に向けて反射させる複数の反射溝が設けられている、ことが好ましい。
【0012】
このように構成する場合には、導光部材に反射溝が設けられることにより、第1光源と第2光源からそれぞれ出射される光を透明部材に向かって導くことが可能となる。
【0013】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、第1光源は、導光部材のうち対向面および裏面とは対向しない一方の端面側に配置されていて、第2光源は、導光部材のうち一方の端面とは対向する他方の端面側に配置されていて、反射溝によって、透明部材には、第1光源と対峙して第1光源から出射される第1の波長領域の光を透明部材に向けて反射させる第1反射面と、第2光源と対峙して第2光源から出射される第2の波長領域の光を透明部材に向けて反射させる第2反射面と、が設けられていて、複数の第1反射面のうち、第2光源側に位置する第1反射面の方が第1光源に位置する第1反射面よりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられていて、複数の第2反射面のうち、第1光源側に位置する第2反射面の方が第1光源に位置する第2反射面よりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられている、ことが好ましい。
【0014】
このように構成する場合には、第1反射面では第1光源から出射される第1の波長領域の光が透明部材側に向かって反射され、第2反射面では第2光源から出射される第2の波長領域の光が透明部材側に向かって反射される。ここで、第1反射面は、第2光源側に位置する第1反射面の方が第1光源に位置する第1反射面よりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられているため、第1反射面では、第1光源から離れても暗くなるのを防止する状態で、第1の波長領域の光を透明部材側に反射させることが可能となる。同じく、第2反射面は、第1光源側に位置する第2反射面の方が第2光源に位置する第2反射面よりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられているため、第2反射面では、第2光源から離れても暗くなるのを防止する状態で、第2の波長領域の光を透明部材側に反射させることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、反射溝または裏面に対向する別部材には、透明部材に向けて光を反射させるための白色塗装部が設けられている、ことが好ましい。
【0016】
このように構成する場合には、白色塗装部の存在により、透明部材に向けて反射される光の反射率を高めることが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、光源はパネル状の表示装置であり、入力検出手段はパネル状の位置入力装置であり、表示装置と位置入力装置によってタッチパネルが構成される、ことが好ましい。
【0018】
このように構成する場合には、使用者は、表示されたものを押し込む等による、直感的な操作が可能となる。また、操作パネルを用いた電子機器においては、押し込んだ位置に対応した制御を行うことが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、制御手段は、電子機器のいずれかの要素から出力される制御信号に基づいて、光源の発光強度を変化させる、ことが好ましい。
【0020】
このように、発光強度を変化させる制御を行う場合、この発光強度の変化により、操作パネルにおける表示は、使用者にとって、より認識し易いものとすることが可能となる。
【0021】
また、本発明の他の側面である電子機器は、上述の各発明に係る操作パネルを用いた、ことが好ましい。
【0022】
このように構成する場合には、電子機器の操作パネルにおいては、第1表示部と第2表示部とが、同じ透明部材に設けられている。このため、第1表示部と第2表示部とが重ならない構成となるため、操作パネルの全体の厚みを薄くすることが可能となる。また、使用者が透明部材の他方の面側を押し込むと、その押し込みにより、入力検出手段は検出信号を制御手段に送信し、制御手段は、第1の波長領域の光および第2の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように光源を制御する。また、この押し込みに対応して、操作パネルが組み込まれる電子機器において実行される異なる機能に関しての表示がなされる。それにより、電子機器が実行する機能と操作パネルでの表示の切り替えとを連動させることが可能となる。また、操作パネルを押し込んだ使用者にとっては、次に操作パネルを押し込んだ場合には、電子機器において異なる機能が実行されることを認識可能となり、使用者の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る操作パネルの構成を示す側断面図である。
【図2】図1の操作パネルにおいて導光板および光源の構成を示す平面図である。
【図3】第1表示部が表示されると共に第2表示部を示す図である。
【図4】第2表示部が表示されると共に第1表示部を示す図である。
【図5】反射溝の第1反射面および第2反射面を拡大して示す側断面図である。
【図6】導光板に凹部が設けられた変形例の構成を示す側断面図である。
【図7】導光板に窪み部が変形例の構成を示す平面図である。
【図8】導光板の四隅が切り欠かれた変形例の構成を示す平面図である。
【図9】反射溝の曲率が変化する導光板の構成を示す平面図である。
【図10】複数の青色LEDおよび赤色LEDの配置状態を示す平面図である。
【図11】制御部を中心とする構成を示すブロック図である
【図12】電子機器がプリンターの場合の動作の一態様を示す処理フローである。
【図13】タッチパネルを用いた場合の操作パネルの構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る操作パネル10およびこれを用いた電子機器について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
<1.構成について>
図1は、本発明の操作パネル10の構成について示す側断面図である。この操作パネル10は、光源20と、スモーク調シート30と、表示フィルム40と、導光板50と、静電容量センサー60と、を有している。
【0026】
光源20は、電力の印加によって発光する部分である。本実施の形態では、光源20としては、青色LED(Light Emitting Diode)20Aと、赤色LED20Bとを用いている。青色LED20Aは青色の波長領域(460〜480nm)の光を出射し、赤色LED20Bは赤色の波長領域(620〜640nm)の光を出射する。なお、上述の各光の波長には、多少の誤差が含まれ、また各光は概ね上記の波長のものとしても良い。
【0027】
本実施の形態では、青色LED20Aと赤色LED20Bとは、導光板50を挟んで対向する位置に設けられている。すなわち、図1において、青色LED20AはX方向において導光板50よりもX1側(図1における右側)に設けられていて、赤色LED20BはX方向において導光板50よりもX2側(図1における左側)に設けられている。ただし、青色LED20Aと赤色LED20Bの配置を図1とは逆にしても良い。また、青色LED20Aは導光板50よりもX1側に1つ設けられていると共に、赤色LED20Bは導光板50よりもX2側に1つ設けられている。また、図2に示すように、青色LED20Aと赤色LED20Bとは、導光板50等を平面視したときの平面(XY平面)において、導光板50のY方向における中央を通ると共にX方向に平行な中心線L上に位置するように配置されている。
【0028】
なお、青色の波長領域の光は、請求項でいう第1の波長領域の光の一例に対応する。また、赤色の波長領域の光は、請求項でいう第2の波長領域の光の一例に対応する。ただし、青色の波長領域の光を、請求項でいう第2の波長領域の光の一例に対応するものとし、赤色の波長領域の光を、請求項でいう第1の波長領域の光の一例に対応するものとしても良い。また、青色LED20Aは、請求項でいう第1光源の一例に対応すると共に、赤色LED20Bは、請求項でいう第2光源の一例に対応する。ただし、赤色LED20Bを請求項でいう第1光源の一例に対応するものとし、青色LED20Aを請求項でいう第2光源の一例に対応するものとしても良い。また、青色の波長領域の光を出射可能な光源であれば、青色LED20A以外のものを用いても良く、赤色の波長領域の光を出射可能な光源であれば、赤色LED20B以外のものを用いても良い。
【0029】
スモーク調シート30は、光源20が発光していない状態(消灯の状態)において、表示フィルム40側が見え難くするようにするための部材である。このスモーク調シート30は、たとえば、操作パネル10よりも筐体の内部側が暗く、操作パネル10の外部が明るい場合に、暗くかつ光量の少ない筐体の内部側からの光を吸収するように設けられている。ただし、光源20が発光すると、このスモーク調シート30が吸収可能な光を超える状態となり、それによってスモーク調シート30を透過する光量が多くなって、当該スモーク調シート30よりも下層側(内部側)が視認可能となっている。
【0030】
なお、スモーク調シート30に代えて、たとえばハーフミラーのように、操作パネル10よりも筐体の内部側が暗く、操作パネル10の外部が明るい場合に、外部からの光を多く反射するようなビームスプリッターを設けるようにしても良い。
【0031】
表示フィルム40は、透明なフィルム(請求項でいう透明部材)から構成されている。図3および図4に示すように、この表示フィルム40に、たとえばインクを用いた印刷によって、第1表示部41と第2表示部42とが形成されている。なお、第1表示部41と第2表示部42とは、共に光を透過可能に設けられている。
【0032】
これらのうち、第1表示部41は、青色のインクを用いて印刷された部分である。そのため、この第1表示部41は、青色の波長領域の光を透過させることを可能としている。また、第2表示部42は、赤色のインクを用いて印刷された部分である。そのため、この第2表示部42は、赤色の波長領域の光を透過させることを可能としている。
【0033】
また、図3および図4に示すように、透明なフィルム(表示フィルム40)の表面には、第1表示部41と第2表示部42とが重なる重なり部分43が設けられている。この重なり部分43は、青色の波長領域の光および赤色の波長領域の光の双方を透過させることが可能となっている。そのため、この重なり部分43は、たとえば印刷を行わずに無色透明に設けられている。なお、以下の説明においては、上述の定義から第1表示部41には重なり部分43が含まれ、第2表示部42にも重なり部分43が含まれるものとする。
【0034】
導光板50は、その内部を光が進行すると共に、光源20から出射される光を表示フィルム40側に向かうように反射させる部材である。この導光板50は、請求項でいう導光部材の一例に対応する。この導光板50は、たとえばアクリル樹脂等のような透明な樹脂を材質として形成されている。また、この導光板50の裏面(下面;導光板50のうち図1におけるZ1側の面)には、光を反射させる反射溝51が設けられている。反射溝51は、導光板50の裏面側に、たとえばV字状に窪みを設けることにより構成されている。なお、窪みに代えて突出部を設けることにより、反射溝51を形成しても良い。
【0035】
この反射溝51には、青色LED20Aから出射される光を反射する第1反射面51Aと、赤色LED20Bから出射される光を反射する第2反射面51Bとが設けられている。第1反射面51Aは、X方向において、赤色LED20B側に位置するものの方が、青色LED20Aに位置するものよりも、裏面と直交するZ方向(直交方向)に近づくように設けられている。すなわち、図5に示すように、第1反射面51AとX軸に平行な線Pとがなす角度αは、赤色LED20Bに近い側の角度α2の方が、青色LED20Aに近い側の角度α1よりも大きく設けられている。なお、かかる角度αの変化は、X方向に沿って青色LED20Aから赤色LED20B側に進行するにつれて、徐々に大きくなるようにしても良く、X方向におけるある範囲内の複数の第1反射面51Aにおける角度αは同じとなるようにしても良い。
【0036】
また、第2反射面51Bも、第1反射面51Aと同様に設けられている。すなわち、第2反射面51Bは、X方向において、青色LED20A側に位置するものの方が、赤色LED20Bに位置するものよりも、裏面と直交するZ方向(直交方向)に近づくように設けられている。すなわち、図3に示すように、第2反射面51BとX軸に平行な線Pとがなす角度βは、青色LED20Aに近い側の角度β2の方が、赤色LED20Bに近い側の角度β1よりも大きく設けられている。なお、かかる角度βの変化においても、X方向に沿って赤色LED20Bから青色LED20A側に進行するにつれて、徐々に大きくなるようにしても良く、X方向におけるある範囲内の複数の第2反射面51Bにおける角度βは同じとなるようにしても良い。
【0037】
また、導光板50の上面(導光板50のうちZ2側の面)にも、反射溝51を設けるようにしても良いが、設けないように構成しても良い。図1においては、上面にも反射溝51が設けられた構成が図示されている。
【0038】
また、図1のような光源20の配置に対応する導光板50に代えて、図6に示すような導光板50を用いるようにしても良い。図6に示す導光板50においては、導光板50のX方向における両端部に凹部53が設けられていて、この凹部53に光源20が位置するものとなっている。このとき、光源20の上方側(Z2側)および下方側(Z1側)も、導光板50によって覆われる構成となっている。また、図7に示すような導光板50を用いるようにしても良い。図7に示す導光板50では、導光板50のX方向における両端部に窪み部54が設けられていて、この窪み部54に光源20が位置するものとなっている。この窪み部は、上方側(Z2側)および下方側(Z1側)は、導光板50によって覆われていない状態となっている。
【0039】
また、図8に示すような導光板50を用いるようにしても良い。図8に示す導光板50では、矩形状の導光板50の四隅を切り欠いた、八角形状に設けられている。
【0040】
また、反射溝51のXY平面におけるピッチは、図2に示すものとしても良いが、図9に示すように、光源20から離間するにつれて曲率が大きくなるような曲線状に設けるようにしても良い。この構成では、X方向における中央部分の反射溝51の山線(または谷線)は、Y方向の中心線Mと平行となる直線状か、またはその直線状に最も近い状態に設けられている。
【0041】
その他にも、図10に示すように、導光板50のX1側に青色LED20Aおよび赤色LED20Bを共に配置し、X2側にも青色LED20Aおよび赤色LED20Bを共に配置する構成を採用しても良く、その場合には、反射溝51のピッチは、導光板50のうちX方向の両端側が大きく、X方向の中央側が狭く設けるようにしても良い。
【0042】
静電容量センサー60は、導光板50よりも下方側に配置されている。この静電容量センサー60は、押圧に伴う静電容量の変化によって、制御部70に検出信号を出力するものであり、請求項でいう入力検出手段の一例に対応する。なお、図1に示す静電容量センサー60は、当該静電容量センサー60が押されたか否かを検出するものとなっている。
【0043】
図11は、電子機器がプリンター100である場合の制御部70を中心とする構成を概略的に示すブロック図である。なお、制御部70は、請求項でいう制御手段の一例に対応する。図11に示すように、本実施の形態における光源20および静電容量センサー60は、制御部70に対して電気的に接続されている。この制御部70は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリー等のメモリー、バス、インターフェース等を有している。
【0044】
そして、制御部70には、ROM、メモリーおよび/またはインターフェースを介して接続されている外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより、光源制御部71が機能的に実現され、さらに機器制御部72も機能的に実現される。光源制御部71は、静電容量センサー60から出力される検出信号に基づいて、光源20の作動を制御する。また、機器制御部72は、光源制御部71と連動して、印刷機構110等の作動を制御する。なお、これらの光源制御部71および機器制御部72の動作については、後述する。
【0045】
<2.動作>
以上のような構成の操作パネル10およびこれを用いた電子機器の動作について、以下に説明する。なお、以下の説明としては、電子機器がプリンター100である場合の一態様について説明する。
【0046】
まず、基本的な動作について説明する。本実施の形態における操作パネル10においては、青色LED20Aが点灯すると共に赤色LED20Bが消灯している場合には、青色の波長領域の光が出射される状態となり、その青色の波長領域の光は第1表示部41(重なり部分43を含む)を通過するものの、第2表示部42(重なり部分43は除く)は通過せずに、当該第2表示部42で吸収される。そのため、図3に実線で示されるような第1表示部41を使用者は視認することが可能となる。
【0047】
一方、赤色LED20Bが点灯すると共に青色LED20Aが消灯している場合には、赤色の波長領域の光が出射される状態となり、その赤色の波長領域の光は第2表示部42(重なり部分43を含む)を通過するものの、第1表示部41(重なり部分43を除く)は通過せずに、当該第1表示部41で吸収される。そのため、図4に実線で示す第2表示部42を使用者は視認することが可能となる。
【0048】
以上が、基本的な動作であるが、本実施の形態では、図12に示す処理フローのような制御(動作)も行うことを可能としている。なお、以下の説明においては、電子機器がプリンター100である場合の、動作の一態様を、図12の処理フローに基づいて説明する。
【0049】
まず、青色LED20Aおよび赤色LED20Bが消灯している状態において、使用者の操作等によって、印刷条件が設定される(ステップP1)。すると、光源制御部71は青色LED20Aを点灯させる(ステップS1)。それにより、青色の波長領域の光の透過により、スタートの表示に対応する第1表示部41が使用者にとって十分に判別できるように明るくなり、視認可能な状態となる。
【0050】
次に、使用者が操作パネル10を押下する。すると、その押下によって静電容量センサー60は光源制御部71に検出信号を送信し、その検出信号に基づいて、光源制御部71は、青色LED20Aは消灯させると共に、赤色LED20Bを点灯させる(ステップS2)。すると、赤色の波長領域の光の透過により、ストップの表示に対応する第2表示部42が使用者にとって十分に判別できるように明るくなり、視認可能な状態となる。
【0051】
また、この光源制御部71の制御と共に、機器制御部72は、上述の「スタート」に対応する第1表示部41が表示されている操作パネル10の押下に伴い、プリンター100の印刷機構110を制御して、印刷媒体への印刷を開始させる(ステップP2)。
【0052】
この状態において、使用者が操作パネル10を押下する場合、その押下に伴って、光源制御部71は赤色LED20Bを消灯させる(ステップS3)。このとき、使用者が「ストップ」に対応する第2表示部42が表示されている操作パネル10を押下した状態に対応する。そのため、機器制御部72は印刷を中断させる(ステップP3)。
【0053】
そして、この印刷の中断において、使用者が設定変更を完了すると(ステップP4)、光源制御部71は、光源制御部71は青色LED20Aを点灯させる(ステップS4)。それにより、青色の波長領域の光の透過により、スタートの表示に対応する第1表示部41が使用者にとって十分に判別できるように明るくなり、視認可能な状態となる。
【0054】
この状態で、使用者が操作パネル10を押下すると、その押下によって静電容量センサー60は光源制御部71に検出信号を送信し、その検出信号に基づいて、光源制御部71は、青色LED20Aは消灯させると共に、赤色LED20Bを点灯させる(ステップS5)。それにより、赤色の波長領域の光の透過により、ストップの表示に対応する第2表示部42が使用者にとって十分に判別できるように明るくなり、視認可能な状態となる。
【0055】
また、機器制御部72は、上述の「スタート」に対応する第1表示部41が表示されている操作パネル10の押下に伴って、プリンター100の印刷機構110を制御して、印刷媒体への印刷を再開させる(ステップP5)。
【0056】
そして、上述の印刷再開後、使用者が「ストップ」に対応する第2表示部42が表示されている操作パネル10を押下しない場合には、印刷が終了する。
【0057】
<3.効果>
以上のような構成の操作パネル10およびこれを用いた電子機器によると、第1表示部41と第2表示部42とが、同じ表示フィルム40に設けられている。このため、第1表示部41と第2表示部42とが重ならない構成となるため、操作パネル10の全体の厚みを薄くすることが可能となる。
【0058】
また、上述の図12における処理フローにて説明したように、使用者が表示フィルム40の上側(Z2側)を押し込むと、その押し込みにより、静電容量センサー60は検出信号を制御部70(光源制御部71)に送信し、制御部70(光源制御部71)は、青色の波長領域の光および赤色の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように光源20を制御する。また、この押し込みに対応して、操作パネル10が組み込まれる電子機器において実行される異なる機能に関しての表示がなされる。それにより、電子機器が実行する機能と操作パネル10での表示の切り替えとを連動させることが可能となる。
【0059】
また、操作パネル10を押し込んだ使用者にとっては、次に操作パネル10を押し込んだ場合には、電子機器において異なる機能が実行されることを認識可能となり、使用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0060】
また、表示フィルム40の重なり部分43では、青色の波長領域の光および赤色の波長領域の光を透過可能となっている。このため、第1表示部41と第2表示部42では、重なり部分43によって表示が途切れてしまうのを防止可能となり、双方の表示を使用者は認識可能となる。それによって、限られた表示フィルム40のスペースを有効活用することが可能となり、操作パネル10の省スペース化に寄与可能となる。
【0061】
さらに、光源20には、青色LED20Aと赤色LED20Bとが設けられていて、表示フィルム40と青色LED20Aおよび赤色LED20Bの間には、導光板50が設けられていて、導光板50のうち表示フィルム40と対向する対向面とは反対側の裏面には、光を表示フィルム40側に向けて反射させる複数の反射溝51が設けられている。そのため、青色LED20Aと赤色LED20Bからそれぞれ出射される光を表示フィルム40に向かって導くことが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態では、反射溝51の第1反射面51Aでは青色LED20Aから出射される青色の波長領域の光が表示フィルム40側に向かって反射され、第2反射面51Bでは赤色LED20Bから出射される赤色の波長領域の光が表示フィルム40側に向かって反射される。ここで、第1反射面51Aは、赤色LED20B側に位置する第1反射面51Aの方が青色LED20Aに位置する第1反射面51Aよりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられている。そのため、第1反射面51Aでは、青色LED20Aから離れても暗くなるのを防止する状態で、青色の波長領域の光を表示フィルム40側に反射させることが可能となる。同じく、第2反射面51Bは、青色LED20A側に位置する第2反射面51Bの方が赤色LED20Bに位置する第2反射面51Bよりも、裏面と直交する直交方向に近づくように設けられている。そのため、第2反射面51Bでは、赤色LED20Bから離れても暗くなるのを防止する状態で、赤色の波長領域の光を表示フィルム40側に反射させることが可能となる。
【0063】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0064】
(4−1)変形例その1
上述の実施の形態では、入力検出手段として静電容量センサー60が用いられた場合について説明している。しかしながら、入力検出手段としては、図13に示すような位置入力装置61Bを用いるようにしても良い。この位置入力装置61Bは、タッチパネル61の構成要素であり、この位置入力装置61Bの上方側(Z2側)に、光源20としての表示装置61Aが積層されている。
【0065】
このような構成とする場合、表示装置61Aで使用者は、表示されたものを押し込む等による、直感的な操作が可能となる。また、操作パネル10を用いた電子機器においては、押し込んだ位置に対応した制御を行うことが可能となる。それにより、押し込んだか否かの2値的な検出のみならず、押し込んだ位置に応じた検出信号の送信により、より多彩な制御を行わせることが可能となる。なお、タッチパネル61は、静電容量方式でも良いが、静電容量方式以外に、抵抗膜方式や赤外線方式等のような他の方式のタッチパネル61としても良い。
【0066】
(4−2)変形例その2
上述の実施の形態においては、さらに、反射溝51または導光板50の裏面に対向する別部材には、表示フィルム40に向けて光を反射させるための白色塗装部を設けるようにしても良い。白色塗装部を設ける場合、その白色塗装部の存在により、表示フィルム40に向けて反射される光の反射率を高めることが可能となる。それにより、第1表示部41における表示および第2表示部42における表示を明るいものとすることが可能となる。
【0067】
(4−3)変形例その3
上述の実施の形態においては、制御部70(光源制御部71)は、電子機器のいずれかの要素から出力される制御信号に基づいて、光源20の発光強度を変化させるようにしても良い。発光強度を変化させる制御を行う場合、この発光強度の変化により、操作パネル10における表示は、使用者にとって、より認識し易いものとすることが可能となる。たとえば、操作パネル10を押し込まない時間が所定の閾値よりも長い等の場合には、明るさが低減させるように制御して、省電力化を図るようにしても良い。
【0068】
(4−4)変形例その4
上述の実施の形態における制御部70(光源制御部71)は、上述した図12の処理フローのみならず、光源20の制御に関する各種の制御を実行可能であることは勿論である。たとえば、光源20を点滅させる等の制御を行うようにしても良い。
【0069】
(4−5)変形例その5
上述の実施の形態においては、表示フィルム40は、青色の波長領域の光を透過する第1表示部41と、赤色の波長領域の光を透過する第2表示部42とを有する場合について説明している。しかしながら、これらに加えて、またはこれらの一部に代えて、その他の波長領域の光を透過する表示部を設けるようにしても良い。たとえば、緑色の波長領域の光を透過する表示部を設けたり、黄色の波長領域の光を透過する表示部を設けるようにしても良い。
【0070】
(4−6)変形例その6
上述の実施の形態では、電子機器としては、特にプリンター100について説明している。しかしながら、電子機器は、プリンター100に限られるものではなく、電子機器としては、その他の種々の機器とすることが可能である。たとえば、電子機器としては、ファックス装置、電話装置、コピー装置、パーソナルコンピューター、携帯情報端末等がある。
【符号の説明】
【0071】
10…操作パネル、20…光源、20A…青色LED、20B…赤色LED、30…スモーク調シート、40…表示フィルム(透明部材の一例に対応)、41…第1表示部、42…第2表示部、43…重なり部分、50…導光板(導光部材の一例に対応)、51…反射溝、51A…第1反射面、51B…第2反射面、53…凹部、54…窪み部、60…静電容量センサー(入力検出手段の一例に対応)、70…制御部(制御部の一例に対応)、71…光源制御部、72…機器制御部、100…プリンター、110…印刷機構



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の波長領域の光および第2の波長領域の光を出射可能な光源と、
前記第1の波長領域の光を透過させつつ前記第2の波長領域の光をカットする着色がなされている第1表示部、および前記第2の波長領域の光を透過させつつ前記第1の波長領域の光をカットする着色がなされている第2表示部とを有する透明部材と、
前記透明部材の一方の面側に配置されると共に、前記透明部材の他方の面側からの入力を検出する入力検出手段と、
前記入力検出手段からの検出信号に基づいて、前記光源を制御する制御手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記第1の波長領域の光および前記第2の波長領域の光のうち既に点灯している一方側の光の出射を停止して、その一方側の光とは異なる他方側の光を出射させるように前記光源を制御して、操作パネルが組み込まれる電子機器において次に前記検出信号が検知された場合に実行される異なる機能に関しての表示を行う、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項2】
請求項1記載の操作パネルであって、
前記透明部材には、前記第1表示部と前記第2表示部とが重なる重なり部分が設けられていて、この重なり部分は前記第1の波長領域の光および前記第2の波長領域の光の双方を透過させることが可能である、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項3】
請求項1または2記載の操作パネルであって、
前記光源には、前記第1の波長領域の光を出射する第1光源と、前記第2の波長領域の光を出射する第2光源と、が設けられていて、
前記透明部材と前記第1光源および前記第2光源の間には、前記第1光源と前記第2光源からそれぞれ出射される光を前記透明部材に向かって導く導光部材が設けられていて、
前記導光部材のうち前記透明部材と対向する対向面とは反対側の裏面には、光を前記透明部材側に向けて反射させる複数の反射溝が設けられている、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項4】
請求項3記載の操作パネルであって、
前記第1光源は、前記導光部材のうち前記対向面および前記裏面とは対向しない一方の端面側に配置されていて、
前記第2光源は、前記導光部材のうち前記一方の端面とは対向する他方の端面側に配置されていて、
前記反射溝によって、前記透明部材には、前記第1光源と対峙して前記第1光源から出射される第1の波長領域の光を前記透明部材に向けて反射させる第1反射面と、前記第2光源と対峙して前記第2光源から出射される第2の波長領域の光を前記透明部材に向けて反射させる第2反射面と、が設けられていて、
複数の前記第1反射面のうち、前記第2光源側に位置する前記第1反射面の方が前記第1光源に位置する前記第1反射面よりも、前記裏面と直交する直交方向に近づくように設けられていて、
複数の前記第2反射面のうち、前記第1光源側に位置する前記第2反射面の方が前記第1光源に位置する前記第2反射面よりも、前記裏面と直交する直交方向に近づくように設けられている、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項5】
請求項3または4記載の操作パネルであって、
前記反射溝または前記裏面に対向する別部材には、前記透明部材に向けて光を反射させるための白色塗装部が設けられている、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項6】
請求項1または2記載の操作パネルであって、
前記光源はパネル状の表示装置であり、前記入力検出手段はパネル状の位置入力装置であり、前記表示装置と前記位置入力装置によってタッチパネルが構成される、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の操作パネルであって、
前記制御手段は、前記電子機器のいずれかの要素から出力される制御信号に基づいて、前記光源の発光強度を変化させる、
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の操作パネルを用いたことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−198768(P2012−198768A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62569(P2011−62569)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】