説明

操作ユニットの位置合わせ構造

【課題】操作ユニット1を、固定ブラケット4と、ストッパ3を備えたアジャストブラケット2により固定する位置合わせ構造において、当該位置合わせを容易とし、顧客の操作ユニット1への押圧力によりストッパ3の位置がずれないようにする。
【解決手段】アジャストブラケット2に斜めの角孔6を設け、当該角孔6に沿って固定ネジ5の留め位置を調整して固定できるようにした。或いは、階段形状の角孔16を設け、当該角孔16に沿って固定ネジ5の留め位置を調整して固定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機(以下、「ATM」という)等の自動取引装置における操作ユニットの位置合わせ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATMにおける顧客操作用の操作ユニットは、表示ユニットとタッチパネルからなり、当該タッチパネルの検出精度をよくするためにはタッチパネルと表示ユニットを隙間なく配置し、フロントカバーと干渉することなく装置本体に位置調整して固定する必要がある。この位置調整に関する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、顧客によるタッチパネル押下時の反力を得るために、さらに、操作ユニットの裏側をストッパにより押圧しておくことが好ましい。
【0004】
従来、この位置合わせ構造は図4に示すような構成であった。すなわち、矢印A方向からの顧客の押圧に対する反力を得るために、操作ユニット101の裏側に、アジャストブラケット102およびこれに取り付けられたストッパ103a、103bが配置されている。
【0005】
そして、アジャストブラケット102は、角孔106a、106bに取り付けられた固定ネジ105a、105bにて固定ブラケット104に固定できる構成となっている。
【0006】
そして、操作ユニット101とストッパ103a、103bとの位置を合わせるために、アジャストブラケット2に設けられた角孔106a、106bに沿って矢印B方向に固定ネジ105a、105bの留め位置を調整し固定ブラケット104に固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−230567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の操作ユニットの位置合わせ構造では、顧客の押圧力に対する保持力は、アジャストブラケット102の位置決めを行う固定ネジ105による固定ブラケット104との締め付け力による保持力のみであるため、この締め付け力以上の外力が操作ユニット101に作用すると、操作ユニット101とストッパ103との位置合わせがずれてしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、固定ブラケットとストッパを備えたアジャストブラケットにより操作ユニットを固定する位置合わせ構造において、前記アジャストブラケットに斜めの角孔を設け、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整して固定できるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の操作ユニットの位置合わせ構造によれば、固定ブラケットとストッパを備えたアジャストブラケットにより操作ユニットを固定する位置合わせ構造において、前記アジャストブラケットに斜めの角孔を設け、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整して固定できるようにしたので、固定ネジの締め付けによって固定すべき力が少なくてすみ、位置合わせを保持する耐力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の操作ユニット位置合わせ構造の構成図である。
【図2】実施例2の操作ユニット位置合わせ構造の構成図である。
【図3】実施例3の操作ユニット位置合わせ構造の構成図である。
【図4】従来の操作ユニット位置合わせ構造の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0013】
(構成)
図1は、実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造の構成を示す図であり、図1(a)は実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造の上面図を示し、(b)は側面図を示している。
【0014】
同図に示したように、実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造は、矢印A方向からの顧客の押圧に対する反力を得るために、操作ユニット1の裏側に、アジャストブラケット2およびこれに取り付けられたストッパ3a、3bが配置されている。
【0015】
そして、アジャストブラケット2には、斜めに設けられた角孔6a、6bが設けられ、当該角孔6a、6bに取り付けられた固定ネジ5a、5bにて固定ブラケット4に固定できる構成となっている。
【0016】
(作用)
以上の構成による実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造は以下のように作用する。この作用を、図1を用いて説明する。
【0017】
実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造では、アジャストブラケット2に取り付けられたストッパ3を操作ユニット1と若干隙間を設けて固定ネジ5にて仮止めして組み立てを行った後、アジャストブラケット2に設けられた斜めの角孔6に沿わせて固定ネジ5の留め位置を矢印C方向に調整してストッパ3を操作ユニット1に突き当て、固定ネジ5を締めて固定される。
【0018】
すると、図1(c)に示したように、矢印Aのような顧客の押圧力Fにより固定ネジ5a、5bにはそれぞれFa、Fbの力が発生するが、角孔6が斜めになっているので、それぞれさらに面と並行の力と面に垂直の力、すなわちFxaとFya、FxbとFybに分散し、固定ネジ5a、5bと角孔6との当接によりFya、Fybの垂直抗力は打ち消され、Fxa、Fxbのみを固定ネジ5により保持するだけでよいので、従来の操作ユニットの位置合わせ構造に比し、固定ネジ5による固定位置を保持する耐力が大きくなる。
【0019】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の操作ユニットの位置合わせ構造によれば、固定ブラケットとストッパを備えたアジャストブラケットにより操作ユニットを固定する位置合わせ構造において、前記アジャストブラケットに斜めの角孔を設け、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整して固定できるようにしたので、固定ネジの締め付けによって固定すべき力が少なくてすみ、位置合わせを保持する耐力を大きくすることができる。
【実施例2】
【0020】
(構成)
図2は、実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造の構成を示す図である。なお、実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造の側面図は、実施例1にて用いた図1(b)と同様であるので、簡略化のためにその説明を省略している。
【0021】
同図に示したように、実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造は、矢印A方向からの顧客の押圧に対する反力を得るために、操作ユニット1の裏側に、アジャストブラケット2およびこれに取り付けられたストッパ3a、3bが配置されている。
【0022】
そして、アジャストブラケット2には、階段形状の角孔16a、16bが設けられ、当該角孔16a、16bに取り付けられた固定ネジ5a、5bにて固定ブラケット4に固定できる構成となっている。
【0023】
(作用)
以上の構成による実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造は以下のように作用する。以下、図2を用いて説明する。
【0024】
実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造では、アジャストブラケット2に取り付けられたストッパ3を操作ユニット1と若干隙間を設けて固定ネジ5にて仮止めして組み立てを行った後、アジャストブラケット2に設けられた階段形状の角孔16に沿わせて固定ネジ5の留め位置を矢印D方向に調整してストッパ3を操作ユニット1に突き当て、固定ネジ5を締めて固定される。
【0025】
すると、矢印Aのような顧客の押圧力Fにより固定ネジ5a、5bにはそれぞれFa、Fbの力が発生するが、角孔6が階段形状になっているので、外力Fa、Fbは角孔16の階段上になった面に垂直に作用するために固定ネジ5自体が停止部材として働き、固定ネジ5にて固定した位置を確実に保持することができる。
【0026】
なお、階段形状は、固定ネジの大きさに合わせるのがよく、固定ネジのネジ部の径が1つの段差の長さ程度となるようにするのがよい。
【0027】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように実施例2の操作ユニットの位置合わせ構造によれば、アジャストブラケットに階段形状の角孔を設け、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整し固定できるようにしたので、さらに位置合わせを保持する耐力を大きくすることができる。
【実施例3】
【0028】
(構成)
図3は、実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造の構成を示す図である。なお、実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造の側面図は、実施例1にて用いた図1(b)と同様であるので、簡略化のためにその説明を省略している。
【0029】
同図に示したように、実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造は、矢印A方向からの顧客の押圧に対する反力を得るために、操作ユニット1の裏側に、アジャストブラケット2およびこれに取り付けられたストッパ3a、3bが配置されている。
【0030】
そして、アジャストブラケット2には、階段形状の角孔16a〜16cが設けられ、固定ブラケット4には打出し7a、7bが角孔16a、16bの位置に設けられている。また、アジャストブラケット2の角孔16cに取り付けられた固定ネジ5cにて固定ブラケット4に固定できる構成となっている。
【0031】
(作用)
以上の構成による実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造は以下のように作用する。以下、図3を用いて説明する。
【0032】
実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造では、アジャストブラケット2に取り付けられたストッパ3a、3bを操作ユニット1と若干隙間を設けて固定ネジ5cにて仮止めして組み立てを行った後、打出し7a、7bをアジャストブラケット2に設けられた階段形状の角孔16a、16bに沿わせて矢印D方向に移動させ、ストッパ3を操作ユニット1に突き当て、固定ネジ5cを締めて固定される。
【0033】
すると、矢印Aのような顧客の押圧力Fにより打出し7a、7bにはそれぞれFa、Fbの力が発生するが、角孔6が階段形状になっているので、外力Fa、Fbは角孔16の階段上になった面に垂直に作用するために打出し7a、7bが停止部材として働き、固定ネジ5には外力がかかることなく固定できる。なお、階段形状は、打出しの径が1つの段差の長さ程度となるようにするのがよい。
【0034】
以上の説明では、打出しを2個設け、固定ネジを1個とするように説明したが、打出しをさらに多くしてもよいし、固定ネジをさらに多くしてもよい。
【0035】
(実施例3の効果)
以上詳細に述べたように実施例3の操作ユニットの位置合わせ構造によれば、アジャストブラケットに階段形状の角孔を設け、固定ブラケットに打出しを設け、前記打出しを前記角孔に沿って位置調整し固定ネジにて固定できるようにしたので、固定ネジにかかる力を少なくすることができ、固定ネジの破損をも防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上述べたように、本発明は、操作ユニットの位置合わせを要する現金自動預払機等の自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 操作ユニット
2 アジャストブラケット
3、3a、3b ストッパ
4 固定ブラケット
5、5a〜5c 固定ネジ
6、6a、6b、16、16a〜16c 角孔
7、7a、7b 打出し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ブラケットとストッパを備えたアジャストブラケットにより操作ユニットを固定する位置合わせ構造において、
前記アジャストブラケットに斜めの角孔を設け、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整して固定できるようにしたことを特徴とする操作ユニットの位置合わせ構造。
【請求項2】
前記斜めの角孔は、階段形状の角孔であって、当該角孔に沿って固定ネジの留め位置を調整して固定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の操作ユニットの位置合わせ構造。
【請求項3】
前記斜めの角孔は、階段形状の角孔であって、前記固定ブラケットに打出しを設け、前記打出しを前記角孔に沿って位置調整し、固定ネジにて固定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の操作ユニットの位置合わせ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−70240(P2011−70240A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218323(P2009−218323)
【出願日】平成21年9月23日(2009.9.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】