説明

操作信号処理装置およびコンテンツ選択装置

【課題】 1つの操作キーによる長押しと短押しとによって異なる操作が実行される場合にも、ユーザの操作が煩雑にならないようにすること。
【解決手段】 ディスク再生装置10は、記録媒体に記録された複数のコンテンツの中から、第1の選択モードまたは第2の選択モードでコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、コンテンツを選択するコンテンツ選択画面を表示する表示手段と、入力される操作信号の入力形態を判断する操作信号判断手段と、操作信号に基づいて、第1の選択モードおよび第2の選択モードの優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段とを備える。操作信号の入力形態および優先順位に基づいて決定される第1選択モードまたは第2の選択モードで、コンテンツ選択手段がコンテンツを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される操作信号の入力形態に基づいて機能を実行する操作信号処理装置、および記録媒体に記録されたコンテンツを選択するコンテンツ選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MP3ファイルまたはWMAファイル等の多数のコンテンツファイルを記録したCD−R(Compact Disc−Recordable)をCDプレーヤで再生する場合、ユーザは多数のコンテンツファイルの中から所望のコンテンツファイルを選択する必要がある。所望のコンテンツファイルを選択する方法として、以下の2つの方法が提案されている。1つ目は、ディレクトを最上位のルートディレクトリから順に下位のサブディレクトリへと辿っていき、所望のコンテンツファイルを探す方法である。2つ目は、コンテンツファイルが記録されているフォルダのみが表示部に順に表示され所望のフォルダを選択した後、そのフォルダに含まれているコンテンツファイルを選択する方法である。これら2つの選択方法をともにCDプレーヤで実行するためには、CDプレーヤ本体にこれら2つの選択方法に対応する操作キーをそれぞれ設ける必要がある。しかし、CDプレーヤ本体は、デザイン面、コスト面を考慮すると、あまり多くの操作キーを設けることができない。その上、その他にも多くの機能を実行するために多数の操作キーがCDプレーヤに設けられており、操作キーの削減が求められている。以上の理由により、上記2つのコンテンツファイル選択方法を実行するための2つの操作キーをCDプレーヤ本体に設けることは実用的ではない。
【0003】
また、1つの操作キーが長押しされた場合と、短押し(通常押し)された場合とで実行される機能が異なるようにすることにより、1つの操作キーを用いて2つの機能を実行可能な装置が下記特許文献1に記載されている。しかし、ユーザが頻繁に使用する機能が操作キーの長押しによって実行される場合、ユーザはその機能を実行するたびに操作キーを長押しする必要があり、操作が非常に煩雑になるという問題を有している。ユーザが頻繁に使用する機能を予測して当該機能を操作キーの短押しに割り当てたとしても、どの機能を頻繁に使用するかはユーザの好みや使用環境によって異なるので、この問題は解決されない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−283659号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、1つの操作キーによる長押しと短押しとによって異なる機能が実行される場合にも、ユーザの操作が煩雑にならない操作信号処理装置およびコンテンツ選択装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による操作信号処理装置は、入力される操作信号の入力形態を判断する操作信号判断手段と、該操作信号に基づいて実行される複数の機能の優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段と、該操作信号の入力形態および該優先順位に基づいて、該複数の機能の中から対応する1つの機能を実行する実行手段とを備える。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記操作信号の入力形態は、該操作信号の入力継続時間が所定時間未満である第1の入力形態と、該操作信号の入力継続時間が該所定時間以上である第2の入力形態とを含む。上記優先順位設定手段は、該操作信号に基づいて実行される2つの機能のうち、優先する1つの機能を選択する。上記実行手段は、該第1の入力形態のとき、優先されている方の機能を実行し、該第2の入力形態のとき、優先されていない方の機能を実行する。
【0008】
本発明の別の好ましい実施形態による操作信号処理装置は、操作信号を出力する操作部と、該操作部の操作態様を判断する操作態様判断手段と、該操作部の操作に基づいて実行される複数の機能の優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段と、該操作部の操作態様および該優先順位に基づいて、該複数の機能の中から対応する1つの機能を実行する実行手段とを備える。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記優先順位設定手段は、ユーザの操作に基づいて前記複数の機能の優先順位を設定する。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記優先順位設定手段は、上記複数の機能のそれぞれの実行回数に基づいて、該複数の機能の優先順位を設定する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ選択装置は、記録媒体に記録された複数のコンテンツの中から、第1の選択モードまたは第2の選択モードでコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、コンテンツ選択画面を表示する表示手段と、入力される操作信号の入力形態を判断する操作信号判断手段と、該第1の選択モードおよび該第2の選択モードの優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段とを備える。該コンテンツ選択手段は、該操作信号の入力形態および該優先順位に基づいて決定される該第1選択モードまたは該第2の選択モードでコンテンツを選択する。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記操作信号の入力形態は、該操作信号の入力継続時間が所定時間未満である第1の入力形態と、該操作信号の入力継続時間が該所定時間以上である第2の入力形態とを含む。上記優先順位設定手段は、上記第1の選択モードおよび上記第2の選択モードのうち、優先する選択モードを選択する。上記コンテンツ選択手段は、該第1の入力形態のとき、優先されている方の選択モードでコンテンツを選択し、該第2の入力形態のとき、優先されていない方の選択モードでコンテンツを選択する。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記第1の選択モードは、最上位のルートディレクトリから下位のサブディレクトリまで順に前記表示手段に表示することによりコンテンツを選択するモードである。上記第2の選択モードは、コンテンツが記録されているディレクトリのみを該表示手段に表示することによりコンテンツを選択するモードである。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によるコンテンツ選択装置は、記録媒体に記録された複数のコンテンツの中から、第1の選択モードまたは第2の選択モードでコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、コンテンツ選択画面を表示する表示手段と、操作信号を出力する操作部と、該操作部の操作態様を判断する操作態様判断手段と、該第1の選択モードおよび該第2の選択モードの優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段とを備える。該コンテンツ選択手段は、該操作部の操作態様および該優先順位に基づいて決定される該第1選択モードまたは該第2の選択モードでコンテンツを選択する。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記優先順位設定手段は、ユーザの操作に基づいて、上記第1の選択モードと前記第2の選択モードとの優先順位を設定する。
【発明の効果】
【0016】
複数の機能の中から、操作信号の入力形態(操作部の操作態様)と、機能の優先順位とによって決定される1つの機能が選択されて実行される。この優先順位が切り換え可能に設定されるので、ユーザ毎に、使用頻度の高い機能の優先順位を高く設定することにより、使用頻度の高い機能を、操作信号の入力形態(操作部の操作態様)のうち、最も操作部の操作が簡単なものに割り当てることができる。その結果、1つの操作部で複数の機能を実行する場合でも、ユーザの操作を非常に簡素化することができる。
【0017】
具体的には、コンテンツを選択する際の第1の選択モードと、第2の選択モードとを、操作信号の入力継続時間が所定時間未満(操作部の短押し)の場合と、所定時間以上(操作部に長押し)の場合とに割り当てることができる。この場合、ユーザは、両選択モードのうち頻繁に使用する方を優先させるように優先順位を設定することにより、頻繁に使用する選択モードを、操作部の短押しによって実行できるように設定することができる。従って、1つの操作部の操作態様を変化させることによって複数の選択モードを選択的に実行する場合でも、ユーザの操作を非常に簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態による操作信号処理装置およびコンテンツ選択装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0019】
操作信号処理装置は、操作信号の複数の入力形態(すなわち、後述する操作部の複数の操作態様)に基づいて、複数の機能の中から対応する1つの機能を選択して実行する。操作信号の入力形態(操作部の操作態様、具体的には、押し込み態様)は、操作信号の入力継続時間が所定時間未満である状態(操作部の短押し)、および、操作信号の入力継続時間が所定時間以上である状態(操作部の長押し)のことをいう。または、入力形態(操作態様)は、操作信号が入力される回数(1回または複数回)(操作部が押し込まれる回数)であってもよい。
【0020】
操作信号処理装置は、複数の機能(第1の機能、第2の機能)の優先順位を切り換え可能に設定することができる。つまり、第1の機能、第2の機能のどちらを優先させるかをユーザの操作によって選択する(切り換える)ことができる。操作信号の入力継続時間が所定時間未満(操作部の短押し)の場合には、優先されている機能が実行され、操作信号の入力継続時間が所定時間以上(操作部の長押し)の場合には、優先されていない機能が実行される。
【0021】
コンテンツ選択装置は、記録媒体に記録されている複数のコンテンツファイルの中から1または複数のコンテンツファイルを選択するものであり、後述する2つの選択モードを有する。これらの2つの選択モードが操作信号処理装置を使用することで、操作信号の複数の入力形態(操作部の複数の操作態様)によって選択的に実行される。
【0022】
以下、操作信号処理装置およびコンテンツ選択装置について、これらが適用されるディスク再生装置(例えば、CDプレーヤ)10を例に具体的に説明する。
【0023】
図1は、ディスク再生装置10において再生されるディスク(CD−R)のデータ構造を示す概略図である。当該ディスクは、リードインエリア、データエリアおよびリードアウトエリアを内周側から順に含む。リードインエリアは、セッションの開始を示す領域であり、データエリアに含まれるトラックのトラック情報、データエリアの長さ(時間)を含むTOC(Table Of Contents)情報を記録する。データエリアは、コンテンンツファイル(例えば、音楽ファイル、映像ファイルまたは画像ファイル)およびコンテンツファイルのファイル名を記録する領域である。リードアウトエリアは、セッションの終了を示す領域である。
【0024】
コンテンツファイルおよびそのファイル名は階層化ディレクトリ構造によってデータエリアに記録されている。階層化ディレクトリ構造は、最上位のディレクトリであるルートディレクトリRD、ルートディレクトリRDの下位に作成される複数のサブディレクトリSD1〜SD5で構成される。図1では、サブディレクトリSD1は、さらに下位のサブディレクトリSD4、SD5を含み、サブディレクトリSD4はコンテンツファイルA〜Cを、サブディレクトリSD5はコンテンツファイルD〜Fをそれぞれ含む。コンテンツファイルのファイル名は、直前の(すぐ上の階層の)サブディレクトリに記録されている。サブディレクトリのディレクトリ名は、直前の(すぐ上の階層の)サブディレクトまたはルートディレクトリに記録されている。
【0025】
図2は、ディスク再生装置10の構成を示す概略ブロック図である。ディスク再生装置10は、システム制御部11、表示部12、操作部13、再生動作駆動部14、信号処理回路15、およびD/A変換器16を備える。
【0026】
システム制御部11は、ディスク再生装置10の各部にコマンドを出力して各部を制御するものであり、CPU11a、ROM11bおよびRAM11cを含む。
【0027】
CPU11aは、操作部13から入力される操作信号に基づいてROM11bに格納されている各種プログラムを読み出し、RAM11cのワークメモリに展開して当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0028】
CPU11aは、操作部13から入力される操作信号の入力形態に基づいて、複数の機能を選択的に実行する。言い換えると、CPU11aは、操作部13の操作態様に基づいて、複数の機能を選択的に実行する。すなわち、同一の操作信号が入力されても(同一の操作部13が操作されても)、操作信号の入力形態(操作部13の操作態様)によって、CPU11aが異なる機能を実行する。例えば、入力形態は、操作信号が入力されてから所定時間未満に操作信号の入力が終了する状態(操作部13の短押し)と、操作信号が入力されてから所定時間以上、操作信号の入力が継続する状態(操作部13の長押し)である。CPU11aは、操作信号が入力されると、タイマカウントを開始し、操作信号の入力が所定時間以上継続しているか否かを判断し、実行する機能を決定する。なお、操作信号は、例えば、操作部13が押し込まれた際に、CPU11aに入力される電圧の電圧値が変化することをいう。また、操作信号は、外部から入力されるリモートコントロール信号(一定のパルス信号)でもよい。
【0029】
実行される機能としては、記録媒体に記録された複数のコンテンツファイルの中から、1または複数のコンテンツファイルを選択する第1の選択モードまたは第2の選択モードへの遷移(CPU11aの動作状態の移行)が挙げられる。第1の選択モードは、ディレクトを最上位のルートディレクトリRDから順にサブディレクトリSDへと辿っていき、所望のコンテンツファイルを選択するモード(以下、NAVI(ナビ)モードと呼ぶ)である。第2の選択モードは、コンテンツファイルが記録されているフォルダのみが表示部12に順に表示されて所望のフォルダを選択した後、そのフォルダに含まれているコンテンツファイルを選択するモード(以下、フォルダモードと呼ぶ)である。
【0030】
図3は、図1のディレクトリ構造の場合に、NAVIモードでコンテンツファイルを選択する際の、表示部12の表示画面の移り変わりを説明する図である。NAVIモードが選択されると、表示部12には(a)のようにルートディレクトリRDが表示される。この状態で決定信号が入力されると、(b)に移り、表示部12にサブディレクトリSD1(またはディレクトリ名、以下同様)、SD2、SD3が選択信号によって選択的に(順番に)表示される。サブディレクトリSD1が表示されている状態で、決定信号が入力されると、(c)に移り、さらに下位のサブディレクトリSD4、SD5が選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD4が表示されている状態で決定信号が入力されると、(d)に移り、コンテンツファイルA〜Cが選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD5が表示されている状態で決定信号が入力されると、(e)に移り、コンテンツファイルD〜Fが選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD2が表示されている状態で決定信号が入力されると、(f)に移り、コンテンツファイルG〜Iが選択信号によって選択的に表示される。コンテンツファイルA〜Iが表示されている状態で決定信号が入力されると、表示されているコンテンツファイルが選択され、当該コンテンツファイルが再生される。
【0031】
図4は、図1のディレクトリ構造の場合に、フォルダモードでコンテンツファイルを選択する際の、表示部12の表示画面の移り変わりを説明する図である。フォルダモードが選択されると、表示部12には、(a)のように、コンテンツファイルが記録されているサブディレクトリSD4(またはディレクトリ名、以下同様)、SD5、SD2が選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD4が表示されている状態で決定信号が入力されると、(b)に移り、コンテンツファイルA〜Cが選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD5が表示されている状態で決定信号が入力されると、(c)に移り、コンテンツファイルD〜Fが選択信号によって選択的に表示される。サブディレクトリSD2が表示されている状態で決定信号が入力されると、(d)に移り、コンテンツファイルG〜Iが選択信号によって選択的に表示される。コンテンツファイルA〜Iが表示されている状態で決定信号が入力されると、表示されているコンテンツファイルが選択され、当該コンテンツファイルが再生される。
【0032】
CPU11aは、操作信号が入力されると、操作信号の入力形態と、選択モードの優先順位とに基づいて、どちらの選択モードに遷移するかを判断する。優先順位は、操作信号の入力が所定時間未満で終了する(操作部13の短押しの)場合に、NAVIモードとフォルダモードとのうち、どちらの選択モードに遷移するかを表すものであり、ユーザによって設定可能である。つまり、NAVIモードが優先されている場合、操作部13の短押しによってNAVIモードに遷移し、長押しによってフォルダモードに遷移する。逆に、フォルダモードが優先されている場合、操作部13の短押しによってフォルダモードに遷移し、長押しによってNAVIモードに遷移する。
【0033】
RAM11cには下記表1に示す優先順位フラグが記憶されている。例えば、優先順位フラグが1にセットされることにより、NAVIモードが優先され、優先順位フラグが0にリセットされることにより、フォルダモードが優先される。
【表1】

【0034】
ROM11bにはディスク再生装置10の動作プログラム等が記憶されている。ROM11bは、磁気的、光学的記録媒体、または半導体等の不揮発性メモリで構成されている。
【0035】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、コンテンツファイルの選択画面(図3、図4)を表示する。つまり、表示部12aは、CPU11aから入力されるコマンドおよび文字情報に基づいて、コンテンツファイルのファイル名および/またはディレクトリ名を表示する。
【0036】
操作部13は、コンテンツ選択キー、再生キー、テンキー、SKIP UP/DOWNキー、停止キー、EJECTキー等の各種機能キーを備え、キー操作による操作信号をシステム制御部11へ出力する。コンテンツ選択キーは、回転および押し込み可能なキーであり、回転操作によって選択信号を、押し込み操作によって決定信号をシステム制御部11に出力する。また、コンテンツ選択キーの短押しまたは長押しによって、NAVIモードに遷移するか、フォルダモードに遷移するかが決定される。また、操作部13は、リモートコントロールによる操作信号をシステム制御部11へ出力するようにしてもよい。
【0037】
再生動作駆動部14は、サブディレクトリに記録されたファイル名を読み出して、システム制御部11に出力する。再生動作駆動部14は、また、サブディレクトリに記録されたコンテンツファイルを読み出して、信号処理回路15に出力する。再生動作駆動部14は、光ピックアップ14a、サーボ回路14bを含む。再生動作駆動部14は、システム制御部11から入力されるコマンドにより、ディスク上の目的アドレスを検索し、該アドレスに対応するデータを再生する。光ピックアップ14aは、サーボ回路14bにより制御されたスレッドにより、ディスクの半径方向に移動し、ディスクにレーザ光を照射して、その反射光を電気信号に変換することでディスクに記録されているデータを読み取る。
【0038】
信号処理回路15は、DSP(Digital Signal Processor)等により構成され、光ピックアップ14aにより読み取られたコンテンツファイルのデータにデコード処理を実行する。具体的には、CPU11aによりセッション毎のコンテンツファイルに応じたデコード方式(EFMデコード/AACデコード/MP3デコード等)が設定されており、そのデコード方式のデコード処理が実行される。
【0039】
D/A変換器16は、信号処理回路15で処理されたコンテンツデータをアナログ信号に変換する。D/A変換器16の出力は、図示しない音声出力端子を介して、外部に接続されたアンプ装置およびスピーカに供給され、音声として再生される。
【0040】
以上の構成を有するディスク再生装置10について、コンテンツファイルの選択動作を、図5〜図7を参照して説明する。
【0041】
まず、図5を参照して、NAVIモードとフォルダモードとの優先順位をユーザの操作に基づいて選択する動作を説明する。CPU11aは、優先順位を設定開始するための操作信号が入力されたか否かを判断する(S1)。操作部13から優先順位を設定開始するための操作信号がシステム制御部11に入力されると(S1:YES)、CPU11aは、優先順位を設定するための設定画面を表示部12に表示させる。
【0042】
具体的には、表示部12には、図6に示すように、NAVIモードとフォルダモードとが選択信号によって選択的に表示されるので、所望の選択モードが表示部12に表示された状態で、ユーザの操作によって、決定信号がシステム制御部11に入力される。
【0043】
NAVIモードが表示された状態で決定信号が入力された場合、CPU11aは、NAVIモードが優先されると判断し(S2:YES)、優先順位をNAVIモードに設定する(S3)。つまり、RAM11c内の優先順位フラグを1にセットする。一方、フォルダモードが表示された状態で決定信号が入力された場合、CPU11aは、フォルダモードが優先されると判断し(S2:NO)、優先順位をフォルダモードに設定する。つまり、RAM11c内の優先順位フラグを0にリセットする。
【0044】
次に、図7を参照して、コンテンツファイルの選択動作を説明する。CPU11aは、操作信号が入力されたか否かを判断する(S5)。コンテンツ選択キーがユーザによって押し込まれると、操作部13から操作信号がシステム制御部11に出力される。このとき、CPU11aは、操作信号が入力されたと判断し(S5:YES)、RAM11c内のタイマカウントを開始する(S6)。
【0045】
次に、CPU11aは、RAM11c内の優先順位フラグを確認して、NAVIモードが優先されている(優先順位フラグが1である)か否かを判断する(S7)。NAVIモードが優先されている(優先順位フラグが1である)場合(S7:YES)、CPU11aは、選択モードとしてNAVIモードに遷移する(S8)。すなわち、CPU11aは、表示部12に、図3に示す選択画面を表示させることによって、ユーザにコンテンツファイルを選択させる。
【0046】
一方、フォルダモードが優先されている(優先順位フラグが0である)場合(S7:NO)、CPU11aは選択モードとして、フォルダモードに遷移する(S9)。すなわち、CPU11aは、表示部12に、図4に示す選択画面を表示させることによって、ユーザにコンテンツファイルを選択させる。
【0047】
次に、CPU11aは、操作信号が入力され続けているかを判断する(S10)。コンテンツ選択キーが押し続けられた場合、操作信号が入力され続けるので(S10:YES)、CPU11aは、RAM11c内のタイマカウントをカウントアップし(S11)、タイマによる計時時間が所定時間に達したか否かを判断する(S12)。なお、所定時間は、コンテンツ選択キーの長押しと判断される時間であり、例えば2秒である。すなわち、操作信号が入力され続けた場合、S12でタイマの計時時間が所定時間に達するまで、S10〜S12の処理を繰り返す。
【0048】
S12で、タイマの計時時間が所定時間に達すると、CPU11aは、操作信号が所定時間以上継続して入力された(コンテンツ選択キーが長押しされた)と判断し、S13に進み、S8、S9で遷移した選択モードと異なる選択モードに遷移する。つまり、CPU11aは、RAM11c内の優先順位フラグを確認して、NAVIモードが優先されている(優先順位フラグが1である)か否かを再び判断する(S13)。NAVIモードが優先されている(優先順位フラグが1である)場合(S13:YES)、CPU11aは、選択モードとしてフォルダモードに遷移する(S14)。すなわち、CPU11aは、表示部12に、図4に示す選択画面を表示させることによって、ユーザにコンテンツファイルを選択させる。
【0049】
一方、フォルダモードが優先されている(優先順位フラグが0である)場合(S13:NO)、CPU11aは、選択モードとしてNAVIモードに遷移する(S15)。すなわち、CPU11aは、表示部12に、図3に示す選択画面を表示させることによって、ユーザにコンテンツファイルを選択させる。
【0050】
一方、S12でタイマの計時時間が所定時間に達する前に、S10で操作信号が入力されていないと判断されると、CPU11aは、操作信号の入力が所定時間未満に終了した(コンテンツ選択キーが短押しされた)と判断し、S8またはS9で遷移した選択モードのまま処理を終了する。
【0051】
以上の処理により、NAVIモードが優先されている場合には、コンテンツ選択キーが短押しされたときNAVIモードに遷移し、長押しされたときフォルダモードに遷移する。フォルダモードが優先されている場合には、コンテンツ選択キーが短押しされたときフォルダモードに遷移し、長押しされたときNAVIモードに遷移する。従って、ユーザは使用頻度の高い(好みの)選択モードを優先するように優先順位を設定することにより、使用頻度の高い選択モードをコンテンツ選択キーの短押しで実行できるようになり、キー操作を非常に簡素化できる。
【0052】
なお、NAVIモードおよびフォルダモードのうち、ユーザの使用回数が多い方が自動的に優先されるようにすることができる。図8は、この処理を説明するフローチャートであり、図7と同一処理には同一符号を付し、説明を省略する。この処理においては、図5の優先順位の設定処理が不要である。
【0053】
RAM11cには、優先順位フラグの代わりに、下記表2のような、NAVIモードおよびフォルダモードに最終的に遷移した回数を示すカウンタを記憶している。つまり、本例では、最終的に遷移した回数の多い選択モードが自動的に優先される。ここで、最終的に遷移した回数とは、コンテンツ選択キーが長押しされてS15またはS16で選択モードが決定した場合に、S8またはS9で一旦遷移した選択モードは回数にカウントしないという意味である。また、特に限定されないが、最初の状態ではNAVIモード回数が1、フォルダモードの回数が0に設定されており、1回遷移する毎に回数を2ずつ加算していくことにより、NAVIモードの回数と、フォルダモードの回数が同数にならないようにすることができる。
【表2】

【0054】
CPU11aは、S17において、表2のカウンタを参照して、NAVIモードの方がフォルダモードより遷移回数が多いかを判断する。NAVIモードの方が遷移回数が多い場合(S17:YES)、CPU11aはNAVIモードに遷移し、フォルダモードの方が遷移回数が多い場合(S17:NO)、CPU11aはフォルダモードに遷移する。
【0055】
同様に、CPU11aは、S23において、表2のカウンタを参照して、NAVIモードの方がフォルダモードより遷移回数が多いかを判断する。NAVIモードの方が遷移回数が多い場合(S23:YES)、CPU11aはフォルダモードに遷移し、フォルダモードの方が遷移回数が多い場合(S23:NO)、CPU11aはNAVIモードに遷移する。
【0056】
そして、S30において、表2のカウンタにおいて、最終的に遷移した方の選択モードの回数を2増加させて処理を終了する。
【0057】
以上の処理によって、優先する選択モードをユーザが設定する必要がなく、自動的にユーザが頻繁に使用する選択モードを、コンテンツ選択キーの短押しによって実行できるようにすることができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。操作信号の入力形態は、操作信号が入力される時間に限らず、操作信号が入力される回数であってもよい。この場合、ユーザの操作は、コンテンツ選択キーを押した回数(キーを1回押したか、2回押したか)に対応する。また、操作信号の入力形態に基づいて実行される機能は2つに限らず、例えば、3つであってもよい。つまり、操作信号の入力が、第1の所定時間継続しない場合、第1の所定時間以上継続した場合、第2の所定時間(第1の所定時間より長い)以上継続した場合に、それぞれ異なる機能が実行されてもよい。この場合、これらの機能の優先順位(第1位〜第3位)がRAM11cに設定される。また、操作部13が押し込みおよび回転が可能な場合に、押し込みおよび回転の優先順位を変更して、それぞれに割り当てられる機能を交換するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、コンテンツを選択する必要がある任意のディスク再生装置に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置10で再生されるディスクのデータ構造を示す図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置10を示すブロック図である。
【図3】NAVIモードに選択画面の移り変わりを説明する図である。
【図4】フォルダモードに選択画面の移り変わりを説明する図である。
【図5】優先順位を選択する動作を示すフローチャートである。
【図6】優先順位を選択する選択画面の移り変わりを説明する図である。
【図7】選択モードに遷移する動作を示すフローチャートである。
【図8】選択モードに遷移する他の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 ディスク再生装置、操作信号処理装置、コンテンツ選択装置
11 システム制御部
12 表示部
14 再生動作駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される操作信号の入力形態を判断する操作信号判断手段と、
該操作信号に基づいて実行される複数の機能の優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、
該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段と、
該操作信号の入力形態および該優先順位に基づいて、該複数の機能の中から対応する1つの機能を実行する実行手段とを備える、操作信号処理装置。
【請求項2】
前記操作信号の入力形態が、該操作信号の入力継続時間が所定時間未満である第1の入力形態と、該操作信号の入力継続時間が該所定時間以上である第2の入力形態とを含み、
前記優先順位設定手段が、該操作信号に基づいて実行される2つの機能のうち、優先する1つの機能を選択し、
前記実行手段が、該第1の入力形態のとき、優先されている方の機能を実行し、該第2の入力形態のとき、優先されていない方の機能を実行する、請求項1に記載の操作信号処理装置。
【請求項3】
操作信号を出力する操作部と、
該操作部の操作態様を判断する操作態様判断手段と、
該操作部の操作に基づいて実行される複数の機能の優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、
該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段と、
該操作部の操作態様および該優先順位に基づいて、該複数の機能の中から対応する1つの機能を実行する実行手段とを備える、操作信号処理装置。
【請求項4】
前記優先順位設定手段が、ユーザの操作に基づいて前記複数の機能の優先順位を設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の操作信号処理装置。
【請求項5】
前記優先順位設定手段が、前記複数の機能のそれぞれの実行回数に基づいて、該複数の機能の優先順位を設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の操作信号処理装置。
【請求項6】
記録媒体に記録された複数のコンテンツの中から、第1の選択モードまたは第2の選択モードでコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、
コンテンツ選択画面を表示する表示手段と、
入力される操作信号の入力形態を判断する操作信号判断手段と、
該第1の選択モードおよび該第2の選択モードの優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、
該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段とを備え、
該コンテンツ選択手段が、該操作信号の入力形態および該優先順位に基づいて決定される該第1選択モードまたは該第2の選択モードでコンテンツを選択する、コンテンツ選択装置。
【請求項7】
前記操作信号の入力形態が、該操作信号の入力継続時間が所定時間未満である第1の入力形態と、該操作信号の入力継続時間が該所定時間以上である第2の入力形態とを含み、
前記優先順位設定手段が、前記第1の選択モードおよび前記第2の選択モードのうち、優先する選択モードを選択し、
前記コンテンツ選択手段が、該第1の入力形態のとき、優先されている方の選択モードでコンテンツを選択し、該第2の入力形態のとき、優先されていない方の選択モードでコンテンツを選択する、請求項6に記載のコンテンツ選択装置。
【請求項8】
前記第1の選択モードが、最上位のルートディレクトリから下位のサブディレクトリまで順に前記表示手段に表示することによりコンテンツを選択するモードであり、
前記第2の選択モードが、コンテンツが記録されているディレクトリのみを該表示手段に表示することによりコンテンツを選択するモードである、請求項6または7に記載のコンテンツ選択装置。
【請求項9】
記録媒体に記録された複数のコンテンツの中から、第1の選択モードまたは第2の選択モードでコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、
コンテンツ選択画面を表示する表示手段と、
操作信号を出力する操作部と、
該操作部の操作態様を判断する操作態様判断手段と、
該第1の選択モードおよび該第2の選択モードの優先順位を切り換え可能に設定する優先順位設定手段と、
該優先順位設定手段によって設定された優先順位を判断する優先順位判断手段とを備え、
該コンテンツ選択手段が、該操作部の操作態様および該優先順位に基づいて決定される該第1選択モードまたは該第2の選択モードでコンテンツを選択する、コンテンツ選択装置。
【請求項10】
前記優先順位設定手段が、ユーザの操作に基づいて、前記第1の選択モードと前記第2の選択モードとの優先順位を設定する、請求項6〜9のいずれかに記載のコンテンツ選択装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−48391(P2007−48391A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232653(P2005−232653)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】