説明

操作画面入力装置及び操作画面入力方法

【課題】GUIメニューに多数のオブジェクトを設けると操作性が悪くなる。
【解決手段】タッチパネル部のセンス領域を操作用ブロックに分割する。そして、GUIメニュー上の所望のオブジェクトを挟むようにして2箇所を指定すると、これらの座標に基づき絞込検索範囲を決定する(S301、S303,S304)。次に、絞込検索範囲を検索用ブロックに分割して操作用ブロックに配列上の位置を対応させてそれぞれ関連づける(S305−S307)。そして、タッチパネル部の入力を受け付け(S309)、その指定座標が含まれる操作用ブロックに関連づけられた検索用ブロックを検出する(S311、S312)。次に、その検索用ブロックの領域が全て含まれるオブジェクトをオブジェクト属性情報格納部から検索し(S313)、オブジェクトが抽出されなかった場合には、検索用ブロックを新たな絞込検索範囲として再度絞込処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作画面入力装置及び操作画面入力方法に係り、特にタッチセンサを入力装置として用いた場合の、操作画面入力装置及び操作画面入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置のような車載用機器、ゲーム機器のような携帯端末、ビデオカメラ装置やオーディオ装置のような映像音響機器、計測装置等の産業用機器等には、機器本来の機能である画像やテキスト等の情報を表示したり、機器の状態を表示したりするための表示部が設けられていることが多い。このような機器には、操作者が操作入力するためのタッチパネルを表示部に設けるとともに、操作ボタン等を配したメニューを表示部に表示し、指やタッチペンにより所望の操作ボタンに触れさせることによって、その操作に応じた機器動作を行なわせることが広く行なわれている。
【0003】
上記のような各種機器に用いられるタッチパネルのセンス領域の大きさは、機器自体の寸法の制約等により対角上2−6インチ程度のものが多い。この程度の大きさのタッチパネルを設けた表示部に、数多くの操作ボタンを配したメニューを表示しようとすると、操作ボタン自体の大きさを小さく表示せざるを得ず、指やタッチペンによる選択操作には慎重さが要求されることとなる。
【0004】
そこで、小さな画面に多数の操作ボタンを表示した場合でも、正確な入力を可能にしながら操作性を向上させることのできるタッチパネル制御装置及びタッチパネル制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、階層化メニューやポップアップメニューを用いて一画面に同時に表示させる操作ボタンの数を制限し、選択操作に要する面積が小さくならないようにすることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2008−77272号公報
【特許文献2】特開2004−114801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のタッチパネル制御装置及びタッチパネル制御方法では、操作者の指が触れたタッチパネル上の指接触部の周辺にある操作ボタンを拡大再配列して表示させるためにメニュー全体が書き変わることとなり、操作者が操作すべき所望の操作ボタンを見失うおそれが生じる。特に、タッチパネル制御装置を適用した装置が車載用機器であって、自動車の運転手がその機器を操作する場合等、メニュー画面を注視し難い状況にある場合に顕著となる。
【0008】
また、特許文献2記載の車載用装置のようなポップアップメニューや階層化メニューを用いた場合でも、メニュー画面が書き変わることになり、操作者は指定操作に従った画面遷移を認識して追わなければならないため、操作者が次に操作すべき操作ボタンを操作するまでの負担が大きい。この場合も、メニュー画面を注視し難い状況の場合に問題が大きくなる。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、メニューに多数の操作ボタンを配して表示した場合でも、操作すべき操作ボタンを見失うおそれを軽減しつつ操作負担の軽い、操作画面入力装置及び操作画面入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下[1],[2]の手段を提供するものである。
[1] 表示手段と、
センス領域を前記表示手段の表示面に対応させ、前記センス領域内の1箇所又は2箇所の指定に応じて、指定位置に対応した座標を出力するタッチセンサ手段と、
複数のオブジェクトが配置されたGUI操作画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記複数のオブジェクトそれぞれについての配置位置及び大きさに関するオブジェクト属性情報を格納する属性情報格納手段と、
前記GUI操作画面における所望のオブジェクトを挟むようにして前記センス領域内の2箇所が指定された場合に、前記タッチセンサ手段から出力される前記2箇所の指定位置に対応した座標に基づいて絞込検索範囲を決定する範囲決定手段と、
前記センス領域を所定数の操作用ブロックに分割する操作用ブロック分割手段と、
絞込検索範囲を前記所定数の操作用ブロックと同一配列の検索用ブロックに分割し、これら検索用ブロックを、前記所定数の操作用ブロックに、配列上の位置を対応させてそれぞれ関連づける検索用ブロック分割手段と、
前記センス領域内の1箇所が指定された場合に、前記タッチセンサ手段から出力される前記1箇所の指定位置に対応した座標が含まれる操作用ブロックに関連づけられた検索用ブロックを検出する検索用ブロック検出手段と、
前記検出された検索用ブロックの領域が全て含まれるオブジェクトを、前記属性情報格納手段に格納されたオブジェクト属性情報の検索に基づき検出する検索手段と、
前記検索手段でオブジェクトが検索されなかった場合には、前記検索用ブロックを新たな絞込検索範囲に決定して前記検索用ブロック分割手段に供給する一方、前記検索手段でオブジェクトが検索された場合には、そのオブジェクトを選択したことを示す選択イベントを外部に出力する絞込処理制御手段と、
を備えた操作画面入力装置。
[2] タッチセンサのセンス領域を所定数の操作用ブロックに分割する操作用ブロック分割ステップと、
複数のオブジェクトが配置されたGUI操作画面における所望のオブジェクトを挟むようにして前記センス領域内の2箇所が指定された場合に、前記タッチセンサから出力される前記2箇所の指定位置に対応した座標に基づいて絞込検索範囲を決定する範囲決定ステップと、
絞込検索範囲を前記所定数の操作用ブロックと同一配列の検索用ブロックに分割し、これら検索用ブロックを、前記所定数の操作用ブロックに、配列上の位置を対応させてそれぞれ関連づける検索用ブロック分割ステップと、
前記センス領域内の1箇所が指定された場合に、前記タッチセンサから出力される前記1箇所の指定位置に対応した座標が含まれる操作用ブロックに関連づけられた検索用ブロックを検出する検索用ブロック検出ステップと、
前記検出された検索用ブロックの領域が全て含まれるオブジェクトを、前記複数のオブジェクトそれぞれについての配置位置及び大きさに関するオブジェクト属性情報が格納された属性情報格納装置の検索に基づき検出する検索ステップと、
前記検索ステップにおいてオブジェクトが検索されなかった場合には、前記検索用ブロックを新たな絞込検索範囲に決定して前記検索用ブロック分割ステップに移行する一方、前記検索ステップにおいてオブジェクトが検索された場合には、そのオブジェクトを選択したことを示す選択イベントを外部に出力する絞込処理制御ステップと、
を有した操作画面入力方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、GUI操作画面に多数のオブジェクトを配置して表示した場合でも、操作すべきオブジェクトを見失うおそれがなく、且つ操作負担を軽くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、好ましい実施例を示して詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1に、本発明の実施例である操作画面入力装置を適用したカーナビゲーション装置の主要なブロック構成を示す。同図において、カーナビゲーション装置1は、アプリケーション実行部101と、描画処理部102と、メモリ部103と、表示部104と、タッチパネル部105と、オブジェクト属性情報格納部106と、オブジェクト検索部107と、絞込処理部108とを備えている。
【0014】
そして、メモリ部103は、その記憶領域がグリッド・プレーン103aとアプリケーション・プレーン103bとに区分されている。
【0015】
アプリケーション実行部101は、カーナビゲーション装置1の本来的な機能であるカーナビゲーション機能を実行するための処理部である。特に、アプリケーション実行部101は、表示部104にGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)メニュー(GUI操作画面)を表示させるために、ボタン図形やテキスト等のデータであるオブジェクトと、オブジェクトのGUIメニュー上の配置位置を示すオブジェクト座標データを含むオブジェクト描画命令コマンドとを描画処理部102に供給したり、絞込処理部108から発行されたオブジェクト選択イベントに従って、そのイベントに対応づけられたカーナビゲーション機能を実行したりする。
【0016】
また、アプリケーション実行部101は、GUIメニューに用いられる複数のオブジェクトそれぞれについて、画面上の配置位置や大きさに関する属性情報であるオブジェクト属性情報(xo,yo,Wo,Ho)をオブジェクト属性情報格納部106に供給する。オブジェクト属性情報において、(xo,yo)は画面上でのオブジェクトの左上座標値、(Wo,Ho)はオブジェクトの横方向及び縦方向それぞれのピクセル数を示す。
【0017】
表示部104は、カーナビゲーション機能に基づくグラフィックスやテキスト、GUIメニュー等を表示するための表示装置であり、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイを用いることができる。本実施例においては、画面全体のピクセル数(横サイズWs×縦サイズHs)を720×480ピクセルとする。
【0018】
タッチパネル部105は、そのセンス領域における位置の異なる2点の接点をそれぞれ検出可能なタッチセンサを適用した入力装置である。本実施例においては、タッチパネル部105は、操作者によってセンス領域の任意の1箇所又は2箇所が指で押されると、押された場所に対応する座標値(x1,y1)及び(x2,y2)を出力する。座標は、操作者がタッチパネル部105を通常使用する状態においた場合、すなわち画面上の左上を原点(0,0)とし、ステップ数を表示部104のピクセルに一致させている。本実施例における座標値の範囲は、(0,0)から(719,479)までとなる。
【0019】
タッチパネル部105は、1箇所のみが押された場合は、検出された座標値を(x1,y1)に代入し、(x2,y2)を(NULL,NULL)とする。このNULLは、数値が未入力であるという意味である。一方、タッチパネル部105は、2箇所が押された場合は、それぞれ検出された座標値を(x1,y1)及び(x2,y2)に代入する。ここで、タッチパネル部105が2箇所を押されたことを検出する場合とは、任意の1箇所が押されたまま、さらに位置の異なる1箇所が押された場合や、2箇所が同時に押された場合である。
【0020】
絞込処理部108は、タッチパネル部105から供給された座標値(x1,y1)及び(x2,y2)の内容に基づき、直接選択モードか領域絞込モードかのいずれかのモードによる動作を行う。直接選択モードとは、(x2,y2)が(NULL,NULL)である場合、すなわちタッチパネル部105のセンス領域が1箇所のみ押された場合に、アプリケーション実行部101にGUIメニューのオブジェクトを直接選択させる処理を実行させるためのモードである。絞込処理部108は、直接選択モードである場合は、押された1箇所に対応する座標値(x1,y1)を含めたオブジェクト選択イベントを生成してアプリケーション実行部101に発行する。
【0021】
一方、領域絞込モードとは、(x1,y1)及び(x2,y2)それぞれに座標値が代入されている場合、すなわちタッチパネル部105のセンス領域が2箇所押された場合に、2点の座標値を含む所定の矩形領域を決定して、その矩形領域をオブジェクトの検索範囲とするモードである。絞込処理部108は、領域絞込モードである場合は、座標値(x1,y1)及び(x2,y2)を含む所定の矩形領域を絞込検索範囲として決定し、その矩形領域を示す検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)をオブジェクト検索部107に供給する。(xp,yp)は絞込検索範囲である矩形領域の左上座標値、(Wp,Hp)は矩形領域の横方向及び縦方向のピクセル数を示す。また、絞込処理部108は、矩形領域をさらに小さな複数の矩形領域(検索用ブロック)に分割するための座標値を算出してグリッド座標配列表を作成し、この表に基づいてグリッドを表示部104に表示させるためのグリッド描画命令コマンドを描画処理部102に発行する。
【0022】
絞込処理部108は、領域絞込モードである場合において、オブジェクト検索部107からオブジェクトが選択されたことを示すオブジェクト選択通知が通知された場合に、座標値(xp,yp)を含めたオブジェクト選択イベントをアプリケーション実行部101に発行する。
【0023】
さらに、絞込処理部108は、タッチパネル部105のセンス領域全体を複数の操作用ブロックに分割するための座標値が含まれたブロック分割座標配列表を予め有しており、この表に基づいて複数の操作用ブロックを表示部104に表示させるための操作用ブロック描画命令コマンドを描画処理部102に発行する。
【0024】
その他、絞込処理部108は、グリッド・プレーン103aを消去させるためのグリッド・プレーン消去コマンドを描画処理部102に発行する。
【0025】
オブジェクト属性情報格納部106は、アプリケーション実行部101から供給されたオブジェクト属性情報を格納する。
【0026】
オブジェクト検索部107は、絞込処理部108から供給される検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)を検索キーとし、オブジェクト属性情報格納部106から、検索キーが示す絞込検索範囲が全て含まれるオブジェクトを検索する、そして、検索された数が複数ある場合、又は検索されなかった場合は、オブジェクト非選択通知を絞込処理部108に対して通知し、検索された数が一個である場合は、オブジェクト選択通知を絞込処理部108に対して通知する。
【0027】
具体的には、オブジェクト検索部107は、オブジェクト属性情報格納部106に格納された複数のオブジェクト属性情報それぞれについて数1の比較を行い、比較結果が真であるときに、検索キーが示す絞込検索範囲が全て含まれるオブジェクトが検索されたと判断する。
【0028】
【数1】

【0029】
描画処理部102は、アプリケーション実行部101から供給されたオブジェクトと、オブジェクト描画命令コマンドとに基づき、メモリ部103のアプリケーション・プレーン103bのオブジェクト座標データで示される位置にオブジェクトを書き込む。また、描画処理部102は、絞込処理部108から供給された操作用ブロック描画命令コマンドに基づき、メモリ部103のグリッド・プレーン103aに操作用ブロックの境界線となるデータを書き込む。さらに、描画処理部102は、絞込処理部108から供給されたグリッド描画命令コマンドに基づき、グリッド・プレーン103aにグリッドを書き込む。そして、描画処理部102は、アプリケーション・プレーン103bにグリッド・プレーン103aを重ね合せるようにして各プレーンのデータを合成して表示部104に表示させる。
【0030】
メモリ部103は、描画処理部102が表示部104に表示させるためのデータを格納する画像用メモリである。そして、グリッド・プレーン103aはグリッドを書き込むためのプレーンであり、アプリケーション・プレーン103bはオブジェクトやアプリケーション・データを書き込むためのプレーンである。
【0031】
次に、本実施例であるカーナビゲーション装置で用いられるGUIメニューについて説明する。図2に、カーナビゲーション装置1の表示部104に表示されるGUIメニューを模式的に表した例を示す。同図に示すように、カーナビゲーション装置1で用いられるGUIメニュー201には、GUIパーツであるオブジェクト202a,202bと、これら2個のオブジェクトよりも小さな大きさのGUIパーツであるオブジェクト203a−203fとが平面的に配置されている。本実施例は、同図に示したようなGUIメニューに数多くのオブジェクトを平面的に配置した場合でも、タッチパネルの操作による所望のオブジェクトの選択を容易にするものである。
【0032】
次に、本発明の実施例である操作画面入力装置を適用したカーナビゲーション装置の動作について、特に、操作画面入力装置に関する処理動作を中心に図3のフローチャートを併せ参照して説明する。なお、初期状態として、絞込処理部108は、タッチパネル部105のセンス領域全体を横方向m×縦方向nの操作用ブロックに分割するブロック分割座標配列表を予め有しているものとする。ブロック分割座標配列表は、m×n個の操作用ブロックそれぞれについて、操作用ブロックの開始位置と操作用ブロックの大きさとの組(xb,yb,Wb,Hb)に識別子Bidを関連づけた表である。例えば、絞込処理部108は、m×n=3×3である場合の表1のブロック分割座標配列表を予め有している。
【0033】
【表1】

【0034】
まず、タッチパネル部105は操作者からの操作入力を受け付ける(S301)。そして、タッチパネル部105は、センス領域の1箇所のみが押された場合は、座標値(x1,y1)と(x2,y2)=(NULL,NULL)とを絞込処理部108に供給する(S301 1箇所)。例えば、図2に示したGUIメニューが表示部104に表示されている場合に、操作者は、比較的大きな図形であるオブジェクト202aを選択したいときは、オブジェクト202aの範囲内の1箇所を押すようにする。
【0035】
一方、タッチパネル部105は、センス領域が2箇所押された場合は、座標値(x1,y1)及び(x2,y2)を絞込処理部108に供給する(S301 2箇所)。例えば、図2に示したGUIメニューにおいて操作者が右下部分のオブジェクトを操作したいとした場合に、操作者は、図4に示すように、左手の人差指でタッチパネル部105のセンス領域401の指示部402を押さえながら、左手の親指で指示部403を押さえる。これにより、タッチパネル部105は、指示部402,403から1点ずつ座標値を検出し、座標値(x1,y1)に(274,376)を代入するとともに、座標値(x2,y2)に(635,183)を代入する。
【0036】
処理ステップS301において「1箇所」に分岐すると、絞込処理部108は、直接選択モードであると判定し、座標値(x1,y1)を含めたオブジェクト選択イベントを生成してアプリケーション実行部101に発行する(S302)。
【0037】
一方、処理ステップS301において「2箇所」に分岐すると、絞込処理部108は、領域絞込モードであると判定し、計算の便宜上、座標値(x1,y1)及び(x2,y2)を、画面左上側が(x1,y1)となり、画面右下側が(x2,y2)となるように座標値を調整する(S303)。具体的には、絞込処理部108は、x1>x2のときはx1とx2との値を交換し、y1>y2のときはy1とy2との値を交換する。例えば、図4の例においては、図5に示すように、(x1,y1)=(274,183)となり、(x2,y2)=(635,376)となる。
【0038】
次に、絞込処理部108は、(x1,y1)及び(x2,y2)を含む矩形領域を絞込検索範囲として決定する(S304)。具体的には、絞込処理部108は、数2に示す計算を実行することにより、画面全体を横方向m×縦方向nに分割したブロック(横サイズSX×縦サイズSY)を単位として、(x1,y1)及び(x2,y2)が対角上に含まれる最大の矩形領域を決定し、その矩形領域の左上の座標値を(x1,y1)、右下の座標値を(x2,y2)としてそれぞれ再設定する。なお、数2の計算は、全て整数演算であり小数点以下を切り捨てる。
【0039】
【数2】

【0040】
例えば、図5の例については、m×n=3×3とした場合、数2の計算式による計算結果は、図6に示すとおり、SX=240,SY=160,(x1,y1)=(240,160),(x2,y2)=(720,480)となる。
【0041】
次に、絞込処理部108は、決定した矩形領域の座標値(x1,y1)及び(x2,y2)から検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)を算出する(S305)。具体的には、絞込処理部108は、検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)に(x1,y1,(x2−x1),(y2−y1))を代入する。例えば、図6の例については、絞込処理部108は、検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)=(240,160,480,320)を算出する。
【0042】
次に、絞込処理部108は、検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)が示す矩形領域を、さらに横方向m×縦方向nに分割するグリッド座標配列表を作成する(S306)。グリッド座標配列表は、m×n個の検索用ブロックそれぞれについて、検索用ブロックの開始位置と検索用ブロックの大きさとの組であるグリッド情報(xg,yg,Wg,Hg)に識別子Gidを関連づけた表である。例えば、図6の例については、m×n=3×3に分割された表2のグリッド座標配列表が作成される。
【0043】
【表2】

【0044】
次に、絞込処理部108は、予め有しているブロック分割座標配列表のデータを含めた操作用ブロック描画命令コマンドを描画処理部102に発行し、このコマンドを受信した描画処理部102が、ブロック分割座標配列表のデータに基づき操作用ブロックの境界線のデータをグリッド・プレーン103aに書き込む。そして次に、絞込処理部108は、グリッド座標配列表のデータを含めたグリッド描画命令コマンドを描画処理部102に発行し、このコマンドを受信した描画処理部102は、グリッド座標配列表のデータに基づき、グリッドをグリッド・プレーン103aに書き込む(S307)。例えば、表1のブロック分割座標配列表と表2のグリッド座標配列表とに基づき、図7に示す画面701には、境界線702とグリッド703とが描画される。
【0045】
次に、タッチパネル部105は操作者からの操作入力を受け付ける(S308)。そして、タッチパネル部105は、センス領域が2箇所押された場合は、座標値(x1,y1)及び(x2,y2)を絞込処理部108に供給する(S309 2箇所)。
【0046】
一方、タッチパネル部105は、センス領域が1箇所のみ押された場合は、座標値(x1,y1)と(x2,y2)=(NULL,NULL)とを絞込処理部108に供給する(S309 1箇所)。例えば、図8に示した画面701において、操作者がオブジェクト203eを選択したい場合は、操作者は、グリッド703により形成される3×3個の検索用ブロックのうち、オブジェクト203eの図形を含んでいる検索用ブロック、例えばオブジェクト203eの図形を最も多く含んでいる検索用ブロック801を視覚により認識する。そして、操作者は、3×3個の検索用ブロックにそれぞれ対応させた、境界線702により形成される3×3個の操作用ブロックのうち、検索用ブロック801に対応させた操作用ブロック802の領域内の1箇所(296,385)を押す。これにより、タッチパネル部105は、例えば、座標値(x1,y1)=(296,385)と(x2,y2)=(NULL,NULL)とを絞込処理部108に供給する。
【0047】
処理ステップS309において「2箇所」に分岐すると、絞込処理部108は、描画処理部102に対してグリッド・プレーン103aを消去させるためのグリッド・プレーン消去コマンドを発行し、このコマンドを受信した描画処理部102は、グリッド・プレーン103aのデータを消去する(S310)。そして、処理ステップS303に移行する。
【0048】
一方、処理ステップS309において「1箇所」に分岐すると、絞込処理部108は、供給された座標値(x1,y1)がブロック分割座標配列表で表される操作用ブロックのうちどの操作用ブロックに含まれるかを判定し、該当する操作用ブロックに関連づけられた識別子Bidを抽出する(S311)。例えば、絞込処理部108は、供給された座標値(x1,y1)が(296,385)である場合、表1のブロック分割座標配列表より識別子Bid=8を抽出する。
【0049】
次に、絞込処理部108は、グリッド座標配列表より、処理ステップS311で抽出された識別子Bidと同一の識別子Gidに関連づけられたグリッド情報(xg,yg,Wg,Hg)を検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)に代入してオブジェクト検索部107に供給する(S312)。例えば、処理ステップS311で識別子Bid=8が抽出された場合、絞込処理部108は、検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)に識別子Gid=8に関連づけられた検索範囲変数(400,374,160,107)を代入してオブジェクト検索部107に供給する。
【0050】
次に、オブジェクト検索部107は、絞込処理部108から供給された検索範囲変数(xp,yp,Wp,Hp)を検索キーとし、オブジェクト属性情報格納部106から、検索キーが示す絞込検索範囲が全て含まれるオブジェクトを検索する(S313)。本実施例においては、オブジェクト属性情報格納部106には、図2に示したオブジェクト202a,202b及びオブジェクト203a−203fの8個のオブジェクトに関するオブジェクト属性情報が格納されている。よって、オブジェクト検索部107は、これら8個のオブジェクト属性情報について検索を実行する。
【0051】
次に、オブジェクト検索部107は、検索された数が複数である場合、又は検索されなかった場合は、オブジェクト非選択通知を絞込処理部108に対して通知し、これを受信した絞込処理部108は、処理ステップS306に処理を移行する(S314 非選択)。例えば、図8においては、操作者が選択したいとするオブジェクト203eと検索用ブロック801とは部分的に重複しているため、オブジェクト検索部107は、識別子Gid=8に関連づけられた検索範囲変数(400,374,160,107)が全て含まれるオブジェクト属性情報を検索せず、オブジェクト非選択通知を絞込処理部108に対して通知して処理ステップS306に処理を移行する。そして、新たな絞込処理として、処理ステップS306−S314の処理を繰り返すこととなる。これにより、例えば図9に示すような絞込状態となり、操作者が、検索用ブロック901に対応させた操作用ブロック902の領域内の1箇所を押すことにより、オブジェクト検索部107は検索用ブロック901がオブジェクト203eの図形に全て含まれることを検出することとなる。
【0052】
オブジェクト検索部107は、検索された数が一個である場合は、オブジェクト選択通知を絞込処理部108に対して通知する(S314 選択)。そして、オブジェクト選択通知を受信した絞込処理部108は、座標値(xp,yp)を含めたオブジェクト選択イベントをアプリケーション実行部101に発行する(S315)。
【0053】
次に、絞込処理部108は、描画処理部102に対してグリッド・プレーン103aを消去させるためのグリッド・プレーン消去コマンドを発行し、このコマンドを受信した描画処理部102は、グリッド・プレーン103aのデータを消去する(S316)。
【0054】
以上説明したように、本実施例によれば、GUIメニューに多数のオブジェクトを配置して表示しようとすると各オブジェクトを小さく表示することとなるが、このような場合においても、操作者が操作すべき操作用ブロックは予め決定した一定の領域であり、大きさの小さなオブジェクトであっても操作性が損なわれることはない。また、本実施例によれば、所望のオブジェクト付近を拡大再配列して表示させることをしないため、画面全体の雰囲気が変わることがなく所望のオブジェクトを見失うおそれがない。したがって、本実施例によれば、操作負担を軽くすることができる。
【0055】
なお、さらに操作負担を軽くするために、表示部104の外周部分を所定の突起を有した非センス領域部で囲うようにしてもよい。例えば、3×3個の操作用ブロックを用いる場合は、図10に示すように、8個の突起部802a−802hを設けた表示枠801を表示部104に設置する。これにより操作者は、突起部802a−802hを触った感触によって表示部104の四隅やおおよその操作用ブロックを認識することができ、画面を見続けなくても絞込操作を行うことができ、操作負担をさらに軽減することができる。
【0056】
また、本実施例では、領域絞込モードにおける絞込処理部108は、オブジェクト選択イベントをアプリケーション実行部101に発行するまで、絞込処理を繰り返し実行するため、繰り返すたびに小さくなるグリッドをグリッド・プレーン103aに書き込むことになる。そこで、表示部104の画面サイズが小さい場合等、グリッドが多数書き込まれるとGUIメニューの視認性が悪くなるおそれがある場合は、処理ステップS307において、一旦グリッド・プレーン103aを消去してから再度、境界線データ及び新たなグリッドを書き込むようにしてもよい。
【0057】
また、本実施例では、描画処理部102は、ブロック分割座標配列表に基づき図7に示すような境界線702を描画するようにしたが、これ以外にも、GUIメニューに対する透過性を有して各操作用ブロックを色分け表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、タッチセンサを用いてGUIメニューの操作を行わせる機器、例えば、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置のような車載用機器、ゲーム機器のような携帯端末、ビデオカメラ装置やオーディオ装置のような映像音響機器、計測装置等の産業用機器等の電子機器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例である操作画面入力装置を適用したカーナビゲーション装置の主要なブロック構成を示した図である。
【図2】カーナビゲーション装置の表示部に表示されるGUIメニューの例を模式的に表した図である。
【図3】本発明の実施例である操作画面入力装置を適用したカーナビゲーション装置の動作について、特に、操作画面入力装置に関する処理動作を中心に説明したフローチャートである。
【図4】タッチパネル部のセンス領域における操作入力を説明するための図である。
【図5】タッチパネル部のセンス領域における座標調整を説明するための図である。
【図6】タッチパネル部のセンス領域における座標調整を説明するための図である。
【図7】表示部に表示される境界線及びグリッドの例を示した図である。
【図8】表示部に表示されたGUIメニューから所望のオブジェクトを選択させる動作を説明するための図である。
【図9】表示部に表示されたGUIメニューから所望のオブジェクトを選択させる動作を説明するための図である。
【図10】表示部の外周部分に非センス領域部を設けた例を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
1 カーナビゲーション装置
101 アプリケーション実行部
102 描画処理部
103 メモリ部
103a グリッド・プレーン
103b アプリケーション・プレーン
104 表示部
105 タッチパネル部
106 オブジェクト属性情報格納部
107 オブジェクト検索部
108 絞込処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
センス領域を前記表示手段の表示面に対応させ、前記センス領域内の1箇所又は2箇所の指定に応じて、指定位置に対応した座標を出力するタッチセンサ手段と、
複数のオブジェクトが配置されたGUI操作画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記複数のオブジェクトそれぞれについての配置位置及び大きさに関するオブジェクト属性情報を格納する属性情報格納手段と、
前記GUI操作画面における所望のオブジェクトを挟むようにして前記センス領域内の2箇所が指定された場合に、前記タッチセンサ手段から出力される前記2箇所の指定位置に対応した座標に基づいて絞込検索範囲を決定する範囲決定手段と、
前記センス領域を所定数の操作用ブロックに分割する操作用ブロック分割手段と、
絞込検索範囲を前記所定数の操作用ブロックと同一配列の検索用ブロックに分割し、これら検索用ブロックを、前記所定数の操作用ブロックに、配列上の位置を対応させてそれぞれ関連づける検索用ブロック分割手段と、
前記センス領域内の1箇所が指定された場合に、前記タッチセンサ手段から出力される前記1箇所の指定位置に対応した座標が含まれる操作用ブロックに関連づけられた検索用ブロックを検出する検索用ブロック検出手段と、
前記検出された検索用ブロックの領域が全て含まれるオブジェクトを、前記属性情報格納手段に格納されたオブジェクト属性情報の検索に基づき検出する検索手段と、
前記検索手段でオブジェクトが検索されなかった場合には、前記検索用ブロックを新たな絞込検索範囲に決定して前記検索用ブロック分割手段に供給する一方、前記検索手段でオブジェクトが検索された場合には、そのオブジェクトを選択したことを示す選択イベントを外部に出力する絞込処理制御手段と、
を備えた操作画面入力装置。
【請求項2】
タッチセンサのセンス領域を所定数の操作用ブロックに分割する操作用ブロック分割ステップと、
複数のオブジェクトが配置されたGUI操作画面における所望のオブジェクトを挟むようにして前記センス領域内の2箇所が指定された場合に、前記タッチセンサから出力される前記2箇所の指定位置に対応した座標に基づいて絞込検索範囲を決定する範囲決定ステップと、
絞込検索範囲を前記所定数の操作用ブロックと同一配列の検索用ブロックに分割し、これら検索用ブロックを、前記所定数の操作用ブロックに、配列上の位置を対応させてそれぞれ関連づける検索用ブロック分割ステップと、
前記センス領域内の1箇所が指定された場合に、前記タッチセンサから出力される前記1箇所の指定位置に対応した座標が含まれる操作用ブロックに関連づけられた検索用ブロックを検出する検索用ブロック検出ステップと、
前記検出された検索用ブロックの領域が全て含まれるオブジェクトを、前記複数のオブジェクトそれぞれについての配置位置及び大きさに関するオブジェクト属性情報が格納された属性情報格納装置の検索に基づき検出する検索ステップと、
前記検索ステップにおいてオブジェクトが検索されなかった場合には、前記検索用ブロックを新たな絞込検索範囲に決定して前記検索用ブロック分割ステップに移行する一方、前記検索ステップにおいてオブジェクトが検索された場合には、そのオブジェクトを選択したことを示す選択イベントを外部に出力する絞込処理制御ステップと、
を有した操作画面入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−39985(P2010−39985A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205452(P2008−205452)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】