説明

操作装置、画像形成装置及び操作判定方法

【課題】本発明は、光発電素子を操作ボタンとして利用したボタン操作の判別の正確性を向上させる。
【解決手段】画像形成装置1は、操作部3のテンキー部12の各キー「#」〜「0」が、入射光の光量に応じた電力を発電する光発電素子で形成されているとともに近接して複数配設されており、これらの各キー「#」〜「0」の操作の有無を、該キー「#」〜「0」の発電電力を所定の比較基準電圧Vr0〜Vr11と比較して判定するとともに、該各キー「#」〜「0」の比較基準電圧Vr0〜Vr11を、操作者であるオペレータの操作位置と入射光の方向に基づいて設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置、画像形成装置及び操作判定方法に関し、詳細には、操作ボタンとして光発電素子を利用した操作装置、画像形成装置及び操作判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池等の光発電素子を、補助電源として利用する機器は、既に存在しており、また、この光発電素子を、ユーザインターフェイスとして使用する技術もある。
【0003】
例えば、従来、光発電素子をユーザが指で覆うことで発生する光発電素子の発電電圧の変動を、ユーザの選択操作として検出することで、光発電素子を操作ボタンとして利用することが開示されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、光発電素子の発電電圧の変動のみに基づいて操作の有無を判別しているため、操作の有無を正確に判定することができない恐れがあった。すなわち、光発電素子で形成されている操作ボタンが、複数配設されていて、任意の操作ボタンを操作する際に、他の操作ボタンが操作する指や手の影となって、光発電素子で形成されている該他の操作ボタンに照射される光の光量が変化して、ボタン操作として認識されると、操作の誤認識が発生し、利用性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、光発電素子を操作部として用いるとともに、正確に操作部の操作を認識する操作装置、画像形成装置及び操作判定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、操作対象となるとともに入射光の光量に応じた電力を発電する複数の光発電素子に対する操作の有無を、該光発電素子の発電電力を所定の閾値電力と比較して判定するとともに、少なくとも操作者の操作位置と入射光の方向を操作判定条件として入力されると、該操作判定条件に基づいて各光発電素子の閾値電力を設定することを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記入射光が前記操作者の前方上方から入射されることが操作条件となっていると、該操作者の操作位置に近い操作ボタンほど前記閾値電力を低く設定することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作対象としての光発電素子に対する操作動作に伴う光量変化に基づいて、正確にボタン操作を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図2】操作部の概略平面図。
【図3】照明光とテンキー部の位置関係を示す図。
【図4】テンキー部のキーに平板型を用いている場合の側面断面図。
【図5】テンキー部のキーに球面型を用いている場合の側面断面図。
【図6】操作判定処理を示すフローチャート。
【図7】キー配列と比較基準電圧の関係を示す図。
【図8】キーにおける発電電圧と比較基準電圧とスイッチ判定結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図8は、本発明の操作装置、画像形成装置及び操作判定方法の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の操作装置、画像形成装置及び操作判定方法の一実施例を適用した画像形成装置1の要部ブロック構成図である。
【0012】
図1において、画像形成装置1は、複合装置、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ装置等であり、CPU(Central Processing Unit)2、操作部3、電圧比較部4、充電部5、切替回路6、負荷7、PSU(Power Supply Unit :電源供給部)8及びプラグ9等を備えているとともに、図示しないが、画像形成装置1として必要な各部、例えば、電子写真方式またはインク噴射方式等の画像形成方式で用紙等の被画像形成媒体(以下、単に用紙という。)に画像を形成する画像形成部、該画像形成部に用紙を搬送する給紙部等を備えている。
【0013】
CPU2は、図示しないROM(Read Only Memory)やハードディスク等に格納されているプログラムに基づいて図示しないRAM(Random Access Memory)等をワークメモリとして利用して、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の操作制御処理を実行する。
【0014】
なお、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の操作判定方法を実行する操作判定プログラムを読み込んでROMやハードディスク等に導入することで、後述する光発電素子を操作対象とするとともに正確に操作有無判定を行う操作判定方法を実行する操作装置を搭載する画像形成装置として構築されている。この操作判定プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0015】
CPU2には、操作部3、充電部5、切替回路6及びPSU8等に接続され、CPU2は、PSU8からの供給電力によって動作するとともに、PSU8の電源モード、例えば、通常モードや省エネモード(省エネルギーモード)とうに応じた電源供給動作を制御する。
【0016】
PSU8には、電源プラグ9を介してAC(交流)100Vの商用電源が供給され、PSU8は、ブリッジ回路や変圧器等を用いて、商用電源を整流/変圧して画像形成装置1の各部、特に、CPU2や切替回路6を介して負荷7に必要な電力を供給する。
【0017】
操作部3は、図2に示すように、ディスプレイ11、テンキー部12、スタートボタン13及びその他の操作ボタン14等が設けられており、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイ等が用いられていて、ディスプレイ11には、テンキー部12やその他の操作ボタン14から入力された命令内容や画像形成装置1からオペレータに通知する各種情報が表示される。
【0018】
操作ボタン14は、画像形成装置1に画像形成させる際の各種設定を行うのに使用され、スタートボタン13は、画像形成装置1に画像形成の開始を指示する際に操作される。
【0019】
テンキー部12は、操作ボタンとして、「0」から「9」までの数字キーと「#」キー及び「*」キーが近接して設けられており、テンキー部12の数字キー及び「#」、「*」キーは、3行3列に並んで配設されている。テンキー部12の各キーは、太陽電池等の光発電素子が利用されており、室内光等の照明光20からの照射光が入射されて、入射光をその受光面で受光することで、所定の電圧・電流の電力を、電圧比較部4を介して充電部5に出力する。
【0020】
ところが、図3に示すように、オペレータが手Hでテンキー部12のキー操作を行う場合、照明光20の位置とオペレータの操作する手Hの位置によって、テンキー部12の各キーに照明光20からの照射光が手Hによって遮光されて、テンキー部12のキーに照射される照射光(入射光)の照射光量(入射光量)がキーそれぞれのキー位置によって変化し、照射光量によって発電電圧(電力)が変化する。なお、図3では、照明光20がテンキー部12よりもオペレータの立つ位置とは反対側の上方(オペレータの前方上方)に配設されている場合が記載されており、照明光20の位置としては、以下、同じ条件の配置であるとして説明するが、照明光20とオペレータの操作方向(手Hの操作する方向)によって、操作時におけるテンキー部12の各キー「#」〜「0」への照射光量の変動状態が変化する。
【0021】
そこで、本実施例の画像形成装置1は、操作部3のテンキー部12の光発電素子で構成されている各キー(「0」から「9」までの数字キー及び「#」キーと「*」キー)の発電出力端子が、電圧比較部4の各スイッチ判定素子4a〜4lに入力されるとともに、充電部5に出力され、充電部5は、コンデンサ等で構成された蓄電池等を備えている。充電部5は、テンキー部12の各キー「#」〜「0」から供給される発電電力を蓄電池に充電するとともに、切替回路6に出力する。
【0022】
切替回路6は、リレーやスイッチングトランジスタ等で構成されていて、充電部5からの充電電力とPSU8からの外部電力が入力され、CPU2から切替信号が入力される。切替回路6は、CPU2からの切替信号に基づいて、充電部5からの充電電力とPSU8からノ外部電力を択一的に切り替えて、画像形成装置1の負荷7に充電電力または外部電力を供給する。特に、CPU2は、PSU8が低負荷状態時(例えば、負荷7がCTLのみの省エネモード状態時)であって、かつ、CPU2が充電部5の満充電状態であることを検出したときに、CPU2が、切替回路6に切替信号を送って、PSU8からの負荷7への電力供給状態から、テンキー部12の光発電素子から充電した充電部5から負荷7への電力供給状態へと切り替え、商用電力を使用することなく、光発電素子であるキー「#」〜「0」で充電した電力を有効利用する。
【0023】
そして、上記電圧比較部(操作判定手段)4は、上述のように、各スイッチ判定素子4a〜4lに対応するテンキー部12のキーが接続されており、たえ、スイッチ判定素子4aには、「#」キーが、スイッチ判定素子4bには、「*」キーが、スイッチ判定素子4cには、「0」キーが、以下、同様に接続されて、スイッチ判定素子4lには、「9」キーが接続される。スイッチ判定素子4a〜4lは、例えば、AND回路で構成され、それぞれ、その一方の入力端子に、各キー「#」〜「0」までの各キーの出力する発電電圧が、その他方の比較端子に、各キー「#」〜「0」の操作を判定するための比較基準電圧Vra〜Vrlが入力される。
【0024】
スイッチ判定素子4a〜4lは、対応するキー「#」〜「0」から入力端子に入力される発電電圧を比較端子に入力される比較基準電圧Vra〜Vrlと比較して、発電電圧が高い場合に、「1」(ON、High)、発電電圧が低い場合に、「0」(OFF、Low)をCPU2に出力する。
【0025】
そして、本実施例の画像形成装置1は、各スイッチ判定素子4a〜4lの比較基準電圧Vra〜Vrlが、スイッチ判定素子4a〜4lに対応するテンキー部12のキー「#」〜「0」の配列位置、照明光20及びオペレータの操作方向から、オペレータによるテンキー部12のキー操作時の手Hによって照明光20からの照射光量の低下度合いを考慮して設定されている。例えば、図3に示したように、照明光20がテンキー部12よりもオペレータの立つ位置とは反対側の前方上方に配設されている場合、例えば、「8」のキーを操作するとき、手Hによって照明光20の影となって、「8」のキーが最も照射光量が少なく、次に、行方向(横方向)に配列されている「4」、「5」、「6」が「8」のキーの次に照射光量が少なく、次に、行方向(横方向)に配列されている「1」、「2」、「3」が、「4」、「5」、「6」に次いで照射光量が少なく、最下行の、「#」、「0」、「*」が、「1」、「2」、「3」に次いで照射光量が少なくなる。
【0026】
すなわち、ユーザの操作する手Hの影による影響(光量の変化)が一番大きいのは、「8」、「5」、「2」を操作する場合にも、影の影響があるキー「0」の光発電素子であるため、光量が多少変動しても、光が遮断された、すなわち、操作されたと判定することを防止するために、「8」、「5」、「2」、「0」の列では、キー「0」の比較基準電圧(閾値電圧)Vrcを一番低い電圧として設定して、上述のように、順次、行が上のキー程、比較基準電圧を高い電圧値に設定する。このようにすると、例えば、ユーザがキー「2」を操作する場合に、キー「0」の光量が変化しても、キー「0」も操作されたと誤検知することを防止することができる。
【0027】
上記列方向のキー「8」〜「0」に対する比較基準電圧Vrk〜Vrcの設定方法を、列方向のキー「7」〜「#」及び列方向のキー「9」〜「*」についても同様に適用する。
【0028】
そして、画像形成装置1は、操作時にオペレータの手Hによるテンキー部12のキー操作が行われる際に、照明光20からの照射光が手Hによって遮られて照射光量が低下することで、各キー「#」〜「0」からの発電電圧が低下するが、この発電電圧値が、各キー「#」〜「0」が実際に操作されて光量が低下したことによる発電電圧値であるのか、あるいは、操作対象のキーではないが、操作対象の操作が行われる際に照明光20が手Hの影となって光量が低下したことによる発電電圧値であるのかを判断するために、上記照明光20の位置、テンキー部7のキー配列及びオペレータの操作方向等に基づいて、また、実際に光量測定や発電電圧値の測定を行うことで、比較基準電圧Vra〜Vrlを適宜設定する。
【0029】
画像形成装置1は、この比較基準電圧Vra〜Vrlを、CPU2が図示しない可変抵抗(閾値電力設定手段)の抵抗値を制御する方法等で設定する。すなわち、CPU2が比較基準電圧Vra〜Vrlを設定する場合、画像形成装置1の操作部等の入力部(操作判定条件入力手段)から操作判定条件として、照射光の方向、操作者の操作位置等が入力されると、CPU2が、該操作判定条件に基づいて、予め図示しないROM等に格納されている操作判定条件と比較基準電圧Vra〜Vrlを対応付けたテーブルを参照する等の方法で比較基準電圧Vra〜Vrlを決定して、各スイッチ判定素子4a〜4lに設定する。この場合、CPU2は、閾値電力設定手段として機能する。なお、比較基準電圧Vra〜Vrlは、手動で可変抵抗の抵抗値を調整することで設定してもよい。
【0030】
なお、テンキー部12の各キー「#」〜「0」は、例えば、図4に示すように、平板型であってもよいし、図5に示すように、球面型であってもよいが、球面型の方が、受光面積が大きく、光発電素子としては、光発電効率が高い。
【0031】
そして、テンキー部12の光発電素子からなる各キーの発電電力が電圧比較部4を介して充電部5に入力され、CPU2は、充電部5の充電電圧を監視して、所定の満杯電圧まで充電されると、切替回路6に切替信号を出力して、負荷7への電力供給をPSU8からの外部電力から充電部5からの充電電力に切り替える。
【0032】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像形成装置1は、テンキー部12の光発電素子で構成されている各キー「#」〜「0」の発電電圧の変化によって、各キー「#」〜「0」のキー操作を検出するとともに、キー操作時におけるオペレータの手Hの影になることによる発電電圧の低下を考慮した比較基準電圧Vra〜Vrlを適宜設定することで、操作の適切な判断を行っている。
【0033】
すなわち、画像形成装置1は、操作部3のテンキー部12の各キー「#」〜「0」に光発電素子を用いて、各キー「#」〜「0」の発電した発電電力を充電部5に蓄積して、適宜の電力が充電されると、CPU2の制御下で、切替回路6を介して負荷7に供給する。
【0034】
そして、画像形成装置1は、テンキー部12の各キー「#」〜「0」のキー操作の有無を、電圧比較部4の各キー「#」〜「0」に対応するスイッチ判定素子4a〜4lが、各キー「#」〜「0」の出力する発電電圧と比較基準電圧Vra〜Vrlを比較して、各キー「#」〜「0」の操作の有無を判定して、判定結果をCPU2に出力する。
【0035】
すなわち、画像形成装置1は、図6に示すように、ユーザがテンキー部7の光発電素子で構成されたキー「#」〜「0」(以下、単に、適宜、光発電キーという。)がオペレータの手Hによって押下操作が行われると(ステップS101)、各キー「#」〜「0」が照明光20からの照射光量に応じた光電変換を行って発電した発電電力を発電電圧に変換する(ステップS102)。
【0036】
画像形成装置1は、光発電キー「#」〜「0」が発電した発電電圧を充電部5に蓄積するとともに、電圧比較部4に入力して各光発電キー「#」〜「0」の発電電圧と、閾値電圧である比較基準電圧Vra〜Vrlとをスイッチ判定素子4a〜4lで比較して、各スイッチ判定素子4a〜4lは、比較基準電圧Vra〜Vrlよりも発電電圧が大きいときには、比較結果として「1」を、また、発電電圧が比較基準電圧Vra〜Vrl以下のときには、比較結果としては「0」を、それぞれCPU2のポート(CPUポート)に出力する(ステップS103)。
【0037】
CPU2は、電圧比較部4の各スイッチ判定素子4a〜4lからポート(CPUポート)に入力される比較結果を検査して、「0」状態が1つもないか否かチェックし(ステップS104)、「0」状態のCPUポートが1つもないときには、キー「#」〜「0」が1つも操作されていないと判断して、処理を終了する(ステップS105)。
【0038】
ステップS104で、「0」状態のCPUポートが1つ以上あるときには、CPU2は、CPUポートのうち、「0」状態であるのが1つのみであるかチェックし(ステップS106)、「0」状態のCPUポートが1つのみであるときには、該「0」状態のCPUポートに対応するキー「#」〜「0」が操作されていると判断して(ステップS107)、該キー「#」〜「0」に対応する操作処理要求を行って、操作判定処理を終了する(ステップS108)。
【0039】
ステップS106で、「0」状態のCPUポートが2つ以上あるときには、全てのCPUポートが「0」状態であるか、すなわち、12個全てのCPUポートが「0」状態であるかチェックし(ステップS110)、全てのCPUポートが「0」状態であると、ボタン全てが操作されている状態であるか、照明である照明光20が消されていると判断して、予め設定されている処理を行って、操作判定処理を終了する(ステップS110)。
【0040】
CPU2は、ステップS109で、「0」状態でないCPUポートが12でないとき、すなわち、2つ以上11個以下のCPUポートが「0」状態であることを確認して(ステップS111)、この場合には、誤検出の可能性が高いとして、操作判定処理の再処理要求(例えば、キー「#」〜「0」操作の再捜査を促す旨の表示をディスプレイ11に表示する等)を行って、ステップS101に戻り、ステップS101から上記同様に処理する(ステップS101〜S112)。
【0041】
そして、画像形成装置1は、操作判定処理において用いる比較基準電圧Vra〜Vrlを、上述のように、照明光20の位置、オペレータの操作位置、オペレータの手H位置等から適切な電圧値に設定する。
【0042】
例えば、図7に示すように、テンキー部12の縦方向に配列されている「8」、「5」、「2」、「0」のキーの場合、手Hによる影が、図7にハッチングの濃さで影の濃さを示すように、操作対象の「8」に近いほど影が濃くなるため、比較基準電圧Vra〜Vrlとして、キー「0」からキー「8」へと上方に位置するキーになるほど、高い比較基準電圧Vra〜Vrlが設定されている。すなわち、図8に示すように、キー「8」に対する比較基準電圧Vrk、キー「5」に対する比較基準電圧Vrh、キー「2」に対する比較基準電圧Vre及びキー「0」に対する比較基準電圧Vrcは、手Hの影が濃いキーほど高い電圧値の比較基準電圧Vra〜Vrlが設定されている。
【0043】
そして、図7及び図8においては、キー「8」を操作する際に、キー「5」、「2」、「0」にも、キー「8」を操作する手Hの影が映ることとなるが、閾値である比較基準電圧Vra〜Vrlとして、影の濃いキー「#」〜「0」程高い電圧値の比較基準電圧Vra〜Vrlが設定されているため、図8の場合、操作対象のキー「8」については、操作判定結果として、操作されたことを示す「0」がCPUポートに入力され、その他のキー「5」、「2」、「0」については、操作判定結果として操作されなかったことを示す「1」がCPUポートに入力される。
【0044】
その結果、CPU2は、キー操作するオペレータの手Hの影による発電電力の低下を考慮した比較基準電圧Vra〜Vrlの設定によって、正確に操作キー「#」〜「0」と非操作キー「#」〜「0」を識別することができる。
【0045】
このように、本実施例の画像形成装置1は、入射光の光量に応じた電力を発電する光発電素子で形成され近接して複数配設されたテンキー部12の各キー「#」〜「0」の操作の有無を、該キー「#」〜「0」の発電電力を所定の比較基準電圧(閾値電力)Vra〜Vrlと比較して判定するとともに、該各キー「#」〜「0」の比較基準電圧Vra〜Vrlを、操作者であるオペレータの操作位置と入射光の方向に基づいて設定している。
【0046】
したがって、キー「#」〜「0」を操作するオペレータの手Hで影になることで、発電電力が低下するキー「#」〜「0」を操作されたと誤認識することを防止することができ、各キー「#」〜「0」の操作の有無を正確に検出することができる。
【0047】
また、本実施例の画像形成装置1は、前記入射光がオペレータの前方上方から入射されていると、各キー「#」〜「0」(光発電素子)のうち、該操作者の操作位置に近いキー「#」〜「0」(光発電素子)ほど比較基準電圧Vra〜Vrlを低く設定している。
【0048】
したがって、オペレータの前方上方からの照明光20から入射される照明光と操作するオペレータの指位置からキー「#」〜「0」上にできる影を考慮して比較基準電圧Vra〜Vrlを設定することができ、各キー「#」〜「0」の操作を正確に検出することができる。
【0049】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、テンキー部12のキー「#」〜「0」が、少なくともその受光部が球面に形成されている。
【0050】
したがって、照明光をより多く取り込んで、発電性能を向上させることができる。
【0051】
なお、上記説明においては、テンキー部12の各キー「#」〜「0」に対して、光発電素子を適用したが、光発電素子を適用するのは、テンキー部12に限るものではなく、その他のキーにも適用してもよい。
【0052】
また、上記説明においては、キー(テンキー部12)がマトリックス状に配設されている場合について説明したが、複数のキーの配列状態としては、マトリックス配列に限るものではなく、複数のキーが、オペレータが手で操作する場合に手の影になる位置に他のキーが位置するような配置状態にあるものすべてに適用することができる。
【0053】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、操作部3のテンキー部12に発電素子を利用して、該テンキー部の各キー「#」〜「0」の操作を、オペレータの手Hによる影を考慮して設定した比較基準電圧Vra〜Vrlとキー「#」〜「0」の発電電圧に基づいて、判別している。
【0054】
したがって、画像形成装置1の省エネルギー化を向上させることができるとともに、操作部3の操作を正確に判別することができる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、操作キーを複数配列するとともに、外装先ーとして光発電素子を用いた操作装置及び画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
2 CPU
3 操作部
4 電圧比較部
4a〜4l スイッチ判定素子
5 充電部
6 切替回路
7 負荷
8 PSU
9 プラグ
11 ディスプレイ
12 テンキー部
13 スタートボタン
14 その他の操作ボタン
20 照明光
H 手
Vra〜Vrl 比較基準電圧
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2008−21018号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象となるとともに入射光の光量に応じた電力を発電する複数の光発電素子と、
前記各光発電素子の発電電力を所定の閾値電力と比較して該光発電素子に対する操作の有無を判定する操作判定手段と、
少なくとも操作者の操作位置と入射光の方向を操作判定条件として入力する操作判定条件入力手段と、
前記操作判定条件に基づいて前記各光発電素子の前記閾値電力を設定する閾値電力設定手段と、
を備えていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記閾値電力設定手段は、前記操作判定条件として、前記入射光が前記操作者の前方上方から入射されることが前記操作判定条件入力手段から入力されると、該操作者の操作位置に近い前記光発電素子ほど前記閾値電力を低く設定することを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記光発電素子は、受光部が球面であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
操作部の操作に応じた画像形成を行う画像形成装置であって、
前記操作部は、
操作対象となるとともに入射光の光量に応じた電力を発電する複数の光発電素子と、
前記各光発電素子の発電電力を所定の閾値電力と比較して該光発電素子に対する操作の有無を判定する操作判定手段と、
少なくとも操作者の操作位置と入射光の方向を操作判定条件として入力する操作判定条件入力手段と、
前記操作判定条件に基づいて前記各光発電素子の前記閾値電力を設定する閾値電力設定手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
操作対象となるとともに入射光の光量に応じた電力を発電する複数の光発電素子に対する操作の有無を、該光発電素子の発電電力を所定の閾値電力と比較して判定する操作判定処理ステップと、
少なくとも操作者の操作位置と入射光の方向を操作判定条件として入力する操作判定条件入力処理ステップと、
前記操作判定条件に基づいて前記各光発電素子の前記閾値電力を設定する閾値電力設定処理ステップと、
を有していることを特徴とする操作判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−14484(P2012−14484A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150744(P2010−150744)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】