説明

操作装置および画像読取装置

【課題】 照明領域を背後から明るく且つ明度ムラが小さく照明することができ、且つこれを少ない数の光源で実現することができる装置の提供。
【解決手段】 導光体の下面には、光源に近い第1領域に反射部が形成され光源から離れた第2領域に第1拡散面が形成されている。導光体の入射側面は非拡散面であり、入射側面以外の側面は第2拡散面となっている。光源が発光して入射側面から導光体に入射した光は全反射して第1拡散面および第2拡散面に導かれ、拡散反射光の一部はパネルの光透過部を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスイッチを持つ操作装置およびこれを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には画像読取部を備えた複合機が開示されている。この装置は、原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板とを備え、原稿圧板の上面に操作部(複数の入力キー)と表示器(LCDパネル)が設けられている。
【0003】
特許文献2には、静電容量式のタッチパネル入力装置が開示される。この装置は、複数のセンサ電極が実装された基板と、各センサ電極の上にセットされるスペーサとを備えている。
【0004】
特許文献3には、文字や図形を表示する液晶表示器を背後から照明する照明装置(バックライト)が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−88759号公報
【特許文献2】特開2009−37373号公報
【特許文献3】特開平11−283425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、操作部はタクトスイッチのような機械式接点のキー構造であるが、コストや配置デザイン上の理由により、操作部を特許文献2のような静電容量式のタッチスイッチに置き換えることが考えられる。その際、スイッチの背後にバックライト(照明装置)を設けて、暗部でもスイッチの視認性を高めると共に、必要のないときにはバックライトを消灯することができれば、装置の操作性が向上する。これを実現する際の課題の一つは、タッチスイッチの照明すべき領域が広い面積を有していたとしても背後から照明する光が明るく且つ明度ムラを小さくし、これを少ない数の光源で実現することである。
【0007】
特許文献3に開示される照明装置は、導光板(8)の限定された領域に反射面に形成することで明るい照明光を得るとともに、表示範囲に限定して白色蓋枠の出射窓(11)を設けて漏れ光を防ぐ構造となっている。しかし、光源の数をなるべく減らしつつ大きな面積を明度のムラなく照明するには、特許文献3のような構成でも不十分な場合がある。すなわち、導光板(8)の側面に導入された光の一部は別の側面から外に逃げてしまうので、光の利用効率の悪く、また明度の分布ができやすい。特許文献3では、両端に2つの光源を設けて必要な明るさを得ているが、コストや配置の自由度という点では単一の光源で済ませるのに越したことは無い。
【0008】
また、特許文献3に開示されている照明装置を、特許文献2のような静電容量式のタッチスイッチのバックライトに適用することは、以下の理由により困難である。すなわち、特許文献2の構造では出射窓11の部分に空気層ができる。使用者が指で触れるパネル表面と電極との間に空気層が存在すると静電容量を検知することが困難になる。そのため、特許文献2の構造で電極を設けようとすると、電極を出射窓11よりも外側すなわち液晶表示器12の裏面に配置するしかない。するとバックライト光に対して電極が陰になって表示に重なってしまうという問題が起きる。
【0009】
本発明は上述の課題の認識にもとづいてなされたものである。本発明の目的は、タッチスイッチなどの照明すべき領域が広い面積を有していたとしても、照明領域を背後から明るく且つ明度ムラが小さく照明することができ、且つこれを少ない数の光源で実現した装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の操作装置は、所定形状の光透過部を有するパネルと、第1面、第2面および複数の側面を有し、前記第1面が前記パネルに面する導光体と、前記導光体の所定の入射側面に対向して配置された光源と、前記導光体の前記第2面の側で前記光透過部に対応した位置に設けられ、静電容量を検知することで前記パネルに使用者がタッチしたか否かのスイッチング状態を検知するための電極とを備え、前記導光体の前記第2面には、前記光源に近い第1領域に反射部が形成され、前記反射部よりも前記光源から離れた第2領域に前記光透過部を含む範囲に対応して第1拡散面が形成されており、さらに前記導光体は前記入射側面は非拡散面であり且つ前記複数の側面のうち前記入射側面以外の側面は第2拡散面となっており、前記光源が発光して前記入射側面から前記導光体に入射した光は、前記反射部と前記第1面で全反射して前記第1拡散面および前記第2拡散面に導かれ、拡散反射光の一部は前記光透過部を照明することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチスイッチなどの照明すべき領域が広い面積を有していたとしても、照明領域を背後から明るく且つ明度ムラが小さく照明することができ、且つこれを少ない数の光源で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の装置の構成を示す斜視図
【図2】電源OFF/ONでの操作パネルの表示状態を示す図
【図3】パネル部の構造図
【図4】静電容量式タッチスイッチの断面図
【図5】導光体の構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。本明細書においては、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機など、原稿を読み取るための画像読取部を有する装置を総称して「画像読取装置」というものとする。
【0014】
図1は本発明の実施形態の画像読取装置の構成を示す斜視図である。図1(a)は画像読取部の原稿圧板を閉じた状態、図1(b)は原稿圧板を開けた状態を示す。装置の筐体には原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部(フラットベッドスキャナ)、シートにプリントを行なう記録部、および装置全体を制御する制御部5が内蔵されている。読取部、記録部それぞれについては上述の特許文献1などで周知なので、ここでは詳細な説明を省略する。制御部5はCPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラボードを有する。装置の上部には原稿読取面2に対して原稿圧板6が開閉可能に設けられている。設置された装置は、図中の矢印Aの方向(正面側)から使用者によって操作される。
【0015】
図1(a)において、原稿圧板6の上面にはパネル部1が配置されている。パネル部1には、表示ユニット4と各種の操作キー(入力スイッチ)が密集して設けられたパネルカバー11が設けられている。さらに電源ボタン111もパネルカバー11に設けられている。電源ボタン111を除く操作キーは静電容量式のタッチスイッチとなっている。静電容量式のタッチスイッチは、人の指をタッチ面に接触すると変化する静電容量を検知して入力となす方式のタッチスイッチである。その詳細構造と動作については後述する。
【0016】
表示ユニット4には透明部材からなる表示窓4aが設けられている。表示ユニット4は、収納時は図1(a)のようにパネルカバー11の表面と一体の面を構成するように寝かせた状態である。表示ユニット4は、使用者の操作によって表示窓4aが装置手前(矢印A)に向けて立ち開くように回動可能である。つまり、表示ユニット4を寝かせた状態では表示窓4aの表示は上方から見ることができ、表示ユニット4を立てた状態では表示窓4aの表示は正面から見ることができる。電源ボタン111は、タクトスイッチなどの機械式接点のキー構造であり、電源OFFの状態で使用者が押圧すると装置ONに、逆に電源ONの状態で使用者が押圧すると装置OFFになる。
【0017】
図1(b)において、原稿圧板6は2箇所のヒンジ8でフレーム9の奥側(正面の反対側)に回動可能に取り付けれている。原稿読取面2は透明のガラス板からなり、この上に原稿面を下向きにして原稿が置かれる。ガラス板はカバーによりフレーム9に取り付けられている。原稿読取面2の上の原稿を押さえつけて浮きを抑えるため、原稿圧板6の内側面には圧着シート7が取り付けられている。ヒンジ8と原稿圧板6との係合は上下方向に遊びを持っており、厚みのあるブック原稿にも対応することができる。
【0018】
制御部5は、読取部と記録部の動作制御とともに、表示ユニット4の表示制御、タッチスイッチのスイッチ入力および表示制御など、装置全体の各種制御を司る。後述するように、制御部5は複数の動作モードの制御を行ない、動作モードに応じてタッチスイッチのバックライト(背後からの照明)の点灯と消灯の状態を変化させる。
【0019】
図2は、画像読取装置の上面図であり、原稿圧板6の上面、パネルカバー11に設けられた操作パネル(操作装置)の表示状態を示す。図2(a)は電源OFFの状態であり、操作部の各種の操作キーは電源ボタン111、ジョグホイール101dを除いて使用者には見えなくなっている。図2(b)は電源ONですべての操作キーが点灯表示した状態である。点灯したキーは入力が有効状態となる。
【0020】
この例では、操作キーは、ホームキー101b、1つ前の状態に戻すための戻るキー101c、モノクロコピーキー101h、カラーコピーキー101i、ストップキー101jなどである。モノクロコピーキー101hはモノクロコピーまたはモノクロ画像スキャンの動作開始を指示するキーであり、カラーコピーキー101iはカラーコピーまたはカラー画像スキャンの動作開始を指示するキーである。ストップキー101jはコピー動作またはスキャン動作の停止を支持するためのキーである。操作キーはさらに、表示ユニット4に表示される画面上の表示項目を選択するための3つのキーからなるファンクションキー101aを有する。
【0021】
操作キーはさらに、表示ユニット4に表示される画面上のカーソルを上下左右に移動させるための4つの矢印キー101f、およびカーソル等を移動させるためのリング形状キーであるジョグホイール101dを有する。操作キーはさらに、選択を決定するためのOKキー101e、コピー枚数などの数値を設定するための“+”“−”キー101gを有する。これらの各操作キーは、各々が独立して点灯と消灯が可能なバックライトを備えた静電容量式のタッチスイッチとなっている。バックライトが点灯するとそのキー固有の図形(マーク)が表示されて使用者が視認することが可能となり、バックライトが消灯するとキーのマークは非表示となって使用者には視認できなくなる。
【0022】
図3はパネル部1の構成図であり、図3(a)は積層構造を示す分解斜視図、図3(b)は上面図である。パネル部1は図3(a)に示すように、表面(上面)から順に、パネルカバー11、弾性体シート12、導光体群13、弾性体シート14、パネル基板15を備えた5層の積層構造を有する。全体は弾性体シート12と弾性体シート14で密着して一体構造物となっている。すなわち、パネルカバー11と導光体群13の間には透光性のシート状の弾性体シート12(第1弾性体シート)が介在して両者の間を密着させる。同様に、パネル基板15と導光体群の間にはシート状の弾性体シート14(第2弾性体シート)が介在して両者の間を密着させる。弾性体シート14は透光性である必要はない。弾性体シート12、14はいずれも非導電性の絶縁体材料からなる。
【0023】
パネルカバー11は透光性(透明または半透明)で継ぎ目のない1枚の板状部材であり、プラスチック材料(例えば、アクリル、ABS、PC、MBS、SBCなど)またはガラス材料からなる。導光体群13も透明のプラスチック材料またはガラス材料からなる。弾性体シート12および弾性体シート14はそれぞれ、複数の電極に対して共通の分割されていない1枚のシートである。細かく分割されていない1枚のシートなので操作パネルの組み立てが容易になる。
【0024】
組み立ての際には、パネルカバー11と導光体群13とはシート状の弾性体シート12によって隙間なく完全に密着することが求められる。なぜなら、完全に密着せずに誘電率が低い空気層が介在してしまうと、静電容量変化の検知が不安定となって静電容量式スイッチとしての信頼性が劣化するためである。さらに、メンテナンスにおけるパネルカバー11の交換作業を考慮すると、いったん密着させた後にも、糊を残さずに剥がしやすいことが求められる。密着性の高さと剥がしやすさの2つの特性を両立させるために、弾性体シート12は接着剤を使わずに粘着性が得られる自己粘着性の弾性体シートを用いる。このような弾性体シートとしては、例えばゲルシートが好適である。導光体群13とパネル基板15(複数の電極の表面)とを密着させる弾性体シート14にも同様の特性が求められるので、弾性体シート14にも自己粘着性をもつ弾性体シート、例えばゲルシートを用いる。なお、弾性体シート12、弾性体シート14の両方ではなく一方のみをゲルシートとしてもよい。また、ゲルシートの替わりに、同様の自己粘着性と弾性を有する材質のシートを用いてもよい。また、剥がすときに破れ難い両面テープ、例えばポリエチレンテレフタラート(PTE)を基材とする両面テープを用いてもよい。
【0025】
図3(b)はパネル基板15の上での導光体群13の各導光体の配列を示す。同図に示すように、導光体群13は、静電容量式スイッチのタッチ位置に対応した位置に複数の導光体103a〜103jが配列されている。また、各導光体に対応して1つまたは複数の光源が、パネル基板15に実装されている。例えば、戻るキー101cを照明するために導光体103cと1つの光源106cが設けられ、‘+’‘−’キー101gを照明するために導光体103gと2つの光源106gが設けられている。また、ジョグホイール101dを照明するために導光体103dと4つの光源106dが設けれている。
【0026】
図4は、戻るキー101cの部位における静電容量スイッチの断面構造を示す図である。すでに説明したように、パネルカバー11、弾性体シート12、導光体103c、弾性体シート14、パネル基板15の5層の積層構造となっており、途中に空気層は存在しない。
【0027】
パネルカバー11の裏面側の面には黒インクの印刷によって遮光層101kが形成されている。遮光層101kには部分的に黒インク印刷されていない所定形状の光透過部を持つ透過図形部101mが形成されている。透過図形部101mは上面から見ると意味のある図形となっており、この例では、図2(b)の戻るキー101cのように、「戻り矢印」の記号とその周りを矩形の線で囲んだ図形となっている。パネルカバー11は透光性なので、透過図形部101mをバックライトで背後(下)から照明すれば図形を使用者に視認させることができる。バックライトを消灯すると図形は黒くなるので図形は視認されない。発明者らの実験によると、パネルカバー11は、半透過性のグレースモークの材質とすると、バックライト消灯時に透過図形部101mが非常に視認し難く事実上不可視となり、図形表示ON/OFFのコントラストを高めることができる。パネルカバー11は一枚の板体からなるので、バックライトが消灯されたら、電源ボタン111、ジョグホイール101d、OKキー101eを除いてスイッチは存在感がなくなり、使用者に混乱を与えることなく且つ美観上も好ましい。
【0028】
パネル基板15には、1箇所に半導体光源からなる光源106cが実装されている。半導体光源としてはLEDやOLEDが用いられる。光源106cの光の射出方向はパネル面に対して水平な方向で且つ導光体103cに対して導光体103cの側面から光が入射される方向である。光源106cが点灯すると、導光体103cに拡散光束が入射する。入射した拡散光束は導光体103cの中で反射を繰り返して伝播する。導光体103cの下面の一部には白塗料の塗布によって拡散面103c−aが形成されている。拡散面103c−aに当たった光は拡散反射して一部は上方向(矢印Rの方向)に拡散する。この光の一部は透過図形部101mから外部に射出され残りは遮光層101kでは遮られる。これにより、「戻り矢印」が図形として使用者に視認される。このように、光源と導光体とでバックライトが構成されている。
【0029】
パネル基板15には、パネルカバー11表面の指先Fのタッチ位置の直下に、戻るキー101cのスイッチング状態の検知のため1つの電極105gが実装されている。さらに、パネル基板15には各電極に電気接続された信号処理回路(プロセッサを含む)が実装されている。信号処理回路は、電極で検出した静電容量変化をデジタルデータに変換し信号処理によってスイッチング状態(タッチの有無)をON/OFFとして判定する。パネルカバー11にタッチした使用者の指先Fと電極105gとの間は一種のコンデンサとなって、指先Fがパネルカバー11の表面に触れると静電容量が変化する。信号処理回路は、電極105gによって静電容量の変化を検知することでタッチの有無を検知する。タッチスイッチの入力を有効にした場合には、電極による検知される静電容量が所定の閾値を越えたらスイッチ入力された(スイッチON)と判断する。一方、タッチスイッチの入力を無効にした場合には、電極による静電容量の検出を無視するまたは上記所定の閾値を高くする。
【0030】
パネル基板15には、電極105gの位置に貫通孔105tが形成されており、弾性体シート14で広い面積を密着させる際には貫通孔105tから空気が逃げて、弾性体シート14と電極表面との間に空気層ができにくい。このように、弾性体シート14に密着性の高いゲルシートを採用するとともパネル基板15に貫通孔を設けたことの相乗効果で操作パネル組み立ての際に空気層が入り込みにくくなっている。なお、貫通孔105hは電極105gを貫通せずに、電極105gの近傍に位置するようにしてもよい。
【0031】
次に、上述したそれぞれのキーに使用される導光体のついて詳細に説明する。ここでは一例として、戻るキー101cを取り上げるが、他のキーの一部(ファンクションキー101a、矢印キー101f)も同様の構造を有する。図5は、戻るキー101cに対応した導光体103cの構造を示し、図5(a)は上面図、図5(b)は斜視図である。導光体103cは透明なガラスまたはプラスチックからなり、上方から見た形状が矩形状である。導光体103cに隣接して、対応する1つの光源106cが設けられている。導光体103dは平行な第1面103c−c(上面)と第2面(下面)を有し、第2面の一部(光源から見て遠い第2領域)には拡散面103c−aが形成されている。拡散面103c−aは、戻るキーの図形をなす光透過部を包含する範囲に対応して形成されている。拡散面103c−aは、図5の例と同様、導光体の表面に白色塗料が印刷や手作業によって塗布されたもので、ここに入射した光は塗料の微細な凹凸によって拡散反射する。導光体103cの第2面で拡散面103c−aが形成されていない第1領域には全反射部103c−bが形成されている。全反射部103c−bならびに第1面103c−cはともに鏡面加工され、光が全反射または透過する。導光体103cの光源106cからの光が入射する側の側面103c−d(所定の入射側面)は、鏡面加工された非拡散面であり、且つ上方から見て凹の円弧形状となっている。入射側面が非拡散面であることと凹の円弧形状であることとが相俟って、光源106cから発する光が効率よく入射される。導光体103cの側面103c−dに対向する奥側の側面103c−eは、シボ加工され、もしくは鏡面加工に白色塗料が塗布されて、拡散面となっており、ここに入射した光を拡散反射する。導光体103dの両側の側面103c−fも同様に、シボ加工もしくは鏡面加工に白色塗料が塗布された拡散面となっている。このように、導光体103cの第2面の一部には拡散面103c−a(第1拡散面)が形成され、且つ、複数の側面のうち入射側面以外の側面は拡散面(第2拡散面)となっている。
【0032】
図4に示すように、光源106cから射出した光は、側方から見たとき矢印P方向と矢印Q方向で挟まれる光源の指向性角度の範囲内で、入射側面から導光体103c内に導入される。矢印P方向に進んだ光は、導光体103cの第2面の全反射部103c−bに入射する。入射角が臨界角よりも大であるので全反射部103c−bで全反射し、光量ロスがほとんどなく導光体の奥へと光が導入される。矢印Q方向へと進んだ光も同様に、導光体103cの第1面103c−bに入射して全反射し、光量ロスがほとんどなく導光体103cの奥へと光が導入される。導光体103cの中に導入された光のうち、拡散面103c−aに入射した光はここで拡散反射される。拡散反射光のうち第1面に向かう方向(矢印R方向)に進んだ光は、透過図形部101mの光透過部を上方に抜けて、使用者が視認することが可能となる。このように、導光体の第2面の光源に近い第1領域に形成された全反射部103c−bでは、導光体の材質と空気または弾性シートとの屈折率差から定まる臨界角よりも大きな角度で光が入射して全反射するので光量ロスがほとんどない。一方、光源から遠い第2領域に形成された拡散面103c−aでは、光を透過しない白色塗料が塗られているので導光体に接する媒質が存在せず、全反射は起きずに拡散反射する。
【0033】
また、上方から見ると、図5(a)のように、光源106cから射出した光は導光体の側面103c−dから入射して、矢印Jのように発散して進行する。側面103c−dは拡散面ではないのでここでの光量ロスは少ない。そして、奥側の側面103c−eおよび両側の側面103c−fに入射した光は拡散反射される。拡散反射した光の一部は第2面の拡散面103c−aに入射してさらに拡散反射され、透過図形部を照明する。このように、光源106cから光が届きにくい側面を拡散面としているので、側面付近で部分的な明度低下を軽減することができる。加えて、光源に近い側の側面103c−dでの光量ロスが少ないので全体の明度も向上する。
【0034】
加えて、光源106aと拡散面103c−aとの間に、全反射による光伝達手段(全反射部103c−bとその対向面)が設けられた構成となっている。そのため、光源106aと拡散面103c−aとを隣接させずに、距離Hだけ離れた配置関係とすることができる。距離Hは光源106cが持つ所定の指向性角度に応じて定められた距離である。この構成によれば、光束が拡がった後に拡散面103c−aに入射するので、拡散面103c−aが大きな面積を有していたとしても、全体を均一に照明することができる。仮に距離Hが短いと、入射した光束が拡散面103c−aの領域で扇状に発散するので、光が届かないデッド領域が生じて、その部分だけ暗くなってしまい均一な照明が困難となる。このように、全反射による光伝達手段を設けることによってデッド領域が生まれることを抑制している。
【0035】
以上のように本実施形態の装置によれば、導光体の工夫によって、タッチスイッチが広い面積を有していたとしても、背後から照明する光が明るく且つ明度ムラが少なく、これを少ない数の光源で実現している。
【0036】
また、以上説明した画像読取装置では、原稿圧板の上面に静電容量式のタッチスイッチを有する操作パネルが設けられている。タッチスイッチには静電容量と感圧式があるが、静電容量式は感圧式よりもスイッチ面を強固にすることができる。使用者が画像読取装置の原稿圧板に手を置いて原稿を押さえ付ける際にスイッチ面を押したとしても、より大きな押さえ力に耐えることができる。また、画像入力装置の原稿圧板の上面はもっとも物が触れ易い露出面であり、使用者が不用意に異物をぶつけたり飲料液などをこぼす可能性が大きい。静電容量式のスイッチ面は感圧式よりも、そのような局所的な衝撃や液体付着に対しても耐性が高い。また、入力が有効なキーに対応したバックライトだけを発光させるようにすれば、操作に不慣れな使用者にも混乱を与えることはない。加えて、使用者が原稿圧板で原稿を押さえ付ける際に使用しないキーに対応したタッチスイッチのバックライトが消灯していればスイッチの存在感がなくなるので、操作パネルに手を掛けるのにも心理的な抵抗が少ない。
【符号の説明】
【0037】
1 パネル部
11 パネルカバー
13 導光体群
15 パネル基板
103c 導光体
103c−a 拡散面
106c 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の光透過部を有するパネルと、
第1面、第2面および複数の側面を有し、前記第1面が前記パネルに面する導光体と、
前記導光体の所定の入射側面に対向して配置された光源と、
前記導光体の前記第2面の側で前記光透過部に対応した位置に設けられ、静電容量を検知することで前記パネルに使用者がタッチしたか否かのスイッチング状態を検知するための電極と、を備え、
前記導光体の前記第2面には、前記光源に近い第1領域に反射部が形成され、前記反射部よりも前記光源から離れた第2領域に前記光透過部を含む範囲に対応して第1拡散面が形成されており、さらに前記導光体は前記入射側面は非拡散面であり且つ前記複数の側面のうち前記入射側面以外の側面は第2拡散面となっており、
前記光源が発光して前記入射側面から前記導光体に入射した光は、前記反射部と前記第1面で全反射して前記第1拡散面および前記第2拡散面に導かれ、拡散反射光の一部は前記光透過部を照明することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記入射側面は凹の円弧形状を有していることを特徴とする、請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記パネルと前記導光体の前記第1面は密着しており、前記導光体の前記第2面と前記電極は密着していることを特徴とする、請求項1または2記載の操作装置。
【請求項4】
前記パネルと前記導光体の前記第1面は透光性で非導電性の第1弾性体シートを介して密着しており、前記導光体の前記第2面と前記電極は非導電性の第2弾性体シートを介して密着していることを特徴とする、請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作装置には複数のタッチスイッチが配列され、各タッチスイッチに対応して前記光透過部、前記導光体、前記光源および前記電極が設けられており、入力が有効なタッチスイッチに対応した図形を表示させ且つ入力が無効なタッチスイッチに対応した図形を非表示とするように、各タッチスイッチに対応した前記光源の点灯を制御する制御部を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、
前記原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板と、
前記原稿圧板の上面に設けられた、請求項1から5のいずれか記載の操作装置と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
所定形状の光透過部を有するパネルと、
第1面、第2面および複数の側面を有し、前記第1面が前記パネルに面する導光体と、
前記導光体の所定の入射側面に対向して配置された光源と、
を備え、
前記導光体の前記第2面には、前記光源に近い第1領域に反射部が形成され、前記反射部よりも前記光源から離れた第2領域に前記光透過部を含む範囲に対応して第1拡散面が形成されており、さらに前記導光体は前記入射側面は非拡散面であり且つ前記複数の側面のうち前記入射側面以外の側面は第2拡散面となっており、
前記光源が発光して前記入射側面から前記導光体に入射した光は、前記反射部と前記第1面で全反射して前記第1拡散面および前記第2拡散面に導かれ、拡散反射光の一部は前記光透過部を照明することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258382(P2011−258382A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131253(P2010−131253)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】