説明

操作装置及び画像形成装置

【課題】タッチパネルを備える操作装置の操作性を向上させる。
【解決手段】1或いは複数の操作ボタンA〜Fをタッチパネル8上に表示させ、該タッチパネル8上における操作者の接触位置に基づいて前記操作ボタンA〜Fが操作されたか否かを判定する操作装置であって、前記タッチパネル8上における前記操作ボタンA〜Fの表示領域と接触検知領域a〜fとがズレて設定されているとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等に備えられる操作装置には、例えば、タッチパネルを備えるものがあり、そのような操作装置においては、一般的に、操作ボタンをタッチパネルに表示し、操作者がタッチパネルに触れると、操作者が触れた位置が操作ボタンの表示領域内であれば、操作ボタンに対応する操作内容を受け付けるようにされている。
また、操作装置には、タッチパネルの向きを変更可能としているものもある。そのような操作装置としては、特許文献1や特許文献2に示すものがある。
【0003】
画像形成装置に設けられる操作装置は、一般に、平均的な身長の操作者が立った姿勢で操作しやすいように設けられている。例えば、操作装置の位置が操作者の腰の高さあたりとなるのであれば、タッチパネルは上方を向けて設けられる。そして、タッチパネルの向きを変更可能としてある操作装置では、操作者の身長の高低や、或いは車椅子等に座った状態で操作する操作者を考慮し、タッチパネルを傾斜させることにより画像形成装置の正面に位置する操作者の方を向くようにされている。例えば、身長が高い操作者は、視点が画像形成装置の上方になるので、タッチパネルを上方に向けた状態で操作を行うであろうし、身長が低い操作者や座った状態で操作する操作者は、視点が画像形成装置の側方になるので、タッチパネルを傾斜させ操作者側を向けた状態で操作を行うであろうと想定される。
【特許文献1】特開2002−361968号公報
【特許文献2】特開2003−323084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、タッチパネルを傾斜させずに操作装置を用いる操作者と、タッチパネルを傾斜させて操作装置を用いる操作者とを比較すると、前者は、立った状態で操作するためにタッチパネルに触れる際に指を高い位置から接近させ、後者は、身長が低いか座った状態で操作するためにタッチパネルに触れる際に指を低い位置から接近させる。つまり、前者と後者とでは、タッチパネルに触れる際の指の接近方向が異なる。
前者は、上方を向いたタッチパネルに上方から触れるので、操作ボタンの表示領域に触れようとするとき、指先がタッチパネルの面に対して略垂直に移動して操作ボタンの表示領域に接近するので、位置ずれなく触れることができる。しかし、後者は、タッチパネルに低い位置から触れるので、指先がタッチパネルの面に対して略平行に移動しながら操作ボタンの表示領域に接近するために、操作ボタンの表示領域よりもやや手前で指先が触れてしまう傾向がある。この場合、操作ボタンの表示領域ではないところに触れたことになるので、操作者の意図する操作内容が受け付けられない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、タッチパネルを備える操作装置の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、操作装置に係る第1の手段として、1或いは複数の操作ボタンをタッチパネル上に表示させ、該タッチパネル上における操作者の接触位置に基づいて前記操作ボタンが操作されたか否かを判定する操作装置であって、前記タッチパネル上における前記操作ボタンの表示領域と接触検知領域とがズレて設定されているものを採用した。
【0007】
また、操作装置に係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記タッチパネルは、向きの変更可能に支持されているものを採用した。
【0008】
操作装置に係る第3の手段として、上記第2の手段において、前記操作ボタンの表示領域と接触検知領域とのズレ量が、前記タッチパネルの向きに応じて設定されるものを採用した。
【0009】
操作装置に係る第4の手段として、上記第2又は3の手段において、前記タッチパネルは、仰角を変更可能に支持されており、接触検知領域は、前記操作ボタンの表示領域の下側にズレて設定されるものを採用した。
【0010】
また、本発明では、画像形成装置に係る第1の手段として、トナーを用いて所定の記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、上記第1〜第4の手段の何れかに記載の操作装置を備えるものを採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作ボタンの表示領域と接触検知領域とがズレて設定されているので、ある操作ボタンの表示領域を見ている操作者がその表示領域に触れようとしたときに実際に触れてしまう位置が表示領域からズレる傾向があっても、操作者が実際に触れる範囲を接触検知領域に含めることによって、タッチパネルを備える操作装置の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態である複写機1について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における複写機1と操作者との位置関係を示す模式図であり、(a)は操作者が立っている状態のもの、(b)は操作者が例えば車椅子等に座っている状態のものである。図2は、複写機1の機能構成を示すブロック図である。本複写機1は、操作表示部2、画像読取部3、画像記憶部4、画像処理部5、印刷部6及び制御部7を備えている。
【0013】
操作表示部2は、図3に示すようなタッチパネル8や図示しないハードキー等と、パネル支持部9とから構成されている。パネル支持部9は、タッチパネル8の下辺を回動自在に且つ段階的に角度を保持するように支持し、これにより、タッチパネル8を向きの変更可能に支持している。操作表示部2は、制御部7から入力された表示指示に基づいて文字や図形などで各種情報をタッチパネル8に表示させると共に、操作者による各種操作指示を受け付け、当該操作指示内容を示す電気信号を制御部7に出力する。また、操作表示部2は、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報を制御部7に出力する。そして、操作表示部2は、タッチパネル8が、図1(a)に示す基本の位置から、例えば図1(b)に示す位置に起こされている場合には、基本の位置からの回動角度θ(仰角の角度)を示す情報を制御部7に出力する。
図3は、タッチパネル8の画面を示す模式図である。タッチパネル8は、操作者が選択可能な各種機能を示す操作ボタンA〜Fを表示する。また、タッチパネル8は、各操作ボタンA〜Fに対応する操作内容を操作者から受け付ける接触検知領域a〜fを設定する。ここで、タッチパネル8は、図1(a)に示すようにタッチパネル8が起こされていない場合には、接触検知領域a〜fを、各々に対応する操作ボタンA〜Fが表示されている領域と同一の領域に設定する。また、タッチパネル8は、図1(b)に示すようにタッチパネル8が起こされている場合には、接触検知領域a〜fを、各々に対応する操作ボタンA〜Fが表示されている領域から下へ変位量αだけずらした領域に設定する。変位量αは、タッチパネル8の回動角度θが大きくなるにしたがって大きく設定される。
【0014】
画像読取部3は、原稿自動送り装置3aと、スキャナ部3bと、を備えている。このような画像読取部3は、制御部7による制御の下に、原稿自動送り装置3aから供給された原稿の画像をスキャナ部3bで順次読み取り、原稿画像の色彩を示すカラー画像データを画像記憶部4に出力する。
画像記憶部4は、ハードディスク等の外部記憶装置或いは/及び半導体メモリから構成されており、画像読取部3から入力された原稿画像のカラー画像データを記憶する。この画像記憶部4は、制御部7による制御の下に、上記原稿画像のカラー画像データの書き込みを行うと共に、当該カラー画像データを読み出して画像処理部5に出力する。
画像処理部5は、制御部7による制御の下に、画像記憶部4から入力されたカラー画像データを印刷用のカラー画像データに画像変換して印刷部6に出力する。
印刷部6は、制御部7による制御の下に、印刷紙を搬送しつつ当該印刷紙にトナーを付着させることにより上記カラー画像データに基づいて原稿画像を印刷紙上に形成するものであり、周知の給紙カセット、感光ドラム、露光装置、定着装置、排紙トレイ等を備えている。
【0015】
制御部7は、操作表示部2から入力される操作指示、内部メモリに記憶された制御プログラム及び各種制御用データ等に基づいて、複写機1の全体動作を制御するものである。即ち、制御部7は、上記制御プログラム、操作指示及び各種制御用データ等に基づいて制御演算を行うCPU(Central Processing Unit)及び他の各部(つまり操作表示部2、画像読取部3、画像記憶部4、画像処理部5及び印刷部6)とのデータ授受を行う各種入出力インタフェース回線等から構成されており、上記他の各部を統括的に制御し、画像読取部3が読み取った原稿画像を印刷部6で複写印刷させる。
制御部7は、タッチパネル8を制御して、操作ボタンA〜Fを表示させると共に、タッチパネル8の回動角度θに応じた接触検知領域a〜fを設定させる。
【0016】
次に、本複写機1の動作について説明する。操作者が、原稿自動送り装置3aに原稿をセットし、操作表示部2のスタートキーを押下すると、操作表示部2は、スタートキーが押されたことを示す電気信号を制御部7に出力する。制御部7は、操作表示部2から、スタートキーが押されたことを示す電気信号を入力されると、画像読取部3を制御して、画像読取部3に原稿画像を読み取らせ、原稿画像の色彩を示すカラー画像データを画像記憶部4に出力させる。続いて制御部7は、画像記憶部4を制御し、画像記憶部4に、画像読取部3から入力されるカラー画像データの書き込みを行わせると共に、当該カラー画像データを読み出して画像処理部5に出力させる。次に制御部7は、画像処理部5を制御し、画像処理部5に、画像記憶部4から入力されたカラー画像データを印刷用のカラー画像データに画像変換して印刷部6に出力させる。そして制御部7は、印刷部6を制御し、印刷部6に、印刷紙を搬送しつつ当該印刷紙にトナーを付着させることにより上記カラー画像データに基づいて原稿画像を印刷紙上に形成させ、印刷物を複写機1の外部へ排出させる。
【0017】
また、制御部7は、タッチパネル8に、操作ボタンA〜Fを表示させると共に、操作ボタンA〜Fに対応する操作内容を操作者から受け付ける接触検知領域a〜fを設定する。操作者がタッチパネル8に触れると、タッチパネル8は操作者が触れた位置情報を制御部7に出力する。制御部7は、タッチパネル8から入力された位置情報に基づいて、操作者が触れた位置がどの接触検知領域a〜fに含まれるのかを判断し、操作者が触れた位置に合致する接触検知領域a〜fに対応する操作内容を受け付けたとし、操作内容にしたがって各部を動作させるように制御する。
また、操作者が、タッチパネル8を図1(a)に示す基本の位置から例えば図1(b)に示す位置に起こした場合には、操作表示部2は、基本の位置からの回動角度θを示す情報を制御部7に出力する。制御部7は、操作表示部2からタッチパネル8の回動角度θを示す情報が入力された場合には、接触検知領域a〜fを、タッチパネル8の回動角度θに応じて、各々が対応する操作ボタンA〜Fが表示されている領域から下へ変位量αだけずらした領域に設定する。操作者がタッチパネル8に触れると、タッチパネル8は操作者が触れた位置情報を制御部7に出力する。制御部7は、タッチパネル8から入力された位置情報に基づいて、操作者が触れた位置がどの接触検知領域a〜fに含まれるのかを判断し、操作者が触れた位置に合致する接触検知領域a〜fに対応する操作内容を受け付けたとし、操作内容にしたがって各部を動作させるように制御する。
【0018】
ここで、タッチパネル8を起こして使うと想定される視点の低い操作者は、タッチパネル8に触れる際には、低い位置から触れるために、操作ボタンA〜Fの表示領域よりもやや下方で指先が触れてしまう傾向があるが、上記のように、タッチパネル8の回動角度θに応じて接触検知領域a〜fが下方へ変位するようにされていると、操作者が、操作ボタンA〜Fの表示領域よりもやや下方に触れてしまっても、操作者の意図する操作内容を受け付けるようにすることができる。
【0019】
なお、本実施形態では、接触検知領域a〜fを、タッチパネル8の回動角度θに応じた変位量αだけ、操作ボタンA〜Fよりも下方にずらして設定するとしているが、実施にあたっては、接触検知領域a〜fを、操作ボタンA〜Fと同一の領域を変位量αだけ下方へ延ばしたものとしてもよいし、また、操作ボタンA〜Fと同一の領域を変位量αだけ上下左右に広げたものとしてもよい。
また、本実施形態では、タッチパネル8の下辺を回動自在に支持することによってタッチパネル8の仰角を変更可能にしているが、実施にあたっては、タッチパネル8の上辺を回動自在に支持することによってタッチパネル8の仰角を変更可能にしてもよい。更に、実施にあたっては、タッチパネル8の右辺又は左辺を回動自在に支持する等の手段によって、左右に向きの変更可能にタッチパネル8を支持してもよく、この場合にも、タッチパネル8の向きに応じて、操作ボタンA〜Fの表示領域を見ている操作者が実際に触れる位置の傾向に合わせて、操作ボタンA〜Fの接触検知領域a〜fを設定する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態における複写機と操作者((a)は操作者が立っている状態、(b)は操作者が座っている状態)との位置関係を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態における複写機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における複写機が備えるタッチパネルの表示例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1…複写機、 2…操作表示部、 3…画像読取部、 3a…原稿自動送り装置、 3b…スキャナ部、 4…画像記憶部、 5…画像処理部、 6…印刷部、 7…制御部、 8…タッチパネル、 9…パネル支持部、 A〜F…操作ボタン、 a〜f…接触検知領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1或いは複数の操作ボタンをタッチパネル上に表示させ、該タッチパネル上における操作者の接触位置に基づいて前記操作ボタンが操作されたか否かを判定する操作装置であって、
前記タッチパネル上における前記操作ボタンの表示領域と接触検知領域とがズレて設定されていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは、向きの変更可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作ボタンの表示領域と接触検知領域とのズレ量が、前記タッチパネルの向きに応じて設定されることを特徴とする請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、仰角を変更可能に支持されており、
接触検知領域は、前記操作ボタンの表示領域の下側にズレて設定される
ことを特徴とする請求項2又は3記載の操作装置。
【請求項5】
トナーを用いて所定の記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、請求項1〜4の何れかに記載の前記操作装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−310050(P2007−310050A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137402(P2006−137402)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】