説明

操作装置

【課題】 迅速な故障診断を可能とする操作装置を提供する。
【解決手段】 スイッチ群1が操作された場合(S130:YES)、S140にて、フォトインタラプタ診断処理を実行する。フォトインタラプタ診断処理では、操作ノブの移動があったか否かを判断し、操作ノブの移動があった場合、操作ノブの移動量に合わせ、操作ノブに中央へ向かう反力を付与する。一方、スイッチ群2が操作された場合(S130:NO)、S150にて、スイッチ診断処理を実行する。スイッチ診断処理では、スイッチ照明を点滅させる。また、スイッチ診断処理では、A〜Eのいずれかのスイッチ66が押下されたか否かを判断し、スイッチが押下されたと判断された場合、押下されたスイッチに合わせ、操作ノブを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて用いられる操作装置に関し、特に、操作ノブにユーザ操作に基づく反力を付与可能な操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばナビゲーション装置や、エアコン、オーディオ等の車載機器に対する操作を、車両に搭載される表示器の画面(以下「車両画面」という)で指示する技術が知られている。この車両画面は例えば液晶ディスプレイなどで構成され、液晶ディスプレイに表示されるボタン等の選択項目画像の位置が指示されることで、それに応じて車載機器が操作される。
【0003】
このような技術では、運転者の運転中の視点移動を軽減する必要性から、車両画面は、運転者前方のできるだけ上方かつ遠い位置に配置することが好ましい。一方、車両画面における位置を指示するための操作部については、運転者の手もとに配置することが好ましい。
【0004】
そこで、車両画面を操作部から離して配置した遠隔操作システムが実用化されている。このようなシステムの中には、操作部の操作ノブの可動範囲が車両画面に一対一に対応しているものがあり(絶対操作)、操作性の向上を図るようにしたものが知られている。つまり、操作ノブで移動するカーソルが操作ノブに対応する車両画面の位置に表示され、このカーソルによって車両画面の位置を指示する。このとき、操作ノブに対し車両画面の表示内容に応じた反力(抵抗力やアシスト力)を加えることで、触覚的に運転者の操作をサポートし、操作性を向上させる技術が提案されている。
【0005】
ところで、このような操作装置の一部に故障が生じると、当然ながら、操作性の向上は見込めない。そのため、操作装置の故障をいち早く発見できることが好ましい。例えば、操作装置にはX方向及びY方向への操作ノブの移動量を取得するためのフォトインタラプタが搭載されているが、このフォトインタラプタの故障を発見するため、従来、操作ノブの位置に対応付けて設定された照明パターンに基づいてスイッチ照明用LEDの輝度をDuty制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−111304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来技術はスイッチ照明用LEDの輝度の変化を目視するものであるため、車室内が明るい場合は、その輝度の微妙な変化が分かり難くなる虞がある。結果として、迅速な故障診断が困難となることが懸念される。
【0008】
なお、操作装置を他の装置(例えばディスプレイなど)に接続することでこのような課題を解決することも考えられるが、特に車両への組み付け前の出荷検査などを考えると、操作装置単体で故障診断可能とすることが望ましい。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、周囲が明るい状況であっても装置単体で迅速な故障診断を可能とする操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の操作装置は、車両の有する画面である車両画面に一対一に対応する操作範囲を有するものであり、操作ノブ、フォトインタラプタ、モータユニット、及び、スイッチを備えている。
【0011】
操作ノブは、ユーザによる操作に応じ、操作範囲で少なくともX方向及びY方向へ移動する。操作ノブは、スライド式のものであってもよいし、傾倒式のものであってもよい。また、「少なくとも」としたのは、押下操作が可能な操作ノブでは、Z方向へ移動するものが考えられるためである。
【0012】
フォトインタラプタは、操作ノブの移動量を取得するための構成である。これにより、操作ノブの操作範囲における移動位置が取得されることになる。
モータユニットは、フォトインタラプタからの信号に基づき、操作ノブに反力を付与する。ここでいう「反力」は、例えばユーザ操作に基づくものだけでなく、ユーザ操作とは無関係に操作ノブを移動させるためのものも含まれる。
【0013】
スイッチは、例えば、押下式のスイッチとして具現化される。具体的には、複数のスイッチが、操作ノブの周囲に配置されるという具合である。ただし、単一のスイッチが配置される場合も含み、また、操作ノブの周囲に配置されることに限定されない。
【0014】
ここで特に本発明では、故障診断処理を実行可能となっている。故障診断処理では、ユーザ操作に応じ操作ノブに対して反力を付与することによって故障が診断される。なお、「ユーザ操作」には、操作ノブに対する操作だけでなく、スイッチに対する操作も含まれる。
【0015】
つまり、本発明では、ユーザの何らかの操作に対し、操作ノブへの反力の付与によって診断を行うのである。このようにすれば、操作ノブを操作することで触覚を通じて、あるいは、操作ノブを目視することで視覚を通じて、故障を判断することができる。その結果、周囲が明るい状況であっても装置単体で迅速な故障診断が可能となる。結果として、車両搭載後において車室内が明るい場合であっても迅速な故障診断が可能となる。また、装置単体での故障診断が可能でるため、車両への組み付け前の出荷検査が容易になる。
【0016】
故障判断処理は、具体的には、請求項2に示すように、操作ノブの移動量に応じて当該操作ノブの移動を妨げる反力としての抵抗力を付与するフォトインタラプタ診断処理を含むことが例示される。フォトインタラプタは操作ノブの移動量を取得する構成であるため、その診断にあたって、移動量に応じた反力を付与するのである。このようにすれば、触覚を通じてフォトインタラプタの故障を発見することができる。
【0017】
このとき、X方向についての診断とY方向についての診断とが考えられるため、請求項3に示すように、フォトインタラプタ診断処理では、X方向及びY方向へのそれぞれの移動量に比例する抵抗力を操作ノブへ付与することが考えられる。つまり、両方向のそれぞれで、大きく操作ノブを移動させるほど、大きな抵抗力を付与するのである。このようにすれば、触覚を通じてフォトインタラプタの故障を発見できるという効果が際立つ。
【0018】
なお、X方向及びY方向を別々に診断できることが好ましい。そこで、請求項4に示すように、フォトインタラプタ診断処理では、操作ノブの移動量に応じた抵抗力と共に、X方向及びY方向のうち一方の方向への操作中に他方の方向への移動が妨げられるような抵抗力を付与することが考えられる。例えば、図11(c)に斜線を施して示すような範囲への移動を阻止するような反力を付与するという具合である。このようにすれば、X方向及びY方向への操作ノブの移動を方向別に行い易くなる。
【0019】
また、故障判断処理は、具体的には、請求項5に示すように、スイッチの押下に応じて操作ノブを所定パターンで移動させるような反力を付与するスイッチ診断処理を含むことが例示される。つまり、スイッチを押下した際、所定パターンで操作ノブが動くのである。このようにすれば、視覚を通じてスイッチの故障を発見することができる。
【0020】
例えば、請求項6に示すように、スイッチ診断処理では、押下されたスイッチに近づけるように操作ノブに対する反力を付与することが考えられる。この場合、操作ノブの周囲にスイッチが配置されていることを前提に、押下されたスイッチに近づくように操作ノブが動く。このようにすれば、スイッチと操作ノブの動きとが容易に対応付けられるため、視覚を通じてスイッチの故障を発見することができるという効果が際立つ。
【0021】
また、請求項7に示すように、スイッチが固有の照明部を有していることを前提とした場合、スイッチ診断処理では、照明部を点灯させるようにしてもよい。照明部は、例えばスイッチ毎に設けられるLEDとして具現化され、所定周期で点滅させられるという具合である。このようにすれば、照明部に対する診断を並行して行うことができる。また、この場合、従来技術と異なり、輝度を徐々に変化させるものでないため、明るい車室内であっても十分に視認可能となる。
【0022】
ところで、フォトインタラプタ診断処理やスイッチ診断処理は操作ノブに対する反力で故障を診断するものであるため、モータユニットが正常であることが前提となる。そこで、請求項8に示すように、故障診断処理は、操作ノブに抵抗力を付与するモータ診断処理を含むこととしてもよい。この場合、モータユニットが正常であることを判断できればよいため、操作ノブの移動量に関係なく、常に同一の反力(例えば最大反力)を操作ノブに付与することが考えられる。このようにすれば、モータユニットの故障診断を行うことができる。
【0023】
また、モータ診断処理はフォトインタラプタ診断処理やスイッチ診断処理の前提となるものであるため、請求項9に示すように、故障診断処理の最初に実行することが好ましい。これにより、フォトインタラプタ診断及びスイッチ診断が実効化される。
【0024】
なお、故障診断処理を行っている場合には、通常制御とは異なる制御がされる。そこで、請求項10に示すように、故障診断処理の開始及び終了の少なくとも一方を、モータユニットによる操作ノブへの反力の付与によって報知する診断報知処理を実行可能な構成としてもよい。これにより、故障診断処理と通常制御との切り替えタイミングが分かるため、ユーザの利便性が向上する。
【0025】
例えば、請求項11に示すように、診断報知処理では、所定のパターンで操作部を移動させるよう反力を付与することが考えられる。このようにすれば、故障診断処理の開始や終了が分かり易くなる。
【0026】
また例えば、請求項12に示すように、スイッチが固有の照明部を有していることを前提に、診断報知処理では、照明部を所定のパターンで点灯させることが考えられる。このようにすれば、故障診断処理の開始や終了が分かり易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は表示部及び操作部の車室内での配置状況を模式的に示す説明図であり、(b)は操作装置の外観を模式的に示す説明図である。
【図3】操作画面に対応する反力マップと操作ノブの可動領域における位置とを模式的に示す説明図である。
【図4】故障診断処理を示すフローチャートである。
【図5】診断モード移行処理を示すフローチャートである。
【図6】モータ診断処理を示すフローチャートである。
【図7】フォトインタラプタ診断処理を示すフローチャートである。
【図8】スイッチ診断処理を示すフローチャートである。
【図9】通常モード復帰処理を示すフローチャートである。
【図10】操作部の外観を模式的に示す説明図であり、(a)は診断モード移行処理を示し、(b)はモータ診断処理を示し、(c)はフォトインタラプタ診断処理を示す。
【図11】操作部の外観を模式的に示す説明図であり、(a)はスイッチ診断処理を示し、(b)は通常モード復帰処理を示し、(c)はフォトインタラプタ診断処理における反力マップの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置1は、車載器制御部10を中心に構成されている。この車載器制御部10は、装置各部を統括制御するためのものであり、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータとして構成されている。
【0029】
車載器制御部10には、位置検出部20、データ入力部30、音声出力部40、USB端子50、操作部60、及び、表示部70が電気的に接続されている。
位置検出部20は、GPS(Global Positioning System )用の人工衛星からの送信電波を受信して車両の位置座標を検出するGPS受信機、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ等から構成されている。そして、これらの各センサを互いに補完しながら使用することで車両の現在地を検出する。
【0030】
データ入力部30は、DVD−ROMやハードディスクドライブといった記憶媒体に格納されている各種プログラムや、ナビゲーション処理用の地図データ等の各種データを読み出すための装置である。
【0031】
音声出力部40は、各種情報を音声でユーザに報知するための装置である。これによって、表示部70による表示と音声出力部40からの音声出力との両方でユーザに対して各種情報の提供を行うことができる。
【0032】
USB端子50には、各種外部機器が接続可能となっており、ここにスマートフォン等の携帯端末が接続可能となっている。
操作部60は、ポインティングデバイスであり、操作ノブ61、操作制御部62、モータユニット63、操作ノブ61の移動量を検出するフォトインタラプタ64、操作ノブ61の押下操作を検出する押下検出センサ65、及び、5つの押しボタン式のスイッチ66を備えている。なお、5つの押しボタンスイッチ66を区別するため、以下では図中の記号を用いて「Aスイッチ66」、「Bスイッチ66」、「Cスイッチ66」、「Dスイッチ66」及び「Eスイッチ66」と記述する。また、後述する診断処理の実行を指示するために、A〜Cのスイッチ66が「スイッチ群1」となっており、D及びEのスイッチ66が「スイッチ群2」となっているものとする。さらにまた、A〜Cのスイッチ66は固有の照明部としてのLEDを有している。
【0033】
表示部70は、液晶ディスプレイ等の車両画面70aを有するカラー表示装置であり、車載器制御部10からの映像信号の入力に応じて各種画像を車両画面70aに表示する。
ここで、操作部60及び表示部70の配置について説明しておく。
【0034】
図2(a)に示すように、車両室内において、表示部70は、運転者の前方にあるダッシュボード71上で、運転席と助手席との中間となる位置に配置されており、運転者が表示部70の車両画面70aを見る際の視点移動が軽減されるようになっている。一方、操作部60は、運転席のすぐ横にあるセンターコンソール80の上面に配置されており、運転者が遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易に操作できるようになっている。
【0035】
操作部60の操作ノブ61は、二次元方向に可動するスライド式のノブである。図2(b)は、操作部60を上方から見た外観を示す。ここで操作ノブ61は、軸部の軸方向と垂直な平面に沿って、図2(b)のX方向及びY方向に可動する。操作ノブ61の可動領域は、車両画面70a(図1参照)の領域と縦横比の等しい長方形の領域となっている。また、操作ノブ61は、図2(b)のZ方向(図面の垂直方向)にも可動し、車両画面70aでの決定操作が可能となっている。
【0036】
操作制御部62は、フォトインタラプタ64からの信号に基づき、操作ノブ61のX方向及びY方向における位置を検出する。また、押下検出センサ65からの信号に基づき、操作ノブ61の押下操作、すなわち操作ノブ61による決定操作を検出する。さらにまた、操作制御部62は、モータユニット63を制御し、操作ノブ61に反力を付与する。なお、ここでいう反力は、ユーザ操作に応じたものだけでなく、操作ノブ61を可動領域内で移動させるようなものも含む。
【0037】
このような操作制御部62は、操作ノブ61の可動領域における位置を操作データとして車載器制御部10へ出力する。このとき、操作制御部62は、操作ノブ61の可動領域における位置と、車両画面70aにおける位置とを、一対一に対応させる。車載器制御部10は操作データに基づき操作ノブ16の可動領域に対応する位置にカーソルを表示するのであるが、表示されるカーソルは、操作ノブ61の可動領域に対応して車両画面70aの全域を移動することになる(絶対操作)。
【0038】
また、操作制御部62は、操作ノブ61の押下操作を操作データとして車載器制御部10へ出力する。これにより、車載器制御部10は、操作データに基づき、カーソル位置での決定操作がなされたものと判断する。
【0039】
さらにまた、操作制御部62には、車載器制御部10から反力マップを定義する反力情報が設定される。これにより、操作制御部62は、モータユニット63を介し、操作ノブ61に反力情報に従った反力を付与する。
【0040】
ここで、反力情報について説明しておく。
反力情報は、例えば、操作ノブ61の可動領域の座標と一対一に対応するマトリクス状のデータテーブルとして設定される。
【0041】
例えば図3は、車載器制御部10が設定する反力情報において定義される反力マップとカーソル位置に対応する操作ノブ61の位置とを模式的に示す図である。図3に示すように、操作画面における個々のボタンの位置及び形状に対応する範囲に引き込み反力の発生範囲H1,H2,H3(ハッチングを施して示す領域)が設定されている。
【0042】
図3に示す反力マップを定義する反力情報は、引き込み反力の発生範囲H1〜H3内にカーソルCが位置するとき、発生範囲H1〜H3の中心(図中の「+」印)に向けたアシスト力を操作ノブ61に加えるように定義される。これにより、カーソルCの指示位置をボタンの位置に合わせ易くなっている。
【0043】
本実施形態では、操作部60における故障検出に特徴を有する。そこで次に、操作制御部62が実行する故障診断処理を説明する。図4は、故障診断処理を示すフローチャートである。この故障診断処理は、車両のイグニッションキーが回動させられることによって実行される。
【0044】
最初のS100では、診断モード移行処理を実行する。この処理は、診断モードへの移行を利用者に報知するための処理である。詳細については後述する。
次のS110では、モータ診断処理を実行する。この処理は、各診断処理に先だってモータユニット63(図1参照)の診断を行うものである。
【0045】
次のS120では、スイッチ操作があったか否かを判断する。この処理は、5つのスイッチ66のいずれかが押下されたか否かを判断するものである。ここでスイッチ操作があったと判断された場合、S130へ移行する。一方、一定時間が経過してもスイッチ操作がない場合には(S120:NO)、S160にて通常モード復帰処理を実行し、その後、故障診断処理を終了する。
【0046】
S130では、操作されたスイッチがスイッチ群1に含まれるものであるか否かを判断する。スイッチ群1は、上述したようにA〜Cのスイッチ66からなる。ここでスイッチ群1が操作されたと判断された場合(S130:YES)、S140にてフォトインタラプタ診断処理を実行し、その後、S110からの処理を繰り返す。一方、スイッチ群1が操作されていない場合(S130:NO)、すなわちスイッチ群2が操作されたと判断された場合には、S150にてスイッチ診断処理を実行し、その後、S110からの処理を繰り返す。
【0047】
次に各処理の詳細について説明する。
S100の診断モード移行処理は、図5に示す如くである。
最初のS101において、操作ノブ61を駆動する。この処理は、図10(a)に示すように、操作ノブ61を右上角部→左上角部→左下角部→右下角部→中央部、というパターンで操作ノブ61を移動させるための反力を付与するものである。
【0048】
続くS102では、スイッチ66を点滅させる。この処理は、A〜Eのすべてのスイッチ66を、同一タイミングで点滅させるものである。
S110のモータ診断処理は、図6に示す如くである。
【0049】
最初のS111において、最大反力を発生させる。この処理は、操作ノブ61の操作に対し、中央へ戻す向きの反力である抵抗力を最大にするものである。これにより、図10(b)に示すように操作ノブ61が中央に固定されたような状態となる。
【0050】
続くS112では、スイッチ群1とスイッチ群2とを互い違いに点滅させる。つまり、A〜Cのスイッチ66のLEDが点灯している状態ではD及びEのスイッチ66のLEDが消灯し、A〜Cのスイッチ66のLEDが消灯している状態ではD及びEのスイッチ66のLEDが点灯することになる。
【0051】
図4中のS130にてスイッチ群1が操作された場合に移行するS140のフォトインタラプタ診断処理は、図7に示す如くである。
最初のS141において、操作ノブ61のユーザ操作による移動があったか否かを判断する。この処理は、操作ノブ61のX方向及びY方向への移動量を取得するものである。移動量の取得はフォトインタラプタ64によって行われる。ここで操作ノブ61の移動があったと判断された場合(S141:YES)、S142へ移行する。一方、一定時間が経過しても操作ノブ61の移動がない場合には、フォトインタラプタ診断処理を終了し、図4中のS110へ移行する。
【0052】
S142では、S141にて取得した移動量に合わせ、操作ノブ61に中央へ向かう反力である抵抗力を付与する。この処理は、図10(c)に示すように、操作ノブ61の中央からの移動量が大きくなるほど、大きな抵抗力を付与するものである。
【0053】
また、図4中のS130にてスイッチ群2が操作された場合に移行するS150のスイッチ診断処理は、図8に示す如くである。
最初のS151において、スイッチ66のLEDを点滅させる。この処理は、図5中のS102と同様のものであり、A〜Eのすべてのスイッチ66のLEDを、同一タイミングで点滅させる。
【0054】
続くS152では、A〜Eのいずれかのスイッチ66が押下されたか否かを判断する。ここでスイッチ66が押下されたと判断された場合(S152:YES)、S153へ移行する。一方、一定時間が経過してもスイッチ66が押下されない場合には(S152:NO)、スイッチ診断処理を終了し、図4中のS110へ移行する。
【0055】
S153では、押下されたスイッチ66に合わせ、操作ノブを駆動する。この処理は、押下されたスイッチ66に近づけるように操作ノブ61を移動させるための反力を付与するものである。例えば図11(a)に示すように、Aスイッチ66が押下された場合は、二点鎖線及び矢印で示すように、Aスイッチ66へ操作ノブ61を近づける。B〜Eのスイッチ66でも同様である。
【0056】
さらにまた、図4中のS120にて一定時間スイッチ操作がないと判断された場合に移行するS160の通常モード復帰処理は、図9に示す如くである。
最初のS161では、操作61ノブを駆動し初期位置へ戻す。この処理は、図11(b)に示すように、操作ノブ61を右下角部→左下角部→左上角部、というパターンで操作ノブ61を移動させるための反力を付与するものである。本実施形態では、初期位置を左上角部としている。
【0057】
続くS162では、通常制御を開始する。この処理は、スイッチ66のLEDや反力の制御を車両の状態に合わせた通常制御に戻すものである。
次に、本実施形態のナビゲーション装置1が発揮する効果について説明する。
【0058】
本実施形態では、スイッチ群1が操作された場合(図4中のS130:YES)、S140にて、フォトインタラプタ診断処理を実行する。フォトインタラプタ診断処理では、操作ノブ61の移動があったか否かを判断し、操作ノブ61の移動があった場合、操作ノブ61の移動量に合わせ、操作ノブ61に中央へ向かう抵抗力を付与する。これにより、触覚を通じてフォトインタラプタ64の故障を発見することができる。
【0059】
しかも、このとき、図10(c)に示したように、操作ノブ61の中央からの移動量が大きくなるほど、大きな抵抗力を付与する。つまり、X方向及びY方向のそれぞれで、大きく操作ノブ61を移動させるほど、大きな抵抗力を付与するのである。これにより、触覚を通じてフォトインタラプタの故障を発見できるという効果が際立つ。
【0060】
また、本実施形態では、スイッチ群2が操作された場合(図4中のS130:NO)、S150にて、スイッチ診断処理を実行する。スイッチ診断処理では、スイッチ66のLEDを点滅させる。この処理は、A〜Eのすべてのスイッチ66のLEDを、同一タイミングで点滅させるものである。これにより、スイッチ66のLEDに対する診断を並行して行うことができる。また、この場合、輝度を徐々に変化させるものでないため、明るい車室内であっても十分に視認可能となる。
【0061】
また、スイッチ診断処理では、A〜Eのいずれかのスイッチ66が押下されたか否かを判断し、スイッチ66が押下されたと判断された場合、押下されたスイッチ66に合わせ、操作ノブ61を駆動する。つまり、スイッチ66を押下した際、所定パターンで操作ノブ61が動くのである。これにより、視覚を通じてスイッチ66の故障を発見することができる。
【0062】
しかも、このとき、図11(a)に示すように、Aスイッチ66が押下された場合は、二点鎖線及び矢印で示すように、Aスイッチ66へ操作ノブ61が近づく。これにより、スイッチ66と操作ノブ61の動きとが容易に対応付けられるため、視覚を通じてスイッチ66の故障を発見することができるという効果が際立つ。
【0063】
また、本実施形態では、フォトインタラプタ診断処理(図4中のS140)及びスイッチ診断処理(S150)に先立ち、S110にて、モータ診断処理を実行する。モータ診断処理では、最大反力を発生させる。この処理は、操作ノブ61の操作に対し、中央へ戻す向きの抵抗力を最大にするものである。これにより、モータユニット63の故障診断を行うことができる。また、モータ診断処理(S110)は、フォトインタラプタ診断処理(S140)及びスイッチ診断処理(S150)に先だって行われるため、フォトインタラプタ64及びモータユニット63の診断の実効性が確保される。
【0064】
さらにまた、本実施形態では、診断モード移行処理(図4中のS100)を診断に先だって実行する。診断モード移行処理では、操作ノブ61が所定のパターンで駆動される。また、スイッチ66のLEDが点滅させられる。また、本実施形態では、一定時間が経過してもスイッチ66の操作がない場合(S120)、通常モード復帰処理(S160)が実行される。通常モード復帰処理では、操作ノブ61が所定のパターンで駆動され、初期位置へ戻される。これにより、診断処理と通常制御との切り替えタイミングが分かるため、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、周囲が明るい状況であっても操作部60の機能として迅速な故障診断が可能となる。結果として、車両搭載後において車室内が明るい場合であっても迅速な故障診断が可能となる。
【0066】
なお、本実施形態における操作部60が「操作装置」に相当し、車両画面70aが「車両画面」に相当し、操作ノブ61が「操作ノブ」に相当し、フォトインタラプタ64が「フォトインタラプタ」に相当し、モータユニット63が「モータユニット」に相当し、5つのA〜Eのスイッチ66が「スイッチ」に相当し、各スイッチ66のLEDが「照明部」に相当する。
【0067】
また、図4中のS140のフォトインタラプタ診断処理が「フォトインタラプタ診断処理」に相当し、S150のスイッチ診断処理が「スイッチ診断処理」に相当する。また、S110のモータ診断処理が「モータ診断処理」に相当し、S100の診断モード移行処理及びS160の通常モード復帰処理が「診断報知処理」に相当する。
【0068】
以上、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
(イ)例えば、図4に示したフォトインタラプタ診断処理(S140)において、操作ノブ61をX方向及びY方向のいずれか一方へ容易に移動させられるように、図11(c)に斜線を施した範囲への移動を阻止するような反力マップを定義する反力情報を設定してもよい。このようにすれば、X方向及びY方向への操作ノブ61の移動を方向別に行い易くなる。
【0069】
(ロ)上記実施形態では車両へ搭載された操作部60の故障診断について述べたが、本実施形態の操作部60は単体での検査が可能な構成であるため、操作部60を車両へ組み付ける前の出荷検査の段階でも容易に故障を診断することができる。この場合、図4に示した故障診断処理が、例えば、操作部60への電源供給によって実行されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0070】
1…ナビゲーション装置
10…車載器制御部
20…位置検出部
30…データ入力部
40…音声出力部
50…USB端子
60…操作部
61…操作ノブ
62…操作制御部
63…モータユニット
64…フォトインタラプタ
65…押下検出センサ
70…表示部
70a…車両画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の有する画面である車両画面に一対一に対応する操作範囲を有する操作装置であって、
ユーザによる操作に応じ、前記操作範囲で少なくともX方向及びY方向へ移動する操作ノブと、
前記操作ノブの移動量を取得するためのフォトインタラプタと、
前記フォトインタラプタからの信号に基づき、前記操作ノブに反力を付与することが可能なモータユニットと、
ユーザ操作が可能なスイッチと、を備え、
ユーザ操作に応じ前記操作ノブに対して反力を付与することによって故障を診断する故障診断処理を実行可能であること
を特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、
前記故障診断処理は、前記操作ノブに移動量に応じて当該操作ノブの移動を妨げる反力としての抵抗力を付与するフォトインタラプタ診断処理を含むこと
を特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置において、
前記フォトインタラプタ診断処理では、X方向及びY方向へのそれぞれの移動量に比例する前記抵抗力を前記操作ノブへ付与すること
を特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の操作装置において、
前記フォトインタラプタ診断処理では、前記操作ノブの移動量に応じた前記抵抗力と共に、X方向及びY方向のうち一方の方向への操作中に他方の方向への移動が妨げられるような前記抵抗力を付与すること
を特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の操作装置において、
前記故障診断処理は、前記スイッチの押下に応じて前記操作ノブを所定パターンで移動させるような反力を付与するスイッチ診断処理を含むこと
を特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項5に記載の操作装置において、
スイッチ診断処理では、前記押下されたスイッチに近づけるように前記操作ノブに対する反力を付与すること
を特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の操作装置において、
前記スイッチは固有の照明部を有しており、
前記スイッチ診断処理では、前記照明部を点灯させること
を特徴とする操作装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の操作装置において、
前記故障診断処理は、前記操作ノブに前記抵抗力を付与するモータ診断処理を含むこと
を特徴とする操作装置。
【請求項9】
請求項8に記載の操作装置において、
前記モータ診断処理は、前記故障診断処理の最初に実行されること
を特徴とする操作装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の操作装置において、
前記故障診断処理の開始及び終了の少なくとも一方を、前記モータユニットによる前記操作ノブへの反力の付与によって報知する診断報知処理を実行可能であること
を特徴とする操作装置。
【請求項11】
請求項10に記載の操作装置において、
前記診断報知処理では、所定のパターンで前記操作部を移動させるよう反力を付与すること
を特徴とする操作装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の操作装置において、
前記スイッチは固有の照明部を有しており、
前記診断報知処理では、前記照明部を所定のパターンで点灯させること
を特徴とする操作装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−171466(P2012−171466A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34757(P2011−34757)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】