説明

操作装置

【課題】タッチパネル面に対して斜めから押圧された場合であっても押圧位置の誤検出を防止すること。
【解決手段】タッチパネル操作面への押圧操作を受け付ける操作装置は、押圧操作によって生じるタッチパネルの複数の位置における圧力値を検知し、検知された複数の圧力値に基づいて押圧位置を導出し、タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて押圧位置を補正するための押圧位置補正情報を記憶し、記憶される押圧位置補正情報に基づいて押圧位置を補正するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指による押圧操作等、操作面への接触(圧力印加)による入力操作を受け付ける操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル操作面への入力操作を受け付ける操作装置が知られている。また、かかる操作装置は、圧力を感知して反応する感圧式や、指と導電膜との間の静電容量の変化に反応する静電容量式等、種々の方式によって押圧位置を検出することができる。
【0003】
たとえば、特許文献1には、タッチパネルの背面の四隅に設置された圧力センサによって検出された圧力値に基づいて、押圧位置を算出する感圧式のタッチパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−126997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のタッチパネルは、タッチパネル面に対して斜めに押圧された場合、タッチパネル面に対する斜めの押圧力の影響によって押圧位置の誤検知をしてしまうといった問題があった。
【0006】
たとえば、鉄道の駅等に設置される切符の券売機に備えるタッチパネルであれば、殆どの場合タッチパネル面に対して略正面から押圧される。しかし、車両に搭載されるナビゲーション機能等を有する操作装置の場合には、ドライバーまたは助手席側の正面に操作装置が設置されるとは限らない。したがって、車両に搭載される操作装置は、タッチパネル面に対して斜めに押圧されることが多くなるため、特に、かかる問題が顕著となってしまう。
【0007】
また、操作押圧力に応じた操作を行う装置、たとえば、弱い押圧操作の場合にはA操作と判定し、また、強い押圧操作の場合にはB操作と判定し、押圧力に対応する動作を行う装置の場合には、タッチパネル面に対する押圧方向の影響によって、利用者による実際の押圧力と検出押圧力とに差が生じ、予期しない動作が行われるといったことが発生する問題がある。
【0008】
これらのことから、タッチパネル面に対して斜めから押圧された場合であっても押圧位置の誤検出等を防止することができる操作装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、タッチパネル面に対して斜めから押圧された場合における押圧位置等の誤検出を防止することができる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、タッチパネル操作面への押圧操作を受け付ける操作装置であって、前記押圧操作によって生じるタッチパネルの複数の位置における圧力値を検知する複数の検知手段と、前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧位置を導出する押圧位置導出手段と、タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて前記押圧位置を補正するための押圧位置補正情報を記憶する押圧位置補正情報記憶手段と、前記押圧位置補正情報記憶手段によって記憶される前記押圧位置補正情報に基づいて前記押圧位置を補正する押圧位置補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、タッチパネル操作面への押圧操作を受け付ける操作装置であって、前記押圧操作によって生じるタッチパネルの複数の位置における圧力値を検知する複数の検知手段と、前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧位置を導出する押圧位置導出手段と、前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧力を導出する押圧力導出手段と、タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて前記押圧力を補正するための押圧力補正情報を記憶する押圧力補正情報記憶手段と、前記押圧力補正情報記憶手段によって記憶される前記押圧力補正情報に基づいて前記押圧力を補正する押圧力補正手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチパネル面に対する押圧操作の向きに応じて、操作の押圧位置や押圧力を補正することとしたので、タッチパネル面に対して斜めから押圧操作された場合であっても押圧位置や押圧力の誤検出を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施例に係る操作装置の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、圧力センサおよび方向検知用圧力センサの設置位置の一例を示す図である。
【図4】図4は、補正テーブルおよび補正情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、補正値の調整タイミングを説明するための図である。
【図6】図6は、タイミング判定処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図7】図7は、補正値調整処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図8】図8は、押圧位置補正処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図9】図9は、補正値の学習機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る操作装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る操作装置の概要について図1を用いて説明した後に、実施例の詳細を図2〜図9を用いて説明することとする。また、以下では、ナビゲーション装置へ適用した場合の例について説明する。
【0015】
図1は、本発明の操作装置の一実施例の概要を示す図である。当該操作装置は、圧力センサによって検知された圧力値に基づいて押圧位置を導出し、導出された押圧位置を、押圧方向別に補正する。
【0016】
たとえば、タッチパネル面に対して右斜めから押圧された場合と左斜めから押圧された場合との二つのパターンごとに押圧位置の補正を行う。このようにすることによって、当該操作装置は、タッチパネル面に対して斜めから押圧された場合であっても押圧位置や押圧力の誤検出を防止することができる点に主たる特徴がある。
【0017】
図1の(A)は、操作装置のパネルを右上方から見た図であり、図1の(B)および(C)は、操作装置のパネルを上方から見た図であり、図1の(D)は、押圧位置を補正するための補正情報の一例を示す図である。以下では同図右側に図示する座標軸を適宜用いて説明を行うこととする。
【0018】
まず、図1の(A)に示したように、車両に搭載される操作装置が備える押圧操作を受け付けるタッチパネルの背面には、四隅に圧力センサが設置されており、四つの圧力センサを挟むように設置される表示用のTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルには、各種操作ボタンが表示される。
【0019】
なお、図1においては、Z軸の正方向がタッチパネルの前面である。そして、操作装置は、利用者の指等のタッチパネルへの接触(押圧操作)による押圧入力操作を受け付け、この押圧操作に基づく四つの圧力センサが検知した四つの圧力値に基づいて押圧位置および押圧力を導出する。
【0020】
なお、概略的には、各圧力センサにおける押圧操作位置までの距離の比と、各圧力センサの検出圧力値とが、逆比例の関係にあることから、各圧力センサの検出値を、これらの関係に基づく演算式やテーブルを用いた処理等により操作位置を導出する。また、同様に操作押圧力が各圧力センサに分力されることから、各圧力センサの検出圧力値(の和)により操作押圧力を導出する。
【0021】
ここで、図1の(B)に示したように、タッチパネル面に対して正面から操作ボタンのボタン中心位置が押圧された場合に、タッチパネル面に対して垂直方向の応力のみが発生するので、操作装置は、かかるボタン中心位置を押圧位置として正しく導出する。また、操作装置は、タッチパネル面に対する操作押圧力も正しく導出する。
【0022】
しかし、図1の(C)に示したように、タッチパネル面に対して斜めの方向から押圧された場合には、操作装置によって導出される押圧位置と実際の押圧位置とが一致しない。また、操作装置によって導出される押圧力と実際の押圧力とも一致しない。以下に、この点を詳細に説明する。
【0023】
たとえば、操作装置が運転席と助手席間の前方に設置されており、運転席側(ここでは、X軸の正方向とする)から押圧された場合、タッチパネル面に対して斜めの方向から押圧されることによって、ボタン中心位置からベクトルαで示した方向へ応力がかかる。
【0024】
ベクトルαで示した応力は、X軸の負方向のベクトルβとZ軸の負方向のベクトルγとに分解され、ベクトルα、ベクトルβおよびベクトルγの関係は、式(1)のようにあらわされる。
ベクトルα=ベクトルβ+ベクトルγ …(1)
【0025】
このように、運転席側から押圧された場合には、操作装置は、位置検出に必要なタッチパネル面に対して垂直方向の力(ベクトルγ)だけでなく、タッチパネル面に対して横方向の力を示すベクトルβの応力の影響を各圧力センサが受けてしまい、たとえば、実際の押圧位置よりもベクトルβの方向へずれた位置を押圧位置として誤検出してしまう。
【0026】
これにより、操作装置は、導出した押圧位置を、たとえば、押圧位置にある操作ボタンの範囲外を操作位置として認識することとなり、結果として、ドライバーの所望する動作が行われないこととなる。
【0027】
また、操作押圧力の検知では、同じ位置を同じ力具合で押圧操作した場合でも、押圧方向(タッチパネル面垂直方向からの角度)に応じて各圧力センサが受ける圧力は異なることになり、押圧力に応じた動作を行う操作種別に対しては、結果としてドライバーの所望する動作が行われないこととなる。
【0028】
そこで、当該操作装置は、押圧方向に関連付けた補正値を、補正情報として記憶し、補正情報によって押圧位置を補正することとした。具体的には、図1の(D)に示したように、本発明に係る操作装置は、「操作位置」項目に関連付けて操作検出位置に関する「補正値(X)」項目と、また、操作押圧力に関する「補正値(P)」項目とを補正情報として記憶しておく。
【0029】
「操作位置」項目は、押圧方向を示し、ここでは、運転席側からと、助手席側からとの二種類に分類することとする。「補正値(X)」項目および「補正値(P)」項目は、予め想定された値に基づいた補正値とする。
【0030】
当該操作装置は、各圧力センサによって検知された圧力値を「補正値(P)」項目の補正値によって補正し、補正された圧力値に基づいて押圧位置を導出し、導出された押圧位置を、「補正値(X)」項目の補正値によって補正する。なお、ここでは、「補正値(X)」項目に示したように、押圧方向に関してX方向の補正値項目のみについて示したが、Y方向の補正値項目を設けることとしてもよい。
【0031】
たとえば、本実施例に係る操作装置は、運転席側から押圧されて、導出された押圧位置の座標が(x,y)であった場合には、補正情報によって押圧位置の座標を(x+5,y)と補正するが、Y方向も補正して(x+5,y+2)としてもよい。なお、補正情報の「操作位置」項目は設けず、運転席側からのみの補正値を記憶してもよい。
【0032】
このように、本実施例に係る操作装置は、四つの圧力センサが検知した圧力値に基づいて導出された押圧位置を、押圧方向および押圧力に関連付けられた補正情報によって補正することとした。これにより、タッチパネル面に対して斜めから押圧された場合であっても押圧位置の誤検出等を防止することができる。
【0033】
なお、本実施例では、補正情報を補正値の形で記憶し補正処理に用いたが、補正情報を補正演算式として記憶し、当該演算式により補正処理を行うようにしても良い。また、補正演算式で補正を行う場合、チルトレベルや操作位置をパラメータとする演算式による補正方法や、チルトレベルや操作位置等の条件に一部に応じた演算式を記憶し、実際の動作条件に応じた当該演算式を他パラメータによって演算処理を行い補正する方法等が適用可能である。
【0034】
また、ここでは、本発明に係る操作装置は、補正情報を、予め想定した値に基づいて補正値を記憶することとした。しかし、実際に利用者等によって押圧操作された押圧位置を取得し、取得した押圧位置と基準となるボタン中心位置とを比較することにより、補正値を調整し(以下、「キャリブレーション」と記載する)、補正情報として記憶してもよい。
【0035】
なお、キャリブレーションのタイミングとしては、操作装置の出荷時(工場での調整工程時)や、操作装置を車両へ設置する際に行ってもよい。また、利用者によって自由に補正情報を設定することができるようにしてもよい。
【0036】
また、利用者によって操作された際、導出された押圧位置とボタン中心位置との差を学習することによって、補正値を変更することもできるが、詳細については図9を用いて後述することとする。
【0037】
近年では、タッチパネル面の傾斜角(以下、「チルト角」と記載する)を変更することが可能である操作装置も多く流通している。したがって、本実施例に係る操作装置は、押圧方向に関連付けるだけでなく、チルト角に関連付けて補正値や補正式を補正情報として記憶してもよい。なお、チルト角に関連付ける補正情報の詳細については後述することとする。
【0038】
以下では、図1を用いて説明した操作装置について詳細に説明する。なお、ここでは、操作装置をナビゲーション装置へ適用した場合の例について説明するが、本発明に係る操作装置は、ナビゲーション装置以外にも適用可能である。
【0039】
まず、本実施例に係るナビゲーション装置1の構成について図2を用いて説明する。図2は、当該ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2では、ナビゲーション装置1の特徴点を説明するために必要な構成要素についてのみ記載している。
【0040】
図2に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、パネル11と、圧力センサ12a〜12dと、LCD(Liquid Crystal Display)13と、表示駆動部14と、方向検知用圧力センサ15と、通信I/F(インターフェース)16と、記憶部17と、パネル制御部18とを備える。また、記憶部17は、補正テーブル17aと、補正情報17bとを記憶する。また、パネル制御部18は、補正値調整部18aと、フィルタ部18bと、導出部18cと、補正部18dとを備える。
【0041】
また、ナビゲーション装置1は、パネル駆動部21と、チルト角センサ22と、地図DB(DataBase)23と、メモリ24と、通信I/F25と、GPS(Global Positioning System)受信機26と、本体側制御部27とを備える。
【0042】
パネル11は、ガラス等の透明な素材で形成された板状の部材である。かかるパネル11の正面が、利用者の押圧操作を受け付ける操作面となる。また、図1の(A)を用いて説明したように、パネル11の背面の四隅には、それぞれ圧力センサ12a〜12dが配置される。
【0043】
圧力センサ12a〜12dは、利用者の押圧操作によってパネル11が受けた荷重を検出する検出器であり、たとえば、圧電素子により実現される。圧力センサ12a〜12dの検出値は、それぞれフィルタ部18bへ入力される。
【0044】
LCD13は、複数の画素をマトリクス状に有し、表示駆動部14からの制御信号に基づき、所定の光源から入射する光を画素ごとに変調することによって画像を表示する表示部である。表示駆動部14は、たとえばLCDドライバであり、パネル制御部18から画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像をLCD13に対して表示させる。
【0045】
なお、図2に示すように、たとえばパネル11、圧力センサ12a〜12d、LCD13および表示駆動部14を含んでタッチパネル部10が構成される。なお、図2では、パネル11の背面の四隅に備える圧力センサ12を圧力センサ12a、圧力センサ12b、圧力センサ12cおよび圧力センサ12dとしてそれぞれ示しているが、各圧力センサを総称する場合には、圧力センサ12と記載する。
【0046】
方向検知用圧力センサ15は、パネル11の側面に設置されており、パネル11に対していずれの方向から押圧されたかを検知する、すなわち、押圧方向を検知する圧力センサである。方向検知用圧力センサ15によって検知された方向は、補正部18dへ渡され、補正部18dは、受け付けた検知方向に関連付けられた補正情報17bに基づいて押圧位置を補正することとなる。
【0047】
ここで、圧力センサ12および方向検知用圧力センサ15の設置位置について図3を用いて説明しておく。図3は、圧力センサ12および方向検知用圧力センサ15の設置位置の一例を示す図である。以下では同図右側に図示する座標軸を適宜用いて説明を行うこととする。
【0048】
図3の(A)〜(C)は、ナビゲーション装置1を上方から見た図である。圧力センサ12αおよび圧力センサ12βは、パネル11の背面の四隅に設置されている圧力センサ12のうち、上方側(Y軸の正方向側)に設置されている圧力センサ12である。
【0049】
そして、図3の(A)に示したように、方向検知用圧力センサ15αおよび方向検知用圧力センサ15βのようにパネル11の左右の側面側に方向検知用圧力センサ15を、二ケ所設置した状態を示す。
【0050】
このように方向検知用圧力センサ15を設置することによって、パネル制御部18は、方向検知用圧力センサ15αが検知した圧力値と方向検知用圧力センサ15βが検知した圧力値とに基づいて押圧方向を判定することができる。
【0051】
たとえば、パネル制御部18は、方向検知用圧力センサ15βが検知した圧力値より方向検知用圧力センサ15αが検知した圧力値のほうが大きい場合には、X軸の正方向から押圧されたと判定する。また、パネル制御部18は、方向検知用圧力センサ15αが検知した圧力値より方向検知用圧力センサ15βが検知した圧力値のほうが大きい場合は、X軸の負方向から押圧されたと判定する。
【0052】
なお、ここでは、方向検知用圧力センサ15を左右の側面に二ケ所設置することとしたが、左右のいずれか一方に設置して、一方の方向検知用圧力センサ15が検知した圧力値に基づいて押圧方向を判定することとしてもよい。この場合、方向検知用圧力センサ15の削減によるコスト削減ができる。
【0053】
また、ここでは、方向検知用圧力センサ15によって押圧方向を判定することとしたが、センサの種類はこれに限定されるものではない。たとえば、赤外センサや音波センサで利用者の指の押圧方向を検知する手法であってもよいし、また、カメラによって撮像された画像に基づいて押圧方向を判定してもよい。
【0054】
つづいて、図3の(B)に示したように、圧力センサ12をパネル11面に対して所定の角度をつけて設置することとしてもよい。この場合、同図に示したように、X軸の正方向から押圧された場合、圧力センサ12αはベクトルαで示した応力を検知し、方向検知用圧力センサ15αはベクトルβで示した応力を検知する。
【0055】
パネル制御部18は、ベクトルαとベクトルβとの差によってパネル11面に対して正面からの応力を示すベクトルγを導出することにより、ボタン中心位置に近似した押圧位置を検出することができる。また、図3の(C)に示したように、圧力センサ12αと圧力センサ12βとをパネル11面に対して同一の角度をつけて設置することとしてもよい。
【0056】
図2に戻りナビゲーション装置1の構成についての説明を続ける。通信I/F16は、パネル制御部18と本体側制御部27との間で通信データの送受信を行うための通信デバイスである。
【0057】
記憶部17は、イグニッションスイッチがオフの間もバッテリから電源供給が行われることで記憶内容が保持されるスタンバイRAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリおよびハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部17は、押圧方向およびチルト角に関連付けられた補正値または補正式を補正テーブル17aとして記憶し、補正値調整部18aによって調整された補正値を補正情報17bとして記憶する。
【0058】
ここで、補正テーブル17aおよび補正情報17bの詳細について図4を用いて説明しておく。図4は、補正テーブル17aおよび補正情報17bの一例を示す図である。図4の(A)は、補正テーブル17aの一例であり、図4の(B)は、補正情報17bの一例である。
【0059】
図4の(A)に示すように、補正テーブル17aは「チルトレベル」項目と、「操作位置」項目と、「補正値(X)」項目と、「補正値(Y)」項目と、「補正値(P)」項目とを含んでいる。「チルトレベル」項目および「操作位置」項目に関連付けて「補正値(X)」項目、「補正値(Y)」項目および「補正値(P)」項目を記憶する。なお、補正テーブル17aは、かかる項目で構成される情報を1レコードとしたレコードの集合体である。
【0060】
「チルトレベル」項目は、タッチパネル部10の所定のチルト角に対応するレベルである。「操作位置」項目は、押圧方向を示し、ここでは、「操作位置」項目が「運転席」の場合、運転席側からの押圧方向であることを示し、「操作位置」項目が「助手席」の場合、助手席側からの押圧方向であることを示す。
【0061】
「補正値(X)」項目、「補正値(Y)」項目および「補正値(P)」項目は、予め想定された値に基づいた補正値とし、ここでは、「補正値(X)」項目は、パネル11面の横方向の補正値であり、「補正値(Y)」項目は、パネル11面の縦方向の補正値である。また、「補正値(P)」項目は、操作押圧力の補正値である。
【0062】
ここで、感圧式のタッチパネル部10は、タッチパネル部10を傾斜(チルト)させた場合、チルト角が大きいほどパネル11に対して、重力がかかる。このため、圧力センサ12および方向検知用圧力センサ15は、傾斜されたパネル11面へ押圧された場合、かかる重力を含んだ圧力値を検知することとなる。
【0063】
したがって、ナビゲーション装置1は、重力の影響による押圧位置の誤検出を防止するために、操作位置だけでなくチルト角にも関連付けて補正値(X)、(Y)および(P)を設けることとした。このようにすることによって、ナビゲーション装置1は、より正確に押圧位置および押圧力の補正を行うことができる。
【0064】
また、補正値調整部18aは、補正値の信頼性を向上する目的で、補正テーブル17aの「補正値(X)」項目、「補正値(Y)」項目および「補正値(P)」項目を調整し、記憶する。以下、上記したような補正値調整部18aが行う補正テーブル17aの調整処理を「キャリブレーション」と記載する。なお、補正値調整部18aが行うキャリブレーションの詳細については図5を用いて後述することとする。
【0065】
つづいて、図4の(B)に示すように、補正情報17bは「操作位置」項目と、「補正値(X)」項目と、「補正値(Y)」項目と、「補正値(P)」項目とを含んでいる。補正値調整部18aは、チルトレベルの変更を検出した際、チルト角センサ22から受け付けたチルト角に関連付けられた補正テーブル17aのレコードを検索し、該当する補正テーブル17aのレコードを補正情報17bとして記憶する。
【0066】
なお、補正値調整部18aは、チルトレベルの変更を検出した際、補正テーブル17aに基づいて補正情報17bを記憶することとしたが、ナビゲーション装置1の電源オン時、または、イグニッションスイッチのオン時に行ってもよい。
【0067】
たとえば、パネル11面のチルトレベルが「5」と変更された場合、補正値調整部18aは、図4の(A)に示した補正テーブル17aの「チルトレベル」項目が「5」であるレコードを補正情報17bとして記憶する。
【0068】
なお、ここでは、補正テーブル17aに、チルトレベルが1、3および5である補正値を記憶することとした。そして、補正値調整部18aは、パネル11面のチルトレベルが補正テーブル17aに記憶されていない場合は、補正テーブル17aに記憶されているチルトレベルの補正値に基づき、たとえば、線形補完法等を用いてかかるチルトレベルの補正値を導出する。
【0069】
たとえば、チルトレベルが「2」である場合には、補正値調整部18aは、チルトレベルが「1」および「3」の補正テーブル17aの補正値の平均値をチルトレベルが「2」の補正値とする。
【0070】
このように、他のチルトレベルの平均値を補正テーブル17aに記憶されていないチルトレベルの補正値の導出手法としてもよいし、その他の手法によって導出してもよい。また、ナビゲーション装置1は、すべてのチルトレベルごとに補正テーブル17aを記憶しておくこととしてもよい。
【0071】
また、ここでは、「チルトレベル」項目および「操作位置」項目に関連付けて補正値(X)、(Y)、(P)を記憶させることとした。しかし、補正値ではなく、補正式を記憶しておくこととしてもよい。
【0072】
補正値調整部18aは、上述した手法によって補正情報17bとして記憶する。その結果、図4の(B)に示したように、「操作位置」項目が「運転席」である補正値(X)、(Y)、(P)は、xa5、ya5、pa5となり、「操作位置」項目が「助手席」である補正値(X)、(Y)、(P)は、xb5、yb5、pb5となる。その後、補正部18dによって、記憶された補正情報17bの値に基づいて押圧位置が補正される。
【0073】
図2に戻りナビゲーション装置1の構成についての説明を続けるとともに、補正値調整部18aが行うキャリブレーションの詳細について以下に説明する。パネル制御部18は、タッチパネル部10の全体制御を行う制御部であり、たとえば、パネルマイコンに相当する。
【0074】
補正値調整部18aは、ナビゲーション装置1を車両へ設置後、初めてイグニッションスイッチのオンされた際、初期調整として補正テーブル17aの補正値の調整処理(キャリブレーション)を行う処理部である。なお、キャリブレーションとしては、押圧位置の調整と押圧力の調整をそれぞれ行う。
【0075】
具体的に押圧位置の調整は、補正値調整部18aが、所定のチルトレベルに設定されたパネル11において、基準となる位置として、たとえば、基準ボタンや矢印をパネル11へ表示させて、利用者に対して押圧を促す。そして、補正値調整部18aは、利用者によって押圧された押圧位置と基準となるボタン中心位置との差により、設定されたチルトレベルに対応する補正テーブル17aの補正値(X)および(Y)を調整し、更新する。
【0076】
なお、キャリブレーションを行う際、補正値調整部18aは、基準となる位置をパネル11へ表示させることとしたが、これに限定されるものではない。たとえば、予め基準となる位置を記した透明なシールやシートをパネル11の前面に貼り付け、基準となる位置を押圧させるようにしてもよい。
【0077】
また、押圧力の調整は、補正値調整部18aが、たとえば、各チルトレベルにおいて、「強い押圧」、「中くらいの押圧」および「弱い押圧」とパネル11へ表示させて、利用者に対応する感覚による押圧操作を促す。
【0078】
そして、補正値調整部18aは、利用者によって押圧された各押圧力に基づいて補正テーブル17aの補正値(P)を調整し、更新する。
【0079】
なお、全チルトレベルについて上記したようなキャリブレーションを行うことが望ましいが、簡易的に、幾つかのチルトレベルでキャリブレーションを行い、線形補完等で他のチルトレベルの補正値を調整することとしてもよい。
【0080】
また、補正値調整部18aが実行するキャリブレーションによって補正テーブル17aが更新されるが、キャリブレーションが行われる前の初期値を初期補正値として記憶部17へ別途記憶しておくこととしてもよい。これにより、補正テーブル17aの初期化操作として、更新された補正テーブル17aを初期補正値によって初期化することができる。
【0081】
また、補正値調整部18aは、ナビゲーション装置1の電源オン中やイグニッションキーがオンである間に、利用者によってチルト角が変更された際や誤操作の頻度が多いと判定した場合に、補正値調整部18aは、キャリブレーションを行うこととしてもよい。
【0082】
ここで、補正値調整部18aで行う誤操作の頻度が多いか否かの判定手法について図5を用いて説明しておく。図5は、補正値の調整タイミングを説明するための図である。なお、ここでは、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置1の場合について説明する。
【0083】
ナビゲーション機能には、地図上の所定地点を押圧することによって、かかる地点を目印として登録する「地点登録」操作や、ランドマークとなる所定の場所を文字入力して、かかる場所を目的地として登録する「目的地登録」操作等がある。
【0084】
たとえば、地点登録操作の場合に、図5の(A)に示すように、地図上の所定地点が押圧され(ステップS1)、地点登録ボタンが押圧され(ステップS2)、その後キャンセルボタンが押圧された(ステップS3)とする。
【0085】
ここで、ステップS3においてキャンセルボタンが押圧された理由としては、利用者によって地点登録をやめる場合が考えられる。また、ナビゲーション装置1が利用者の所望する登録地点とは異なる地点を検出してしまう場合も考えられる。
【0086】
また、目的地登録操作の場合には、図5の(B)に示すように、パネル11に表示される文字ボタンを押圧することによって文字入力された(ステップS4)が、キャンセルボタンが押圧された(ステップS5)とする。
【0087】
このような場合は、利用者による入力ミスや、ナビゲーション装置1が利用者の所望する文字とは異なる文字であると認識したことにより、キャンセルボタンが押圧されたと考えられる。
【0088】
そこで、ナビゲーション装置1は、このようにキャンセルボタンが押圧された場合には、すべて誤操作とみなし、図5の(C)に示したように、操作内容や誤操作日時等の情報とともに、誤操作履歴情報へ記憶することとする。
【0089】
そして、補正値調整部18aは、誤操作履歴情報に基づき、誤操作の頻度(所定期間内の誤操作回数や、所定回数の操作における誤操作回数等)が所定の閾値を超えた場合に、補正値の調整を行う必要があると判定し、キャリブレーションを促すメッセージを報知し、キャリブレーションを開始することとする。
【0090】
これよって、補正情報17bに記憶される補正値によって補正された押圧位置とは異なる場所を押圧する癖のある利用者によって操作された場合であっても誤検出に対応することができる。たとえば、ドライバーが交代した場合であっても、キャリブレーションを促し、キャリブレーションが行われることによって誤検出を防止することができる。
【0091】
図2に戻りナビゲーション装置1の構成についての説明を続ける。フィルタ部18bは、各圧力センサ12によって検出された圧力値に含まれるノイズを圧力センサ12ごとにそれぞれカットするため、各圧力値を周波数軸へ展開し、所定の周波数成分を減衰させる処理を行う処理部である。なお、ノイズとは、運転中の車両の振動等の原因によって含まれる圧力値の乱れのことである。
【0092】
具体的には、人間による操作は、操作速度や操作繰り返し速度の限界により、かかる操作による信号の周波数は車両の信号成分と比較して低周波数帯の成分が多い。したがって、フィルタ部18bは、高周波数成分を除くLPF(Low pass filter)によってノイズカットすることとしてもよいし、その他の手法によってノイズカットしてもよい。
【0093】
また、フィルタ部18bは、圧力センサ12ごとにノイズカットした圧力値を導出部18cへ出力する処理を併せて行う。なお、フィルタ部18bは、方向検知用圧力センサ15によって検出された圧力値に対してもノイズカットしてもよい。
【0094】
導出部18cでは、フィルタ部18bによってノイズカットされた圧力値に基づいて押圧位置を、各圧力センサ12の検出値の比等、検出値の相対関係に基づき導出するが、その詳細手法については公知の技術であるため、ここでは説明を省略する。また、導出部18cは、導出された押圧位置を補正部18dへ出力する処理を併せて行う。
【0095】
補正部18dは、導出部18cによって導出された押圧位置を、方向検知用圧力センサ15から受け付けた押圧方向に関連付けられた補正情報17bに基づいて補正する処理を行う処理部である。
【0096】
なお、本実施例では、押圧位置を導出してから、かかる押圧位置を補正したが、各圧力センサ12ごとに補正値を持つようにして、検出された圧力値を補正してから押圧位置を導出することとしてもよい。
【0097】
また、車両の走行状況(走行中の場合等)によっては運転者により操作ができない場合がある。このような場合は、補正部18dは、方向検知用圧力センサ15の検出結果に関係なく、「操作位置」項目が「助手席」である補正値のみを使用するよう処理を行うこととしてもよい。
【0098】
パネル駆動部21は、本体側制御部27からの指示に従ってタッチパネル部10を回転駆動させる機構部でモータや各種ギヤ等により構成される。このように、ナビゲーション装置1は、パネル駆動部21を用いてタッチパネル部10のチルト角を変更することができる。
【0099】
チルト角センサ22は、パネル駆動部21から出力される駆動実行通知の出力履歴に従って現在のチルト角を検知する処理部である。
【0100】
具体的には、チルト角センサ22は、現在のチルト角を検知すると、検知したチルト角を本体側制御部27へ出力する。また、本体側制御部27は、かかるチルト角を通信I/F25経由でパネル制御部18の補正値調整部18aへ出力する。
【0101】
なお、チルト角センサ22は、これに限ったものではなく、図示しないモータの回転軸の回転角を検知するポテンショメータで構成されてもよいし、ロータリスイッチや光センサ等で構成されてもよい。
【0102】
地図DB23は、道路データや施設データなどからなるナビゲーション用の地図情報である。メモリ24は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。
【0103】
通信I/F25は、本体側制御部27がパネル制御部18との間で通信データの送受信を行うための通信デバイスである。GPS受信機26は、人工衛星等から自車両の位置情報を取得し、取得した位置情報を本体側制御部27へ出力する。
【0104】
本体側制御部27は、ナビゲーション装置1の全体制御を行う制御部であり、たとえば、ナビマイコンに相当する。たとえば、本体側制御部27は、パネル制御部18から通信I/F25経由で取得した押圧位置や押圧力に基づき、パネル駆動部21を駆動させることによってタッチパネル部10のチルト角を変更する。
【0105】
このように、本発明に係る操作装置を、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置1として適用したが、これに限定されるものではなく、他の構成にて実施されてもよい。たとえば、本実施例に係る操作装置を、CDやDVDを再生するオーディオ装置やテレビ受信装置の操作装置とする装置構成であってもよい。
【0106】
つぎに、本実施例に係るナビゲーション装置1が実行するパネル11の制御処理の詳細について図6〜図8を用いて説明する。図6は、タイミング判定処理の概要を示すフローチャートであり、図7は、補正値調整処理の概要を示すフローチャートであり、図8は、押圧位置補正処理の概要を示すフローチャートである。
【0107】
なお、かかる処理は、パネル制御部18が行うが、本体側制御部27が行う(パネル制御部18を介しての制御も行う)こととしてもよい。また、かかる処理は、パネル制御部18を構成するマイクロコンピュータがプログラムに基づき、動作することが実現されるが、説明を分かりやすくするため、ここでは、パネル制御部18の各機能構成要素部が処理する形での説明を行う。
【0108】
ナビゲーション装置1は、図6に示すようなキャリブレーションのタイミング判定処理を、電源オン中に所定の間隔で常時行う。まず、補正値調整部18aは、ナビゲーション装置1を車両へ設置した際に行われる初期調整が処理済みであるか否かを判定する(ステップS101)。
【0109】
なお、かかる判定は、たとえば、初期調整を行ったことをバックアップライン(バッテリ直結ライン)により記憶保持されるメモリに調整済みであることを記憶し(ナビゲーション装置1またはバッテリの取り外しにより記憶内容が消去される)、この記憶内容を確認することにより行う。
【0110】
そして、補正値調整部18aは、初期調整済みではないと判定した場合(ステップS101,No)、キャリブレーション処理の開始メッセージを報知して(ステップS104)、ステップS105のキャリブレーション処理へ移行する。
【0111】
一方、補正値調整部18aは、初期調整済みであると判定した場合(ステップS101,Yes)、チルト角の変更があったか否かを判定する(ステップS102)。
【0112】
そして、補正値調整部18aは、チルト角の変更があったと判定した場合(ステップS102,Yes)、キャリブレーション処理の開始メッセージを報知して(ステップS104)、ステップS105のキャリブレーション処理へ移行する。
【0113】
一方、補正値調整部18aは、チルト角の変更がないと判定した場合には(ステップS102,No)、誤操作の頻度が所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS103)。
【0114】
そして、補正値調整部18aは、誤操作の頻度が所定の閾値を超えたと判定した場合(ステップS103,Yes)、キャリブレーションの開始メッセージを報知して(ステップS104)、ステップS105のキャリブレーション処理へ移行する。
【0115】
一方、補正値調整部18aは、誤操作の頻度が所定の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS103,No)、補正値調整部18aが行う一連のキャリブレーションのタイミング判定処理を終了する。
【0116】
つづいて、パネル制御部18が行うキャリブレーションの処理手順の詳細について図7を用いて説明する。図7に示すように、補正値調整部18aは、チルト角センサ22から通信I/F16経由でチルト角を取得する(ステップS201)。
【0117】
そして、補正値調整部18aは、操作位置が運転席側であるのか、助手席側であるのかを設定する。この設定は、利用者による設定操作内容に基づき行われる。そして、補正値調整部18aは、かかる操作位置が設定されたならば(ステップS202)、パネル11へ基準となるボタンを表示する(ステップS203)。
【0118】
そして、補正値調整部18aは、利用者によって基準ボタンが押圧されたか否かを判定し(ステップS204)、基準ボタンが押圧されたと判定した場合(ステップS204,Yes)、導出部18cは、押圧位置を導出する(ステップS205)。
【0119】
一方、補正値調整部18aは、ステップS204で、基準ボタンが押圧されていないと判定した場合(ステップS204,No)、基準ボタンが押圧されるまでステップS204の判定処理を繰り返す。
【0120】
補正値調整部18aは、基準ボタンの中心位置とステップS205で導出された押圧位置との差を補正値として導出し(ステップS206)、チルト角および操作位置に関連付けて導出した補正値によって補正テーブル17aを更新する(ステップS207)。
【0121】
そして、補正値調整部18aは、利用者による「終了」または「継続」の操作に基づき、キャリブレーション処理を継続するか否かを判定し(ステップS208)、「継続」操作を受け付けた場合(ステップS208,Yes)、ステップS201のキャリブレーション処理へ移行する。また、補正値調整部18aは、「終了」操作を受け付けた場合(ステップS208,No)、一連のキャリブレーション処理を終了する。
【0122】
つづいて、パネル制御部18が行う押圧位置補正処理手順の詳細について図8を用いて説明する。なお、かかる処理は、押圧操作があった時に実行される。図8に示すように、複数の圧力センサ12によって圧力値を検知する(ステップS301)。
【0123】
そして、フィルタ部18bは、複数の圧力センサ12によって検知された圧力値をそれぞれノイズカットすることにより(ステップS302)、圧力値に含まれるノイズをカットする。
【0124】
つぎに、導出部18cは、ノイズカットされた各圧力値に基づいて押圧位置を導出し(ステップS303)、補正部18dは、方向検知用圧力センサ15によって検知された押圧方向に関連付けられた補正情報17bを取得する(ステップS304)。
【0125】
そして、補正部18dは、導出部18cによって導出された押圧位置を、補正情報17bに基づいて補正し(ステップS305)、パネル制御部18が行う一連の押圧位置補正処理を終了する。なお、図示しないが、パネル制御部18は、各種機能を有する機器や装置へ補正部18dによって補正された押圧位置を通知することとなる。
【0126】
このように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、パネル11の背面の四隅に設置された圧力センサ12によって検知された圧力値に基づいて押圧位置を導出し、導出された押圧位置を、押圧方向によって補正することとしたので、パネル11面に対して斜めから押圧された場合であっても押圧位置の誤検出等を防止することができる。
【0127】
なお、上述した実施例では、補正値調整部18aがチルト角や押圧方向に関連付けられた補正テーブル17aの補正値を、キャリブレーションによって調整することとした。そして、補正値調整部18aは、調整された補正テーブル17aから補正情報17bを取得し、取得した補正情報17bに基づいて押圧位置や押圧力を補正することとした。
【0128】
しかし、このように、補正値の調整手法を限定する必要はなく、たとえば、パネル制御部18は補正値を学習する機能を有することとし、パネル制御部18によって学習された補正値によって補正情報17bを調整することとしてもよい。
【0129】
以下では、補正情報17bの調整手法の変形例について図9を用いて説明する。図9は、補正値の学習機能を説明するための図である。なお、ここでは、押圧方向が運転席側からの場合、かつ、補正値をX方向の補正値項目のみについて示した場合について説明する。
【0130】
まず、図9の(A)に示したように、パネル制御部18は、所定のタイミングで、補正情報17bの補正値(X)を「0」へ初期化する。なお、補正情報17bの補正値(X)を初期化するタイミングは、ナビゲーション装置1を車両へ設置時、ナビゲーション装置1の電源オン時、または、イグニッションスイッチのオン時としてもよい。
【0131】
そして、パネル制御部18は、操作ボタンの中心位置と補正後の押圧位置との差が所定の閾値以下である、あるいは、補正後の押圧位置が操作ボタン内である場合に、補正情報17bの補正値(X)を補正後の押圧位置が操作ボタンの中心位置に近づくよう微調整する。
【0132】
なお、操作がキャンセルされた場合には、押圧位置と利用者が選択しようとした操作ボタンの位置関係が全く期待できない。したがって、パネル制御部18は、この場合は、微調整の処理を行わない。
【0133】
具体的には、図9の(A)に示したように、利用者によって所定の操作ボタンが押圧され、操作ボタンの中心位置と補正値(X)「0」によって補正された補正後の押圧位置との差が「5」(ボタン中心位置−補正後押圧位置=5)であったとする。
【0134】
ここで、ボタン中心位置と補正後の押圧位置との差が10以下の際に微調整するという前提条件であったとするならば、この場合、かかる差が5<10であることから、パネル制御部18は、微調整することとする。
【0135】
具体的には、パネル制御部18は、ボタン中心位置と補正後押圧位置との差である「5」ではなく、所定の変更単位値、たとえば、「1」を調整値として、補正値(X)へ加算することによって補正値(X)を微調整する(図9の(B)参照)。
【0136】
さらに、操作ボタンが押圧された場合には、パネル制御部18は、操作ボタンの中心位置と「1」と微調整された補正値(X)によって補正された補正後の押圧位置との差により、補正値(X)の微調整を繰り返す(図9の(C)参照)。
【0137】
このように、パネル制御部18は、補正値(X)の微調整を繰り返すことによって補正情報17bは、図9の(D)に示した値(「5」)となり、運転席側から操作された場合の補正値(X)を精度よく調整することができる。これにより、ナビゲーション装置1は、押圧位置の誤検出等を防止することができる。
【0138】
なお、パネル制御部18は、所定のタイミングで、補正情報17bの補正値(X)を「0」へ初期化することとしたが、初期化せずに、補正テーブル17aから取得した補正情報17bの補正値(X)を微調整することとしてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 ナビゲーション装置
10 タッチパネル部
11 パネル
12、12a、12b、12c、12d 圧力センサ
13 LCD
14 表示駆動部
15 方向検知用圧力センサ
16 通信I/F
17 記憶部
17a 補正テーブル
17b 補正情報
18 パネル制御部
18a 補正値調整部
18b フィルタ部
18c 導出部
18d 補正部
21 パネル駆動部
22 チルト角センサ
23 地図DB
24 メモリ
25 通信I/F
26 GPS受信機
27 本体側制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル操作面への押圧操作を受け付ける操作装置であって、
前記押圧操作によって生じるタッチパネルの複数の位置における圧力値を検知する複数の検知手段と、
前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧位置を導出する押圧位置導出手段と、
タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて前記押圧位置を補正するための押圧位置補正情報を記憶する押圧位置補正情報記憶手段と、
前記押圧位置補正情報記憶手段によって記憶される前記押圧位置補正情報に基づいて前記押圧位置を補正する押圧位置補正手段と
を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧力を導出する押圧力導出手段と、
タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて前記押圧力を補正するための押圧力補正情報を記憶する押圧力補正情報記憶手段と、
前記押圧力補正情報記憶手段によって記憶される前記押圧力補正情報に基づいて前記押圧力を補正する押圧力補正手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記タッチパネルの傾斜角を検知する傾斜角検知手段
をさらに備え、
前記押圧位置補正情報記憶手段は、
前記操作装置の傾斜角に関連付けて前記押圧位置補正情報を記憶し、
前記押圧位置補正手段は、
前記傾斜角検知手段によって検知された前記傾斜角に対応する前記押圧位置補正情報に基づいて前記押圧位置を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
補正情報生成用の基準押圧位置を表示する基準押圧位置表示手段と、
前記押圧位置導出手段によって導出された前記押圧位置と前記基準押圧位置との位置関係に基づいて前記押圧位置補正情報を生成する生成手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記押圧位置補正手段によって補正された前記押圧位置と、該押圧位置に対応する操作内容に対して設定された基準押圧位置との位置関係に基づき、前記押圧位置補正情報を変更する変更手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項6】
前記タッチパネル面に対する押圧操作の向きを検知する押圧方向検知手段
をさらに備え、
前記押圧位置補正手段は、
前記押圧方向検知手段によって検知された前記押圧方向に対応する前記押圧位置補正情報に基づいて前記押圧位置を補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項7】
タッチパネル操作面への押圧操作を受け付ける操作装置であって、
前記押圧操作によって生じるタッチパネルの複数の位置における圧力値を検知する複数の検知手段と、
前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧位置を導出する押圧位置導出手段と、
前記検知手段によって検知された前記圧力値に基づいて押圧力を導出する押圧力導出手段と、
タッチパネル面に対する押圧操作の向きに関連付けて前記押圧力を補正するための押圧力補正情報を記憶する押圧力補正情報記憶手段と、
前記押圧力補正情報記憶手段によって記憶される前記押圧力補正情報に基づいて前記押圧力を補正する押圧力補正手段と
を備えたことを特徴とする操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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