説明

擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンならびにそれらの製造方法

【課題】輪成分の軸分子に対する貫通数を、簡便な手段で正確に制御することのできる擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンの製造方法、ならびに輪成分の軸分子に対する貫通数が制御された擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンを提供する。
【解決手段】シクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有し、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体を貫通させ、もって、シクロデキストリン分子のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体に対する被覆率を10〜85%とし、次いで、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の末端官能基と反応し得るブロック基を、その末端官能基と反応させ、ポリロタキサンを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪成分の軸分子に対する貫通数を制御することのできる擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンの製造方法、ならびに輪成分の軸分子に対する貫通数が制御された擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリロタキサンとして、例えば、環状分子(輪成分)にシクロデキストリンを使用し、環状分子に包接される直鎖状分子(軸分子)にポリエチレングリコールを使用したものが開示されている(特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1に開示されているポリロタキサンを架橋した高分子ゲルは、従来の物理ゲルまたは化学ゲルとは違い、非共有結合および共有結合のいずれも利用しない機械的な結合(インターロック構造)で構成されており、環状分子が直鎖状分子上を自由に動けることから、上記高分子ゲルは従来にない優れた柔軟性を示し得る。
【0004】
また、特許文献2に開示されているシクロデキストリンポリマーは、軸分子を除去することにより、従来にない長い空洞を有する分子チューブとして利用できる。
【0005】
ただし、いずれの場合においてもかかる優れた特性を得るには、輪成分であるシクロデキストリンの軸分子への貫通数を制御することが重要である。
【特許文献1】特許第3475252号公報
【特許文献2】特許第3288149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、シクロデキストリンの軸分子に対する貫通数は、包接される軸分子の分子量や、擬ポリロタキサン製造時の反応温度、溶液濃度等によって、ある程度は変化させることはできたが、正確に制御することはできなかった。特に、軸分子の分子量が10,000以下の場合にシクロデキストリンの貫通数を制御することは、極めて困難であった。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、輪成分の軸分子に対する貫通数を、簡便な手段で正確に制御することのできる擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンの製造方法、ならびに輪成分の軸分子に対する貫通数が制御された擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体が貫通してなる擬ポリロタキサンであって、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率が10〜85%であることを特徴とする擬ポリロタキサンを提供する(請求項1)。
【0009】
第2に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体が貫通し、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサンであって、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率が10〜85%であることを特徴とするポリロタキサンを提供する(請求項2)。
【0010】
第3に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体が貫通してなる擬ポリロタキサン(請求項3)、特に前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率が10〜85%である擬ポリロタキサン(請求項4)を提供する。
【0011】
第4に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体が貫通し、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン(請求項5)、特にポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率が10〜85%であるポリロタキサン(請求項6)を提供する。
【0012】
上記発明(請求項2,5,6)においては、前記ブロック基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項7)。
【0013】
第5に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率を10〜85%とすることを特徴とする擬ポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項8)。
【0014】
第6に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有し、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率を10〜85%とし、次いで、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体の末端官能基と反応し得るブロック基を、前記末端官能基と反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項9)。
【0015】
第7に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率を10〜85%とすることを特徴とする擬ポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項10)。
【0016】
第8に本発明は、シクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有し、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率を10〜85%とし、次いで、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体の末端官能基と反応し得るブロック基を、前記末端官能基と反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項11)。
【0017】
上記発明(請求項9〜11)においては、前記末端官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基、ビニル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項12)。
【0018】
上記発明(請求項9,11,12)においては、前記ブロック基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項13)。
【0019】
上記発明(請求項8〜13)によれば、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を変化させることにより、輪成分の軸分子に対する貫通数を正確に制御することができる。しかも、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の数平均分子量が10,000以下の場合であっても、輪成分の軸分子に対する貫通数を正確に制御することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンにおける輪成分の軸分子に対する貫通数を、簡便な手段で正確に制御することができる。したがって、本発明によれば、輪成分の軸分子に対する貫通数が制御された擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、擬ポリロタキサンを製造し、次いで、得られた擬ポリロタキサンからポリロタキサンを製造する。
【0022】
本実施形態で製造する擬ポリロタキサンは、輪成分であるシクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有する、直鎖状分子(軸分子)としてのポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体(以下「PEG−PPG共重合体」と記載する場合がある。)が貫通してなるものである。本実施形態では、最初に、末端に官能基を有する直鎖状分子を製造する。
【0023】
なお、本明細書において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子上で環状分子(輪成分)が移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。
【0024】
直鎖状分子であるPEG−PPG共重合体は、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体またはポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体のいずれかである。
【0025】
PEG−PPG共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比は、5:95〜95:5であることが好ましく、特に10:90〜90:10であることが好ましい。本実施形態では、PEG−PPG共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を変化させることにより、輪成分の直鎖状分子に対する貫通数(被覆率)を正確に制御することができる。特に、PEG−PPG共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を上記範囲内で変化させることにより、輪成分の直鎖状分子に対する被覆率を10〜85%に制御することができる。
【0026】
PEG−PPG共重合体の数平均分子量(Mn)は、500〜1,000,000であることが好ましく、特に800〜500,000であることが好ましく、さらには、1,000〜100,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、貫通したシクロデキストリンの離脱が発生し易く、貫通数の制御が困難となる。また、数平均分子量が1,000,000を超えると、溶解性が低下し、貫通数の制御が困難となる。
【0027】
なお、本実施形態では、PEG−PPG共重合体の数平均分子量が10,000以下であっても、輪成分の直鎖状分子に対する貫通数を正確に制御することができる。
【0028】
直鎖状分子がポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体の場合、ジブロック構造でもトリブロック構造であってもよく、これらの構造のうちの一部に、ランダム鎖を含んでいてもよい。
【0029】
上記直鎖状分子の末端官能基としては、後述するブロック基と反応して直鎖状分子の末端を封鎖できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基、ビニル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用し、特に好ましくは、アミノ基を使用する。
【0030】
直鎖状分子の末端に対する上記官能基の付加は、従来公知の方法、例えば、Nature, 356, 325-327 (1992)に記載の方法などによって行うことができる。具体的には、例えば、末端官能基としてアミノ基を用いる場合には、PEG−PPG共重合体の末端のヒドロキシル基をトシルクロライドによりトシル化し、その後フタルイミドカリウムによりフタルイミド化し、最後にヒドラジンを用いて還元を行い、直鎖状分子の末端をアミノ基とする。
【0031】
また、末端官能基としてヒドロキシル基を用いる場合には、PEG−PPG共重合体が有する末端のヒドロキシル基をそのまま用いることができる。
【0032】
上記のようにして末端に官能基を有する直鎖状分子を製造したら、その直鎖状分子をシクロデキストリン分子で包接させることにより、擬ポリロタキサンを得る。
【0033】
シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンのいずれであってもよいが、特にα−シクロデキストリンを使用することが好ましい。α−シクロデキストリンは、ポリエチレングリコール部分のみと包接錯体を形成し、ポリプロピレングリコール部分を貫通させて通り抜けることができるため、その性質を利用して、PEG−PPG共重合体に対するα−シクロデキストリンの貫通数を正確に制御することが可能である。
【0034】
一方、β−シクロデキストリンは、ポリプロピレングリコール部分のみと包接錯体を形成するため、その性質を利用して、PEG−PPG共重合体に対するβ−シクロデキストリンの貫通数を正確に制御することが可能である。また、γ−シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンと同様に、ポリプロピレングリコール部分のみと包接錯体を形成するため、その性質を利用して、PEG−PPG共重合体に対するγ−シクロデキストリンの貫通数を正確に制御することが可能である。
【0035】
擬ポリロタキサンの製造は、末端に官能基を有する直鎖状分子およびシクロデキストリンを溶媒中、通常は水中に存在させた状態にして(例えば、シクロデキストリンの水溶液に上記直鎖状分子を添加して)、その溶液を撹拌することによって行うことができる。加えて、撹拌後にその溶液を静置することが収率を向上させることができるので好ましい。好ましい静置期間としては、α−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンを用いる場合には、1日程度、β−シクロデキストリンを用いる場合には、3〜7日程度である。
【0036】
撹拌方法については特に制限はなく、常温または適当に制御された温度で、機械的撹拌処理、超音波処理などの方法で撹拌することができる。特に、超音波処理で撹拌することが貫通数を制御しやすいので好ましい。撹拌時間は、数分〜1時間の条件で行うことが好ましい。超音波の照射条件については特に制限はないが、周波数20〜40kHzで行うことが好ましい。
【0037】
以上のようにして擬ポリロタキサンを製造したら、その擬ポリロタキサンの直鎖状分子の末端官能基と反応し得るブロック基を当該末端官能基と反応させ、直鎖状分子の末端にブロック基を付加することにより、ポリロタキサンを得る。
【0038】
ブロック基としては、輪成分であるシクロデキストリンが直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持し得る基であれば特に限定されないが、好ましくは、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用し、特に好ましくは、ジニトロフェニル基類またはアダマンタン基類を使用する。
【0039】
直鎖状分子に対するブロック基の反応は、従来公知の方法、例えば、Nature, 356, 325-327 (1992)に記載の方法によって行うことができる。具体的には、例えば、末端官能基としてアミノ基を用いる場合には、前述した末端アミノ基を有する直鎖状分子と2,4−ジニトロフルオロベンゼンとを、ジメチルホルムアミド溶液中で一晩撹拌することにより行うことができる。
【0040】
以上の通り、本実施形態に係る擬ポリロタキサンの製造方法またはポリロタキサンの製造方法によれば、輪成分の軸分子に対する貫通数(被覆率)を、簡便な手段で正確に制御することができる。したがって、輪成分の軸分子に対する貫通数(被覆率)が制御された擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンが得られる。
【0041】
具体的には、第1に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、α−シクロデキストリン分子、β−シクロデキストリン分子またはγ−シクロデキストリン分子のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率が10〜85%である擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンが得られる。
【0042】
第2に、α−シクロデキストリン分子、β−シクロデキストリン分子またはγ−シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体が貫通してなる擬ポリロタキサンおよびポリロタキサン、特に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、α−シクロデキストリン分子、β−シクロデキストリン分子またはγ−シクロデキストリン分子のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率が10〜85%である擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンが得られる。
【0043】
なお、以上説明した実施形態は、擬ポリロタキサンを製造した後、ポリロタキサンを製造するものであるが、擬ポリロタキサンのみを製造し、ポリロタキサンを製造しない場合には、PEG−PPG共重合体の末端に官能基を付加する処理を行うことなく、PEG−PPG共重合体をそのままシクロデキストリン分子で包接させればよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0045】
〔実施例1〕
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gを水10mlに溶解させた水溶液に、直鎖状分子であるポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:1900,PEG50質量%)136mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、1日間静置した後、遠心分離により固体を回収した。その固体を水で洗浄した後、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。得られた擬ポリロタキサンのH−NMRチャートを図1に示す。
【0046】
〔実施例2〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:5800,PEG30質量%)226mgを使用する以外、実施例1と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0047】
〔実施例3〕
輪成分であるβ−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)185mgを水10mlに溶解させた水溶液に、直鎖状分子であるポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:1900,PEG50質量%)19mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、7日間静置した後、遠心分離により固体を回収した。その固体を水で洗浄した後、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。得られた擬ポリロタキサンのH−NMRチャートを図2に示す。
【0048】
〔実施例4〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:5800,PEG30質量%)14mgを使用する以外、実施例3と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0049】
〔実施例5〕
輪成分であるγ−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gを水10mlに溶解させた水溶液に、直鎖状分子であるポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:1900,PEG50質量%)134mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、1日間静置した後、遠心分離により固体を回収した。その固体を水で洗浄した後、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。得られた擬ポリロタキサンのH−NMRチャートを図3に示す。
【0050】
〔実施例6〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:5800,PEG30質量%)96mgを使用する以外、実施例5と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0051】
〔実施例7〕
(1)末端にアミノ基を有する直鎖状分子の調製
直鎖状分子であるポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:1100,PEG10質量%)1.5gをクロロホルムに溶解させ、トシルクロライドを添加し、触媒にピリジンを用いて一晩撹拌を行った。その後、希塩酸による分液洗浄、そして減圧乾燥を行い、得られた液体をジエチルエーテルに注ぎ、再沈澱を行った。析出した固体を回収し乾燥させ、トシル化ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を得た。
【0052】
次に、得られたトシル化ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体をジメチルホルムアミドに溶解させ、フタルイミドカリウムを添加し、5時間沸点還流を行った。反応溶液を濾過した濾液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱を行い、析出した固体を回収し乾燥させることでフタルイミド化ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を得た。
【0053】
得られたフタルイミド化ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体をエタノールに溶解させ、ヒドラジンを添加し、20時間沸点還流を行った。反応溶液を濾過した濾液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱を行い、析出した固体を回収し、末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:2100)1.2gを得た。
【0054】
(2)擬ポリロタキサンの合成
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gを水10mlに溶解させた水溶液に、上記(1)で得られた末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体678mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、1日間静置した後、遠心分離により固体を回収した。その固体を水で洗浄した後、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。
【0055】
(3)ポリロタキサンの合成
上記(2)で得られた擬ポリロタキサンをジメチルホルムアミド20mlに分散させ、2,4−ジニトロフルオロベンゼン420mgを添加し、室温で一晩撹拌した。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、析出した生成物を回収し、メタノールおよび水で洗浄して未反応物を除去した後、乾燥させてポリロタキサンを得た。
【0056】
〔実施例8〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:1900,PEG50質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:3000)136mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。得られたポリロタキサンのH−NMRチャートを図4に示す。
【0057】
〔実施例9〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:2000,PEG10質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:4200)678mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0058】
〔実施例10〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:2800,PEG10質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:5200)678mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0059】
〔実施例11〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:2900,PEG40質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:5500)170mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0060】
〔実施例12〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Aldrich社製,PEG−b−PPG−b−PEG,Mn:5800,PEG30質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(Mn:7800)226mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0061】
〔実施例13〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体(Aldrich社製,PEG−ran−PPG,Mn:2500,PEG75質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体(Mn:5000)90mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。得られたポリロタキサンのH−NMRチャートを図5に示す。
【0062】
〔実施例14〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体(Aldrich社製,PEG−ran−PPG,Mn:12000,PEG75質量%)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体(Mn:15000)90mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0063】
〔比較例1〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール(Aldrich社製,Mn:2200)68mgを使用する以外、実施例1と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0064】
〔比較例2〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール(Aldrich社製,Mn:4800)68mgを使用する以外、実施例1と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0065】
〔比較例3〕
直鎖状分子としてポリプロピレングリコール(Aldrich社製,Mn:2000)10mgを使用する以外、実施例1と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0066】
〔比較例4〕
直鎖状分子としてポリプロピレングリコール(Aldrich社製,Mn:3500)10mgを使用する以外、実施例1と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0067】
〔比較例5〕
直鎖状分子としてポリプロピレングリコール(Aldrich社製,Mn:2000)67mgを使用する以外、実施例5と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0068】
〔比較例6〕
直鎖状分子としてポリプロピレングリコール(Aldrich社製,Mn:3500)67mgを使用する以外、実施例5と同様にして擬ポリロタキサンを製造した。
【0069】
〔比較例7〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール(Aldrich社製,Mn:2200)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール(Mn:3500)68mgを使用する以外、する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0070】
〔比較例8〕
直鎖状分子としてポリエチレングリコール(Aldrich社製,Mn:4800)を使用し、得られた末端アミノ基のポリエチレングリコール(Mn:6200)68mgを使用する以外、実施例7と同様にしてポリロタキサンを製造した。
【0071】
〔試験例1〕
実施例および比較例で合成した擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンについて、H−NMRにおけるα−シクロデキストリン(α−CD)由来のシグナルと直鎖状分子中のエチレングリコールユニット(EGunit)由来のシグナルの積分比より、[EGunit]/[α−CD]の値を求めた。結果を表1に示す。
【0072】
なお、文献(Macromolecules, 1993, 26, 5698-5703)より、[EGunit]/[α−CD]=2.0で包接錯体を形成することが分かっているため、本試験例では、[EGunit]/[α−CD]が2.0に近い値であるほど、ほぼ文献値どおりに包接錯体を形成していることとなる。
【0073】
〔試験例2〕
実施例および比較例で合成した擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンについて、H−NMRにおけるβ−シクロデキストリン(β−CD)由来のシグナルとPGunit由来のシグナルの積分比より、[PGunit]/[β−CD]の値を求めた。結果を表1に示す。
【0074】
なお、文献(Macromolecules, 1995, 28, 8406-8411)より、[PGunit]/[β−CD]=2.0で包接錯体を形成することが分かっているため、本試験例では、[PGunit]/[β−CD]が2.0に近い値であるほど、ほぼ文献値どおりに包接錯体を形成していることとなる。
【0075】
〔試験例3〕
実施例および比較例で合成した擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンについて、H−NMRにおけるγ−シクロデキストリン(γ−CD)由来のシグナルとPGunit由来のシグナルの積分比より、[PGunit]/[γ−CD]の値を求めた。結果を表1に示す。
【0076】
なお、文献(Macromolecules, 1995, 28, 8406-8411)より、[PGunit]/[γ−CD]=2.0で包接錯体を形成することが分かっているため、本試験例では、[PGunit]/[γ−CD]が2.0に近い値であるほど、ほぼ文献値どおりに包接錯体を形成していることとなる。
【0077】
〔試験例4〕
実施例および比較例で合成した擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンについて、被覆率θ(理論値)を求めた。被覆率θ(理論値)は、輪成分としてα−CDを用いた場合は、α−CDとEGunitが錯形成し、α−CDとPGunitは錯形成していないと仮定したとき([EGunit]/[α−CD]=2.0)の軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、(EGunit数)/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。また、輪成分としてβ−CDを用いた場合は、β−CDとPGunitが錯形成し、β−CDとEGunitは錯形成していないと仮定したとき([PGunit]/[β−CD]=2.0)の軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、(PGunit数)/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。また、輪成分としてγ−CDを用いた場合は、γ−CDとPGunitが錯形成し、γ−CDとEGunitは錯形成していないと仮定したとき([PGunit]/[γ−CD]=2.0)の軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、(PGunit数)/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。
【0078】
さらに、実施例および比較例で合成した擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンについて、被覆率θ(計算値)を求めた。被覆率θ(計算値)は、輪成分としてα−CDを用いた場合は、α−CDとEGunitが錯形成し、軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、試験例1により求められた[EGunit]/[α−CD]の値(A)、および[EGunit]/[α−CD]の文献値(B)を基に、(B/A)×(EGunit数)〕/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。また、輪成分としてβ−CDを用いた場合は、β−CDとPGunitが錯形成し、軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、試験例2により求められた[PGunit]/[β−CD]の値(A)、および[PGunit]/[β−CD]の文献値(B)を基に、(B/A)×(PGunit数)〕/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。また、輪成分としてγ−CDを用いた場合は、γ−CDとPGunitが錯形成し、軸分子を輪成分がどれだけ覆っているかを表す値であり、試験例3により求められた[PGunit]/[γ−CD]の値(A)、および[PGunit]/[γ−CD]の文献値(B)を基に、(B/A)×(PGunit数)〕/(EGunit数+PGunit数)×100で求められる。
【0079】
【表1】

【0080】
表1から、PEG−PPG共重合体におけるPEGとPPGとの質量比を変化させることにより、輪成分(シクロデキストリン)の軸分子(PEG−PPG共重合体)に対する貫通数(被覆率θ)を、正確に制御できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、ポリロタキサンにおける輪成分の軸分子に対する貫通数を制御するのに有用である。このように輪成分の貫通数が制御されたポリロタキサンは、架橋させることにより、優れた柔軟性を示す高分子ゲルとして利用することができる。また、ポリロタキサンの隣り合う輪成分を架橋させた上でポリロタキサンの芯物質を除去することにより、分子チューブとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1で合成した擬ポリロタキサンのH−NMRチャートである。
【図2】実施例3で合成した擬ポリロタキサンのH−NMRチャートである。
【図3】実施例5で合成した擬ポリロタキサンのH−NMRチャートである。
【図4】実施例8で合成したポリロタキサンのH−NMRチャートである。
【図5】実施例13で合成したポリロタキサンのH−NMRチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体が貫通してなる擬ポリロタキサンであって、
前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、
シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率が10〜85%である
ことを特徴とする擬ポリロタキサン。
【請求項2】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体が貫通し、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサンであって、
前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、
前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率が10〜85%である
ことを特徴とするポリロタキサン。
【請求項3】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体が貫通してなる擬ポリロタキサン。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、
前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率が10〜85%である
ことを特徴とする請求項3に記載の擬ポリロタキサン。
【請求項5】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体が貫通し、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体におけるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比が5:95〜95:5であり、
前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率が10〜85%である
ことを特徴とする請求項5に記載のポリロタキサン。
【請求項7】
前記ブロック基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2、5または6のいずれかに記載のポリロタキサン。
【請求項8】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率を10〜85%とすることを特徴とする擬ポリロタキサンの製造方法。
【請求項9】
シクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有し、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体に対する被覆率を10〜85%とし、
次いで、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体の末端官能基と反応し得るブロック基を、前記末端官能基と反応させる
ことを特徴とするポリロタキサンの製造方法。
【請求項10】
シクロデキストリン分子の開口部に、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率を10〜85%とすることを特徴とする擬ポリロタキサンの製造方法。
【請求項11】
シクロデキストリン分子の開口部に、末端に官能基を有し、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの質量比を5:95〜95:5としたポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体を貫通させ、もって、前記シクロデキストリン分子の前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体に対する被覆率を10〜85%とし、
次いで、前記ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体の末端官能基と反応し得るブロック基を、前記末端官能基と反応させる
ことを特徴とするポリロタキサンの製造方法。
【請求項12】
前記末端官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基、ビニル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9または11に記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項13】
前記ブロック基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9、11または12のいずれかに記載のポリロタキサンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−297570(P2007−297570A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129017(P2006−129017)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】