説明

擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法

【課題】さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを容易に作製する方法を提供する。
【解決手段】同じ結晶方位を持つGaAsのプレート21,22を、真空チャンバー11内に設置された第1及び第2の試料ホルダー12,13に、プレート面内の[001]方向が互いに180°異なるように取付け、真空中にて、Arビームを上記プレート21,22の表面21a,22aに所定時間照射して、上記表面21a,22aをエッチングして活性化処理した後、上記表面21aと上記表面22aとを常温にて密着させて接合し、上記プレート21と上記プレート22とを常温接合する、という動作を繰り返して、複数のプレートが、隣接するプレート同士の面内の[001]方向が互いに180°異なるように接合されたGaAs波長変換デバイスを作製するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の波長を変換する波長変換デバイスの製造方法に関するもので、特に、空間反転対称性を有しない化合物の結晶の方位を周期的に反転させて接合した擬似位相整合型の波長変換デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光の波長領域を変換して従来のレーザで得られない波長のレーザ光を得るためのデバイスとして、2次の非線形光学効果を用いた高効率の波長変換デバイスが知られている。この波長変換デバイスの製造方法で主流になっているのは、材料の結晶の向きを数〜数百μm周期で180°反転させる擬似位相整合で、この擬似位相整合により高効率な波長変換を行うことができる。
擬似位相整合波長変換デバイスの材料としては、リチウムナイオベート(LiNbO3)やリチウムタンタレート(LiTaO3)などの自発分極を有する強誘電体結晶が広く用いられている。これらの強誘電体結晶は、分極方向に電界を印加して分極の向きを周期的に反転させてやることにより、上記の擬似位相整合を実現させる。
しかしながら、上記強誘電体結晶を用いた擬似位相整合波長変換デバイスでは、変換できる波長領域が0.3〜5μmに制限されていた。これは、上記変換できる波長領域が当該材料の透明波長領域によって制限されるためで、材料として強誘電体結晶を用いている限り、0.3μmよりも短波長のレーザ光や、5〜20μmの長波長のレーザ光を得ることは困難である。更に、強誘電体結晶では、光損傷閾値(光損傷が起こり始める入射レーザ光のパワー)が十分に大きくないため、高出力の波長変換デバイスを製造するには限界がある。なお、光損傷は、結晶の屈折率が変化したり、結晶構造そのものが破壊されることをいう。
【0003】
そこで、注目されているのが、半導体ガリウム砒素(GaAs)を用いた擬似位相整合波長変換デバイスである。GaAsは長波長での透明波長領域が広くかつ非常に大きな2次の非線形光学定数を有する材料であることは知られているが、光学的には等方的であり、上記の強誘電体結晶のように、電圧をかけると結晶構造が180°反転する性質がないため、これまで擬似位相整合を得ることが困難であった。
そこで、GaAsのプレートを、プレート面内の結晶方位を180°反転させながら順に接着して、交互に積層された積層体を作製すれば、さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを得ることができると考えられる。
GaAsのプレート同士を接着した例としては、CrをドープしたGaAsの単結晶を[111]方向に垂直に切断したプレートの表面をケミカルエッチングした後、プレート同士を圧着させたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
また、真空中でかつ高温(500〜840°C)環境下で、GaAs表面の酸化膜を除去した後にプレート同士を接合する拡散接合法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、副格子交換エピタキシーを用いて擬似位相整合させる方法が提案されている。具体的には、GaAs基板上に非反転層である第1のGaAs層を分子線エピタキシー法(MBE法)で成長させた後、この第1のGaAs層の表面にGe層を成長させ、このGe層の上に反転層である第2のGaAs層を成長させる。次に、上記第2のGaAs層をストライプ状にエッチングし、このエッチング部分に上記第1のGaAs層の表面を露出させた後、非反転層から成る第3のGaAs層を形成する。最後に表面を研磨して平滑にすることにより、反転層である第2のGaAsと非反転層である第3のGaAs層とがストライプ状に交互に並んだ積層体を得る(例えば、特許文献2参照)。
【非特許文献1】D.E.Thompson et.al“ Second-harmonic generation in GaAs stack of plates using high-power CO2 laser radiation”;Applied Physics Letters,Vol.29,No2,15 July1976:pp113-115
【特許文献1】特開2003−15175号公報
【特許文献2】特開2005−115150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表面をケミカルエッチングした後に圧着させる方法では、2枚のプレートの界面に原子レベル以上の隙間ができてしまい、そのため、入射レーザ光及び波長変換光が上記界面で散乱されて、変換効率が大幅に低下するといった問題点がある。
また、拡散接合法は原子レベルでの接合が可能であるが、接合温度が高いためにAsの一部が飛んでしまうなどして、材料が劣化するといった問題点がある。
一方、副格子交換エピタキシーを用いて擬似位相整合させる方法では、高品質なデバイスを製造することはできるものの、厚さが数μm程度であるため、デバイスを高出力化するには限界がある。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを容易に作製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法は、空間反転対称性を有しない化合物の単結晶から成る同じ結晶方位を持つ2枚のプレートを、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置してから、これら2枚のプレートの表面に原子ビーム、分子ビーム、もしくは、イオンビームを照射して上記表面を活性化処理する第1のステップと、上記活性化処理されたプレートの表面同士を常温にて密着させて接合する第2のステップと、上記常温接合されたプレートと上記化合物から成る活性化処理されていない同じ結晶方位を持つプレート、もしくは、上記第1及び第2のステップにより常温接合された2枚のプレート同士を、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置し、これら2枚のプレートの表面を活性化処理する第3のステップと、上記活性化処理された表面同士を常温接合する第4のステップとを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法において、上記対向するプレートのプレート面を(110)面としたことを特徴とする。なお、上記プレート面は、プレートの厚さ方向に垂直な面を指す。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法であって、上記2枚のプレートの間隔が1〜5mmであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法であって、上記活性化処理に用いられる原子ビームはArビームであり、このArビームの広がり角が10°〜30°の範囲にあることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法であって、上記Arビームの照射エネルギー密度が90〜1200J/cm2の範囲にあることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法であって、上記化合物は、III−V族化合物半導体もしくはII−VI族化合物半導体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、GaAsなどのIII−V族化合物半導体、ZnSeなどII−VI族化合物半導体、SiCなどのIV−IV族化合物半導体、あるいは、水晶などの誘電体結晶のような、空間反転対称性を有しない化合物の単結晶から成る同じ結晶方位の2枚のプレート(例えば、プレート面が(110)面であるプレート)を、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置してから、これら2枚のプレートの表面に原子ビーム、分子ビーム、もしくは、イオンビームを照射して上記表面を活性化処理した後、上記活性化処理されたプレートの表面同士を常温接合する操作を繰り返し行って、隣接するプレート面の面内の結晶方位が180°異なるように接合されて擬似位相整合された波長変換デバイスを製造するようにしたので、短時間で、材料を劣化させることなく、接合面を原子レベルで接合することができる。したがって、さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを容易に作製できる。
また、上記対向するように設置された2枚のプレートの間隔を1〜5mmとすれば、活性化処理後の界面の状態がクリーンな状態で常温接合できるので、変換効率を向上させることができる。
また、上記活性化処理に用いる原子ビームとして、広がり角が10°〜30°の範囲にあるArビームを用いれば、プレートの表面を均一にエッチングできるだけでなく、ケミカルエッチングのように、不要に深くエッチングすることがないので、表面を適正に活性化処理できる。したがって、原子レベルでの接合を確実に行うことができ、変換効率を向上させることができる。
また、Arビームの照射エネルギー密度を90〜1200J/cm2の範囲とすれば、不要なエッチングをすることがなく、表面を確実に活性化処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の形態について、図1のフローチャートに基づき説明する。
まず、エピタキシャル成長させたGaAsの単結晶から所定の大きさ(ここでは、一辺が5mm、厚さが0.1mm)のプレートを複数枚切り出す(ステップS10)。このとき、上記切り出されたプレートの厚さ方向に垂直な面(プレート面)を(110)面とする。なお、ここでは、6枚のプレートを接合する例について説明する。
次に、上記プレートのうちの2枚を、図2に示すように、常温接合装置10の真空チャンバー11内に設置された第1及び第2の試料ホルダー12,13に、上記プレートの面内の[001]方向が互いに180°異なるように、それぞれ取付ける(ステップS11)。ここで、上記第1及び第2の試料ホルダー12,13の試料取付面12a,13aを水平面とし、この面に垂直な方向を上下方向とする。なお、本例では、上記第1の試料ホルダー12を可動ホルダーとし、上記第2の試料ホルダー13を固定ホルダーとした。上記第1の試料ホルダー12は、図示しない昇降機構により、上記第2の試料ホルダー13方向に上下動する。
上記真空チャンバー11内の上記第1及び第2のホルダー12,13の側面側には、Arビームを照射するビーム源14が設置されている。このビーム源14から照射されるArビームの中心は、固定ホルダーである上記第2の試料ホルダー13の試料取付面13aから所定距離離れたところにある。
【0009】
プレート21,22の取付けが終了すると、真空チャンバー11を閉じ、図示しない真空ポンプにより、上記真空チャンバー11内を所定の真空度まで真空引きする(ステップS12)とともに、上記第1の試料ホルダー12を、上記第2の試料ホルダー13方向に下降させた後、上記プレート21の表面21aと上記プレート22の表面22aとの距離が所定の距離dになった位置で保持する(ステップS13)。そして、真空チャンバー11内が所定の真空度に到達してから、図3(a)に示すように、上記ビーム源14を作動させて、Arビームを上記プレート21,22の表面21a,22aに所定時間照射して、上記表面21a,22aをエッチングする(ステップS14)。これにより、上記プレート21,22の表面21a,22aを活性化処理することができる。
ここで、上記Arビームの広がり角ωをω=10°〜30°とし、上記2枚のプレート21,22の間隔dを1〜5mmとすることが好ましい。また、上記Arビームの照射エネルギー密度としては90〜1200J/cm2の範囲とすることが好ましい。これにより、プレート21,22の表面21a,22aを均一にエッチングできるだけでなく、ケミカルエッチングのように、不要に深くエッチングすることがないので、上記表面21a,22aを適正に活性化処理することができる。したがって、原子レベルでの接合を確実に行うことができ、変換効率を向上させることができる。
【0010】
上記プレート21,22の表面21a,22aの活性化処理が終了すると、図3(b)に示すように、Arビームの照射を停止するとともに、上記第1の試料ホルダー12を、上記第2の試料ホルダー13方向に下降させて、上記プレート21の表面21aと上記プレート22の表面22aとを密着させて、上記プレート21と上記プレート22とを常温接合する(ステップS15)。本例では、上記2枚のプレート21,22の間隔dを1〜5mmとしているので、上記接合を1〜3秒程度の短時間で行うことができる。
その後、真空ポンプを停止させるとともに、上記真空チャンバー11内に不活性ガスを導入して、上記真空チャンバー11内を大気圧に戻した後、上記真空チャンバー11を開けて、プレート21と上記プレート22とが接合された複合プレート20Dを取り出す(ステップS16)。次に、上記複合プレート20Dを可動側の試料ホルダーである第1の試料ホルダー12に取付ける。また、固定側の試料ホルダーである第2の試料ホルダー13には、新たなプレート23を取付ける(ステップS17)。このとき、上記第2の試料ホルダー13に取付けられた新たなプレート23のプレート面内の[001]方向と、上記第1の試料ホルダー12に取付けられた複合プレート20Dの上記プレート23に対向する側のプレート22のプレート面内の[001]方向とが互いに180°反転するように取付ける。
そして、上記ステップS12〜ステップS14までの操作を行い、図3(c)に示すように、上記新たなプレート23の表面23aと複合プレート20Dの表面(上記プレート22の裏面)22bとを活性化処理した後、ステップS15に進み、図3(d)に示すように、上記新たなプレート23と複合プレート20Dとを常温接合する。
このような操作を、所定回数n=5だけ繰り返すことにより、図4に示すような、複数のプレート21〜26が、隣接するプレート同士の面内の[001]方向が互いに180°異なるように接合されてGaAs擬似位相整合波長変換デバイス(以下、波長変換デバイスという)20を作製することができる。
【0011】
図5は、上記常温接合装置10を用いて作製した、本発明の波長変換デバイスに、波長が1.064μmのポンプレーザ光を入射し、波長が5μmのシグナル光を発生させたときのポンプレーザ光のピークパワー(Pp:Pump Peak Power) とシグナル光のピークパワー(Ps:Signal Peak Power)との関係を調べた結果を示すグラフで、比較例として、拡散接合を用いて作製した波長変換デバイスの測定結果を合わせて記した。ピークパワーは、パルス動作するレーザのピーク位置でのパワーを示す。
なお、GaAsの接合枚数はいずれも6枚で、デバイスの長さは0.6mmである。
また、本発明による波長変換デバイスの作製条件は以下の通りである。
真空度……2.0×10-6Torr
Arビーム……電流:2mA、電圧:5kV、
広がり角:20°、照射時間:60秒
試料間距離……2mm
ビーム−試料間の距離……10mm
接合時間……2秒
図5のグラフから、波長変換デバイスが動作を開始するポンプレーザ光のピークパワー(発振の閾値)は、拡散接合で作製した波長変換デバイスが320Wであるの対し、本発明の波長変換デバイスでは、130Wと発振の閾値が約40%も低減していることがわかる。また、スロープ効率(シグナル光のピークパワーの変化率)も、変換効率(ポンプ光のピークパワーに対するシグナル光のピークパワー)も大幅に向上している。
このように、発振の閾値が低く、かつ、スロープ効率及び変換効率が高いということは、本発明による波長変換デバイスは、接合部におけるレーザ光の散乱が少なく、かつ、接合部近傍でのレーザ光の吸収も少ないことを意味している。すなわち、本発明による作製方法の方が、従来の拡散接合に比較して、プレート間の接合状態が良好である。
また、本発明による波長変換デバイスは、必要とする入射パワーが少なくて済むので、発熱も小さい。したがって、動作が安定しているだけでなく、耐久性も向上するので、レーザ装置の小型化・省エネ化を図ることができる。
【0012】
このように本最良の形態によれば、エピタキシャル成長させたGaAsの単結晶から切り出したプレート21,22を、常温接合装置10の真空チャンバー11内に設置された第1及び第2の試料ホルダー12,13に、上記プレート21,22のプレート面内の[001]方向が互いに180°異なるように取付け、真空中にて、Arビームを上記プレート21,22の表面21a,22aに所定時間照射して、上記表面21a,22aをエッチングして活性化処理した後、上記第1の試料ホルダー12を下降させて、上記プレート21の表面21aと上記プレート22の表面22aとを密着させて、上記プレート21と上記プレート22とを常温接合する、という動作を繰り返して、複数のプレート21〜26が、隣接するプレート同士の面内の[001]方向が互いに180°異なるように接合されたGaAs波長変換デバイス20を作製するようにしたので、発振の閾値が低くかつスロープ効率及び発振効率に優れた波長変換デバイスを容易に作製することができる。
【0013】
なお、上記最良の形態では、プレート21〜26の厚さを0.1mm、プレート枚数を6枚としたが、これに限るものではなく、入射するレーザ光の波長や変換したい波長、あるいは、入射パワーなどにより適宜決定されるものである。
また、上記例では、接合するGaAsのプレート面を(110)面としたが、(111)面などの他の面を接合面としてもよい。
また、上記例では、複合プレート20Dと新たなプレート23とを接合したが、複合プレート20D同士を接合することも可能である。
また、上記例では、GaAsのプレート21,22の表面21a,22aをArの原子ビームでエッチングしたが、分子ビーム、もしくは、イオンビームを用いてもよい。
また、上記プレート21〜26を構成する材料は、GaAsに限定されるものではなく、GaPなどの他のIII−V族化合物半導体、あるいは、ZnSeなどのII−VI族化合物半導体、更には、SiCなどのIV−IV族化合物半導体、水晶などの誘電体結晶を用いても同様の効果を得ることができる。すなわち、本発明の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法に用いられる化合物単結晶材料としては、波長変換を行う波長領域で透明であり、かつ、空間反転対称性を有しない材料であれば、いずれも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、発振の閾値が低くかつスロープ効率及び発振効率に優れているだけでなく、さまざまな波長を発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを容易に作製することができる。また、入力パワーが少なくてすむので、安定性や耐久性に優れるとともに、レーザ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の最良の形態に係る擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の最良の形態に用いられる常温接合装置の模式図である。
【図3】プレートの接合方法を示す図である。
【図4】本発明による擬似位相整合波長変換デバイスの模式図である。
【図5】本発明の擬似位相整合波長変換デバイスの特性を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10 常温接合装置、11 真空チャンバー、12 第1の試料ホルダー、
13 第2の試料ホルダー、12a,13a 試料取付面、14 ビーム源、
20 GaAs擬似位相整合波長変換デバイス、20D 複合プレート、
21〜26 プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間反転対称性を有しない化合物の単結晶から成る同じ結晶方位を持つ2枚のプレートを、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置してから、これら2枚のプレートの表面に原子ビーム、分子ビーム、もしくは、イオンビームを照射して上記表面を活性化処理する第1のステップと、上記活性化処理されたプレートの表面同士を常温にて密着させて接合する第2のステップと、上記常温接合されたプレートと上記化合物から成る活性化処理されていない同じ結晶方位を持つプレート、もしくは、上記第1及び第2のステップにより常温接合された2枚のプレート同士を、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置し、これら2枚のプレートの表面を活性化処理する第3のステップと、上記活性化処理された表面同士を常温接合する第4のステップとを備えたことを特徴とする擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
【請求項2】
上記対向するプレートのプレート面を(110)面としたことを特徴とする請求項1に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
【請求項3】
上記2枚のプレートの間隔が1〜5mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
【請求項4】
上記活性化処理に用いられる原子ビームはArビームであり、このArビームの広がり角が10°〜30°の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
【請求項5】
上記Arビームの照射エネルギー密度が90〜1200J/cm2の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
【請求項6】
上記化合物は、III−V族化合物半導体もしくはII−VI族化合物半導体であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−237081(P2009−237081A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80893(P2008−80893)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(599011687)学校法人 中央大学 (110)
【Fターム(参考)】