説明

擬似接着シート及び情報記録積層体

【課題】親展書類を送付する場合や、ダイレクトメールを、特定の顧客に直接送付することが、さかんに行われているため、各顧客のポストには、1日に多数の郵便物や配送物が投函され、その多数の郵便物や配送物の中から、「はがき」の差出人や、その他の表面の記載から確認できる範囲で、各人が必要な郵便物や配送物を選択し、大半の郵便物や配送物はそのまま廃棄されるか、一旦、開けて内側の記載内容を一瞥後、速やかに廃棄されることが多く、その「開き率」を向上させ、且つ、開けた「はがき」を手元に置かせるような機能を持つ郵便物や配送物を提供する。
【解決手段】ホログラムを有する擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供することにより、開き率向上と、開けたものを手元に置かせるような機能をもつ郵便物や配送物を提供することを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録体に接着可能であって、その情報記録体上の情報記録面同士を、加熱・加圧手段を用いて、剥離可能に貼着、すなわち、容易に剥離可能ではあるが自然剥離しないように貼着することのできる擬似接着シート及び、その擬似接着シートを情報記録体に積層した積層体である、情報記録積層体に関するものである。
特に、擬似接着シートがホログラムを有して、その情報記録積層体の貼着された擬似接着面を剥離して、初めて、ホログラムが観察可能となる情報記録積層体に関するものである。
なお、「挟み込むように折り曲げる」とは、「シート状のもの(情報記録体)」を例えば二つ折りし(シートの中央が「折り目」となる。)、この二つ折りにより生じた空間(内側の空間)に、「別のシート(擬似接着シート)」を差し込んで、その「別のシート」の全体が丁度その内側の空間に入り込むことを意味する。
この「シート状のもの」を二つ折りした際の、その「内側となる面」において、その二つ折りの「折り目」を境界として例えば「左側の面」を「一方の面」とし、「右側の面」を「他方の面」として、この内側の空間に差し込まれた(挟み込まれた)「別のシートの例えば表面」と、その「一方の面」とを接着させると同時に、「別のシートの裏面」と、その「他方の面」とを接着させて、「別のシート」が「シート状のもの」に挟まれた状態で「一体物(情報記録積層体)」となっていることを意味する。
この「折り曲げ」には、三つ折り、その他のより複雑な折り方も含まれるが、いずれも、貼り合わせる際には、折られた多数の面の中の一つの面と、もう一つの面を貼り合わせることとなる。
また、「透明微粒子」とは、金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、または、透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、さらには、金属粒子であって、その質量平均粒子径が1μm以下であることで樹脂に分散した際に高い透明性を有するものを意味する。
本明細書において、配合を示す「%」や「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
【背景技術】
【0002】
(主なる用途)本発明の擬似接着シート及び情報記録積層体の主なる用途としては、
個人のプライバシーに係わる情報や、広く第三者には開示すべきでない情報、受取った人が外観を一瞥するだけでは記載内容を把握できず、折り曲げて貼着したシートを開いて初めて内容を確認できるという、意外性(受取人に予想を超えた印象を与え、高い関心を持たせる性質という意味。)を付与したい情報、さらには、受取人に対するポイントサービスや割引券付与等の特典情報を記載しているため、郵送途中や、配送途中ではその存在を知られたくない情報等、を記載した書類等に用いられ、それらの書類等に擬似接着シートを貼着し、擬似接着シートを内側に折り曲げて、擬似接着することにより、その書類等の上記情報を第三者から秘匿し、正規の受取人のみに、その情報を伝達する用途が挙げられる。
もちろん、それ以外にも、情報を記載した書類等を、一旦、二つ折り、三つ折り、もしくは、それ以上の回数折り、その書類のサイズを小さくして、搬送し、後に、擬似接着部分を開けて元のサイズとして使用する用途に用いることができる。
これらの「情報を記載した書類」を、以下、「情報記録体」とも称するが、この「情報記録体」に擬似接着シートを貼着した「積層体」、さらには、この「積層体」を二つ折り以上の回数折り曲げ、その擬似接着面同士を加熱、加圧等して熱圧着したものを、「情報記録積層体」と称する。
情報記録体を、三つ折り以上の回数折り曲げる場合には、複数の貼着面が生じるため、個々の貼着面に、異なる擬似接着シートを適用する場合もある。
【0003】
その情報記録体としては、近年増加している、携帯電話、クレジット、税金、年金、証券、預貯金、ガス・水道・電気等の各種請求書、支払い通知書、受領書及び満期通知書等のような個人のプライバシーに係わる情報(個人情報を含む)等を記載した書類等や、
主に過去に利用したことのある小売店や、入会しているクレジットカード会社などの顧客情報のデータベースから購入頻度などの属性で抽出され、「郵便」や、以下に説明する「メール便」を利用して届けられるダイレクトメールとして、銀行、証券会社、クレジットカード会社、百貨店、量販店などが、大量に顧客に送付しているものであって、その内容を可能な限り第三者には開示すべきでない書類等が挙げられる。
従来、このような個人情報や第三者に開示すべきでない情報に係わる書類等の郵送や配送には、プライバシー保護や、秘匿性確保等の観点から「封書」が使用されてきた。
しかし、「封書」は、「はがき」に比べ郵送料が高いことからコスト高になるという欠点がある。
また、宛先人毎に通知内容が異なる場合に、本人でない第三者に誤って配送しその情報が漏洩してしまうことを防ぐために、宛先人毎のデータをコンピューター制御によって管理し、宛先人名と通知内容の一致性を確保して、発送作業の正確性確保と省力化を図る手法を用いることが主流となっており、この作業において、コンピューターに入力されたデータを、宛先人毎に連続してプリントアウトし、且つ、プリントアウトしたものを、最終発送直前に、再度、その順序やプリント内容を自動照合する際には、「封書」に替えて、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」(これら「はがき」と「シート」を総称して、「情報記録体」と称することもある。)を用いることが必要となる。
【0004】
これらの「はがき」もしくは、「シート」として(すなわち、「情報記録体」として)、内国通常郵便物である、第二種郵便物(通常はがき:最大サイズ10.7×15.4cm、最小サイズ9×14cm、重さ2〜6g、もしくは、往復はがき:最大サイズ21.4cm(二つ折)×15.4cm、最小サイズ18cm(二つ折)×15.4cm、重さ4〜12g)、国際通常郵便物である船便(平面路便ともいう。)としての、書状、はがき、印刷物(グリーティングカード等含む。)、航空便としての書状、はがき、印刷物・点字(グリーティングカード、Dメール、Pメール等含む。)、エコーはがき、e−センスカード等、
もしくは、郵便事業株式会社内国郵便約款第22条に定める「私製葉書」(郵便事業株式会社以外の者が作成する通常葉書及び往復葉書。)であって、
通常葉書は、長辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下、短辺9センチメートル以上10.7センチメートル以下の長方形の紙とし、往復葉書は、長辺18センチメートル以上21.4センチメートル以下、短辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下の長方形の紙を短辺の部分をそろえて折り目が右側(横に長く使用するものにあっては、下側)になるように折り合わせ、その上片を往信部に、その下片を返信部とし、往信部の裏面と返信部の表面とがそれぞれ内側になるようにしたもの、
紙質及び厚さは、郵便事業株式会社の発行するものと同等以上であるもの、
重量は、通常葉書にあっては2グラム以上6グラム以下、往復葉書にあっては4グラム以上12グラム以下(往信部及び返信部のそれぞれが2グラム以上6グラム以下)のもの、
表面の色彩は、白色または淡色であるもの、
往復葉書の返信部の表面の左上部(横に長く使用するものにあっては、右上部)には、その返信部の料金支払に充てるため、往復葉書の料金の半額相当額の郵便切手をはり付け、または、料金受取人払の表示をしたもの、
表面の上部または左側部(横に長く使用するものにあっては、右側部)の中央に、通常葉書にあっては「郵便はがき」またはこれに相当する文字を、往復葉書の往信部及び返信部にあっては「郵便往復はがき」またはこれに相当する文字を明瞭に表示したもの、等が挙げられる。
【0005】
その他、選挙公示後に出される候補者のPR用ダイレクトメールである選挙郵便、小選挙区選出の衆議院議員の選挙で、政党が私製するものや公示前に出される選挙事務所開き案内、選挙管理委員会が出す投票所入場券等、
宛名記載をせず指定した区域のみを配達するもので、各種宣伝用に使われることが多くポスティングに近い、配達地域指定郵便物(タウンメール)等、
そして、下端にくじが印刷されており、抽選で賞品があたる「くじ付き郵便はがき」でもある、お年玉付き郵便はがき(年賀はがき)や、夏のおたより郵便はがき(かもめ〜る、暑中見舞用郵便はがき)など、日本の風習に沿った用途のはがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの、もしくは、アドレスにアクセスしたり、ダイヤル番号に電話することにより、各種イベント案内や、何らかの特典情報、ポイントサービス等を得ることができる情報、すなわち、インターネットWEBアドレスや、フリーダイヤル番号等が印字されたもの等の、受取人に対して各種のサービスを提供する目的で利用されるもの、
もしくは、運送会社による配送物の中から、「紛失時の損害額の減額」,「小サイズに限定」,「ポストインで判取り不要」を条件に、配送伝票のコストダウンを図り、バーコード追跡システムを維持しつつ配送費用のコストダウンを実現した「メール便」と呼ばれる配送サービスにおいて、各種の通知や案内状または請求書などの書面を送付する手段として、さらには、親展書類等を送付する手段として郵便規則等の制限なく配送されるものなどが挙げられる。
【0006】
さらには、飲食店、通信販売、貸金業、不動産会社などにおいて、広告・宣伝を目的に、ビラやチラシを、各個人宅へ配送する行為(ポスティング)に用いられるものや、商業目的ではなく、公共性を有するものを郵便受けへ直接投入する例として、地方自治体(地域限定の行事案内や、お知らせ)や水道局(主に工事による断水やにごり水、交通規制のお知らせ)によって行われる場合に用いられるもののごとく、秘匿性がそれ程求められていない郵便物や、配達物であっても、受取人が受け取った時に、その外観を一瞥するのみでは伝達情報(何が書かれているのか)を把握できないように情報を配置し、擬似接着部分を開けて、初めて目的たる伝達情報を確認できるように構成して、受取人の関心を引く等の目的に用いられるものなど、市場において流通する全ての情報伝達物が挙げられる。
もちろん、個人が、擬似接着シートを用いて、上記のような情報記録体を作成し、郵送、配送したり、プレゼントとして贈呈したりするための、「はがき等作成用キット」として、販売する等の用途にも用いることができる。
本発明の擬似接着シート、及び、情報記録積層体は、以上の情報記録体、もしくは、情報伝達物の中でも、特に、意匠性に優れることが求められ、且つ、その「開き率」(擬似接着された「はがき」等を開く率という意味。)を高める必要のある分野に好適に用いられる。
【0007】
(先行技術)
近年、「封書」に替えて、個人のプライバシーに係わる記録内容を隠蔽することのできる様々な「はがき」が提案されている。
これらの提案の一つとして、通常のはがきの表面に記載された文字や数字の上に、剥離可能に貼着することにより記録内容を隠蔽することのできる「シール紙」があるが、この「シール紙」は、接着面に弱粘着剤を使用しているため、弱粘着剤層を保護するための剥離紙を設けなければならず、コスト高になる上、その剥離紙の処分も煩雑になるという欠点があった。
また、「シール紙」を剥がす際に、「はがき」に記載された文字部分が剥がれて弱粘着層面に転移し、しばしば、文字が読めなくなるという欠点があった。
更に、この「シール紙」は、開封した痕跡が残らないように脱着することも可能であるので、プライバシー侵害防止効果に劣るという欠点があった。
また、他の材料として、「はがき」の表面に記載された文字を外部から見ることができないようにアルミニウム箔を積層したシートを、「はがき」の文字部分に貼着し、「はがき」の縁に沿って設けられたミシン目を切り離すことによって初めて開封することができるようした「ラベル」がある。しかしながら、この「ラベル」は複数構成から成る積層物であるためコスト高になる上、剥がした「ラベル」が破き難いのみならず不燃物でもあるので廃棄処理も煩雑となるという欠点があった。
その上、上記の「シール紙」や「ラベル」は、記載された情報の一部を隠蔽するためにしか使用できず、多くの情報を郵送する必要がある場合には、コスト高となっても封書を使用せざるを得なかった。
【0008】
そこで、情報量を確保するため、「内部」に情報を隠蔽することのできる、様々な「はがき」も提案され、実用化されている。
その提案例としては、例えば、表面に情報を記録することのできる感熱接着剤層を紙製支持体の片面に形成せしめた「封緘はがき」がある(特許文献1:実開平1−148371号公報参照。)。
この「封緘はがき」は、2つ折りにして「はがきサイズ」となるもので、感熱接着剤の表面に情報を記録した後、これを2つ折にして感熱接着剤同士を剥離可能な接着強度で熱圧着するものである。
しかしながら、この「封緘はがき」は、感熱接着剤層の表面、すなわち、剥離面に情報を記録するため、他面に記録内容が転写されるという欠点があるのみならず、感熱接着剤層の接着強度の調整が難しいために、「剥がしカール」(接着面を界面として基材を剥がした際、その基材が大きくカールしてしまう現象。極端な場合には、基材が円筒状にまるまってしまう。)が発生して情報の判読が困難となるなどの欠点がある。
【0009】
そこで、感熱接着剤層同士の剥離を適度なものとするために、熱圧着の温度と圧力を調整する方法が考えられるが、この方法による剥離性の調整は極めて難しく、接着不良により自然剥離を起こす欠点があること(記録情報の中に秘匿すべき個人情報が含まれている場合には、個人情報の不要な開示と見做される。)、及び、ダイレクトメール等の、情報記録面の全面がインクで覆われる情報記録体では、感熱接着そのものができず、一体化物を得ることができないという欠点がある。
また、2枚のはがきサイズの情報記録体に情報記録した後、各記録体の情報記録面同士を再剥離可能に感熱接着することのできる、両面接着性を有する感熱接着シート、及び、それを用いた情報記録体も提案されている(特許文献2:特開平4−126298号公報参照。)。
しかし、この感熱接着シートを用いた情報記録体の場合には、支持体の両面に形成した合成樹脂塗工層からなる感熱接着シートを、情報記録した2枚のはがきサイズの記録体の情報記録面間に挟んで感熱接着させる時、情報記録面と合成樹脂塗工層とが、直接、接し、熱溶融した合成樹脂塗工層が情報記録体の切り口部からはみ出し、支持体と合成樹脂塗工層間の剥離界面を樹脂で覆うため開封不良となり易いこと、及び、高濃度のインクで覆われた記録体材表面と合成樹脂塗工層との接着性が劣るという点で満足できるものではなかった。
【0010】
これらの欠点を克服するものとして、支持体の一方の面に、自然剥離することなく、且つ、容易に剥離可能な、そして、100℃以下の熱では溶融はみ出しを起こすことのない熱可塑性樹脂層(擬似接着層となる。)を設けてなる形成物の両面に、接着性が優れ、且つ、100℃以下の熱で情報記録体と感熱接着可能な感熱接着剤層を形成させた感熱積層シートを使用することにより、情報記録体への感熱接着性に優れると共に、記録情報を他面へ転写させることがなく、情報を記録した情報記録体の記録面同士を剥離可能に接着させるのに好適であり、また、特にその大きさを「はがきサイズ」とすることにより、「はがき」の郵送料金で従来の2倍以上の量の情報を送ることができる上、プライバシー保護に優れた情報伝達手段として有用である感熱積層シート(特許文献3:特開平7−17166号公報、もしくは、特許第2645535号公報参照。)が提案されている。
しかし、この感熱積層シートを用いても、その受取人が、その差出人を確認するだけで、すなわち、外観を一瞥するだけで、擬似接着部分を開けることなく、そのまま廃棄する場合も多く、もしくは、一旦、開けて、その内側に記載された情報を確認したとしても、その情報の必要部分のみをメモして、開封した情報記録(積層)体を廃棄するか、情報そのものが一読すれば十分であって、保管する必要のない情報であると判断して、速やかに、開封した情報記録(積層)体を廃棄してしまうという課題を有するものであった。
すなわち、その「開き率」の向上や、開いた情報記録(積層)体を受取人の手元に置かせることによる、差出人発信情報の継続的提供性の確保という面では、何らの機能を有しないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平1−148371号公報
【特許文献2】特開平4−126298号公報
【特許文献3】特開平7−17166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した問題を解決すべく、
擬似接着シートであって、その擬似接着シートにホログラムを設け、しかも、擬似接着シートの状態では、ホログラム形成面の存在を秘匿できるとともに、その擬似接着シートを介して、少なくとも二つ折りした情報記録体を熱圧着により貼着し情報記録積層体として、情報記録体上に記録した情報を内側に秘匿し、その情報記録積層体の擬似接着面を剥離、すなわち、その二つ折りを開いて初めてそのホログラムを観察でき、且つ、その情報を確認可能となる、情報記録積層体を提供可能な擬似接着シートに関するものである。
そして、その情報記録積層体を受け取った受取人の注意を十分喚起して、関心を高め、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できるものとし、さらには、開いた情報記録積層体を速やかに廃棄しようとする受取人に対して、その情報記録積層体を手元に保持させ得る機能を有する、擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、
本発明の擬似接着シートの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフが設けられ、前記ホログラムレリーフを覆うように擬似接着層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に接着剤層が設けられたことを特徴とするものである。
上記第1の態様の擬似接着シートによれば、
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフが設けられ、前記ホログラムレリーフを覆うように擬似接着層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に接着剤層が設けられたことを特徴とする擬似接着シートを提供することができ、この擬似接着シートを用いた情報記録積層体の「開き率」を向上可能な、擬似接着シートを提供することができる。
本発明の擬似接着シートの第2の態様は、
前記透明基材の屈折率と、前記擬似接着層の屈折率が同一、または、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とするものである。
上記第2の態様の擬似接着シートによれば、
前記透明基材の屈折率と、前記擬似接着層の屈折率が同一、または、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする第1の態様に記載の擬似接着シートを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、ホログラム形成面の存在を秘匿可能な、擬似接着シートを提供することができる。
【0014】
本発明の擬似接着シートの第3の態様は、
前記接着剤層及び擬似接着層が透明微粒子を含むことを特徴とするものである。
上記第3の態様の擬似接着シートによれば、
前記接着剤層及び擬似接着層が透明微粒子を含むことを特徴とする第1または第2の態様に記載の擬似接着シートを提供することができ、第1または第2の態様の特徴に加えて、ホログラム形成面の存在を、より秘匿可能で、且つ、ホログラム再生像を、より鮮明とすることが可能な、擬似接着シートを提供することができる。
本発明の第4の態様は、
請求項1〜3のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記擬似接着層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とするものである。
上記第4の態様によれば、
第1〜3の態様のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記擬似接着層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とする情報記録積層体を提供することができ、その「開き率」を直接、向上可能な、情報記録積層体を提供することができる。
【0015】
本発明の擬似接着シートは、一方の面にホログラムレリーフを有する透明基材と、そのホログラムレリーフを覆うように設けられた擬似接着層と、他方の面に設けられた接着剤層から構成される。
この透明基材と、そのホログラムレリーフを覆う擬似接着層の屈折率が同一、または、その差が0.1以下であると、そのホログラムレリーフの存在、すなわち、ホログラムの存在が秘匿され、さらに、その接着剤層及び擬似接着層が透明微粒子を含むことで、その秘匿性が増し、且つ、ホログラムレリーフと空気との界面での反射光によるホログラム再生がより鮮明なものとなるものである。
その接着剤層及び擬似接着層に含まれる透明微粒子は、同一の透明微粒子でもよいが、異なる透明微粒子としてもよい。
そして、この擬似接着シートを情報記録体に挟み込み、情報記録積層体とした後、その情報記録積層体を開いてその内側にある情報(情報記録体上の情報)を読み取る際には、ホログラムレリーフの上側にあった透明微粒子を含む擬似接着層が剥離されているため、内側にある情報(情報記録体上の情報記録領域に記録されている秘匿情報等の情報を意味する。)の上に、鮮明なホログラムを観察することができる。さらに、透明部粒子は、ホログラムレリーフによるのホログラムを観察する際に、阻害要因となる情報記録体表面の反射光(照り返し)を和らげる効果を有する。
また、情報記録積層体を開く方向に制限はないが、例えば情報記録積層体を左右に開いたとき、その左側で透明基材上のホログラムレリーフによるホログラムを観察でき、その右側で擬似接着層の表面に形成されたホログラムレリーフによるホログラムを観察できることとなる。
そして、この擬似接着層上のホログラムレリーフと、透明基材上のホログラムレリーフとは鏡像関係にある。
上記の透明基材としては、その一方の面にホログラムレリーフを形成することができ、且つ、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、その一方の面に擬似接着層、そして、その他方の面に接着剤層を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体への接着処理及び、その折り加工において、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性を有するものであって、擬似接着層との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材を用いることが好ましい。
【0016】
透明基材には、各種の透明な材料が用いられる。例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。(ここで、「透明」とは、「光学的に透明(屈折や反射が無い)」という意味、及び、「光散乱性を含んで透明(材料内で屈折や反射が生じる)」という意味の両方を含む。)
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、もしくは、アクリルアミド樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるための、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、もしくは、アセトフェノン等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックを透明基材として用いることもできる。
上記の透明な材料を用いて、その一方の面にホログラムレリーフを形成するには、フォトレジスト等を用いて、その透明な材料上に直接的に形成するか、または、これらの熱可塑性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など、エクストルージョン成形法に適する樹脂を用いて、フィイルム化と同時にホログラムレリーフを形成することもでき、さらには、ポリカーボネートや、ポリエチレンテレフタレート等の適宜な透明フィルム上に、レリーフホログラムを形成可能な上記の透明な材料を設けておき、この透明な材料面に、複製用型を用いて、賦型(レリーフを形成するという意味。)を行なうことにより、一方の面にホログラムレリーフを有する透明基材を形成することができる。後者は、非常に量産性に優れる。もちろん、その透明フィルムを介さず、直接、フィルム状の透明材料の一方の面に、直接、賦型を行うことも好適である。
透明な材料として紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、ホログラムとしての耐久性等の物理特性に優れることから、ホログラムの長期保存性に適したものとなる。また、情報記録体を情報記録積層体とするために、擬似接着シートを挟んで、加熱、加圧する際にも、透明基材の表面に形成したホログラムレリーフの形状が崩れず、好適である。
【0017】
透明基材上の一方の面に設けられたホログラムレリーフによって再生されるホログラム(以下、レリーフホログラムともいう。)は、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を、いわゆる、ホログラムの原理で記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH。計算機合成ホログラムともいう。)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、情報記録積層体を開いた時に(受取人が)目視にて鑑賞可能なホログラムを、少なくとも1種類は含めておくことは必須である。
本発明において、「ホログラム」は鑑賞用とし、「開き率向上」をその目的として設けられているが、そのはがき等が信頼できる送付人から送られてきたことを示すという、いわゆる、偽造防止性を併せ持つことも好適である。
例えば、送付人がはがき等を送付した後、受取人が、その中にある返信用はがき部分(切り離し可能に設けられ、申込書の体裁を有する部分。)等に所定の個人情報等を記入して、返信用はがきとしてその送付人に返送する際に、その申込書が正しい送付人に返送されるものであることを保証するような目的で使われることも好適である。
そして、「ホログラム」は、少なくとも二つ折りした状態から、開いた状態にして「鑑賞」するものであり、完全に開いた状態においては、その開き角度は、180度となる。
例えば、二つ折りの場合には、二つ折りに閉じた状態で、その「シート」を水平に保ち、この水平面を基準面として、基準面上のY軸を、「シート」の天地方向、基準面上のX軸方向を、その「シート」を展開する方向とする。
例えば、はがき等の情報記録積層体を受け取った受取人が、そのはがき等の上に記載された情報を視認する際には、この基準面である水平面に対して垂直な方向をZ軸とすると、この「シート」を照明する光源がその「シート」を照明する方向(光源から「シート」に向かう光となる。)が、YZ平面内においてZ軸と「+10度」の角度をなす方向であり、その照明光によって情報記録体上の印刷等の情報(オフセット印刷や、グラビア印刷、インクジェットプリンター等による固定情報や、個人毎の可変情報等を意味する。)を、同一のYZ平面内において、Z軸とは「−10度」の角度をなす方向において視認することになる。
【0018】
これに対して、情報記録体に接着した透明基材上に設けられた「ホログラム」を「鑑賞」する際には、受け取ったはがき等を、その擬似接着面を左右に開いて、上記した基準面上に開いた状態で「水平」に置き、上記と同一の照明光によって、再生される「ホログラム再生像」の再生方向が、同一YZ平面内のZ軸とは、「−30度」の角度をなす方向(一次回折光によるホログラム再生像を意味する。)となるように、記録しておくことができる。
すなわち、同一のYZ平面内のZ軸に対して「−30度」の角度において、鮮明なホログラムを「鑑賞」することができることを意味する。
この観賞用のホログラムに加えて、単一波長光源である半導体レーザーや、照明波長帯域の狭いLED光源(発光波長帯域幅10nm〜50nmのピークを有するもの。)を用いて初めて視認可能となるような「ホログラム」を、通常の照明光で鑑賞可能なホログラムに追加して記録(記録角度を変えて記録する等の多重記録を意味する。)しておき、ホログラム鑑賞に加えて、真偽判定をすることも好適である。
ここで、「ホログラム」の記録及び再生の原理を以下に詳述する。
「物体」の「ホログラム」を記録するため、その「物体」をレーザー光で照明し、そのレーザー光で照明された物体からの散乱光(「物体」の表面で反射される光。[物体光]を意味する。)を、
0(x,y,z、t)=RE{√2×O(x,y,z)exp(jωt)} (1)
と表す。
また、そのレーザー光で構成される[参照光]を
R(x,y,z,t)=RE{√2×R(x,y,z)exp(jωt)} (2)
とする。
【0019】
このとき、z=0の位置(x−y平面を意味する。)に置かれたホログラム記録材料(感光材料を塗布したシートを意味する。)上の光の強度分布I(x,y)(時間平均)は、
I(x,y)=|E0(x,y,0,t)+ER(x,y,z,t)|2
=|O(x,y)+R(x,y)|2
=|O(x,y)|2+|R(x,y)|2+R*O+RO* (3)
となる。ここで、*は複素共役を表す。
上記式(3)を、
O(x,y)=O0(x,y)exp{jφ0(x,y)}
R(x,y)=R0(x,y)exp{jφR(x,y)}
と振幅(O0、R0)と位相(φ0、φR)を分離して表現すると、
I(x,y)={O0(x,y)}2+{R0(x,y)}2
+2O0(x,y)×R0(x,y)×cos(φ0―φR) (4)
となる。
上記式(4)の第1項と第2項は、それぞれ、[物体光]と[参照光]の強度に対応し、(x,y)について、ゆっくりと変化する。
このホログラム記録材料面上における[物体光]及び[参照光]による露光と、それを現像した後のホログラム記録材料の振幅透過率Tを、
T(x,y)=T0+K×I(x,y) (5)
とする。(Kは定数。)
そして、記録されたホログラムを再生するために、現像後のホログラム記録材料面を照明する光([再生用照明光]を意味する。)を、
R´(x,y)=R´0(x,y)exp{jφR(x,y)} (6)
とすると、記録材料面から生じる波動は、
R´(x,y)×T(x,y)=T0R´+KR´|O|2+KR´|R|2
+KR´R*O+KR´RO* (7)
となる。
【0020】
このとき、上記式(7)の第1〜3項は、直接透過光であり、第4項は、直接像(虚像となる再生像であって、Oに比例する。)となるもので、通常、この直接像をホログラム再生像として視認する。
そして、上記式(7)の第5項は、共役像となり、[物体]の実像を結像する。
以下に、この結像の状況をさらに詳細に記載する。
上記した[物体]上の一つの点をO(x0,y0,z0)とし、これを、点光源R(XR,YR,ZR)からの[参照光]で照明してフレネル振幅ホログラムを記録するものとする。
このホログラムを再生するための再生照明光C(xC,yC,zC)で記録面を照明し、それによって得られるホログラム再生像が現れる点を(xi,yi,zi)とする。
さらに、ホログラム記録面(z=0平面。)上の点をP、線分OP=r、そして、線分RP=sとすると、
点Pに達した[物体光]O(x,y,t)と、[参照光]R(x,y,t)は、
O(x,y,t)=(O0/r)×exp{jφ0+jωt} (8)
R(x,y,t)=(R0/s)×exp{jφR+jωt} (9)
φ0=―(2π/λ)×r+ψ0 (10)
φR=―(2π/λ)×s+ψR (11)
となる。ここで、O0、R0、ψ0、ψRは定数である。
そして、ホログラム記録面上で、この[物体光]と[参照光]が合成されて、H(x,y,t)となり、その合成振幅強度は、I(x,y)(時間平均)となる。
H(x,y,t)=O+R
={(O0/r)e(jφ0)+(R0/s)e(jφR)}jωt (12)
I(x,y)=|H(x,y)|2
【0021】
また、上記式(5)と同様にして、そのホログラム記録面の振幅透過率T(x,y)が以下のように表される。
T(x,y)=K×I(x,y)
=K[(O0/r)2+(R0/s)2
+K[(O00/r×s)exp(j(φ0―φR))]
+K[(O00/r×s)exp(―j(φ0―φR))] (13 )
そして、ホログラム再生用照明光源である点光源C(xC,yC,zC)からの、波長λの照明光は、ホログラム記録面においては、
C―(x,y,0,t)=(C/L)×exp{jφC+jωt} (14)
φC=−(2π/λ)×L+ψC (15)
L={(x−xC2+(y−yC2+ZC21/2 (16)
となり、これが、ホログラム記録面を透過した直後には、
+(x,y,0,t)
=K(O02/r+R02/s)(C0/L)exp{jφ0+jωt}
+K(O000/rsL)exp{j(φ0−φR+φC+jωt}
+K(O000/rsL)exp{j(−φ0+φR+φC+jωt} (17)
となる。
【0022】
この式(17)の第1項は、直接透過光を示す。
そして、ホログラム記録面から十分遠い位置において、光源C=光源Rとしたときには、 φR=φC=定数=0とすることができ、その結果、
式(17)第2項≒(O0/r)×exp{jφ0+jωt} (18)
式(17)第3項≒(O0/r)×exp{―jφ0+jωt} (19)
となる。
すなわち、第2項と第3項の[位相]は、[大きさが同じで、符号が反対]となることを意味し、第2項が虚像(発散する光:その発する点が直接像。通常は、この像をホログラム再生像として観察している。)となり、第3項が実像(収束する光:収束する点が共役像。)となることを示している。
従って、この式からも、虚像である直接像と、実像とは、[左右]及び[奥行]が反転した関係([鏡像]の関係)にあることが判る。
これは、本発明の情報記録積層体を開いた際に、その折り目の左右にある二つのホログラムのそれぞれのホログラム再生像がどのような関係にあるかを示している。
すなわち、情報記録積層体として、透明基材と擬似接着層とが密着しているときには、この2層の界面形状は、三次元空間において、同一のホログラムレリーフ形状を成しているが、情報記録積層体を開いたときには、この密着していた界面が開かれ、例えば、その折り目の左側にある透明基材上に[元々あった、そのホログラムレリーフ形状]が表れ、これに対して、その折り目の右側には、擬似接着層の表面に[そのホログラムレリーフの鏡像となる形のホログラムレリーフ形状]が現れることとなる。
端的に言えば、「情報記録積層体を開いた状態の情報記録体」の内、左の透明基材上のホログラムレリーフにホログラム再生用の照明光をあてて観察したときに、観察できるホログラム再生像は、[物体]と等しい立体形状を持つ、[オルソスコピック像]であって、右の擬似接着層上のホログラムレリーフにホログラム再生用の照明光をあてて観察したときに、観察できるホログラム再生像は、[物体]と左右及び奥行きが逆となった立体形状を持つ、[スードスコピック像]となる。
【0023】
すなわち、情報記録積層体を開いたときに、左右のホログラム再生像が例えば、左は、手前側に飛び出して見え、右は奥側に引っ込んで見える。
このような見え方は、ホログラム再生像を見慣れている者にとっては、若干の違和感を生じることとなる。
そこで、原理上、ホログラム記録面上にそのホログラム再生像が出現し、このような飛び出しがない「イメージホログラム」をホログラム記録したレリーフホログラムを用い、この違和感を低減することは好適である。しかし、それでも、奥行、左右の反転が発生するため、「物体」の立体形状そのものを、奥行、左右対称のものとすることで、上記した二つのホログラム再生像を全く同一のものとすることも好適である。
さらには、ホログラムとして記録する「3次元像(立体像)の表面形状(立体形状)」そのものを、ホログラム記録面上の一本の直線にその一端を発し、そこから徐々に水平方向及び垂直方向に遠ざかるものとし(遠い位置から、徐々に手前に近づき、最終的には、その一本の直線に収束する形の立体像を意味する。すなわち、一本の直線に始まり、徐々に奥行き方向及び左方向に遠ざかる3次元曲面形状である。)、これを上記した左の透明基材にホログラムレリーフとして記録する際に、この「一本の直線」とその「折り目を成す直線」とを空間的に同一位置とする(ぴったりと重ねることを意味する。)ことで、左のホログラムレリーフからは、情報記録体の奥側から徐々にその折り目に近づくホログラム再生像を観察でき、右のホログラムレリーフからは、(その鏡像となる)その折り目から徐々に水平方向に遠ざかりつつ、手前に向かってくるホログラム再生像を観察できるものとすることができる。
【0024】
このことは、左右で観察されるホログラム再生像が、その折り目で連続的につながり、情報記録体の左端において情報記録体の奥側に見えるホログラム再生像が、徐々に手前に広がり、その折り目において段差を生じることなく、(その折り目において、ホログラム再生像が、情報記録体の手前側に転じる。)情報記録体の右端まで、今度は、手前側に向かって広がるようなホログラム再生像、言い換えれば、「一つのホログラム再生像として観察できるような」([オルソスコピック像]と、[スードスコピック像]とを一つの連続的な立体像として観察できることを意味する。)ホログラム再生像を再生できるホログラムレリーフを提供することができる。
さらに、ホログラム再生像を、例えば、ホログラム記録面の奥側に見える再生像と、手前側に見える再生像の2種類で構成し、情報記録体の折り目を境として左側と右側で、その奥行が逆転することを利用し、左側において手前に浮き上がって協調される再生像と、右側において浮き上がって強調される再生像を「別の像」として観察させることも好適である。
この時、ホログラム記録面の奥側として記録する3次元の実物形状(下記するCGHの場合には、想定する3次元立体形状を意味する。)を、本来の形状に対して、左右奥行を反転したものとし、[スードスコピック像]として再生した際に、自然な立体感を持つものとして再生されるように工夫することも好適である。
さらに、上記情報記録体積層体を左右に開く場合に、閉じた状態を「開き角度‘0度’」とし、左右に完全に開いた状態を「開き角度‘180度’」として、開き角度‘180度’のときに、上記YZ平面内のZ軸に対して「−30度」の方向に「一つのホログラム再生像H1」を視認し、開き角度‘150度’のときに、同一方向に「別のホログラム再生像H2」を視認できるように、二つのホログラムを多重記録することが可能である。
【0025】
すなわち、開き角度‘180度’の時には、はがき等を開いたときの、その左右部分から、上記した立体配置の方向に「ホログラム再生像H1」の再生像が結像し、開き角度‘150度’の時には、開いた左右部分が、基準面からそれぞれZ軸方向に15度ずつ浮き上がっている状態(左右の部分をそれぞれ別の平面領域として、個々の平面がY軸を中心線として、15度ずつ、浮き上がる方向へ回転した状態を意味する。)となり、照明光が、この「斜め」となった左右部分を照明し、その面から受取人の「目」の方へ向かう回折光によって、「ホログラム再生像H2」が結像するものである。
もちろん、開き角度を変化させたときに、ホログラム再生像が結像する方向を、上記Z軸に対して「−20度」とするように変化させることも好適である。
このような、いわば、捩れた方向に、ホログラム再生像を向かわせるためには、「ホログラム再生像H1」記録時の光学系の立体配置に対して、その干渉縞形成面に配置している感光材面、及び、光源光(「参照光」を意味する。)はそのままとし、「ホログラム再生像H2」記録時には、再生像となる「物体光」(「物体」表面で反射してくる光という意味。通常は、この「光」を見て、「物体」を認識している。)の入射方向を、基準平面内で15度回転させた方向とすることにより実現できる。
【0026】
さらには、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)の手法を用いて、照明光源として、2つの照明光を設定し、それぞれの照明光により再生されるそれぞれ(2つ)の再生像を再生可能な干渉縞(ホログラム)を多重記録することが可能である。
立体像が再生可能なコンピュータジェネレーテッドホログラムの作成手法には、概略2つの方法があり、その1つは非特許文献「画像ラボ」(1997年4月号Vol.8,No.4.34〜37頁)もしくは、「3次元画像コンファレンス‘99―3D Image Conference’99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日工学院大学新宿校舎)等で知られた物体表面を点光源の集合で置き換える方法である。もう1つは、ホログラフィック・ステレオグラムの方法である。
本発明においては、前者の物体表面を点光源の集合で置き換える方法を採用できる(図1参照。)。これは、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの光源光で観察される場合について、その概要を説明すると、図1に示すように、ステップST1で、CGH化する物体の形状が定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画(電子線描画)用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により記録材料に記録され、CGHが得られる。
【0027】
より具体的には、本出願人が出願した「特開2008−77042公報」に記載した手法を用いることができる。すなわち、立体模様の原画像となる「三次元構造体M」として、その「三次元構造体M」の表面上の「標本点Q」の位置における「法線ベクトルN」を、記録媒体1から所定のサイズの開口部を通して進行する「物体光」にあてはめ、これを投影面Syzに投影して得られる投影ベクトルN*と基準軸Rとの交差角ξを求め、θ=ξ/2なる方位核θを定義して、「標本点Q」に対応する投影面Syz上の点Pに位置する画素に、X軸に対して方位角θをなす方向を向いた回折格子線を配置してなる回折格子を有する画素パターンを割付け、この割付けを物理的記録媒体(記録媒体2。)に、電子線描画装置による電子線レジストへの描画及び、現像処理(ステップST8)を経て、本発明のホログラムレリーフ(原盤作成:ステップST9)を得るものである。
このようにして、擬似接着して閉じたはがき等を、開く角度により、異なるホログラムを再生することができる情報記録体及び、それを用いた情報記録積層体を作成することができ、より意匠性に富んだものとし、それによって、その「開き率」をさらに高いものとすることができる。
上記したホログラム再生像H1とホログラム再生像H2の再生方向は、3次元立体配置において、捩れた方向となっているため、ホログラム再生像同士の干渉により、互いに不鮮明化する現象が発生しにくく、開き角度180度に対して、10度以上角度を変えることで鮮明な第二のホログラム再生像を視認することができる。
しかしながら、ホログラム再生像は、多重記録によって、個々のホログラム再生像の再生効率(鮮明さの度合いであって、回折格子の回折効率と同様の指標である。)が低下するため、その低下を考慮して、180度、150度、120度、90度の四重記録が、限界である。
もちろん、開き角度90度未満となると、はがき等を開く角度が狭くなりすぎて、ホログラムを照明する光の量を十分確保できなくなる。
【0028】
また、はがき等を開くことにより、異なるホログラム再生像を鑑賞する際に、その角度を180度、150度、そして、再び180度に戻すごとく、動きを伴って鑑賞する鑑賞の仕方に応じて、そのホログラム再生像のデザインそのものを「動き」のあるものとして記録しておくこともさらに好適である。
例えば、開き角度が180度のときには、正面を向いているホログラム再生像が、開き角度150度のときには、横を向いているホログラム再生像となるようにしたり、奥にあったホログラム再生像が、手前側に結像し、手前に飛び出すように見えるものとすることも可能である。
さらには、情報記録積層体に用いる情報記録体の材質によって、上記した「剥がしカール」を解消することが困難な場合があり、このような場合には、情報記録積層体を開けた際に、必ず、「剥がしカール」が発生し、左右に開いた面の中央部分が、上記基準面から、1〜5mm浮き上がる形となる。
但し、この「剥がしカール」の浮き上がり量(上記の場合は、「1〜5mm」。)は、再現性があり、従って、透明基材にホログラムを記録する際、この浮き上がりを想定して、記録することにより、この様な「剥がしカール」が発生する情報記録積層体においても、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができる。
すなわち、上記の「ホログラフィー露光装置」におけるホログラム撮影時に、その干渉縞形成面に配置している感光材面の形状を、この「剥がしカール」発生状態と同一の形状とし、ホログラムを撮影し、そのホログラムを、レリーフホログラムとして複製することで得られる。
また、上記した、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)の手法を用いて、ホログラムを再生するホログラム記録面が、「剥がしカール」の形状(半円筒形)となるように設定してホログラムを作成することによっても、同様の、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができる透明基材を作成することができる。
【0029】
これらのレリーフホログラムのホログラムレリーフの凹凸のピッチ(周期)は、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、通常0.1μm〜1μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。すなわち、ホログラム再生像が鮮明となる。
上記の微細な凹凸形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要がある。複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用いる。
レリーフホログラムが形成された透明基材は、その表面に上記のような微細な凹凸を形成可能であればよいため、その厚さを非常に薄く形成することも可能で、その厚さは、上記した凹凸深さの2倍以上あればよいが、可視光線の波長よりも大きくすることが望ましく、3μm〜200μmとする。3μm未満では、ハンドリング適正に欠け、200μmを超えると、情報記録体に挟み込む際に大きな段差を生じ、且つ、情報記録積層体の変形やカールの要因となる。
また、3μm〜150μm厚さのポリエチレンテレフタレート(「PET」とも称する。)等の適宜な透明フィルム上に、上記した「透明な材料」を積層したものを「透明基材(2層となる。)」として用いる場合には、その透明フィルムと透明な材料とを積層した「総厚さ」をこの範囲内に設定する。
【0030】
また、透明基材や、擬似接着層には、光散乱性を有すると同時に、高屈折率であって、透明基材の屈折率を高めることができる、透明性を有する無機微粒子(二酸化チタン顔料:屈折率2.70、酸化鉄パール顔料:屈折率3.0など。)を比較的多く混入させることが可能であり、透明基材や、擬似接着層の屈折率そのものを高めることができる。
これは、透明基材を通過する光や、擬似接着層を透過する光は、本発明において鑑賞する「ホログラム再生像」には寄与しないため(逆に、鮮明性の阻害要因となる。)、敢えて両層を透過する光に対する散乱性を高くし、且つ、「層」としての屈折率を高め、「空気」と「層」の界面での反射率を高めることができることを意味する。
このことを詳述すると、情報記録積層体を開いて、ホログラム再生像、及び、情報記録体上の情報を視認する目的で、その開いた面に照明光をあてた際には、まず、ホログラムレリーフでその光が反射し、反射型のホログラム再生像を結像する光が発生し、そして、残りの光がホログラムレリーフを透過して、情報記録体の基材の表面(もしくは、情報記録体上の記録情報の表面。)まで到達し、それらの表面で反射して、記録情報を「光の濃淡もしくは色彩」として担持した「散乱光」となって、再び、ホログラムレリーフを透過することとなる。
その散乱光は、その進行方向、位相及び強度が非常に乱れた状態となっているため、ホログラムレリーフを通過しても、ホログラム再生像を結像し難い。また、ここでも反射が生じるが、上記のように「乱れた光」となっているため、反射光の反射強度は小さく(この反射光とは、ホログラムレリーフの下方から侵入し、下方へ反射される、ホログラフィックな反射光を意味する。)、十分な透過光(反射も回折もしない光として、ホログラムレリーフをそのまま透過する光を意味する。)を確保することができる。
従って、ホログラムレリーフに用いる「ホログラム」を「反射型」とすることで、照明光が最初にホログラムレリーフで反射した際に生じる、鮮明なホログラムを視認し、ホログラムレリーフを透過した光による不要な反射や、不要なホログラム再生像を出現させないようにして、記録情報の判読や、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
【0031】
この透明基材の一方に設けられたホログラムレリーフを埋めるように設けられる擬似接着層は、透明基材との適度の密着性を有し(通常のハンドリングにおいては剥離しない程度の密着性を意味する。)、且つ、上記のように意図して開く際には、その透明基材から容易に再剥離できるように調整するため、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合したものを使用する。
粘着主剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル等、または、これらの混合物が挙げられる。これらの粘着主剤の混合割合を、適宜、調整することによって、透明基材との密着性を適度の強度に保持しつつ、擬似接着層の凝集力や、情報記録体との接着正を強める。
粘着力調整剤は、粘着主剤の粘着力を調整するために混合され、針状物質もしくは微粒状物質、または、これらの混合物が用いられる。
添加物として、取り扱い性、各種加工機内での搬送性能等の滑り性向上または耐ブロッキング性向上のための微粒子ワックス類、劣化防止のための紫外線吸収剤などを添加してもよい。
また、消泡剤として、非イオン系界面活性剤を添加したり、さらに、消泡助剤として、シリカ等を添加してもよい。
そして、擬似接着層に用い得る透明微粒子としては、
金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、特には、質量平均粒子径が1μm以下のもの、であって、いずれも、10nm以上であるもの、
または、
透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、特には、質量平均粒径が3μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、であって、いずれも、0.1μm以上のもの、
さらには、
金属粒子であって、その質量平均粒子径が1μm以下のもの、特には、100nm以下のものであって、いずれも、10nm以上のものであることで、樹脂に分散した際に、高い透明性と、所定の光散乱性を有するものを使用することができる。
具体的には、金属化合物として、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、フッ化グネシウム等がある。
【0032】
特に、粒径を100nm以下とするには、
気相法として、化学気相析出法:電気炉法、化学炎法、プラズマ法、レーザー法、または、物理気相析出法:ガス中蒸発法、抵抗加熱法、高周波加熱法、プラズマ法により、
液相法として、化学的液相法:共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱反応法、逆相ミセル法、超臨界流体法、異相系液反応法、溶媒抽出法、または、物理的液相法:噴霧乾燥法、凍結乾燥法により製造することができる。
また、透明な樹脂の粉体として、ナイロンパウダー、 アクリルパウダー、フェノールパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー等を用いることができる。
ここで、これらの透明な樹脂の粉体と、透明な樹脂の粉体を分散させる樹脂(透明基材、擬似接着層、または、接着剤層に用いられる樹脂を意味する。)との屈折率差は、0.01以上あれば、その透明な樹脂の粉体による光散乱性を発現することができるが、0.1以上の屈折率差があれば、その光散乱性を十分確保でき、好適である。
この屈折率差は、大きい方が望ましく、樹脂の屈折率1.4に対して、屈折率1.9のもの(屈折率差0.6)を使用しても、透明微粒子の質量平均粒径が最大でも10μmであって、情報記録体上の記録情報の大きさ、例えば、文字情報の画線の幅である数百μmより、はるかに小さいため、その文字情報を極端に歪めることなく、視認することを可能とする。
但し、この屈折率差0.6を超える材料系(透明な樹脂の粉体と、それを分散させる樹脂の系)を見出すことは物理的に困難である。
そして、金属微粒子としては、Auナノ粒子(4.4nm)、Agナノ粒子(11.5nm)、Cuナノ粒子(11.4nm)、タングステン微粒子、ニッケル微粒子等を用いることができる。
擬似接着層における透明微粒子の添加量は、樹脂100%当たり5%〜30%であることが好ましく、特に好ましくは5%〜15%である。透明明微粒子添加比率が5%未満では、光散乱性が不十分であり、また、30%を超える添加量では、情報記録体、及び、透明基材との密着性が不安定となるため好ましくない。
このような擬似接着層の形成厚さは、乾燥後で3μm〜50μmとする。
形成厚さが、3μm未満であると、情報記録体との接着力が不十分となり、また、透明基材上のホログラムレリーフを十分に埋めることができなくなる。
また、その厚さが、50μmを超えると、ブロッキングやパイリング(粉落ち。)等も発生し易くなるとともに、感熱、加圧後に剥離する際、透明基材との剥離力(透明基材に接着する強さ)が強くなることにより、「剥離感」が悪く(剥離が重く)なる傾向がある。
さらに、擬似接着層としての光散乱性の指標となる「ヘーズ」(JIS K 7136に準拠。)は、10%〜30%とすることが望ましい。「ヘーズ」が10%未満であると、不要な反射や、不要なホログラム再生像が強くなり、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼし、「ヘーズ」が30%を超えると、情報記録体上の記録情報を視認し難くなる。
この「ヘーズ」の範囲内となるように、上記した樹脂の種類や、透明微粒子の種類及び添加量を調整する。
【0033】
擬似接着層は、グラビアコーティング方式、ブレードコーティング方式、カーテンコート方式、ロールコーティング方式や、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式等により、透明基材の一方の面に形成されたホログラムレリーフの凹凸の隅々まで、その凹凸を埋めるように形成する。すなわち、透明基材と擬似接着層の界面が精密に一体となって、同一のホログラムレリーフ形状となるようにする。
そして、擬似接着層に用いる樹脂や透明微粒子、その他の添加剤と、透明基材に用いる樹脂や、その他の添加剤を調整し、透明基材の屈折率と、擬似接着層の屈折率を同一、または、その差を0.1以下に調整し、両層が積層されているときの「両層の界面」における屈折光や反射光の発生を抑制し、この界面における不要なホログラム再生像の発生を無くして(両層が積層されている状態ではホログラム再生像が再生されないことが好ましいため。)、目視では、このようなホログラムレリーフ界面が存在することを、確認できなくし、その秘匿性を向上させる。
すなわち、擬似接着シートをハンドリングする際には、その中にいかなるホログラムレリーフ、もしくは、いかなるホログラムデザインが隠されているか、その外観からは知ることができないため、その偽造防止性に優れるものとなる。
従って、このホログラム再生像そのものに、上記したような「特典情報等」を記録しておくことも好適である。
しかし、この屈折率差が0.1を超えると、両層が積層されていても、その照明光の強度や、照明角度により、その界面のホログラムレリーフの存在を目視にて視認でき、偽造防止性に劣るものとなる。
また、透明基材の一方の面に形成したホログラムレリーフ上に、上記の秘匿情報や、宛先人へのメッセージ等を、各種コーティング方式や、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式等により印刷し、または、各種プリンターにより印字しておき、情報記録積層体を開いたときに、透明基材の一方の面に形成したホログラムレリーフ上の印刷層または、印字層が、全て擬似接着層側に転移するか、もしくは、一部はそのホログラムレリーフ上に残り、一部が擬似接着層側に転移するようにして(擬似接着層上に現れるホログラムレリーフ上に転移していることを意味する。)、ホログラム再生像にこれらの印刷情報を組み合わせて提示することで、その意匠性と偽造防止性を向上させることも好適である。
さらに、透明基材の他方の面にも同様の印刷または印字情報を形成して(この印刷または印字情報は、情報記録積層体を開いた後も、透明基材側に全て残るものとなる。)、その組み合わせを、多種多様なものとすることも好適である。
【0034】
また、透明基材の屈折率と、擬似接着層の屈折率を同一、または、その差を0.1以下に調整することは、情報記録積層体を左右に開いたときに、この擬似接着層側と、透明基材側とで、反射光再生型のホログラム再生像の鮮明度を同一、または、ほぼ同一とする効果を有する。
すなわち、透明基材及び擬似接着層を可視光領域の波長を有する照明光で照明した場合には、まず、空気側からこれらの層に侵入する際に、空気とこれらの層との界面において、反射光と透過光に分かれる。
本発明においては、この反射光が、これらの層の表面に形成された各々のホログラムレリーフの位相を含んで反射することにより、各々のホログラム再生像を出現させるものである。
従って、ホログラム再生像の鮮明性は、この反射光の反射率が高ければ高い程、すなわち、空気の屈折率n=1.0との差が大きければ大きい程、高まることとなる。
「ある層」の表面に、空気側から、垂直に入射する光の反射率は、その「層」の屈折率をnとすると、
反射率Ref={(1−n)/(1+n)}2 (20)
と表すことができる。
この式より、透明基材と擬似接着層の屈折率が大きければ大きい程、この反射率Refが大きくなることが判る。(反射率の大きさは、光の入射角度に依存するが、この傾向はいずれの入射角度においても同様である。)このことは、透明基材と擬似接着層の屈折率が異なると、それぞれの層から再生されるホログラム再生像の鮮明さに差が生じることを意味する。
いずれの層も、屈折率1.0の空気との界面が、ホログラム再生像の鮮明性を決める要素となるため、透明基材と擬似接着層の屈折率を同一とする、または、その屈折率差を0.1以下とすることで、両層と空気との屈折率差を同一、または、ほぼ同一とする。
【0035】
さらには、これらの層の下にある、情報記録体上の情報記録領域に記録された情報の視認性を同一とするため、その「散乱性を含む透明性」をも、同一、または、ほぼ同一とする。ここで、「散乱性を含む透明性」とは、レーザー等の進行方向や位相が揃った光を、何らの乱れも生じさせずに透過させる、いわゆる、レーザー光学系用の光学素子がその性質として保持している「透明性」とは、異なる意味の「透明性」を意味し、透過する光の性質によらずその量のみを表す「光の透過性」に近い概念である。
情報記録領域内の記録等を視認する場合には、反って、その進行方向や位相が揃っていない光の方が、すなわち、「散乱性を含む透明性」を有する光で照明した方が視認しやすい。
情報記録体上の情報記録領域に記録された情報は、一方では、その上に透明基材と接着剤層の積層を通して視認し、他方では、擬似接着層を通して視認するため、この「散乱性を含む透明性」を同一とするには、比較的透明性の高い透明基材の比較的小さい光散乱性を加味しながら、さらに、擬似接着層及び接着剤層に用いる樹脂や、透明微粒子等の添加剤が同一の場合には、その厚さを同一としたり、また、両層に用いる樹脂や、添加剤が異なる場合には、その「光散乱性を含む透明性」が同一となる厚さに調整する。
さらに、情報記録積層体を左右に開いたときに、擬似接着層が左右両側にそれぞれ部分的に残存して「ムラ」となること(圧着された擬似接着層が、分断されることを意味する。)を防ぐため、情報記録積層体を上下から加熱圧着する際の情報記録積層体の上下の加熱温度に、20度〜40度の差を設け、上下に存在(位置)する、透明基材と擬似接着層に加わる温度に差をつけて、透明基材側をより加熱、昇温させ、擬似接着層の表面のみがより加熱されるようにすることも好適である。こうすることで、擬似接着層が内部破壊し難くなり、「ムラ」のない開封が可能となる。
擬似接着層に用いられる樹脂としては、さらに、ポリエチレン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物系等が挙げられる。
【0036】
特に、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを選択して使用することが、透明基材との剥離性、及び、保存性を良好なものとすることができるので好ましい。
ここで、ビカット軟化温度とは、ASTMD1525−70によって測定した温度であり、プラスチック表面に1kgの荷重をかけたゲージを配置して加熱したとき、ゲージの針先がプラスチック中に1mm入り込んだ時の温度で表され、ビカット軟化点と同義である。
また、他の例示として、ポリプロピレンフィルムを透明基材の材料に用いた場合には、その上に積層される擬似接着層はプロピレンとαオレフィンの共重合体と結晶性ポリブテン(ポリブテン−1ホモポリマー)の混合体であることが好ましい。
さらに、擬似接着層は、その形成層の破断点伸度が350%(破断点伸度測定は、JIS K−6760に準ずる。)以上となるように調整された形成層であることも好ましい。
破断点伸度が350%未満では、加熱、加圧により一体化された情報記録積層体を、剥離展開する(開けることを意味する。)際、擬似接着層が、層内でちぎれて、展開した情報記録体の左右に部分的に付着し、「ムラ」となりやすく、ホログラム再生像の鮮明度を低下させる恐れがある。
また、透明基材と擬似接着層との界面における180度剥離強度は、50〜300g/50mmであることが好適であり、特に50〜150g/50mmであることがさらに好ましい(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)。こうすることで、透明基材と擬似接着層とが十分に密着するとともに、情報記録積層体を開く際、透明基材と擬似接着層との界面でスムーズに剥離することができ、層内ちぎれの発生を抑制できる。
この剥離強度が、50g/50mm未満であると自然剥離が発生し易く、郵送中や、配送中に二つ折りした情報記録積層体が開く恐れがあり、また、この剥離強度が300g/50mmを超えると、「剥がしカール」が発生したり、表面強度の弱い情報記録体を使用した場合には、情報記録積層体を開く時に、その情報記録体の表面が剥がれ、ホログラム再生像が歪んで不鮮明となり、伝達する情報そのものの判読性をも低下させる恐れがある。
【0037】
次に、透明基材の他方の面に、接着剤層を設ける。
「接着剤層に用い得る透明な樹脂」としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、メチルセルロース(n=1.50)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)等もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
このとき、接着剤層の屈折率と、透明基材との屈折率を同一、もしくはその屈折率差を0.1以下とすると、接着剤層と透明基材との界面における不要な反射光(平面界面での反射光となる。)を抑制できるため、好適である。
そして、この「接着剤層に用い得る透明な樹脂」に、擬似接着層に用いたものと同様の透明微粒子の中から、その透明な樹脂の屈折率、希釈溶剤の種類、粘度、形成方法、形成厚さ等を考慮して、適宜選択し、透明な樹脂中に含ませる。
具体的には、透明微粒子は、この透明な樹脂に対して、その光散乱性と透明性、さらには、接着剤層の凝集力をも考慮して、5%〜30%の範囲内にて添加する。
5%以下では、光散乱性を得難く、30%を超えると、必要な透明性を得ることが難しくなる。(記録情報を視認するために必要な透明性を意味する。透明微粒子が必要以上に多く含まれると、透明微粒子間での多重反射が増大し、記録情報が霞んで、記録情報が見え難くなる。)
透明な樹脂に透明微粒子を含ませる際、透明微粒子の2次凝集を抑制し、微小な粒子が樹脂全体に均一に分散するようにするため、デゾルバー等の回転羽式での分散だけでなく、ガラスビーズや、スチールビーズを用いたボールミルや、ニーダーによる分散を1〜3時間行う。
【0038】
また、透明微粒子の均一な分散性をさらに高めるために、透明微粒子表面のシランカップリング処理等の表面活性化処理や、各種の界面活性剤の添加等も好適である。更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、グラビアコーティング等のコーティング方式や、カーテンコート方式、ノズル方式、シルクスクリーン印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記の透明基材上に、乾燥後の形成厚さ、3μm〜50μmで、設けることができる。
3μm未満では、情報記録体表面との接着力が不十分であり、情報記録体を二つ折り等の折り加工を施した後、擬似接着シートを挿入し、加熱、圧着した情報記録積層体を開封する際に、接着剤層と情報記録体表面が部分的に乖離して、接着剤層と情報記録体表面との間に空気が入り込み、情報記録領域の情報の視認性や、ホログラム再生像の鮮明さを著しく低下させることとなる。また、50μmを超えると、情報記録積層体の厚さを不必要に厚くし、また、情報記録積層体作製時の加熱、加圧時に接着剤層のはみ出しが発生し易くなる。
さらに、接着剤層としての「ヘーズ」(JIS K 7136に準拠。)は、10%〜30%とすることが望ましい。「ヘーズ」が10%未満であると、不要な反射や、不要なホログラム再生像が強くなり、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼし、「ヘーズ」が30%を超えると、情報記録体上の記録情報を視認し難くなる。
この「ヘーズ」の範囲内となるように、上記した樹脂の種類や、透明微粒子の種類及び添加量を調整する。この際、透明基材の「ヘーズ」を加味し、透明基材と接着剤層の積層における「ヘーズ」と、擬似接着層の「ヘーズ」が同一となるように調整することが好ましい。
【0039】
上記した「接着剤層に用いる透明な樹脂」は、透明基材と、情報記録体表面との接着性に優れるものを適宜選択する。
接着剤層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、200g/50mm〜4kg/50mm、特に、500g/50mm以上とすることが望ましい。200g/50mm未満では、郵送や配送中に、情報記録体表面と接着剤層間において剥離が発生し、その部分に空気が入り込む等の現象が発生して、秘匿情報等の確認や、ホログラム再生像の鑑賞を阻害する。特に、折り部分に近い領域はこの不具合が発生し易い。
さらに、擬似接着層や接着剤層に、無機顔料、或いは、有機顔料を添加して、透明性を維持しつつ、且つ、その表面に微細な凹凸を形成した場合には、溶融した各層の透明な樹脂が、情報記録積層体の間からはみ出すことを防止することができる上、擬似接着シートそのものをロール状に製造する際に、ロール状となった擬似接着シートのブロッキングを防止することができる。特に、この微細な凹凸は、熱圧着による情報記録積層体作製時に消失するため好適である。
擬似接着シートは、上記したように、折り曲げた情報記録体に挿入され、加熱、圧着されて情報記録積層体を構成することになるが、情報記録体の「剛度」が大きすぎる、もしくは、「剛性」が強すぎると、折られた情報記録体が元に戻ろうとする「力」が強く働き、擬似接着していた情報記録積層体が、自然剥離してしまうことになる。従って、透明基材と擬似接着層との間の(再剥離可能な)接着強度は、この「力」より大きくする。このことから、情報記録体の「剛度」は、小さい方が好ましい。
【0040】
このように、一旦、「折り曲げたもの」の元に戻ろうとする「力」が比較的小さいことを指して、「折り適性が良好」という。
例えば、JAPAN TAPPI NO40:2000に準じて測定されるガーレー剛度(試験片に一定の力を加えたときに曲がる角度を測定 「ガーレー法:ガーレーこわさ試験器で紙を押し曲げるときのたわみを測定するもの。この方法に準じて情報記録体も評価する。)で、10mN〜200mNであることが好ましい。ガーレー剛度は、小さければ小さい程、折り適性に優れるが、が10mN未満であると、加工工程におけるハンドリング適正に欠ける。また、ガーレー剛度が、200mNを超えると上記した折り適性に劣ることとなる。
情報記録体上の記録情報は、オフセット印刷、グラビア印刷やインクジェット印刷等の印刷または印字情報である場合が多く、これらの記録情報は、その照明光が散乱光であっても、問題なく視認することが可能である。
これに対して、ホログラム照明光(参照光ともいう。)に対する「透明性」とは、その照明光をその光の進行方向、強度や位相を「乱すことなく通過させる」という意味を有する。本発明においては、これらの「透明性」を区別して用いている。
すなわち、記録情報に対する「透明性」とは、「散乱性を含み透明である」ことを意味し、ホログラムを観察する際のホログラム照明光の「透明性」とは、「散乱性を含まず透明である」ことを指す。
また、情報記録体に用いられる「基材(基紙)」は、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等が用いられることが多い。
【0041】
もちろん、上記の「紙」以外にも、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられるが、これらのものを用いる場合には、その表面の印刷適性等を改善するため、表面改質処理を施したり、適宜な樹脂をコーティングしたものを用いることができる。
これらのガーレー剛度や、折り曲げた後の復元力、さらには、擬似接着シートを貼り合わせた情報記録積層体としてのその復元力を考慮して、擬似接着シートの擬似接着する強度を調整する。これらのガーレー剛度も、10mN〜200mNとする。
また、グラビア印刷等のフルカラー印刷用には、アート紙、ミラーコート紙や、ユポ等を用いることが多く、また、印刷用紙や情報用紙に種々の印刷を施した後に、その上にさらに、「艶出し」コート等をして、情報記録体表面を「鏡面」とする場合が多く、その情報記録体表面から高い反射光が戻ってくることとなる。
このような「鏡面」の上にホログラム形成層を配置すると、本来の(反射タイプとしての)ホログラム再生に寄与しない0次透過回折光や、±1次透過回折光が、一旦、ホログラム形成層を透過し、この「鏡面」でそれぞれ全反射し、再び、ホログラム形成層を裏から透過して、本来の(反射タイプとしての)ホログラム再生像を不鮮明にする現象を起こしてしまう。
そのため、これらの不要な0次透過回折光や、±1次透過回折光を散乱させて、その進行方向や、位相を乱して、上記したような阻害の発生を抑制する目的において、透明微粒子を含めるものである。
このようにして形成された擬似接着シートを、二つ折、三つ折り、もしくは複数折りした情報記録体に挿入し、その状態において、情報記録体の上下から、80℃〜200℃の加熱、及び、100g/cm〜10kg/cmの線圧加圧にて、搬送速度5m/分〜30m/分の条件にて、加熱、加圧する条件下において、熱圧着して、情報記録積層体とする。
この時の、擬似接着層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)も、200g/50mm〜4kg/50mm、特に、500g/50mm以上とすることが望ましい。200g/50mm未満では、郵送や配送中に、情報記録体表面と擬似接着層間において剥離が発生し、その部分に空気が入り込む等の現象が発生して、秘匿情報等の確認や、ホログラム再生像の鑑賞を阻害する。特に、折り部分に近い領域はこの不具合が発生し易い。
これらの条件設定により、情報記録積層体は、郵送等により、受取人宛てに送付し、受取人がこの情報記録積層体を受け取った際に、自然開封(はがき等が自然に開いてしまうことをいう。)などのトラブルを発生せず、「この情報記録積層体を開けばホログラムを視認できる」等のメッセージが記載されていることで、届いた情報記録積層体を速やかに開くように誘導でき、且つ、情報記録積層体を開いた際には、その開いた両面に鮮明なホログラム再生像を視認することができ、さらに、その背後の情報記録領域内の記録情報を十分に確認することができるものとなる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、
ホログラムを有し、且つ、ホログラムの存在を秘匿可能な擬似接着シートを介して、少なくとも二つ折りした情報記録体を熱圧着により貼着し情報記録積層体として、情報記録体上に記録した情報と、そのホログラムとを内側に秘匿することにより、その情報記録積層体の擬似接着面を剥離、すなわち、その二つ折りを開いて初めてそのホログラムを観察でき、且つ、その情報を確認可能となる、情報記録積層体を提供することができ、且つ、その情報記録積層体を受け取った受取人の注意や関心を十分喚起して、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できるものとし、さらには、その情報記録積層体を手元に保持させ得る機能を有する、擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】計算機合成ホログラム(CGH)作成方法の説明図である。
【図2】本発明の一実施例を示す擬似接着シートの断面図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す擬似接着シート(擬似接着層及び、接着剤層に透明 微粒子を含む。)の断面図である。
【図4】図2に示す、本発明の擬似接着シート(擬似接着シート内部の層構成を省略し ている。)を、情報記録領域を有する面を内側にして2つ折りした情報記録体 に挿入し、加熱、加圧して熱圧着した情報記録積層体の断面図である。
【図5】情報記録積層体を、擬似接着シートの擬似接着層と、透明基材との界面で剥離 させて開いた後の情報記録体の断面図である。{図中、点線は、情報記録体を 二つ折した際の折り目(境界線)の位置を示す。}
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(擬似接着シート)
本発明の擬似接着シートA1及びA2(図2及び図3参照。)は、上記したように、透明基材1の一方の面に、ホログラムレリーフ2を形成し、ホログラムレリーフ2の上に、そのホログラムレリーフ2の表面の凹凸を埋めるように、擬似接着層3を形成し(A1及びA2参照。)、さらに、透明基材1の他方の面に、接着剤層4を形成したものであって、擬似接着シートA2においては、擬似接着層3及び接着剤層4にそれぞれ、[透明微粒子P1]5及び[透明微粒子P2]6を含めているものである。(図3参照。)
(透明基材、及び、ホログラムレリーフ)
透明基材1としては、その一方の面にホログラムレリーフ2を形成することができ、且つ、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、その一方の面に擬似接着層3、そして、その他方の面に接着剤層4を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体7への接着処理及び、その折り加工において、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性を有するものであって、擬似接着層3との適度な接着性および再剥離性を有するものを用いる。
透明基材1に用いられる材料としては、各種の透明な材料が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニリデン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
【0045】
さらに、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、メラミン樹脂(n=1.56)もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
【0046】
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックを透明基材1として用いることもできる。
上記の透明な材料を用いて、その一方の面にホログラムレリーフ2を形成するには、フォトレジスト等を用いて、現像、エッチング処理により、その透明基材1上に直接的に形成するか、または、射出成型法、エクストルージョン成形法等の各種成型方法を用いて、シート化、または、フィイルム化と同時に、その一方の面にホログラムレリーフ2を形成する。
さらには、透明なプラスチックフィルム上に、レリーフホログラムを形成可能な透明な材料を各種コーティング方式を用いて設けた、2層構成の基材に、複製用型を用いて、賦型を行ないその一方の面にホログラムレリーフ2を有する透明基材1を形成する。また、シート状、もしくは、フィルム状の透明材料の一方の面に、高温、高圧条件下で、直接、賦型を行い、その一方の面にホログラムレリーフ2を有する透明基材1を形成することができる。
【0047】
そして、透明基材1上の一方の面に設けられたホログラムレリーフ2によって再生されるホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を、いわゆる、ホログラムの原理で光学的に記録したもの、もしくは、フォトレジストに電子線描画方法を用いて直接記録(描画)したものを用いて、レーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、カラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子、さらには、マシンリーダブルホログラムなどとする。
ホログラムレリーフ2は、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、複製用型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムレリーフ2の凹凸のピッチは、0.1μm〜数μmとし、凹凸の深さは、0.1μm〜1μmとする。
上記の微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。この複製用原版は、光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面に、Cr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作る。
【0048】
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
例えば、透明基材1の一方の面をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、透明基材1全体を加熱するのではなく、ホログラムレリーフ2を形成する面側の一部のみを加熱する方法が望ましく、通常60℃〜110℃に加熱する。
さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
【0049】
ホログラムレリーフ2が形成された透明基材1の厚さは、3μm〜200μmとする。
(擬似接着層)
擬似接着層3としては、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合し、擬似接着層3と、情報記録体7表面やその上の情報記録領域8表面との接着性、及び、透明基材1との再剥離性を調整したものを使用する(以下、粘着主剤混合物ともいう。)。(図5参照。)
さらに、擬似接着層3には、[透明微粒子P1]5を含めることもできる。(図3参照。)
その混合割合は、粘着主剤を100部、粘着力調整剤を5〜10部、そして、添加物は、ワックス0.01〜5部、紫外線吸収剤、消泡剤、消泡助剤を、適宜、微量添加し、エマルジョン化成分として、水200〜300部、乳化剤0.5〜2部、エマルジョン化用樹脂1〜50部とする。また、粘着主剤である透明な樹脂に対する、[透明微粒子P1]5の添加割合は、10%〜40%とする。
粘着主剤としては、天然ゴム(n=1.52)、クロロプレンゴム(n=1.35〜1.56)、エステル化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、または、これらの混合物、さらには、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)等、もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
【0050】
また、溶剤系及び水系のいずれの粘着主剤混合物も用いることができ、特に、レリーフホログラム2を構成する材料(すなわち、透明基材1の材料。)に対して、溶解したり、膨潤させたりすること(わずかな溶解、膨潤でもホログラム再生像への影響は大きい。)の少ない、水系のものがより好適である。
粘着主剤混合物の混合にあたっては、その混合割合を、調整して、擬似接着層3と情報記録体7表面や、その上の情報記録領域8表面との接着性を保持しつつ、透明基材1との密着性をその接着性より小さくする。(図5参照。)
そして、これらの粘着主剤混合物に、「透明微粒子P1」5を含める。(図3参照。)
この「透明微粒子P1」5には、
金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、特には、質量平均粒子径が1μm以下のもの、であって、いずれも、10nm以上であるものを用いることができる。
また、透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、特には、質量平均粒径が3μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、であって、いずれも、0.1μm以上のものも用いることができる。
【0051】
さらには、金属粒子であって、その質量平均粒子径が1μm以下のもの、特には、100nm以下のものであって、いずれも、10nm以上のものであることで、樹脂に分散した際に、高い透明性と、所定の光散乱性を有するものを使用することができる。
具体的には、金属化合物として、シリカ、板状アルミナ、繊維状アルミナ、ジルコニア、Y−PSZ、スピネル、タルク、ムライト、コージエライト、炭化ケイ素、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ネオジム、酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化グネシウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウム、PT、PZT、PLZT、さらには、有色透明性を有する、ヘマタイト、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si34)、炭化タンタル、炭化ニオブ等を用いることができる。
さらに具体的には(以下、()内に平均粒径を示す。)、
シーアイ化成社超微粒子パウダー:酸化アルミニウム(31nm)、酸化ビスマス(51nm)、酸化セリウム(14nm)、酸化コバルト(22nm)、酸化銅(48nm)、酸化ホロニウム(38nm)、酸化イットリウム(33nm)、コバルトブルー(40nm)や、安達産業ファインパウダー:窒化アルミニウム(0.2μm)、窒化硼素(六方晶)(2μm)、炭化タンタル(1.3μm)、炭化ニオブ(1.5μm)、炭化ケイ素(0.45μm)、酸化ビスマス(柱状)(2−4μm)、酸化ジルコニウム(不定形)(0.8μm)、五酸化タンタル(不定形)(0.7μm)、酸化イリジウム(0.1μm以下)、酸化亜鉛(不定形)(0.1−0.3μm)等を用いることができる。
また、透明な樹脂の粉体として、ナイロンパウダー、 アクリルパウダー、フェノールパウダー、シリコーンパウダー、ペンゾグアナミン・メラミンパウダー、ポリエチレンパウダー、セルロースパウダー、超高分子量ポリオレフィン(PE)パウダー、フッ素樹脂パウダー、PAN(ポリアクリロニトリル)系パウダー、スチレンパウダー、アクリル・スチレン系パウダー等を用いることができる。
【0052】
さらに、具体的には、ナイロンパウダー:住化エンビロサイエンス社(5―9μm)、
フッ素樹脂パウダー:三井・デュポンフロロケミカル社 PTFEディスパージョン(0.2〜0.25μm)、
安達産業ポリマーファインパウダー(球状):ベンゾグアナミン・ホルマリンパウダー(1−3μm)、メラミン・ホルマリンパウダー(0.1−0.3μm)、同(1−2μm)、シリコーン樹脂(0.3μm)、同(0.5μm)、同(0.8μm)、スチレン・アクリル酸エステル系(0.05μm)、同(0.08μm)、同(0.1μm)、架橋ポリスチレン(6−8μm)、フッ素樹脂(0.2μm)、同(0.3μm)、フッ化ビニリデン樹脂(0.15−0.3μm)等を用いることができる。
ここで、これらの透明な樹脂の粉体と、透明な樹脂の粉体を分散させる樹脂(擬似接着層3に用いられる樹脂を意味する。)との屈折率差は、0.01以上あれば、その透明な樹脂の粉体による光散乱性を発現することができるが、屈折率差は、0.1〜0.6とする。
そして、金属微粒子としては、Auナノ粒子(4.4nm)、Agナノ粒子(11.5nm)、Cuナノ粒子(11.4nm)、タングステン微粒子、ニッケル微粒子等を用いることができ、
さらに具体的には、安達産業社製貴金属(球状):金(0.5μm)、銀(0.2μm)、同(0.5μm)、同(1μm)、タングステン(不定形)(0.6μm)、同(1.5μm)、モリブデン(不定形)(0.5μm)、ニッケル(0.2μm)、同(0.3μm)、同(0.4μm)等を用いることができる。
【0053】
また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、また、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(n=1.60)、ポリアミド系樹脂(n=1.53)、または、これらのゴム変性物などの比較的内部凝集力の大きいものも適宜選択して使用でき、単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
そして、この粘着主剤に、[透明微粒子P1]5を、10%〜40%の範囲内にて添加、分散する。
擬似接着層3を形成するには、溶剤や、水に溶解させ、グラビアコーティング方式、ブレードコーティング方式、カーテンコート方式、ロールコーティング方式や、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式等を用いて、ホログラムレリーフ2を埋めるように、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで、設け、擬似接着層3とする。
このとき、擬似接着層3の「ヘーズ」は、10%〜30%とする。
また、上記した擬似接着層3に用いる樹脂は、情報記録体7表面や、その上の情報記録領域8表面との接着性が強いものであって、ホログラムレリーフ2との適度な接着性と再剥離性を有するものを適宜選択する。(図5参照。)
【0054】
擬似接着層3は、情報記録積層体A3を開いた情報記録体A4の状態となると、ホログラムレリーフ2に記録されているホログラムの鑑賞の阻害要因とならないための[ホログラム照明光に対して要求される「透明性」]を有する必要は無く(その要求が無いことを意味する。)、擬似接着層3に、光散乱性や、ある程度の隠ぺい性を付与することができる。(「散乱性を含み透明」であればよい。)
粘着力調整剤としては、針状物質として、無機物質、有機物質のいずれでもよく、形状が略針状であって、偏平状、螺旋状、鱗片状等の様々な形態を持つものから任意に選択する。また、微粒状物質を用いることもでき、マイクロシリカ、合成ゼオライト、活性アルミナゲル、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、活性白土、アクリルビーズ、澱粉、セルロース、シラスバルーン等が挙げられ、その粒径は、0.01μm〜0.3μm、さらには0.01μm〜0.1μmの範囲にあるものが好適である。これらの微粒状物質を針状物質と共に添加することにより、微粒状物質そのものの添加量を少なくすることができると共に、微粒状物質の粉落ちを防止することができる。
添加物としては、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス等の微粒子ワックス類、劣化防止のために、アンモニア、エタノールアミン等の紫外線吸収剤などを添加することができる。
また、消泡剤(非イオン系界面活性剤や、アニオン系界面活性剤(鉱物油系))、さらに、消泡助剤等を添加できる。
これらの粘着主剤、粘着力調整剤、添加物を、水等の媒体に分散してエマルジョン状態として透明基材1のホログラムレリーフ2を覆い、且つ、埋めるように塗布することも好適である。この場合には、粘着主剤混合物としての粘度が低く(1〜500mPa・s)、ホログラムレリーフ2の凹凸を高い精度で再現することが可能であって、好適である。
【0055】
エマルジョン化の際には、必要に応じて乳化剤を添加する。乳化剤としては、オレイン酸石鹸、ひまし油カリウム石鹸、カゼイン、にかわ、ゼラチン等を使用できる。また、エマルジョン化したときの粘着主剤の2次凝集防止のために、粘着主剤と親和性を有しないエマルジョン化用樹脂を添加することができる。
このエマルジョン化用樹脂としては、水分散性高分子ポリエステル、熱可塑性エラストマー、また、低密度ポリエチレン等の低分子ポリエチレン、アイオノマー、酢酸ビニル−オレフィン共重合体等が好適に使用できる。
擬似接着層3は、擬似接着シートA1またはA2において、その最上層として、ホログラムレリーフ2を隠ぺいし、情報記録積層体を開いた状態A4(図5参照。)のときには、情報記録領域8にある記録された情報を視認可能となるように、粘着力付与剤として、隠ぺい性を有するものを添加したり、不定形のものを添加して擬似接着シートA1またはA2の場合の最表面を粗面化する(その凹凸深さを3〜5μmとすることを意味する。)こともできる。(図示せず。)
水系の擬似接着層3は、透明基材1から剥離したときに、その表面が鏡面となり易く、この層を透過するホログラム照明光や、ホログラムを再生する反射光を乱すことが少ないため、好適である。
擬似接着層3の形成厚さは、乾燥後で、5μm〜50μmとする。(図2または3参照。)
このとき、擬似接着層3の「ヘーズ」は、10%〜30%とする。
【0056】
擬似接着層3に用いられる樹脂としては、さらに、ポリエチレン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、の単体或いはこれらの混合物系等を用いることができるが、特に、ポリエチレン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物系(混合比率=95/5〜30/70)が剥離の安定性に優れるため好適である。
さらに、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ホリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/プロピオン酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の中から選択される少なくとも1種の樹脂を使用することもできる。特に、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂の単体もしくは複数の混合物を使用することが好ましい。
また、透明基材1との剥離性、及び、保存性を良好なものとするため、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを使用する。
特に、エチレン系共重合ポリオレフィン、低密度ポリオレフィン、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン、アイオノマー樹脂ディスバージョンの中から選択された何れかの樹脂と自己乳化型ポリオレフィン樹脂とを、樹脂混合比率95/5〜5/95の割合で混合したものを、透明基材1上に塗布・乾燥して形成した、ビカット温度45℃以上のものが好適である。
【0057】
(接着剤層)
透明基材1の他方の面に、接着剤層4を設ける。(図2または3参照。)
接着剤層4に用い得る透明な樹脂(すなわち、接着剤。)としては、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)等や、天然ゴム(n=1.52)、クロロプレンゴム(n=1.35〜1.56)などのゴム系樹脂等もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
【0058】
また、溶剤系及び水系のいずれの接着剤も用いることができ、特に、ホログラムレリーフ2を構成する材料に対して、溶解したり、膨潤させたりすること(わずかな溶解、膨潤でもホログラム再生像への影響は大きい。)の少ない、水系のものがより好適である。
そして、これらの透明な樹脂に、「透明微粒子P2」6を含める。(図3参照。)
この「透明微粒子P2」6には、擬似接着層3に用い得るものと同様のものから選択して用いることができるが、接着剤層4は、直接、ホログラムレリーフ2と接していないため、その選択の自由度が大きく、例えば、ホログラムレリーフ2の凹凸周期よりも大きい、5μmを超える平均粒径のものも問題なく使用可能である。
そして、この透明な樹脂に、[透明微粒子P2]6を、10%〜40%の範囲内にて添加、分散する。
このとき、接着剤層4の「ヘーズ」は、10%〜30%とする。
また、上記した接着剤層4に用いる透明な樹脂(接着剤)及び、透明微粒子を混入させたものは、透明基材1、及び、情報記録体7表面や、その上の情報記録領域8表面との接着性の強いものを適宜選択する。(図4参照。)
これらの接着剤(「透明微粒子P2」6を混入したものも含む。)を、グラビアコーティング等のコーティング方式や、カーテンコート方式、ノズル方式、シルクスクリーン印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記の透明基材上1に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで設け、接着剤層4とし、擬似接着シートA1または、A2とする。
【0059】
(擬似接着シート)
そして、情報記録体7をその情報記録面(情報記録領域8を有する面)を内側として二つ折りしたその隙間(空間)へ、このような材料構成の擬似接着シートA1またはA2を挿入して、その二つ折りの折り目を境界線としたその一方の側に、接着剤層4を介して貼り合わせ、他方の側に擬似接着層3を介して貼り合わせて、100度以下の温度で、線圧1kg/cmの圧力にて加熱、加圧して、ホログラムレリーフ2及び、記録した情報(情報記録領域8)を内側に秘匿した情報記録積層体A3を作成することができる。(図4参照。)
この加熱及び加圧条件は、使用する情報記録体7の材質や、擬似接着シートA1またはA2の各層の材質によって、調節する。
また、ポリプロピレンフィルムを透明基材1に用いた場合には、その上に積層される擬似接着層3はプロピレンとαオレフィンの共重合体と結晶性ポリブテン(ポリブテン−1ホモポリマー)の混合体とする。αオレフィンとしては、エチレン、ブテン、ブタジエン、ペンテンなどが使用でき、これらの2種とプロピレンの3元共重合体も使用できる。特に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体は好ましい。共重合体のうちプロピレンが占める割合は、80〜95%が好ましく、95%以上では、加熱、加圧による熱圧着性が良くない。
【0060】
共重合体と結晶性ポリブテンの混合割合としては、共重合体が65〜95%、ポリブテンが5〜35%の範囲が好ましい。結晶性ポリブテンが5%を下まわると、感熱圧着させる温度が高くなり、剥離力が強くなりすぎる。また、結晶性ポリブテンが35%を越えていると、感熱圧着する温度は低くなるが、適度な剥離強度が得られる圧着温度の範囲が狭くなってしまう。また、擬似接着層4については、形成厚さが厚くなると感熱、加圧した際、剥離力が強くなるために剥離感が悪くなる。
また、擬似接着層3は、その層の破断点伸度が350%以上となるように調整すると、開き適性(開いた際に「ムラ」が発生し難いと言う意味。)や、折り適性等に非常に優れ、好ましい。
さらに、透明基材1と擬似接着層4との界面における180度剥離強度(剥離速度500mm/分)を、20〜150g/50mm、特に、20〜100g/50mmとすることでも、情報記録積層体A3を開く際、透明基材1と擬似接着層3との界面でスムーズに剥離することができ、層内ちぎれを起こさないようにすることができる。
このとき、[情報記録積層体A3を開いた情報記録体7]A4の擬似接着層3上には、ホログラムレリーフ2の精密な鏡像(鏡面対称の形状であることを意味する。)であるホログラムレリーフ9が形成されている。(図5参照。)
また、接着剤層4及び/または擬似接着層3への無機顔料や有機顔料添加して、その表面に微細な凹凸を形成し、二つ折りした情報記録体9の中に挟んだ後、熱圧着して情報記録積層体A3を作製する時の、溶融樹脂のはみ出し防止を図り、擬似接着シートA1またはA2を巻取り処理した際のブロッキングをも防止することができる。
更に、香料、帯電防止剤、レベリング剤、着色剤等を添加することもできる。
【0061】
(情報記録体)
情報記録体7としては、各種請求書、支払い通知書、受領書及び満期通知書等、 HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/eμaセソ" \o "郵便" 郵便や、ダイレクトメールとして、量販店などが大量に顧客に送付している各種の通知や案内状などの書類等、ポスティング等によるビラやチラシ、内国通常郵便物である、第二種郵便物、船便、航空便、エコーはがき、e−センスカード等、「私製葉書」等、選挙郵便、選挙事務所開き案内、投票所入場券等、タウンメール等、年賀はがきや、暑中見舞用郵便はがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの等、地方自治体の地域限定の行事案内やお知らせや水道局による、断水やにごり水、交通規制のお知らせ等、に用いられる、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」であって、
その基材(基紙)として、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等を用いることができ、さらには、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いることができる。
【0062】
樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられるが、これらのものを用いる場合には、その表面の印刷適性等を改善するため、表面改質処理を施したり、適宜な樹脂をコーティングしたものを用い、それら基材の上に、各種印刷方法や、各種プリンター、その他の情報記録方法を用いて、郵送中や、配送中には、第三者に対して秘匿すべき情報を少なくとも記録したもの(情報記録領域10)を使用できる。
これらの基材は、紙ベースのものとしては、50g/m2〜300g/m2のもの、好ましくは、90g/m2〜160g/m2のものを用いる。
また、合成紙や、フィルムベースのものとしては、その厚さとして、50μm〜500μmのもの、好適には、60μm〜200μmのものを用いる。
この情報記録体の表面に、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷により、もしくは、インクジェット方式等のプリンター印字により、秘匿情報を含んだ情報記録を行い、情報記録領域8を形成する。
このような印刷方式や、印字方式を用いて、情報記録体7の外側面に別の情報記録を行えることは当然であるが、上記した熱圧着条件下において劣化、変質しない情報記録とすることは言うまでもない。
【0063】
(情報記録積層体)
これらの情報記録体7をその情報記録面(情報記録領域8を有する面)を内側として二つ折りしたその隙間(空間)へ、このような材料構成の擬似接着シートA1またはA2を挿入して、その上下から、80℃〜200℃の加熱、及び、100g/cm〜10kg/cmの線圧加圧にて、搬送速度5m/分〜30m/分の条件にて、加熱、加圧することで、熱圧着し、「二つ折りした情報記録積層体」A3とする。(図4参照。)
もちろん、三つ折り、四つ折り、さらには、それ以上の回数だけ折るものでも使用できる。この場合には、それぞれの折りの隙間へ、それぞれの擬似接着シートA1またはA2を挿入することもできる。
郵便にて送付する場合には、情報記録積層体A3を、折り、圧着した後のサイズ、重さ、その他の仕様が、郵便法や、郵便規則に適合するサイズ、重さ等となるように調整する。
メール便によって配送する場合には、そのサイズ、重さ等に制限がないため、任意のサイズ、重さのものを用いることができ、さらには、左右の面積を同一のものとせず、異なる面積とするものや、部分的に貼着するものであっても、好適に用いることができる。
この情報記録積層体A3を、郵便による郵送、もしくは、メール便による配送により宛先人へ届ける。
この情報記録積層体A3を開くと、擬似接着層3と、透明基材1との界面から、剥離が生じ、それをきっかけとして、その面全体をスムースに剥離することができ、開いた面上にある秘匿情報等(情報記録体上の情報記録領域8内に記録されている。)と併せて、透明基材1状のホログラムレリーフ2及び、擬似接着層3上のホログラムレリーフ9のホログラム再生像を視認できるようになる。(図5参照。)
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒(溶剤や水等。)を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
レーザ光学系を用いてフォトレジスト上に撮影した、はがき1面(はがき1枚分の面積という意味。)サイズの「絵画モチーフ」のホログラム(記録面上に結像するイメージホログラム)を現像処理して、レリーフホログラム(ホログラムレリーフの凹凸:最大0.3μm。)とし、このホログラムレリーフを型取って、Ni原版を用意し、透明基材1に用いる材料として、100μmポリ塩化ビニルフィルムシート(ガラス転移点Tg=82℃)を用い、そのポリ塩化ビニルフィルムシートの表面に、そのNi原版のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度75℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力10トン/m、複製速度2m/分)にて、レリーフホログラムを複製して、ホログラムレリーフ2を形成し、透明基材1とした。(図2参照)
この透明基材1の一方の面に形成されたホログラムレリーフ2を埋めるように、下記擬似接着層3用組成物を用いて、シルクスクリーン印刷方式にて、乾燥後の厚さ20μmの擬似接着層3を形成した。
<擬似接着層3用組成物>
ポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移温度57℃) 40部
イソプロピルアルコール 10部
メチルセルソルブ 30部
エチルセルソルブ 20部
次に、下記接着剤層4用インキ組成物を用いて、透明基材1の他方の面に、シルクスクリーン印刷方式にて、乾燥後の厚さ20μmの接着剤層4を形成し、擬似接着シートA1を得た。(図2参照)
【0065】
<接着剤層4用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
イソプロピルアルコール 10部
メチルセルソルブ 30部
エチルセルソルブ 20部
情報記録体7としては、150g/m2のはがき用の用紙(はがきサイズ2面分の大きさ)に、差出人に関する所定デザイン等をオフセット印刷にて印刷したものに、インクジェットプリンターにて、その一方の面に宛先人向けの特典情報等(これが、情報記録体7上の情報記録領域8となる。図4参照。)を、そして、他方の面に宛先情報(宛名や住所等。)等、を印字したものを用いた。(印字内容等は、図示せず。)
この情報記録体7を、その特典情報等印字面を内側にして二つ折りし、その間に擬似接着シートA1を挿入し(特典情報印字面に、擬似接着シートA1の擬似接着層3面、または、接着剤層4面が、それぞれ接するように重ねた。)、表面温度が80度の熱ロール間に、1kg/cm線圧、4m/分の速度で通して、情報記録体7の内側の一方(はがきサイズ1面分大きさとなる。)と擬似接着シートA1の擬似接着層3を、及び、情報記録体7の内側の他方(はがきサイズ1面分大きさとなる。)と接着剤層4を、一時に貼り合わせ、実施例1の情報記録積層体A3を得た。(図4参照。)
このとき、擬似接着層3が、透明基材1の一方の面に形成したホログラムレリーフ2の凹凸を充足するように十分に埋めていたため、熱ロール処理時の圧力がホログラムレリーフ2を部分的に変形する方向には働かず、ホログラムレリーフ2に不要な変形は見られなかった。
この情報記録積層体A3を左右に開いたとき、透明基材1と、擬似接着層3との界面において剥離が起こり、開いた情報記録体A4の左側において、擬似接着シートA1の透明基材1及び接着剤層4が、情報記録領域8の左側にある特典情報印字部分を覆うように接着しており、開いた情報記録体A4の右側には、擬似接着シートA1の擬似接着層3が、右側の情報記録領域8を覆うように接着した状態となった([情報記録積層体A3を開いた後の情報記録体]A4となることを意味する。)。
【0066】
そして、透明基材1上のホログラムレリーフ2及び、擬似接着層3上のホログラムレリーフ9が露出した。(図5参照。)
このときの、透明基材1と、擬似接着層3との180度剥離強度は、40g/50mm(測定速度500mm/分。)であった。
また、擬似接着層3と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度は、300g/50mmであり、さらに、接着剤層4と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度は、600g/50mmであった。
このように作製したはがきの全重量その他の仕様は、郵便法及び郵便規則の規格内であり「郵便はがき」として使用できることが確認された。
この情報記録積層体A3は、郵送時には剥離等の不具合も生じず、到着した情報記録積層体A3をスムースに開くことができ、「剥離カール」などの不具合も発生せず、開き角度を180度として、室内照明光にてホログラムレリーフ2及び、ホログラムレリーフ9を観察したところ、ホログラムレリーフ2上に鮮明なホログラム再生像「絵画モチーフ」と、その透明基材1の下に特典情報等を、また、ホログラムレリーフ9上に、鮮明なホログラム再生像「『絵画モチーフ』を左右反転したもの」と、その擬似接着層3の下にも特典情報等を視認することができた。(図5参照。)
しかも、情報記録積層体A4の宛名記載面の下方に、「このはがきを開くとホログラムを鑑賞できます。」とのメッセージが記載されていたため、このメッセージを見たはがきの受取人(宛先人を意味する。)が、このはがきを開く率(「開き率」)が非常に高くなるものと思われ、そして、この「絵画モチーフ」を鑑賞するため、この[情報記録積層体を開いた状態の情報記録体]A4を長期間保存するものと思われた。
【0067】
(実施例2)
透明基材1の材料として、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、下記組成の透明樹脂組成物を乾燥厚さ3μmとなるように、グラビアコーティング方式にて形成し、レリーフホログラム形成用の「層」を形成し、この「層」の表面に、Ni原版のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にて、ホログラムレリーフ2を形成し、2層構成の透明基材1としたこと(図示せず。)、
<透明樹脂層用組成物>
アクリルアミド樹脂(n=1.50) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 20部
そして、このホログラムレリーフ2を埋めるように、下記擬似接着層3用組成物(屈折率n=1.50となる。)を用いて、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ20μmの擬似接着層3としたこと、
<擬似接着層3用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54) 20部
酢酸ビニル樹脂(n=1.47) 10部
アクリル樹脂(n=1.45) 10部
トルエン 10部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 40部
及び、下記接着剤層4用インキ組成物を用いて、透明基材1のポリエチレンテレフタレートフィルムの他方の面に、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ20μmの接着剤層4を形成し、擬似接着シートA1を得たこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の情報記録積層体A3を得た。(図4参照。)
【0068】
<接着剤層4用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 20部
この情報記録積層体A3を左右に開いたとき、透明基材1上のホログラムレリーフ2と、擬似接着層3との界面において剥離が起こり、開いた情報記録体A4の左側に擬似接着シートA1の透明基材1及び接着剤層4が、情報記録領域8の左側にある特典情報印字部分を覆うように接着しており、開いた情報記録体A4の右側には、擬似接着シートA1の擬似接着層3が、右側の情報記録領域8を覆うように接着した状態([情報記録積層体A3を開いた後の情報記録体]A4)となった。そして、透明基材1上のホログラムレリーフ2及び、擬似接着層3上のホログラムレリーフ9が露出した。(図5参照。)
このときの、透明基材1と、擬似接着層3との180度剥離強度は、60g/50mm(測定速度500mm/分。)であった。
また、擬似接着層3と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度は、500g/50mmであり、また、接着剤層4と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度は、600g/50mmであったこと、そして、擬似接着シートA1をハンドリングする際に、擬似接着層3と、透明基材1のホログラムレリーフ2が同一の屈折率を有する材料によって精密に密着していることから、その界面における反射が起こらず、ホログラムレリーフ2の存在が全く判らなかったことで、偽造防止性が高いものと感じられたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
【0069】
(実施例3)
下記、透明樹脂層用組成物及び、擬似接着層3用組成物(屈折率n=1.46となる。)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の情報記録積層体A3を得た。(図4参照。)
<透明樹脂層用組成物>
メラミン樹脂(n=1.56) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 20部
<擬似接着層3用組成物>
酢酸ビニル樹脂(n=1.47) 20部
アクリル樹脂(n=1.45) 20部
トルエン 10部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 40部
この情報記録積層体A3を左右に開いたとき、透明基材1上のホログラムレリーフ2と、擬似接着層3との界面において剥離が起こり、開いた情報記録体A4の左側に擬似接着シートA1の透明基材1及び接着剤層4が、情報記録領域8の左側にある特典情報印字部分を覆うように接着しており、その右側には、擬似接着シートA1の擬似接着層3が、右側の情報記録領域8を覆うように接着した状態([情報記録積層体A3を開いた後の情報記録体]A4)となった。そして、透明基材1上のホログラムレリーフ2及び、擬似接着層3上のホログラムレリーフ9が露出した。(図5参照。)
透明基材1と、擬似接着層3との180度剥離強度は、80g/50mm(測定速度500mm/分。)であったこと、また、擬似接着層3と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度は、400g/50mmであったこと、さらには、擬似接着シートA1をハンドリングする際に、擬似接着層3と、透明基材1のホログラムレリーフ2の屈折率差が0.1で、精密に密着していることから、その界面における反射がほぼ起こらず、ホログラムレリーフ2の存在が判らなかったことで、偽造防止性が高いものと感じられたこと以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。
【0070】
(実施例4)
透明基材1の一方の面に、擬似接着層3として、下記擬似接着層3用組成物、すなわち、ビカット軟化温度が55℃で、100℃以下の温度では溶融はみ出しを起こすことのないアイオノマー樹脂([透明微粒子P1]5として、酸化アルミニウム超微粒子パウダーを使用。)からなる熱可塑性樹脂層を、カーテンコート方式にて、乾燥後の厚さが30μmの厚さとなるように形成し、
<擬似接着層3用組成物>
アイオノマー樹脂 30部
酸化アルミニウム(31nm、シーアイ化成製。[透明微粒子P1]5) 10部
界面活性剤 0.1部
イソプロピルアルコール 40部
酢酸エチル 20部
且つ、下記接着剤層3用組成物を同様の方式にて、乾燥後の厚さが30μmの厚さとなるように形成したことで、擬似接着シートA2(図3参照。)を得たこと、そして、
<接着剤層3用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
シリコーン樹脂ファインパウダー([透明微粒子P2]6)
(0.8μm、安達産業製。) 6部
トルエン 24部
酢酸エチル 40部
このときの透明基材1と、擬似接着層3との180度剥離強度が、90g/50mm(測定速度500mm/分。)であったこと、また、擬似接着層3と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度が、1kg/50mmであったこと、接着剤層4と、情報記録体7(情報記録領域8を含む。)との同様の剥離強度が、1.5kg/50mmであったこと、さらには、擬似接着層3及びの接着剤層4の「ヘーズ」が、それぞれ20%及び18%であって、擬似接着シートA1をハンドリングする際に、擬似接着シートA2の両面が、光散乱性を有して、その内部にホログラムレリーフ2が存在することが全く判らず、偽造防止性が高くなったと感じられたこと以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。
【0071】
(比較例)
(比較例1)
ホログラムレリーフ2を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1の擬似接着シート及び、情報記録積層体を得た。
この情報記録積層体を実施例1と同様に評価したところ、なんら特徴がなく、受け取り人の注意も惹かず、開き率の向上は見込めないものと思われた。
[回折効率測定方法]
:光源:半導体レーザー:キコー技研 MLX標準コリメートレーザー
:電圧DC4.8〜6.5V・平行光時ビーム径拡大6mm
:効率:反射回折光強度/入射光強度*100(%)
【符号の説明】
【0072】
A1 擬似接着シート
A2 擬似接着シート(擬似接着層及び接着剤層に透明微粒子を含む。)
A3 情報記録積層体{擬似接着シートA1を挟み込むように情報記録体7を折り曲げ 、情報記録体7上の情報記録領域8に、一方(折り曲げた時の折り目を境界線と して、情報記録領域8を二つに分けた時のその一方の領域。)では擬似接着シー トA1の擬似接着層3が接着し、他方(同様にしたときの、他方の領域。)では 、擬似接着シートA1の接着剤層4が接着している状態。擬似接着シートA1を 挟み込むように情報記録体7を折り曲げた後、熱圧着して一体化し、情報記録積 層体としたもの。}
A4 情報記録積層体A3を開いた後の情報記録体(擬似接着シートA1の擬似接着層 3と、透明基材1との界面で剥離している。)
1 透明基材
2 透明基材上のホログラムレリーフ
3 擬似接着層
4 接着剤層
5 透明微粒子P1(擬似接着層内)
6 透明微粒子P2(接着剤層内)
7 情報記録体
8 情報記録体上の情報記録領域
9 擬似接着層上のレリーフホログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフが設けられ、前記ホログラムレリーフを覆うように擬似接着層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に接着剤層が設けられたことを特徴とする擬似接着シート。
【請求項2】
前記透明基材の屈折率と、前記擬似接着層の屈折率が同一、または、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の擬似接着シート。
【請求項3】
前記接着剤層及び擬似接着層が透明微粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の擬似接着シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記擬似接着層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とする情報記録積層体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−200972(P2012−200972A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67097(P2011−67097)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】