説明

擬音発生装置

【課題】 携帯性を有しつつも、操作性に優れた擬音発生装置を提供することを可能とする。
【解決手段】 分離可能な親機と子機とから構成された携帯性を有する擬音発生装置であって、前記親機は、スピーカと、該スピーカから出力する擬音を発生する音声発生手段と、該音声発生手段の駆動を制御する制御部と、前記子機の近接有無を検出する子機近接検出手段と、電池とを備えた擬音発生装置において、前記制御部は前記子機近接検出手段によって子機が検出できたときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室内で使用する擬音発生装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
トイレを使用するときに使用者が発生させる音(以下、使用音と呼ぶ)として、排泄音や身繕いをする音があり、使用者はこれらの使用音が周囲に漏れることを嫌う場合がある。そこで、使用者は便器洗浄水を流して、その際に発生する水の流れる音(以下、洗浄音と呼ぶ)によって使用音を隠して周囲に音漏れしないようにしていた。
しかしながら、この行為は無駄水の浪費となるため、トイレ室内に擬音発生装置と呼ばれる装置が設置されるようになった。これは、洗浄音と同じ音を擬音として発生して使用音を隠すことのできる装置である。使用者は便器洗浄水を流す代わりに擬音発生装置を使用することで無駄水を浪費することはなくなった。
【0003】
この擬音発生装置が擬音を発生させるシステムで既に公知となっている方式として、擬音発生装置に押しボタンスイッチを設け、その押しボタンスイッチを押すと一定時間スピーカから擬音が発生するというものがある。こうすれば、使用者が好きなタイミングで自由に擬音を発生させることができる。
しかしながら、この方式では使用者が押しボタンスイッチを押すという操作が必要であった。擬音発生装置は一般的にトイレ室内に設置されることが多く、その場合、使用者は手を押しボタンスイッチの位置まで伸ばす必要があり、便座に座っている姿勢からの操作は困難であり、使用者にとっては使い勝手が悪かった。また、公衆トイレなど不特定多数の人が使用するような環境では、前の使用者が触れた後の押しボタンスイッチを操作することになり、不衛生でもあった。
【0004】
そこで、これらの課題を解決する方式として例えば特許文献1が公知となっている。特許文献1によると、擬似水栓音発生装置は人体認識手段を備えており、人体認識手段が認識信号を出力している間は、コントロール部はメモリ部から流水音データを繰り返して読み出して流水音を発生し、人体認識手段が認識信号の出力を終了した際は、先程とは別の流水音データをメモリ部から読み出してフェイドアウトする流水音を発生して、その後、流水音の発生を停止するというものである。
このように、人体認識手段によって使用者が装置に触れずに自動で擬音を発生させることができるので、使用者にとってはスイッチ操作による煩わしさが無くなった。また、文献中には記載が無いが、使用者が擬似水栓音発生装置に直接触れることもないため、衛生的な面でも当然に有用であった。
【0005】
しかしながら、この方式にも以下に述べるような課題があった。
特許文献1のように人体検知によって自動で擬音を発生させてしまうと、使用者の意図に反して擬音が発生してしまうことがある。これは、擬音を必要としない使用者にとっては不快に感じるものであった。特許文献1には、そのような場合に備えて擬音の発生を停止させるためのスイッチを設けるという記述もあるが、スイッチを操作するまでは擬音が発生し続けることには変わりがなく、使用者の不快感は残っていた。
【0006】
そこで、この課題を解決する方式として例えば特許文献2が公知になっている。特許文献2によると、擬音発生装置を携帯可能として擬音を必要とする使用者のみ装置を所有するようになっている。こうすることで、使用者が限定されるために衛生的であり、トイレ使用中も容易に手が届く位置に自由に置いておくことができるので操作の煩わしさも軽減される。
【0007】
しかしながら、この方式にも以下に述べるような課題がまだ残っていた。
特許文献2のように擬音発生装置を携帯可能とした場合、非使用時は装置をバッグや衣服のポケットに収納しておく必要があり、使用時はそれらからわざわざ装置を取り出して操作する必要があり、使用者にとってはまだ操作に手間がかかるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2753116号公報
【特許文献2】特開2003−321865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、携帯性を有しつつも、操作性に優れた擬音発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、分離可能な親機と子機とから構成された携帯性を有する擬音発生装置であって、前記親機は、スピーカと、該スピーカから出力する擬音を発生する音声発生手段と、該音声発生手段の駆動を制御する制御部と、前記子機の近接有無を検出する子機近接検出手段と、電池とを備えた擬音発生装置において、前記制御部は前記子機近接検出手段によって子機が検出できたときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする。
【0011】
これにより、使用者は親機をわざわざバッグやポケットから取り出す必要もなく、常に身に付けている子機を親機に近づけるという簡単な操作で擬音を発生させることができるので、本発明の擬音発生装置は携帯性を有しつつも、操作性に優れている。
【0012】
また、請求項2記載の発明によれば、前記制御部は、前記音声発生手段の駆動中に前記子機近接検出手段が前記子機を検出すると、前記音声発生手段を停止することを特徴とする。
これにより、擬音発生中に再度、子機を親機に近づけると擬音が停止するため、誤って擬音を発生させてしまった場合にも即座に擬音を停止させることができるので、予期せぬ擬音が継続して発生することを防止できる。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、前記子機はIDコードが記憶されている記憶部を有し、前記制御部は、前記子機近接検出手段が所定の前記IDコードを検出したときのみ、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする。
これにより、IDコードによって子機を特定できるので予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明によれば、前記制御部は、前記子機近接検出手段が所定時間以上継続して検出したときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする。
これにより、擬音の発生を開始するまでに所定時間以上の継続検出の条件を設けることで、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明によれば、前記制御部は、前記子機近接検出手段が予め設定されている検出状態と非検出状態との組み合わせ状態を所定時間以内に検出したときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする。
これにより、擬音の発生を開始するまでに所定時間内に子機近接の検出と非検出を繰り返すようにする条件を設けることで予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0016】
また、請求項6記載の発明によれば、前記制御部は、前記子機近接検出手段が前記子機を検出してから所定時間が経過するまでは前記スピーカから発生する擬音の音量を段階的に大きくするように前記音声発生手段を駆動し、前記所定時間が経過後は擬音の音量を変化させないように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする。
これにより、擬音発生の最初は小さな音量から開始することで、予期せぬ擬音発生が開始しても周囲に気付かれる前に擬音を停止させることができる。
【0017】
また、請求項7記載の発明によれば、前記制御部は、前記子機近接検出手段が検出状態から非検出状態になったときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動すると共に、前記子機の検出時間に基づいて擬音の発生時間、擬音の種類、音量の少なくとも一つを設定することを特徴とする。
これにより、スイッチ等を設けることなく、子機の近接検出時間によって擬音の発生時間、種類、音量を設定できるので、擬音発生装置の小型化が可能となる。
【0018】
また、請求項8記載の発明によれば、前記制御部は、前記検出時間が所定時間未満のときは前回に前記音声発生手段を駆動したときの擬音の発生時間、擬音の種類、音量を設定することを特徴とする。
これにより、子機の近接検出時間が所定時間未満であれば前回駆動時の設定で動作することで、短い操作時間で擬音発生を開始させることができるので使い勝手がよい。
【0019】
また、請求項9記載の発明によれば、前記親機は、前記子機を収納可能な収納部と、該収納部への子機の着脱状態を検出する着脱検出手段を備え、前記制御部は、前記着脱検出手段によって前記子機が収納されている装着状態を検出しているときは、前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを特徴とする。
これにより、子機を親機に収納可能とした場合において、子機が親機に収納されている状態では、たとえ子機と親機とが近接していても擬音を発生させないので、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0020】
また、請求項10記載の発明によれば、前記親機は擬音発生スイッチを備え、前記制御部は、前記着脱検出手段が前記装着状態を検出しているときは、前記擬音発生スイッチの操作によって前記音声発生手段を駆動可能であることを特徴とする。
これにより、擬音発生スイッチを設けることで、子機を親機に収納した状態でも、擬音を発生させることができるため、使い勝手がよい。
【0021】
また、請求項11記載の発明によれば、前記制御部は、前記着脱検出手段によって前記子機が収納されていない離脱状態を検出中のとき、所定時間の間は前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを有することを特徴とする。
これにより、子機を親機に収納するときは、一時的に親機と子機とが近接するが、擬音が発生するまで所定時間のディレイを設けることで、子機を親機に収納時における予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項12記載の発明によれば、前記制御部は、前記着脱検出手段の検出状態が前記装着状態の検出から前記子機が収納されていない離脱状態の検出に変化したとき、所定時間の間は前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを有することを特徴とする。
これにより、子機を親機から取り出すときは、取り出した直後は親機と子機とが近接しているが、擬音が発生するまでに所定時間のディレイを設けることで、子機を親機から取り出す際における予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0023】
また、請求項13記載の発明によれば、前記親機は、前記子機を収納可能であって周囲と電気的又は磁気的にシールドされた収納部を備え、前記子機近接検出手段は前記収納部に収納された前記子機の検出ができないことを特徴とする。
これにより、子機を親機に収納可能とした場合において、子機が親機に収納されている状態では、たとえ子機と親機が近接していても擬音を発生させないので、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、使用者は親機をわざわざバッグやポケットから取り出す必要もなく、常に身に付けている子機を親機に近づけるという簡単な操作で擬音を発生させることができるので、携帯性を有しつつも、操作性に優れている擬音発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる擬音発生装置を例示する模式図である。
【図2】第1の実施形態にかかる擬音発生装置を例示するブロック図である。
【図3】子機の近接を検出する具体的な構成を例示する模式図である。
【図4】第1の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図5】第2の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図6】第3の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図7】第4の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図8】第5の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図9】第6の実施形態にかかる擬音発生装置を例示する模式図である。
【図10】第6の実施形態にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
【図11】第7の実施形態にかかる擬音発生装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる擬音発生装置を例示する模式図である。
また、図2は、第1の実施形態にかかる擬音発生装置を例示するブロック図である。
本実施形態にかかる擬音発生装置1は分離可能な親機2と子機3とから構成されており、これらはバッグや衣服のポケットなどに入れて持ち運びができるように携帯性を有している。
【0028】
親機は、スピーカ4と、音声発生手段5と、制御部6と、子機3の近接有無を検出する子機近接検出手段7と、電池8とを備えておりこれらは電気的に接続されている。制御部6が音声発生手段5を駆動することによってスピーカ4から擬音が発生し、逆に音声発生手段5の駆動を停止することによって擬音を停止することが可能である。電池8は親機2を動作させるための電源として使用される。また、子機近接検出手段7は子機3が親機2に近接しているかどうかを検出し、制御部6は子機近接検出手段7の検出結果によって音声発生手段5を駆動する。
【0029】
子機3の近接を検出する具体的な構成について図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は子機3の形態をカード型とした場合の模式図である。子機3にはRFIDタグ9が備わっており、親機2は子機近接検出手段7として、電波を送受信するアンテナ10と、アンテナ10から受信した信号を解析する解析手段11が備わっている。RFIDとはRadio Frequency Identifcationの略号であり、RFIDタグ9は小チップの無線タグを意味する。RFIDタグ9はアンテナを内蔵しており、外部から受信した電波を電気エネルギーに変換して駆動するため、電池などの電源が不要である。そのため、小型化・薄型化に優れており、IDカードとして広く普及している。通信可能な電波距離は一般的に数cm程度である。図3(a)の構成では、親機2は子機3に向けて電波を発信し、子機3からの応答があれば子機3が近接していると判断する。
【0030】
図3(b)は子機3の形態をカード型とした場合の別の模式図である。子機3には電磁コイル12が備わっており、親機2は子機近接検出手段7として、電磁コイル13と、電磁コイル13に流れる電流を検出する電流検出手段14が備わっている。親機2は電磁コイル13に電流を流すことによって誘導電流を発生させ、子機3の電磁コイル12を介して子機3に電力を供給する。これは、非接触方式で電力を供給するシステムであり、親機2は、子機3が近接しているときとそうでないときとでの電磁コイル13に流れる電流の変化を電流検出手段14によって検出して、流れる電流がある一定以上になれば子機3が近接していると判断する。
【0031】
図3(c)は子機3の形態を時計型とした場合の模式図である。子機3には磁石15が備わっており、親機2は子機近接検出手段7としてリードスイッチ16が備わっている。これは、磁気感応センサを使用したシステムである。親機2は、子機3の磁石15が近接しているときは磁力によってリードスイッチ16がオンし、そうでないときはオフすることで、子機3の近接を判断する。
【0032】
これらのような構成の子機3にすることで、カード型であればネックストラップ等で首からぶら下げておいたり、腕時計型であれば通常は腕時計として手首に装着しておくことで、使用者は違和感無く子機3を常に身に付けておくことが可能となる。
【0033】
図4は、本実施形態の具体例にかかる擬音発生装置1のタイムチャートである。
使用者が子機3を親機2に近づけると親機2の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する。制御部6は子機近接検出手段7から検出信号を受け取ると、音声発生手段5を駆動してスピーカ4から擬音を発生させる(時刻T10)。擬音は20秒間発生したあと停止する(時刻T11)。その後再び、子機3を親機2に近づけると同様にして擬音が発生開始する(時刻T12)。そして、20秒経過する前に再び子機3を親機2に近づけると擬音が停止する(時刻T13)。
【0034】
このようにして、使用者は親機2をわざわざバッグやポケットから取り出す必要もなく、常に身に付けている子機3を親機2に近づけるという簡単な操作で擬音を発生させることができるので、携帯性を有しつつも、操作性に優れている。
【0035】
更に、擬音発生中に再度、子機3を親機2に近づけると擬音が停止するため、誤って擬音を発生させてしまった場合にも即座に擬音を停止させることができるので、予期せぬ擬音が継続して発生することを防止できる。
【0036】
また、子機近接の検出システムがRFIDのように通信機能を持ち合わせたシステムであれば、子機3に記憶部を設けて固有のIDコードを記憶させておくことで、親機2は所定のIDコードを記憶している子機3の近接を検出したときだけ擬音を発生させることも可能である。RFIDを利用したシステムは電子マネーやセキュリティシステムにも広く普及しており、これらのRFIDタグと本実施形態の子機3とを区別しておくことは互いのシステム上における誤動作の防止になる。
【0037】
こうすることで、IDコードによって子機3を特定できるので予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置のタイムチャートである。擬音発生装置1の模式図、ブロック図、親機2と子機3の形態については、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。
【0039】
使用者が子機3を親機2に近づけると親機の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する(時刻T30)。その後、所定時間が経過する前に使用者が子機3を親機2から離す、つまり子機近接検出手段7が非検出になると擬音は発生しない(時刻T31)。図5ではこの時間を2秒と設定しているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。そして、再び使用者が子機3を親機2に近づけて(時刻T32)、子機近接検出手段7の検出時間が2秒を経過した時点で擬音が発生し始める(時刻T33)。
【0040】
この動作は、例えば使用者が誤って子機3を親機2に近づけてしまったとしても直ぐには擬音が発生せず、使用者が意図的に子機3を近づけたときにだけ擬音が発生することになる。
【0041】
このようにして、擬音の発生を開始するまでに所定時間以上の継続検出の条件を設けることで、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置のタイムチャートである。擬音発生装置1の模式図、ブロック図、親機2と子機3の形態については、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。
【0043】
使用者が子機3を親機2に近づけると親機2の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する(時刻T40)。その後、使用者は子機3を一旦親機2から離す(時刻T41)。そして、最初に子機3の近接を検出してから所定時間内に再び子機3を親機2に近づけて子機3の近接を検出すると、擬音が発生し始める(時刻T42)。つまり、所定時間内に子機3の近接検出が2回確定することで擬音が発生する。図6ではこの時間を2秒と設定しているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。また、擬音が発生し始めるまでの子機3の近接を検出する回数も2回に限らず、3回以上にも適宜変更してもよい。
【0044】
この動作も、第2の実施形態と同様に、使用者が誤って子機3を親機2に近づけてしまったとしても直ぐには擬音が発生せず、使用者が意図的に子機3近接の検出と非検出を繰り返すような操作をしたときにだけ擬音が発生することになる。
【0045】
このようにして、擬音の発生を開始するまでに所定時間内に子機3近接の検出と非検出を繰り返すようにする条件を設けることで予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置のタイムチャートである。擬音発生装置1の模式図、ブロック図、親機2と子機3の形態については、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。
【0047】
使用者が子機3を親機2に近づけると親機2の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出すると同時に、擬音が小音量から発生開始する(時刻T50)。子機3の近接を検出している間、擬音の音量は時間経過と共に段階的に大きくなっていくが、所定時間を経過する前に使用者が子機3を親機2から離すと擬音が停止する(時刻T51)。図7ではこの時間を2秒と設定しているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。そして、再び使用者が子機3を親機2に近づけると再び擬音が小音量から発生開始する(時刻T52)。その後、子機近接検出手段7の検出時間が2秒を経過した時点で音量は変化せずに一定となり(時刻T53)、それ以降は、使用者が子機3を親機2から離しても擬音の発生は一定音量のまま継続する(時刻T54)。
【0048】
この動作は、使用者が誤って子機3を親機2に近づけてしまったとしても、最初は小さな音量で擬音が発生し始めるので、周囲の人に気付かれる前に子機3と親機2とを離すことで擬音を停止することになる。
【0049】
このようにして、擬音発生の最初は小さな音量から開始することで、予期せぬ擬音発生が開始しても周囲に気付かれる前に擬音を停止させることができる。
【0050】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置のタイムチャートである。擬音発生装置1の模式図、ブロック図、親機2と子機3の形態については、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
使用者が子機3を親機2に近づけると親機2の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する(時刻T60)。その後、1秒経過後に使用者が子機3を親機2から離して、子機近接検出手段7が非検出になると擬音が発生し始める(時刻T61)。擬音の発生時間は子機3の近接検出時間に応じて変化し、図8では近接検出時間の10倍となる10秒が経過した時点で擬音が停止する(時刻T62)。
【0052】
同様にして、再び使用者が子機3を親機2に近づけて子機3の近接を検出し(時刻T63)、子機3の近接検出時間が2秒であれば(時刻T64)、擬音発生は20秒が経過した時点で停止する(時刻T65)。図8では、擬音の発生時間を子機3の近接検出時間の10倍としているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0053】
続いて、再び使用者が子機3を親機2に近づけて子機3の近接を検出する(時刻T66)。その後、1秒が経過する前に使用者が子機3を親機2から離して、子機近接検出手段7が非検出になると擬音が発生し始める(時刻T67)。子機3の近接検出時間が1秒未満であった場合、擬音の発生時間は前回の発生時間が設定され、擬音は20秒間発生した後に停止する(時刻T68)。図8では、前回の発生時間を設定するしきい値を1秒としているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0054】
この動作は、使用者が子機3を親機2に近接させている時間に応じて擬音発生の時間を設定していることになる。
なお、図8では擬音発生の時間を設定していたが、これに限られるわけではなく、擬音の音量を設定してもよいし、擬音の種類を変更してもよい。
【0055】
このようにして、スイッチ等を設けることなく、子機3の近接検出時間によって擬音の発生時間、種類、音量を設定できるので、擬音発生装置1の小型化が可能となる。
【0056】
また、子機3の近接検出時間が所定時間未満であれば前回駆動時の設定で動作することで、短い操作時間で擬音発生を開始させることができるので使い勝手がよい。
【0057】
(第6の実施形態)
図9は、本発明の第6の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置の模式図である。
図1と異なる構成は、親機2にマニュアル操作用の擬音発生スイッチ17と、子機3を収納可能な収納部18と、収納部18への子機3の着脱状態を検出する着脱検出スイッチ19が設けられている点である。着脱検出スイッチ19は、子機3が親機2に収納されている装着状態ではオン状態となり、子機3が親機2に収納されていない離脱状態ではオフ状態となる。その他の構成は、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。なお、着脱を検出する構成はスイッチに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。例えば、磁石とリードスイッチによる磁気感応センサを用いることも可能である。
【0058】
図10は、本実施形態の具体例にかかる擬音発生装置のタイムチャートである。
まず、子機3が親機2に収納されていない離脱状態で、使用者が子機3を親機2に近づけると親機2の子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する(時刻T80)。その後、子機3の近接検出時間が所定時間を経過した時点で擬音が発生し始め(時刻T81)、20秒後に擬音が停止する(時刻T82)。つまり、子機3の近接を検出してから擬音を発生開始するまで所定時間のディレイを有していることになる。図10では、このディレイ時間を2秒と設定しているが、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0059】
続いて、使用者は子機3を親機2に収納して子機3を装着状態にする。子機3を親機2に収納する際、子機3と親機2が近接するために、子機近接検出手段7が子機3の近接を検出する(時刻T83)。そして、2秒のディレイ時間が経過する前に子機3を収納完了すると、着脱検出スイッチ19がオフからオンとなり(時刻T84)、子機3の近接検出時間が2秒を経過しても擬音は発生しない。
【0060】
使用者は、子機3を収納した状態で擬音を発生させたい場合は、擬音発生スイッチ17を押せば擬音が発生し始める(時刻T85)。そして、20秒後に擬音は停止する(時刻T86)。
【0061】
続いて、使用者は子機3を親機2から取り出す。子機3を親機2から取り出す際、着脱検出スイッチ19がオンからオフとなっても、子機3と親機2は近接状態を維持しており、子機近接検出手段7は子機3の近接を検出している(時刻T87)。そして、2秒のディレイ時間が経過する前に子機3と親機2とを離すと(時刻T88)、子機3の近接検出手段は非検出となり、2秒を経過しても擬音は発生しない。
【0062】
このようにして、子機3を親機2に収納可能とした場合において、子機3が親機2に収納されている状態では、たとえ子機3と親機2とが近接していても擬音を発生させないので、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0063】
また、擬音発生スイッチ17を設けることで、子機3を親機2に収納した状態でも、擬音を発生させることができるため、使い勝手がよい。
【0064】
更に、子機3を親機2に収納するときは、一時的に親機2と子機3とが近接するが、擬音が発生するまで所定時間のディレイを設けることで、子機3を親機2に収納時における予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0065】
更に、子機3を親機2から取り出すときは、取り出した直後は親機2と子機3とが近接しているが、擬音が発生するまでに所定時間のディレイを設けることで、子機3を親機2から取り出す際における予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0066】
(第7の実施形態)
図11は、本発明の第7の実施形態にかかる具体例を示す擬音発生装置の模式図である。
図1と異なる構成は、親機2に、子機3を収納可能な収納部20が設けられていて、その収納部の周囲は電気的又は磁気的にシールドされている点である。図11では、シールド構成として、収納部の周囲を覆うようにシールド金属板21が張り付けられている。その他の構成は、図1、図2、図3を参照しつつ説明した内容と同様であるため、その説明は省略する。
【0067】
子機3を親機2から取り出しているときは、親機2は子機3の近接を検出できるため、使用者は子機3を親機2に近づけることで擬音を発生させることができる。また、子機3を親機2に収納しているときは、子機3はシールド金属板21によって電気的又は磁気的に遮断されているため、子機3と親機2とが収納状態で近接していても子機近接検出手段7は非検出となり、擬音は発生しない。
【0068】
このようにして、子機3を親機2に収納可能とした場合において、子機3が親機2に収納されている状態では、たとえ子機3と親機2が近接していても擬音を発生させないので、予期せぬ擬音発生を防止することができる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、擬音発生装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや子機近接検出手段7、着脱検出手段、各スイッチの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0070】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。例えば、図6で説明したタイムチャートと図10で説明したタイムチャートを組み合わせた制御も本発明の特徴から容易に発明可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…擬音発生装置
2…親機
3…子機
4…スピーカ
5…音声発生手段
6…制御部
7…子機近接検出手段
8…電池
9…RFIDタグ
10…アンテナ
11…解析手段
12…電磁コイル
13…電磁コイル
14…電流検出手段
15…磁石
16…リードスイッチ
17…擬音発生スイッチ
18…収納部
19…着脱検出スイッチ
20…収納部
21…シールド金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能な親機と子機とから構成された携帯性を有する擬音発生装置であって、前記親機は、スピーカと、該スピーカから出力する擬音を発生する音声発生手段と、該音声発生手段の駆動を制御する制御部と、前記子機の近接有無を検出する子機近接検出手段と、電池とを備えた擬音発生装置において、前記制御部は前記子機近接検出手段によって子機が検出できたときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする擬音発生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声発生手段の駆動中に前記子機近接検出手段が前記子機を検出すると、前記音声発生手段を停止することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項3】
前記子機はIDコードが記憶されている記憶部を有し、前記制御部は、前記子機近接検出手段が所定の前記IDコードを検出したときのみ、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記子機近接検出手段が所定時間以上継続して検出したときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記子機近接検出手段が予め設定されている検出状態と非検出状態との組み合わせ状態を所定時間以内に検出したときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記子機近接検出手段が前記子機を検出してから所定時間が経過するまでは前記スピーカから発生する擬音の音量を段階的に大きくするように前記音声発生手段を駆動し、前記所定時間が経過後は擬音の音量を変化させないように前記音声発生手段を駆動することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記子機近接検出手段が検出状態から非検出状態になったときに、前記スピーカから擬音を発生するように前記音声発生手段を駆動すると共に、前記子機の検出時間に基づいて擬音の発生時間、擬音の種類、音量の少なくとも一つを設定することを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検出時間が所定時間未満のときは前回に前記音声発生手段を駆動したときの擬音の発生時間、擬音の種類、音量を設定することを特徴とする請求項7記載の擬音発生装置。
【請求項9】
前記親機は、前記子機を収納可能な収納部と、該収納部への子機の着脱状態を検出する着脱検出手段を備え、前記制御部は、前記着脱検出手段によって前記子機が収納されている装着状態を検出しているときは、前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。
【請求項10】
前記親機は擬音発生スイッチを備え、前記制御部は、前記着脱検出手段が前記装着状態を検出しているときは、前記擬音発生スイッチの操作によって前記音声発生手段を駆動可能であることを特徴とする請求項9記載の擬音発生装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記着脱検出手段によって前記子機が収納されていない離脱状態を検出中のとき、所定時間の間は前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを有することを特徴とする請求項9記載の擬音発生装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記着脱検出手段の検出状態が前記装着状態の検出から前記子機が収納されていない離脱状態の検出に変化したとき、所定時間の間は前記子機近接検出手段が検出状態であっても前記音声発生手段の駆動を行わないことを有することを特徴とする請求項9記載の擬音発生装置。
【請求項13】
前記親機は、前記子機を収納可能であって周囲と電気的又は磁気的にシールドされた収納部を備え、前記子機近接検出手段は前記収納部に収納された前記子機の検出ができないことを特徴とする請求項1記載の擬音発生装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−220022(P2011−220022A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91849(P2010−91849)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】