説明

攪拌・脱泡装置

【課題】錘の位置調整を容易迅速に行える攪拌・脱泡装置を提供する。
【解決手段】被処理物を収容する容器4を備え、容器4を回転自在に支持するテーブル5と、容器4をテーブル5上で自転可能に構成され、かつ、テーブル5を回転させることにより容器4を公転可能に構成し、テーブル5の回転に伴い、被処理物が収容された容器重量との重量バランスをとるためにテーブル5上に設けられた錘8と、容器重量に応じて容器重量との重量バランスを調整すべく、錘8の位置を変更する変更手段18とを備えた攪拌脱泡装置であって、変更手段18が、錘8をテーブル5上で移動案内するための案内部材19と、錘8を移動させるための錘用駆動機構20を備え、錘用駆動機構20が、回動操作自在に構成された回転ハンドル21と、回転ハンドル21の回転操作力を錘8の移動力へ変換するための変換機構22とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容した被処理物を攪拌・脱泡することができる攪拌・脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の攪拌・脱泡装置としては、被処理物を収容する容器と、容器を回転自在に支持するテーブルと、容器をテーブル上で自転可能に構成され、かつ、テーブルを回転させることにより容器を公転可能に構成し、テーブルの回転に伴い、被処理物が収容された容器重量との重量バランスをとるためにテーブル上に設けられた錘とを備えたものが既に提案されている。そして、前記のように錘で容器重量との重量バランスをとることによって、容器の回転により発生する振動を小さく抑制することができるようになっている。
【0003】
そして、容器重量に応じて容器重量との重量バランスを調整すべく、錘の位置を変更することができる構成が既に提案されている。これは、テーブルの回転径方向に沿って棒状の螺子部材を設け、この螺子部材に螺合するように円板状の錘の中心に螺子孔を形成して、錘を回転させることにより螺子部材の長手方向に錘を移動させることで錘の位置を変更している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−290642号公報(図1、図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる提案による攪拌・脱泡装置では、錘の位置を変更する際に、円板状の錘の幅の狭い外周面に指を押し付けながら、錘を回転操作しなければならないだけでなく、錘の回転量に対する螺子部材の長手方向への錘の移動量(調節幅)が小さいため、大きく調整したい場合には、錘を多数回転させなければならない。その結果、錘の位置調整に多くの手間と時間がかかる煩わしいものであった。
【0006】
そこで、本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その解決しようとするところは、錘の位置調整を容易迅速に行える攪拌・脱泡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の攪拌・脱泡装置は、前述の課題解決のために、被処理物を収容する容器を備え、該容器を回転自在に支持するテーブルと、前記容器を前記テーブル上で自転可能に構成され、かつ、該テーブルを回転させることにより該容器を公転可能に構成し、前記テーブルの回転に伴い、被処理物が収容された容器重量との重量バランスをとるために該テーブル上に設けられた錘と、前記容器重量に応じて該容器重量との重量バランスを調整すべく、前記錘の位置を変更する変更手段とを備えた攪拌脱泡装置であって、前記変更手段が、前記錘をテーブル上で移動案内するための案内部材と、前記錘を移動させるための錘用駆動機構とを備え、該錘用駆動機構が、回動操作自在に構成された回転ハンドルと、該回転ハンドルの回転操作力を錘の移動力へ変換するための変換機構とを備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、回転ハンドルを回転操作することによって、変換機構により回転ハンドルの回転操作力が錘の移動力に変換される。そして、案内部材によって、錘が移動案内され、錘の位置を迅速に変更することができる。
【0009】
また、本発明の攪拌・脱泡装置は、前記変換機構が、前記錘にその錘の移動方向と直交する方向に形成された長孔と、前記回転ハンドルに備えられ前記長孔内に入り込む操作部材とを備え、前記回転ハンドルの回転で前記操作部材が長孔を介して前記錘を移動させてもよい。
【0010】
また、本発明の攪拌・脱泡装置は、前記錘は、前記回転ハンドルにより移動操作された後にその位置で固定され、かつ、該回転ハンドルにより移動される時に該固定が解除されるべく、固定及び固定解除可能なロック手段を備えていてもよい。
【0011】
上記のようにロック手段を備えさせておけば、テーブルを回転させている最中に錘が不測に移動してしまうことがなく、信頼性の高い攪拌・脱泡装置にすることができる。
【0012】
また、本発明の攪拌・脱泡装置は、前記ロック手段が、前記回転ハンドルを上方へ持ち上げることによりロック解除され、該回転ハンドルから手を放すことにより回転ハンドルが下方へ自ずと移動する又は該回転ハンドルを下方へ移動させることにより前記錘が固定されてもよい。
【0013】
また、本発明の攪拌・脱泡装置は、前記ロック手段が、前記回転ハンドルに一体回転自在に備えた円環状の可動側ギヤと、該可動側ギヤの内歯に上下方向において噛み合う外歯を有し、かつ、固定部材に取り付けられた固定側ギヤとを備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の攪拌・脱泡装置は、前記回転ハンドルを下方へ移動付勢するための弾性体を備えている場合には、錘を移動した後に回転ハンドルから手を離すだけで、自ずと錘が固定されることから、操作性を向上させることができるだけでなく、固定忘れの信頼性の高い攪拌・脱泡装置にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明における攪拌・脱泡装置にあっては、回転ハンドルの回転操作力が錘の移動力に変換される構成であるから、従来のように螺子を回す構成に比べて、錘の移動量を大きくすることができ、錘の位置調整を迅速に行える攪拌・脱泡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る攪拌・脱泡装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同攪拌・脱泡装置の一部を省略した縦断面図である。
【図3】錘の位置を変更する変更手段の具体的構成を示し、(a)は上から見た斜視図、(b)は下から見た斜視図、(c)は平面図である。
【図4】変更手段を構成する回転ハンドルを段階的に回転操作した平面図であり、(a)は15度回転操作した状態を示し、(b)は33度回転操作した状態を示し、(c)は45度回転操作した状態を示し、(d)は66度回転操作した状態を示している。
【図5】(a)は錘と回転ハンドルとが組み付けられた要部の平面図、(b)は図5(a)におけるA−A線断面図、(c)は錘と回転ハンドルとが組み付けられた要部の斜視図である。
【図6】(a)は図5(a)におけるB−B線断面図、(b)は(a)の状態から回転ハンドルを上方へ持ち上げた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る攪拌・脱泡装置の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本実施形態における攪拌・脱泡装置1を示している。この攪拌・脱泡装置1は、複数の材料からなる被処理物を攪拌・脱泡処理することができる装置である。尚、被処理物は、例えば医療用材料や電子部品材料、液晶材料などの気泡を嫌う被攪拌材料である。
【0018】
図1に示す攪拌・脱泡装置1は、上端に開口2Kが形成された上方開放型のケーシング2と、そのケーシング2内に収容された本体部3とを備えている。本体部3は、図2に示すように、被処理物を収容する容器4を回転自在に支持するテーブル5と、容器4をテーブル5上で自転させる自転用駆動機構6と、テーブル5を回転させることにより容器4を公転させる公転用回転駆動機構7と、テーブル5の回転に伴い、被処理物が収容された容器重量との重量バランスをとるためにテーブル5上に設けられた錘8とを備えている。従って、テーブル5を回転させつつ、容器4をテーブル5上で自転させることによって、容器4内の被処理物を攪拌・脱泡処理するように構成している。そして、本体部3の上部に、容器4の上部と錘8を移動操作する後述の回転ハンドル21とを露出させるための2つの開口9A,9Bが形成されたカバー部材9(図1参照)を設けている。このように回転ハンドル21をカバー部材9から上方に露出させることによって、回転ハンドル21全体を上方から容易に指で掴んで回転操作を迅速に行うことができる。
【0019】
錘8は、図3(a),(b),(c)に示すように、4つの角が取れた平面視においてほぼ八角形となる塊からなっている。
【0020】
公転用回転駆動機構7は、電動モータであり、その電動モータ7から上方へ突出する駆動回転軸7Aに外嵌されて一体回転する支軸10の上端に、テーブル5の中央部5Aを連結している。従って、電動モータ7を駆動することによりテーブル5を縦軸(上下軸芯)X周りで回転させることで容器4を公転させることができるようになっている。
【0021】
テーブル5は、支軸10が連結された中央部5Aと、この中央部5Aの外側に位置し、中央部よりも低くなった水平部5Bと、この水平部5Bの所定範囲において折り曲げられて回転径方向外側ほど上方に位置する傾斜面5cが形成された傾斜部5Cとを備えている。そして、テーブル5の回転中心から所定距離外側に位置する傾斜部5Cに容器4を縦軸Y回りで回転自在に取り付け、この容器4と縦軸Xを挟んで回転径方向でほぼ対称となる水平部5Bの位置に錘8を備えている。容器4の回転軸である縦軸Yは、その上端側ほどテーブル5の回転中心(縦軸X)側に位置するように傾斜している。
【0022】
容器4は、被処理物を収容する容器本体4Aと、テーブル5に回転自在に取り付けられ、該容器本体4Aが着脱自在に内装される回転部材4Bとからなり、回転部材4Bの下部に円周状の溝4Mが形成されている。
【0023】
自転用駆動機構6は、前記電動モータ7を駆動することにより支軸10と連れ回りするプーリ15と、プーリ15の回転力を伝達するべく、プーリ15と前記回転部材4Bの溝4Mとに渡って巻回された伝導ベルト17とを備えている。前記プーリ15は、上下に溝15A,15Bが形成され、上側の溝15Aに伝導ベルト17が掛け回されている。そして、下側の溝15Bに伝導機構12を介してパウダーブレーキ11が連結されている。このパウダーブレーキ11に印加する電圧を増減させることによって、プーリ15に加えられる回転負荷を可変することでプーリ15の回転数を変化させることができるようになっている。
【0024】
伝達機構12は、パウダーブレーキから水平方向へ突出する出力軸11Aに一体回転自在に取り付けられた負荷用プーリ13と、前記プーリ15の下側の溝15Bと、負荷用プーリ13と前記プーリ15とを連動連結する伝動ベルト16とを備えている。
【0025】
公転用回転駆動機構7によるテーブル5の回転数及び自転用回転駆動機構6による容器4の回転数は、予め設定されて記憶されている複数の回転数の中から被処理物に合わせてそれぞれの回転数を選択するようにしてもよいし、任意の回転数を選択して攪拌・脱泡装置1を運転するようにしてもよい。
【0026】
被処理物を収容する収容量により変化する容器重量に応じて錘8の位置を回転径方向で変更する変更手段18を備えており、容器重量との重量バランスを調整することにより、テーブル5の回転により発生する振動を抑えることができるようになっている。ここで言う容器重量は、容器4の重量と被処理物の重量とを合計した重量である。
【0027】
変更手段18は、図2及び図3に示すように、錘8をテーブル5上で回転径方向に沿って直線状に移動案内するための案内部材19と、前記錘8を移動させるための錘用駆動機構20とを備えている。案内部材19は、板状部材からなり、この板状部材19に錘8が嵌まり込んで錘8を回転径方向でのみ移動させることができる溝19Mを形成している。
【0028】
錘用駆動機構20が、縦軸Z回りで回動操作自在に構成された円形の回転ハンドル21と、該回転ハンドル21の回転操作力を錘8の移動力へ変換するための変換機構22とを備えている。前記回転ハンドル21、錘8、板状部材19の3つの部材に、螺子軸でなる回転軸29を上下方向で貫通し、その回転軸29の上下の突出端にナット30を螺合することによって、3つの部材21,8,19を一体化(ユニット化)している。
【0029】
変換機構22は、錘8にその錘8の移動方向と直交する方向に形成された長孔8Aと、回転ハンドル21に貫通して下端から突出し、その突出端21Tが長孔8A内に入り込む棒状(円柱状)の操作部材21Aとを備えている。従って、回転ハンドル21を回転させることにより、操作部材21Aが長孔8Aを押すことで錘8が案内部材19に案内されてテーブル5の回転径方向へ移動することができるようになっている。
【0030】
そして、図3(c)に示す回転ハンドル21の回転位置から回転ハンドル21を時計回りに所定角度α回転させた状態を図4(a)から(d)に示している。図4(a)は、所定角度αが15度で錘8が回転ハンドル21の回転中心から所定距離L(7.635mm)移動した場合を示し、図4(b)は、所定角度αが33度で錘8が回転ハンドル21の回転中心から所定距離L(16mm)移動した場合を示し、図4(c)は、所定角度αが45度で錘8が回転ハンドル21の回転中心から所定距離L(20.86mm)移動した場合を示し、図4(d)は、所定角度αが最大角度の66度で錘8が回転ハンドル21の回転中心から所定距離L(27mm)移動した場合を示している。この最大角度は、長孔8Aの長さによって設定変更することができる。図4において錘8を、テーブル5の回転中心から離れる側(外方側)へ移動(図4では左側へ移動)させる場合を示したが、図3(c)の位置からテーブル5の回転中心へ近付く側(内方側)へ移動(図4では右側へ移動)させるように、回転ハンドル21を半時計回りに回転操作してもよい。このように回転ハンドル21を一回転もさせない角度、更には180度未満の角度範囲(ここでは66度の範囲)で回動操作するだけで、錘8の位置を大きくスライドさせることができる利点がある。
【0031】
図4に示す符号8Bは、錘8の移動時に回転ハンドル21の回転軸29を逃がすために、錘8にそれの移動方向に形成した長孔である。また、図4において錘8の移動方向と直交する長孔8Aを2個形成することによって、操作部材21Aをいずれの長孔8A又は8Aにも入り込ませることができるが、1個の長孔のみを形成して実施してもよい。尚、前記操作部材21Aに対して回転ハンドル21の点対称となる位置に別の操作部材21Bを備えておき、いずれか一方の操作部材21A又は21Bを長孔8A又は8Aに入り込ませて実施することもできる。
【0032】
前記錘8及び回転ハンドル21の形状の他、回転ハンドル21の構成を変更したものを図5(a),(b),(c)及び図6(a),(b)に示し、以下、図面に基づいて説明する。
【0033】
前述同様に、被処理物を収容する収容量により変化する容器重量に応じて錘8の位置を回転径方向で変更する変更手段18を備えており、容器重量との重量バランスを調整することにより、テーブル5の回転により発生する振動を抑えることができるようになっている。ここで言う容器重量は、容器4の重量と被処理物の重量とを合計した重量である。
【0034】
変更手段18は、図5(b)に示すように、錘8を図示していないテーブル上で回転径方向に沿って直線状に移動案内するための案内部材34と、前記錘8を移動させるための錘用駆動機構35とを備えている。案内部材34は、錘8の上面を覆うカバー部34Aと、錘8の幅方向の前後面及び下面を覆う前後一対のL字状の受止部34B,34Bとを備えた内部中空の箱型形状に構成している。尚、前記受止部34B,34Bが図示しないテーブルに固定された板部材36に取り付けられている。前記受止部34B,34Bのそれぞれには、軽量化を図るための2つの貫通孔34K,34Kが形成されている。前記テーブルとは、前記公転用回転駆動機構7により回転して容器4を公転させるための部材であり、形状や容器4との取付け位置関係などの具体的構成はどのようなものであってもよい。
【0035】
錘用駆動機構20が、縦軸Z回りで回動操作自在に構成された円形の回転ハンドル21と、該回転ハンドル21の回転操作力を錘8の移動力へ変換するための変換機構22とを備えている。
【0036】
変換機構22は、錘8にその錘8の移動方向と直交する方向で、かつ、前記長孔8Bを挟んで両側に位置する2つの部分のうちの一方の部分に形成された切欠き(長孔でもよい)8A(図5(a)参照)と、回転ハンドル21に備えられ、該切欠き8Aに入り込む円柱状の操作部材21A(図6(a),(b)参照)と、前記案内部材34とで構成されている。従って、回転ハンドル21を回転させることにより、操作部材21Aが長孔8Aを押すことで錘8が案内部材34に案内されて回転径方向へ移動することができるようになっている。
【0037】
前記錘8は、前述したように図5(a)において長方形状に構成され、前記長孔8Bが錘8の幅方向ほぼ中央位置で長手方向に沿って形成され、前記切欠き8Aが錘8の移動方向と直交する方向で、かつ、前記長孔8Bを挟んで両側に位置する2つの部分のうちの一方の部分に形成している(両方の部分に形成してもよい)。
【0038】
前記操作部材21Aは、回転ハンドル21の下端に備える後述する可動側ギヤ26の下端に取り付けられている。従って、回転ハンドル21を回転操作することによって、図5(a)において左右方向に錘8を移動させて位置変更させることができるようにしている。尚、図5(a)では錘8を左側の端に移動させた状態を示している。
【0039】
前記回転ハンドル21は、平面視において円形のハンドル本体23Aとハンドル本体23Aの外周縁に所定間隔を置いて外側に突出する突起部23Bとを有する合成樹脂製のハンドル部23と、このハンドル部23の下端にビス等により一体的に連結された金属製の補助錘部24とを備えている。従って、周方向で隣り合う突起部23B,23B間の隙間に指を係止させることで回転ハンドル21を指が滑ることなく確実に回転操作することができる。また、補助錘部24を備えさせることによって、その補助錘部24の重量で容器重量との重量バランスを少しでも調整することができるから、前記錘8の重量を小さく抑えることができる。
【0040】
前記錘8は、前記回転ハンドル21により移動操作された後にその位置で固定され、かつ、該回転ハンドル21により移動される時に該固定が解除されるべく、固定及び固定解除可能なロック手段25を備えている。
【0041】
図6(a),(b)に示すように、前記ロック手段25が、前記回転ハンドル21の補助錘部24の下端に一体回転自在にビス等により備えられた円環状(リング状)の可動側ギヤ26と、該可動側ギヤ26の内歯26Aに上下方向において噛み合う外歯27Aを有し、かつ、固定部材としての前記支軸31に外嵌着された固定側ギヤ27とを備えている。固定側ギヤ27は、外歯27Aを有する板状で円環状のギヤ部27aと、このギヤ部27aの内周縁から上方に延びる円筒状部27bとからなり、円筒状部27bが支軸31に外嵌着されることになる。
【0042】
前記補助錘部24は、金属製で円環状(リング状)の錘本体24Aと、後述するコイルバネ28の下端を受け止める受止部24Bとを備えている。前記錘本体24Aは、内側端に上方に延びる円環状の鍔部24aを備えるとともに、径方向ほぼ中間部でかつ周方向において所定間隔を置いた4箇所のそれぞれに錘本体24Aの重量を調整するために上下方向で貫通する貫通孔24Hを形成している。また、前記受止部24Bは、錘本体24Aの内側下端から回転中心となる支軸31側へ延びる円環状の水平板部24bと、この水平板部24bの外周縁から上方に立ち上げられた円筒状板部24cとからなっている。そして、錘本体24Aと受止部24Bとで形成される空間24K内に前記コイルバネ28を収容している。そして、このコイルバネ28の上方には、前記支軸31の上端に外嵌され、かつ、ナット32により上方への移動が阻止された受板33を備えており、受板33と受止部24Bの水平板部24bとの間に短縮状態のコイルバネ28を備えさせることによって、補助錘部24を介して回転ハンドル21を下方へ移動付勢している。
【0043】
従って、図6(a)に示す状態から、回転ハンドル21をコイルバネ28による付勢力に抗して上方へ持ち上げる(図6(b)に示した上方位置)ことにより、可動側ギヤ26が固定側ギヤ27から離間して、両者の噛み合いが解除されることでロック解除される。このロック解除状態において前述のように回転ハンドル21を回転操作することによって、錘8の位置を径方向へ移動させることができる。この錘8の移動後は、回転ハンドル21から手を放すことにより、コイルバネ28の付勢力により回転ハンドル21が下方へ移動して、可動側ギヤ26が固定側ギヤ27に噛み合うことで、錘8が固定される。
【0044】
前記錘8は、前述した図2〜図4の錘8と同様に、低比重材料で構成されている。
【0045】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、前記実施形態で示したロック手段25を、回転ハンドル21に一体回転自在に備えた円環状の可動側ギヤ26と、可動側ギヤ26の内歯26Aに上下方向において噛み合う外歯27Aを有し、かつ、支軸31に外嵌着された固定側ギヤ27とから構成したが、複数の被係止部を固定側に備えさせ、これら被係止部に係止及び係止解除自在な係止部を回転ハンドル21に備えさせて実施することもできる。また、回転ハンドル21を上下動させることによりロック手段25を固定及び固定解除する他、回転ハンドル21はそのままで、ロック手段25を固定操作及び固定解除操作するための操作部材を設けて実施することもできる。
【0047】
また、前記実施形態では、回転ハンドル21を下方へ移動付勢するための弾性体としてコイルバネ28を備えさせたが、板バネやゴム等であってもよい。また、回転ハンドル21を下方へ移動付勢するための弾性体を省略し、回転ハンドル21を手動にて上下動させることにより、ロック手段25の固定及び固定解除を行うようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、テーブル5を駆動回転させる電動モータ7により、容器4の自転も行う構成とし、その自転の回転数をパウダーブレーキを用いて可変させるように構成したが、テーブル5を駆動回転させる電動モータと容器を自転させる電動モータとを別々に設けて実施してもよい。尚、テーブル5を駆動させる駆動手段及び容器4を自転させる駆動手段としては、電動モータ以外のアクチュエータであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…攪拌・脱泡装置、2…ケーシング、2K…開口、3…本体部、4…容器、4A…容器本体、4B…回転部材、4M…溝、5…テーブル、5A…中央部、5B…水平部、5C…傾斜部、5c…傾斜面、6…自転用駆動機構、7…公転用回転駆動機構(電動モータ)、7A…駆動回転軸、8…錘、8A…長孔(切欠き)、8B…長孔、9…カバー部材、9A,9B…開口、10…支軸、11…パウダーブレーキ、11A…駆動軸、12…伝達機構、13…駆動用プーリ、13H…補助プーリ、14…ベアリング、15…中継用プーリ、15A,15B…溝、15H…補助プーリ、16,17…伝動ベルト、18…変更手段、19…案内部材(板状部材)、19M…溝、20…錘用駆動機構、21…回転ハンドル、21A…操作部材、21B…操作部材、21T…突出端、21b…突起部、22…変換機構、23…ハンドル部、23A…ハンドル本体、23B…突起部、24…補助錘部、24A…錘本体、24B…受止部、24K…空間、24a…鍔部、24b…水平板部、24c…円筒状板部、24H…貫通孔、25…ロック手段、26…可動側ギヤ、26A…内歯、27…固定側ギヤ、27A…外歯、28…コイルバネ、29…回転軸、30…ナット、31…支軸、32…ナット、33…受板、L…所定距離、X,Y,Z…縦軸、α…所定角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する容器を備え、
該容器を回転自在に支持するテーブルと、
前記容器を前記テーブル上で自転可能に構成され、かつ、該テーブルを回転させることにより該容器を公転可能に構成し、
前記テーブルの回転に伴い、被処理物が収容された容器重量との重量バランスをとるために該テーブル上に設けられた錘と、
前記容器重量に応じて該容器重量との重量バランスを調整すべく、前記錘の位置を変更する変更手段とを備えた攪拌脱泡装置であって、
前記変更手段が、前記錘をテーブル上で移動案内するための案内部材と、前記錘を移動させるための錘用駆動機構とを備え、
該錘用駆動機構が、回動操作自在に構成された回転ハンドルと、該回転ハンドルの回転操作力を錘の移動力へ変換するための変換機構とを備えたことを特徴とする攪拌・脱泡装置。
【請求項2】
前記変換機構が、前記錘にその錘の移動方向と直交する方向に形成された長孔と、前記回転ハンドルに備えられ前記長孔内に入り込む操作部材とを備え、前記回転ハンドルの回転で前記操作部材が長孔を介して前記錘を移動させることを特徴とする請求項1記載の攪拌・脱泡装置。
【請求項3】
前記錘は、前記回転ハンドルにより移動操作された後にその位置で固定され、かつ、該回転ハンドルにより移動される時に該固定が解除されるべく、固定及び固定解除可能なロック手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の攪拌・脱泡装置。
【請求項4】
前記ロック手段が、前記回転ハンドルを上方へ持ち上げることによりロック解除され、該回転ハンドルから手を放すことにより回転ハンドルが下方へ自ずと移動する又は該回転ハンドルを下方へ移動させることにより前記錘が固定されることを特徴とする請求項3記載の攪拌・脱泡装置。
【請求項5】
前記ロック手段が、前記回転ハンドルに一体回転自在に備えた円環状の可動側ギヤと、該可動側ギヤの内歯に上下方向において噛み合う外歯を有し、かつ、固定部材に取り付けられた固定側ギヤとを備えている請求項3又は請求項4記載の攪拌・脱泡装置。
【請求項6】
前記回転ハンドルを下方へ移動付勢するための弾性体を備えていることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の攪拌・脱泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−36805(P2011−36805A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186421(P2009−186421)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000145286)株式会社写真化学 (7)
【Fターム(参考)】