攪拌脱泡装置の停止方法及び攪拌脱泡装置
【課題】攪拌脱泡装置を停止する際に、材料が新たな空気を巻き込むこと、及び、材料から新たな気泡が発生することを防止することが可能な攪拌脱泡方法、及び攪拌脱泡装置を提供することにある。
【解決手段】攪拌脱泡装置の停止方法は、材料Mが収容された容器100を、容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置1を停止する方法であって、容器の自転/公転角速度比を低下させながら、容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップ(ステップS104)と、自転角速度低下ステップに遅れて開始される、容器内を大気圧に開放する大気開放ステップ(ステップS106)と、を含む。
【解決手段】攪拌脱泡装置の停止方法は、材料Mが収容された容器100を、容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置1を停止する方法であって、容器の自転/公転角速度比を低下させながら、容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップ(ステップS104)と、自転角速度低下ステップに遅れて開始される、容器内を大気圧に開放する大気開放ステップ(ステップS106)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌脱泡装置の停止方法及び攪拌脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が収納された容器を自転及び公転させることによって当該材料を攪拌脱泡する装置(自転公転方式の攪拌脱泡装置)が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。この攪拌脱泡装置では、容器を自転及び公転させる際に容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を攪拌する(混練する、混合する、分散させる)とともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。
【0003】
また、自転公転方式の攪拌脱泡装置として、材料の処理工程中に、容器内を減圧する装置が知られている(例えば特許文献3参照)。この技術によると、材料を高精度に脱泡することが可能になる。
【特許文献1】特開2000-271465号公報
【特許文献2】特開平10-43568号公報
【特許文献3】特開平11-104404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、減圧状態で材料の攪拌脱泡処理を行った場合でも、材料を取り出すためには、容器の自転及び公転を止め、かつ、容器内部を大気圧に開放して攪拌脱泡装置を停止する必要がある。そして、精度よく攪拌脱泡された材料を取得するためには、攪拌脱泡装置の停止工程において、材料が新たな空気を巻き込まないように、かつ、材料内部から新たな気泡が発生しないように、攪拌脱泡装置を停止させることが重要である。
【0005】
本発明の一つの態様は、攪拌脱泡装置を停止する際に、材料が新たな空気を巻き込むこと、及び、材料内部から新たな気泡が発生することを防止することが可能な攪拌脱泡方法、及び、攪拌脱泡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る攪拌脱泡装置の停止方法は、
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置を停止する方法であって、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら、前記容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップと、
前記自転角速度低下ステップに遅れて開始される、前記容器内を大気圧に開放する大気開放ステップと、
を含む。
【0007】
本発明によると、材料が新たな空気を巻き込まないように、かつ、材料内部から新たな気泡が発生しないように、攪拌脱泡装置を停止することができる。そのため、高精度に攪拌脱泡された材料を取得することが可能になる。
【0008】
(2)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記自転角速度が所定値以下のときに開始されてもよい。
【0009】
(3)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、容器の自転が停止した後に開始されてもよい。
【0010】
(4)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の自転/公転角速度比が所定値以下のときに開始されてもよい。
【0011】
(5)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の公転角速度が所定値以上のときに開始されてもよい。
【0012】
(6)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップに遅れて開始される、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップをさらに含んでもよい。
【0013】
(7)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器内の気圧が所定値以上のときに開始されてもよい。
【0014】
(8)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器の内部が大気圧に開放された後に開始されてもよい。
【0015】
(9)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置であって、
前記容器の自転角速度及び公転角速度、並びに、前記容器内の気圧を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、
前記容器の自転及び公転を止め、前記容器内圧を大気圧に開放して前記攪拌脱泡装置を停止させる際に、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら前記自転角速度を低下させる自転角速度低下処理の開始後に、前記容器内を大気圧に開放する大気開放処理を開始する。
【0016】
本発明によると、停止する際に、材料が新たな空気を巻き込むこと、及び、材料内部から新たな気泡が発生することを防止することができ、高精度に攪拌脱泡された材料を取得することが可能な攪拌脱泡装置を提供することができる。
【0017】
(10)この攪拌脱泡装置において、
前記制御手段は、前記攪拌脱泡装置を停止させる工程で、
前記大気開放処理の開始後に、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下処理を開始してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0019】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0020】
(1)攪拌脱泡装置1の構成
はじめに、本発明を適用した実施の形態に係る攪拌脱泡装置1の構成について説明する。図1〜図5は、攪拌脱泡装置1の構成について説明するための図である。
【0021】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、公転軸10(回転軸/主軸)を含む。公転軸10は、仮想の直線を中心に回転するように構成されている。本実施の形態では、公転軸10は、図1に示すように、鉛直に延びる仮想の直線(公転軸線L1)を軸として回転するように構成されている。ただし、公転軸10は、水平に延びる直線を軸として回転するように構成することも可能である(図示せず)。
【0022】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、回転体20を含む。回転体20は、公転軸10に固定され、公転軸10の回転に伴って、公転軸線L1を中心に(軸線として)回転するように構成されている。
【0023】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、容器ホルダ30を有する。容器ホルダ30は、後述する収納容器100を保持する役割を果たす。以下、容器ホルダ30について詳述する。
【0024】
容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置に、自転可能に取り付けられている。本実施の形態では、容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置を通る仮想の直線(自転軸線L2)を軸として自転可能に構成されている。本実施の形態では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、所定の角度で斜めに交差する直線となっている。より具体的には、攪拌脱泡装置1では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、45度の角度で交差するように構成されている。ただし、変形例として、攪拌脱泡装置は、容器ホルダ30の公転軸線と自転軸線とが平行になるように構成することも可能である(図示せず)。
【0025】
本実施の形態では、容器ホルダ30は、自転軸32に固定されている。そして、自転軸32は、回転体20に軸受け34を介して取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20に対して自転可能とすることができる。
【0026】
容器ホルダ30は、回転体20における、公転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20の回転に伴って、公転軸線L1を中心に公転させることが可能になる。
【0027】
本実施の形態では、1つの回転体20に、1つの容器ホルダ30が取り付けられている。そして、回転体20における容器ホルダ30とは反対側の位置には、バランス錘36が取り付けられている。このバランス錘36は、公転軸線L1からの距離が可変に構成されている。これにより、攪拌脱泡装置1を、安定して運転させることができる。ただし、変形例として、回転体20に、2個の容器ホルダ30を取り付けることも可能である。この場合、2個の容器ホルダ30を、公転軸線L1を中心とする点対称の配置となるように取り付ければ、攪拌脱泡装置を安定して動作させることができる。あるいは、攪拌脱泡装置を、1つの回転体20に3個以上の複数の容器ホルダ30を取り付けた構成とすることも可能である。
【0028】
また、本実施の形態では、容器ホルダ30は気密構造になっており、内部を所望の気圧に保持することが可能に構成されている。
【0029】
攪拌脱泡装置1は、駆動機構を含む。駆動機構は、容器ホルダ30(収納容器100)を自転及び公転駆動する役割を果たす。以下、駆動機構について詳述する。
【0030】
駆動機構は、図1及び図2に示すように、モータ40を含む。モータ40は、公転軸10を回転させる役割を果たす。攪拌脱泡装置1では、公転軸10が回転すると回転体20が回転し、それに伴い、容器ホルダ30が公転する。そのため、本実施の形態では、モータ40の回転数を制御することにより、容器ホルダ30を、所望の公転角速度(公転数)で公転させることが可能になる。本実施の形態では、モータ40として、誘導モータ(インダクションモータ)を適用することができる。なお、誘導モータの回転数(公転軸10の回転数)は、インバータから出力される交流電力の周波数を制御することにより、任意の値に設定することが可能である。ただし、モータ40として、サーボモータやPMモータを利用することも可能である。
【0031】
駆動機構は、容器ホルダ30を自転させるための自転駆動機構を含む。以下、自転駆動機構について説明する。
【0032】
自転駆動機構は、公転軸10と間隔をあけて配置された、公転軸10と平行に延びる副軸42を含む。副軸42は、副軸保持手段44に保持される。副軸保持手段44は、副軸42を回転可能に保持するとともに、副軸42を固定して回転を停止させる回転停止手段を含んで構成されている。本実施の形態では、副軸42は軸受けを介して取り付けられており、これにより、副軸42が回転可能に保持される。また、本実施の形態では、回転停止手段は、可動鉄芯45を有するソレノイドによって構成されている。この場合、図3(A)に示すように、副軸42を貫く横軸43に可動鉄芯45を接触させることにより、副軸42が回転不能な状態となる。また、図3(B)に示すように、可動鉄芯45を横軸43と非接触とすることにより、副軸42が回転可能な状態となる。なお、可動鉄芯45の位置は、ソレノイドに供給される電流のオン/オフによって切り替えることができる。
【0033】
自転駆動機構は、また、遊星軸46を含む。遊星軸46は回転体20に固定され、回転体20の回転に伴って公転する。
【0034】
自転駆動機構は、公転軸10に固定された公転軸プーリー50を含む。公転軸プーリー50は、公転軸10に固定されるため、公転軸10と同じ角速度で回転する。
【0035】
自転駆動機構は、環状部材52の一部として構成された、公転軸10と同心軸に回転可能な上プーリー54及び下プーリー56を含む。上プーリー54及び下プーリー56は、ともに、環状部材52の一部を構成するため、両者は一体的に挙動し、同じ回転角速度で回転する。また、環状部材52は、軸受けを介して公転軸10に取り付けられている。そのため、上プーリー54及び下プーリー56(環状部材52)は、公転軸10と独立して回転することが可能になる。
【0036】
自転駆動機構は、副軸42に固定された副軸第1プーリー58を含む。副軸第1プーリー58は、副軸42に固定されるため、副軸42と同じ角速度で回転する。
【0037】
自転駆動機構は、一方向クラッチ62を介して副軸42に取り付けられた、副軸第2プーリー60を含む。本実施の形態では、自転駆動機構は、一方向クラッチ62の作用により、副軸42が回転不能に設定された場合に、副軸第2プーリー60と副軸42とが空回りし、副軸42が回転可能に設定された場合に、副軸第2プーリー60と副軸42とが同じ角速度で回転することができるように構成される。
【0038】
自転駆動機構は、遊星環状部材64の一部として構成された、遊星軸46と同心軸に回転可能な遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68を含む。遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68は、ともに、遊星環状部材64の一部を構成するため、両者は一体的に挙動し、同じ回転角速度で回転する。また、遊星環状部材64は、軸受けを介して遊星軸46に取り付けられている。そのため、遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68(遊星環状部材64)は、遊星軸46に対して回転可能になる。
【0039】
自転駆動機構は、容器ホルダ30に固定された自転プーリー70を含む。自転プーリー70は容器ホルダ30に固定されることから、容器ホルダ30と自転プーリー70とは、一体的に挙動する。なお、本実施の形態では、自転プーリー70は、容器ホルダ30の外周に設けられている。
【0040】
自転駆動機構は、また、公転軸プーリー50と副軸第2プーリー60との間にかけ回された第1のベルト72と、副軸第1プーリー58と下プーリー56との間にかけ回された第2のベルト74と、上プーリー54と遊星第2プーリー68との間にかけ回された第3のベルト76と、遊星第1プーリー66と自転プーリー70との間にかけ回された第4のベルト78とを含む。なお、第4のベルト78は、アイドラ79によって屈曲させられた状態で、遊星第1プーリー66と自転プーリー70との間にかけ回されている。
【0041】
本実施の形態では、自転駆動機構は以上のように構成されている。この自転駆動機構によると、攪拌脱泡装置1を、副軸42が固定された状態(回転不能に設定された状態)で運転する第1の動作モードと、副軸42を回転可能とした状態で運転する第2の動作モードとの、2つの異なるモードで動作させることが可能になる。そして、この2つの動作モードでは、以下に示すように、容器ホルダ30の自転角速度と公転角速度の比(自転/公転角速度比)は異なる値となる。なお、以下の式では、自転プーリー70、遊星環状部材64、環状部材52、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、公転軸プーリー50の径を、それぞれ、D1〜D6とした(表1参照)。また、容器ホルダ30の自転角速度をω、公転角速度をWとした。
【0042】
すなわち、攪拌脱泡装置1において、副軸42を固定すると(攪拌脱泡装置1を第1のモードで動作させると/図3(A)参照)、副軸第1プーリー58が固定され、下プーリー56(環状部材52)が固定される。そして、この自転駆動機構では、容器ホルダ30の自転角速度は、回転体20の回転角速度(容器ホルダ30の公転角速度)と上プーリー54の回転角速度との相対角速度、及び、上プーリー54と遊星環状部材64(遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68)と自転プーリー70の径に依存するため、このときの容器ホルダ30の自転/公転角速度比R1は、次式で表される。
【数1】
【0043】
なお、自転駆動機構では、公転軸プーリー50は公転軸10に固定されており、第1のベルト72が公転軸プーリー50と副軸第2プーリー60とにかけ回されている。そのため、公転軸10が回転すると、常に、副軸第2プーリー60は回転することになる。しかしながら、この自転駆動機構では、一方向クラッチ62の作用により、副軸第2プーリー60の回転トルクは副軸42に伝達されない。そのため、副軸第2プーリー60と副軸42とは空回りすることになり、副軸42を固定した場合でも、公転軸10は自由に回転することが可能になる。
【0044】
これに対して、副軸42を回転可能に設定すると(攪拌脱泡装置1を第2のモードで動作させると/図3(B)参照)、環状部材52の回転角速度は、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、及び、公転軸プーリー50によって規制され、公転軸10の回転角速度に関連付けられることになる。そして、容器ホルダ30の自転角速度は、回転体20の回転角速度(容器ホルダ30の公転角速度)と上プーリー54の回転角速度との相対角速度、及び、各プーリーの径に依存するため、容器ホルダ30の自転/公転角速度比R2は、次式で表される。
【数2】
【0045】
このことから、攪拌脱泡装置1は、自転/公転角速度比が異なる2つの動作モードで動作することが可能になることがわかる。特に、この自転駆動機構によると、副軸42を「回転不能にする(固定する)」又は「回転可能にする」ことにより、動作モード(自転/公転角速度比)を変えることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、第1の動作モードにおいて材料Mを攪拌するため、収納容器100内で材料Mを流動させる必要がある。そのため、攪拌脱泡装置1は、第1の動作モードにおける自転/公転角速度比(R1)が所定値以上となるように設計される必要がある。逆に、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおいて材料Mが空気を巻き込むことを防止するため、材料Mの流動を小さくする必要がある。そのため、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおける自転/公転角速度比(R2)が所定値以下となるように設計される必要がある。
【0047】
具体例として、自転プーリー70、遊星環状部材64、環状部材52、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、公転軸プーリー50の径を示すD1〜D6の値を表1のように設定すると、R1=2/5、R2=1/40となり、R1を十分大きな値とすることができるとともに、R2を十分小さな値とすることができる。
【表1】
【0048】
なお、上記の自転駆動機構は、プーリーとベルトを利用した動力伝達機構で実現しているが、本発明はこれに限られるものではなく、自転駆動機構を、歯車を利用して実現することも可能である。
【0049】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、減圧手段80を含む。減圧手段80は、少なくとも収納容器100の内部を減圧するように構成されている。本実施の形態では、減圧手段80は、容器ホルダ30内部を減圧するように構成されている。以下、減圧手段80について説明する。
【0050】
減圧手段80は、減圧ポンプ82を含む。減圧ポンプ82は、収納容器100内を減圧する役割を果たす。減圧ポンプ82は、既に公知となっているいずれかの装置を利用することができる。ただし、減圧ポンプ82として、攪拌脱泡装置1の使用条件に適合したものを利用することが好ましい。減圧ポンプ82として、例えば、収納容器100内を0.67kPa(=5torr)に減圧する能力を持つ装置を利用することができる。
【0051】
減圧手段80は、また、一端が容器ホルダ30に固定されて容器ホルダ30内に連通し、他端が減圧ポンプ82に連通する吸引ホース84を含む。吸引ホース84は、既に公知となっているいずれかの管状部材を適用することができるが、攪拌脱泡装置1の使用条件に適合したものを利用することが好ましい。吸引ホース84は、例えば、収納容器100を自転及び公転させる工程で破損しない、十分な強度を備えていることが好ましい。また、吸引ホース84は、収納容器100内部を減圧するための負圧によって潰れないように構成されていることが好ましい。さらに、吸引ホース84は、変形可能に構成されていてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、吸引ホース84の一端は、容器ホルダ30(容器ホルダ30の蓋体)に固定されている。また、吸引ホース84の他端は、回転継手86を介して筐体90に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を自転及び公転させる工程で、吸引ホース84がねじれて損傷することを防止することができる。
【0053】
減圧手段80は、さらに、減圧ポンプ82と吸引ホース84とを中継する中継管88を含む。中継管88は、必要に応じて、図示しない圧力計や、各種のバルブを備えた構成とすることができる。
【0054】
減圧手段80によると、吸引ホース84及び中継管88を介して、減圧ポンプ82によって容器ホルダ30内が減圧される。その結果、容器ホルダ30内に配置される収納容器100内部が減圧されることになる。なお、本実施の形態では、容器ホルダ30は気密に構成されている。これにより、容器ホルダ30の内圧を所定の値に設定し、維持することが可能になる。
【0055】
攪拌脱泡装置1は、筐体90や、筐体90内で公転軸10及び回転体20、モータ40、副軸保持手段44等を支持する支持体92、筐体90内で支持体の振動を防止する防振手段(防振ワイヤや防振バネなど)をさらに含んで構成されている。
【0056】
攪拌脱泡装置1は、また、図1及び図4に示す、収納容器100を含む。収納容器100は、材料(被攪拌脱泡材料)Mが収納される容器である。収納容器100は、容器ホルダ30に着脱可能に構成されている。また、収納容器100は、容器ホルダ30に保持されて容器ホルダ30の自転に伴って自転し、容器ホルダ30の公転に伴って公転するように構成される。なお、収納容器100の構成材料は特に限定されるものではなく、樹脂や金属など、既に公知となっているいずれかの材料によって構成された容器を利用することができる。また、本実施の形態では、材料Mは、収納容器100に直接収納されている。
【0057】
収納容器100は、図4に示すように、容器本体110を含む。容器本体110は内部空間を有し、該内部空間に材料Mを収納するように構成されている。収納容器100は、また、蓋体120を含む。蓋体120は、内蓋122と外蓋124とを含む。
【0058】
本実施の形態では、図4に示すように、収納容器100には貫通穴130が形成されている。貫通穴130は、蓋体120(内蓋122及び外蓋124)に形成されている。貫通穴130によって、収納容器100の内側と外側とが連通され、収納容器100内の圧力が、容器ホルダ30内の圧力と等しくなる。すなわち、減圧手段80によって、収納容器100内を減圧することが可能になる。
【0059】
攪拌脱泡装置1は、制御手段200を含む。制御手段200は、攪拌脱泡装置1の動作を統括制御する役割を果たす。制御手段200は、容器ホルダ30の公転角速度及び自転角速度(公転数及び自転数)を制御する。制御手段200は、また、収納容器100内の気圧(真空圧)を制御する。制御手段200は、攪拌脱泡装置1をシーケンス制御するように構成することができる。以下、制御手段200について説明する。図5は、制御手段200について説明するための図である。
【0060】
制御手段200は、マイクロプロセッサ(CPU202)と、容器ホルダ30の自転角速度及び公転角速度を制御する自公転角速度制御部204と、収納容器100内の気圧を制御する容器内圧制御部206とを含む。そして、CPU202は、自公転角速度制御部204及び容器内圧制御部206に各種の信号を出力することにより、攪拌脱泡装置1の動作を制御する。
【0061】
本実施の形態では、自公転角速度制御部204は、モータ40の回転数を制御するモータ制御部208を含む。モータ制御部208は、インバータの動作を制御し、モータ40に供給される交流電力の周波数を所定値とするためのインバータ制御部によって実現することができる。
【0062】
自公転角速度制御部204は、また、攪拌脱泡装置1の動作モードを切り替える動作モード切り替え部210を含む。動作モード切り替え部210は、ソレノイドに供給される電流のオン/オフを切り替えるスイッチング素子によって実現することができる。
【0063】
容器内圧制御部206は、減圧ポンプ82の動作を制御するポンプ制御部と、減圧手段80に含まれる各種弁の開閉を切り替えるスイッチング素子によって実現することができる。
【0064】
そして、CPU202は、自公転角速度制御部204及び容器内圧制御部206に各種の信号(収納容器100の公転角速度データや真空圧データ等)を送信する処理を行う。これにより、収納容器100を所定の公転角速度及び自転角速度で回転させることができ、かつ、収納容器100内を所望の真空圧に設定することができる。
【0065】
また、CPU202は、操作部214から入力された動作データ(収納容器100の公転角速度データや真空圧データ、運転時間データ等)を受け付けて、図示しない記憶部に格納する処理や、表示部216に各種情報(操作部214から入力された動作データや、収納容器100の公転角速度、容器ホルダ30内の真空圧、経過時間等)を表示させるための処理を行う。
【0066】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、以上のように構成されている。なお、攪拌脱泡装置1の処理の対象となる材料Mは、特に限定されるものではない。材料Mは、例えば接着剤、半田、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、粘性の強い液状の薬剤等の液体状の(ペースト状の)材料が含まれる。ただし、材料Mは、固体状(粉体状)の材料であってもよい。また、材料Mは、液体状の材料と固体状の材料の混合材料であってもよい。
【0067】
(2)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について、図6〜図8を参照して説明する。ここで、図6及び図7は、攪拌脱泡方法を説明するためのフローチャート図であり、図8は、攪拌脱泡方法を説明するためのタイミングチャート図である。
【0068】
材料Mの攪拌脱泡方法は、図6に示すように、材料Mの攪拌脱泡処理を行う攪拌脱泡処理工程と(ステップS100)、攪拌脱泡装置1を停止する攪拌脱泡装置の停止処理工程と(ステップS102)、を含む。以下、それぞれの工程について詳述する。
【0069】
攪拌脱泡処理工程(ステップS100)では、収納容器100内を所定の真空圧に設定した状態で、収納容器100を所定の回転数で自転させながら公転させる。攪拌脱泡処理工程は、攪拌脱泡装置1の運転開始から所定の時間(t1)行われる。収納容器100内の真空圧や、収納容器100の公転角速度及び自転角速度、及び、攪拌脱泡処理工程が行われる時間(t1)は、材料の性質に合わせて、ユーザが適宜設定することができる。
【0070】
なお、上記した攪拌脱泡装置1を利用する場合、攪拌脱泡処理工程は、副軸42を回転不能とした状態で行われる(攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させる)。これにより、収納容器100内で材料Mが激しく流動するため、材料Mが攪拌されるとともに脱泡される。
【0071】
また、攪拌脱泡処理工程における収納容器100内の公転角速度及び自転角速度(モータ40の回転角速度)は、加速時を除き常に一定としてもよく、あるいは、時間の経過に伴って変動させることも可能である。例えば、攪拌脱泡処理工程をN個のステップに分割し、それぞれのステップで、モータ40の回転角速度を異なる値とすることで、収納容器100の公転角速度及び自転角速度を、時間の経過に伴って変動させることができる。
【0072】
そして、攪拌脱泡装置の停止処理工程(ステップS102)は、図7に示すように、収納容器100の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップ(ステップS104)と、収納容器100内を大気圧に開放する大気開放ステップ(ステップS106)と、収納容器100の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップ(ステップS108)とを含む。以下、それぞれについて詳述する。
【0073】
自転角速度低下ステップ(ステップS104)では、収納容器100の自転/公転角速度比を低下させながら、収納容器100の自転角速度を低下させる処理を行う。攪拌脱泡装置1では、副軸42を回転可能に切り替えることにより(攪拌脱泡装置1の動作モードを第2の動作モードに切り替えることにより)、自転/公転角速度比が低下する(式(1)及び式(2)参照)。そのため、攪拌脱泡装置1では、動作モードの切り替え処理により、自転角速度低下ステップを実現することができる。なお、本実施の形態では、自転角速度低下ステップは、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に行われる。
【0074】
大気開放ステップ(ステップS106)では、収納容器100内を大気圧に開放する処理が行われる。攪拌脱泡装置1では、大気開放ステップは、例えば、図示しない大気開放弁(真空破壊弁)を開放ことによって実現することができる。大気開放ステップ(ステップS106)は、自転角速度低下ステップに遅れて開始される。本実施の形態では、大気開放ステップは、自転角速度低下ステップ開始後、所定の時間(T1)経過後に開始される(図8参照)。
【0075】
公転角速度低下ステップ(ステップS108)では、収納容器100の公転角速度を低下させる処理が行われる。攪拌脱泡装置1では、公転角度低下ステップは、モータ40の回転速度を低下することによって実現することができる。本実施の形態では、公転角速度低下ステップによってモータ40を停止させ、収納容器100の公転を停止させる。また、攪拌脱泡装置1では、公転角速度の低下に伴って自転角速度も低下し、モータ40が停止することにより、収納容器100の自転も停止する。公転角速度低下ステップは、大気開放ステップに遅れて開始される。本実施の形態では、公転角速度低下ステップは、自転角速度低下ステップ開始後、所定の時間(T2)経過後に開始される(図8参照)。
【0076】
なお、上記した所定の時間T1,T2は、攪拌脱泡装置1(制御手段200)に予め設定された、装置に固有の値であってもよく、ユーザが適宜設定した値であってもよい。なお、所定の時間T1,T2は、T1<T2の関係が成立するように設定される。
【0077】
以上の各工程によって、攪拌脱泡装置1が停止し、攪拌脱泡処理工程及び攪拌脱泡装置1の停止処理工程が終了する。
【0078】
(4)効果
次に、本実施の形態、特に、攪拌脱泡装置の停止処理工程が奏する作用効果について説明する。
【0079】
上述したように、この攪拌脱泡方法では、攪拌脱泡装置1の停止処理工程で、収納容器100の自転角速度を低下させてから、収納容器100内を大気圧に開放する。これによると、攪拌脱泡装置1を停止させる際に、材料Mに空気が混入することを防止することができ、精度よく攪拌脱泡された材料を取得することができる。以下、その作用について詳述する。
【0080】
まず、この攪拌脱泡方法では、収納容器100内を減圧した状態で、収納容器100を第1の動作モードで運転させて、材料Mを攪拌脱泡する処理が行われる(ステップS100)。攪拌脱泡装置1が第1の動作モードで動作すると、収納容器100内で材料Mが激しく流動するため、材料Mを精度よく攪拌することができるとともに、材料Mと真空雰囲気との接触面積が大きくなる(材料Mと真空雰囲気との接触頻度が高くなる)ことから、材料Mを高精度に脱泡することが可能になる。
【0081】
ところで、収納容器100内を大気圧に開放した状態で、攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させると、材料Mを高精度に脱泡処理することが難しくなる事態が生じ得る。なぜなら、攪拌脱泡装置1は、材料Mを攪拌する必要があるため、第1の動作モードにおいて材料Mが流動するように構成されており、収納容器100内を大気圧に開放した状態で第1の動作モードで運転すると、材料Mが空気を巻き込むおそれがあるためである。
【0082】
このことから、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に、収納容器100内を大気圧に開放して攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させてしまうと、高精度に脱泡された材料Mが新たな空気を巻き込む事態が懸念される。
【0083】
また、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に、収納容器100内が減圧された状態のまま収納容器100の自転及び公転を停止させると、材料Mの内圧が収納容器100内の気圧よりも高くなり、材料M内部から新たな気泡が発生する(材料Mが沸騰する)事態が生じ得る。
【0084】
これに対して、本実施の形態の攪拌脱泡方法では、攪拌脱泡装置1を停止させる停止処理工程(ステップS102)で、自転角速度低下ステップ(ステップS104)を行い、その後、大気開放ステップ(ステップS106)を開始する。すなわち、収納容器100の自転角速度を低下させてから(攪拌脱泡装置1の動作モードを第2の動作モードに切り替えてから)、収納容器100内を大気開放する。攪拌脱泡装置1では、収納容器100の自転角速度が低下する程、材料Mの流動(移動)が小さくなる。そのため、自転角速度を低下させてから、収納容器100内を大気圧に開放することにより、材料Mが新たな空気を巻き込むことを防止することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、自転角速度低下ステップで、自転/公転角速度比を低下させながら、自転角速度を低下させる。そのため、収納容器100の公転角速度を所定値以上に保ったまま、自転角速度を低下させることが可能になる。そのため、材料Mに所定値以上の遠心力が作用する状態を維持することができ、収納容器100内が減圧されていても、材料M内部から新たな気泡が発生することを防止することができる。なお、収納容器100の公転角速度は、材料M内部から新たな気泡が発生することを防止することができる十分な値に設定し、その値は実験により算出することができる。
【0086】
そして、本実施の形態では、公転角速度低下ステップ(ステップS108)が、大気開放ステップ(ステップS106)に遅れて開始される。言い換えると、本実施の形態では、収納容器100内の気圧を高めてから、収納容器100の公転角速度を低下させる。そのため、材料M内部から新たな気泡が発生しないように、収納容器100の公転角速度を低下(停止)させることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおいて、収納容器100を、公転角速度に対して極めて小さい速度で自転させるように構成されている(図8参照)。これによると、材料Mが激しく流動して材料Mに空気が巻き込まれることを防止することができるとともに、遠心分離作用により材料Mが分離することを防止することが可能になる。
【0088】
2.第2の実施の形態
以下、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
【0089】
(1)攪拌脱泡装置2の構成
以下、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2の構成について、攪拌脱泡装置1との相違点を中心に説明する。図9及び図10は、攪拌脱泡装置2の構成について説明するための図である。
【0090】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2は、図9に示すように、容器ホルダ30(収納容器100)を回転駆動するための駆動機構を含む。本実施の形態では、駆動機構は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させることが可能に構成されている。すなわち、駆動機構(攪拌脱泡装置2)は、容器ホルダ30を自転させながら公転させることが可能に構成されているとともに、容器ホルダ30を自転のみさせること、及び、容器ホルダ30を公転のみさせることが可能に構成されている。以下、駆動機構について詳述する。
【0091】
駆動機構は、第1のモータ302及び第2のモータ304を含む。第1のモータ302は、公転軸10を回転させて収納容器100を公転させる役割を果たす。また、第2のモータ304は、収納容器100の自転角速度を制御する役割を果たす。第1及び第2のモータ302,304は、既に公知となっているいずれかのモータを利用することができる。例えば、第1及び第2のモータ302,304は、サーボモータ(数値制御により動作するモータ)によって実現することができる。ただし、第1及び第2のモータ302,304の機能を、インダクションモータを利用して実現することも可能である。
【0092】
駆動機構は、また、第2のモータ304の回転軸に固定された回転プーリー306と、公転軸10と同心軸に設けられた第1及び第2のプーリー310,312と、自転軸32に固定された自転プーリー314とを含む。なお、第1及び第2のプーリー310,312は、ともに、公転軸10と同心に取り付けられた環状部材308の一部であり、両者は一体的に挙動する。そして、本実施の形態では、環状部材308は軸受けを介して公転軸10に取り付けられるため、第1及び第2のプーリー310,312は、公転軸10と独立して回転することが可能になる。また、自転プーリー314は自転軸32に固定されていることから、自転プーリー314の回転角速度(自転角速度)が、容器ホルダ30(収納容器100)の自転角速度に一致する。
【0093】
駆動機構は、また、回転プーリー306と第1のプーリー310とにかけ回された第1のベルト316と、第2のプーリー312と自転プーリー314とにかけ回された第2のベルト318と、第2のベルト318を屈曲させるためのアイドラ319とを含む。なお、動力伝達機構は、プーリーとベルトに代えて、歯車を利用して実現することも可能である。
【0094】
本実施の形態では、駆動機構は、上記のように構成される。この駆動機構によると、第1のモータ302と第2のモータ304の回転数を調整することによって、自転プーリー314の回転角速度(収納容器100の公転角速度及び自転角速度)を制御することが可能になる。
【0095】
すなわち、この駆動機構によると、第1のモータ302によって回転体20が回転し、それに伴って収納容器100が公転する。そのため、本実施の形態では、第1のモータ302の回転数を調整することにより、収納容器100の公転角速度を制御することができる。また、この駆動機構によると、第2のモータ304の動力が自転プーリー314に伝達されるため、第2のモータ304の回転数を調整することにより、収納容器100の自転角速度を制御することができる。
【0096】
このことから、本実施の形態では、収納容器100の公転角速度及び自転角速度(すなわち自転/公転角速度比)が、第1及び第2のモータ302,304の回転数によって制御可能であることがわかる。
【0097】
攪拌脱泡装置2は、減圧手段320を含む。減圧手段320は、少なくとも収納容器100の内部を減圧するように構成されている。以下、減圧手段320について説明する。
【0098】
減圧手段320は、真空チャンバ322と、減圧ポンプ324とを含む。真空チャンバ322は、内部を減圧環境に維持することが可能に構成されている。そして、減圧ポンプ324は、真空チャンバ322内を減圧するように構成されている。本実施の形態では、先述した容器ホルダ30(収納容器100)が真空チャンバ322内に配置される。そのため、減圧手段320によって、収納容器100内を減圧することが可能になる。なお、減圧手段320は、図示しない圧力計や、各種バルブを備えた構成とすることができる。また、真空チャンバ322には貫通穴が形成されており、公転軸10及び第2のモータ304の回転軸は、該貫通穴を貫通するように設けられている。公転軸10及び第2のモータ304の回転軸と真空チャンバ322の貫通穴との間に磁性流体シールを設けることで、真空チャンバ322内を減圧することが可能になる。
【0099】
攪拌脱泡装置2は、図10に示す、制御手段330を含む。制御手段330は、第1及び第2のモータ302,304の回転数を制御する。これにより、収納容器100を、所望の公転角速度、及び、自転角速度で回転させることができる。制御手段330は、また、真空チャンバ322内の真空圧を制御する。
【0100】
制御手段330は、第1のモータ302の回転数を制御する第1のモータ制御部332と、第2のモータ304の回転数を制御する第2のモータ制御部334と、真空チャンバ322内の真空圧を制御する容器内圧制御部336と、マイクロプロセッサ(CPU338)とを含む。
【0101】
第1のモータ制御部332は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、第1のモータ302の回転数を制御する。また、第2のモータ制御部334は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、第2のモータ304の回転数を制御する。これにより、容器ホルダ30の公転角速度(公転数)及び自転角速度(自転数)が、所望の値に設定され、収納容器100を所望の自転角速度及び公転角速度で回転させることができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、第1及び第2のモータ302,304の機能を、サーボモータによって実現することができる。この場合、第1及び第2のモータ制御部332,334は、専用のドライバ及びハードウェアによって実現され、第1及び第2のモータ302,304を所望の回転数で動作させるための各種処理を行う。
【0103】
また、容器内圧制御部336は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、減圧ポンプ324の出力や各種弁の開閉を制御する。これにより、真空チャンバ322内の真空圧が、所望の値に設定される。
【0104】
そして、CPU338は、ユーザが入力した収納容器100の公転角速度及び自転角速度情報に基づいて、第1及び第2のモータ302,304の回転数を導出する処理や、導出された第1及び第2のモータ302,304の回転数を示す回転数情報を、経過時間と関連付けて記憶部に格納する処理や、記憶部に格納された回転数情報を読み出して、第1及び第2のモータ制御部332,334に送信する処理等の各種処理を行う構成とすることができる。また、CPU338は、第1及び第2のモータ302,304の回転数の測定値(測定回転数情報)に基づいて、収納容器100の自転角速度を導出するための処理を行う構成とすることも可能である。
【0105】
(2)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について説明する。
【0106】
本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法は、材料Mを攪拌脱泡する攪拌脱泡処理工程と、攪拌脱泡装置2を停止する攪拌脱泡装置の停止処理工程とを含む。
【0107】
攪拌脱泡処理工程では、収納容器100内を減圧した状態で、収納容器100を、所望の公転角速度で公転させながら、所望の自転角速度で自転させる。収納容器100内の真空圧や、収納容器100の公転角速度及び自転角速度、並びに、攪拌脱泡処理時間は、材料Mに合わせて任意に設定することが可能である。
【0108】
攪拌脱泡装置の停止処理工程では、自転角速度低下ステップと、自転角速度低下ステップに遅れて開始される大気圧開放ステップと、大気開放ステップに遅れて開始される公転角速度低下ステップとを行う。そして、本実施の形態では、大気圧開放ステップは、収納容器100の自転角速度が所定の値(rot(x))以下のときに開始される。また、本実施の形態では、公転角速度低下ステップは、収納容器100内の真空圧が所定の値(bar(x))以上のときに開始される。図11は、この攪拌脱泡処理方法を示すタイミングチャート図である。
【0109】
なお、rot(x)及びbar(x)は、攪拌脱泡装置2に固有の値として制御手段(制御手段の記憶部)に記憶されていてもよく、あるいは、ユーザが適宜設定する値であってもよい。また、rot(x)及びbar(x)は、材料Mに気泡が混入しない値とすることが重要であり、その条件は実験により算出することができる。
【0110】
(3)効果
次に、本実施の形態、特に、攪拌脱泡装置の停止処理工程が奏する作用効果について説明する。
【0111】
本実施の形態では、自転角速度が所定の値以下のときに、大気開放ステップを開始する。そのため、材料Mに気泡が混入しない最も早いタイミングで、大気開放ステップを開始することが可能になる。また、本実施の形態では、収納容器100内の真空圧が所定の値以上のときに、公転角速度低下ステップを開始する。そのため、材料M内部から新たな気泡が発生しない最も早いタイミングで、公転角速度低下ステップを開始することが可能になる。このことから、本実施の形態では、攪拌脱泡装置2の停止処理を、短時間で終了させることが可能になる。
【0112】
(4)変形例
以下、本実施の形態の変形例について説明する。
【0113】
図12は、変形例に係る攪拌脱泡方法を示すタイミングチャート図である。この攪拌脱泡方法では、大気開放ステップは、収納容器100の自転角速度が停止した後に開始される。そのため、収納容器100内で材料Mの流動が止まった状態で、大気開放ステップを開始することができる。これにより、大気開放ステップにおいて、材料Mが新たな空気を巻き込むことを、より確実に防止することができる。
【0114】
また、この攪拌脱泡方法では、公転角速度低下ステップは、収納容器100内が大気圧に開放された後に開始される。これにより、公転角速度を低下させる際に(公転を停止する際に)材料M内部から新たな気泡が発生することを、より確実に防止することができる。
【0115】
あるいは、他の変形例として、図13に示すように、収納容器100の自転/公転角速度比が所定値(rat(x))となったときに、大気開放ステップを開始することも可能である。自転公転方式の攪拌脱泡装置では、自転/公転角速度比が低下すると、材料Mの流動は小さくなる。そのため、自転/公転角速度比が所定値以下のときに大気開放ステップを開始することで、材料Mが新たな空気を巻き込むことを防止することができる。なお、大気開放ステップを開始する条件(rat(x)の値)は、実験により導出することが可能で、材料Mにあわせて適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図2】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図3】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図4】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図5】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図6】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図7】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図8】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図9】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図10】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図11】第2の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図12】変形例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図13】変形例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【符号の説明】
【0117】
1…攪拌脱泡装置、 2…攪拌脱泡装置、 10…公転軸、 20…回転体、 30…容器ホルダ、 32…自転軸、 34…軸受け、 36…バランス錘、 40…モータ、 42…副軸、 43…横軸、 44…副軸保持手段、 45…可動鉄芯、 46…遊星軸、 50…公転軸プーリー、 52…環状部材、 54…上プーリー、 56…下プーリー、 58…副軸第1プーリー、 60…副軸第2プーリー、 62…一方向クラッチ、 64…遊星環状部材、 66…遊星第1プーリー、 68…遊星第2プーリー、 70…自転プーリー、 72…第1のベルト、 74…第2のベルト、 76…第3のベルト、 78…第4のベルト、 79…アイドラ、 80…減圧手段、 82…減圧ポンプ、 84…吸引ホース、 86…回転継手、 88…中継管、 90…筐体、 92…支持体、 100…収納容器、 110…容器本体、 120…蓋体、 122…内蓋、 124…外蓋、 130…貫通穴、 200…制御手段、 204…自公転角速度制御部、 206…容器内圧制御部、 208…モータ制御部、 208…動作モード切り替え部、 212…公転角速度センサ、 214…操作部、 216…表示部、 302…第1のモータ、 304…第2のモータ、 306…回転プーリー、 308…環状部材、 310…第1のプーリー、 312…第2のプーリー、 314…自転プーリー、 316…第1のベルト、 318…第2のベルト、 319…アイドラ、 320…減圧手段、 322…真空チャンバ、 324…減圧ポンプ、 330…制御手段、 332…第1のモータ制御部、 334…第2のモータ制御部、 336…容器内圧制御部、 L1…公転軸線、 L2…自転軸線、 M…材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌脱泡装置の停止方法及び攪拌脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が収納された容器を自転及び公転させることによって当該材料を攪拌脱泡する装置(自転公転方式の攪拌脱泡装置)が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。この攪拌脱泡装置では、容器を自転及び公転させる際に容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を攪拌する(混練する、混合する、分散させる)とともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。
【0003】
また、自転公転方式の攪拌脱泡装置として、材料の処理工程中に、容器内を減圧する装置が知られている(例えば特許文献3参照)。この技術によると、材料を高精度に脱泡することが可能になる。
【特許文献1】特開2000-271465号公報
【特許文献2】特開平10-43568号公報
【特許文献3】特開平11-104404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、減圧状態で材料の攪拌脱泡処理を行った場合でも、材料を取り出すためには、容器の自転及び公転を止め、かつ、容器内部を大気圧に開放して攪拌脱泡装置を停止する必要がある。そして、精度よく攪拌脱泡された材料を取得するためには、攪拌脱泡装置の停止工程において、材料が新たな空気を巻き込まないように、かつ、材料内部から新たな気泡が発生しないように、攪拌脱泡装置を停止させることが重要である。
【0005】
本発明の一つの態様は、攪拌脱泡装置を停止する際に、材料が新たな空気を巻き込むこと、及び、材料内部から新たな気泡が発生することを防止することが可能な攪拌脱泡方法、及び、攪拌脱泡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る攪拌脱泡装置の停止方法は、
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置を停止する方法であって、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら、前記容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップと、
前記自転角速度低下ステップに遅れて開始される、前記容器内を大気圧に開放する大気開放ステップと、
を含む。
【0007】
本発明によると、材料が新たな空気を巻き込まないように、かつ、材料内部から新たな気泡が発生しないように、攪拌脱泡装置を停止することができる。そのため、高精度に攪拌脱泡された材料を取得することが可能になる。
【0008】
(2)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記自転角速度が所定値以下のときに開始されてもよい。
【0009】
(3)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、容器の自転が停止した後に開始されてもよい。
【0010】
(4)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の自転/公転角速度比が所定値以下のときに開始されてもよい。
【0011】
(5)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の公転角速度が所定値以上のときに開始されてもよい。
【0012】
(6)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップに遅れて開始される、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップをさらに含んでもよい。
【0013】
(7)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器内の気圧が所定値以上のときに開始されてもよい。
【0014】
(8)この攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器の内部が大気圧に開放された後に開始されてもよい。
【0015】
(9)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置であって、
前記容器の自転角速度及び公転角速度、並びに、前記容器内の気圧を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、
前記容器の自転及び公転を止め、前記容器内圧を大気圧に開放して前記攪拌脱泡装置を停止させる際に、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら前記自転角速度を低下させる自転角速度低下処理の開始後に、前記容器内を大気圧に開放する大気開放処理を開始する。
【0016】
本発明によると、停止する際に、材料が新たな空気を巻き込むこと、及び、材料内部から新たな気泡が発生することを防止することができ、高精度に攪拌脱泡された材料を取得することが可能な攪拌脱泡装置を提供することができる。
【0017】
(10)この攪拌脱泡装置において、
前記制御手段は、前記攪拌脱泡装置を停止させる工程で、
前記大気開放処理の開始後に、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下処理を開始してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0019】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0020】
(1)攪拌脱泡装置1の構成
はじめに、本発明を適用した実施の形態に係る攪拌脱泡装置1の構成について説明する。図1〜図5は、攪拌脱泡装置1の構成について説明するための図である。
【0021】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、公転軸10(回転軸/主軸)を含む。公転軸10は、仮想の直線を中心に回転するように構成されている。本実施の形態では、公転軸10は、図1に示すように、鉛直に延びる仮想の直線(公転軸線L1)を軸として回転するように構成されている。ただし、公転軸10は、水平に延びる直線を軸として回転するように構成することも可能である(図示せず)。
【0022】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、回転体20を含む。回転体20は、公転軸10に固定され、公転軸10の回転に伴って、公転軸線L1を中心に(軸線として)回転するように構成されている。
【0023】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、容器ホルダ30を有する。容器ホルダ30は、後述する収納容器100を保持する役割を果たす。以下、容器ホルダ30について詳述する。
【0024】
容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置に、自転可能に取り付けられている。本実施の形態では、容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置を通る仮想の直線(自転軸線L2)を軸として自転可能に構成されている。本実施の形態では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、所定の角度で斜めに交差する直線となっている。より具体的には、攪拌脱泡装置1では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、45度の角度で交差するように構成されている。ただし、変形例として、攪拌脱泡装置は、容器ホルダ30の公転軸線と自転軸線とが平行になるように構成することも可能である(図示せず)。
【0025】
本実施の形態では、容器ホルダ30は、自転軸32に固定されている。そして、自転軸32は、回転体20に軸受け34を介して取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20に対して自転可能とすることができる。
【0026】
容器ホルダ30は、回転体20における、公転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20の回転に伴って、公転軸線L1を中心に公転させることが可能になる。
【0027】
本実施の形態では、1つの回転体20に、1つの容器ホルダ30が取り付けられている。そして、回転体20における容器ホルダ30とは反対側の位置には、バランス錘36が取り付けられている。このバランス錘36は、公転軸線L1からの距離が可変に構成されている。これにより、攪拌脱泡装置1を、安定して運転させることができる。ただし、変形例として、回転体20に、2個の容器ホルダ30を取り付けることも可能である。この場合、2個の容器ホルダ30を、公転軸線L1を中心とする点対称の配置となるように取り付ければ、攪拌脱泡装置を安定して動作させることができる。あるいは、攪拌脱泡装置を、1つの回転体20に3個以上の複数の容器ホルダ30を取り付けた構成とすることも可能である。
【0028】
また、本実施の形態では、容器ホルダ30は気密構造になっており、内部を所望の気圧に保持することが可能に構成されている。
【0029】
攪拌脱泡装置1は、駆動機構を含む。駆動機構は、容器ホルダ30(収納容器100)を自転及び公転駆動する役割を果たす。以下、駆動機構について詳述する。
【0030】
駆動機構は、図1及び図2に示すように、モータ40を含む。モータ40は、公転軸10を回転させる役割を果たす。攪拌脱泡装置1では、公転軸10が回転すると回転体20が回転し、それに伴い、容器ホルダ30が公転する。そのため、本実施の形態では、モータ40の回転数を制御することにより、容器ホルダ30を、所望の公転角速度(公転数)で公転させることが可能になる。本実施の形態では、モータ40として、誘導モータ(インダクションモータ)を適用することができる。なお、誘導モータの回転数(公転軸10の回転数)は、インバータから出力される交流電力の周波数を制御することにより、任意の値に設定することが可能である。ただし、モータ40として、サーボモータやPMモータを利用することも可能である。
【0031】
駆動機構は、容器ホルダ30を自転させるための自転駆動機構を含む。以下、自転駆動機構について説明する。
【0032】
自転駆動機構は、公転軸10と間隔をあけて配置された、公転軸10と平行に延びる副軸42を含む。副軸42は、副軸保持手段44に保持される。副軸保持手段44は、副軸42を回転可能に保持するとともに、副軸42を固定して回転を停止させる回転停止手段を含んで構成されている。本実施の形態では、副軸42は軸受けを介して取り付けられており、これにより、副軸42が回転可能に保持される。また、本実施の形態では、回転停止手段は、可動鉄芯45を有するソレノイドによって構成されている。この場合、図3(A)に示すように、副軸42を貫く横軸43に可動鉄芯45を接触させることにより、副軸42が回転不能な状態となる。また、図3(B)に示すように、可動鉄芯45を横軸43と非接触とすることにより、副軸42が回転可能な状態となる。なお、可動鉄芯45の位置は、ソレノイドに供給される電流のオン/オフによって切り替えることができる。
【0033】
自転駆動機構は、また、遊星軸46を含む。遊星軸46は回転体20に固定され、回転体20の回転に伴って公転する。
【0034】
自転駆動機構は、公転軸10に固定された公転軸プーリー50を含む。公転軸プーリー50は、公転軸10に固定されるため、公転軸10と同じ角速度で回転する。
【0035】
自転駆動機構は、環状部材52の一部として構成された、公転軸10と同心軸に回転可能な上プーリー54及び下プーリー56を含む。上プーリー54及び下プーリー56は、ともに、環状部材52の一部を構成するため、両者は一体的に挙動し、同じ回転角速度で回転する。また、環状部材52は、軸受けを介して公転軸10に取り付けられている。そのため、上プーリー54及び下プーリー56(環状部材52)は、公転軸10と独立して回転することが可能になる。
【0036】
自転駆動機構は、副軸42に固定された副軸第1プーリー58を含む。副軸第1プーリー58は、副軸42に固定されるため、副軸42と同じ角速度で回転する。
【0037】
自転駆動機構は、一方向クラッチ62を介して副軸42に取り付けられた、副軸第2プーリー60を含む。本実施の形態では、自転駆動機構は、一方向クラッチ62の作用により、副軸42が回転不能に設定された場合に、副軸第2プーリー60と副軸42とが空回りし、副軸42が回転可能に設定された場合に、副軸第2プーリー60と副軸42とが同じ角速度で回転することができるように構成される。
【0038】
自転駆動機構は、遊星環状部材64の一部として構成された、遊星軸46と同心軸に回転可能な遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68を含む。遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68は、ともに、遊星環状部材64の一部を構成するため、両者は一体的に挙動し、同じ回転角速度で回転する。また、遊星環状部材64は、軸受けを介して遊星軸46に取り付けられている。そのため、遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68(遊星環状部材64)は、遊星軸46に対して回転可能になる。
【0039】
自転駆動機構は、容器ホルダ30に固定された自転プーリー70を含む。自転プーリー70は容器ホルダ30に固定されることから、容器ホルダ30と自転プーリー70とは、一体的に挙動する。なお、本実施の形態では、自転プーリー70は、容器ホルダ30の外周に設けられている。
【0040】
自転駆動機構は、また、公転軸プーリー50と副軸第2プーリー60との間にかけ回された第1のベルト72と、副軸第1プーリー58と下プーリー56との間にかけ回された第2のベルト74と、上プーリー54と遊星第2プーリー68との間にかけ回された第3のベルト76と、遊星第1プーリー66と自転プーリー70との間にかけ回された第4のベルト78とを含む。なお、第4のベルト78は、アイドラ79によって屈曲させられた状態で、遊星第1プーリー66と自転プーリー70との間にかけ回されている。
【0041】
本実施の形態では、自転駆動機構は以上のように構成されている。この自転駆動機構によると、攪拌脱泡装置1を、副軸42が固定された状態(回転不能に設定された状態)で運転する第1の動作モードと、副軸42を回転可能とした状態で運転する第2の動作モードとの、2つの異なるモードで動作させることが可能になる。そして、この2つの動作モードでは、以下に示すように、容器ホルダ30の自転角速度と公転角速度の比(自転/公転角速度比)は異なる値となる。なお、以下の式では、自転プーリー70、遊星環状部材64、環状部材52、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、公転軸プーリー50の径を、それぞれ、D1〜D6とした(表1参照)。また、容器ホルダ30の自転角速度をω、公転角速度をWとした。
【0042】
すなわち、攪拌脱泡装置1において、副軸42を固定すると(攪拌脱泡装置1を第1のモードで動作させると/図3(A)参照)、副軸第1プーリー58が固定され、下プーリー56(環状部材52)が固定される。そして、この自転駆動機構では、容器ホルダ30の自転角速度は、回転体20の回転角速度(容器ホルダ30の公転角速度)と上プーリー54の回転角速度との相対角速度、及び、上プーリー54と遊星環状部材64(遊星第1プーリー66及び遊星第2プーリー68)と自転プーリー70の径に依存するため、このときの容器ホルダ30の自転/公転角速度比R1は、次式で表される。
【数1】
【0043】
なお、自転駆動機構では、公転軸プーリー50は公転軸10に固定されており、第1のベルト72が公転軸プーリー50と副軸第2プーリー60とにかけ回されている。そのため、公転軸10が回転すると、常に、副軸第2プーリー60は回転することになる。しかしながら、この自転駆動機構では、一方向クラッチ62の作用により、副軸第2プーリー60の回転トルクは副軸42に伝達されない。そのため、副軸第2プーリー60と副軸42とは空回りすることになり、副軸42を固定した場合でも、公転軸10は自由に回転することが可能になる。
【0044】
これに対して、副軸42を回転可能に設定すると(攪拌脱泡装置1を第2のモードで動作させると/図3(B)参照)、環状部材52の回転角速度は、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、及び、公転軸プーリー50によって規制され、公転軸10の回転角速度に関連付けられることになる。そして、容器ホルダ30の自転角速度は、回転体20の回転角速度(容器ホルダ30の公転角速度)と上プーリー54の回転角速度との相対角速度、及び、各プーリーの径に依存するため、容器ホルダ30の自転/公転角速度比R2は、次式で表される。
【数2】
【0045】
このことから、攪拌脱泡装置1は、自転/公転角速度比が異なる2つの動作モードで動作することが可能になることがわかる。特に、この自転駆動機構によると、副軸42を「回転不能にする(固定する)」又は「回転可能にする」ことにより、動作モード(自転/公転角速度比)を変えることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、第1の動作モードにおいて材料Mを攪拌するため、収納容器100内で材料Mを流動させる必要がある。そのため、攪拌脱泡装置1は、第1の動作モードにおける自転/公転角速度比(R1)が所定値以上となるように設計される必要がある。逆に、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおいて材料Mが空気を巻き込むことを防止するため、材料Mの流動を小さくする必要がある。そのため、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおける自転/公転角速度比(R2)が所定値以下となるように設計される必要がある。
【0047】
具体例として、自転プーリー70、遊星環状部材64、環状部材52、副軸第1プーリー58、副軸第2プーリー60、公転軸プーリー50の径を示すD1〜D6の値を表1のように設定すると、R1=2/5、R2=1/40となり、R1を十分大きな値とすることができるとともに、R2を十分小さな値とすることができる。
【表1】
【0048】
なお、上記の自転駆動機構は、プーリーとベルトを利用した動力伝達機構で実現しているが、本発明はこれに限られるものではなく、自転駆動機構を、歯車を利用して実現することも可能である。
【0049】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、減圧手段80を含む。減圧手段80は、少なくとも収納容器100の内部を減圧するように構成されている。本実施の形態では、減圧手段80は、容器ホルダ30内部を減圧するように構成されている。以下、減圧手段80について説明する。
【0050】
減圧手段80は、減圧ポンプ82を含む。減圧ポンプ82は、収納容器100内を減圧する役割を果たす。減圧ポンプ82は、既に公知となっているいずれかの装置を利用することができる。ただし、減圧ポンプ82として、攪拌脱泡装置1の使用条件に適合したものを利用することが好ましい。減圧ポンプ82として、例えば、収納容器100内を0.67kPa(=5torr)に減圧する能力を持つ装置を利用することができる。
【0051】
減圧手段80は、また、一端が容器ホルダ30に固定されて容器ホルダ30内に連通し、他端が減圧ポンプ82に連通する吸引ホース84を含む。吸引ホース84は、既に公知となっているいずれかの管状部材を適用することができるが、攪拌脱泡装置1の使用条件に適合したものを利用することが好ましい。吸引ホース84は、例えば、収納容器100を自転及び公転させる工程で破損しない、十分な強度を備えていることが好ましい。また、吸引ホース84は、収納容器100内部を減圧するための負圧によって潰れないように構成されていることが好ましい。さらに、吸引ホース84は、変形可能に構成されていてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、吸引ホース84の一端は、容器ホルダ30(容器ホルダ30の蓋体)に固定されている。また、吸引ホース84の他端は、回転継手86を介して筐体90に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を自転及び公転させる工程で、吸引ホース84がねじれて損傷することを防止することができる。
【0053】
減圧手段80は、さらに、減圧ポンプ82と吸引ホース84とを中継する中継管88を含む。中継管88は、必要に応じて、図示しない圧力計や、各種のバルブを備えた構成とすることができる。
【0054】
減圧手段80によると、吸引ホース84及び中継管88を介して、減圧ポンプ82によって容器ホルダ30内が減圧される。その結果、容器ホルダ30内に配置される収納容器100内部が減圧されることになる。なお、本実施の形態では、容器ホルダ30は気密に構成されている。これにより、容器ホルダ30の内圧を所定の値に設定し、維持することが可能になる。
【0055】
攪拌脱泡装置1は、筐体90や、筐体90内で公転軸10及び回転体20、モータ40、副軸保持手段44等を支持する支持体92、筐体90内で支持体の振動を防止する防振手段(防振ワイヤや防振バネなど)をさらに含んで構成されている。
【0056】
攪拌脱泡装置1は、また、図1及び図4に示す、収納容器100を含む。収納容器100は、材料(被攪拌脱泡材料)Mが収納される容器である。収納容器100は、容器ホルダ30に着脱可能に構成されている。また、収納容器100は、容器ホルダ30に保持されて容器ホルダ30の自転に伴って自転し、容器ホルダ30の公転に伴って公転するように構成される。なお、収納容器100の構成材料は特に限定されるものではなく、樹脂や金属など、既に公知となっているいずれかの材料によって構成された容器を利用することができる。また、本実施の形態では、材料Mは、収納容器100に直接収納されている。
【0057】
収納容器100は、図4に示すように、容器本体110を含む。容器本体110は内部空間を有し、該内部空間に材料Mを収納するように構成されている。収納容器100は、また、蓋体120を含む。蓋体120は、内蓋122と外蓋124とを含む。
【0058】
本実施の形態では、図4に示すように、収納容器100には貫通穴130が形成されている。貫通穴130は、蓋体120(内蓋122及び外蓋124)に形成されている。貫通穴130によって、収納容器100の内側と外側とが連通され、収納容器100内の圧力が、容器ホルダ30内の圧力と等しくなる。すなわち、減圧手段80によって、収納容器100内を減圧することが可能になる。
【0059】
攪拌脱泡装置1は、制御手段200を含む。制御手段200は、攪拌脱泡装置1の動作を統括制御する役割を果たす。制御手段200は、容器ホルダ30の公転角速度及び自転角速度(公転数及び自転数)を制御する。制御手段200は、また、収納容器100内の気圧(真空圧)を制御する。制御手段200は、攪拌脱泡装置1をシーケンス制御するように構成することができる。以下、制御手段200について説明する。図5は、制御手段200について説明するための図である。
【0060】
制御手段200は、マイクロプロセッサ(CPU202)と、容器ホルダ30の自転角速度及び公転角速度を制御する自公転角速度制御部204と、収納容器100内の気圧を制御する容器内圧制御部206とを含む。そして、CPU202は、自公転角速度制御部204及び容器内圧制御部206に各種の信号を出力することにより、攪拌脱泡装置1の動作を制御する。
【0061】
本実施の形態では、自公転角速度制御部204は、モータ40の回転数を制御するモータ制御部208を含む。モータ制御部208は、インバータの動作を制御し、モータ40に供給される交流電力の周波数を所定値とするためのインバータ制御部によって実現することができる。
【0062】
自公転角速度制御部204は、また、攪拌脱泡装置1の動作モードを切り替える動作モード切り替え部210を含む。動作モード切り替え部210は、ソレノイドに供給される電流のオン/オフを切り替えるスイッチング素子によって実現することができる。
【0063】
容器内圧制御部206は、減圧ポンプ82の動作を制御するポンプ制御部と、減圧手段80に含まれる各種弁の開閉を切り替えるスイッチング素子によって実現することができる。
【0064】
そして、CPU202は、自公転角速度制御部204及び容器内圧制御部206に各種の信号(収納容器100の公転角速度データや真空圧データ等)を送信する処理を行う。これにより、収納容器100を所定の公転角速度及び自転角速度で回転させることができ、かつ、収納容器100内を所望の真空圧に設定することができる。
【0065】
また、CPU202は、操作部214から入力された動作データ(収納容器100の公転角速度データや真空圧データ、運転時間データ等)を受け付けて、図示しない記憶部に格納する処理や、表示部216に各種情報(操作部214から入力された動作データや、収納容器100の公転角速度、容器ホルダ30内の真空圧、経過時間等)を表示させるための処理を行う。
【0066】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、以上のように構成されている。なお、攪拌脱泡装置1の処理の対象となる材料Mは、特に限定されるものではない。材料Mは、例えば接着剤、半田、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、粘性の強い液状の薬剤等の液体状の(ペースト状の)材料が含まれる。ただし、材料Mは、固体状(粉体状)の材料であってもよい。また、材料Mは、液体状の材料と固体状の材料の混合材料であってもよい。
【0067】
(2)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について、図6〜図8を参照して説明する。ここで、図6及び図7は、攪拌脱泡方法を説明するためのフローチャート図であり、図8は、攪拌脱泡方法を説明するためのタイミングチャート図である。
【0068】
材料Mの攪拌脱泡方法は、図6に示すように、材料Mの攪拌脱泡処理を行う攪拌脱泡処理工程と(ステップS100)、攪拌脱泡装置1を停止する攪拌脱泡装置の停止処理工程と(ステップS102)、を含む。以下、それぞれの工程について詳述する。
【0069】
攪拌脱泡処理工程(ステップS100)では、収納容器100内を所定の真空圧に設定した状態で、収納容器100を所定の回転数で自転させながら公転させる。攪拌脱泡処理工程は、攪拌脱泡装置1の運転開始から所定の時間(t1)行われる。収納容器100内の真空圧や、収納容器100の公転角速度及び自転角速度、及び、攪拌脱泡処理工程が行われる時間(t1)は、材料の性質に合わせて、ユーザが適宜設定することができる。
【0070】
なお、上記した攪拌脱泡装置1を利用する場合、攪拌脱泡処理工程は、副軸42を回転不能とした状態で行われる(攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させる)。これにより、収納容器100内で材料Mが激しく流動するため、材料Mが攪拌されるとともに脱泡される。
【0071】
また、攪拌脱泡処理工程における収納容器100内の公転角速度及び自転角速度(モータ40の回転角速度)は、加速時を除き常に一定としてもよく、あるいは、時間の経過に伴って変動させることも可能である。例えば、攪拌脱泡処理工程をN個のステップに分割し、それぞれのステップで、モータ40の回転角速度を異なる値とすることで、収納容器100の公転角速度及び自転角速度を、時間の経過に伴って変動させることができる。
【0072】
そして、攪拌脱泡装置の停止処理工程(ステップS102)は、図7に示すように、収納容器100の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップ(ステップS104)と、収納容器100内を大気圧に開放する大気開放ステップ(ステップS106)と、収納容器100の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップ(ステップS108)とを含む。以下、それぞれについて詳述する。
【0073】
自転角速度低下ステップ(ステップS104)では、収納容器100の自転/公転角速度比を低下させながら、収納容器100の自転角速度を低下させる処理を行う。攪拌脱泡装置1では、副軸42を回転可能に切り替えることにより(攪拌脱泡装置1の動作モードを第2の動作モードに切り替えることにより)、自転/公転角速度比が低下する(式(1)及び式(2)参照)。そのため、攪拌脱泡装置1では、動作モードの切り替え処理により、自転角速度低下ステップを実現することができる。なお、本実施の形態では、自転角速度低下ステップは、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に行われる。
【0074】
大気開放ステップ(ステップS106)では、収納容器100内を大気圧に開放する処理が行われる。攪拌脱泡装置1では、大気開放ステップは、例えば、図示しない大気開放弁(真空破壊弁)を開放ことによって実現することができる。大気開放ステップ(ステップS106)は、自転角速度低下ステップに遅れて開始される。本実施の形態では、大気開放ステップは、自転角速度低下ステップ開始後、所定の時間(T1)経過後に開始される(図8参照)。
【0075】
公転角速度低下ステップ(ステップS108)では、収納容器100の公転角速度を低下させる処理が行われる。攪拌脱泡装置1では、公転角度低下ステップは、モータ40の回転速度を低下することによって実現することができる。本実施の形態では、公転角速度低下ステップによってモータ40を停止させ、収納容器100の公転を停止させる。また、攪拌脱泡装置1では、公転角速度の低下に伴って自転角速度も低下し、モータ40が停止することにより、収納容器100の自転も停止する。公転角速度低下ステップは、大気開放ステップに遅れて開始される。本実施の形態では、公転角速度低下ステップは、自転角速度低下ステップ開始後、所定の時間(T2)経過後に開始される(図8参照)。
【0076】
なお、上記した所定の時間T1,T2は、攪拌脱泡装置1(制御手段200)に予め設定された、装置に固有の値であってもよく、ユーザが適宜設定した値であってもよい。なお、所定の時間T1,T2は、T1<T2の関係が成立するように設定される。
【0077】
以上の各工程によって、攪拌脱泡装置1が停止し、攪拌脱泡処理工程及び攪拌脱泡装置1の停止処理工程が終了する。
【0078】
(4)効果
次に、本実施の形態、特に、攪拌脱泡装置の停止処理工程が奏する作用効果について説明する。
【0079】
上述したように、この攪拌脱泡方法では、攪拌脱泡装置1の停止処理工程で、収納容器100の自転角速度を低下させてから、収納容器100内を大気圧に開放する。これによると、攪拌脱泡装置1を停止させる際に、材料Mに空気が混入することを防止することができ、精度よく攪拌脱泡された材料を取得することができる。以下、その作用について詳述する。
【0080】
まず、この攪拌脱泡方法では、収納容器100内を減圧した状態で、収納容器100を第1の動作モードで運転させて、材料Mを攪拌脱泡する処理が行われる(ステップS100)。攪拌脱泡装置1が第1の動作モードで動作すると、収納容器100内で材料Mが激しく流動するため、材料Mを精度よく攪拌することができるとともに、材料Mと真空雰囲気との接触面積が大きくなる(材料Mと真空雰囲気との接触頻度が高くなる)ことから、材料Mを高精度に脱泡することが可能になる。
【0081】
ところで、収納容器100内を大気圧に開放した状態で、攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させると、材料Mを高精度に脱泡処理することが難しくなる事態が生じ得る。なぜなら、攪拌脱泡装置1は、材料Mを攪拌する必要があるため、第1の動作モードにおいて材料Mが流動するように構成されており、収納容器100内を大気圧に開放した状態で第1の動作モードで運転すると、材料Mが空気を巻き込むおそれがあるためである。
【0082】
このことから、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に、収納容器100内を大気圧に開放して攪拌脱泡装置1を第1の動作モードで動作させてしまうと、高精度に脱泡された材料Mが新たな空気を巻き込む事態が懸念される。
【0083】
また、攪拌脱泡処理工程(ステップS100)の後に、収納容器100内が減圧された状態のまま収納容器100の自転及び公転を停止させると、材料Mの内圧が収納容器100内の気圧よりも高くなり、材料M内部から新たな気泡が発生する(材料Mが沸騰する)事態が生じ得る。
【0084】
これに対して、本実施の形態の攪拌脱泡方法では、攪拌脱泡装置1を停止させる停止処理工程(ステップS102)で、自転角速度低下ステップ(ステップS104)を行い、その後、大気開放ステップ(ステップS106)を開始する。すなわち、収納容器100の自転角速度を低下させてから(攪拌脱泡装置1の動作モードを第2の動作モードに切り替えてから)、収納容器100内を大気開放する。攪拌脱泡装置1では、収納容器100の自転角速度が低下する程、材料Mの流動(移動)が小さくなる。そのため、自転角速度を低下させてから、収納容器100内を大気圧に開放することにより、材料Mが新たな空気を巻き込むことを防止することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、自転角速度低下ステップで、自転/公転角速度比を低下させながら、自転角速度を低下させる。そのため、収納容器100の公転角速度を所定値以上に保ったまま、自転角速度を低下させることが可能になる。そのため、材料Mに所定値以上の遠心力が作用する状態を維持することができ、収納容器100内が減圧されていても、材料M内部から新たな気泡が発生することを防止することができる。なお、収納容器100の公転角速度は、材料M内部から新たな気泡が発生することを防止することができる十分な値に設定し、その値は実験により算出することができる。
【0086】
そして、本実施の形態では、公転角速度低下ステップ(ステップS108)が、大気開放ステップ(ステップS106)に遅れて開始される。言い換えると、本実施の形態では、収納容器100内の気圧を高めてから、収納容器100の公転角速度を低下させる。そのため、材料M内部から新たな気泡が発生しないように、収納容器100の公転角速度を低下(停止)させることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、第2の動作モードにおいて、収納容器100を、公転角速度に対して極めて小さい速度で自転させるように構成されている(図8参照)。これによると、材料Mが激しく流動して材料Mに空気が巻き込まれることを防止することができるとともに、遠心分離作用により材料Mが分離することを防止することが可能になる。
【0088】
2.第2の実施の形態
以下、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
【0089】
(1)攪拌脱泡装置2の構成
以下、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2の構成について、攪拌脱泡装置1との相違点を中心に説明する。図9及び図10は、攪拌脱泡装置2の構成について説明するための図である。
【0090】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2は、図9に示すように、容器ホルダ30(収納容器100)を回転駆動するための駆動機構を含む。本実施の形態では、駆動機構は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させることが可能に構成されている。すなわち、駆動機構(攪拌脱泡装置2)は、容器ホルダ30を自転させながら公転させることが可能に構成されているとともに、容器ホルダ30を自転のみさせること、及び、容器ホルダ30を公転のみさせることが可能に構成されている。以下、駆動機構について詳述する。
【0091】
駆動機構は、第1のモータ302及び第2のモータ304を含む。第1のモータ302は、公転軸10を回転させて収納容器100を公転させる役割を果たす。また、第2のモータ304は、収納容器100の自転角速度を制御する役割を果たす。第1及び第2のモータ302,304は、既に公知となっているいずれかのモータを利用することができる。例えば、第1及び第2のモータ302,304は、サーボモータ(数値制御により動作するモータ)によって実現することができる。ただし、第1及び第2のモータ302,304の機能を、インダクションモータを利用して実現することも可能である。
【0092】
駆動機構は、また、第2のモータ304の回転軸に固定された回転プーリー306と、公転軸10と同心軸に設けられた第1及び第2のプーリー310,312と、自転軸32に固定された自転プーリー314とを含む。なお、第1及び第2のプーリー310,312は、ともに、公転軸10と同心に取り付けられた環状部材308の一部であり、両者は一体的に挙動する。そして、本実施の形態では、環状部材308は軸受けを介して公転軸10に取り付けられるため、第1及び第2のプーリー310,312は、公転軸10と独立して回転することが可能になる。また、自転プーリー314は自転軸32に固定されていることから、自転プーリー314の回転角速度(自転角速度)が、容器ホルダ30(収納容器100)の自転角速度に一致する。
【0093】
駆動機構は、また、回転プーリー306と第1のプーリー310とにかけ回された第1のベルト316と、第2のプーリー312と自転プーリー314とにかけ回された第2のベルト318と、第2のベルト318を屈曲させるためのアイドラ319とを含む。なお、動力伝達機構は、プーリーとベルトに代えて、歯車を利用して実現することも可能である。
【0094】
本実施の形態では、駆動機構は、上記のように構成される。この駆動機構によると、第1のモータ302と第2のモータ304の回転数を調整することによって、自転プーリー314の回転角速度(収納容器100の公転角速度及び自転角速度)を制御することが可能になる。
【0095】
すなわち、この駆動機構によると、第1のモータ302によって回転体20が回転し、それに伴って収納容器100が公転する。そのため、本実施の形態では、第1のモータ302の回転数を調整することにより、収納容器100の公転角速度を制御することができる。また、この駆動機構によると、第2のモータ304の動力が自転プーリー314に伝達されるため、第2のモータ304の回転数を調整することにより、収納容器100の自転角速度を制御することができる。
【0096】
このことから、本実施の形態では、収納容器100の公転角速度及び自転角速度(すなわち自転/公転角速度比)が、第1及び第2のモータ302,304の回転数によって制御可能であることがわかる。
【0097】
攪拌脱泡装置2は、減圧手段320を含む。減圧手段320は、少なくとも収納容器100の内部を減圧するように構成されている。以下、減圧手段320について説明する。
【0098】
減圧手段320は、真空チャンバ322と、減圧ポンプ324とを含む。真空チャンバ322は、内部を減圧環境に維持することが可能に構成されている。そして、減圧ポンプ324は、真空チャンバ322内を減圧するように構成されている。本実施の形態では、先述した容器ホルダ30(収納容器100)が真空チャンバ322内に配置される。そのため、減圧手段320によって、収納容器100内を減圧することが可能になる。なお、減圧手段320は、図示しない圧力計や、各種バルブを備えた構成とすることができる。また、真空チャンバ322には貫通穴が形成されており、公転軸10及び第2のモータ304の回転軸は、該貫通穴を貫通するように設けられている。公転軸10及び第2のモータ304の回転軸と真空チャンバ322の貫通穴との間に磁性流体シールを設けることで、真空チャンバ322内を減圧することが可能になる。
【0099】
攪拌脱泡装置2は、図10に示す、制御手段330を含む。制御手段330は、第1及び第2のモータ302,304の回転数を制御する。これにより、収納容器100を、所望の公転角速度、及び、自転角速度で回転させることができる。制御手段330は、また、真空チャンバ322内の真空圧を制御する。
【0100】
制御手段330は、第1のモータ302の回転数を制御する第1のモータ制御部332と、第2のモータ304の回転数を制御する第2のモータ制御部334と、真空チャンバ322内の真空圧を制御する容器内圧制御部336と、マイクロプロセッサ(CPU338)とを含む。
【0101】
第1のモータ制御部332は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、第1のモータ302の回転数を制御する。また、第2のモータ制御部334は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、第2のモータ304の回転数を制御する。これにより、容器ホルダ30の公転角速度(公転数)及び自転角速度(自転数)が、所望の値に設定され、収納容器100を所望の自転角速度及び公転角速度で回転させることができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、第1及び第2のモータ302,304の機能を、サーボモータによって実現することができる。この場合、第1及び第2のモータ制御部332,334は、専用のドライバ及びハードウェアによって実現され、第1及び第2のモータ302,304を所望の回転数で動作させるための各種処理を行う。
【0103】
また、容器内圧制御部336は、CPU338から受け付けた信号に基づいて、減圧ポンプ324の出力や各種弁の開閉を制御する。これにより、真空チャンバ322内の真空圧が、所望の値に設定される。
【0104】
そして、CPU338は、ユーザが入力した収納容器100の公転角速度及び自転角速度情報に基づいて、第1及び第2のモータ302,304の回転数を導出する処理や、導出された第1及び第2のモータ302,304の回転数を示す回転数情報を、経過時間と関連付けて記憶部に格納する処理や、記憶部に格納された回転数情報を読み出して、第1及び第2のモータ制御部332,334に送信する処理等の各種処理を行う構成とすることができる。また、CPU338は、第1及び第2のモータ302,304の回転数の測定値(測定回転数情報)に基づいて、収納容器100の自転角速度を導出するための処理を行う構成とすることも可能である。
【0105】
(2)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について説明する。
【0106】
本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法は、材料Mを攪拌脱泡する攪拌脱泡処理工程と、攪拌脱泡装置2を停止する攪拌脱泡装置の停止処理工程とを含む。
【0107】
攪拌脱泡処理工程では、収納容器100内を減圧した状態で、収納容器100を、所望の公転角速度で公転させながら、所望の自転角速度で自転させる。収納容器100内の真空圧や、収納容器100の公転角速度及び自転角速度、並びに、攪拌脱泡処理時間は、材料Mに合わせて任意に設定することが可能である。
【0108】
攪拌脱泡装置の停止処理工程では、自転角速度低下ステップと、自転角速度低下ステップに遅れて開始される大気圧開放ステップと、大気開放ステップに遅れて開始される公転角速度低下ステップとを行う。そして、本実施の形態では、大気圧開放ステップは、収納容器100の自転角速度が所定の値(rot(x))以下のときに開始される。また、本実施の形態では、公転角速度低下ステップは、収納容器100内の真空圧が所定の値(bar(x))以上のときに開始される。図11は、この攪拌脱泡処理方法を示すタイミングチャート図である。
【0109】
なお、rot(x)及びbar(x)は、攪拌脱泡装置2に固有の値として制御手段(制御手段の記憶部)に記憶されていてもよく、あるいは、ユーザが適宜設定する値であってもよい。また、rot(x)及びbar(x)は、材料Mに気泡が混入しない値とすることが重要であり、その条件は実験により算出することができる。
【0110】
(3)効果
次に、本実施の形態、特に、攪拌脱泡装置の停止処理工程が奏する作用効果について説明する。
【0111】
本実施の形態では、自転角速度が所定の値以下のときに、大気開放ステップを開始する。そのため、材料Mに気泡が混入しない最も早いタイミングで、大気開放ステップを開始することが可能になる。また、本実施の形態では、収納容器100内の真空圧が所定の値以上のときに、公転角速度低下ステップを開始する。そのため、材料M内部から新たな気泡が発生しない最も早いタイミングで、公転角速度低下ステップを開始することが可能になる。このことから、本実施の形態では、攪拌脱泡装置2の停止処理を、短時間で終了させることが可能になる。
【0112】
(4)変形例
以下、本実施の形態の変形例について説明する。
【0113】
図12は、変形例に係る攪拌脱泡方法を示すタイミングチャート図である。この攪拌脱泡方法では、大気開放ステップは、収納容器100の自転角速度が停止した後に開始される。そのため、収納容器100内で材料Mの流動が止まった状態で、大気開放ステップを開始することができる。これにより、大気開放ステップにおいて、材料Mが新たな空気を巻き込むことを、より確実に防止することができる。
【0114】
また、この攪拌脱泡方法では、公転角速度低下ステップは、収納容器100内が大気圧に開放された後に開始される。これにより、公転角速度を低下させる際に(公転を停止する際に)材料M内部から新たな気泡が発生することを、より確実に防止することができる。
【0115】
あるいは、他の変形例として、図13に示すように、収納容器100の自転/公転角速度比が所定値(rat(x))となったときに、大気開放ステップを開始することも可能である。自転公転方式の攪拌脱泡装置では、自転/公転角速度比が低下すると、材料Mの流動は小さくなる。そのため、自転/公転角速度比が所定値以下のときに大気開放ステップを開始することで、材料Mが新たな空気を巻き込むことを防止することができる。なお、大気開放ステップを開始する条件(rat(x)の値)は、実験により導出することが可能で、材料Mにあわせて適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図2】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図3】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図4】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図5】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図6】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図7】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図8】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図9】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図10】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図11】第2の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図12】変形例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図13】変形例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【符号の説明】
【0117】
1…攪拌脱泡装置、 2…攪拌脱泡装置、 10…公転軸、 20…回転体、 30…容器ホルダ、 32…自転軸、 34…軸受け、 36…バランス錘、 40…モータ、 42…副軸、 43…横軸、 44…副軸保持手段、 45…可動鉄芯、 46…遊星軸、 50…公転軸プーリー、 52…環状部材、 54…上プーリー、 56…下プーリー、 58…副軸第1プーリー、 60…副軸第2プーリー、 62…一方向クラッチ、 64…遊星環状部材、 66…遊星第1プーリー、 68…遊星第2プーリー、 70…自転プーリー、 72…第1のベルト、 74…第2のベルト、 76…第3のベルト、 78…第4のベルト、 79…アイドラ、 80…減圧手段、 82…減圧ポンプ、 84…吸引ホース、 86…回転継手、 88…中継管、 90…筐体、 92…支持体、 100…収納容器、 110…容器本体、 120…蓋体、 122…内蓋、 124…外蓋、 130…貫通穴、 200…制御手段、 204…自公転角速度制御部、 206…容器内圧制御部、 208…モータ制御部、 208…動作モード切り替え部、 212…公転角速度センサ、 214…操作部、 216…表示部、 302…第1のモータ、 304…第2のモータ、 306…回転プーリー、 308…環状部材、 310…第1のプーリー、 312…第2のプーリー、 314…自転プーリー、 316…第1のベルト、 318…第2のベルト、 319…アイドラ、 320…減圧手段、 322…真空チャンバ、 324…減圧ポンプ、 330…制御手段、 332…第1のモータ制御部、 334…第2のモータ制御部、 336…容器内圧制御部、 L1…公転軸線、 L2…自転軸線、 M…材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置を停止する方法であって、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら、前記容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップと、
前記自転角速度低下ステップに遅れて開始される、前記容器内を大気圧に開放する大気開放ステップと、
を含む攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記自転角速度が所定値以下のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項3】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、容器の自転が停止した後に開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項4】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の自転/公転角速度比が所定値以下のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の公転角速度が所定値以上のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップに遅れて開始される、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップをさらに含む攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項7】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器内の気圧が所定値以上のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項8】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器の内部が大気圧に開放された後に開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項9】
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置であって、
前記容器の自転角速度及び公転角速度、並びに、前記容器内の気圧を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、
前記容器の自転及び公転を止め、前記容器内圧を大気圧に開放して前記攪拌脱泡装置を停止させる際に、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら前記自転角速度を低下させる自転角速度低下処理の開始後に、前記容器内を大気圧に開放する大気開放処理を開始する攪拌脱泡装置。
【請求項10】
請求項9に記載の攪拌脱泡装置において、
前記制御手段は、前記攪拌脱泡装置を停止させる工程で、
前記大気開放処理の開始後に、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下処理を開始する攪拌脱泡装置。
【請求項1】
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置を停止する方法であって、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら、前記容器の自転角速度を低下させる自転角速度低下ステップと、
前記自転角速度低下ステップに遅れて開始される、前記容器内を大気圧に開放する大気開放ステップと、
を含む攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記自転角速度が所定値以下のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項3】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、容器の自転が停止した後に開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項4】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の自転/公転角速度比が所定値以下のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップは、前記容器の公転角速度が所定値以上のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記大気開放ステップに遅れて開始される、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下ステップをさらに含む攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項7】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器内の気圧が所定値以上のときに開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項8】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置の停止方法において、
前記公転角速度低下ステップは、前記容器の内部が大気圧に開放された後に開始される攪拌脱泡装置の停止方法。
【請求項9】
材料が収容された容器を、前記容器内を減圧した状態で自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置であって、
前記容器の自転角速度及び公転角速度、並びに、前記容器内の気圧を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、
前記容器の自転及び公転を止め、前記容器内圧を大気圧に開放して前記攪拌脱泡装置を停止させる際に、
前記容器の自転/公転角速度比を低下させながら前記自転角速度を低下させる自転角速度低下処理の開始後に、前記容器内を大気圧に開放する大気開放処理を開始する攪拌脱泡装置。
【請求項10】
請求項9に記載の攪拌脱泡装置において、
前記制御手段は、前記攪拌脱泡装置を停止させる工程で、
前記大気開放処理の開始後に、前記容器の公転角速度を低下させる公転角速度低下処理を開始する攪拌脱泡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−273959(P2009−273959A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124499(P2008−124499)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【特許番号】特許第4188411号(P4188411)
【特許公報発行日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(393030408)株式会社シンキー (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【特許番号】特許第4188411号(P4188411)
【特許公報発行日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(393030408)株式会社シンキー (34)
【Fターム(参考)】
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