説明

支柱用支持台および支柱付き基礎台

【課題】軽く、容易に持ち運ぶことができる支柱用支持台および支柱付き基礎台を提供する。
【解決手段】基台21が、上部開口21aを有する筒体から成り、設置面に固定可能に設けられている。蓋体22が、上部開口21aを覆うよう基台21に設けられ、上面に上方に伸びるよう一体的に設けられた筒状の支柱取付部22cを有している。支柱12が、支柱取付部22cの内側に挿入して固定され、上方に向かって伸びている。機器取付部材13が、支柱12の上端に設けられている。基台21、蓋体22、支柱12および機器取付部材13は、FRP製である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱用支持台および支柱付き基礎台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の支柱用の基礎として、支柱を差し込む通し孔を有し、通し孔に支柱を差し込んだ後、通し孔にコンクリートを流し込んで支柱を固定可能なコンクリート製の基礎ブロックがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−96581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の基礎ブロックは、コンクリート製であるため重く、持ち運びに労力を要するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、軽く、容易に持ち運ぶことができる支柱用支持台および支柱付き基礎台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る支柱用支持台は、上部開口を有する筒体から成り、設置面に固定可能に設けられたFRP製の基台と、前記上部開口を覆うよう前記基台に設けられ、上面に上方に伸びるよう一体的に設けられた筒状の支柱取付部を有するFRP製の蓋体とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る支柱用支持台は、基台を設置面に固定した後、基台の上部開口を覆うよう蓋体を基台に固定し、蓋体の支柱取付部の内部に支柱を差し込んで固定することにより、支柱を取り付けることができる。基台および蓋体がFRP製であり、基台が内部に空間を有する筒体から成るため、コンクリート製や鉄製のものに比べて軽い。このため、容易に持ち運ぶことができ、設置も容易で、施工性に優れている。
【0008】
支柱取付部が蓋体に一体的に設けられているため、蓋体と支柱取付部とが別々に分かれている場合と比べて、設置のための作業工程が少なくなり、設置作業時間を短縮することができる。基台および蓋体がFRP製であるため、耐候性、耐久性および耐蝕性に優れている。支柱取付部は、取り付ける支柱がほぼ隙間なく嵌るよう、支柱の断面形状と同じか僅かに大きい内部断面形状を有していることが好ましい。基台は、円筒状であっても角筒状であってもよい。基台および蓋体は、さらに耐候性、耐久性および耐蝕性を高めるために、フッ素コーティングされていてもよい。
【0009】
本発明に係る支柱用支持台で、前記基台は内側に底部を有し、前記上部開口の周縁に沿って外フランジを有し、前記蓋体は、前記上部開口および前記外フランジの上面を覆うよう前記基台に設けられ、前記外フランジの側面を覆うよう、外周縁に沿って下方に突出して設けられた周縁部を有し、前記支柱取付部の内側に前記支柱取付部の内部と前記基台の内部とを連通する貫通孔を有していることが好ましい。この場合、蓋体を、外フランジの位置で基台に固定することができる。支柱を基台の内部まで差し込むことができ、支柱取付時の安定性を高めることができる。また、基台の内部に差し込む長さを調整することにより、支柱の高さを調整することもできる。
【0010】
本発明に係る支柱付き基礎台は、本発明に係る支柱用支持台と、前記支柱取付部の内側に挿入して固定され、上方に向かって伸びるFRP製の支柱と、前記支柱の上端に設けられたFRP製の機器取付部材とを、有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る支柱付き基礎台は、基台および蓋体だけでなく、支柱および機器取付部材がFRP製であるため、コンクリート製や鉄製のものに比べて軽い。このため、容易に持ち運ぶことができ、設置も容易で、施工性に優れている。また、耐候性、耐久性および耐蝕性に優れている。本発明に係る支柱付き基礎台は、支柱の上端に設けられた機器取付部材に、携帯電話のアンテナなどの設備機器を取り付けることができる。支柱および機器取付部材は、さらに耐候性、耐久性および耐蝕性を高めるために、フッ素コーティングされていてもよい。
【0012】
本発明に係る支柱付き基礎台で、前記機器取付部材は、前記支柱を挿入可能に設けられた挿入孔を有し、前記挿入孔に前記支柱の上端を挿入して前記支柱に固定されており、前記支柱取付部と前記支柱との間、および、前記支柱と前記機器取付部材との間にガラス繊維製のシートを挟んで成ることが好ましい。この場合、ガラス繊維製のシートにより、支柱取付部と支柱との間、および、支柱と機器取付部材との間の隙間を塞ぐことができ、各部材を互いにより強固に固定することができる。また、支柱取付部と支柱、および、支柱と機器取付部材とをそれぞれ接着剤で固定するとき、ガラス繊維製のシートにより、接着剤のはく離を防止することができる。ガラス繊維製のシートは、例えば、ガラスマットから成る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軽く、容易に持ち運ぶことができる支柱用支持台および支柱付き基礎台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の支柱付き基礎台を示す正面図である。
【図2】図1に示す支柱付き基礎の蓋体を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)縦断面図である。
【図3】図1に示す支柱付き基礎の機器取付部材を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図3は、本発明の実施の形態の支柱用支持台および支柱付き基礎台を示している。
図1に示すように、支柱付き基礎台10は、支柱用支持台11と支柱12と機器取付部材13とを有している。
【0016】
支柱用支持台11は、基台21と蓋体22とを有している。基台21は、横断面がほほ正方形状の角筒から成り、上部開口21aを有している。基台21は、内側に底部を有し、上部開口21aの外周縁に沿って環状の外フランジ21bを有している。基台21は、内側から底部を貫通するアンカーボルト21cなどを取り付けることにより、設置面に固定可能になっている。基台21は、FRP(繊維強化プラスチック)製で、フッ素コーティングされている。
【0017】
蓋体22は、基台21の上部開口21aおよび外フランジ21bを覆うよう基台21に設けられている。図2に示すように、蓋体22は、上部開口21aおよび外フランジ21bの上面を覆う矩形板状の上板部22aと、外フランジ21bの側面を覆うよう、上板部22aの外周縁に沿って下方に突出して設けられた周縁部22bとを有している。蓋体22は、上面の中央に、上方に伸びるよう一体的に設けられた円筒状の支柱取付部22cを有している。また、蓋体22は、支柱取付部22cの内側に、支柱取付部22cの内部と基台21の内部とを連通する貫通孔22dを有している。図1に示すように、蓋体22は、ボルトを外フランジ21bから上板部22aに貫通させて、上方からナットで締め付けることにより、基台21に固定されている。蓋体22は、FRP製で、フッ素コーティングされている。
【0018】
図1に示すように、支柱12は、円筒状を成し、所定の長さを有している。また、支柱12は、蓋体22の支柱取付部22cの内径より僅かに小さい外径を有している。支柱12は、蓋体22から上方に向かって伸びるよう、支柱取付部22cとの間にガラス繊維製のシート23を挟んだ状態で、接着剤により支柱取付部22cに固定されている。支柱12は、FRP製で、フッ素コーティングされている。また、ガラス繊維製のシート23は、市販のガラスマットから成っている。
【0019】
図3に示すように、機器取付部材13は、円筒状を成し、一方の開口の周縁に沿って設けられたフランジ部13aを有している。機器取付部材13は、内側が支柱12を挿入可能な挿入孔13bを成しており、支柱12の外径より僅かに大きい内径を有している。図1に示すように、機器取付部材13は、フランジ部13aを上にした状態で、挿入孔13bに支柱12の上端を挿入して支柱12に固定されている。機器取付部材13は、支柱12との間にガラス繊維製のシート24を挟んだ状態で、接着剤により支柱12に固定されている。機器取付部材13は、FRP製で、フッ素コーティングされている。また、ガラス繊維製のシート24は、市販のガラスマットから成っている。
【0020】
次に、作用について説明する。
支柱付き基礎台10は、支柱用支持台11の基台21を設置面に固定した後、基台21の上部開口21aを覆うよう蓋体22を基台21に固定し、蓋体22の支柱取付部22cの内部に支柱12を差し込んで固定することにより、支柱12を取り付けることができる。また、支柱12の上端に機器取付部材13の挿入孔13bを挿入することにより、機器取付部材13を取り付けることができる。なお、あらかじめ蓋体22と支柱12、支柱12と機器取付部材13とを固定していてもよい。基台21、蓋体22、支柱12および機器取付部材13がFRP製であり、基台21および支柱12が筒状であるため、コンクリート製や鉄製のものに比べて軽い。このため、容易に持ち運ぶことができ、設置も容易で、施工性に優れている。
【0021】
支柱取付部22cが蓋体22に一体的に設けられているため、蓋体22と支柱取付部22cとが別々に分かれている場合と比べて、設置のための作業工程が少なくなり、設置作業時間を短縮することができる。また、あらかじめ蓋体22と支柱12、支柱12と機器取付部材13とを固定しておくことにより、現場での設置作業時間をさらに短縮することができる。基台21、蓋体22、支柱12および機器取付部材13がFRP製で、さらにフッ素コーティングされているため、耐候性、耐久性および耐蝕性に優れている。
【0022】
支柱付き基礎台10は、ガラス繊維製のシート23、24により、それぞれ支柱取付部22cと支柱12との間、および、支柱12と機器取付部材13との間の隙間を塞ぐことができ、各部材を互いにより強固に固定することができる。また、ガラス繊維製のシート23、24により、支柱取付部22cと支柱12、および、支柱12と機器取付部材13とを固定する接着剤のはく離を防止することができる。支柱付き基礎台10は、支柱12を基台21の内部まで差し込むことができ、支柱12の取付時の安定性を高めることができる。また、基台21の内部に差し込む長さを調整することにより、支柱12の高さを調整することもできる。
【0023】
支柱付き基礎台10は、支柱12の上端に設けられた機器取付部材13に、携帯電話のアンテナなどの設備機器を取り付けることができる。図1に示す具体的な一例では、別の支柱52および機器取付部材53を利用して、携帯電話のアンテナ1を支柱付き基礎台10の機器取付部材13の上に固定している。すなわち、支柱52の一端に機器取付部材53を固定し、機器取付部材53を下にして、そのフランジ部53aと機器取付部材13のフランジ部13aとを向かい合わせてボルトおよびナットで固定し、支柱52の他端側の上端に、アンテナ1を固定している。このように、支柱付き基礎台10は、別の支柱52や機器取付部材53などを利用して、機器取付部材13に設備機器を固定してもよく、機器取付部材13に直接、設備機器を固定してもよい。支柱付き基礎台10は、携帯電話のアンテナの他にも、避雷針、防犯カメラ、照明等の設備機器を固定して支持することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 アンテナ
10 支柱付き基礎台
11 支柱用支持台
12 支柱
13 機器取付部材
13a フランジ部
13b 挿入孔
21 基台
21a 上部開口
21b 外フランジ
21c アンカーボルト
22 蓋体
22a 上板部
22b 周縁部
22c 支柱取付部
22d 貫通孔
23、24 シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する筒体から成り、設置面に固定可能に設けられたFRP製の基台と、
前記上部開口を覆うよう前記基台に設けられ、上面に上方に伸びるよう一体的に設けられた筒状の支柱取付部を有するFRP製の蓋体とを、
有することを特徴とする支柱用支持台。
【請求項2】
前記基台は内側に底部を有し、前記上部開口の周縁に沿って外フランジを有し、
前記蓋体は、前記上部開口および前記外フランジの上面を覆うよう前記基台に設けられ、前記外フランジの側面を覆うよう、外周縁に沿って下方に突出して設けられた周縁部を有し、前記支柱取付部の内側に前記支柱取付部の内部と前記基台の内部とを連通する貫通孔を有していることを、
特徴とする請求項1記載の支柱用支持台。
【請求項3】
請求項1または2記載の支柱用支持台と、
前記支柱取付部の内側に挿入して固定され、上方に向かって伸びるFRP製の支柱と、
前記支柱の上端に設けられたFRP製の機器取付部材とを、
有することを特徴とする支柱付き基礎台。
【請求項4】
前記機器取付部材は、前記支柱を挿入可能に設けられた挿入孔を有し、前記挿入孔に前記支柱の上端を挿入して前記支柱に固定されており、
前記支柱取付部と前記支柱との間、および、前記支柱と前記機器取付部材との間にガラス繊維製のシートを挟んで成ることを、
特徴とする請求項3記載の支柱付き基礎台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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